遊び人♀「おい勇者、どこ触ってんだ///」 (296レス)
前次1-
抽出解除 必死チェッカー(簡易版) レス栞 あぼーん

192: ◆CItYBDS.l2 [saga] 2019/05/08(水)19:42 ID:uG8tzRkA0(1/5) AAS
「ねえお兄さん。悪いけど、このまま飲み続けられると他のお客さんの分がなくなっちゃうよ」

 千鳥足テレポートを使うべく、一心不乱に酒を喉に流し込みつつ、彼女との楽しい思い出に耽っていた俺は、店主に声をかけられるその時まで、自分が周囲から奇異の目で見られていることに一切気づいていなかった。俺の机の周りには、既に空となった酒樽がいくつも転がっている。

「……妙だな」

 これだけ飲んだというのに、俺の足元はしっかり地面を踏んでいる。剣士として鍛えた体幹は、いっさい揺るぎない。まるで根を下ろした大木のような安定感だ。とても千鳥足を踏めるような状態ではない。
省11
193: ◆CItYBDS.l2 [saga] 2019/05/08(水)19:44 ID:uG8tzRkA0(2/5) AAS
 久しぶりの故郷の空気を吸い込んでも、俺には何の感慨も沸き上がらない。俺は、そもそも孤児だったし、幼い頃から勇者としての厳しい訓練や教育を受けていたためか、ここには何の楽しい思い出もない。浮かぶのは、せいぜいが、勇者としての責務を果たしきれていないことへの罪悪感ぐらいのものだ。

「ほっほっほ、久しいのう勇者様。帰ってきたということは、遂に魔王を打ち取ったか? 」

 俺を出迎えたのは、女神正教の司教。かつて、俺に勇者としてのありよう、教会の戒律をしこたま教え込んでくれた人だ。

「申し訳ありません司教様。残念ながら、行き詰って助けを求めに帰って参りました」

 司教とは、特に親しいわけではない。だが、教会でも有数の情報通であると言われる彼なら、俺の抱える問題に一筋の光を差し込んでくれるかもしれない。俺は、差しさわりのない程度に俺の置かれている状況について説明をした。
省6
194: ◆CItYBDS.l2 [saga] 2019/05/08(水)19:45 ID:uG8tzRkA0(3/5) AAS
「かつて、お主と同じように女神から力を授かった勇者はたくさんおる。不死の力、莫大な魔力、全てを見通す目、まあ力は様々じゃが、共通している点がひとつ……」

「そ、それは……」

 ごくりと唾を飲み込む。

「魔王を打ち倒した後は、力を失い平穏な日常を享受したということじゃ」

「魔王を……」
省7
195: ◆CItYBDS.l2 [saga] 2019/05/08(水)19:45 ID:uG8tzRkA0(4/5) AAS
「……あるが、どうするのじゃ?」

「いえ、酔えなくはなったのですが、せっかくですからここのワインの味ぐらいは確かめて帰ろうかと……」

 もし、俺の言葉が司教の怒りに触れたのなら、その時は素直に鞭を受けよう。どうせ、耐性の力のおかげで、たいして痛くはないのだから。そう思った俺は、正直に本音をそのまま司教へと伝えた。

 司教は、目をつむり手を顎にあて「うんうん」と唸りだした。

「耐性の力を抑える方法はないが。魔王を見つける手段なら……実のところ……ある」
省10
196: 今日はここまでです◆CItYBDS.l2 [saga] 2019/05/08(水)19:46 ID:uG8tzRkA0(5/5) AAS
「少なくとも、幹部級がいるとのことじゃ」

「なぜ、そのような情報をお持ちであったのに、もっと早く知らせていただけなかったのですか!?」

 
 俺の怒りの乗った言葉に、司教には一切悪びれる様子がない。それどころか、口をとがらせて口笛を吹く素振りまで見せている。

「儂が知っている勇者は、戒律どころか法律にも雁字搦めにしばられた男じゃった。そんな男に、こんな俗的な話を聞かせたら、逆に儂を鞭で叩きかねんかったからな。それどころか怒り狂って大聖堂内で綱紀粛正を叫びかねん」

「では、なぜその情報を伝える気になられたのですか?」
省7
前次1-
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ AAサムネイル

ぬこの手 ぬこTOP 0.109s*