堀裕子「福井で人気のさいきっくサキュバスです!?」モバP「えっ」 (33レス)
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29: ◆FreegeF7ndth [saga] 2020/06/07(日)23:21 ID:l/v3zoKYo(29/30) AAS
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「……ふぇ? プロデューサーが、私の担当じゃなくなる……え、え?
いやな冗談ですねー。じゃあ、誰がアイドル・エスパーユッコをプロデュースしてくれるんですか?」
担当交代とか悪い冗談だと思った。私にとってプロデューサーはこの人しかいなかった。
エスパーアイドルのことを本気で考えてくれたの、私の次はこの人だったもん。
だから「プロデューサー」なんて紛らわしい呼び方を続けてる。わざと。わざとだよ?
この事務所だけでもほかにプロデューサーという立場の人はいっぱいいるから、
紛らわしいよ、止めなさいって言われても、訂正しない。ずっと続けてるとみんな諦めてくれる。
私のバカっぽいキャラが幸いしたのかも知れない……複雑だなぁ。
「そいつは心配しなくてもいいと思う。こんなことになって手前味噌だが、
俺がユッコに、エスパーについて散々ツメたからか、だいぶ軸がしっかりしてきた。
そろそろ他の人のプロデュースでも、ブレないぐらい成長したと思う」
プロデューサーは、なんかそれらしい響きのことを言ってるけど、
私に分かったのは、それがウソということだけ。
あなたは私のことをそんなに分かってるはずがない。
私が『アイドルやってて楽しいか? 幸せか?』なんてことさえ、聞かなきゃわからなかったくせに。
「……はぁ? それって、じゃあ……なんです? まさかとは、思いますけど」
プロデューサーが私に『イメージがズレすぎてないか、絶えず確認しなきゃ』ってやってたのは……。
私を、そうやって、あなたから……卒業? させるためだったんですか?」
「そうだな」
「ウソですね。さいきっくなんかなくてもわかります」
プロデューサーは、私に意地悪なほどツメてきた時と比べると、だいぶ鈍くなってた。
私のことをわからないと言ったそばから、私の軸がしっかりしてきた……なんて言って、明らかな後付。
「……楽しく元気にやっていけるかどうかの責任を持つ、なんて言ってくれたあなたが、
こんなお粗末な説明なんて、私でもおかしくて笑っちゃいますよ」
私は自分の椅子を立って、プロデューサーが座ってる方へ掴みかかるように迫った。
プロデューサーが担当を降りてまで私を遠ざける理由は、きっと別にある。
「ユッコ、突然のことで、説明不足で、納得行かないのは……わかる。悪いのは、俺であって――」
「――その『説明不足』の原因に、私、心当たりがありますよ?」
「ゆ、ユッコ……!?」
「……と言ったら、どうですか」
あのプロデューサーが、こんな重大なこと私に説明するのに言いよどむ原因なんてそうそうないはずだし、
私の記憶の範囲では、それにあたりそうな原因なんて一つしかなかった。
「……私で、えっちなこと考えちゃうから、私と、えっちなことシたいって思っちゃうから、ですよね」
プロデューサーの目と、体温と……あと、固くなっている一部の器官は、
言葉よりもずっとハッキリと、私の尋問に答えを返してくれていた。
「……図星、ですかっ。ふふっ、そーですか。そーですかっ」
「ユッコ……その、あの……」
やった……やった! 私、プロデューサーの近くの女の人――アイドルも含めて――の中で……
「……ユッコに、そんなこと言わせて、本当に申し訳ない……」
「つまりプロデューサーからだと、私が一番オンナとして魅力的に見えたって、おかしくなっちゃうぐらい!」
「あ、あぁ……まぁ、そう、そうなんだが……」
「ですよね! ねっ!」
……最初のソロステージで最初の曲を披露した時とは明らかに違うけれど、
それに負けないぐらい嬉しくて、うっかりするとぴょんぴょん跳ね回ってしまいそう。
ふふ……ここまでトリコにしてしまったら、もう絶対特権を主張してもいいでしょう。
わたさないわ! 絶対! 絶対! 絶対! 絶対! 絶対に!
あの人の瞳には、透き間無く、わたしだけ……なーんて。
……あれ?
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