【枯れても走ることを】能力者スレ【命と呼べ】 (999レス)
【枯れても走ることを】能力者スレ【命と呼べ】 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1553300109/
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226: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga] 2019/05/15(水) 23:50:58.00 ID:Stpt5Ft/0 >>223>>225 ……………………いいの、 【――――ぽつりとした声は少しだけ掠れているように聞こえた。それでも確かに鈴の音を宿していた。ならきっと錆びた鈴の音、貴女の涙で錆びついてしまった?なんて】 【きっと自分の涙が銀色を赤錆色にしてしまったのだろう。だからきっと泣きじゃくって落ちた雫を磨り潰すように拭った指先の指紋すらそこにはきっと残っている】 【焼く前の陶器なら何度だって粘土に戻せるといったって限度があるんだろう。だからきっと彼女はとっくに限界を超えてしまったんだろう。なんにもなれない土くれでしかない】 【神様が人間を作ろうって思っても見向きもしないようなぼろぼろで痩せたなんにもない石だらけの泥。畑だって出来やしない。なんにも生えない、なにもない、なんにもない、】 【だからもういっかい、「いいよ」を繰り返して、】 ――――――――――――――――――――――――――わたし、ね、世界を救ったんだよ。 【ぽつと漏れる声の意味を辿る必要は、ないのかもしれなかった。だって明確に何かおかしかった。だって彼女は世界なんて終わってしまえと願ったんだった、】 【それすら消極的な言葉でしかなかった。滅ぼしてやるでも終わらせてやるでもなく、滅んじゃえだなんて言葉を使った。「滅んじゃえよ、もう」なんて、失望したように】 【世界を滅ぼさなかったことで救ったなんて言うのかもしれなかった。だとしたら殺してやるしかないほどにばかげていた(死ねないけど)(死ねないのに)死ねないからこそ、】 ――――ウェインさんと、エヌと。……きっと、たぶん、危なかったの、……あぶなかったんだよ。 三人で、わるいもの、追い返したの。この世界の思い出がいっぱいあって。……わたしは、嫌なことばっかりだって思ってた。だけど、"思ってたより""少しだけ"、 ……………………………………………………だけど、"そう"じゃ、なかったんだね、 【ざあと再び舞い戻る薄霧の白はきっと彼女の表情をぼやかした。だからやはりここは彼女の聖域なのかもしれない、なんて、】 【だけどきっと表情なんて分かるんだ。――ばかげた自嘲の色で笑っている。"なにか"期待したんだ。何か。何を。ひどいこと言っても自分を選んでくれる誰か?】 【――ひどいことを言ってしまうような子でも愛してもらえる世界があるっていつか知ったから。だって自分が与えたんだから。(だからわたしだってもらっていいはず)】 【――――――――――――――――????】 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1553300109/226
227: ◆S6ROLCWdjI [sage saga] 2019/05/16(木) 00:07:47.68 ID:phMFLjPA0 >>225-226 できるよ、きっと――だってあたしもできたんだから。 あれってさ、レシピっていうか……日記だよね、そっか落書き帳。あたしもぜんぜんわかんなくて―― でもなんとか、……なってたよ。たぶん。だからあんたにもきっとできるから、頑張ってね、 ………………そう。白毒川ちゃん。あとはよろしく、ネ。 【であれば――彼女にすべて預けてしまうものの言い方をするのだろう。だからやっぱり】 【こいつはもうそのうち死んじゃうのかもしれなかった。無責任が過ぎた。それでもこいつはそう宣って】 【白毒川鈴音にはそれだけ、言って、――――聖域に身を浸す。不思議と身体は不調を訴えなかった】 【そうして。黙って、白神鈴音の声を聞いている。ことばを聞いている。そっか、の相槌も挟まない】 【笑いも泣きもしなかった、ただ、何かを悔やむような表情だけ堪えることができないのだから】 【やはりこいつは愚かだった。死体のようにたっぷり横たわる沈黙の後に、ようやく唇を、開いたなら】 ――――――――――――救ったんだ、それは、初耳だったかも。 そ、だね、…………思ってたより、少しだけ、マシだと、思えた? うん、…………うん、 それでも「そう」じゃ、なかった、ね。そうね、………………そうかも。 【そんな感じでようやっと、相槌を、返した。鈴音の言葉をそのままオウム返しするみたいな】 【しかるにそれは会話じゃなかった。だから、語り始めるのだとしたら――タイミングを伺っているのかもしれない】 【話したいこといっぱいあった、――桜花鈴音越しにだいたいは聞かせてしまったけれど。それでも】 【なにか返事をしてほしかった、気持ちでいた、から――鈴音が語り終えるのを、きっと、待ってる】 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1553300109/227
228: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga] 2019/05/16(木) 00:38:36.63 ID:vZOf31By0 >>227 【「ヒメちゃんでいいのよ?」――――それがふっと残された一言。自称・ヒメはいろんな意味で痛々しいのだとして、人生の全部をずたずたに切り裂かれた蛇の子よりもきっとマシ?】 ――――――――――――――――――――わたしが"こう"なったの、ぜんぶ、間違いだったんだって、 わたしね、ずっと、ずっと、ずっと、頑張って、生きてる、――つもり、だった、いろんなこと、考えて、いろいろ、――、頑張って、 大人になれないの、諦めて、お母さんになれないの、諦めて、死んじゃっても"へいき"なの我慢して、いっぱい、諦めて、我慢して、なのに、 なのに、 わたし、ずっと、ひとがまちがえたの、ひとがまちがえたこと、わたしじゃない、ひとが、まちがえた、こと、――、 自分だけ大人になって、自分だけ何もなかったような顔して、そうやって、生きてる、人の、――、大人になれないままのわたしを見ても、何も、何も、ない人の、ために、 わたし頑張って生きてたの、なのに、どうして、――――――――――――――――――――――――その間違いを、どうして、わたしが、 【なら怨み言はどこまで行っても何もかも遅すぎた、溜め込んで腐った感情はやがて底まで腐らせて意味をなくさせて、畢竟追いやられたのは彼女であるのなら】 【山の中に祀られる神様に結局だれもお参りなんてしないんだと誰でもわかった。ただ一ツだけ、カルトの玩具にされるよりはマシだと「だれか」が判断しただけなのだと、】 【今となってはそのカルトすらどこにもなく、生き残った人間は誰しも信仰を棄ててしまっていると、きっと知りながら。――ボタンが押したかったとひっくりかえって喚く子供のため、】 【溜息をわざとらしく聞かせてから抱き上げてやるのときっと全く同じ意味の行動なんだろう。――たぶん。だって彼女は恨みがましすぎる、今になってじゃないとなんにも言えなくて】 【――――――だからやはり会話ではなかった。分厚い霧を挟んであっちとこっち、人間の世界とそれ以外の世界。彼女はきっと未だにあちら側に立っているのだとして】 【なら救えないのかしら。さっきまで霧だって晴れていたはずなのに。ほんの少し前にしゃべっていた彼女の顔は、あんなにもきれいに見えたはずなのに。