【スペース・コブラ】古い王の地、ロードラン (776レス)
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15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga] 2016/09/15(木) 18:50:54.80 ID:KpK00xl90 亡者達を倒し、汚水路を抜けた2人は、更に襲いくる亡者達の群れを切り抜ける。 その途中でコブラは使えそうな剣を亡者から奪い取り、盾として使えそうな木の板も手に入れていた。 しかし、調子よく事が運ぶなど、コブラは考えもしない。 そして実際に、拍子よく事は運ばなかった。 ドドドドーッ!! コブラ「おお!?」 レディ「こ、これは…!」 前触れなく降ってきた巨大な『赤い塊』には、大きな翼と爪があり、槍のような鱗があった。 胴体から伸びる尾は長くしなやかで、剣のような鋭さを持っている。 コブラ「悪魔の次はドラゴンか…」 コブラ「だが生憎、オレは天使役にはならないぜ!」 飛竜ヘルカイト「ゴオオオォォォ…」 レディ「竜の口がっ!」 コブラ「花火を撃つ気だ!潜り込めっ!!」 ド オ ッ ! ! 大きく開かれた竜の口から、灼熱の炎が噴き出された。 コブラに討たれた亡者達の亡骸はその炎に焼かれ、瞬時に塵と化す。 しかし、竜は肝心の獲物を取り逃がし、懐を晒してしまった。 ガキィン! だが、股下に潜り込んだコブラが腹に突き立てた剣は、硬い鱗に阻まれて折れた。 レディも拳を突き上げはしたが、やはり、鱗を貫くには至らない。 レディ「逃げるのよ!ここは危険だわ!」 グワッ… 腹部に生じた違和感に苛ついた竜は、大きく足を上げるが、既にコブラはワイヤーフックを民家の屋根に打ち込んでいる。 ド ゴ ン ! 竜の足元から土埃が上がるのと、コブラとレディが屋根に着地するのは、ほとんど同時だった。 コブラ「なんて野郎だ。何食えばあんなに腹が硬くなるんだ?」 レディ「今回は逃げてみてもいいんじゃない?」 コブラ「いやあ、まだ手はあるさ。相手が竜なら、こっちも竜の気持ちになればいい」 レディ「えっ?」 コブラ「レディ!オレがあいつに躾をしてやる間、屋根の裏に隠れていてくれ!」 レディ「何をする気なのっ?」 コブラ「虫歯にしてやるのさ!」ニッ レディ「?」 コブラはなにかを確信したように、不敵な笑みを浮かべると… レディ「!? コブラーッ!?」 竜の首筋にワイヤーを引っ掛けて、棘状の鱗に飛びついた。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1473930004/15
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga] 2016/09/15(木) 18:53:45.49 ID:KpK00xl90 ヘルカイト「ギャアアアアアアアアアアアアア!!」 コブラ「カーッ!キンキンわめくんじゃねえや!口うるさいと女にモテないよぉ!」 犬が纏わりついてくる虫を振り払うように、竜は身体を捻ったり、声を張り上げるなどをして抵抗する。 コブラは右手で耳を塞いで苦い顔をしつつ、しかし両足でしっかりと鱗にしがみついており、左手のリストバンドはワイヤーを巻き戻していた。 バサァッ! バサァッ! 翼が起こす風は民家の瓦を吹き飛ばし、朽ちたドアや窓を割る。 しかし、足場を激しく揺すられる以外に、コブラにはなんの被害も無い。 コブラ「それーっ!」 ピシィ! ヘルカイト「ギャウッ!」 それゆえに、再び放つワイヤーフックで竜の弱みを握る事も、容易かった。 ズ ズ ー ン … コブラ「レディ、ゲームセットだ」 レディはコブラの合図を聞き、屋根の裏から身を乗り出す。 レディ「やったのね、コブラ!」 コブラ「ああ。」 コブラの放ったフックは竜の首に巻きつき、下顎の裏にある弱点に引っかかっている。 その部分を強く引っ張られているため、竜は火を吹く事も出来ず、痛みに身を丸めるばかり。 ヘルカイト「………」 コブラ「まさかと思ってやってみたが、こんなに大人しくなるとは思わなかったぜ」ギュウ… ヘルカイト「!!」フルフル… レディ「凄いわね……貴方、魔法は苦手じゃなかったかしら?」 コブラ「魔法だなんてとんでもない。オレは虫歯に爪楊枝を突っ込んだだけさ」 コブラ「竜には必ず弱点がある。