麻子「……華、さん」 華「はい? (79レス)
麻子「……華、さん」 華「はい? http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1578824020/
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23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [] 2020/01/12(日) 20:29:50.92 ID:zPoxPRfb0 華『そう、ですか……』 麻子「……さっきから私が質問されてばかりだ。私の質問にも答えてくれ。何かできることはあるか?」 華『……わたくしは』 麻子「うん」 華『………………………麻子さん』 麻子「うん?」 華『…………』 麻子「どうした?」 華『…………わたくし、自分がこんなに臆病になれるとは思いませんでした』 麻子「……?」 華『これがすべてお薬のせいなのだとしたら、すごい効き目ですよね』 麻子「そう……なのか?」 華『はい。申し訳ありません、よくわからないことばかり言ってしまって……』 麻子「……よくわからない状況なんだから、仕方ない」 華『お優しいですね』 麻子「五十鈴さんほどじゃない」 華『わたくし、そんなに優しいですか?』 麻子「私はそう思うが。……優しくて、力強くて、頼りになる。沙織たちとはまた違う意味でな」 華『そうですか……ふふっ。嬉しいです』 麻子「少しは気が晴れてきたか?」 華『はい、ありがとうございます。……なんだか、こんな風に麻子さんとお話しすることってあんまりなかった気がします』 麻子「まぁ、そうだな。五十鈴さんは話したかったのか」 華『……そうですね。以前はここまで強い気持ちではありませんでしたけど』 麻子「……そうか」 華『はい。……あの』 麻子「なんだ」 華『もし、差し支えなければでよろしいのですけど……わたくしのことも、名前で呼んでみてくださいませんか?』 麻子「え」 華『いつも沙織さんばっかりお名前で呼ばれて……ずるいです』 麻子「いや、ずるいとかいう問題じゃないだろ……」 華『無理にとは申しません。こうしてお話して下さる時に、ちょっとだけでもいいので……』 麻子「……ん、まぁ、考えてみる」 華『……なんだか面倒な女になってますわね、わたくし』 麻子「沙織よりマシだ」 華『まぁ。結構わたくしを良く思ってくださっているんですね』 麻子「……さぁな」 華『……夜更けにお付き合いくださってありがとうございました。では、また明日』 麻子「あ……あの」 華『はい?』 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1578824020/23
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [] 2020/01/12(日) 20:31:56.54 ID:zPoxPRfb0 麻子「私はい…………は、なさんのことを気持ち悪いとか、思わないから」 華『…………ありがとうございます』 麻子「ん……それじゃ」ピッ 麻子「……」 麻子「(……つ、疲れた……)」ベタ… 麻子「(でも……なんだろうな。嫌な疲れじゃないな。達成感のような……)」ドキドキ 麻子「(……何を達成したんだ。アホか……寝よ)」 〜〜〜〜〜〜 ――翌日 −大洗女子学園演習場− ガィィン―― ヒュポ! 亜美「そこまで! 白チームM3中戦車リー、三式中戦車、ポルシェティーガー、V号突撃砲、全車走行不能! 紅白戦は紅チームの勝利ね!」 桃「わははは! これが我々の力だ!」 柚子「桃ちゃん一発も当ててないよね……」 梓「ていうか、今日撃破したのって全部W号なんじゃ……」 優季「五十鈴先輩すご〜い!」 杏「なはは。やるじゃん」 華「今日はなんだか外れる気がしませんでした♪」ピカーッ 沙織「……なんか今日の華、光ってない?」 優花里「ほんの数日前とは真逆の状態でありますね……」 亜美「ベリベリナイスショットよ五十鈴さん! 貴女の腕なら将来プロリーグだって狙えるわ!」 華「まぁ、どうしましょう〜♪」ピカーッ ぴよたん「まぶしいぞな……」 ももがー「まぶしいナリ……」 ねこにゃー「あれがリア充のオーラですな……」 みほ「……華さん何かいいことあったのかな? 麻子さん知ってる?」 麻子「知らん。美味しいものでも食べたんじゃないか」 みほ「そ、そんなに単純なものかな。アンツィオじゃないんだから」 華「麻子さん!」ガバッ 麻子「みぎゃ!?」 優花里「オォ!?」 華「プロリーグですって! どうしましょう、わたくし家業も継がなくちゃいけませんのに〜!」ギュム 麻子「ぐ、ぐるじい……離してくれ五十鈴ざん……!」 沙織「こ、こんなに舞い上がってる華を久しぶりに見たよ」 みほ「ちなみに前に見たのは……?」 沙織「中学の時に柏餅の詰め放題行事があったときかな」 みほ「あぁ……」 優花里「五十鈴殿って意外と単純というか、純粋なところがあるというか」 沙織「や、でもいきなり人に抱き着いたりするのは初めてかも……」 優花里「なんか幸せそうですねぇ」ニコニコ アハハウフフ ハナセエエエ http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1578824020/24