――――――――だのに】 夕月ちゃんは、 【(ぐちゃぐちゃの感情が喉に口に歯に引っかかって出てこない。出てこなくて良かった。だって貴女に言っていいことじゃなかった。そうだよ、だって、指輪の銀色、見えたから、)】 なんでもない 【(生まれる前に、今の人生を知っていたなら、生まれてきたかった?)(なんて)】 【(まして)(わたしは生まれてきたくなかったよ)(なんて)】 【(いえるはずない)(いうべきじゃない)(だから)】 【――――そうだった。こんな場所まで来てくれるようなお友達に問いかけるべきではないから。そう、だから、だから、尋ねるべきは、正しい問いかけは、えっと、えっと、なんだっけ、】 【ああそう。きっとこれがいい。これが正しいと思えた。もうなんにもわかんないのに。――前にそう聞いた時には(貴女じゃない人に)とてもひどい言葉を浴びせかけられたけど、】 【ねえわたしはどうしたらいいの。迷子になってしまったの。いつから迷ってたのかももう分からないの。どこへ行けばいいの。どこにも行けない。この人生をやるしかない】 ……………………………………、げんき? 【表情なんて見えなくて良かった。見えたとしても、どうせくだらない笑みしか浮かべてないんだから】 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1553300109/228
229: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga] 2019/05/16(木) 00:39:03.84 ID:wf1Gl+df0 >>224 【「服役ってお前、一体何を──いや、うん。大体分かるから言わなくていい」などと、冗談ともつかない軽口を叩きながらも】 まあ、な。家賃代わりってんじゃあないが、『城』の本来の管理者はギルド連盟だ。 あれの管理者でい続ける為には、それなりの有用性を示し続ける必要がある。だから、最近はあちこち飛び回って調査してたんだ。 未知の環境や状況を調べるにあたって、学者様だの在野の能力者だのを広く招き入れる前に、まず先行して下地を整えてやる必要がある。先行調査ってヤツだな。 ゼロからの調査だ。当然、それだけ危険も多い。未開の秘境に、古代の遺跡。ある日突然に口を開けた、異界への入り口。魔獣の大量発生に、怪現象──厄介な案件が引きも切らずだ。 【然して興味深い話でもないだろうが、と言わんばかりの気怠げな語調で、朔夜は自分の近況を報告する】 【「あすこを寝ぐらにしていた奴も多い──帰ってきたらギルドの職員に追い出されました、だなんて、笑えない話だろう?」と付け加えて】 【かつての戦友の留守を預かりつつ、俗に言う「悪の組織」との対決とはまた違った形で、民草の平和な暮らしを守る──というのが】 【どうやら、今の彼女の生業らしい。朔夜は淡々とした語り口とは裏腹に、どことなく楽しそうな表情をしている。案外、適職なのかもしれなかった】 W-Phone……ああ、アレか。思い出した。そう言えばそうだったな。 他の奴らがどうしていようが、私の知ったことじゃあないよ。私がどうしていようが、他の奴らの知ったことじゃあないように、な。 ──ただ、壮健でいてくれれば良い。生きてさえいれば、いずれ再会する事もあるだろう。詮索だの積もる話だのは、その時まで取っておくさ。 【朔夜は目を細め、眩しげに空を見上げた。在りし日に想いを馳せるように、ぼんやりと遠くを見つめる】 【元より、正義の味方など柄でもない身。Justiceという組織が解散しようが再結成しようが、彼女にとってはどうでもよい話ではあったが】 【あの短くも色濃い時間を戦い抜いた戦友たちが、今、どこで何をしているのかについては、確かに気掛かりではあった。戦いの末に多くの戦友が傷付き、今となっては行方の知れぬものも数多い──】 【『壮健でいてくれれば』──かつて手の掛かる妹のように思っていた少女が、正義の旗頭としての重圧を一身に背負って傷付いてゆくさまを、最も間近で見据えてきた朔夜の言葉は、それ故かひどく苦い響きを帯びていた】 まあ、不意を打たれて死ぬような事があったらつまらんからな──しかし、『ただ』、か。奥歯に何か詰まったようなものの言い方だ。 言っておくが暗殺への心構えは一つの端緒に過ぎない。真に重要なのは、どれだけ常日頃から妥協なく、あらゆる戦いに備えて動いてきたかだよ。 「常在戦場」──などと、俗に言うだろう。あれだよ、あれ。日常における些細な気構えや、身の運び方。 その差はいざ戦場に立った時にこそ如実に顕れる。お前が斬られたのは、つまりはそういう事だろう。 さあ、やろう……と思って行う、肉体や異能の操法の鍛錬だけが鍛錬じゃあない。 ネル・ナハトの頭領の台詞を借りて言うが、重要なのは『理解』だ。私に言わせるなら、極意なんてのは案外その辺に転がってるもんさ。 【「……しかし、旨いなこのサンドイッチ。粒マスタードが効いてる。グレービーソースも良い」】 【こちらもサンドイッチを一口。味の感想もそこそこに、お茶で唇を湿らせてから、忌憚なき意見を述べる──こと戦闘が絡む物事に関しては、彼女はどうも生真面目な性質らしい】 【武家──戦士階級の娘として教育を受けたのもあってか、やはり暴力においては一家言あるようだ】 【「敵の正体が見えようが見えまいが、寄らば斬るまでの事」などと宣う──まあ、始終このような脳筋思考だったからこそ、あの過酷な戦いの中でも常に平然としていられたのだろう】 そうだな、最近は妙にキナ臭い。魔能法──だったか?だいぶ前の話だが、立案から制定、そこから試験運用まで。幾ら何でも動きが早過ぎる。 世論の妙な加熱ぶりといい。間違いなく裏に何かあるだろうとは踏んでいるよ。関係者を皆殺しにして解決する話なら楽だが、そんなやり方じゃあ機関と大差ない。 全く、困りものだ。 【もっとも、脳筋とはいえ全く頭を働かせていないわけでもない。逐一騒動に駆けつけるとまでは行かずとも、世の動きに目を光らせているのは、彼女もまた同じようだ】 //申し訳ない、ちと寝落ちてました。 //続けるにせよ締めるにせよ、今日は一先ず、このレスで切り上げさせていただければ…… http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1553300109/229
230: ◆UYdM4POjBM [sage] 2019/05/16(木) 00:50:33.60 ID:OzFa97Two >>229 /了解いたしました /この後ひとまずお返事を返して今日は失礼いたします! http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1553300109/230
