遊び人♀「おい勇者、どこ触ってんだ///」 (296レス)
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238: ◆CItYBDS.l2 [saga] 2019/05/25(土)17:31 ID:qW+Kebhi0(3/10) AAS
「少なくとも、現魔王様の支配下にある魔物たちは魔王軍壊滅以降そんなことはしていない。一部、魔王様の手を離れた魔物についてはあずかり知らぬがな。どうする……それでもお前は、魔王様を手にかけるのか?」

 言葉が出ない。俺は本来であれば猛き青春に捧げたであろう貴重な時間を、全て魔王探索へと傾けてきたのだ。だが、魔王はとっくの昔に王国と戦う手段を放棄していたとなれば、俺のこの6年間は何だったというのだ。決して誰かに強制されていたわけでは無い、ただ女神に力を授けられた勇者としての使命感に突き動かされていただけではある。だがそれでも、それがすべて無為なものであったとなれば。

 いや、そうではない。今の俺は、魔王を倒すためだけに旅を続けていたわけでは無い。旅のさなかに出会った彼女がいる。俺の旅は決して無為なものではなかった。少なくとも、彼女と出会い生まれて初めての恋をした。むしろ、俺の6年間はそのためにあったと言っても過言ではないではないか。

 炎魔将軍の言葉を反芻する。「それでもお前は、魔王様を手にかけるのか」。答えはYESだ。邪魔な耐性の力を捨て去るには、彼女を追いかけるには、それしか手立てがないのだ。

「俺は、魔王を倒す……」 

「それは、よく考えたうえでの言葉ですか? 魔王を倒すということがどういうことか本当にわかっていますか?」

 マスターが俺に質してきた。自然と、マスターと俺の視線が交錯する。その冷ややかな目に、俺は動揺を隠しきれず視線が揺らいだ。

「それは、どういう……? 」

「魔王を倒すということは、群れの頂点が変わるということです。つまり、現魔王が行っている人間社会に溶け込むという手段を新しい魔王も採るとは限らないということです。再び、王国と魔族による戦争が起こる可能性も考えなくてはならない。勇者様の言葉は、そこまで考慮したうえでのものなのですか? 」
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