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [] 2020/01/12(日) 20:35:09.31 ID:zPoxPRfb0 −ファミレス− 華「気分がいいといつもより食欲も増してしまいますねぇ♪」 みほ「お皿が山に……」 麻子「ちょっと食べすぎなんじゃないか」 華「麻子さんは食べなさすぎです! ほら、たくさん食べて大きくなってください!」グイグイ 麻子「や、やめろ! 見てるだけで腹が膨れる!」 沙織「は、華が麻子に餌付けしてる……!」 優花里「西住殿、私のも食べてみませんかぁ? あーんしてくださいっ」 みほ「へ? あ、あーん」 華「ほらほら麻子さんも♪」 優花里「えへへ、西住殿にあーんしちゃいましたぁ」 沙織「……なんかいつの間にか私だけ孤立してるし。なによもーこの状況!」 麻子「た、助けてくれ沙織」 沙織「しらないもん!」 −夜 麻子の部屋− 華『――それでその時、新三郎が喉を詰まらせてしまって』 麻子「んー……五十鈴さん、もう日付が変わるぞ。もう寝た方がいいんじゃないか」 華『あら……もうそんなに経ってたんですね。すみません長々と』 麻子「私は構わんが。五十鈴さんが遅刻したらダメだからな」 華『麻子さんだって早起きしなきゃダメですよ?』 麻子「早く寝てもどうせ起きられないから一緒だ。努力はしてるが」 華『もう、困った人ですねぇ』 麻子「……今日はずいぶんと元気だったな。何かいいことあったのか?」 華『……ええ、昨日の夜に。とっても良いことが』 麻子「夜?…………あー、私が関係してるのか?」 華『ええ、とっても』 麻子「……そんなに特別なことを言った覚えはないが」 華『わたくしにとっては特別な言葉をもらえましたから』 麻子「そうか」 華『はい♪』 麻子「……………………」 麻子「……あの、な。五十鈴さん」 華『はい?』 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1578824020/25
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [] 2020/01/12(日) 20:38:47.96 ID:zPoxPRfb0 麻子「その……偉そうな言い方になって悪いんだが。五十鈴さんは多分、私に特別な感情を持ってしまっている。だから私が名前で呼んだりしただけでそんなに喜んでいる」 華『…………』 麻子「だが、忘れないでほしいんだが、それは薬のせいなんだ。効き目が切れたら、その感情もなくなる。前みたいな普通の友人関係に戻るんだ。わかってるな?」 華『……そうでしたね』 麻子「だから、こう……難しいのかもしれないが。あまり今の状態をありのままに受け止めない方がいいと思うんだ。後になって変なことをしたと後悔したくないだろう」 華『…………』 麻子「……すまん。五十鈴さんの好意自体を否定してるわけじゃないんだ。ただ、それは疑似的に作り出されてる感情だってことを――」 華『わかってます』 麻子「!」 華『わかってます……けど』 麻子「うん……」 華『今、この瞬間、わたくしがあなたを想っているこの気持ちは忘れたくないです』 麻子「そ……ぇ?」ドクン… 華『後になってこの感情が全部ニセモノだったと思い直しても、きっと後悔はしないと思います』 麻子「なぜ、そう思う」 華『だって、こんなことがなくても麻子さんはわたくしの大切な人ですから。そんな人を、たとえ一時でも心からお慕いしていた気持ちは決して恥じるものではないと思うんです』 麻子「……それ、は、だからっ……」 華『もちろん、麻子さんがその記憶を不快だとお思いになるのでしたら、わたくしも――』 麻子「そんなことないっ!」 華『…………』 麻子「昨日っ……言っただろ。気持ち悪いだとか不快だとか私は思わない」 華『………』 麻子「そりゃ、戸惑ってはいるけど……私だって五十鈴さんに、そんな風に思ってもらえたことは後悔しない」 華『……』 麻子「……い、五十鈴さん?」 華『ふふっ……やっぱり麻子さんは素敵な人です』 麻子「な、なんだ急に」 華『だって、こんなに重い言葉を伝えても……それも同性からですよ? それでもあなたは、わたくしを受け入れてくださるんですもの』 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1578824020/26
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [] 2020/01/12(日) 20:41:30.45 ID:zPoxPRfb0 麻子「だ、だって……五十鈴さんは」 華『はな』 麻子「えっ」 華『はな、って呼んでくださいませ』 麻子「……華、さんは、私なんかには勿体ないくらいよくできた人だから」 華『まぁ。それこそ勿体ないお言葉です』 麻子「……。だからその、女性として受け入れられるかはともかく、私が華さんっていう人間を拒絶することは、有りえない」 華『…………………』グスッ 麻子「は、華さん? 泣いてるのか?」 華『ん、はい。嬉しくて泣いてます』 麻子「へ?」 華『情けない話ですけど。わたくしとても怖かったんです。麻子さんにこんなことを言ったら、もうお友達の関係にも戻れなくなるかもしれないって』 麻子「それはないっ」 華『はい、そう言ってくださると信じていました。