231: ◆S6ROLCWdjI [sage saga] 2019/05/16(木) 12:04:39.21 ID:ctas3934O >>228 【やるせなく斜め下を向くまつげの向こう、赤い瞳はどこまでもまっすぐ前を向いていて】 【けれど何も言葉を発さなかった。震える鈴の音が訴える苦しみ、恨み、つらみ、全部】 【救って/掬ってやるにはもはや時が進みすぎていた。そも、たとえその瞬間に立ち会えたとて】 【そうしてやれたかどうかすらはっきりと確約できないのだから――どこまでも、後悔の色をしていた】 【だからってそうだったんだ、辛かったね、などという気休めにもならぬ労りの言葉だって】 【もはや掛けるには遅すぎると、痛いほどに理解しているから。「うん」。一言だけ、返すのは】 【だから何か、明確に遮断されているのにも気づいていた。あるいはそんな生易しいものじゃなくて】 【拒絶されているとさえとれるはずだった。だってこんな、何もかも遅すぎる時になってから】 【許しを請いに来るヤツだなんて嫌われて当然だ。――だけどこいつは、不思議と、そう思わなかった】 ………………、……、鈴音は、やっぱり、やさしいね。 【だってそれを、傷つき果てた鈴音のくれる最後の恩情だと受け取ったから。何か言いたかったことを】 【噛み潰して、殺して、苦い汁を飲み下してまで我慢してくれるのを、やさしさ以外の何というのか】 【形容するすべをこいつは知らなかった。だから恐らく、鈴音が自分に何を問いたかったのかは】 【本当になんとなく、朧げに――理解した気にはなっているのだろう。だからといって答えはしないが】 【そうやって必死に必死に絞り出してくれたやさしさを無下になんてできなかったから。――だから、】 【ふたりを隔てるもやもやの中、恐る恐る――一歩だけ。ただの一歩だけ歩み寄るのだろう】 【それ以上はしなかった。だってそれ以上を許してくれるかどうかは、鈴音にだけ、ゆだねられるから】 【だから、】 …………んーん、全然元気じゃない! だってさ、あのね、桜花ちゃん越しに聞かせたでしょ? あたし世界にケンカ売りに行くんだけどさーっ、まーじで全ッ然勝ち筋見えないもん! どーやったって勝てる気しないね、始まる前から負け戦ってわかってんの! マジ萎える! だから全然元気じゃないの、マジ病むーってヤツ――あはは、負けたらどうなっちゃうんだろ。 世界の平和を脅かしたバケモノーとか言われて、晒し首とかされちゃうのかなあ。やだなー、あはは…… ――――それでもね、あたし、黙り込んで我慢してなんにもせずに「終わらせる」よりはね。 そうなったほうがずっとマシだなって思ったから。やるよ、戦う、どんなに酷い負け方するとしても―― 戦うことに意義があるんじゃないかなあって。そう思えたの、たぶん、鈴音のおかげだから、 【「……だからね、ごめんなさい、だけじゃなくって。ありがとうも言いたかったの」】 【――しかるにこいつの言い分は、何もかもが自己満足でしかありえなく。そんなんで、どこまでも】 【言いたかったこと言えて満足できました、みたいな、晴れやかな笑顔をしてるんだから――やっぱり】 【本当に勝手が過ぎるんだからいくらでも怒ってやればいい。絶交しちゃえばいい――友達、なんだから】 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1553300109/231
232: ドラ ◆UYdM4POjBM [sage] 2019/05/16(木) 20:46:36.32 ID:OzFa97Two >>229 【むしゃむしゃサンドイッチを頬張りながら、しばらく朔夜の話を聞き続ける】 【当然ながら彼女も自分のいない間の時間を彼女なりに生きてきたのだ、その道のりが垣間見えむしろホッとしているようだった】 斥候ってヤツだね。なるほど…… 鉄火場慣れした朔夜さんの様な人材にしか任せられないタイプの仕事じゃないの 危険が口を開けて眠ってるかもしれない場所なんていくらでもある……頼もしい戦力が 危機を取り除いてくれるならそりゃあ心強いでしょ、justice出身って肩書きも今なお大きいしね。ぼくも今なおその恩恵を感じてる 【実のところ、彼は今でも戦場で「justice」を名乗っているくらいだ、思い入れは彼も大きい】 【コップのスポーツドリンクを空にすると二つ目のサンドイッチに手を伸ばしながら彼も空を見上げつつ呟き始める】 【続いて、他のjusticeメンバーが今どうしているかに関しては……やはり彼は思うところあるらしく見上げながら口を尖らせる】 "壮健"でいてくれれば……か、織守さんも今はそうあってくれているようだし そうあってくれれば……どうしていようと気にする必要はないのかもしれないな…… ("彼女"も……もし本人だとしたら、名乗り出ないのは気にしないでくれって意味なのかもしれな…… いややっぱ気になるからイスラフィールさんに対する探りを入れるのは続行しよう) 【などと、かつて同組織で特に親しかった少女によく似た政治家の女性の事を思い浮かべながら思いを整理していた】 /続きます http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1553300109/232
233: ドラ ◆UYdM4POjBM [sage] 2019/05/16(木) 20:47:10.90 ID:OzFa97Two >>232続き 【加えて、往来での姿や暗殺に関しては……朔夜に指摘されたところで彼はまず言われた言葉をかみ砕くように目を見開きしばらく考え込むと】 【……こくり、と頷きなにか言葉にできなかったものがかちり、とはまるようなすっきりした顔で】 ああ、確かに……うん!そうだね!実際に彼……ああ、ぼくを破った男は ミズキ・"ランスロット"・ヴァレンタインって名乗る色男の剣士だったんだけどね、彼は……とびきり"やりにくい"奴だった 相手を崩すスタイルを得意としているぼくに対し彼は一切自分の動きが崩れなかった、派手な技はなかったけど常に正道を行き……ぼくを圧倒した その骨子が何なのか、どこから来ているのか……今朔夜さんの話を聞いてピンと来たかも ミズキ君の動きを思い返せばまさに今言われた通りの"それ"。確信を持って言えるけど彼はまさにきみの言う通りの事を常に実践してるから崩れないんだ ―――……わかった、ありがとう。んじゃあまずはこの後で新しい普段着買ってこよう…… しっかし耳が痛いなぁ……よりにもよってキルベルクお気にのフレーズがぼくの助けになるなんて……ノビタ君が見てたら笑ってるな 【とても素直に受け止めた。つい最近に敗北を期したこともあって至らない所は真摯に受け止めているらしい】 【流石は武家出身。幼少から戦いを叩き込まれた”戦人の教養”ともなれば説得力も段違い、そうドラは受け止めていた】 【これがミズキと自分の一番の差だったのかもしれない。そこを乗り越えれば自分もまだ強くなれるはずだ、生きて戻って来たのだからその機会はいくらでもある】 うまいでしょ?その肉自体はぼくが狩ってロースト加工したんだけど調理したのはジャンクちゃんだよ 彼女、博士に任せてた自分の喫茶店でこういうサンドイッチも出してたんだ。最近は教えてた従業員に店を任せてるみたいだけど 忙しいみたいだねぇ。―――……いそがしくなった理由は明白。魔能法絡みの……今の案件のせいさ 【カノッサ機関のナンバーズたちを以前よりみかけなくなったとドラは言った】 【それと入れ替わりに暗躍するようになった勢力が確かに存在する―――"櫻国事変"と呼ばれたあの一見も元をたどればあの魔能制限法が原因となっているのではないか?】 【ジャンクちゃんもジンジャーも近頃姿を見なくなった。消えたセリーナを探すだけでも手いっぱいだろうに、その上今の案件で振り回されているのだから】 あの法律本当にクソじゃないかしら!法を成立したって犯罪犯す連中にとっては ついでに破るモノが一つ増えたねーくらいの認識でしかないのはわかりきってるじゃないの……割を食うのは真っ当な異能者だけ 制定したって水の国に害を及ぼす以外の効果はないって頭のいい人は皆わかってたみたいだ 設立させた連中もぶっちゃけ"悪意"があってやったと見るのが自然……つまり内部にはそれを目的とした"背信者"がいる というのはほぼ間違いないってさ ……この案件イスラフィールさんも頭にきてんのかなぁやっぱ……親能力者派の人だし 【胡坐をかいて膝に頬杖を突きながらぼやき始めるドラ】 【今世界の裏側で確実に悪意がにじり寄っているのはわかる……だが自分はそれを暴くとかは向いてる方ではないのでは?とも自覚しているため悩ましい顔をしている】 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1553300109/233
