【枯れても走ることを】能力者スレ【命と呼べ】 (1002レス)
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(1): ◆1miRGmvwjU [saga] 2019/03/23(土)15:32 ID:qRStJCCTo(1/11) AAS
【焼け付いたような白い午後だった。マスメディアの垂れ流すニュースは何時にも増して喧しかった】
【 ─── 水国の外務省に属している秘匿機関が、種々の違法な軍事作戦に関与し、剰え壊滅した筈のカルト教団/その幹部を雇用していたという風聞】
【街頭を見上げる人々の騒めきが途絶える事はなかった。誰もが誰もを疑っていた。この街に平和が齎された事などあったろうか】

【水国/首都フルーソ。"最高議会"野党の主要本部/その一ツである高層複合ビル、"ウォーターゲート"】
【硝子を基調に彩られた、ごく清潔なエントランス。 ─── 入口近く、柱の裏側。人影一ツが佇んでいた】

    「状況、開始。」

【冬も終わるというのに厚手のトレンチコートを着込んでいた。一瞥するに上等なスーツは一張羅にも見えた】
【ハンチング帽を目深に被って、 ─── 耳朶と口許に何かを付けていた。嗄れた声が独白のように囁いた】
【ひどく人目を引くべき男だった。それでも傾き始めた陽に晒されて雑踏は疎らだった。ならば、或いは】
省1
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(1): ◆1miRGmvwjU [saga] 2019/03/23(土)18:51 ID:qRStJCCTo(2/11) AAS
>>20

    「 ─── 大仰な名前だなァ。」「チェスの得意なツラには見えないけれど、まァ、いい。」

【パーカーのポケットに両手指を突っ込んだまま、少女は対手と向き合った。気取らない立ち方をしていた】
【肩の力を抜くというにも幾らかラフな体勢に過ぎるようだった。 ─── それでも笑っているのだから】

「"顧問"として働く分にはワタシも嫌いじゃない。 ─── そっからも少しデカい生き物にノシ上がれるなら文句はない」
「聞かせてみなよ。けれど手短にね」「枝葉末節のムズカシイ話は好きじゃあないんだ。そういうのは飛び込んでみてから判断する」

【小首を傾げながら問う声だった。 ─── 紅いフードの奥で色素の皆無な髪先が揺れた】
【慮外に大雑把な所のある少女であるらしい。だとしても、斯様に彼女は命を繋いでいるのだから】
【そういう遣り方に支障が無いほど世渡りに手馴れているのも事実であるのだろう。 ─── ポケットからガムを探っていた】
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(1): ◆1miRGmvwjU [saga] 2019/03/23(土)19:33 ID:qRStJCCTo(3/11) AAS
>>22

   「イュン。 ─── イュン・ベルクト。そンな大切な名前でもないんだ。忘れて貰ってもいいよ」

【求められるなら、端的に少女は名前を述べた。軽薄に名乗っていた。音節全てに異国の訛りがあった】
【見れば顔立ちは真白く在ったが、鼻梁の輪郭は東洋の階調を帯びていた。得意な体質であるのかもしれない/いずれにせよ】

「ふゥん。 ……… ま、素性も知れないPMCsに任せて貰う分には、中々悪くない仕事を当てがってくれるのだ。」
「いいだろう。 ─── 引き受けようジャン?」「きししッ。 ……… 期待以上の働きは、してやるよ。」

「契約だの定款だの面倒臭いコトはこっちで遣り取りしてくれるカナ。」「 ─── そいじゃ、またネ?」
省4
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(1): ◆1miRGmvwjU [saga] 2019/03/23(土)21:31 ID:qRStJCCTo(4/11) AAS
>>26

【 ─── 射殺すような眼睛に、されど男は動じなかった。その装束は果たして隠れ蓑に類していた】
【インカムの入出力系を幾度か弄って、通信の指向性を変更しているようだった。張り巡らされるような静寂】

  「 ───………… 。」「 …………、 ─── 。」

【白いマスクに隠された口許が微妙ながら動きを示していた。 ─── 何か言葉を発しているらしい】
【然してそれも現今この彼我距離においては判然としなかった。何を語っているのか/誰に語っているのか】
【近付く事は容易であるのだろう。エントランスは疎らな人混みであるとはいえ、それだけの接近遭遇を図るには十分であった。であるなら】
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(1): ◆1miRGmvwjU [saga] 2019/03/23(土)21:51 ID:qRStJCCTo(5/11) AAS
>>28

               【掠れたような銃声が、だが甲高く共鳴した。】

【外套のポケットから仄かな白煙が立ち昇る。黒い風穴が在った。リノリウムに薬莢が転がった】
【1発/2発/3発 ─── 対手の頭部に照準されていた。精確であった。アイアンサイトさえ介していなかった】
【流れ弾もしくは貫徹した弾頭はアトリウムの構造に着弾した。偶然にそこは応力的な脆弱性であったらしい】
【 ─── 大袈裟な罅が入った。辛うじて割れていなかった。人混みの誰かが悲鳴を上げた】