信じていましたけど……やっぱり怖くて』 麻子「……そんなにか」 華『そんなにです。そんなに臆病になってしまうくらい……今のわたくしは麻子さんに惹かれているんです』 麻子「でも……それは」 華『きっとお薬のせいかもしれません。でもいいんです。先ほども申し上げましたけれど、別に後悔は致しませんから。むしろ言えてすっきりしました』 麻子「薬のせいじゃなかったら、私なんかに夢中になる理由がないからな」 華『そんなことはありません。麻子さんはとても素敵な方です。きっと他の皆さんもそう思っています』 麻子「今の華さんのそれとは違うだろ」 華『うふふ、そうかもしれませんわね』 麻子「…………なんだか変な感じだな」 華『……ですね』 麻子「……その…………ぁりがと」 華『麻子さんに感謝されてしまいました♪』 麻子「愛想良くできなくてすまん」 華『その方が麻子さんらしいです』 麻子「それは褒めてるのか?」 華『もちろん』 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1578824020/27
28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [] 2020/01/12(日) 20:47:05.09 ID:zPoxPRfb0 麻子「……そろそろ寝てくれ」 華『もう結構なお時間ですね』 麻子「目が覚めたら、全部元に戻ってるかもな。もう五日経つ」 華『その時は……その時です。ね?』 麻子「うん……」 華『おやすみなさい、麻子さん』 麻子「おやすみ……華さん」 ピッ ……… チュン… チュン… 麻子「ZZzz……」 チュン… ニャー ニャー ニャー 麻子「ZZz……」 ニャー ニャー ニャー 麻子「ふゴ……んん〜……」 麻子「(……電話? ……無理……)」 ニャー ニャー ニャー ニャー ニャー ニャー ニャー ニャー ニャー 麻子「むぐ……んあ……」ゴソゴソ ニャー ニャー ピッ 麻子「……モシモシ……」 『――あっ! もしもし、冷泉さんですか?』 麻子「ハイ……」 カルパッチョ『私です! アンツィオのカルパッチョです!』 麻子「…………誰?」 カルパッチョ『えっ? あの、以前お話していた惚れ薬の件で……』 麻子「……ぁー……んー……」 カルパッチョ『あ、あのぅもしもし? 冷泉さん?』 麻子「!? カルパッチョさん!?」ガバッ カルパッチョ『わぁびっくりした!』 麻子「なんだ、あれから何かわかったのか?」 カルパッチョ『はい、アレを売っていた古物商さんを見つけて、とりあえず聞き出せたことなんですけど……』 麻子「うん……あぁ。おう……」 麻子「……………へっ?」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1578824020/28
29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [] 2020/01/12(日) 20:50:58.25 ID:zPoxPRfb0 −昼休み W号の上− 沙織「そろそろ大洗に帰港だね。モールで冬物の新作探しにいきた〜い」 優花里「あんこう鍋も美味しい季節ですねぇ。お祭りが楽しみですぅ」 華「この時期は特に食べ物が美味しくなりますよね。実家に帰省したらついお腹いっぱいになるまで食べてしまいます」 みほ「あ、それわかる。実家ってたまに帰るとなぜかたくさん料理が出てくるよね」 優花里「きっとご家族も嬉しいんですよ」 沙織「麻子もおばあのとこ帰ったら、もっと食べろー!とか言われるんじゃない?」 麻子「……」 優花里「冷泉殿?」 麻子「ぇ……なんだ?」 沙織「まだ寝ぼけてんの〜? もう昼休みだよ?」 麻子「あぁ……」 みほ「麻子さん、具合悪いの? 眠そうっていうか、ぼんやりしてるけど」 麻子「いや、大丈夫だ」 華「寝不足とかではありませんか? もしかして昨日長電話してしまったから……」 沙織「麻子はいつも寝不足みたいなもんだし……っていうか華、麻子と電話してたの? 珍しいね」 華「え? あっ、えっと」 優花里「お二人とも確かに長電話するタイプじゃなさそうですよね。何をお話されてたんですか?」 麻子「……それは」 華「……」チラ 優花里「えっと……なんかまずいこと聞いちゃいましたか?」 みほ「何か言いにくいことだったら無理に言わなくていいよ?」 華「いえ……わたくしが麻子さんとお話したくて、お電話してたんです」 優花里「五十鈴殿が?」 麻子「おい五十鈴さん」 華「隠すようなことでもありませんわ。他愛もないお話をしてたら、いつの間にか夜中になってしまって」 沙織「それって麻子が中々寝なかったからじゃないの〜?」 華「いえ。わたくしが麻子さんを付き合わせてしまっただけです」 麻子「……別に嫌々付き合ってたわけじゃないぞ」 華「もちろん。とっても楽しかったですから」ニコ 麻子「ぐぬ……」メソラシ みほ「へぇ〜。二人ってそんなに仲良かったんだ」 優花里「普段はお二人だけで話してるところあんまり見ないですもんね」 沙織「ふーん……」ジーッ… 華「……ちょっとお花を摘みに行ってまいりますね」スッ 麻子「わ、私も」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1578824020/29
