遊び人♀「おい勇者、どこ触ってんだ///」 (296レス)
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82: ◆CItYBDS.l2 [saga] 2018/08/28(火)22:56 ID:3l3UqrgJ0(1/14) AAS
「そろそろ結末を見越した方がいいと思うんだけど」

「そ、それはちょっと気が早いんじゃないか?」

「そう?そんなことは無いと思うけど」

「さいでございますか」
省19
83: ◆CItYBDS.l2 [saga] 2018/08/28(火)22:57 ID:3l3UqrgJ0(2/14) AAS
ん?

んんっ?

「あれ?話が通じてない?いや、確かにちゃんとした宿に比べたら教会に間借りするのは安くついてるわよ。でも、無限の収入減が無い限り路銀は減る一方でしょ」

「ミノ達が言っていた、約束の期日はとっくにすぎているし。いつまでも、ここであそこを見張っているわけにもいかないでしょ?」

あー、あー、あー、そういうことね。
これは恥ずかしい。俺は、重大な勘違いをしていたようだ。つまり、彼女の言う『結末』とは、あくまで見張りをいつまで続けるかという話だったらしい。
だ、だがしかし、俺の気が緩んでいたのは事実だ。
今後は、確り気を張っていかねば。
省22
84: ◆CItYBDS.l2 [saga] 2018/08/28(火)22:57 ID:3l3UqrgJ0(3/14) AAS
「……日の出まで動きが無ければ、乗り込もう」

もし、今日まであのあばら家に人の出入りが無かったのが、連絡員がずっと中に潜んでいるからだとしたら、この強襲はきっとうまくいくだろう。
長時間、あの小さい小屋に身をひそめるというは、肉体的にも精神的にも相当きついはずだ。どんなに強い魔物だろうと、体調が悪ければ力を発揮できない。
それに明け方というのは、生物が最も油断する時間だ。魔物とて、例外ではあるまい。

そうだな、裏の窓を遊び人に押さえさせ、俺が扉から……
俺は、拙いながら少しでも強襲の成功率を上げようと、ふと、あばら家へと視線を向けた。

「……あ」
省2
85: ◆CItYBDS.l2 [saga] 2018/08/28(火)22:58 ID:3l3UqrgJ0(4/14) AAS
――――――

扉から、小屋の中の気配を探る。
絹のこすれる音、床がきしむ音、息遣い、何者かが潜んでいれば必ず発生するであろう事象を全神経を研ぎ澄ませ耳をたてる。
俺の全感覚が、小屋の中には誰もいないことを告げていた。もう既に、逃げたのだろうか?

あばら家には扉の向かいに小さな小窓があった。
そこは既に遊び人が回り込んでおり、仮に何者かが潜んでいたとしても、取り逃がすことはないだろう。

俺は、扉を蹴飛ばし中に押し入った。
机の上に置かれた、蝋燭の火がまるで驚いた童のように体を揺らした。
―――中には誰も居なかった。
省11
86: ◆CItYBDS.l2 [saga] 2018/08/28(火)22:58 ID:3l3UqrgJ0(5/14) AAS
光は、その奔流を止めることなくページからあふれ出ている。
家が、きしきしと音を鳴らしはじめる。その音は、次第に轟音となり地面を揺らし始めた。

俺は、慌てて外に出た。

「遊び人!離れろっ!」

「え?あ、うん!」

俺が、小屋から出ると同時にそいつは、あばら家の屋根を突き破り巨大な体躯を現した。
高さは小屋の倍ほど、月の光に照らされたそれは土色の肌をもち、巨大な手を月へと掲げ、咆哮をあげる。
省13
87: ◆CItYBDS.l2 [saga] 2018/08/28(火)22:59 ID:3l3UqrgJ0(6/14) AAS
遊び人の魔法が、ゴーレムの右腕を完全に凍らせる。
ゴーレムは気にする様子もなく、その右腕を遊び人のいる方向へと振るう。

「うわぁ、あぶないなぁ!」

やはり、どこか緊張感の抜けた声だ。
遊び人は、難なく攻撃をかわしゴーレムから距離をとる。
ゴーレムの攻撃は、地面に大きな穴を開けていた。流石に、あれを直に食らったら俺でもまずいな。

