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アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ3 (397レス)
アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ3 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/
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96: 業苦 ◆10fcvoEbko [sage] 2007/09/29(土) 22:22:30 ID:KUomEtCd それは、たとえチームがばらばらになった状況であったとしても変わらないはずだった。 名簿で仲間の存在は確認していたのだから、私は彼女達と合流を目指すなり、情報の収集に努めるなり、自分で何かしら考え行動を起こすべきではなかったのか。 いや、なかったのかどころではない。当然そうするべきだったのだ。 たとえこの場にいるのが自分一人だけだったとしても、これだけの規模の次元犯罪に巻き込まれて何もしないなどというのは、機動六課以前に時空管理局の職員として、決して許されることではない。 ところがさっきまでの私といったらなんだ。 状況を把握しようともせずただ恐い恐いと、犬のように震えていただけではないか。 六課としての役割を完全に放棄し、以前と同じく誤った行動をとってしまっている。 チームワークも何もあったものではない。 人間は失敗から学ぶ生き物であるとの言葉をよく耳にする。 それは逆に、失敗から学んでこそ人間たり得るということでもあるだろう。 なるほど、過去の経験を生かせず同じ失敗を繰り返す私は、真実犬と呼ばれても仕方ないのかもしれない。 ああ、キャロはこんな私に殺されたんだ。 ひどく可哀想に思えた。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/96
97: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/29(土) 22:24:00 ID:dfsTw/0H http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/97
98: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/29(土) 22:24:28 ID:LrQXMS1F http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/98
99: 業苦 ◆10fcvoEbko [sage] 2007/09/29(土) 22:25:21 ID:KUomEtCd 私は走る気力も無くし、夢遊病者みたいにぼんやりと、廃墟同然に静まり返った街の中を歩いていた。 どこをどう走ったのかは覚えていない。 たださっきよりは空がうす明るくなっているところを見ると、それなりの時間がたってはいるのだろう。 体に付着したキャロの血は、とっくに乾いている。 だが、衣服の奥底に染み込んだそれは、湿り気を帯びていたときよりも一層べっとりと全身にとまとわり付いてくるように感じられた。 キャロは良い子だった。隊の仲間としても。友人としても。 生まれ付き竜召喚などというレアスキルを持ち、それによって辛い経験を数多くしてきたにも関わらず、明るさと優しさを失っていなかった。 最初はそれでもぎこちなかったものの、寝食を共にし、任務をこなしていく内に私達の仲はより深くなっていった。 スバルなんかはかなりの可愛がりようで、シャワーのときには髪を洗ってあげていたほどだ。 私はさすがにそこまではしなかったが、年長者として色々と気に掛けていた。 あるとき六課に休課が出た。キャロはエリオと二人で遊びにでかけた。 私はスバルと一緒に街を回っていたのだが、合い間に通信で二人の様子を伺ってみた。 シャーリーさんの作ったプランの意味も分からずそのまま従う二人の姿は微笑ましく、 その健全さは逆にこちらが照れる思いだった。 六課解散後は、元いた辺境自然保護隊に復帰すると言っていた。エリオもそこへの転属を希望しているという。 二人ならきっとそこでも良いコンビになっていただろう。 死んでしまったのだが。私の手で。 右手の血は取れそうにない。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/99
100: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/29(土) 22:25:47 ID:XhwLiHcc http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/100
101: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/29(土) 22:26:11 ID:KZpC5T0H http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/101
102: 業苦 ◆10fcvoEbko [sage] 2007/09/29(土) 22:26:44 ID:KUomEtCd 「うごか、ないで」 シアターらしき建物から出てきた男に向かって、私は銃を向けた。 いきなり銃を向けなくても良かったのかもしれないが、相手が凶悪な人物であった場合今の私では対処しきる自信がなかった。 ただ、そのときの私がそのような冷静な判断の下で行動できていたとは考えづらいように思う。 自分以外の人間に出会ったことが無性に恐くなってなんとなく銃を向けた、というのが正直なところかもしれない。 男は静かにデイパックを地面に置いて両手を頭の後ろに組んだ。 「あ、あなたは、この」 声がでない。 「俺はこんな殺し合いなんかに乗っちゃあいない。ついでにいっておくが、そんなに震えてたんじゃこの距離でも弾は当たらんぞ」 私の両手は、銃を構えたときからかたかたと震えていた。 「俺はジェット・ブラック。何があったかは知らないが、お前さんが戦う気がねぇっていうなら、その銃を下ろしてくれ」 腕が震える。止めようと力を込めたら、震えはさらに大きくなった。 「おい、どうした?」 こちらの尋常でない様子に気付いたのか、男が声を出す。 それはそうだろう。だって私の腕は壊れたオモチャみたいに震え、銃には威圧感なんてまるで無くなっている。 腕の震えは意識すればするほど大きくなり、両足にも感染したそれは最早自分の意志ではどうにもならないもので。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/102
103: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/29(土) 22:27:29 ID:JDbfrFEL http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/103
104: 名無しさん@お腹いっぱい。 [] 2007/09/29(土) 22:28:30 ID:JDbfrFEL http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/104
105: 業苦 ◆10fcvoEbko [sage] 2007/09/29(土) 22:28:42 ID:KUomEtCd そこで私は男に押し倒された。 「落ち着けっ!暴発するぞ!」 私の銃を掴んで叫ぶ。 私はその顔を、それこそ馬鹿みたいにぼうっと見つめていた。 「とにかく、手を放せ」 男が私から銃をむしりとろうとし、私は反射的にそれに抵抗する。 そのときの私の暴れ様は滑稽な程で、いつ弾が発射されてもおかしく無かったはずなのだが、男の銃の掴み方にコツがあるのかそうはならなかった。 「完全なパニックか。くそっ」 男の力が増し、私は銃を奪われそうになる。 必死で抵抗した。 やめて、それが無いと私、何もできなくて、隊にもいられなくなって、 証明しないと、だって私は、その銃は。 キャロを殺した銃だから。 「いやぁ!」 私はひっくり返った声で叫ぶと銃を振り捨てた。 さっきまで後生大事に持っていた銃が、急に、とんでもなくおぞましい物のように感じられた。 私の手を離れた銃は、そのまま男の手に握られた。 「こいつは俺が預かる。まるっきりの素人って訳でもねぇようだが、今のお前さんが扱うには危険すぎる」 男が宣言するように告げる。 しかし、その言葉の意味を私はほとんど理解していなかった。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/105
106: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/29(土) 22:29:34 ID:dfsTw/0H http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/106
107: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/29(土) 22:29:35 ID:JDbfrFEL ごめんなさいsage忘れました。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/107
108: 業苦 ◆10fcvoEbko [sage] 2007/09/29(土) 22:30:12 ID:KUomEtCd 瞳孔の開ききった目で男の掲げる銃を見つめる。 私の銃。 歯ががちがち鳴る。 キャロを殺した銃。 涙が頬を伝わり落ちる。 キャロを殺した私の銃。 血塗れの手を見る。 虚ろなキャロの顔。 嗚咽がこみ上げてくる。 優しく笑うキャロの顔。 私は絶叫した。 そのときから、私は銃が持てなくなった。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/108
109: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/29(土) 22:31:15 ID:dfsTw/0H http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/109
110: 業苦 ◆10fcvoEbko [sage] 2007/09/29(土) 22:31:47 ID:KUomEtCd 【C-5 映画館 一日目 黎明】 【ジェット・ブラック@カウボーイビバップ】 [状態]:健康 [装備]:コルトガバメント(残弾6発) [道具]:支給品一式(ランダムアイテム0〜1つ 本人確認済み) テッカマンブレードのクリスタル@宇宙の騎士テッカマンブレード アンチ・シズマ管@ジャイアントロボ THE ANIMATION [思考] 基本: 情報を集め、この場から脱出する 0:目の前の少女に対処 1:種々の情報を得るため、図書館or博物館or警察署に向かう 2:スパイクとエドが心配 3:初対面の人間には用心する・・・ってもさすがにこいつは ※テッカマンのことをパワードスーツだと思い込んでいます 【C-5 映画館 一日目 黎明】 【ティアナ・ランスター@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 [状態]:自失 血まみれ 銃器にトラウマ [装備]:なし [道具]:なし [思考]0:キャロ… ※参戦時期はゆりかご事件で戦闘機人三人と戦って以降のどこかです http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/110
111: ◆10fcvoEbko [sage] 2007/09/29(土) 22:33:34 ID:KUomEtCd 以上で投下終了です。 支援ありがとうございました。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/111
112: 没OP案 [] 2007/09/29(土) 22:49:42 ID:bUEW/eZC 闇が広がっている。 漆黒の闇だ。 俺は闇が好きだ。 闇は、自分を、自分の過去を、自分の宿命を、全て飲み込んでくれる。 闇の中に生きる俺に、闇だけが俺に安息を提供してくれた。 俺は、まどろみの中、夢と現の境を漂っているのだと思っていた。 その声を聞くまでは。 「そこに居るのかい、兄さん」 「……シンヤか」 朦朧としていた意識が、急激に覚醒する。 徐々に目が慣れてくると、周囲の様子がおぼろげに浮かび上がってくる。 どうやら、此処は広い部屋の中のようだ。 そして、この場には俺とシンヤ――テッカマンブレードとテッカマンエビルの他にも、多数の人間が居る様だった。 最初は衣擦れの音と呼吸音が、そして段々と人の声――不安げな会話音が場を満たす。 遠くでなにやら怒鳴り散らす声も聞こえるようだ。どうやらここは相当に広い空間のようだ。 だが、それ以上は分からない。 それらのことに気を裂く余裕は、俺には無かった。 最も危険で最も重大な存在は、既に俺の目の前に立っているのだから。 「コレは何だ? いつの間に俺を連れてきた? これもお前達ラダムの仕業か?」 「フフ、僕達にこんな真似が出来るのならば、とっくの昔に実行に移しているさ。兄さんを殺すためにね……」 その言葉には妙な説得力があった。 だが、ラダムの仕業で無いならば、一体これは……!? そう思った、次の瞬間だった。 突然、目も眩むほどの光がその場を満たした。 地面が、円柱状のその部屋の壁が眩い光を放っている。渦巻きのような模様で…… 「こ……これは!?」 「兄さん、あそこだ!」 シンヤが示すその先には……一つの椅子が、それも玉座と呼ぶべき大層な代物聳え立っていた。 そこに鎮座する一人の男を誇示するかのように。 「ようこそ諸君。初対面のものもそうでないものも居るようだが、一応名乗っておこう。 わが名は、螺旋王ロージェノム。覚えたければ覚えておくが良い」 男は低い、威圧感の溢れる声でそう名乗った。 「螺旋王? ロージェノム……?」 「何者だ……?」 ざわざわと、場が乱れる。それと同時に、殺気が周囲から溢れ出した。 どうやらこの場に居る人間の中には、血の気の多い者が多いようだ。 しかし、当の螺旋王は、全く動じる素振りも無く、言葉を紡いでゆく。 「だが、名前などどうでも良い事だ。大切なことは別にある。 よく聞くがいい。 重要な事は、お前たちは今から全員で、最後の一人になるまで殺し合うこと。 そして、その一人以外は、全員死ぬ、ということだけだ」 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/112
