北条加蓮「藍子と」高森藍子「見てあげているカフェテラスで」 (31レス)
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1: [sage saga] 2020/11/01(日)19:38 ID:pPHQRd1B0(1/31) AAS
――おしゃれなカフェテラス――

高森藍子「――はいっ。季節のタルトと、コーヒーを2人分、お願いしますっ。えっ、コーヒーは食べた後か一緒にかですか? う〜ん……では、一緒にで♪」

北条加蓮「お願いね、店員さん……」ジー

藍子「……? 加蓮ちゃん、どうかしましたか?」

加蓮「……頭撫でていい?」
省4
12: [sage saga] 2020/11/01(日)19:44 ID:pPHQRd1B0(12/31) AAS
加蓮「あぁ、店員さん。相変わらずいいタイミングで来るねー。見計らってた?」

藍子「タルト、すごくおいしかったです。ごちそうさまでした!」

加蓮「で、嬉しそうに早歩きで行くのもか。いつも通りって感じだね」

藍子「あはは……」

加蓮「ま、別に嫌なこととか、Pさんへの愚痴とかじゃないんだけどさ。ただこう、悪どいなーって思ったのとか、んー……。藍子も一緒に参加する?」
省5
13: [sage saga] 2020/11/01(日)19:45 ID:pPHQRd1B0(13/31) AAS
加蓮「さすがにチャイルドスモックはキツイでしょ? いや藍子がやるっていうなら全然オッケーだけど、私も……うん。見たいかって聞かれると微妙だし。ほら、今の小学生の流行なら熟知してますからっ。なんたってお仕事でいっぱい知れたしねー。さーてどんなコーデにしよっかなー。あれがいいかなー、これがいっかなー」

藍子「待ってくださいっ。どうして、そこで小学生の服が……? えっ。もしかして、私はプレゼントをもらう側ってことですか?」

加蓮「何言ってんの。当たり前でしょ」

藍子「なんで!? 私がやりたいのは、サンタさんの方ですっ」

加蓮「えー」
省1
14: [sage saga] 2020/11/01(日)19:45 ID:pPHQRd1B0(14/31) AAS
□ ■ □ ■ □

加蓮「あ、そうだ。藍子、1つ相談いい?」

藍子「はい。何ですか?」

加蓮「私のことじゃないんだけど。ほら、ちびっこ向けの番組に出ることが増えたって言ったじゃん」
省4
15: [sage saga] 2020/11/01(日)19:46 ID:pPHQRd1B0(15/31) AAS
加蓮「で、ご飯でピーマンの料理ばっかり出してるみたいだったの。なんでって聞いたら、最初に作ってあげた料理を美味しいって言ったからみたい」

加蓮「なんだけど、その子が美味しいって言ったのはお母さんの料理のことで、ピーマンのことじゃなくて……」

加蓮「あと、その子、最近反抗期……ってほどじゃないけど、素直じゃないことを言うことが増えたみたいで」

加蓮「素直に、お母さんの料理を美味しいって言えなくなっちゃったんだって。でも……いい機会だから、って、素直に美味しいって言って」

加蓮「そうしたらお母さん、ちょっぴり涙ぐんじゃった。私、お礼まで言われちゃったんだよね。ちょっと恥ずかしかったなー……感情移入してたし、私も少し泣きかけてたなぁ……」
省7
16: [sage saga] 2020/11/01(日)19:46 ID:pPHQRd1B0(16/31) AAS
藍子「少し、しんみりしちゃった空気も、みんなで笑えばやわらかくなりますね。次の子も、相談しやすくなったのではないでしょうか」

加蓮「よく分かるねぇ。あ、それで相談なんだけど」

藍子「他の誰かの、質問のことですか?」

加蓮「うん。一応その場では解決ってことになったけど、ちょっとピンと来てなくて……」

藍子「ふんふん」
省7
17: [sage saga] 2020/11/01(日)19:47 ID:pPHQRd1B0(17/31) AAS
加蓮「でさ。私は……自分で言うのも何だけど、夢、叶っちゃってるじゃん」