30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [] 2020/01/12(日) 20:53:02.77 ID:zPoxPRfb0 優花里「ちょっと意外な感じですね」 みほ「でも二人は中学から面識あったんだよね?」 沙織「まぁ私経由の知り合いみたいなもんだったけど…………怪しい」ピキーン 優花里・みほ「「へ?」」 沙織「匂うわ。あれは互いを想いあっているのに、わけあって秘めた気持ちを隠すことしかできない禁断の恋の匂い!」 優花里「いや、女の子同士ですよ?」 沙織「最近は女の子同士でもあるんだって! 大っぴらに言えないからこそ密かに燃え上がる恋愛っていうのが!」 優花里「ええ〜……小説とかドラマの観すぎでは?」 みほ「……でもまぁ、有りえない話じゃないかな」 優花里「西住殿?」 みほ「黒森峰でも、実際そういうことがなかったわけじゃないから。ほら、戦車乗りって男らしい性格の人も多いじゃない? カッコイイ選手に憧れる女の子も割といたって聞くし」 沙織「あ、もしかしてみぽりんのお姉さんとかも!?」 みほ「うん。何回かそういうお話をされたことはあるって言ってた。全部断ったみたいだけど」 優花里「あ〜……でも何となくわかります。私も西住殿にものすごく憧れてますし。ああその、女性としてお付き合いしたいとかではなく!」 みほ「あはは……ありがとう優花里さん」 沙織「男らしい性格かぁ……確かに麻子って女っ気ないどころか男っぽいとこあるし、もしかして華も……!?」 みほ「ま、まだ決まったわけじゃないから! あんまり変に詮索しない方がいいよ」 優花里「そうですね。私なんかは特にその辺り専門外なので……」 沙織「え〜でも気になるぅ〜♥」クネクネ みほ「さ、沙織さん……」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1578824020/30
31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [] 2020/01/12(日) 20:56:46.28 ID:zPoxPRfb0 −トイレ− ジャゴォー パタン 華「……」フキフキ 麻子「……い、五十鈴さん」 華「はい?」 麻子「今もまだ、その……変な感じは残ってるのか?」 華「変な、と言いますと?」 麻子「だから。私に対して……その……」 華「……ふふっ、どうしたんですか赤くなって。麻子さん可愛いです」ナデナデ 麻子「っ……か、からかうな。ちゃんと答えてくれ」 華「そうですね……じゃあ」 麻子「?」 華「名前で呼んでくれたら、ちゃんと答えます」 麻子「こっ……学校だぞ。誰が聞いてるかわからん」 華「別に機密事項を口にするわけじゃないんですから……」 麻子「それは、そうだが……」 華「お嫌でしたら、それはそれで」フイ 麻子「ま、待った……華、さん」 華「!」 麻子「……華さんは……いま私のことがどう見える?」 華「……先日から申し上げてますように、麻子さんはとても素敵な方ですよ」 麻子「ん…………ぁ、ありがとう。そうだな。そう思ってくれてるだけなら、別に――」 華「それだけではありませんよ」スッ 麻子「(! 手を……握られた)」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1578824020/31
32: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [] 2020/01/12(日) 20:59:02.87 ID:zPoxPRfb0 華「夜更けにお話してる間……ずっとこうしてあなたの手を取りたかった。声だけでは物足りませんでした」 麻子「ぇ……」ドクン 華「人知れず孤独に咲いているか細い花のような……強がっているけど折れてしまいそうなあなたの小さな体を愛でたかった。鈴蘭のような正直で優しいあなたの匂いを感じたかった」 麻子「ぅ、うぁ……」カァァァ 華「伝えてしまうのが恐ろしくて張り裂けそうなこの気持ちを……あなたの眼を見てお伝えしたかった」ギュッ 麻子「わ、わ――わかった! わかったから! いったん離れてくれ!」 華「……はい」パッ 麻子「うっ……おばあが倒れるのとは別の意味で心臓に悪い……」ドクンドクン 華「大丈夫ですか?」 麻子「あまり大丈夫じゃない……よ、よくそんなことをスラスラと言えるな」 華「……流石に面と向かって言うのは恥ずかしかったです。いくらお薬のせいだとはいえ……」 麻子「……っ」 華「でも、これが今のわたくしの正直な気持ちです。いつか消えて無くなるものだとしても」 麻子「……は、華、さん」 華「何でしょう麻子さん?」 麻子「あ、あのな……」 華「?」 麻子「……。…………そ、そろそろ、戻らないと……変に思われる、ぞ」 華「……そうですね。お昼休みが終わってしまいますし」 麻子「…………」 麻子「……」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1578824020/32