113: 没OP案 [] 2007/09/29(土) 22:51:20 ID:bUEW/eZC 「!?」 意味不明で不穏な、だが有無を言わせぬその宣言が部屋中に木霊する。 周囲の混乱がピークに達してゆく。 そしてその混乱をさらに助長するかのように、螺旋王の言葉は続く。 「私は優秀な個体、優秀な螺旋遺伝子を求めている。 これは言わばそのための実験。お前達は、それを見定める上でのモルモットだ。 手段は問わん。貴様らの中から、最も優秀な一人を選び出せ。 そう、命を懸けてな……」 「そこまでにしておくんだな、思い上がった虫ケラめ!」 突如、何物かの声が響いた。 いや、俺はこの声を知っている。この声は―― 「お前は――モトロフ!!」 そう、ラダムのテッカマンにして指揮官。 憎むべき俺の宿敵の一人、テッカマンランス・モトロフだ。 「ほう、貴様も居たのか、出来損ないのブレード。 好都合だ。貴様もあの世に送ってやろう……この虫ケラの次にな……!」 そう言うと共に、モトロフはロージェノムの元へと向かう。 他の人間達も、モトロフに続かんとばかりにいきり立っている者が多数居るようだ。 早くもロージェノムとやらの計画は破綻しかかっているかに見えた。 だが…… 「ふむ、異星生命体に改造されし螺旋生命体か。 しかしサンプルは既に2体居る。 このまま一参加者の目に余る行動を見過ごすのも実験の妨げになるな……」 当の螺旋王は、さも当然とばかりに落ち着き払っている。 さながら。これも計算の内と言わんばかりに。 「まあよかろう。特別に貴様はこの螺旋王ロージェノムが相手をしてやろう。かかってくるが良い。 ああ、そういえば貴様達はコレが無ければ話にならんのだったな? そら、くれてやる」 そう言うと、ロージェノムはモトロフにあるものを投げよこした。 この光煌く結晶は……テッククリスタル! そう、この螺旋王とやらは、わざわざ没収していたテッカマンにとっての核とも言える存在を、敢えてその持ち主へと返したのだ。 そして、ゆっくりと立ち上がるロージェノムの仕草は、面倒な仕事に望むかのようにすら見える。 絶対的な優位を確信した者の見せる、余裕だった。 そして、それがモトロフの苛立ちを臨界点に押し上げる。 「……言いたいことはそれだけか? 良いだろう! 宇宙の塵となって自らの過ちを悔い改めるが良い!! テーック、セッターーー!!」 次の瞬間、完全に臨戦態勢となったテッカマンランスが、ロージェノムへ向かって突進する。 「死ねぇ――――ッ!!」 そして、激しい衝撃音が室内を轟く。 しかし―― 「ちぃッ! バリアかッ!!」 ランスの攻撃は、ロージェノムの目前で、淡い緑の壁によって遮られ、届かない。 「螺旋力を利用したバリアーだ。その程度の攻撃では私には指一本触れられんぞ?」 「ほざけッ、ならばコレでどうだッ!!!」 そういうや否や、ランスのプロテクターが開き……不味いッ!! 「危ないッ!! 全員伏せろ―――ッ!!」 「ボルテッカァァァ―――――ッ!!!」 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/113
114: 没OP案 [] 2007/09/29(土) 22:52:49 ID:bUEW/eZC ランスの絶叫と共に、凄まじいまでの爆音と衝撃が室内に充満する。 砕けた床や壁の破片が、もうもうと立ち込める。 「クッ、これでは他の人間に被害が……!」 「いや、そうでもないみたいだよ兄さん」 「何!?」 シンヤに言われて改めて周りを窺う。 確かに、凄まじい衝撃の割には、周囲の人間は皆無事……それも、無傷に近いようだ。 「馬鹿な……あの爆発に巻き込まれていながら……!?」 「それだけ、あのバリアが高性能ということなんじゃないかな?」 「……では、まさか……!」 土煙が晴れてゆく。それと共に、ランスの姿が浮かび上がる。 「フッ……如何に強固なバリアと言えども、この至近距離からボルテッカを食らえば……」 ランスの周囲は、ボルテッカの軌跡が綺麗に抉り取られているようだった。 そして、その地面を抉る傷跡の先には…… 「……何ッ!?」 螺旋王ロージェノムが、そこに居た。 先ほどと寸分たがわぬ、傷一つ無い姿で。 「この程度とはな。片腹痛いわッ!!」 「バカな――ぐはァッ!」 嗚咽と同時に、鈍い炸裂音が弾ける。 そして次の瞬間には、ランスの体は遥か後方の壁中へとめり込んでいた。 ロージェノムの一撃……そう、唯一撃の正拳が、ランスを弾き飛ばしたのだ。 「見ての通りだ。お前たちが足掻いたところで我が螺旋力の前では無力そのもの。 そして――もう一つ、首輪についても説明しておいてやろう。貴様たちの首についているそれだ」 「――!」 言われて始めて気付くほどに、その首輪は違和感なく、まるでそれが当然かのように、シンヤの首にも、俺自身の首にも嵌っていた。 一体、いつの間に嵌められたのか? 「その首輪には、特殊な反物質――爆薬が詰まっている。先ほどの男のように私に歯向かったり、実験に支障を来たす様な行動を取れば――」 その刹那。 壁にめり込むランスの体――その首が、閃光と共に爆発した。 「こうなる。 まあ、爆発自体は内向的なものだから他への影響は少ないが、本人は確実に生命活動を停止するだろうな。 それと、実験の円滑な進行の為に、禁止区域に侵入してもこの首輪は爆発する。肝に銘じておくことだ」 その時には、もう既にロージェノムの声だけが、その場を支配していた。 爆煙の中に残ったランス――モトロフの変わり果てた姿が、そうさせていたのだ。 「貴様らの中には、先ほどの男のように私に挑みたいものも居るだろうが……生憎と、貴様ら全員を相手にしていては実験にならん。 まあ、最後の一人に残ったならば、また私が直々に相手をしてやろう。爆弾だのバリアだのの小道具を抜きにな。 それだけではない。栄誉ある最後の一人は、私にとっても貴重な個体だ。 その者が望むことを何でも叶えてやることにする。億万長者にでも不老不死にでも、なんにでもしてやろう。 その栄冠を得るために、殺し合え。死力を尽くしてな!」 その場の人々は、怒りとも、悲しみとも、諦めともつかない混沌とした感情で沸きあがっていた。 だが、目の前の男――シンヤの感情は、その中でも一際異質で、その向けられる先も異なっていた。 「望みを叶える……? フフ、あの男は何を言っているのやら。僕の望みは、もう殆ど適ったも同然なのにね。 兄さんと命を賭けて戦える、このステージを用意してくれただけで僕はもう満足さ。 さあ、兄さん。始めようか? 僕が必ず兄さんを殺してあげるよ……」 目も眩むような闇が、その空間を侵食してゆく。 ドス黒い、憎しみという忌むべき闇が…… http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/114
115: 没OP案 [sage] 2007/09/29(土) 23:05:38 ID:bUEW/eZC 静かな部屋だった。何もなく、ただ広がるばかりの部屋。まだ何もない部屋。 そう―――『まだ』何もない部屋。 カツン――― ところどころ闇の残るほの暗い部屋に、杖を突く音が響く。 その音と共に、何もない空間から、白い光がいくつも現れた。その総数は―――82。 それは、この場に集められた生贄の数を示している。 白い光は、徐々に大きくなり……2mを超えたところでパチンと泡のように音を立てて割れた。 この空間に、音が生まれた。何も、誰もいなかった空間は人で満たされ、彼らの発する声や熱により、変化が生まれる。 あるものは、自らの知り合いを探して駆け寄り、あるものは自らの体を確かめるように己をさすり、 あるものは、当然のこの状況に慌てふためき、あるものは冷静の己の周囲に気を払った。 しかし、その場に集められたものはほぼ全員――ここで2度目の誕生を経験したものを除いて――何も分かっていなかった。 何故、こんなところに自分がいるのか?ここはどこか?首につけられているものは一体? せいぜい分かるのは――照明が少ないせいか、この部屋が薄暗いこと。リノリウムのような建材で床ができていること。 壁が人工物とはかけ離れた、まるで何かの生命体の内壁のような……不気味な紋様の緑色の壁ということだ。 「聞け……矮小なる人間どもよ……」 唐突だった。天からの声とでも言うように、その場にいる人間たちの意思を無視し、これが流れ始める。 周囲の壁より反響し、さもあらゆる方向から声が聞こえているように聞こえた。 「わが名はテッカマンオメガ……地球制圧用テッカマンの長……」 最も奥の、まるで祭壇のように一段高くなった場所の壁が突然渦を巻き―――巨大な異形が形を成した。 10mはある巨躯に、甲虫のような非金属の光沢を帯びた薄紫色の鎧を纏い、手にはその体躯に合わせたサイズの杖を持っていた。 「今からお前たちは……最後の一人になるまで殺しあってもらう!」 ここに、場の混乱とざわめきは最骨頂に達した。 テッカマンオメガと呼ばれた存在は、更に言葉を紡ぐ。 「ありとあらゆる方法を使い、生き残れ。 最後まで――『人としての』最期まで生き残ったものにのみ、元の世界に返る権利と、あらゆるしがらみから解き放つ力を与えようッ! 適者生存という言葉ある通り、弱肉強食の世界で生き残ったものこそがより強力な……完全なテッカマンにふさわしい!」 圧倒的な威圧感と存在感を放ちながら、オメガは宣言した。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/115
116: 没OP案 [sage] 2007/09/29(土) 23:06:35 ID:bUEW/eZC ルールは単純。最後まで生き残ることこそが勝利。各人には、戦うための牙が与えられる。 よいものもあれば、悪いものもある。特定の誰かにしか意味のないものもある。一見、ハズレに見えてよいものもある……ということ。 食料は最初に渡されるが、会場内にもあるということ。会場からの脱出は不可能だということ。 禁止エリアがあること。今、首につけられている首輪は管理のためのものだということ。 ――以上だ、ゲームのルールは単純だろう、会場への転送は―――」 「待てッ!」 一通りの説明を終えて、オメガの言葉に口を挟むものがいた。 「これはなんの冗談だ、オメガ様……いやオメガ!より完全なテッカマンだと!?我々以上の完全体など存在しない、違ったか!?」 そう――我こそは完全なテッカマンと信じて疑わぬ、参謀型テッカマン――テッカマンランスことモロトフだ。 「ランス……それは間違っていたと、自らの身を持って知ったのではなかったか?一度は砕けたその身、最後に何を見た?」 う、と低い声でランスがうなる。そう、彼の脳裏に焼きついているのは、ブラスター化したブレードの姿――。 「お前は、テッカマンとして非常に不完全だ。故に――今回の『選別』の材料として用意した」 「黙れッ!言わせておけば……材料だとッ!捨て駒か、噛ませ犬のつもりかッ!」 ランスが、懐から幾何学系の形をしたクリスタルを取り出した。 「テックセッタァー!」 その声と共に、人間だった姿が、黄色い鎧に身を包んだ姿に変わる。 「これもいい機会か……」 突然壁より現れた触手が、格子状の網の壁へと変わり、ランスに続いてオメガと走り出そうとした参加者を阻んだ。 参加者が破壊しても、あっという間に再生し、また道を阻む。 策の中には、オメガとランスのみ。1対1の形だ。 一息に、距離を詰めると、テックランサーを振り下ろした。しかし、オメガの姿は一瞬揺らいだあと、ランスの後ろに逆に回る。 軽くオメガが腕を振るだけで、ランスの腹に腕が食い込み、木っ端の吹き飛んだ。 ただひたすら、常人では目で追うことすら難しい速度で攻撃を仕掛けるランスと、それを子供のようにあしらうオメガ。 ランスからすれば必死のそれは……オメガからすればただ自分の力を誇示し、逆らう意思を奪うための…… 殺し合いを促進させるためのデモンストレーションでしかなかった。 「おのれ、おのれッ!」 胸のアーマーが展開され、3つの赤い球体が露出する。同時に、ランスはオメガにしがみ付いた。 「ボルテッカァァァ―――――ッ!!!」 ランスがついに、伝家の宝刀――ボルテッカを放つ。 「フッ……如何に指令型と言えども、この至近距離からボルテッカを食らえば――――」 ――――何ッ!?」 マントをばさりとひるがえし、赤い光の中から現れたのは――傷を負ったとはいえ、五体満足なオメガの姿。 「悪くない破壊力だ……しかし―――足りん。それに、余興はここまでだ」 そう言うと、オメガが指を鳴らす。 ピ―――とけたたましい警告音が鳴り響く。そして―――ランスの首が、突然千切れ飛んだ。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/116
117: 没OP案 [sage] 2007/09/29(土) 23:07:47 ID:bUEW/eZC 「最後のルールを忘れていた。こちらの規定したルールを破ったとき――お前たちの首につけられた首輪が爆発するようになっている」 「ケンゴ兄さん……いやオメガ貴様ァァァァアアアア!!」 格子越しに、顔に傷を持つ青年が叫ぶ。 しかし、オメガはその声を無視した。 「…………以上だ。転送を開始する」 集まった生贄たちが、また光に包まれていく。彼らが運ばれる先は、修羅か地獄か――パンドラの箱か。 誰にも分からない。 とりあえず、家かえってやる気でたんで一時間ばかりで書いてみた。どうだろうか? しばらく書いてないんで腕錆びてるかも…… http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/117
118: 没OP案 [sage] 2007/09/29(土) 23:09:09 ID:bUEW/eZC 依頼により張りました http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/118