酒だの美女だの宝石だのなんかより、よっぽど即効性があって確実な物だ」 コブラ「逆鱗だよ」 レディ「逆鱗…」 コブラ「地球の文明に古代から伝わってる伝説によれば、ドラゴンってのは逆鱗に触れられるだけで顔を真っ赤にして襲いかかってくるんだ。そこを刺して引っ張ってやれば、さぞかし堪えるだろう」 コブラ「まあ虫歯にしちゃあ、ちょっと度が過ぎてるが。へへ…」 レディ「でも、何故この竜に逆鱗があるなんて分かったの?」 コブラ「コイツの下を潜る時に、バッチリと」 コブラ「さてと、今度の飛行機の乗り心地はどうかな?」 レディ「チケットが無いのだけれどいいかしら?」 コブラ「構いませんよ、お姫様」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1473930004/16
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga] 2016/09/15(木) 19:11:29.79 ID:KpK00xl90 バサァッ! バサァッ! コブラ「うおっとぉ!」 コブラ「少し荒っぽいが、まあイケるかあ」 コブラ「これでエイトビートのロックでも聞ければもっとマシ…」 ヘルカイト「ギャアアアアアアア!!」 コブラ「……なんだが、これじゃ期待できそうもないか…」 レディ「この子で鐘を鳴らしに行くのね?」 コブラ「それが出来りゃあ良いんだが、この分だと鐘を焼きそうだぜ」 コブラ「さてと、それじゃあ発進しますかあ!」グン! ブ ワ ァ ッ ! ! コブラ「イヤッホォーーーイ!!」 コブラ(それにしても驚いたぜ…一か八かでやってみたが、まさか地球の伝承のとうりとはな) コブラ(とすると、ここは太古の地球なのか?もしそうなら恐竜がドラゴン伝説の元になったっていう説が、真っ向からひっくり返る事になる) コブラ(いやそれだけじゃない。ここは文明のレベルも世俗のレベルも、確かに太古の物と言っていいものだが、石器時代ではない。かと言って人類誕生以前に地球を支配していた、古代火星文明とも全く違う) コブラ(…まさかあの金属板が作られた時代は、神話の時代…それも本当にあった時代なのか?) コブラ「………」 コブラ(もしそうだとしたら、今回ばかりは死ぬかもしれないな) http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1473930004/17
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga] 2016/09/15(木) 19:12:26.40 ID:KpK00xl90 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー コブラのブーツ コブラの強力な足腰に合わせて作られた特製のブーツ。 踵には強力なスクリューが仕込まれており、水中での移動に使用できる。 また、コブラは多くの場合、パイソン77マグナムをここに隠している。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1473930004/18
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga] 2016/09/15(木) 19:15:33.46 ID:KpK00xl90 太陽。 あるものは、それを神の力の象徴とも言い、あるものは、それそのものが神であるとも言う。 だが、それらの説にも、遥か昔には答えがあった。 太陽は火であるが、世界を支える火は別のところにあると。 その火に神々は惹かれ、その相克に人は惹かれるのだと。 しかしこの地に来た一人の男は、この地に来る多くの不死とは違い、火にも、その相克にも惹かれなかった。 彼の求めるもの、それは『偉大さ』だったからである。 太陽の戦士ソラール「………」 ソラールは、考えに耽っていた。 鐘を鳴らし、偉大なる使命を帯びるためにこの地に来たまでは良かったが、 長く広い石橋を前にして、彼は立ち往生をしてしまっていた。 ソラール(あの橋から飛竜が去ってから、時間は経ったが…) ソラール(再び俺が橋を渡ろうとすれば、竜はまた現れて、橋の上を焼き尽くすだろう) ソラール(まあ橋を焼かれる前に渡り切れればいいのだが…脚には自信がないからなぁ…) ソラール「………」 ソラール「……いや、ここはやるしかないだろう」 ソラール「我が偉大なる太陽よ。どうかご加護を!」シャリィーン! 