234: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga] 2019/05/16(木) 20:59:14.58 ID:6z+14K+X0 >>231 【だからきっと気づけば無音だった。世界中が二人だけになっちゃったみたい、なら私達どっちもほんとはあの時神様になってしまってて、世界なんてもう滅んじゃった後】 【世界が滅ばなかった夢からたった今この瞬間に目覚めただけ、二人で少しだけうんと長い夢を見ていて、だからこれから先の世界はもう何もかも不変でしかない】 【そういう現実の中に佇んでしまったみたいで、――けれど限りなく現実は現実のまま、夢なんて誰も見ていなくって、だって夢見てた未来なんてどっか消えちゃった】 【当たり前に大人になれると信じていたし、そしたらきっとお嫁さんになると憧れていたし、】 【そしたら、そしたら、――、お母さんにだってなれるって、当たり前に、思い描いて、いた、】 【(はずなのに)】 ――――――、もっと、ほんとうに、優しい女の子になりたかった、 【気づけば夢なんて叶わなくって、優しくもないただくだらないばっかりの子になってしまった、こんなはずじゃなかったのに、って今更言っても遅いのに】 【それに本当に言いたい言葉なのかすら分かっていなかった。思い浮かんだ文節の一言一句確かめたくも、なんて本の何頁に書かれているのか、きっと分からないから】 【頭の中にある曖昧な形をなぞる表情は何よりばかばかしいと自分を評している人間の浮かべる笑みでしかない、嘘ばっかり吐きすぎたんだとして】 【ぐるっと世界を一周してきた鼻先に頭の後ろを小突かれたらどうせならそのまま貫かれて死んでしまいたいのに違いなかった、だって、】 【そしたらなんだか救われる気がして/何もかも自業自得だって/だって本当にそうだと思うし/だからってどうしたらよかったのかは分かんないけれど、】 ――――――――――――――ぁは、は、……、もっと、ひどいかも、しれない、よ? もっとひどい、かも、しれなくって、 ……なのに、するの。? ……。…………。 【薄霧の中に沈んだシルエットは、けれど一歩分の距離が見せてくれるのだろう。だからやっぱりへんなふうに笑ってるだけだった、なのにどこまでも泣き顔と等しい顔色】 【まばたくたんびに霧が深くなる気がした/けれどきっとそんなの気のせいだった。羨ましくって引きちぎれてしまいそうになる、いろんなこと、きっと、違う向きだから】 【向いてる方向が違えば見える景色も違って当たり前なんだけど、――それすら心が痛んでしまう。振り返ればいいだけじゃないかって、きっと分かってるけれど】 【それができたらもっときっと違う道をどこかで選べたに違いなくて、――後から並べ立ててみる後悔の色合い、遺言より無意味な音律、霧が食べたら、】 わたし、ね、……わたしね、すきでいていいのか、わからなくて、 ――いろんなもの、ぜんぶ、ぜんぶ、……すき、って、言ってくれたら、そしたら、 すきでいていいんだって、【(沈黙)】――――――――――――――――――――――――、 【(何か意を決するような一瞬、)】 ……夕月ちゃんは、どして、――――すき、で、いられるの、…………――ひどいこと、された、……でしょ? なのに、 【「ひきつった薄笑い。かわいくない。かわいいはずなんてない。だって世界で一番醜いことを言ってしまう瞬間だから、」】 わたしのこと、すき? 【――、――だって、いつか、この世界のどこでもない場所で会ったんだから。だから。たったのそれだけで何かを決めつけていた、ほんとはいろんなことなんにもしらないのに】 【だからひどく狡いことを言うのはどうしようもなく見苦しいし貴女のこと利用しようとしていた、――それでも世界が好きだって思える優しい子なら、】 【きらいだって言われてしまうことないに違いないって、――、自分が承認されたいだけ。ここに居ていいって思いたいだけ。たったのそれだけのために、だから、】 【彼女はきっと彼女のことを勝手だなんて思ってない/そう思えるだけの余裕なんてなくて/だから余程見苦しくって醜くってどうしようもない心だって剥き出しにしてしまうのなら】 【それこそ嫌いだと言ってやるのが正しいんだろう。――――――非道いこと言っても優しくしてくれる人がいる前例なんてもの、教えてしまったら、きっと、もう、だめになる】 【(世界に向けて非道いことを言った彼女は正しく否定されたから)(野良猫に無責任に餌をやるのと同じだから)(適当な治療法を末期の重病人に教えるのと同じだから)】 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1553300109/234
235: ◆S6ROLCWdjI [sage saga] 2019/05/16(木) 21:50:26.07 ID:phMFLjPA0 >>234 【短く切り詰められた眉が顰められる。あなたは本当に優しいのにどうしてそんなこと言うの】 【そう言いたげだった。その顔は見えるんだろうか。靄の中にいたとして。――どうでもよかった】 【だから、微妙な表情の変化なんかよりもっとはっきり見えるように。首を横に振って見せて】 うん。する。…………あのね、あたしね、手足もがれて死んだんだ。 それをビデオに撮られてネットにばら撒かれてたの、8年間ずっと―――― だから今更晒し首なんて、……気にしないって言えばウソになるけど。でも平気。 あたしのやること、正しいも間違いも関係ないの、あたしがやりたいって言うからやるの。 【しかめっ面もやがては困ったみたいな笑顔になるのだろう。泣いてる子をあやすお姉ちゃんの顔】 【あたしこう見えても弟分とか妹分とか、けっこう居たんだよ。教えてあげたいよ。だからそんな顔しないで】 【しないでほしいから――悲しい顔して笑ってるんだろう。きっと。「…………本当はね」、教えてあげるよ、】 ううん、……あたし実はね、…………ホントは何も好きじゃ、ないのかもしれないんだ。 ただ、もう、疲れちゃったの。嫌いって言って泣き喚いて何かを憎むの、疲れちゃった。 諦めてるだけなんだよ。あのね――さっき言ったでしょ、あたしの死に様、ネットでばら撒かれてどうのって―― あたしその動画の中でたくさんたくさん助けてって、ごめんなさいもうしません許してくださいって、泣き叫んだの。 でも誰も助けてくれなかったし、許してくれなかったし――ましてやそれを見て、バカみたいって笑う人だっていたの。 だからね、「わかった」。期待するだけムダなんだって理解したから――何かを嫌いって言うの、やめただけ。 ぜんぶぜーんぶ好きってことにしとけば、ラクだから。恨んだり憎んだりするのは、あたし苦手だから。 【――ぜんぶ本当のこと教えてあげる。つまるところ博愛主義者の仮面を被った、誰よりひどい厭世家だってこと】 【受け入れるフリして諦めてるだけなんだって。それを愛してるって言っていいのか、本当はわかっていないんだって】 【本当はこんなに非道い女の子なんだってこと、あなたにだけ教えてあげるから。旦那様にも教えたことないんだよ?】 苦手だし、疲れるから、好きってことにしてるの。雨も、バスも、ピーマンも、全部―――― 【だって、】 ――――――――――全部愛してる。だから鈴音は、あたしの、 【「ともだちだよ」。 ――――彼女から告げられるファイナルアンサーはそれだった。それはとても卑怯な手法で】 【好きとも嫌いとも言ってない。靄が出ているのをいいことに、回答までもを煙に巻いた。だけどそれはどこまでも】 【どこまでもどこまでも――真実だった。だって現に今、世界中であなたにだけ本当のこと教えてあげてる】 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1553300109/235