119: 本を取り戻せ ◆ARkjy9enog [sage] 2007/09/29(土) 23:36:17 ID:J4ObJL8g かつて人は、物事を伝えるために口伝を用いるしかなかった。 だが当然のように人から人、その人からまた別の人へと1つのことが伝わっていくにつれ、 やがて情報は今で言う伝言ゲームのように誰の悪意を一切受けることなく、自然と元ある形を歪ませていく。 このままでは間違った情報が蔓延してしまうことになると、当時の人々は頭を悩ませた。 そこで発明されたのが、本である。 様々な知識を正確に伝えるものとして歴史上他に類のないほど画期的な発明だったといえるこれは、 古代インカ帝国の石版を起源とし、中国における竹札、メソポタミアにおける粘土板文書、古代エジプトにおけるパピルス書物という風に 全世界に爆発的に広まっていった。 仮に世界中全ての本を読みつくすことが可能であれば、恐らくその人間は神と並べるほどの全知を有するであろう。 それどころかもしも運命的な本と出会えたならば、それまで自分が世界と信じてきたものの殻を一瞬で突き破り、新たな地平を見渡すことすらできる。 本とは世界。世界とは宇宙。宇宙とは全て。全てとは人。 嗚呼、神様。この世に本と、そして私をお作りくださって本当にありがとうございます。 「…………で?」 何やらどこぞの危ない宗教家のように語りだした眼前の女を、スパイクは冷めた視線で眺めていた。 工業区の波打ち際。コンクリートと海の段差はざっと見て2メートル前後か。 間違って足でも踏み外して落ちようものなら、少なくともここらへんでは二度と地上に上がってこれないだろう。 なのでスパイクは、海を背にして多少離れた位置にあぐらで座り込んでいた。 右手には相変わらず最初に支給された道具の1つであるやけに分厚い本を持っている。 昔の連中にとって画期的な発明だろうが至高の文化的財産だろうが、彼にとっては少なくともこの本は せいぜい角で殴れば少しは武器になるくらいのただのゴミという認識でしかない。 それこそ古本屋に売るしか価値がない。 ただ、そんなゴミを意地で渡そうとしないというのもまた滑稽な話ではあるのだが…… ともあれ、まだ辺りは暗いというのにそこだけ天から光が舞い降りて輝いているように見える女……読子・リードマンは 先刻まで胸のあたりで指を絡めて明後日の方向を向きながら陶酔していたが、スパイクがそう半分投げやりな言葉をかけると くるっとその長い黒髪を翻してこちらに向き直り、まったく邪気のない笑顔で要点を告げた。 「というわけでその○極○彦先生の本、読ませてくださいっ」 「なにが『というわけで』だ!? 前後関係まったくわかんねえよ!」 思わず体を前に乗り出して怒鳴り返す。 だが本人は特にその勢いに怯んだ様子もなく、形の良い眉を八の字に曲げつつ両手で黒縁メガネの端を押さえると どこか舌ったらずな口調で先ほどの論調について解説し始めた。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/119
120: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/29(土) 23:36:59 ID:3IJos3YR http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/120
121: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/29(土) 23:37:13 ID:JDbfrFEL http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/121
122: 本を取り戻せ ◆ARkjy9enog [sage] 2007/09/29(土) 23:37:29 ID:J4ObJL8g 「えー? ですから私が言いたいのは本というものは素晴らしきものであって、読むことに価値があるっていうか読ませてくださいっていうかむしろ読ませろっていうか……」 「ダメだ。何度も言うが、これは俺のモンだ」 「そんなケチなこと言わなくてもいいじゃないですかぁ……」 大きな愛嬌のある瞳を涙で潤ませている。大抵の男ならここで思わず胸打たれるところだろう。 だが色々とスレきった半生を送ってきたスパイクには、女の涙は通用しない……ある程度までならば。 半泣きになっている彼女から顔を背けると、小さく舌打ちして毒づく。 「ちっ、これだからガキは嫌いなんだよ」 ガキという人種はスパイクの嫌いなものベスト3にランクインしている。 言うこと聞かないわ、無邪気に邪悪なことをやってのけるわ、すぐ泣くわ。まったくもってこちらとしてはいい迷惑でしかない。 ちなみにベスト3の他の2つは蓮っ葉な女とケダモノだ。 ……その割に彼は普段ビバップ号にてそれら全てと同居生活を送っているのだが、それはまた別の話。 読子はなおも涙ぐんでいたが、スパイクのその誰に聞かせるつもりでもなかった言葉を耳ざとく聞き取ると、 不思議そうな顔をして彼の前に座り込んできた。そしてその顔を覗き込むように凝視してくる。 彼は思わずたじろぎ、少しだけ後ろに後ずさる。 「な、なんだよ」 「いえ……ただ私もう30歳なんですが、それで子供っていうのならあなた実は相当お年を召してらっしゃるんですねえ」 一見皮肉とも取れる言葉。だが彼女は真顔で……混じりっ気なしの真顔でそう言ってのけた。 その言葉の意味するところを理解するため、スパイクは数秒の時間を要することになる。 ……やがて。 「30……ってアンタ俺より年上!? その面でか!?」 スパイクは目を見開いて彼女の顔を見る。それに驚いた様子で、今度は読子が少し後ろに後ずさった。 30歳。自分よりも3つ年上。 この女、どう見ても10代後半かハタチそこそこだと思っていた。 トーヨー人というものは見た目よりずっと若いとはよく聞くが、これほどまでに顕著な例は見たことがない。 そういえばトーヨーに出没するセンニンとかいうのは数千年も同じ姿で生き続けるものらしいとジェットあたりが言ってたような…… 対して自分が妖怪か何かの類だと疑われているとも知らず、読子はまた両手でメガネの位置を直すと笑顔で口を開いてきた。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/122
123: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/29(土) 23:37:40 ID:KUomEtCd http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/123
124: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/29(土) 23:38:24 ID:3IJos3YR http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/124
125: 本を取り戻せ ◆ARkjy9enog [sage] 2007/09/29(土) 23:38:29 ID:J4ObJL8g 「そういえば、自己紹介がまだでしたよね。私、読子・リードマンといいます。今は……無職です」 「……無職、ねえ」 多少落ち着きを取り戻すと……30という年齢に関しては多少疑いを持ちつつも…… 相手に気づかれない程度にスパイクは読子をじろりと観察する。 無職。道理でこんな野暮ったい服を着ているはずだ。曲がりなりにも女なら、少しは見た目に気をつかったらどうなんだ。 髪は寝癖がついてボサボサだし、微妙に埃でまみれているようにも見えるし…… ……………………。 「アンタ……リードマンだっけか? 言っちゃ悪いが、ちゃんと風呂入ってるか?」 「え? ああはい。ナンシーさんもいますし、ちゃんと毎日入ってますよ。 あ、でもここ3日くらいは引きこもってずっと本読んでたから……」 「…………」 あまり考えないほうがいいのかもしれない。 さりげなく本に伸ばそうとしていた彼女の手を払いのけると、スパイクもまた簡単に自己紹介をする。 「俺はスパイク・スピーゲル。賞金稼ぎをやってる」 「スパイクさんですか。かっこいいお名前ですねえ」 「そりゃどうも」 両の手のひらを合わせてわけのわからない褒め方をしてくる読子を適当に、本を狙おうと死角から伸ばしてきた彼女の左足と共にあしらう。 「それはともかくリードマン……アンタ、ここがどこかわかるか? 俺にはどうも見覚えがない場所なんだが」 「すみません私にもわかりません……いつものように本読みながら寝てたら、いつのまにかこんなところに来てまして」 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/125
126: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/29(土) 23:39:01 ID:JDbfrFEL http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/126
127: 本を取り戻せ ◆ARkjy9enog [sage] 2007/09/29(土) 23:39:31 ID:J4ObJL8g 目の前のこのリードマンとかいう女も、気づいたらここにいたらしい。 力づくで本を奪おうと、自分を押し倒して馬乗りの体勢になってきた彼女の両手を抑えながらスパイクは分析する。 あの時のヒーロー戦隊ごっこみたいなのは夢じゃなかったとしても、ならば何故このようなわけの分からない状況に陥っている? 何かのゲームの一環だというのならまだなんとか納得のしようがあるが、 だがそれにしたって強制的に、かつ気づかない内に一瞬で妙なところへ飛ばされたとあってはどうにも腑が落ちない。 あの禿オヤジの話していたことをもうちょい真面目に聞いておくべきだったと、今更ながらに少しだけ後悔する。 まあいずれにせよ、いつまでもここにいる義理はない。とっとと帰って相棒の作る不味い飯でも食べるに限る。 そう決めると、本を掴む右手の指を懸命にこじ開けようとしている読子を押し戻して立ち上がる。 「あ、本〜」などとわめいてくるがその声は当然無視する。 「ったく本、本ってうるっせえなあ。アンタずっとそればっかだけど、帰りたくねえのかよ」 なおも右腕にナマケモノがごとくしがみついてきて いい感じの重みを自分に与えてくれる女を呆れた目で見つつ、問いかけとも愚痴ともつかぬことをこぼす。 すると彼女はキョトンと首をかしげ、即座に首を横に振ってきた。 ……中身が耳あたりからこぼれてくるんじゃなかろうかと他人事ながら心配してしまうほどに。 「そんなわけないじゃないですかスパイクさん。 私、もっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっとも〜っとも〜っとも〜〜〜〜〜〜っと! たっくさん色んな本を読みたいんですから。なんとしてでも帰らないと! ……それにナンシーさん1人を放っといたままこっちに来ちゃいましたからね」 ……そのナンシーというのが誰かは知らないが、 まあともあれ彼女の帰りたいという意志が常人には理解しがたいベクトルで強固だということはわかった。 完全に右腕から読子をひっぺがすと、スパイクは1つ大きなため息をついた。 「ああ、そうかいそりゃよかった。んじゃ俺はこのへんで……」 「へ?」 突然自分から離れて適当に歩き出したこのスパイクの行動に、読子は目が点となる。 2秒ほど何が起こったのか理解できずに硬直していたが、やがて突然バッテリー満タンの電池が入ったおもちゃのように やけに素早い動作で離れて行こうとするスパイクの前に回りこんだ。 「なんだよ」 不審な目で見下ろしてくるスパイク。 それに対して読子はとりあえずスパイクの進行方向を阻もうと全身をあたふたさせる。 「スパイクさん、1人で行っちゃうなんてひどいじゃないですかぁ〜」 「あん?」 この言葉に、今度はスパイクのほうが目が点になる。 一体何を言っているんだこの女は。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/127
128: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/29(土) 23:40:30 ID:JDbfrFEL http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/128
129: 本を取り戻せ ◆ARkjy9enog [sage] 2007/09/29(土) 23:40:53 ID:J4ObJL8g 「おいおい俺とアンタが一緒に行動するなんていつ決まった? そこらへんのガキじゃないってんなら、1人で行動くらいできるだろ。 別にとって食われるわけでもあるまいし」 まさかこの空間で参加者同士の殺し合いが行われているとは夢にも思わず、スパイクは自身の頭を手に持った本の角でボリボリと掻く。 普通に考えればこんな暗い夜道に女性を1人置いていくという現代男性におけるあるまじき行為をしているのではあるが、 彼の場合周りにいる女性が女性なため、そのような考えが基本的に欠落していた。 それに彼の信条として『自分のことは自分でやる』というものがあることも起因しているかもしれない。 読子は困ったように両の人差し指をクルクルさせながら、上目遣いでもごもごと言葉を発する。 「決まってはないですけど……そっちの方が楽しいじゃないですか」 「楽しい……ってアンタなあ」 「それに、本もまだ読ませてもらってませんし」 「だーかーら! これは俺のだ!」 もう完全に無視を決め込んで強行突破してやる。 そりゃ多少はこの場に彼女を残すことに抵抗を感じないこともないが、男だろうが女だろうが自分の身くらい自分で守るべきだ。 そう決断して、前方を塞ぐ読子の身体をどけようとスパイクは空いている左手で彼女の肩を掴もうと腕をあげた。 と、その拍子に彼女のメガネに指が軽く触れる。 「あ、悪り……」 瞬間。 スパイクの全身に『何か』が走った。 後から冷静に判断してみればそれは悪寒というものだったのだろうが、脳がそうと認識するよりも早く身体が動いていた。 上体をギリギリまで逸らし、直後に数瞬前まで顔があったところで空気を切り裂く鋭い音がしたのを聞く。 何が起こったのか把握できない。ただ彼にわかることは、今何か身の危険に晒されるようなことが起きたということくらいだ。 「あ! す、す、す、すみませんつい条件反射で……あの、メガネはちょっと」 一拍遅れて、慌てたような読子の声がやってくる。 だがスパイクもそれがわざとだろうがそうでなかろうが いきなり攻撃されたとあっては「いや〜別に構やしないさハハハ」と笑ってすますのは無理というものだ。 先ほどの音は経験上、刃物で切りつけようとした音だとわかる。 刃物なんてどこに隠し持っていたのか知らないが、とにかく一言怒鳴らなければ気が済まない。 どんな文句を浴びせてやろうかと思案しながら逸らしていた上体を元に戻す。 「お前なあ!」 ビシッと右手に持った本を人差し指がわりに突きつけ、抗議の意を示さんとする。 ……が、そこでスパイクはあることに気づいた。 1つは読子は刃物なんて持ってなく、かわりにメガネにかけた右手の指に1枚の紙が挟んであったこと。 先の攻撃は、たしかに刃物だったはずだ。まさかそんな、ペラペラの小さな紙で攻撃してきたわけじゃあるまい。 そりゃあ紙だってうまくすれば物を切ることだってあるかもしれないが、それにしたって先ほどの風切り音はあまりにも鮮やかすぎた。 そしてもう1つ……彼女が、時が止まったかのようにぴくりとも動かずにじっとただ1点を見つめていること。 その両の視線が注がれているのは、突き出している自分の右手。 (……あ) と思った時には既に彼女は行動を開始していた。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/129