33: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [] 2020/01/12(日) 21:02:04.86 ID:zPoxPRfb0 −夕方 大洗女子学園格納庫前− オツカレサマデシター 桂利奈「なんか今日のW号変だったねー」 あゆみ「なんかエンストしてたよね?」 あや「木に激突した時ヤバかったよね」 梓「冷泉先輩何かあったのかな……?」 優季「彼氏にフられたのかな〜?」 紗希「……」 ヤイノヤイノ… 麻子「……」 沙織「……麻子、今日どうしたの?」 麻子「すまん……」 みほ「た、たまにはそういう日もあるよ。元気出して麻子さん?」 優花里「流石に砲塔が木に刺さったときは驚きました……」 華「優花里さん」 優花里「あ、す、すみません……」 麻子「悪い……帰って休む」フラ… 華「送っていきましょうか?」 麻子「……いや、一人で帰らせてくれ。今日は迷惑かけてすまなかった」 みほ「ううん、気にしないで。ゆっくり休んでね」 フラフラ… 華「……」 沙織「……ねぇ、華は麻子に何かあったのか知ってるの?」 華「……それは……」 みほ「さ、沙織さん」 沙織「だって華の次は麻子だよ? 親友が元気失くしてたら気になるじゃん! 二人の間で何かあったの!?」 華「…………」 優花里「や、やっぱり良くないですよ。あんまりプライベートな問題だとしたら、我々が口を挟むのは」 沙織「でもさぁ……」 華「……すみません。みなさんにここまでご心配をかけるなら、言っておいた方がいいですわね」 みほ「え?」 華「実は――」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1578824020/33
34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [] 2020/01/12(日) 21:16:05.92 ID:zPoxPRfb0 −夜 麻子の部屋− 麻子「(……)」 麻子「(寝られん……)」 ――ピンポーン 麻子「(! ……華さん……か)」 ――ピンポーン …マコサン? オキテラッシャイマスカ? 麻子「………………」ゴソゴソ ガチャ 華「あっ……すみません、起こしてしまいましたか?」 麻子「いや……眠れなかった」 華「そうですか……」 麻子「……で、何か用か」 華「あのぅ……チームの方々に、わたくしのことをお話してきました」 麻子「えっ……」 華「みなさん、最近わたくしと麻子さんが少し変な様子だったのを気にしていたらしく……余計な心配をおかけするよりは、事実をお話した方が良いかと」 麻子「それで……変な薬のせいだって、話したのか……?」 華「はい。わたくしが一方的に麻子さんに……原因があって夢中になってしまっているだけで、麻子さんはわたくしを気遣ってくださっていると。時間が経てば治るので過剰に心配しないでいただくように、と」 麻子「…………」 華「……やはり話さない方が、よかったでしょうか……?」 麻子「いや……それは……別に、いいんだ」ヘタッ 華「ま、麻子さん? 大丈夫ですか!?」 麻子「待って!」ビシッ 華「!!」ビクッ 麻子「すまない……少しだけそっとしといてくれないか」 華「……わたくし、わるいこと、してしまいましたか……?」 麻子「そんなことない。華さんは何にも悪くない。ただ……すまん、ちょっと自分の中が混乱してるんだ」 華「麻子さん……」 麻子「ごめん……」 華「……わかりました。では、失礼いたします」 麻子「……車に気を付けて。絶対だぞ」 華「はい」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1578824020/34
35: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [] 2020/01/12(日) 21:18:33.94 ID:zPoxPRfb0 −夕方 大洗女子学園校門前− ゴロゴロゴロ… みほ「ちょっと天気悪くなってきたね」 優花里「この時間くらいから学園艦が低気圧の中に入っていくそうですよ。今日は早めに帰りましょう」 沙織「麻子……今日欠席だったね」 みほ「うん。昨日、華さんが事情を話してくれたし……私もこういうことはよくわからないけど、仕方ないよ」 華「……」 優花里「でも五十鈴殿まで元気がなくなってたのは一体……」 華「すみません……」 優花里「あああ責めてるわけではないですよ!」 沙織「ていうか、予想より斜め上の状態だったし……流石に惚れ薬がどうとかまでは想定してなかったよ〜」 華「普通の恋愛なら想定していたんですか?」 沙織「だってありえない話じゃないし? 女の子同士でも恋愛は色々すれ違うものでしょ」 華「沙織さんは男の人とだって恋愛したことないでしょう」 沙織「経験論じゃなくて一般論の話!」 ブロロロロロ…… キイッ みほ「? 校門前に誰か来てる」 優花里「あれ、あのトラックは確か……」 ペパロニ「――カルパッチョぉ、まだ冷泉さんと繋がらないのかぁ?」 カルパッチョ「朝から連絡してるんだけど、電源切ってるみたいで……」 沙織「あ! ペパロニさんとカルパッチョさん!?」 ペパロニ「あっ、沙織姐さん! お久しぶりっす!」 沙織「どうしたの急にこんなとこまで?」 カルパッチョ「はい、冷泉さんから連絡をいただいた件でお話したいことがあったのと……」 ペパロニ「五十鈴の姐さん!」バッ 華「!?」 沙織「土下座っ!?」 