236: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga] 2019/05/16(木) 22:58:32.44 ID:6z+14K+X0 >>235 【彼女はずっと俯いていた。眼差しは"こう"なってから一度も合っていなかった。だから口元の仕草ばかりを見せていた。なら、たぶん、赤い靴しか見ていない】 【あるいはそれすら恐れ多くて、地面の草でも見ているのかもしれない。――だから泣きたくなった、教えてくれたこと、教えてもらったこと、そんなのあんまりに敵わない】 【だってわたしがされたのは結局どこまでも個人的な出来事でしかなかった。何度かあった死を積み上げてみたって、貴女のいるところには届きやしないんだと(わかっちゃうから)】 【今すぐ消えてしまいたかった。神様は乗り越えられない試練を与えないなんて嘘だった。自分が乗り越えられなかったものを乗り越えてゆく人たちを、世界はそれから目を逸らすなって意地悪を言う】 【誰からも同情されてしまえる弱者になってしまえたならどれだけ良かったのだろうって思ってしまう。だって優しくないから。優しい子はこんな風に思わない。思うはずない。だって、優しいから】 ――――――――、、 【――嫉妬に狂いかけた歯列が軋む音がした、獣みたいな醜い吐息を漏らさずに済んだことだけが一生のうちで一番誇れる出来事なのに違いなかった。だとしたら】 【ふわふわのお洋服はどこまでも死に装束、一生懸命に何か隠そうとする薄霧すら死に化粧に過ぎず、なら最後に全部燃えてなくなっちゃって終わるから、畑に撒いてしまってほしい】 【そしたら今度こそ世界を滅ぼしてみせる。人間が大好きな犬ならお花を咲かせてくれるけど、人間が大嫌いな蛇だから未来永劫一ツだって花なんて咲かなくしてあげるって】 【もっと深く俯くのなら、あるいはそのまま座り込んでしまいたいのかもしれなかった。子供みたいに振る舞うには、少し、大人になりすぎてしまったけど】 どして、 【だから彼女は沈黙を返した。それが一秒でも十秒でも一分でも百分でも七分でも十三秒でも何でもよかった、彼女の中で「なにか」が終わるだけの時間、それだけの時間を沈黙し続けて、】 【そしたらもしかしたら百年だって待たせてしまうのかもしれなかった。――そんなはずなかった。だって百年も大事な貴女を隠し続けたなら、わたしはやっぱり許されないから】 【だれかを怒らせてしまうまえに言葉を返してあげる、――だとしても、なにか不明瞭なノイズとよく似ていた、長い前髪に委ねたままの表情が何かを訴えていた、付点四分休符いっこ、】 ――――――――――――――――――――――――――――っ、かんないよ、なんで、やめちゃえるの!? なんで、……、なんで、…………、ずるい、……ずるい! わたし、だって、――――――――――――わたし、だって、 【"睨みつける"視線が、けれどひどく濡れていた。だから視線なんて涙のせいで乱反射、どっかに飛んでっちゃって、貴女に届くころにはうんと弱くて、ちっとも怖くない】 【泣いてしまっていた、そうして初めて目線がきちんと向けられた。そして訴えるのなんてやっぱりちっぽけな言葉、うらやましいって言いかえることも知らない、子供みたいな嫉妬】 【だって苦手なことだって我慢しないといけないんじゃないの? ――そうやって信じて我慢していた。――我慢するのをやめたらやはり分かりきっていたことになった、ゆえに】 【嫌い/苦手だからってやめてしまえること、やめてしまうことができること、わかんないしわかれないみたいに。だから魔法を使っているみたいに見えた、なんでもできちゃう魔法に見えたら】 【――――ずるい、って、また、繰り返す。言葉にならない「ずるい」のなりそこないも。かわいそうに死産した言葉の亡骸は見せつけるほど多くはなら/なれなくて、だから、】 わたしを、 【(不明瞭な声のくぐもり、)(いいこにしないで/えらいこにしないで/すごいこにしないで)】 【(誰かに何かあげるのはわたしが何か欲しいからなの)(誰かに優しくするのはわたしが優しくしてほしいからなの)(誰かに笑うのはわたしが笑ってほしいからなの)】 【(誰かに食べさせてあげたご飯はいつかのわたしが食べたかったご飯だし)(誰かに掛ける言葉はいつかのわたしが掛けてほしかった言葉だし)(わたしの全部はわたしがしてほしいことでできてて)】 【(それをいいことだって、えらいことだって、すごいことだって言われたら、どうしたらいいのか分からないの)(――きれいじゃないわたしを閉じ込めてしまう音)(厳重に鍵をする音)】 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1553300109/236
237: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga] 2019/05/16(木) 22:58:49.24 ID:6z+14K+X0 ………………………………ほんとに? 【――だから、もしかしたら、友達だっていないのかもしれなかった。だって、好きって言ってもらえないと、その人への好意すら正当化できないのに、】 おともだちになって、くれる、の、? 【お友達なんて関係は不明瞭が過ぎて、だから、(だから?)(言い訳)(怖いだけ)(甘えてるだけ)(本当に?)(たぶん、ほんとうに)】 ほんとうに? 【だからやっぱり笑っていた。――それでもさっきよりはいくらも人に見せられる顔をしていた、】 本当に? 【本当に。】 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1553300109/237
238: ◆S6ROLCWdjI [sage saga] 2019/05/16(木) 23:14:09.20 ID:phMFLjPA0 >>236 【相も変わらず笑っていた。怒られたって、嫉まれたって、怒鳴られたって、平気】 【そんなことよりもっと怖いの、知ってるから――いつかこうやって、あたしたち喧嘩したことあったよね?】 【あの時はあたしが怒鳴ってた。そしたらあんた、怖がって、泣きそうになって、震え上がってしまったから】 【――――だからそっちのほうがよっぽど怖かったよ。あんたがあたしを恐れて、二度と会えなくなるほうが余程】 さあ――――なんでだろ。……鈴音ほど、まじめじゃなかったからかな。 本当は、心の底から幸せになりたいだなんて願ったことすらなかったのかも。それくらいに、 あたしずるい子なんだよ。そう、ずるいの、ずるくって、すぐ逃げる、……あんたと違って。 本気の本気で幸せになろうと頑張ったあんたと違って――――あたし、ダメな子でしょう? 【だから今度の声は朝日よりよほど鮮烈に、はっきりと輝いて耳に届かせた。こんどこそあなたを否定する】 【否定する。否定する。否定する。鍵をかけるの? じゃああたしのとっとき、引っ張り出してこようかなあ】 【あんたには見せたことなかったっけ。大砲。ぶっ放すと天井だって落としてしまえるの。……もう、逃がさないよ】 【幻覚。教室。女の子たちはめいめいグループを作ってる。3人か4人くらいで固まって行動しているの】 【校則なんて怖がらずに好き放題アクセサリーを付けてくる子たち。机をいくつか寄せ合って勉強してる子たち】 【あるいはちょっとアニメっぽい表紙の文庫本、挿絵のページを開いてきゃあきゃあはしゃぐ子たち――の中で】 【きっとあたしたち、ひとりぼっち、ずつでしょう? あたし、ひとりでケータイ弄ってる。義理のハートが飛び交うSNS】 【そしたらあんたは何してる? 本読んでる? ……だとしたらきっと料理本かな。それをどうアレンジするか、迷って】 【 ふっと瞬きした瞬間に何かきらめいた気がするからさ。そっちを見たら――もしかしたら、目が合ったり、しなかった? 】 【(少なくともあたしはそうだって信じてるよ。信じてる。これは神様に捧げる祈りとは、違くて、)】 ホントに決まってるでしょ、ばーか! 【両腕、伸ばして見せるから。祈りのために組んでなんかやらない。抱き着きたいなら飛び込んでおいで、の、ポーズ】 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1553300109/238
