【艦これSS】不器用を、あなたに。 (624レス)
【艦これSS】不器用を、あなたに。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546269785/
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586: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/19(日) 01:54:28.64 ID:iboqIv40O また当初は作戦にギリギリ間に合うかどうかくらいに見積もられた満潮も、ここ数日での練度の上がり方を見るに、あと1週間程で改二要求練度に到達しそうである。 これ程の過酷な訓練をしているのだから当然であると思う一方で、山城が言うだけの成果を出してみせた点については認めないわけにはいかなかった。 くわえて意外にも山城は、訓練中は扶桑に対して1番容赦なかった。 もちろん扶桑にだけ態度や言動が特別な点は変わらないのだが、訓練の内容で言えば逆に扶桑を徹底的に砲撃し1日に何度も5人で彼女をいじめ抜いている。 それは言うまでもなく、着任が大きく遅れメンバー内で1番練度が低い彼女を大規模作戦レベルに引き上げるためであろう。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546269785/586
587: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/19(日) 01:56:53.74 ID:iboqIv40O 山城は私情に左右されず、あくまで練度と戦力の向上という目的に忠実なようだ。 そうなるといよいよ、指導理論においては山城に逆らう妥当性が見つからないのである。 これこそが5人が溢れんばかりの憎しみや怒りを抑えながらも山城の指示を聞く理由に他ならない。 陽炎「でもやっぱりストレスが尋常じゃなさそうね...。訓練内容もそうだけど、アイツに指揮されるってのが。」 夕立「そう!ほんとに嫌過ぎて吐き気がするの!」 露骨に嫌そうな顔をしながら言った陽炎の言葉に、待ってましたと言わんばかりに夕立が激しく肯定する。 最上「特に昨日今日は一段とクズだしね」 満潮「何で機嫌悪いのか知らないけど突っかかってこないでほしいわっ!顔見るだけで腹立つってのに...!」 最上の付け加えた言葉に呼応するように満潮が怒る。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546269785/587
588: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/19(日) 01:58:49.21 ID:iboqIv40O 不知火「一段とクズ...。それは精神衛生に良くないですね...」 扶桑「あまり相手にしちゃ駄目よ?やり返すだけ無駄なんだから」 夕立「そうは言ってもやられっぱなしはムカつくっぽい...!あのクズ、また時雨を...!」 時雨「...まぁ別にアイツが僕にどうこう言うのは気にしてないさ」 興奮している夕立を制するように時雨が口を開く。 時雨「何度も言うけど、僕が許せないのはアイツが絆を踏み躙る事なんだ」 時雨「アイツは、僕の大切な昔の仲間との記憶全てを馬鹿にしてっ...!」 時雨「そしてまたこうやって出会えた仲間たちとの絆までぶち壊そうとするんだ...!」 時雨「僕達全員、今度は完全な意思を持って生まれた艦娘としての存在を、アイツは嘲笑ってる...!そんなの許さないっ...!!」 満潮「ええ、そうよ!あんな奴っ!」 夕立「練度上がるからって我慢してあげたけど、午後はアイツに何かしといた方がいいかなぁ」 駆逐艦3人は瞬く間に憎しみに支配された。 ・・・何か行動として、山城に報復を画策しそうな雰囲気になりつつある。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546269785/588
589: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/19(日) 02:00:27.71 ID:iboqIv40O 最上「...みんな、せっかくのお昼が不味くなるよ」 扶桑「とにかく落ち着きなさい。私だって腹は立つけど...せっかくの5人の団欒を壊したくないわ」 危険な雰囲気を2人がひとまず抑えた。 扶桑「他の人にも迷惑だから、ね?」 そう言いながら扶桑は隣を見遣る。 不知火「あ、いえ。お気遣いなく」 陽炎「私だって聞いてるだけで怒りが湧くもの」 最上「ごめんね、2人とも」 最上は苦い顔で陽炎と不知火に謝った。 最上「まぁアイツが機嫌悪くなってやたら暴言吐いてくるのも、いつもだいたい1日か2日で終わるし」 最上「明日にはマシなレベルに戻るでしょ。...嫌味とか罵ってくるってのは変わらないだろうけど」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546269785/589
590: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/19(日) 02:02:24.22 ID:iboqIv40O 扶桑「最上の言う通りよ。この間食堂で言った事が守られないのは腹立たしいけど...。わざわざ相手して余計なエネルギーを使うことはないわ」 扶桑「ムカつくのは元からでしょう。だからいつも以上に暴言を吐いてきても、憎むだけに留めて無視しておきなさい」 夕立「むぅぅ...分かったっぽい...」 満潮「扶桑がそう言うならそうするわよ...」 扶桑と最上のおかげで何とか楽しい昼休みの時間を取り戻せそうだ。 最上「...そんなことより楽しい話をしようよ!もうクリスマスまで1週間切ったよね!」 最上が話題を明るい方へ持っていく。 その言葉で皆の顔が和らいだ。 時雨「...ふふっ、そうだね。確かに楽しい事を考えた方がいいな」 時雨「みんなでクリスマスパーティーとかしようか」 夕立「素敵なパーティーしたいっぽい!!」 こうして彼女らの卓は、その後は楽しそうな声で包まれたのであった。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546269785/590
591: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/19(日) 02:04:02.09 ID:iboqIv40O −−− 守らなきゃ・・・ また自分が残ったんだから・・・ 傍には空母が居る。 絶対に、護らなきゃ・・・ そう強く思いながら海を走る。 だがその想いも砕かれるのだった。 数本の魚雷の発射音が、脳に大きく響いた気がした。 避けて・・・。お願いだから・・・。 そう願っても、隣の空母は大きな水飛沫を上げながら被弾する。 そして・・・ ついにその空母は沈んでいく。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546269785/591
592: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/19(日) 02:05:14.16 ID:iboqIv40O どうして・・・! どうしてこんな目に遭わなければならないの・・・? こんなの理不尽じゃないか・・・! 涙がひたすらに流れる。 これこそが・・・不幸じゃないか・・・! 心の内でそう叫んでいた。 そして自身の運を憎みながら、恨めしく敵潜水艦が逃げたと思われる方へ目をやった。 ・・・するとそこに居たのは、どういうわけかアイツだった。 居るはずのない、アイツだったのだ。 彼女は不敵な笑みを浮かべていた。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546269785/592