130: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/29(土) 23:40:58 ID:lb4NRa1R http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/130
131: 本を取り戻せ ◆ARkjy9enog [sage] 2007/09/29(土) 23:41:55 ID:J4ObJL8g 「はあああぁぁぁぁ〜〜〜本! ○極○彦先生の本〜〜〜〜〜!」 歓喜の奇声をあげながら右手の本を両手で掴み、そんな小っこい体のどこにそんな力があるのかと思うほど全力で引っ張ってくる。 相当見境がなくなっているが、腹を空かせた猛獣の目の前にいきなり小鹿が現れたようなものだろう。無理もないかもしれない。 たかだか本1冊に小鹿ほどの価値を見出すその気持ちは到底理解できないが。 「んなろっ!」 だがスパイクもむざむざこれを人にくれてやるわけにはいかない。 たとえ自分にとってただのゴミだとしても。他人にとってどれだけの価値があろうとも。 こちとら賞金稼ぎだ。少しでも金になりそうな可能性を捨てることなどできようか! ありったけの握力を右手に込め、一気にそれを後方に引っ張る! ……結論からいえば、それは成功した。 本とセットでそれを掴む読子も引っ張る羽目になるんじゃなかろうかと一瞬思ったが、幸いにも彼女の指から本は離れて右腕が一瞬で軽くなる。 だがそれは勢いが余ったためか、はたまた彼女に渡さずにすんだという油断があったためか、またはその両方か。 不覚にも後方にやった自分の手からもまた、本は離れていってしまった。 まるで時間がスローになったかのような錯覚。 スパイクからも読子からも自由となって空中に羽ばたいたその本は、後方……すなわち暗い海へ吸い込まれるように向かってゆく。 スパイクはそれを呆然と眺めていたが、視界の端から何か黒い影が躍り出たのを捕らえていた。 それは……いちいち確認するまでもなくわかってはいたことだが、まさしく読子・リードマン。 既に本は海に飛び出している。掴もうとするためには、自身も共に海へと投げ出さなければ無理だろう。 そしてこの女は間違いなくそれを何の躊躇もなくやってのけるであろうことを、既にスパイクは知っていた。 「本〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」 案の定、読子は地面を蹴ると海なんて眼中になく、本しか目に映っていないかのごとく……実際そうなのだろうが……飛び出していった。 伸ばした手が本に触れると、次の瞬間にはそれを 苦渋の選択で遠くに捨てたのに、帰巣本能で戻ってきた愛犬を涙ながらに迎える飼い主以上の愛情をもって抱きしめた。 先ほども述べたが、海とコンクリートの地面の差は2メートル前後。落ちたらここら辺では上がってこれない。 だがこのままだとそうなることは目に見えている。 いくら自分のことは自分でやれというスパイクでも、目の前で死地に向かう人間を助けないほど冷血ではない。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/131
132: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/29(土) 23:42:20 ID:JDbfrFEL http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/132
133: 本を取り戻せ ◆ARkjy9enog [sage] 2007/09/29(土) 23:43:22 ID:J4ObJL8g 「くっそ、これだからガキは嫌いなんだよ!」 吐き捨てると全速力で海に駆け、なんとかギリギリ読子の右足を引っつかむ。 その時に彼女のデイパックから何かがこぼれ落ちていったような気がしたが、それを確認する暇などない。 さすがに女とはいえ人1人分が飛び出す勢いを止めるのは容易なことではなかった。 自身も彼女に引っ張られ、海に落ちそうになる。 (冗談じゃねえ! 今時無理心中なんて流行らねえんだよ!) 意地でも落ちまいと全身に力を込めるが勢いは止まらない。どんどん暗い海が近づいてくる。 これは本格的にやばいと、本能がそう告げてくる。 手を離せば自分だけは助かるのかもしれないが、その時は何故かその可能性については考えもしなかった。 もはやスパイクが地面に足をつけている部分はつま先しかなく、そして次の瞬間にはそこに感じる地面の堅い感触も消え去ることは決定事項だ。 これは本当に、落ちる……! 「えい!」 「!?」 読子が上半身の向きを陸地の方に変えたかと思うと、何やら白い紐のようなものが彼女の手から飛来した。 それはどこまでも伸びていき地面に立っている電灯に到達すると、見る見るうちに巻きついてゆく。 直後、先ほどまで海に引きずり込まんとしていた勢いが突然止まり、 電灯、紐を掴む読子、地面にギリギリつま先立ちしているスパイクの3点で支えられるトライアングルのような形で固定された。 「………………」 「大丈夫ですか? スパイクさん」 「……この体勢は大丈夫とは言いがたいな……」 つま先が震えてそろそろ限界が近いということを実感しつつも、 とりあえずスパイクはなんとか海に落ちるのだけは回避できたことを理解した…… http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/133
134: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/29(土) 23:43:24 ID:lb4NRa1R http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/134
135: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/29(土) 23:44:14 ID:JDbfrFEL http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/135
136: 本を取り戻せ ◆ARkjy9enog [sage] 2007/09/29(土) 23:45:00 ID:J4ObJL8g ◆ 「つまりアンタは紙を自由に操ることができて、別に俺が助けにいこうがいくまいが大丈夫だった、と」 さっきの辛い体勢からようやく解放された2人は、最初にいた位置よりもさらに海から離れた場所に座り込んでいた。 確認してみたところ、読子のデイパックから海に落ちたのはどうやらあの飲みかけの酒だったらしいが、 まあ酒の1本や2本、命に比べればなくしたところで特に問題はない。 紙使い。その名の通り紙を色々な用途に扱える能力を持った人間。 正直どこのマンガの世界だと思ったが、実際見てしまったからには信用しないわけにはいかない。 それに紙を刃物と錯覚してしまったことについても、これで説明がつく。 「まあ、それでも結果的に俺自身もアンタに助けられた形になったわけで……いやどうなんだ? そもそもアンタが飛び込もうとしなきゃああいうことにもならなかったんだし……いやでも……」 彼の信条は『自分のことは自分でやる』というものだが、『受けた恩はなるべくできる範囲で返す』というのもまた存在していた。 この場合、自分は恩を受けた側になるのかそうでないのか、非常に判断が難しいところだ。 「まあでも、やっぱりこのまま放っていくのも寝覚めが悪いか……しゃあねえ、ついてってやるよリードマン」 決断を下すと、ここで初めて彼は読子に顔を向けた。 その彼女はというと……さっきからやけに静かだと思ったが、遂に奪い取った本を至福の表情で読みふけっていた。 スパイクの口元が軽くひきつる。 「……おい」 「あ〜っ、何するんですかスパイクさん。本、返してくださいよぉ」 なんだか色々あって本に対する執着はもうあまりないのだが、これがあってはこの女、人の話を聞いてくれない。 読子から分厚い本を取っ払うと、再び彼女の手が届かない位置にまで持っていく。 当然本を取り返そうと躍起になってくるが、スパイクはそれを放って立ち上がるとさっさと歩いていく。 ただし、今度はちゃんと彼女に声をかけて。 「ほら、行くぞリードマン」 「へ? 行くってどこへですか?」 「あー……さっき地図があったから見てみたが、もうちょい歩けばオンセンがあるってよ。 天然の風呂みたいなもんだって相棒が言ってたことがある。別にこれといった行き先もねえし……」 いつの間にか一緒に行動してくれることになったらしいことに『?』マークを浮かべている彼女に、スパイクはしっかりと言い切った。 「とりあえずアンタはそこで風呂に入れ」 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/136
137: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/29(土) 23:45:40 ID:JDbfrFEL http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/137
138: 本を取り戻せ ◆ARkjy9enog [sage] 2007/09/29(土) 23:46:06 ID:J4ObJL8g 【G-1 一日目・黎明】 【スパイク・スピーゲル@カウボーイビバップ】 [状態]:疲労 [装備]:デザートイーグル(残弾8/8、予備マガジン×2) [道具]:デイパック [思考] 1.とりあえずオンセンに行ってから帰る。 2.読子と一緒に行動してやる。 【読子・リードマン@R.O.D(シリーズ)】 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:デイパック、飛行石@天空の城ラピュタ、拡声器、○極○彦の小説 [思考] 1.○極○彦先生の本を読破する。 2.スパイクと一緒に温泉に行ってから帰る。 ※不死の酒@BACCANO バッカーノ!は海に落ちました。 どこに流されるかは不明。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/138
139: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/29(土) 23:46:48 ID:KUomEtCd http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/139
140: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/29(土) 23:54:15 ID:Kw2gBcXQ >>119−138 「…………で?」 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/140
141: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/30(日) 00:00:37 ID:xqYdf65H ここで何やってもいいんじゃないかな したらばは勝手に好きなSSを選別すればいいんだからさ いろんなSSをはりつけていこうぜ http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/141
142: その名は絶望 ◆h8c9tcxOcc [sage] 2007/09/30(日) 00:04:52 ID:OQOUoXEU 「なるほど、事情はだいたいわかりました。本当にだいたいですが」 勘違い少女カレンの身の上話をひととおり聞き終え、糸色は腕組みをしたまま大きく頷いた。 慣れない仮面の重量を勘定に入れ忘れ、そのまま前のめりになる。 「掻い摘むと、貴女はブリタニアにアンチテーゼを唱える、黒の騎士団なるレジスタンスグループの一員。 そしてゼロは、組織をまとめるリーダー兼斬込隊長的存在、というわけですね」 「はい。ですが……」 カレンはどうしていいかわからないといった表情で糸色へと詰め寄る。 「本当に、何も覚えていないんですか? ブリタニアのことも、黒の騎士団のことも……私のことも」 「覚えてないもヘッタクレもありません。私はもともと何も知らないんですから。貴女とお逢いするのも、正真正銘これが初めてです」 「……なんてことなの」 深い溜息を吐きだし、カレンは傍のフェンスにしがみついてぐりぐりと額を擦り付けた。 「信じられません。ゼロともあろう方が、自分の名前すら忘れてしまうなんて。 相当強力な薬を盛られたんでしょう。……ブリタニアめ。あいかわらず卑劣な真似を!」 「人を勝手に薬物中毒者扱いするのはやめてください!」 まったく。自分の思い込みを正当化するために他人をこき下ろすだなんて、迷惑きわまりない。 うちのクラスの生徒といい勝負です。……いや、それはさすがに言いすぎでしょうか。 とはいえ、それだけ深刻な事情があるのでしょう。しかもこの環境ですから、余計に判断力を欠かせてしまっている。 仮面の奥にいる人間を、背格好や声で判別することもできなくなってしまうほどに……。 まぁ背格好は描写されていないし、媒体からして声を聞き分けることは不可能ではありますが。 ……おっと、登場人物にあるまじき思考をしてしまいました。以後自重しましょう。 それにしても、ブリタニアとは一体何なのでしょうか。おそらくブリテンと関係する地名でしょうが、聞いたことがありませんね。 もっとも、センモンの違う私がいくら考えたところで仕方のないことではありますが。 知らない情報を思い出そうとしたところで、無意味な堂々巡りをするだけですから。 それから、黒の騎士団というのは……こちらは、聞いたことこそ無くともある程度の憶測は浮かびますね。 彼女の年齢や団体名の稚拙さを見るに、体制に不平をぶつけることしか知らない愚直な学生運動家サークルといったところでしょうか。 気持ちはわかります。私もかつて、わけのわからないサークルで青春をひたすら浪費していた身ですからね……。 ……いけません! 危うくまた状況に流されるところでした。 彼女の言い分を疑うつもりは毛頭ありませんし、その勘違いぶりにはいよいよ同情の念すら浮かびます。 しかし。今の私に彼女の立場を考えてやる義理も余裕も無いんです。ええ、これっぽっちも。 そう、私にはしなければならないことがある。一刻も早くこの悪夢から逃れろと、本能が命じているのです……! http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/142
143: 名無しさん@お腹いっぱい。 [] 2007/09/30(日) 00:05:09 ID:93SMjBTO http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/143