239: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga] 2019/05/16(木) 23:51:25.30 ID:6z+14K+X0 >>238 【ならば今度は怯えた子なんていなかった。それよりも嫉妬していた、うらやましくって、ねたましくって、――震えてしまうとしたなら、多分、そのせいだ】 【ずるいずるいって言って泣きじゃくって肩を震わしていた、苦手だからやめちゃおうって思いついたことも、それをしてしまえたことも、そのための勇気があることも、】 【いろんなことなんでもかんでもずるく思えて仕方がないんだから、なんでも手渡したくなる、だってほしいから/なのにもらってくれやしないんだってもう知ってるから】 ――――――――――――――――っ、 【涙がぼろぼろ溢れては落ちていく、そのたんびに透明でまあるい水面は光を悪戯に弄んで、彼女のまなざし、ところどころ赤く、黒く、宝石の煌めくみたいに】 【そうしたら宝石の涙を流す伝承のエルフみたいにも見えてしまうんだろうか。だったら彼女はきっと泣き虫だから、うんとうんと儲かるに違いない】 【――ぶんぶんって首を振る仕草にしぶきが散った、いろんな言葉に一緒くたに返してしまうのは狡い仕草、なら彼女だって狡くってしかたないのに、】 【そんなのごまかしちゃうみたいに、――広げられた両腕、納まる暖かさはありふれた平熱の温度。そうして伝わるのは女の子らしいと呼ぶには少し憚られる感触なのだとして、】 【せめてふわふわの衣服が隠しこんでくれるだろうか。だってそのために着てるんだ。痩せてかわいくない大人にもなれない無様なものを隠してしまいたい、そんな理由で、】 【暑苦しい姫袖だって溢れんばかりのフリルだって窮屈な編み上げだってがんじがらめのリボンだってなにもかもなにもかも全部、世界に対しての武装、武器で防具で、そのためだから】 【――――――ひぅ、なんて、ごく情けない音がした。そのすぐ耳元で。だって彼女は間違いなく飛び込んできた、人懐っこい犬よりなんにも疑わなかった】 【なれば続くのなんて子供みたいな嗚咽なんだろう、――山の中に響いていく声、もしも誰かが通りがかって聞いたなら(そんなことはありえないんだけれど)、精霊の歌声と間違うかしら】 【とりあえず確かなのは、それを耳元で聞くと結構/相当/かなり/――――――、だけれども、】 ――――――ごめん、なさいっ、ごめん、なさぃ、わたし、――わたし、だって、ら゛って、――っ、――――っ、 ――ひっ、ぅ、っ。っっ。……――っ。わたし。わたし、――夕月ちゃんのいってくれた、こと、きこえてた、 ないて、くれてるの、――しってた、しってて、――、しってて、むしした、――、しらない、ふり、した、だって、 だって、みんなに、おなじようにして、ほしくて、 ――――かみさまなのに、それだけじゃやだって、――、がんばったから、――いっぱい"いいこ"したから、だから、だから、 【妖精の歌声にも精霊の歌声にも程遠いなら結局どこまでも蛇の鳴き声/そして蛇は鳴くはずないから、だからやっぱり何かおかしくて、(だって彼女は蛇なんだ)】 【ぎゅうって抱き着いた身体に抱きすがるのは放してほしくないんだろう。このまま手を離されてしまったら消えてしまうんだろう。だからめいっぱい力を込めてしまって】 【なら彼女にだって謝ることがあった。いつかのこと。あの時に名前を呼んでくれたこと、――――無視していたこと、謝る、告げる理由なんてどこまでも自分勝手が過ぎていた】 【いっぱい頑張ったから/勝手に】 【めいっぱいに"いいこ"をやったから/勝手に】 【苦手な"いいこ"をいっぱいいっぱい頑張ったんだから/勝手に】 【――頑張ったからご褒美をください/世界を滅ぼしちゃえるくらいの神様に/そうじゃないと世界なんて滅ぼしてやるという脅しを添えて、】 (【――――開け放たれた窓から緩く風が吹き込んだ。薄クリーム色のカーテンが揺れて、窓辺でしゃべくっていた男子どもを巻き込んだ】) (【ふざけた悲鳴と笑い声にわずかに目線を上げた、――特別な友達なんていなかった。別に誰かに嫌われてるとか、無視されてるとか、たぶんそうじゃないけど】) (【なんとなく誰とも仲良くなかった。誰に向けてでもない溜息をついて、図書室で借りた外国のレシピをまとめたような本に目を戻しかけた、刹那に、】) (【ふっと目が合って、――――無視するには気が引けるから曖昧な目礼をした、そしたらなんだかそのあと気になっちゃって、ああそうだ、】) (【このよくわかんない食べ物について、検索してもらえたりしないかな。――――だって今日携帯電話、家の玄関に忘れてきちゃったもん】) ごめんなさい、 【その結果がどうだったなんて記すまでもないんだから、】 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1553300109/239
240: ◆S6ROLCWdjI [sage saga] 2019/05/17(金) 00:09:19.88 ID:/SPIJ+VB0 >>239 【抱き留める。やっぱりこの靴履いてきてよかったなと思う、だってヒールがなかったらあたしあんたより背が低くて】 【……ああでも、あんたもヒール履いてるから意味ないかな。でも、低すぎるので受け止めるより余程マシ】 【つかまえた。そしたら艶やかな黒髪に、鼻先を埋める――いいなあ。あたしこんな癖っ毛だから、】 【こんなにきれいなさらさらストレート、憧れちゃってやまないよ。(それでもそんなの関係ないってきっと言ってくれる)】 【細い背を撫ぜると、背骨がひとつふたつみっつ――きちんと並んでるのがわかるから】 【だから誰にも文句なんか言わせない。あたしもこの子もここに居て、それはなんにも間違いじゃない】 【確信して目をぎゅうと瞑るなら――彼女の目からも涙がこぼれた。拭わない。二人ともにそんな、余裕なんてない】 うん。――――――うん。いいよ、なんにも、怒ってない。 ホントだよ、ねえ――もうあのヴェール、誰かにあげようとしたりしてないんでしょ? そうだったら、それだけでいいよ。……あげてたら怒るけど、ふふ………… 【精一杯に抱きしめ返して返す言葉は、やっぱり何かずれていた。でもそれでいい気がした】 【もう一回それ被ってきてよ、なんてのはさすがに我儘がすぎるから、言わないでおいて――何度も何度も】 【あやすように背中を叩く。そのたびいいよって返す、馬鹿げた大人の儀式だとわかっていて】 【だって本当に怒ってないから。あんただってきっと、怒らないでくれていたんでしょう? わかってるよ、知ってるよ】 【あんたは勝手にやってたことだと言うけれど。そんな勝手な行動でも、確かに誰かが救われてたの】 【 「――――なに? それ何語の本なの、ちゃんと読めてる? 翻訳アプリ探してあげよっか」 】 【 けだるげな声は一瞬だけでもあんたを怯えさせてしまうだろうか。だとしたらばつの悪そうに、視線、逸らすから 】 いいよ。あたしは白神鈴音の全部を許す。だからね―――――― 【「あんたには、あたしのこと、見ててほしいな。さいごまで」 ――はいこれ、って言いながら差し出すスマホと似たような気軽さで】 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1553300109/240