593: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/19(日) 02:06:24.94 ID:iboqIv40O そうか、コイツのせいなのか・・・ コイツは許してはいけない奴だった・・・! コイツは仲間なんかじゃないんだった・・・! 何の疑問を持つ事なく、憎しみが瞬く間に湧き起こった。 その憎しみはどこか心地よいものだった。 ・・・そんな心地よい闇に呑まれつつ、またいつも通りの深淵な世界に誘われるのであった。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546269785/593
594: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/05/19(日) 02:08:51.52 ID:iboqIv40O 今回はここまでです 昨日が時雨の進水日! 当初の予定ではそもそもとっくに完結してる予定でしたが、終わらないと分かってからはこの日をデッドラインにしてました そしたら・・・余裕で間に合いませんでした ほんとに遅筆ですみません エタる事はしないので気長にお付き合い頂ければと思います http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546269785/594
595: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2019/05/19(日) 06:31:30.95 ID:vjG60Nv9o お疲れ様 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546269785/595
596: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2019/05/19(日) 07:22:53.32 ID:QyAMeh0RO 乙! http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546269785/596
597: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2019/05/19(日) 11:17:54.73 ID:gXD3UMnpO 乙 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546269785/597
598: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2019/05/19(日) 12:41:54.13 ID:GhXqpNM/o おっつおっつ http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546269785/598
599: ◆eZLHgmSox6/X [sage] 2019/06/14(金) 23:10:39.74 ID:tBNlJVQdO 長らく更新が出来てなくて申し訳ない次第です 月曜日くらいに続きを投下出来れば...と思ってます http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546269785/599
600: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2019/06/15(土) 00:18:39.38 ID:L7oPqam9o 待ってた http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546269785/600
601: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2019/06/25(火) 12:27:16.28 ID:9ckhR7ysO 待ってるぞ 頑張ってくれ http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546269785/601
602: ◆eZLHgmSox6/X [sage] 2019/06/26(水) 11:02:20.88 ID:YtYgWYHzO −−− −− − やはりそうだ・・・ 眠っている彼女は雨に濡れていた。 ・・・きっと私は雨を止ませる事は出来ない。 濡れた彼女の顔を拭いてやるくらいしか出来ないのだ。 それでも彼女ならきっと大丈夫だと思いたい。 雨は・・・いつか止むはずなのだから・・・ −−− 山城「時雨...おはよう」 今しがた目を覚ましたルームメイトに声をかける。 時雨「......おはよう、山城!」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546269785/602
603: ◆eZLHgmSox6/X [sage] 2019/06/26(水) 11:03:14.63 ID:YtYgWYHzO 目を開いた直後も暫し夢現としていた時雨だったが、やがてにこやかに挨拶を返した。 時雨といえば、この笑顔なのである。 山城「...よく眠れた?」 時雨「...うん、ぐっすりさ!今日も訓練頑張れそうだよ」 時雨は明るい表情でそう言うのだった。 山城「そう...良かったわ。それじゃ時間にあまり余裕無いし、支度してすぐに朝食よ」 時雨「うん」 窓からは綺麗に晴れた青空が見える。 そして同時に、海の上に存在を主張する白く大きな入道雲が真夏らしさを強調していた。 時雨が着任して、6日目の朝だった。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546269785/603
604: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/06/26(水) 11:05:03.46 ID:YtYgWYHzO 〜 時雨「今日は山城の予定はどんな感じなんだい?」 時雨「僕の午前の訓練には付き添ってくれるみたいだけど...」 身支度を済ませた2人は朝食を取りに、食堂を目指して廊下を並んで歩いていた。 山城のすぐ隣の場所は、すっかり時雨の定位置になりつつある。 山城「午前はそうよ。午後はまず昼食後に古鷹と一緒に執務室に行くから...その後はアンタの午後の訓練が終わるまで図書室にでも行こうかしらね」 時雨「古鷹さんと執務室か...また作戦会議とかあるのかい?」 山城「...そんなとこよ。これからこの鎮守府もどんどん戦力拡張していくから、運営会議とかも増えていきそうだわ」 時雨「やっぱり山城は凄いなぁ...うちでトップクラスの練度で、提督からも頼られて、艦隊運営に携わるなんて」 時雨は敬愛の眼差しを向けていた。 ・・・その眼差しを照れくさくも素直に受け取る、なんて心持ちには到底なれなかった。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546269785/604
605: ◆eZLHgmSox6/X [saga] 2019/06/26(水) 11:06:18.83 ID:YtYgWYHzO 山城「ねぇ、時雨...」 時雨「何だい?」 山城「鎮守府生活にはそろそろ慣れたかしら?」 山城はすぐ隣を歩く少女に尋ねた。 時雨「うん、みんな優しくしてくれるからね」 時雨「それに山城が指導艦だもん」 時雨は明るい笑顔を見せる。 それは心の底からの、純度100%の喜びだった。 気付けば山城は歩くスピードを落とし、時雨の頭を撫で回していた。 時雨「どうもこれには慣れないけど、嬉しいな...//」 彼女は恥ずかしそうに顔を綻ばせた。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1546269785/605
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