144: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/30(日) 00:06:22 ID:vAdRrg4l http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/144
145: その名は絶望 ◆h8c9tcxOcc [sage] 2007/09/30(日) 00:07:31 ID:OQOUoXEU 「カレンさん」 糸色はカレンへ向き直り、姿勢を正す。 「なんでしょう」 カレンもまた、フェンスから手を離して糸色を見遣った。 「ゼロという方について、もう一度確認しておきたいのですが」 「……構いませんが」 カレンはあからさまに怪訝な表情を見せる。しかし構うことなく、軽く一呼吸を置いて糸色は続けた。 「ゼロは貴女たち黒の騎士団を率いるリーダー、でしたね」 「さっき言ったばかりじゃないですか」 「つまり、ゼロとは智略に長け」 「はい」 「行動力に満ち溢れ」 「ええ」 「カリスマ性を兼ね備えた」 「そう思います」 「すばらしく前向きな人物なのですね」 「それはまぁ、反国家組織を立ち上げるほどですから」 真顔で答えるカレン。それを見て、糸色は微笑を浮かべる。 「ではこれから、私がゼロでないことを身をもって証明しましょう。一度しかできませんので、よく見ていてください」 「……は?」 言うが早いか、糸色はフェンスへ手を掛けると、慣れた手つきで一気によじ登った。 大人四人分ほどの高さはあろうかというフェンス。その頂に片脚を乗せ、半身を捻ってカレンを見下ろす。 「ゼロ、何をしてるんですか!?」 「下を見てください」 糸色の指差す先には、川が流れている。 特に濁ってもいなければ、澄んでいるともいえず。流れは激しくもなく、緩やかというわけでもない。 なんのことはない、ごくごく普通の川である。 「下って……まさか」 問題は、その位置関係。彼らの居る場所はかなりの高地であり、フェンスの向こうは切り立った崖になっている。 糸色の指した川は、その姿がかすかに滲んで見えるほど、遥か下方に存在していたのである。 「こんな手段でしか自分がゼロでないことを証明できなくてすみません……でも、私にできることはこれしかないのです」 「な、なにを言ってるんです!?」 「おっと、遺言を忘れるところでした。いいですか。このゲームで生き延びたければ、 ・脇役な流れなのにいきなり出しゃばったり、 ・別れ際に再会を誓ったり、 ・『生きて帰ったら結婚するんだ』と婚約をカミングアウトしたりしては、絶対にいけませんよ……!」 「えっ、いや、意味がわかりませんが!」 「では、お元気で……」 「冗談でしょう、ゼロ! ゼロっ!!」 「さよなら」 糸色の足が、フェンスの頂を後ろへ向かって軽く蹴る。 全身が重力の赴くままゆっくりと傾き、水平になり、やがて頭からスムーズに落下を始める。 「あ……ああっ…………!!」 黒一色の影が、フェンス越しに見つめるカレンの目の前を素通りし、崖の下へ呆気無く消えた。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/145
146: 修整 [sage] 2007/09/30(日) 00:07:42 ID:naRYdLxQ 「なるほど、事情はだいたいわかりました。本当にだいたいですが」 勘違い少女カレンの身の上話をひととおり聞き終え、糸色は腕組みをしたまま大きく頷いた。 慣れない仮面の重量を勘定に入れ忘れ、そのまま前のめりになる。 「掻い摘むと、貴女はブリタニアにアンチテーゼを唱える、黒の騎士団なるレジスタンスグループの一員。 そしてゼロは、組織をまとめるリーダー兼斬込隊長的存在、というわけですね」 「はい。ですが……」 カレンはどうしていいかわからないといった表情で糸色へと詰め寄る。 「本当に、何も覚えていないんですか? ブリタニアのことも、黒の騎士団のことも……私のことも」 「覚えてないもヘッタクレもありません。私はもともと何も知らないんですから。貴女とお逢いするのも、正真正銘これが初めてです」 「……なんてことなの」 深い溜息を吐きだし、カレンは傍のフェンスにしがみついてぐりぐりと額を擦り付けた。 「信じられません。ゼロともあろう方が、自分の名前すら忘れてしまうなんて。 相当強力な薬を盛られたんでしょう。……ブリタニアめ。あいかわらず卑劣な真似を!」 「人を勝手に薬物中毒者扱いするのはやめてください!」 まったく。自分の思い込みを正当化するために他人をこき下ろすだなんて、迷惑きわまりない。 うちのクラスの生徒といい勝負です。……いや、それはさすがに言いすぎでしょうか。 とはいえ、それだけ深刻な事情があるのでしょう。しかもこの環境ですから、余計に判断力を欠かせてしまっている。 仮面の奥にいる人間を、背格好や声で判別することもできなくなってしまうほどに……。 まぁ背格好は描写されていないし、媒体からして声を聞き分けることは不可能ではありますが。 ……おっと、登場人物にあるまじき思考をしてしまいました。以後自重しましょう。 それにしても、ブリタニアとは一体何なのでしょうか。おそらくブリテンと関係する地名でしょうが、聞いたことがありませんね。 もっとも、センモンの違う私がいくら考えたところで仕方のないことではありますが。 知らない情報を思い出そうとしたところで、無意味な堂々巡りをするだけですから。 それから、黒の騎士団というのは……こちらは、聞いたことこそ無くともある程度の憶測は浮かびますね。 彼女の年齢や団体名の稚拙さを見るに、体制に不平をぶつけることしか知らない愚直な学生運動家サークルといったところでしょうか。 気持ちはわかります。私もかつて、わけのわからないサークルで青春をひたすら浪費していた身ですからね……。 ……いけません! 危うくまた状況に流されるところでした。 彼女の言い分を疑うつもりは毛頭ありませんし、その勘違いぶりにはいよいよ同情の念すら浮かびます。 しかし。今の私に彼女の立場を考えてやる義理も余裕も無いんです。ええ、これっぽっちも。 そう、私にはしなければならないことがある。一刻も早くこの悪夢から逃れろと、本能が命じているのです……! http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/146
147: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/30(日) 00:07:55 ID:RbUtHeVl http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/147
148: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/30(日) 00:08:24 ID:vAdRrg4l http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/148
149: その名は絶望 ◆h8c9tcxOcc [sage] 2007/09/30(日) 00:09:16 ID:hJ9iKQJ4 「シッ、シッ! ああ、くそっ!」 ルルーシュ・ランペルージは、全身各所の僅かな露出部に群がる蚊の大群を払いながら、癇癪を起こしていた。 癇癪の理由には、しつこく付き纏うこれに対する苛立ちも含まれてはいたが、大局的には無論、違う。 当面の目的地、H-2の学校へ向かうにあたって、雑木林を真っ直ぐ西へ進むのが最短距離かつ安全なのだが、同時に最も労力を要する。 移動に時間を掛ける場合ではないと考え、林を出て東西をはしる道の南脇を行くことにしたのである。 しかし、あてが外れてしまった。いま居る南側の低地は一面が雑草で覆われており、その丈が胸の高さにも達するから始末が悪い。 これを掻き分けて進むとなると、労力は林を縫って歩くのといい勝負だろう。 そのうえ、絶えず蚊どもの強襲を受け続ける破目になるとあらば、いよいよ発狂しかねない。 まずはこの劣悪な環境から逃れるべく、ルルーシュは引き続き北へと歩を進めた。 蚊柱との格闘を続けること半時間。ルルーシュはようやく堤防へと辿り着いた。気が付けば、朝日の差す時刻である。 急斜面を駆け上がり、固いアスファルトの道を踏みしめる。その無粋な足触りに、異様な懐かしさを感じた。 そう感じられるほど、ここまでの道中は悲惨なものだったのである。 しかしながら、辺りが陽光に包まれ始めている今、この場に留まっているわけにはいかない。 三六〇度開けたパノラマの、どこから凶弾が飛んでくるやら知れたものではないのだから。 道路を横切り、川のある北側の様子をざっと眺める。辺りは川の側まで短い芝の生えた河川敷になっていた。 少し東に砂利敷きの簡易な駐車場と、ほぼ正面に青塗りで縦長の四角柱をした個人用トイレらしきものが設置されている。 あとはほぼ何もなく……川岸に人影が見えたくらいのものだった。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/149
150: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/30(日) 00:09:23 ID:RbUtHeVl http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/150
151: 修整 [sage] 2007/09/30(日) 00:09:35 ID:naRYdLxQ 「カレンさん」 糸色はカレンへ向き直り、姿勢を正す。 「なんでしょう」 カレンもまた、フェンスから手を離して糸色を見遣った。 「ゼロという方について、もう一度確認しておきたいのですが」 「……構いませんが」 カレンはあからさまに怪訝な表情を見せる。しかし構うことなく、軽く一呼吸を置いて糸色は続けた。 「ゼロは貴女たち黒の騎士団を率いるリーダー、でしたね」 「さっき言ったばかりじゃないですか」 「つまり、ゼロとは智略に長け」 「はい」 「行動力に満ち溢れ」 「ええ」 「カリスマ性を兼ね備えた」 「そう思います」 「すばらしく前向きな人物なのですね」 「それはまぁ、反国家組織を立ち上げるほどですから」 真顔で答えるカレン。それを見て、糸色は微笑を浮かべる。 「ではこれから、私がゼロでないことを身をもって証明しましょう。一度しかできませんので、よく見ていてください」 「……は?」 言うが早いか、糸色はフェンスへ手を掛けると、慣れた手つきで一気によじ登った。 大人四人分ほどの高さはあろうかというフェンス。その頂に片脚を乗せ、半身を捻ってカレンを見下ろす。 「ゼロ、何をしてるんですか!?」 「下を見てください」 糸色の指差す先には、川が流れている。 特に濁ってもいなければ、澄んでいるともいえず。流れは激しくもなく、緩やかというわけでもない。 なんのことはない、ごくごく普通の川である。 「下って……まさか」 問題は、その位置関係。彼らの居る場所はかなりの高地であり、フェンスの向こうは切り立った崖になっている。 糸色の指した川は、その姿がかすかに滲んで見えるほど、遥か下方に存在していたのである。 「こんな手段でしか自分がゼロでないことを証明できなくてすみません……でも、私にできることはこれしかないのです」 「な、なにを言ってるんです!?」 「おっと、遺言を忘れるところでした。いいですか。このゲームで生き延びたければ、 ・脇役な流れなのにいきなり出しゃばったり、 ・別れ際に再会を誓ったり、 ・『生きて帰ったら結婚するんだ』と婚約をカミングアウトしたりしては、絶対にいけませんよ……!」 「えっ、いや、意味がわかりませんが!」 「では、お元気で……」 「冗談でしょう、ゼロ! ゼロっ!!」 「さよなら」 糸色の足が、フェンスの頂を後ろへ向かって軽く蹴る。 全身が重力の赴くままゆっくりと傾き、水平になり、やがて頭からスムーズに落下を始める。 「あ……ああっ…………!!」 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/151
152: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/30(日) 00:10:36 ID:vAdRrg4l http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/152
153: その名は絶望 ◆h8c9tcxOcc [sage] 2007/09/30(日) 00:10:48 ID:OQOUoXEU 水のせせらぎと、そよぐ風の音が鼓膜を優しく刺激し、時折吹く強い風がそれに絶妙なアクセントを添える。 背中に触れるのは、硬い凹凸。対照的に、胸から下腹部にかけての前面には、温かく柔らかな、どこか懐かしい感触が……。 ……感触? いや、自分はたしか死んだはずでは……。 「……ん、うぅ……ハッ!」 目を開くと、そこには紛うことなき現世の風景が映し出された。 空はいつの間にか薄明るくなっている。つがいの小さな鳥が、視界を横切ってひよひよと囀りながら通り過ぎていった。 固い地面に触れた右の手を、そっと握ってみる。小石である。見回すと、掌に収まる程度の石が無数に転がっていた。 どうやらあの後、川の流れに乗って岸に打ち上げられたらしい。つまるところ、身投げは失敗に終わったのだ。 溜息を吐こうと深く息を吸ったそのとき、横隔膜に強い抵抗を覚えた。 そういえば、先ほどから腹部に圧力を感じる。早い話、体の上に重石が乗っかっているようだ。 謎の重石を除けるため、左手をゆっくりと腹のほうへ動かす。すると、指先に柔らかい何かが触れた。 これは一体何なのか。真相を確かめるべく、頭を持ち上げて恐る恐る腹の上を見遣る。 目線の先に現れたもの。それはうら若い女性の肢体であった。自分の体に折り重なるように、俯けに覆い被さっているのだ。 そして左手が握り締めたそれは、彼女の豊満な……。 「ななな、なんですかこのベタなシチュエーションは―――っ!! ……ではなくて、どうして彼女がここに居るんですか―――っ!!」 「んっ……」 糸色の絶叫を聴き、カレンが目を覚ました。 「え?」 不味いと思ったときには遅く、糸色の全身は金縛りに遭ったかのようにぴくりとも動かなくなる。 当然ながら、乳房を掴んだ左手も微動だにしない。糸色は『セオリー通り』という一方通行の袋小路に迷い込んでしまったのだ。 カレンは小さな呻きを上げながら、釈然としない様子でしょぼつく目を擦っている。 ここで脳が覚醒してきたのか、状況確認を始めたようだ。鞄がちゃんと背負われているのに安堵の息を吐き、 ずぶ濡れになった髪や服に眉を顰め、自分が置かれている状況を認識して、あっと驚きの声を漏らすと、徐々に顔色が変わり……。 目が合った。 「ごごごごめんなさいぃ! こ、これは不可抗力なんです、慰謝料は払いますから訴えないでくださぁいっ!!」 カレンの下からするりと這い出し、石に仮面をぶつけながら糸色は必死に土下座をし始めた。 「すすすすみません、圧し掛かってしまって。重かったですよね? 重かったですよねぇっ!?」 カレンは慌てて立ち上がり、九〇度より深く腰を折って、何度もペコペコと頭を下げる。 ん? この感覚……デジャヴ? http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/153