241: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga] 2019/05/17(金) 00:54:27.00 ID:yufS24Si0 >>240 【だから彼女は子供なんかじゃなかった。それどころか平均より背は伸びてしまって、なのに身体がちいとも女の子ぽくならなくて、それがずっと恨めしくて】 【どれだけ食べたってちっとも丸みを帯びない身体に辟易していた、ほんのもうちょっとだけでも胸が膨らんでくれたら、その何倍も自信が持てたに違いないのに】 【それからこのまっすぐに落ちるばっかりの腰元だって、途中でほんの一センチ、ううん、二センチ、……、三センチくらい、へこんでくれたなら】 【そこまで来たら、後は、ぺったんこのお尻だって、あとちょっとだけ、ふわふわのパニエ一枚分だけでいいから、女の子みたいに、なってくれたら、……】 【――だからせめて着飾った、ふわふわのフリルとレースとに全部を隠してしまって、それから、真っ黒色の髪の毛、烏よりよっぽど大事に見繕いして、お風呂だってたっぷり入って】 【"幼馴染"の子がくれた林檎の香りの香水をほんの少し。そしたらやっと少しだけ自身が持てた、鏡越しに睨む自分のまなざしが少しだけ和らいだ気がした、――だのに】 【抱き着いてしまったら本当に全部バレてしまう。がりがりに痩せた身体。ふわふわのお洋服は全部はりぼて。髪の毛は確かに真っ黒くて艶やかだけど、林檎の香水は今日してない】 【それに何より醜い言葉だって吐き出してしまった後だから、その全部が無意味になっていた、どれだけ着飾って誤魔化してみせたって、醜悪で痩せぎすな本性、バレちゃったから、でも、】 【もしかしたらおんなじかしら。誰にも言ってないほんとの気持ち伝え合ったなら、「すき」も「きらい」ももらえなかったけど、「おともだち」、――それも確かに大事な言葉】 ごめんなさい………………。 【ちいちゃく揺らした首が何度目かも分からぬ謝罪を繰り返したなら、ぎゅうってすがる指先、一から十まで、全部そろってるって、その背中に伝えていた】 【誰にもあげてない。それだけが答えだった。だから多分怒られないで済んだ。その肩口に何度も何度も雫を落とすなら、あっという間に肩のところをびしょびしょにしてしまって】 【あるいはきれいな赤色の髪だって濡らしてしまうんだろう。それでも二人やっぱりそんな余裕ありはしないから、――だから、せめて仕返しに、彼女の髪だって濡らしてよかった】 (【「一応**語だけど、……、たまに翻訳変なところあるし、なんか、知らない食材を当たり前に使うから、よくわからなくって」】) (【「携帯忘れちゃったの、――――*****って食べ物、なに? やさい……? っぽいけど、野菜の……なに? なんて草がどうなってるやつなの? 味は?】) (【あまり怯えた風な様子は見せないのだろう。変なところで気が強かった。そのくせ変なところで気が弱かった。そういう子だった。だのに机のとこ、簡単に取りついて、】) (【ありがとって笑って一緒に調べものタイム。なんとなくわかっちゃえば、二人で同じ本覗き込んで、謎の食材を推察したり、誤植を探して、そしたら、なんか、気が向いちゃって】) (【二人での土曜日、外国の食べ物ばっか売ってる市場行ってみようよなんて話にだってなっちゃうのかも。そしたら帰りに動物園でパンダでも見ようか? パンダが先でもいいんだけど】) (【そしたら次の日曜日には買ってきたもので一緒にこの料理作ってみよう。よくわかんなくなっても文句はいいっこなし。おいしくなくっても誰も責任取りません。そんな、約束して、――】) http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1553300109/241
242: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga] 2019/05/17(金) 00:54:43.24 ID:yufS24Si0 >>240>>241 ――――――――――――――――――――――うん……。 【――耳と耳を擦り合わせるように頷いた、濡れてしまった髪の毛同士を絡ませるように、そしたら赤と黒、交じり合って、彼女の目の色みたいになるのかしら、なんて?】 【ちぐはぐな色した目はきっと違う世界を見せていたんだろう。いいこの世界とわるいこの世界。たぶんそう。なら今は交じり合ってしまって、やっと初めて、普通の子、なんて?】 【そんな風に言っちゃうのは大雑把すぎるのかもしれないけど。それっぽちじゃ何もかも言い訳には足りないのかもしれないけど。だからきっとなんにも足りないんだけれど、】 【やだって言わない。さいごなんて言わないでほしいなんて言わない。だって、――だって、夕月はずうっと味方でいてくれた、恩返しにはまだまだ足りないけど】 【ねえだってお友達が、――自分のいのちに納得できないままだなんて、そんなの、嫌だから、(だから、)】 ありがとう――――――。 【許さなくっていいから、さいごだなんて言わないで、――そんな風に言える勇気なんてありはしないんだ。許してほしい。何を。――わかんないけど、たぶんきっと、なにもかも】 【だからいつしか霧なんて出ているはずもなかった。足元には薄っぺらい水鏡なんてなかった。だからここは間違いなく現世で、だのに向こう側に覗き見える桜の花だけ、変わらない】 【だけどとりあえず蛇たちはいなくなっていた。多分帰っちゃってた。お見送りが必要なら彼女がするんだと思われた。――もちろん、もっと、おしゃべりしていても、いいから、だって、】 【(ずっと味方でいてくれて)(こんなところまで来てくれて)(秘密のお話してくれて)(許してくれて)いろんなこと全部、全部、――ありがとう、伝えきれて、いないから、】 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1553300109/242
243: ◆S6ROLCWdjI [sage saga] 2019/05/17(金) 20:43:06.92 ID:/SPIJ+VB0 >>241-242 【体型など知ったことではない。そもそも自分だってお世辞にもいい体してるなんて言えないし】 【ましてやあたしたち友達なのに。目一杯オシャレして可愛く見せなきゃいけない恋人とのデート、】 【そんなシチュエーションでもないんだから――深夜にこっそり、部屋着のまま家から抜け出して】 【コンビニでスイーツ買って駐車場で食べちゃうヤンチャも、いくらだって、できるでしょう?】 ありがとうはこっちのセリフ――――やっぱあんた、やさしいよ、鈴音。 【だからわかってる。また何か、言いたいこと我慢してくれていること――わかるから、】 【またごめんなさいって言いそうになるのをなんとか留める。無限ループになりそうだから】 【やさしさに甘えて、話題を変えるのだろう――「ああ、そうね、この際だから」】 あたし、夕月って名前がホンモノじゃないって言ったことがあったでしょ? 教えたげるよ、あんたの名前はみっつとも教えてもらえたんだから――フェアじゃないじゃん。 シグレって言うんだ。時雨じゃなくて、Segulahって綴って、シグレ――、 …………ユーティライネン。こっちはね、ダンナの姓――シグレ・ユーティライネンっての。 【抱きしめあったままだったらさすがに動けない。だから手を繋ぐかたちに変えて、歩き始める】 【二人並んで帰り道、左手薬指の報告はささやかに――していいものか、すこし躊躇したけど】 【きっとあんたなら祝福してくれるかな、なんて、思っちゃったからさあ、――――、】 【――――、】 【「……えっ。は? 何が何だかよくわかってないモノ、料理に使おうとしてたの?」】 