覚悟を決め、太陽の戦士は自慢の剣を抜いた。 そして盾を構えて、橋の上に一歩踏み入る。 バサァッ! その直後に、彼の頭上を巨大な影が飛び越えていった。 ソラール「もう来たのか!やはり走り抜けるしか…」 ソラール「…いや、あれはなんだ…?」 だがその巨大な影は、前に彼が見た影とは違い、奇妙なものを幾つかくっつけていた。 コブラ「あれだレディ!鐘だ!」 それは、風を切る飛竜の背に乗る、 全身赤ずくめの男と… レディ「教会のようね。でもあそこまでたどり着けるかしら?」 コブラ「コイツに喘息の気でもあるんなら無理だろうが、喘息なら火なんて吹けないはずさ!」 その男の後ろに座って、 男の腰に手を回している、重鎧を着込んだ女と… 牛頭のデーモン「ムオオオオオオオオオオオオオ!!」 飛竜の脚にしがみついて、宙ぶらりんとなっている巨大なデーモンだった。 ソラールは咄嗟に脚を止めたが、数瞬考えた後に、 眼前にある光景に湧いた疑問を一旦棚に上げて、橋を渡ることに専念した。 ソラール「………」 進んでは退いてを繰り返させた大橋も、渡ってみれば呆気ないものと、彼は思った。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1473930004/19
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga] 2016/09/15(木) 19:17:24.06 ID:KpK00xl90 ブワッ! ブワッ! レディ「高度が下がってるわ。やっぱりくっついてきたみたいね彼」 コブラ「やれやれ大したジャンプ力だね。ドラゴンの脚に飛びつくあたり、趣味の方はちょっとイケないな」 レディ「またそんな事言って。どうするの?」 コブラ「乗捨てってのも手かな?」 牛頭「ブモオオオ!」ガリ! ヘルカイト「ギャアアアアアアアアアアアアア!!」バサバサッ! コブラ「おっ!?」 牛の頭と屈強な体躯を持つデーモンにとって、コブラとレディは魅力的な糧に見える。 この辺りの不死は絞り尽くし、新たな巡礼者も絶えて久しい今、 一度も死んでいない者の『ソウル』と、それに含まれぬ『何か』を、デーモンは渇望していた。 普段は決して挑まない飛竜の脚にしがみつき、牙をめり込ませるほどに。 バジィン! 飛竜が高度を下げ続け、デーモンの足が石畳に着く寸前、デーモンの背中に雷が突き刺さった。 その雷は、橋を渡りきった先の建物の入り口付近から発射されていたが、 コブラもレディも、飛竜の体勢の維持に気を取られており、発射の瞬間を見逃していた。 レディ「今の音…まさか、レーザーガン!?」 コブラ「レーザーガンだってえ?しっかりしてくれよレディ。そんなものどこにあるって…」 バジィン! コブラ「!」 コブラ(いや…確かにレーザーガンの着弾音に聞こえる…!) コブラ(しかもそれなりに強力な出力だ。しかしこんな世界でそんな代物をぶっ放すヤツが、オレ以外にいるとは思えない) コブラ(そうすると…) http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1473930004/20
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga] 2016/09/15(木) 19:23:12.74 ID:KpK00xl90 理解しがたい光景にソラールは初めこそ怯んだものの、彼の正義感と人の良さが、怯みを打ち消した。 正体の分からない男女が、いかにして凶暴な飛竜を手懐けたのかは、彼には分からない。 二人が良いものなのか、それとも悪しきものなのかも、彼は知りようもない。 ただ太陽の戦士の目には、彼らが危機の中にあるという事だけが映っていた。 バジィン! 牛頭「グモオオオオオオオ!!」 牛頭のデーモンを、またしても雷が貫く。 デーモンは断末魔の叫びを一声上げると、飛竜の脚から手を離し、橋に墜落したが… ボファアア! 石畳に激突する瞬間に、霞のようになって消えた。 コブラ「!」 それと全く同時に、コブラは何かを感じた。 ヘルカイト「グギャアアアアアアアアアアアアア!!!」 レディ「!」 牛頭のデーモンが消えた事により飛竜は浮力を取り戻したが、 デーモンを振り落とすために力を込めた翼が、過剰な推進力を作り出してしまっていた為に、 飛竜は空へ向かって垂直に飛び上がった後に、バランスを崩して背中から石橋に堕ちた。 レディ「あうっ!」