154: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/30(日) 00:10:55 ID:RbUtHeVl http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/154
155: 修整 [sage] 2007/09/30(日) 00:11:13 ID:naRYdLxQ 「シッ、シッ! ああ、くそっ!」 ルルーシュ・ランペルージは、全身各所の僅かな露出部に群がる蚊の大群を払いながら、癇癪を起こしていた。 癇癪の理由には、しつこく付き纏うこれに対する苛立ちも含まれてはいたが、大局的には無論、違う。 当面の目的地、H-2の学校へ向かうにあたって、雑木林を真っ直ぐ西へ進むのが最短距離かつ安全なのだが、同時に最も労力を要する。 移動に時間を掛ける場合ではないと考え、林を出て東西をはしる道の南脇を行くことにしたのである。 しかし、あてが外れてしまった。いま居る南側の低地は一面が雑草で覆われており、その丈が胸の高さにも達するから始末が悪い。 これを掻き分けて進むとなると、労力は林を縫って歩くのといい勝負だろう。 そのうえ、絶えず蚊どもの強襲を受け続ける破目になるとあらば、いよいよ発狂しかねない。 まずはこの劣悪な環境から逃れるべく、ルルーシュは引き続き北へと歩を進めた。 蚊柱との格闘を続けること半時間。ルルーシュはようやく堤防へと辿り着いた。気が付けば、朝日の差す時刻である。 急斜面を駆け上がり、固いアスファルトの道を踏みしめる。その無粋な足触りに、異様な懐かしさを感じた。 そう感じられるほど、ここまでの道中は悲惨なものだったのである。 しかしながら、辺りが陽光に包まれ始めている今、この場に留まっているわけにはいかない。 三六〇度開けたパノラマの、どこから凶弾が飛んでくるやら知れたものではないのだから。 道路を横切り、川のある北側の様子をざっと眺める。辺りは川の側まで短い芝の生えた河川敷になっていた。 少し東に砂利敷きの簡易な駐車場と、ほぼ正面に青塗りで縦長の四角柱をした個人用トイレらしきものが設置されている。 あとはほぼ何もなく……川岸に人影が見えたくらいのものだった。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/155
156: 修整 [sage] 2007/09/30(日) 00:12:18 ID:naRYdLxQ 水のせせらぎと、そよぐ風の音が鼓膜を優しく刺激し、時折吹く強い風がそれに絶妙なアクセントを添える。 背中に触れるのは、硬い凹凸。対照的に、胸から下腹部にかけての前面には、温かく柔らかな、どこか懐かしい感触が……。 ……感触? いや、自分はたしか死んだはずでは……。 「……ん、うぅ……ハッ!」 目を開くと、そこには紛うことなき現世の風景が映し出された。 空はいつの間にか薄明るくなっている。つがいの小さな鳥が、視界を横切ってひよひよと囀りながら通り過ぎていった。 固い地面に触れた右の手を、そっと握ってみる。小石である。見回すと、掌に収まる程度の石が無数に転がっていた。 どうやらあの後、川の流れに乗って岸に打ち上げられたらしい。つまるところ、身投げは失敗に終わったのだ。 溜息を吐こうと深く息を吸ったそのとき、横隔膜に強い抵抗を覚えた。 そういえば、先ほどから腹部に圧力を感じる。早い話、体の上に重石が乗っかっているようだ。 謎の重石を除けるため、左手をゆっくりと腹のほうへ動かす。すると、指先に柔らかい何かが触れた。 これは一体何なのか。真相を確かめるべく、頭を持ち上げて恐る恐る腹の上を見遣る。 目線の先に現れたもの。それはうら若い女性の肢体であった。自分の体に折り重なるように、俯けに覆い被さっているのだ。 そして左手が握り締めたそれは、彼女の豊満な……。 「ななな、なんですかこのベタなシチュエーションは―――っ!! ……ではなくて、どうして彼女がここに居るんですか―――っ!!」 「んっ……」 糸色の絶叫を聴き、カレンが目を覚ました。 「え?」 不味いと思ったときには遅く、糸色の全身は金縛りに遭ったかのようにぴくりとも動かなくなる。 当然ながら、乳房を掴んだ左手も微動だにしない。糸色は『セオリー通り』という一方通行の袋小路に迷い込んでしまったのだ。 カレンは小さな呻きを上げながら、釈然としない様子でしょぼつく目を擦っている。 ここで脳が覚醒してきたのか、状況確認を始めたようだ。鞄がちゃんと背負われているのに安堵の息を吐き、 ずぶ濡れになった髪や服に眉を顰め、自分が置かれている状況を認識して、あっと驚きの声を漏らすと、徐々に顔色が変わり……。 目が合った。 「ごごごごめんなさいぃ! こ、これは不可抗力なんです、慰謝料は払いますから訴えないでくださぁいっ!!」 カレンの下からするりと這い出し、石に仮面をぶつけながら糸色は必死に土下座をし始めた。 「すすすすみません、圧し掛かってしまって。重かったですよね? 重かったですよねぇっ!?」 カレンは慌てて立ち上がり、九〇度より深く腰を折って、何度もペコペコと頭を下げる。 ん? この感覚……デジャヴ? >>153 >>149 ムダな改行が多すぎます http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/156
157: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/30(日) 00:12:47 ID:vAdRrg4l http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/157
158: 名無しさん@お腹いっぱい。 [] 2007/09/30(日) 00:13:08 ID:93SMjBTO http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/158
159: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/30(日) 00:13:41 ID:RbUtHeVl http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/159
160: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/30(日) 00:13:43 ID:U7m6Tbi7 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/160
161: その名は絶望 ◆h8c9tcxOcc [sage] 2007/09/30(日) 00:14:07 ID:OQOUoXEU いやはや、私としたことが。一度は消化したはずの加害妄想にまたも翻弄されてしまうとは。 いけませんね、過去の回に頼ってばかりいては。世捨て人たるもの、常に新たな絶望のありかたを追求しなくては。 「いやぁ、お互い無事で本当に良かったですね。私なんか、もう死んだつもりでいましたよ」 それにしても危ないところでした。一歩間違えば、リストに載せてもいない方と心中してしまうところです。 心中とは、絶望的な人間同士で行ってこそ意義があるものなのですから。 ……おや、返事がありませんね。見ると、彼女は俯いて肩を震わせているではありませんか。 もしや濡れたまま気を失っていたせいで、風邪でもひかれたのでしょうか。これは心配ですね。 「あの、カレンさん?」 「どうして」 「……はい?」 「どうしてあんな馬鹿な真似をしたんですかっ!!」 「ど、どうしたんですか、藪から棒に。……まさか」 彼女はゲイ・ボルグのような視線をこちらに向けています。やはり、先ほどのことを怒っているのでしょうか。 ヤバイです、このままでは確実に法廷画にされてしまいますよ……!! 「どうして、あんな高さから川に飛び込んだりしたんですか! 何か考えがあって早く移動をしたかったんでしょうが、あれは無謀すぎます! 南へ行きたいなら、道はいくらでもあるじゃないですか。 貴方は、自分の立場が分かっているんですか? 少しは自重してください!!」 「……な、な、なんですと!?」 じょ、冗談じゃありませんよ。命を張ってまでゼロでないことを証明しようとしたというのに、これはあまりに酷い。 それなら私は、どうやってアイデンティティを主張すれば良いのです!? ……いや、あのときも結局、自分が自分であることを証明できずじまいでしたか……。 ああ、なんと無常であることか。このまま私は、名簿に載っている名前で呼ばれることもなく、 孤独と無力感に精神を蝕まれながら生涯を終えるしかないのですか……ッ!!! 「 絶 望 し 」 「もし、ゼロを亡くしたら……」 酷い……否、酷すぎるッ! 決め台詞すら容赦なくカットする作者に絶望し……ん? 「ゼロを亡くしたら……私は、何を信じて生きていけば良いかわからなくなります……!!」 「……泣いて、いるのですか」 彼女は両手でハーフパンツの裾を握り締めながら、声にならない嗚咽を漏らしていました。 噛み締めた唇からは今にも血が噴き出しそうで、濡れた前髪に隠れた眼からは、とめどなく涙が溢れ……。 「……まったく。どうも貴女には、逐一調子を狂わされますね。 これだから、やたら他人と関わりあいになるのは嫌いなんですがねぇ」 私は仮面の後頭部を掻きながら、棘のある口調で言った。 貴女に興味はない。貴女がどうなろうと責任は一切負わない。貴女が死んでもエアーズロックには赴かない。 短い台詞の中に、世の中に絶望した男の持てる、目一杯の皮肉の気持ちを込めて。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/161
162: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/30(日) 00:15:11 ID:RbUtHeVl http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/162
163: 名無しさん@お腹いっぱい。 [] 2007/09/30(日) 00:15:35 ID:93SMjBTO http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/163
164: その名は絶望 ◆h8c9tcxOcc [sage] 2007/09/30(日) 00:15:33 ID:OQOUoXEU ――彼女の勘違いは、まさに絶望的なものと言えるでしょう。 私のようなダメ人間を、命を賭して守るべき自分達のリーダーと間違えるなんて、致命的すぎます。 しかしながら、それは偽りの絶望。螺旋王の作り出したまやかしの恐怖に打ち震え、自分自身を見失ってしまっているのです。 ゼロという柱に縋り付くことで、ブレてしまった自分を誤魔化そうとしているだけなのです。 彼女は、まっすぐな心を持っています。生来的に、私のような者と一緒に居るべき人間ではありません……。 「……わかりました。貴女の目的に力をお貸しすることにしましょう。お役に立てるかどうかは、保証しかねますけど」 ですが。彼女はもはや手遅れでしょう。 ゼロが居なくては何もできない。そういう一方的な依存関係が、既に確立されてしまっている。 今こんな状態で依存対象を失えば、どんな事態になるかわかったものではない。 最悪の場合、自殺に走ってしまう可能性すら否めない……。 そんなことは許せません。他人によって恣意的に与えられた絶望で自殺するなんて、悲しすぎます。 それに、ベテランの私より先に死ぬなんてことを、看過できようはずがない。 だから、私はゼロになりすますことで、彼女を支えることにしました。 彼女を正しい絶望に導くために……。 「ありがとうございます……ゼロ」 そして私は、彼女の手を強く握り締めたのでした―― 「馬鹿が……」 無意識下で思考が口を突く。目の前で繰り広げられているあまりに滑稽な事実には、頭痛すら沸き起こる始末だ。 公衆トイレの陰から事の始終を窺っていたルルーシュは、その長い五指で顔面を覆った。 どこまで使えないんだ、あのテロリストは。頭蓋にメロンでも詰まっているのか? 声。体格。口調。志向性。そして、マントの隙間から覗く袴……。どう見ても本人と間違える要素がないだろうが。 そして、あの偽物。おそらくゼロのコスチュームを支給品として与えられたのだろうが、 何の因果でそれを着用し、どういった目的でカレンを騙し付き従わせているのか。 いずれにせよ、あのままにしていては何らかの不都合が生じるだろう。 “ゼロ”の被る仮面を、剥ぎ取ってやらねばならない。男の被る、裏に秘めた目論見を包み隠す真の仮面を……。 「おっと。どこか適当な場所を探して、衣服を乾かしたほうがいいですね。殺し合いの舞台で病死などしては、いい笑い者です。 ちなみに、私は遠慮しておきますよ。同じ竿に下着を干したりしたら、セクハラで訴えられかねませんから」 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/164