ペパロニ「この前はよくわからない料理を食べさせちまって、本当に申し訳なかったっす!! 直接謝らせてもらいに来たっす!」 華「お、お顔を上げてください! こんなところでそんな……」 カルパッチョ「元はといえば私が下心で変なものを持ち込んでしまったのが悪いんです。ご迷惑おかけして、本当に申し訳ありませんでした」フカブカ 華「あの、本当にわたくしは大丈夫ですから。ペパロニさん、どうかお顔を上げてくださいな」 ペパロニ「……っす」 みほ「えっと、つまり……話に出てた惚れ薬? は、カルパッチョさんが……?」 カルパッチョ「はい……恥ずかしながら、あの時たかちゃんに一服盛るつもりで……」 沙織「え゛っ」 カルパッチョ「まさかこんな形で五十鈴さんにご迷惑をかけてしまうとは思ってなくて……本当にごめんなさい。健康に害のあるものでないことは確かなので」 優花里「そ、それにしたって、相手がカエサル殿ならよかったのですか……?」 カルパッチョ「だってだって、たかちゃんったら私のこと全く意識してくれないんですもん! 一日だけでもその気にさせればノリと勢いでイケると思って!」 沙織「(この子、やっぱりアンツィオの子だわ……)」 優花里「(これはいずれまたカエサル殿になんらかの危機が及ぶのでは……?)」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1578824020/35
36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [] 2020/01/12(日) 21:24:41.35 ID:zPoxPRfb0 みほ「あれ……今、一日だけでもって言いました?」 華「惚れ薬の効果って、どれくらい続くものなんですか?」 カルパッチョ「? 冷泉さんから、何も聞いていらっしゃいませんか?」 華「調べてもらっている最中だと……」 ペパロニ「ていうか、冷泉さんはどこっすか? あの人にもちゃんと謝りたいんすけど……」 優花里「冷泉殿は今日は学校お休みされてます」 カルパッチョ「そうですか……では、私から詳細をお伝えしますね」 沙織「ごくり……」 華「……」 カルパッチョ「あの薬……薬というか、本当は食用のソースなんですけど。成分に若干の興奮・発汗作用のある、少し甘くて刺激的なアルコールが入ってるんです」 みほ「アルコール……」 華「うーん……そう言われると、確かにあれはお酒の匂いだった気もします」 ペパロニ「そっかぁ、あれ最後に上から振りかけたからアルコールが飛ばなかったんすね」 カルパッチョ「厳密にはもっと色々な食物由来の成分が入ってるらしいんですけど……簡単に言ってしまえば、食べた人を一時的な酩酊、興奮状態にさせて、最初に目に入った人を魅力的に見せてしまう効果があるんだそうです」 沙織「で、華が最初に見たのが麻子の顔だったと」 優花里「なんだかお酒を飲んだときの効果に似てますね」 カルパッチョ「ええ、それと似たような作用をうまく調整した調味料みたいなものだそうで。ただ効果には個人差があるし、調理法や量によって効き目も変わるらしいです」 ペパロニ「あー……そういやあたし結構な分量入れたなぁ。良い匂いだったもんで……」 みほ「だから余計に効き目が強かったのかもしれないね」 華「……でも、そんな害のない調味料で、こんなに長く効き目が続くものなんでしょうか?」 カルパッチョ「え?」 華「あれからもう一週間になりますけど、わたくし今だに麻子さんのことばかり考えてしまって……」 カルパッチョ「……それ、本当ですか?」 ペパロニ「なんか聞いてた話と違うな」 みほ「? どういうこと?」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1578824020/36
37: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [] 2020/01/12(日) 21:29:42.37 ID:zPoxPRfb0 カルパッチョ「材料はあくまで食物由来なので……基本的には普通のアルコールなどと同じように吸収されるはずなんです」 優花里「と、いうことは……」 カルパッチョ「効き目は、大体摂取してから数時間。長くてもその日一日くらいしか惚れ薬的な効果は持続しない……と聞いてます」 華「」 みほ「えっ……?」 沙織「……ち、ちょっと待って。それじゃあ」 華「あ、あの、それは、本当に?」 華「(なのに、わ、わたくし昨日あんな……え? ええっ!?)」プルプル カルパッチョ「もし翌日以降もそんな感じの状態が続いたってことは……つまり」 ペパロニ「自然にそうなったってことっすよね?」 優花里「お、おおお……マジでありますか」 華「わたくし、ま、まこ、さんに、ああぁっ……!」カーッ ボンッ みほ「きゃあ! 華さんが爆発しちゃった!?」 沙織「ちちちょっと華!? あんたよく気絶するね!?」 華「きゅう……///」 カルパッチョ「だ、大丈夫ですか!? そうだ、私たちのトラックに乗って!」 ペパロニ「わートマトみたいに真っ赤だな」 優花里「衛生兵ー! 衛生兵ー!」 ――あぁそうでしたか。 麻子さん、だから昨日あんな風になってしまったんですね。 これは確かに、混乱します……―― http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1578824020/37