藍子「そうですね。アイドルになりたいっていう夢……加蓮ちゃんは、立派に叶えてます」

加蓮「それに、やりたいことがあったら大抵のことはできちゃうんだよね。自分で企画を考えたり、Pさんが叶えてくれたり」

藍子「うんうんっ」

加蓮「だからかな。私は……自信とか、自分の力とかより前に、できることはできるんだって分かっちゃってるから」
省4
18: [sage saga] 2020/11/01(日)19:47 ID:pPHQRd1B0(18/31) AAS
加蓮「……絶対、やっちゃいけないことなんだけどさ。藍子、これホントに誰にも言わないでね」

加蓮「収録が終わった後、その男の子と約束したの。本当はもっといい答えがあると思う、だけど今は思いつかないから思いついたら教えてあげる、って」

藍子「……?」

加蓮「いや、ほら……。さすがに特別扱いしすぎじゃん。こんなのバレたら怒られちゃうよ」

藍子「あ……そっか。そうでした」
省5
19: [sage saga] 2020/11/01(日)19:48 ID:pPHQRd1B0(19/31) AAS
藍子「あれはその……Pさんが選んでくれたファンレターには、すごくたくさんの想いが綴られていて……。そうしたら私も、1人1人に応えてあげたいなって」

加蓮「……」

藍子「……ごめんなさい」

加蓮「ん。まあ、いいと思うけどね。Pさんも許してくれたんでしょ?」

藍子「はい。でも、夜遅くまで付き合わせてしまいましたから……」
省9
20: [sage saga] 2020/11/01(日)19:48 ID:pPHQRd1B0(20/31) AAS
藍子「……ちょっぴり。私も――加蓮ちゃんと同じ、って言ったら、加蓮ちゃんは怒るかもしれないけれど」

加蓮「え、なんで?」

藍子「だって加蓮ちゃん、よく、自分の気持ちを分かったつもりにならないでって……」

加蓮「あぁ、……あははっ。それはほら、ね?」

藍子「……む〜。本当は、ぜんぜん気にしていないんですか?」
省5
21: [sage saga] 2020/11/01(日)19:49 ID:pPHQRd1B0(21/31) AAS
藍子「自信がない……勇気がない、ってことなのでしょうか」

加蓮「どうだろ。自分にできるか分からなくて、最後までやり続けて夢を叶えられるか自信がないって言ってたから、ちょっと違うんじゃないかな」

藍子「では、本当に自信がないってことなんですね。う〜ん……。そういえば、その男の子のまわりには、誰か、夢を応援してくれる人っていないんですか?」

藍子「私も、やりたいことがあって、自信がないって時には、よく背中を押してもらいますからっ」

加蓮「んー……」
省9
22: [sage saga] 2020/11/01(日)19:49 ID:pPHQRd1B0(22/31) AAS
加蓮「応援してあげたいのは、ホントのことなんだけどね。笑われても、ひとりぼっちでも、意地を張って夢を見てる子……ふふっ。昔の私みたいな子だ」

藍子「ひとりで続けることって、きっとすごく難しいことですよ……」

加蓮「だから応援してあげたいの。……世界が広がりすぎちゃうっていうのも、悩みになるんだね。藍子みたいに、もっと1人1人のことを大切にしてあげられる、そんなアイドルだったら今頃こんな――」

加蓮「……、」

加蓮「…………あー」
省5
23: [sage saga] 2020/11/01(日)19:50 ID:pPHQRd1B0(23/31) AAS
藍子「ゆっくりと、待っています。加蓮ちゃんの気持ちが、ちゃんと整うまで……ずっと待ちますから」

加蓮「ん……ありがと」

藍子「いえいえ。でも、これくらいの手助けはいいですよね? すみませ〜ん。店員さん、えっと……考えごとをする時におすすめの飲み物を、お願いしますっ」

加蓮「……あははっ。何その注文ー。店員さん、こんなアホの子の言うことなんて無視――うっわ、いい笑顔で頷きやがった。さては答えを持ってやがるな?」

藍子「よかったね、加蓮ちゃん」
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24: [sage saga] 2020/11/01(日)19:50 ID:pPHQRd1B0(24/31) AAS
……。

…………。

加蓮「ごちそうさま」

藍子「私は、もう少しのんびり頂きますっ」

加蓮「んー……っと。タルト、コーヒー、それからハーブティー。ホント、カフェにいたら悩む気持ちもすぐ消えちゃうね。心が穏やかになって、どこか優しい気持ちになれて……」
省3
25: [sage saga] 2020/11/01(日)19:51 ID:pPHQRd1B0(25/31) AAS
加蓮「……藍子」