165: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/30(日) 00:15:44 ID:HgFhcgf+ >'"´ ̄ ̄`ー-、 /":::::::::::::::::::::::::::,、::`、 /':::::::::::::::::::::::::::_,:::ノ ヾ::ヽ /:::::::::::::::::::;y::/ノ/ ヾ::!゛ {::::::::::::::/"'´ λ! λ::::::::/' ,__ _, ア さるさるかいひだ !:::,-ヒ--f"´ ̄ヘ__/"´゛`! ヽ!ゝ ヽ____,ノ ゝ--イ ヽt i ! i !゛t、 ′ / ヾ! ヽ `ー‐-- / ____ ____,,,,,,,,,,,,,,ノ=! _| ヽ " / __,!i____ ̄==========〃`i ,-〈~"`ーゝ-----イ `フ´ニ/;;| ヾ---------`‐' /;;;;;;;`ー--、二゛`‐}/ ,ノイ |;;;;;| 」/ /\;;;;;;;;;;;;;;`ヽ、ー´フ=、`ー-、 ,-‐-ニ、__ヾ--ヾ/-〃 /;;;;;;;;;;>-‐‐'"`‐-、ヽ| \ ゛`ヽ、 /,; ! `‐-、_/!/ /;;;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ,! \ ゛`ヽ、 __,ゝ'"´ i ー-、、 )/ /;;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ、 \ `i ,/"〃'´ ` `←イノ /;;;;;;;!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ, \ ノ ,,,/´;;;;;/ i ( `ー‐--,!`´ ./;;;;;;;;;!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;'゛`‐--、___y,-ヒ‐‐'"´~;;;;;;;;;;;;;;;;;;;| ヽ、 , -、___,ノ i;;;;;;;;;;;;!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;| ヽ , ヽ _ ) ;;;;;;;;;;;;;;!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i \‐^>ー‐'´ ゛`''''''" ;;;;;;;;;;;;;;;ゞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;! ,,~ア ;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;λ-"´ ノ http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/165
166: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/30(日) 00:16:27 ID:HgFhcgf+ _ 、_ ,. ,./i,. 、ヽ、 `ヽi、゙ヽ、 ,,.-‐'''""'''- 、 /i/ '"´'´''"i, ,r''´' ゙、 ,.-'".:.: : : `ヽ、 / ノ'i' . <´ ゙、 _,,.-- 、 __,,,_ /:.:.:.:.:.:. : : __,,,. -- .,,,_ゝ、_,,,.-'、__ 'ノ, `フ ./`'''7´ `y´ `ヽ、,.-‐''""'‐y'.:.:.:.:.:.:.:.:._,.-'"__,,. -''^ヽ、,_ヾ ヽ ヾ、 ソ 〈、_...... . . . . . ....:.:.〉、_l:.. /''" l:.:.:.:.:.:.:.:.:/-‐''´ _,゙i |'':.. . ....:.:.:.:> >.:.:.:.:.:.:.:.:.:::::::/ ゙、:.:.:.:.:....:.:.. i'ニヽ.:.:.:./ ,,,,;;:::::::::::::: ,,,,;;::'''' 'l ノ:.:.ノ-、.:.:.:__=‐'"  ̄´-ニ',,. -'" `‐ --''゙、`.:.:.:.:.:.:.:.:.:.. . . ..l | | |.:.:.ノ " ,.__`' ' ' ___ ,i'.:.:.:ノ'"  ̄ ヽ、,,__,,,.-、.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l ! | |.:/ ' - '"-ゞ'-' ::::::.'"ゞ'-'/_,ノ ゙ヽ、,,,_,,{゙、i,l |:.i, ,. 、`ー‐' , .:::::: ヽ=' i かいひ _,,,,,.-''":l゙、'-'.:.゙、 ' ´i'ヽ、__ノ( ,-、 ,:‐、/ ___,,,,r''":::::::::::::::::::::!:.:゙、.:.:.:| i l i'、__,-'ニニニヽ/ ̄ ̄` ''ヽ、 ,,.-''"::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\.'i, ! ! ` ヾニ二ン/ ノ  ̄ヽ、_ r'´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`‐-.,,_::::::::::ヽゝ, ‐‐ |r' ,.-'"/::::::ヽ、 /`'''‐- .,,,_:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::` ‐- .,,_゙、__,,,,. -'ー‐' _,,.-'" /::::::::::::::::::゙、 /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`''- .,,_::::::::::::::::::::::::::.:.:.:. '" _,,.-'":::::::::::::::::::::::::::i, /;;;;;;;;;;;;;;;;;i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙''‐-.,,,_:::::::::__::.:.:.:. _,,,.-'":::::::::::::::::i:::::::::::::::::::::ヽ, i';;;;;;;;;;;;;;;;;;;!/;;;,.-─''''''ヽ、,.. -、;:;:__,r''"'ヽ,,,,____,,,,,,. -‐''''":::::::::::::::::::::::::::\;:;:;:::::::::::::::::::i、 ,i;;;;;;;;;;;;;:;:;:/;/ _,.r== 、'y'´ ̄.) ゙̄、__,ノ:::::::::::::ヽ;;;;;;;/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ;:;:::::::::::::::::::::\ ,l;;;;;;;:;:;::::::/;;| ,. __,. -、lヽ-‐'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::゙、/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::゙、:::::::::::::::::::::::::ヽ /;;;;;;;:;:;::::::i';;;;| " ,. __ ):::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::'i,::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i,::::::::::::::::::::::::::: /;;;;;;;;:;:;::::::::l;;;;;| ''´ ゙、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|;;;:;:;::::::::::::::::::: i';;;;;;;;;:;:::,,. --'" ! ' r‐ ノ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::,,. -─‐-、!;;;;;:;:;::::::::::::::::: http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/166
167: その名は絶望 ◆h8c9tcxOcc [sage] 2007/09/30(日) 00:16:47 ID:OQOUoXEU 【G-5/河川敷-川のほとり/一日目-早朝】 【糸色望@さよなら絶望先生】 [状態]:絶望(デフォルト)、ずぶ濡れ [装備]:ゼロの仮面とマント [道具]:デイパック、支給品一式、不明支給品(0〜2個) [思考]:カレンがあまりに不憫なので、ゼロとして支えながら正しい絶望へ導く 【カレン・シュタットフェルト@コードギアス 反逆のルルーシュ】 [状態]:ずぶ濡れ [装備]:なし [道具]:デイパック、支給品一式、不明支給品(1〜3個) [思考]:ゼロを守る 【G-5/河川敷-トイレ裏/一日目-早朝】 【ルルーシュ・ランペルージ@コードギアス 反逆のルルーシュ】 [状態]:やや疲労、苛立ち、頭部及び手先・足首に痒み [装備]:なし [道具]:デイパック、支給品一式、メロン×11 [思考]1:“ゼロ”に対処する 2:スザクとの合流を果たすべくまずはH-2の学校へ向かう 3:このゲームをぶっ壊すための駒と情報を集める [備考]:参戦時期は第13話以前。スザクがランスロットの搭乗者であること、マオの存在を知りません。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/167
168: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/30(日) 00:17:24 ID:RbUtHeVl http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/168
169: かいひ [sage いいなこれwww] 2007/09/30(日) 00:18:05 ID:e6sRcIaw llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll○/llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll\llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll/∧lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllr,ll!!!/_\lllllヽlllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll/∧::\llllllllllllllllllllllllllllノ`":::n::/::○ヽ::llllllヽllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll//::::::`ゝ、:\lllllnll丿":::。。ノ :::::::::::::::::::\:llllllヽllllllllllllllllllllllllllllllllll○llllllllllllll ○lllllllllllllllllllllllllllllllllllllll|::|::::::::: `レ○、ソ"゚ ゚ ::::::::::::::::::::::::Yllllllllヽllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll llllll○lllllllllllllllllllllllllllllllll|::|::::::::: :::::::::::::::::::::/:llllllllllllヽlllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll|::|::::::::: ○:::::::::::::::::|::lllllllllllll!_ヽllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll lllllllllllllllllllll o llllllllllllllllll|::|:::::::: :::::::::::::::ゞ::lll○"r ○lllllllllllllllllllllllllllllllllllllll lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllY::::::::: :::::::::::::::Yll| /フ |lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll', ⌒"'ー 、., .:.:.).::.::::.::::.:.,. -‐'''"~'ヽ ::::::○> l /llllllllllllllllllllllllllllllllllllllll lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllヽ: -‐‐-- 、!.:::::."''~ェ--‐‐‐- 、 :::::: .::: /lll 。 llllllllllllllllllllllllllllllllll llllllllllllllllllllllllllllllllll.○llllllllllllLヽ( Y⌒ヾ| ) ::::: /lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll llllllllllllllllllll○lllllllllllllllllllll○lllll、li 、 ノ.::.:::::...'、 ノ :::l::┌"lllllllllllllllllllllllllll○llllllllllllllllll lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllli.:.:.~"'''ー'''".:i.:.::.::.::.:.`ー--‐‐''":. :|::|:::|: llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll', ::::::::::::::: `...::::::::::::....._ ○ | | ○::::\llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll lllllllllllllllllllllllllllll○llllllllllllllllllllllllllllll', / l O :::_,,-ァ ` | :::::/:::::::::::::`ー-ヮ'ー-フー――-- lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll ll 。 ヽ `ー、― '' / .:::/:::::::::::::::::::::::/ /:::::::::::::::::::::::: lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll○llllllllllllllll\  ̄ ̄ ..:::/:::: ::::::::::::::/ /:::::: ::::::::::::::::: llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll_lll> ー '" :/ .::::::::::::::/ /:: ::::: ○ llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll○":::::::::::/ ` >、: _/ ....::::::::::: / | ::::: lll○llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll/:::::::: :::::::/ /:::::::: ̄>、 ..::::::: / | ::: llllllllllllllllllllllllllllllllllllll○llll/::::::: / / ::::::::::::::| ` ..:::/ | llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll/::::: | |.......... ヽ | ○ | llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll/::○ | |:::: / / | lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll|::::: ○ 。 | / / | ほぅ はっは 見ろ!!かいひがゴミのようだ!!! http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/169