     「 ─── 状況終了。状況終了。」「エコー、デルタ05よりチャーリー37」

【何れにせよ男は転瞬に駆け出していた。 ─── 蜘蛛の子を散らすような群衆に紛れようとしていた】
【その速度はしかし尋常なものであった。乾いた色味の背中を追う事は難しくなかった。または追いつく事も同等に】
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(1): ◆1miRGmvwjU [saga] 2019/03/23(土)22:12 ID:qRStJCCTo(6/11) AAS
>>30

  「 ────…………… 。」

【痙攣のような機微を男は示した。なにか明らかに動揺していた。それでもそれ以上を示す事はなかった】
【 ─── 諸手を上げて彼は降伏した。掌中には何も収まっていなかった。瞳だけが矢張り灰色だった】

  「出来ない相談だな。」「もう少し、妥協してくれ」

【マスクの下に隠した唇が述べた。微かに声が震えていた。動揺であるのに相違はなかった】
【追い詰められた立場の人間としては随分と悠長であった。妥協の余地があるものと信じているのだろうか】
【或いは何らかの時間を稼いでいるのかも知れなかった。少なくとも死に恐怖しない類の人間ではないらしい ─── 雑踏の誰かが携帯電話を取り出した】
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(1): ◆1miRGmvwjU [saga] 2019/03/23(土)22:36 ID:qRStJCCTo(7/11) AAS
>>32

「衆人環視の中、尋問でもやるつもりかい。」「 ─── "そういう約束"には、なっていない筈だが」

【 ─── 奇妙な台詞を男は吐き出した。明白になにか狼狽していた。恐怖しているようでもあった】
【コンバット・ハイに見失っていた本質性を漸く自覚してきた人間の声だった。落ち着くように彼は息を零した】

「なあ、何かの間違いじゃないか。」「 ……… こっちから撃っておいて何だが、妙な話だ」
「アンタみたいなのが"来る"とは聞かされてない。」「それなら、おれは抵抗したくない」

【成る可く冷静に事態を説明しようとしている語り口だった。 ─── それが例え第三者に理解しようもない内実であるとしても】
【語るというその行為に何かしらの希望を見出している挙措であった。続ける言葉には懇願さえ入り混じっていた】
省1
36
(1): ◆1miRGmvwjU [saga] 2019/03/23(土)23:06 ID:qRStJCCTo(8/11) AAS
AA省
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(1): ◆1miRGmvwjU [saga] 2019/03/23(土)23:23 ID:qRStJCCTo(9/11) AAS
>>37

「 ─── アンタ、」「それくらいは知ってるんじゃないのか?」「 ……… まあ、いい。」

【 ─── 純粋に一驚を喫しながら、外される帽子とマスクと共に、彼は告げた。】
【卑近に過ぎる距離感には物怖じしていないようだった。声を潜めた意味合いを理解していないらしい】
【唇の片端を吊り上げて、彼は一息を吸い込んだ。 ─── 晒された素顔は、限りなく在りふれた面構えだった】

          「水国"最高議会"与党」「 ─── ご存知、イスラフィール議員だよ。」

        【にわかに群衆が動揺した。 ─── それきり、彼は警邏車両の座席へと消えていくのだろう】
省1
40: 『駈込み訴へ』◆1miRGmvwjU [saga] 2019/03/23(土)23:42 ID:qRStJCCTo(10/11) AAS
        <以下、水国全国紙"フルーソ・タイムス"■■■■年■■月■■号1面より一部抜粋>

「 ……… そうですね。おれが元々は水国の中央情報局に所属していたというのは、事実です」
「向こうでヘマをやらかして、丁度飯の食い上げって所でしてね。そんな時にお呼ばれした訳です」

「言っておきますが暗殺未遂で詰めるのはやめてくださいね。」「 ─── おれが依頼されたのは盗聴と盗撮です」
「次の最高議員選に向けて、彼らの決定的なスキャンダルを取ってこいと、 ……… そんな所でした」

「まァ実際、"本当に"議員の指示であったかは分かりませんよ。おれも実際に会った訳じゃないですから」
「ただ間違いなく彼女の息が掛かった人間からの下請けだったとは思いますね。 ─── 確信を持っています」
省11
41: 『駈込み訴へ』◆1miRGmvwjU [saga] 2019/03/23(土)23:48 ID:qRStJCCTo(11/11) AAS
/Q.なにこれ
/A.水国"最高議会"野党の本拠にて、暗殺未遂・不法侵入・凶器準備集合などの嫌疑で逮捕された男の供述のようです

/Q.なんて言ってるの?
/A.「イスラフィール最高議会議員」が、次の選挙で有利な結果を出そうとする為、自身に不法な内偵を命じたと述べています。
  また先日より種々の疑義が向けられている「外務八課」に対しても彼女の深い関与があり、追及の対象は彼女"たち"に向けられるべきだとも述べています

/Q.これからどうなる?
/A.ちいさな火種から始まったスキャンダルが、水の国の政治体系全体に広がっていくかもしれません。流れに身を任せましょう
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