【「なにそのチャレンジ精神……」 ならばこいつは真逆だった。イキがってるくせに、実はビビり】 【だけど打ち解けられたら途端に馴れ馴れしくなる、めんどくさいヤツだった。だからお出かけのお誘い、】 【それには乗るけれど(後に「パンダ、思ってたよりゴツかったね……」と語る、けどキーホルダーは買う)】 【次の日のお料理に関しては弱腰になるのだろう。「料理ムリ、ピーラーないと皮むきできない……」】 【――そんな感じであるから、そのうち喧嘩だってするかもしれない。何せお互い気質が違いすぎる】 【ちょっとした言い合いっこから、クラスメイトの仲裁がかかりそうな危ういものまで。きっとする、】 【だけどそのたび仲直りだってきっとできた、だって、好きも嫌いもどっちもあるのが友達でしょう?】 【だから、――――、】 【――――別れの挨拶に何を用いるか迷っていた。「またね」と言えないのはわかりきっていたし】 【「幸せになってね」というのは……無責任が過ぎた。いくら自分が許しても、世界がそうするとは限らない】 【悲しいけれど理解していた。だからきっと「生きてね」というのも微妙に思えたし、ああ、でも】 あたし、――――鈴音と友達になれて、ほんとうによかった。 【――――、こうやって幻覚と現実とが結びつく瞬間って、きっとたぶん絶対にあるから】 【じゃあね、バイバイ、……桜花鈴音。結局は三人分にことばを渡してお別れ――「さようなら」。】 //こんなかんじで……長い間おつかれさまでした、本当にありがとうございました! http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1553300109/243
244: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga] 2019/05/17(金) 21:31:26.93 ID:qQFbkDZf0 >>243 【――確かにそれでいいのかもしれなかった。だってわたしたちの一番最初は夜の公園で、思い出の中にはホットスナックの香りが漂って】 【ふっとコンビニに立ち寄ったときに唐揚げとかポテトとか気になっちゃう瞬間に、その時のことをほんの少しでも思い出してないかって言ったら、嘘になる】 【思えばあれからたくさんの時間が経っていた。いろんなことがあった(そしてきっと多分ありすぎた)。――だけど変わんないのはあの時食べたジャンクな味、】 【だってきっとおんなじコンビニで同じものを買ったって、もうレシピは変わっちゃってるんだ。だから思い出の中にしかなくなってて、だからこそ変わんないなら】 【無限ループを断ち切ってくれる勇気に甘えて、彼女はそんなことないって言わなかった。――だからやっぱりどこまでも甘えていた、ひどい話】 【それこそ恋人でもない誰かを無理やり犯すみたいなことをしたのに、――おともだちって言ってもらえて喜んでいるから、やっぱり悪い神様の成れの果て】 【だとしても今更何にもなれぬ残滓でしかなくって、たぶん、むかしの信者に見せたなら「これじゃない」って言われちゃう、そんな、ものだけど】 ………………………………――――、 【ぱちりと瞬きをした、教えてくれたことが嬉しいみたいに少しだけ緩む眼差しを覆う長い睫毛が震えるようにゆっくり瞬いたら、黒と赤のはざまの視線、蕩けるように赤く帯びて】 【あなたの赤色をまねしたって言うには少しだけ何か違うのだけれど、――繋いだ指先の温度はそれでも互いにきっと生きているから、汗ばんでこそないけど、湿っぽいから】 (【「……どんな味か分かってたら、あるもので作ってもいいけど。こんなの聞いたこともないし、なんだかもわかんないし……」】) (【「そもそも**語になってないし。……見てこれ、「し」と「レ」がごっちゃになってるし、「ラ」が「う」になってる」】) (【――もしかしたらあんまり信用できないたぐいの本なのではないかとそろそろ思えてくるところだった。それでも出来上がりの写真はなんだかおいしそうだから】) (【やっぱり信じてみることにしよう。おいしくなかったとしても一人で食べないならネタにもできる。――自分だけで作ってマズいんじゃ、単なる失敗作じゃない?】) (【(だから彼女の感想は「パンダって、――結構汚れてるよね」。言いながらお揃いのキーホルダーを買う。それから、ほんとのパンダの赤ちゃんと同じ重さのぬいぐるみも】) (【それからマヌルネコとか見ちゃうんだろう。かわいく撮れるまで粘ってみるけど結局ブレたのしか撮れなくて。せっかくのマヌルネコもブレブレじゃいいねだって二つだけ】)】 (【タピオカでもシバいてお行儀の悪い歩きスマホ、キーワード検索で別の人が撮った写真なんて見て、「これ絶対べつの動物じゃん」……ぶーたれる】) (【「はいじゃあどうぞ」当たり前にピーラーを渡してくる笑みが悪戯っぽかった。そういうふうに人をからかう方法を知らないではないのだと、見せつけていた】) (【そして二人一部翻訳の怪しいレシピ片手に、ときどき検索も駆使して、レシピサイトも見て、――やがて完成する謎の食べ物、見た目はレシピ本とおんなじ、味わいは、】) (【――――本物を知らないから比べられはしないけれど、まあ、それなりにおいしいものができるのだろう。感激するほどおいしくはないのが、午後の気の抜けた気温とおんなじ】) http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1553300109/244
245: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga] 2019/05/17(金) 21:31:39.28 ID:qQFbkDZf0 >>243>>244 【「――――シグレって呼んでいい?」】 【だからきっと声は二重に重なった、山の中の景色と、それから、よくわからない謎のお料理を食べながらの景色と、】 【変に気が強いくせに変に憶病だから。教えてもらった名前をすぐに呼んじゃう勇気も、知ってた名前を呼ぶのに二日も必要な勇気も、どっちも等しい量】 【手つなぎで歩くなら彼女が少しだけ先導するのだろう、ならば帰りはずいぶんと楽な道を選んだようだった。――それでも厚底二人なのだけど】 【やがてだいぶ平坦なあたりに出れば、――――彼女はそこで立ち止まるんだろう。一緒には行けないみたいに。単に気まぐれで行かないみたいに、】 わたしも、――――――…………、 【――故に、ふっと手が離れる瞬間。もう二度と会えないんじゃないかと思ってしまいそうな瞬間。その指先に伝えるのは、一つ小さな転がり】 【見るのなら、――限りなく白く青色の珠が一粒、残されているのだろう。到底宝玉などとは呼べなくて/それでもありふれた石よりは何かを帯びているから】 おまもり 【――――微かに湿り気を帯びた石は清く水の魔力を帯びていた。この場所と同じだった。ならば石も、この場所も、ましてや彼女も、貴女を拒むはずないから、】 【あるいはいつだって逃げ込んできたっていいのかもしれなかった。悪いものは来ないから。入れないから。――――――、わたしが結界を引き継いでもいいでしょう】 【だけど/だから/そんな風に思ってしまった、思えてしまった、「ばいばい」って投げかけた背中を見送って。伏せる眼差し、振り向きざまの決意、】 【(誰に?)(私に)(あたしに)】 ……………………わたしも、かえるよ、おうちに。 【だって友達にお願いされちゃったから、(見ていてって)】 /おつかれさまでした! http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1553300109/245
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