藍子「はい」

加蓮「解決方法っていうのは、藍子のことを見てもらうことなの」

藍子「……え?」

加蓮「藍子、いつも頑張ってるよね。苦手なことがあっても、難しいことがあっても、たくさん時間をかけて……無理だなんて言わないで、ずっと歩き続けてて」
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26: [sage saga] 2020/11/01(日)19:51 ID:pPHQRd1B0(26/31) AAS
加蓮「と、とにかくっ。私がやるとどーしても急かしちゃいそうだし、ゆっくりでも頑張ってる藍子の方が、見てて自信になるかなーって」

加蓮「でもさ……。それ、なんか私に向く目を藍子に向けることになっちゃいそうで……。私のファンになってくれそうな子を、自分から藍子に譲ってあげるみたいなことなんだよね」

加蓮「もちろん藍子のことは応援するし、トップアイドルになってほしいって心から思うけど……さすがに、少し抵抗ができちゃった」

藍子「それは……。当たり前のことだと思いますよ。だって加蓮ちゃんだって」

加蓮「アイドルですから」
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27: [sage saga] 2020/11/01(日)19:52 ID:pPHQRd1B0(27/31) AAS
藍子「でも……やってみます。そうやって……想いを背負うのも、アイドルだと思いますから」

加蓮「!」

藍子「それにっ。加蓮ちゃんのお話を聞いていると……。くすっ♪」

加蓮「え、ちょっと何。なんかその笑い方ムカつくんだけど……」

藍子「ううん。困難なことがあっても、ぜったい夢を叶えたい、ちょっぴり意地っ張りな子。……今は、周りに応援してくれる人が、あんまりいなくて――」
省4
28: [sage saga] 2020/11/01(日)19:52 ID:pPHQRd1B0(28/31) AAS
藍子「まあまあっ。いいですよ。私は、何をすればいいですか?」

加蓮「……藍子は、今まで通りでいいよ。私がその子に、藍子のことを見せてあげる。ゆっくりでも歩き続けてる、立派なアイドルさんのこと」

加蓮「だから藍子は……ほんのちょっとだけ、そういう子がいるんだって覚えておいてあげて。それだけでいいから」

藍子「分かりました。……ふふっ。いつかその子と、お話できるといいですね。握手会でも、おたよりでも……。お話、聞いてみたいな。私もいろいろ教えてあげたいですっ」

加蓮「ありがとね、藍子」
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29: [sage saga] 2020/11/01(日)19:53 ID:pPHQRd1B0(29/31) AAS
藍子「でも、加蓮ちゃんも……。できると思いますよ。肩入れや、ひいきではなくて、みなさんを大切に想うこと……」

加蓮「ムリムリ。私なんて自分のことばっかりだしー? 藍子ちゃんみたいな優しい子じゃないの、私は」

藍子「そうでしょうか? ほら、サンタさんの時の加蓮ちゃん……病院の子たちとかっ」

加蓮「……あれはほら、藍子とは違う意味で特別だから」

藍子「特別なんじゃないですか」
省2
30: [sage saga] 2020/11/01(日)19:53 ID:pPHQRd1B0(30/31) AAS
……。

…………。

加蓮「すっかり暗くなっちゃったね」

藍子「今日も、いつの間にかいっぱいお話していたんですね……」

加蓮「どう? "加蓮ちゃんとの時間♪"、まだまだ足りなかったりするー?」
省4
31: [sage saga] 2020/11/01(日)19:54 ID:pPHQRd1B0(31/31) AAS
加蓮「……」

藍子「あんまり遅くなりすぎると、お母さんが心配しちゃうし……加蓮ちゃんの家にお泊りするにしても、連絡しなきゃ♪ その前に、お会計を――加蓮ちゃん? どうかしましたか……?」

加蓮「……藍子が改めて言うから、なんかもうちょっと喋りたくなっちゃったじゃん」

藍子「加蓮ちゃんっ」

加蓮「あーもうっ。でも相談に乗ってもらったし甘えすぎるのもヤダ! ……あとコーヒーもう1回だけ飲んだら帰るっ。泊めてなんてあげないからね!」
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