38: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [] 2020/01/12(日) 21:34:53.70 ID:zPoxPRfb0 −夜 麻子の部屋− ザアアァァァ… 麻子「(……雨が強くなってきたな)」 麻子「(丸一日学校サボってしまった……明日そど子がうるさそうだ)」 麻子「(昨日の夜から……ずうっと五十鈴さん……華さんのことばかり考えて、結局今の今までほとんど眠れなかった。普段なら喜んで惰眠を貪るというのに)」 麻子「(……まぁ、おかげで少しは頭が冷えたが。それでもまだ……まだ私はどうするべきなのか)」 ニャー ニャー ニャー 麻子「!」ビクッ 着信 〔五十鈴 華〕 麻子「……まぁ、そうなるよな……」ピッ 麻子「……もしもし」 華『……ぁ……こんばんは』 麻子「こんばんは……昨日はすまなかったな」 華『いいんです、そんなこと。それよりお加減はいかがですか?』 麻子「いや……別に体調が悪いとかじゃなったから。心配しなくていい」 華『そうですか……』 麻子「うん」 華『……』 麻子「どうした。他に何か用か」 麻子「(やけに雨音がうるさいな……)」 華『……はい。でも、これは、できれば……直接お会いしてお話したいと』 麻子「ぬ……ま、また明日でもいいんじゃないか。雨降ってるし……」 華『明日もお休みされたりしませんか?』 麻子「それは……わ、わからん」 華『でしたら今から、少しだけお時間を頂戴してもよろしいですか?』 麻子「だ、だから今日は」 華『わたくしもはっきりさせたいことがあるんです!』 麻子「!」 華『お願いします麻子さん……』ァァァ… 麻子「(……もしかして華さんの後ろから雨音が聞こえてるのか……?)」 麻子「華さん、今どこにいるんだ?」 華『……』サアァァ… 麻子「(間違いない、さっきから電話口で雨音がしてるんだ! まさか)」ダッ ガチャッ―― 華「……麻子さん」ビッショリ 麻子「(……ウチの前まで、来てたのか)」 麻子「か、傘はどうしたんだ」 華「その……出る前はまだそんなに降っていなくて」ビッショリ 麻子「馬鹿か! 風邪引くだろう! 早く中へ入れ!」グイッ 華「あっ……」 麻子「制服脱いで、シャワー浴びろ。服は……な、なにか探してくるから」 華「すみません、突然こんな……」 麻子「いいから早く。話はそのあとだ」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1578824020/38
39: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [] 2020/01/12(日) 22:17:18.38 ID:zPoxPRfb0 華「――シャワー、いただきました」パタン 麻子「すまんな、母親の古服しか大きいのがなくて……着れたか?」 華「はい。今度洗ってお返ししますね」 麻子「別にいいぞそんなの」 華「いいえ、麻子さんの大切なものですから」 麻子「……まぁ好きにしてくれ」 ザアアァァァ… 華「……」 麻子「……」 華・麻子「「あの」」 華「あぅ……」 麻子「……先にどうぞ」 華「す、すみません。えっとですね……よいしょ」 麻子「(なぜ正座し直す)」 華「んんっ……今日、カルパッチョさんとペパロニさんが学校までいらっしゃいまして」 麻子「えっ……じ、じゃあ」 華「はい、すべて伺いました」 麻子「そ……うか。すまない」 華「なぜ麻子さんが謝るんですか」 麻子「だって、言えなかったから……華さんが言ってたことは全部、薬のせいじゃなかったって……」 華「別にいいじゃないですか。他の誰かに迷惑をかけたわけではないんですから」 麻子「でもなんか……フェアじゃないだろう。私だけ本当のこと知っててあんな……」 ――伝えてしまうのが恐ろしくて張り裂けそうなこの気持ちを……あなたの眼を見てお伝えしたかった―― 麻子「あんな、こと、言わせてしまって」 麻子「(思い出したらまた顔が熱くなってきた……)」ドキドキ 華「ふふ、なんだかサンダースの隊長さんみたいなこと仰るんですね」 麻子「華さんだって恥ずかしいだろ。正気で私にあんな歯の浮くようなセリフを言ってたんだぞ」 華「ええ。わたくし、さっき事実を知ったときに気を失ってしまいましたから」 麻子「えぇ……」 華「恥ずかしいのはもちろんでしたけど……一瞬すごく恐ろしくなってしまって」 麻子「? 何がだ?」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1578824020/39