「遊び人!ゴーレムの倒し方は知っているか?」

「馬鹿にしないでよ!真理を死へ!」
省12
88: ◆CItYBDS.l2 [saga] 2018/08/28(火)22:59 ID:3l3UqrgJ0(7/14) AAS
「あちゃー、距離が遠すぎて、ナイフの軌道を読まれちゃってる!」

「不意をつけないか!?」

「後ろから狙えっての!?馬鹿言わないで!『真理』は額、つまりゴーレムの正面にあるのよ!」

なるほど。確かにその通りだ。背後から、額の上を狙うなどできるはずもない。
だが、やりようはある。
省17
89: ◆CItYBDS.l2 [saga] 2018/08/28(火)23:00 ID:3l3UqrgJ0(8/14) AAS
不可抗力だ。
わざとじゃない。
触ったんじゃなくて、鼻先が当たっただけだ。

誠実さをもって、幾百の言葉をもって弁明をすべきだということはわかっていた。
だが、俺にはそれができなかった。それができない理由があったのだ。

俺は、自身の脳に、かつてないほどのオーバーワークを強いていた。
今見ている光景を、一切の欠落なく記憶するためにだ。
魔王を倒すという使命を忘れ、俺は今、新たなる使命に目覚めてしまっていた。それはすなわち語り部となること。
今見ている光景を、俺は後世へと語り継がねばならない。世界に溢れる、チェリーたちに勇気を与えなくてはならない。
省20
90: ◆CItYBDS.l2 [saga] 2018/08/28(火)23:00 ID:3l3UqrgJ0(9/14) AAS
「パンツ見たでしょ」

「……覚えてません」

「うそつき」

うそだ。克明に覚えている。更に言えば、俺は人々にこの光景を伝え歩く愛の伝道師となるであろうことが確定している。

「責任取ってよ」
省15
91: ◆CItYBDS.l2 [saga] 2018/08/28(火)23:01 ID:3l3UqrgJ0(10/14) AAS
ふう、見たか諸君。これがネゴシエーション、勇者の交渉術というものだ。
女性の乳に触れ、パンツを拝むという最大のリターンを、酒を驕るという僅かなコストだけで成し得てみせたぞ。
なんだ、女と言うものは意外にチョロいもんだな。勇者の職を辞したら、第二の人生をナンパ師として送るのもいいかもしれない。

「それじゃあ、ワインを仕入れて部屋に戻ろうか」

「いえ、行くのは教会のワイン蔵よ」

え?
省6
92: ◆CItYBDS.l2 [saga] 2018/08/28(火)23:01 ID:3l3UqrgJ0(11/14) AAS
――――――

「ねえー、勇者ぁー。起きてよー」

ああ、なんと心地の良い声だろう。その声は、俺の頭の中で二重三重と響き渡り、折り重なって、まるでサンドイッチだ?
いや層の重なり具合から鑑みるに、ミルフィーユ、もしくはバームクーヘンかもしれない。

「ねえ、勇者ってばー。おきてってー」

おはよう、マイハニー。もう朝なのだろうか。
しかし予想に反して、部屋は暗い。微かに揺れる蝋燭のみによって部屋は照らされている。
省12
93: ◆CItYBDS.l2 [saga] 2018/08/28(火)23:02 ID:3l3UqrgJ0(12/14) AAS
「約束は、朝までだ。好きなだけ飲むといいよ」

「そのことなのよ、勇者ぁ……」

声に翳りがある。どうも妙だ。
なにか、嫌な予感がする。とてつもなく、嫌な予感が。

「あの、その……このワイン蔵に、もうワインはないの」

「はい?」
省13
94: ◆CItYBDS.l2 [saga] 2018/08/28(火)23:02 ID:3l3UqrgJ0(13/14) AAS
AA省
95: 今日はここまでです◆CItYBDS.l2 [saga] 2018/08/28(火)23:03 ID:3l3UqrgJ0(14/14) AAS
―――――――

「いらっしゃいませ……おや、久しぶりだねえ」

「マスターも元気そうで何よりだわー」

「しかも、こんな時間に来るなんて。全く、なんて不良娘だ」

「相方が、酔いつぶれちゃったのよ。でも、なんだか飲み足りなくってさー」
省13
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