170: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/30(日) 00:20:21 ID:kTpowyae さるを回避したいんだったら サルの画像がいいんじゃないか? http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/170
171: サル [] 2007/09/30(日) 00:24:58 ID:rHU2XfT7 (7 ィ=-ォ ∠} i!;;;i! ,i!;;i″ ,i;;;;i!'/;;,r'''~ ,,r';;;=''~ _,rャi! /::/イ i!;;;i! i!';;r~ ,i!;;イ,=''~ ''~^ ,,r‐'~:/;;;;〉 /::::/;/;;;j ,i!; i! ,i!;;i!´ ,i!;;;;;i!'´ _, /´:::::ノ/;;/ /::::://;;;/ /ヽ, ,i!'~i!' ,i!;;i! i!;;i!´ ,,r‐'/ _,,,,ッ ,ィ ∧ ,,r''",,ソハ/:::::/'~;;/,, ヾヘキi!'' i!;i! ,i!i!' `~/{ /:::/7='~メ-‐-、,,_,,,r‐'''~:ノ,,,r'~::゙i, ,r‐'~/=''ト,:::/'~;;/ i!i! `~,i!i' i!i!i!i! /::レ':/;;i::ッ::,r='''''‐、,,ィ:::::::::::::'~ノi::::::::゙i, ‐''~´ i!;i! |::Y'ヘ,/ i!;;i! i!' i!;;;i!' i}:i゙i,i';;;;;;'^'´;;;;;;;;;;;;;;;─---‐''~;;;;}::::::::/_ i!;i!,し'‐'~ i!;;;;i! i!' i!;;i!' /::};;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;::::∠z::::''~,r'~ i!;;i!, i!;;i!;;i! i!' i!i!' 、,ノ:::/;;;;;;;;ヾ,;;;;;;;;\:::ィ-、,,;;;ヘ-、;;;;;;;;;;/:∠,,__,,,,,ィ i! lコ i!;;;;i!, i!;i! i!i! ,i!' i!' ,ェ二ヽメ;;;;;;;;;;;;;_\-ァ;;;;;;゙i,;} 、 ゙'i,;;;;i::i,;;;;∠,,__,,,,,ィ:/ 'il|i ゙i!;;'゙i!, i!;;i! i!;i!'i!' '' /{ /ノ;;;;:;:;,,,:;;;;;/ `ヾ、ki'^゙i;;ト、i, ゙};;;;iハ;;;;;;:;:;:;:;;;;;/:/ `'il|i!, i!,i!`'i!,,i!;;i! i!;;i! ノ;;i, 八 ii;;;;:;;;/⌒゙i,ル' ノゝ i{,_''^゙i! ',,, };∠_,ノ;;;;;;;;;;;;;/::ノ ゙'i!;゙i!, i!;i! ゙'i!;;;i! i!i' /´;;;;;゙ヽ、{;;;ヽ、_,{;;;;;;/ /'ヘ`'″⌒ ''''三='ミィk''i''''ァX;;;;r--,,,-'´ i!, `i!i|i!, ,}i!i! `´ i;;;;;;:;:;:;:;:;;;゙ヾ、;;;;;;;;;;〈 {'~ ,ィイ二二゙iュ、^ ヾノ'/~;;;,,二ヽ 'i!, `'i!;;;;ii!'~ i'::::;;;;;;;;:;:;:;:;:;:;:;;;;;;;;,,,rー--ッ、,,_ i'ii`~l||||lliiii>~') ゙'' {'~´ `i!, ゙~,,ィ='''~~~'''‐、,, ゙i,::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,,r''~.:.:.:.:.:゙i;;;;;;;;゙メi|!'~~tァ、||-‐il/ .i ゙i!, ,ィ'~..::::::"''::::,,::::::ヾヽ, \::::::::::::::フ;;/.:.: .::};;;;;;;;;;;;i,ト、ュ⌒'''ヘ、||i' ノ ii!,ii!, i'~::::::,,;;;;i;i;i彡,,:::,,:::::::::゙i, `=‐,ァ:::::::::{,,,r'',,::.. ∠';;;;;;;;;;;;;;;;,》\二''_ソ',,,r''″ `'iiii! {i,,彡:;;;;;シ´⌒`i,ミ::::::i::::i! ー=─-r'~,r''~,r‐-、ヽi:;:;:;:;:;:;:;:i::} \,,r‐'~ ,,i!;;∠ `'ii!゙i彡,,ッ'~ ゙i,;;::::N:::レ 广~/~ <シ‐、,,,,_;;i',レ-、゙i\,_ ,,i!r'~ i!, `~´ ゙i}:::::彡} i /:::::::::::::i‐/,,,r'~⌒ソ'´、,,,,_} ;:: i||ュ、 ''~ 'iil!,,. 》:::::i::ノ //:::::::::i、/:::''~. ,ィ'´ = _〉、::'iii! ヘ ,,,,ェr、 ''ii!, ノ:::::i::/ i〈::::::::::i:::レ' /{ -~__.)ノ ::゙iii!,,.゙i,__,,,ィ‐-{ ‐r├i ''ii!, /´;;::::ッ' i ヽ;::::::i:::| ..::i .::i' '' '~_ノ .:.:.:.:゙iiiii,ヘi,ヾ,` ゙'i, 仁ソ,, ゙''ii!, iリ;:::::ッ' _ 八 i:::::i゙i;;| ::::| ::{,,,,,r、,,,r‐'´ .....:.:.:.:.:゙iiii!,,キ:::i :;;i '| {ッ'~::: ゙iii!,,゙iii!,, {!;;;;::::{ __,,,,,,,ィ' ゙''i, ''‐、,_' ゙'i ::i...:i:::/::/ ゙'':;, .:.:.:.:.:゙iiii!}'゙i,,r-ッ‐'´::::::: ,,_ ゙'iii!,゙'ii!, |!:;;;::゙i'''"~,,,,,::::{' :.. ゙i, ‐、,, ヽ=i, ,, ..i:::゙i, ,/ヽ ヾ、'' .:.:.:.:ノ´/ ''"´..::::::::::: ゙'iii!ュ、 ゙''iiiiii!, ∧;;;;::'゙i, ....:::::;i ゙''‐、  ̄,,;;ヽ‐ヽ-,ヽノ '':, ゙'‐、,,,,,,,,ッ‐'~..:/´,,i/:::::::::::::::: ゙ヾiii!''=、,゙iiii!, /´ ゙i,;;;;::::ト,二‐-、i '''::::::::'" ..:::/ノ::... ,,_ノ´..../彡::::::::::: ゙''iii!,, /,,r''~,゙i,;;;;;;:::゙i, ~'ォ、ヽ、 /.._.:.:ハ ,,r'_ノ´:::::::: ノ/ http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/171
172: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/30(日) 00:30:08 ID:TSbkku24 バトルロワイアルと直接関係ないキャラはいかがなものか やはり参加者AAがいい http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/172
173: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/30(日) 00:39:07 ID:HgFhcgf+ なるほど http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/173
174: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/30(日) 01:18:18 ID:BADIB5u2 そもそも、ホスト晒しとかも平然とやるような連中の掲示板に 誰が行くかwww http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/174
175: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2007/09/30(日) 02:29:01 ID:RmFeesCL 1389 :やってられない名無しさん:2007/09/29(土) 21:48:52 ID:???0 とりあえずツチダマの方で言おうぜ? まずはアレが終わってからだが 1390 :やってられない名無しさん:2007/09/29(土) 21:49:50 ID:???0 ドモンはなぁ…… マーダー増えるなら有りかとも思ったけど、 やっぱり最終話後の割には未熟すぎるか 1391 :やってられない名無しさん:2007/09/29(土) 21:49:59 ID:???0 レガードの糸はただの鋼線やピアノ線でもいいと思うけど、 実際下の所有者名が付いているだけのただの鋼線だから別に変えるほどではないかと。 ドモンは…。所詮はギャグ描写だから、気になるようなら次のSSの最初で正気に戻すという手もある。 これもそこまでメクジラたてなくてもいいと思った。 1392 :やってられない名無しさん:2007/09/29(土) 21:50:39 ID:???0 兄さんを超える云々言ってるってことはシュバルツ=キョウジって判明後じゃね? じゃ無いと『この写真の男を知っているか?』だろうし。 ただSSとしては面白かったし、今後我に返ってもいいし通しでも問題ないと思う。 1393 :やってられない名無しさん:2007/09/29(土) 21:51:56 ID:???0 アニロワ発祥のCのカス野郎がこれだけ暴れまわって恥ずかしいのに、また2号が増えるとかやめてくれよ……。 1394 :やってられない名無しさん:2007/09/29(土) 21:53:24 ID:???0 >>1393 二号とは限らんだろう。 1395 :やってられない名無しさん:2007/09/29(土) 21:53:29 ID:???0 何あの偉そうな態度は 1396 :やってられない名無しさん:2007/09/29(土) 21:54:52 ID:???0 >>1394 やっぱり『お帰りなさい』なのかな……。CはFateそんなに好きじゃないと思ったのに……。 1397 :やってられない名無しさん:2007/09/29(土) 21:55:14 ID:???0 変な理屈を捏ねて他人の論理を見下す……初期CよりむしろGの方が思い浮かぶ態度だな。 1398 :やってられない名無しさん:2007/09/29(土) 21:56:35 ID:???0 今日は、支援入れた方がいいのかね。 投下スレ。 1399 :やってられない名無しさん:2007/09/29(土) 21:57:13 ID:???0 ところでさ、今回自作品アイテム支給・自作品アイテムGETが多すぎないか? 特に問題があるわけではないけど、クロスオーバー設定活かすには微妙に思わなくもない。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/175
176: 睡蓮-あまねく花 ◆umwdy9coMs [sage] 2007/09/30(日) 02:29:46 ID:fwYKRIWK 「ふ、ふふふ藤乃さん。ほ、本当にこの船の中に入るんですか?」 豪華な列車のなかで黒服やら白服の危険人物達。更にいえばレイルトレーサーと言う人ですらない化け物と遭遇してしまったジャグジーとしては余り豪華な乗り物には乗りたくなかった。 しかしそんな必死のジャグジーの抗弁も 「あら?ほなジャグジーはんはうちに野上で着がええ言ううん?ジャグジーはんって意外と…「ちちちち違いますよ!分かりました入りましょう!すぐ入りましょう!」 静留に良い様にあしらわれ、逃げるように豪華客船への階段を駆け上げって行くジャグジーだが 「ジャグジーはん、顔が赤いで?」 の一言で階段からに転げ落ちそうになってしまった。 「い、いいから行きますよ!」 しかし初心な少年の反応に気を良くした藤乃は困惑したような表情を作り 「でも良く考えたらこんな逃げ場のないところで着換えたらムラムラしたジャグジーはんに襲われるかもしれんし……」 「くぁwせdrftgyふじこ!」 声にならない声で必死に否定するジャグジーの様子を堪能した静留はジャグジーの背中を軽く叩き 「ま、冗談はこの位にしてそろそろ行こか」 と声をかけジャグジーを追い抜き船の上に上がっていった。 一連の流れで半泣きになりながら静留の背中を眺めていたジャグジーは何時まで立っても付いて来無いジャグジーに振り返った静留の 「あ、そうそう。もしほんまに覗いたら……その首、ポーンと跳ねますえ?」 の一言で本格的に泣き出してしまった。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/anichara/1190992762/176
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