40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [] 2020/01/12(日) 22:23:43.94 ID:zPoxPRfb0 華「お薬のせいで変になっているだけだから、麻子さんは変なことを言っても受け入れてくれていると思っていたんです。でも、それが全て素のわたくしから出ていた言葉だと知ったら、流石にショックだったのではないかと――」 麻子「それはないって言っただろ!」 華「!」 麻子「確かに驚きはしたが……別に華さんにああ言われて嫌だったわけじゃ……ないんだ。むしろ……」 華「むしろ……?」 麻子「……そんなに嫌じゃなかった自分に驚いて困惑した」 華「麻子さん……」 麻子「流石にこういうのは見聞きした知識だけで納得できるものじゃないからな。ましてや私たちは女同士だ。自分が華さんをどういう風に見るべきなのか、わからなくなった。それで今日は休んだ」 華「……わたくしも、今そんな感じです。自分で自分のことがよく分からなくなってしまっているといいますか……ごめんなさい、わたくしが勝手に麻子さんを振り回しているのに」 麻子「わからないのが普通だ。無理してすぐ結論を出さなくていいと思う。思春期は友情と恋愛の区別がつかなくなるとも言うしな」 華「……」 麻子「……次は私の番だ。……が」 華「?」 麻子「華さん、晩御飯は食べたのか」 華「いえ、まだですけれど」 麻子「一緒に食べるか。ついでに作るぞ」 華「よろしいのですか?」 麻子「流石にそんなに分量はないし沙織ほど大したものは作れんがな。饂飩とかそんなんだ」 華「ではわたくしもお手伝いします」 麻子「……前に包丁握って怪我してなかったか?」 華「そ、それは……」 麻子「ふっ」 華「もう、意地悪です!」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1578824020/40
41: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [] 2020/01/12(日) 22:26:13.42 ID:zPoxPRfb0 ザアアァァァ… 麻子「明日まで止みそうにないな。雨」ズルズル 華「だんだん強くなってますねぇ」チュルチュル 麻子「どうせなら暴風雨にでもなって学校ごと休みになればいいのに」モグモグ 華「今日お休みしたじゃありませんか」ズズズ… 麻子「華さんのこと考えてたから全然寝られなかった」 華「……そ、そうですか」カァァ… 麻子「……私なんかの何がいいんだ?」 華「なんか、なんて言い方は良くないですよ」 麻子「いや、自分だとそういうのはわからないものだろ。沙織ほど女子らしくもないし、秋山さんや西住さんみたいに得意なことがあるわけでもない」ズルル… 華「麻子さんは勉強が得意じゃありませんか」 麻子「そんなことが人間的な魅力につながるとは思わん。むしろそれしか取り柄のない根暗だと思われるんじゃないか」 華「わたくしがそんな風に感じているとお思いで?」 麻子「……思わない」モグ 華「わたくしは素敵だと思いますよ。勉強ができるのも甘味が好きなのも、寝るのが好きなのも」ゴクゴク 麻子「睡眠が好きというより眠いから寝てるんだ」 華「よく沙織さんが言ってるじゃないですか。『恋に理由なんか要らないのよ!』って。たぶん何かの受け売りでしょうけど」 麻子「要るだろう。私たちの場合は」 華「あら、私たち、ってことは麻子さんも?」 麻子「こ、言葉のあやだ。今まで普通の友人として付き合っていたんだぞ。いきなりそういう関係になったら……変だと思われるだろう」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1578824020/41
42: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [] 2020/01/12(日) 22:29:04.52 ID:zPoxPRfb0 華「……意識してしまうきっかけが事故だったのは間違いありません。もちろんそれまでも、麻子さんはとても良い友人だと思っていましたけれど」 麻子「ん……私もそう思ってる」 華「ふふ、ありがとうございます」 麻子「……で?」 華「今になって思えば、なんですけど。あの日の翌日はわたくし、どちらかというと冷静だったんです」 麻子「え?」 華「麻子さんとすごく近くで顔を向けあってしばらくは、薬の作用もあってとても緊張してました。けれどそのあと家に帰ってからは、落ち着いた気分で麻子さんとの思い出を振り返っていたんです」 麻子「……昔はそんなに関わりがなかったと思うが」 華「中学の時は沙織さん経由でたまに会うくらいでしたもんね。でもその時から麻子さんのとても家族想いな性格はなんとなく知ってました」 麻子「別に……」 華「優花里さんのお家にお邪魔した時、ご家族の写真を切なそうに見ておられる麻子さんを見て。倒れたおばあ様を本気で心配しているところを見て。辛辣な物言いながらいつも沙織さんを気にかけているのを見て……」 麻子「沙織に辛辣なのは華さんもだろう」 華「私のはからかいが半分ですけれど。麻子さんの場合は沙織さんの将来を心配しての皮肉が混じっているでしょう?」フフッ 麻子「むぐ……」 華「……そういう麻子さんを思い出しながら、ふと考えたんです。『もし麻子さんが家族だったら、きっとわたくしを死ぬほど大切にしてくれるだろうな』って」 麻子「……それはもし妹や姉だったら……という話か?」 華「そこまで具体的に考えていたわけじゃありませんけど……たぶん想像していたイメージは、その……」 麻子「?」 華「……旦那さま?」 麻子「え……いやそれはおかしいだろ」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1578824020/42
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