ザザッ! コブラとレディも空中に投げ出され、飛竜に押し潰されはしなかったものの、やはり墜落は免れず、 橋の終わりの左右両側にある出っ張りに落とされてしまった。 コブラ「クソッ…油断したぜ…」 レディ「ワイヤーが外れたのね…」 背中から落ちたコブラは、レディに肩を支えらつつ、悪態をついて起き上がる。 しかしその悪態とは反して、彼の身体は再び軽快さを取り戻しており、気だるさも消えていた。 背中の痛みも既に無い。 コブラ(今のは一体なんだったんだ?……まるで夢から醒めたみたいだったが…) レディ「コブラ、見て!」 自分に何が起きたのか、彼は一瞬考えたが、相棒に呼ばれて気を持ち直し、 彼女が目線を送る場所を、目で追った。 そして思いもよらない光景に出くわし、驚いたが、しかし彼の中で何かに合点が入った。 コブラ「フフッ…なるほどそういう事か」 コブラ「ありゃレーザーじゃなくてプラズマだ」 コブラの眼前には、巨大な竜と、それと対峙する『雷を持った男』が居た。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1473930004/21
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2016/09/15(木) 19:29:18.70 ID:lmHVcEqe0 ん? これ前に読んだような http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1473930004/22
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2016/09/15(木) 19:37:03.02 ID:kzsvIzYIo 落ちたから復刻盤かな? http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1473930004/23
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2016/09/15(木) 19:43:08.60 ID:ctY4HkzmO 立て直し?取り敢えず支援 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1473930004/24
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga] 2016/09/15(木) 19:47:42.90 ID:KpK00xl90 時間が取れたから復刻ついでに修正入れてます。 自治スレ見てなかったからスレ落ち待ちの期限が三ヶ月から一ヶ月に変わってた事に気付かなかった。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1473930004/25
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] 2016/09/15(木) 20:11:49.39 ID:lmHVcEqe0 なるほど ゲームの方はわからんけどコブラものとして楽しく読ませてもらってたよ http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1473930004/26
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga] 2016/09/15(木) 20:59:57.28 ID:KpK00xl90 縛から解かれた飛竜は怒り狂い、猛っていた。 己を捕らえて痛みを負わせた者を焼き、ソウルを食らう事だけが、怪物の目的となっていた。 ヘルカイト「グギャアアアアアアアアアアアアア!!!」 だが、かの竜達の『出来損ない』としてこの世に生を受けた者には、知恵など無く、 ただ目の前の戦士にのみ、敵意を向けていた。 ゴワァ… 真っ黒に開かれた飛竜の口内から、熱がせり上がる瞬間、ソラールは雷を投擲する。 バジィン! ヘルカイト「ギャウウウッ!」 放たれた雷は飛竜の右目を射抜き、黒煙と共に眼球を焦がした。 しかし飛竜は倒れず、頭を大きく振って痛みを紛らわせる。 ソラールは二投目を行う為に、掌にあるタリスマンに祈りを込める。 バッ! ソラール「!!」 そしてソラールの手に雷の槍が現れはじめた時、 飛竜は予想を超えた速さで、ソラールに照準を向け… ド ゴ ー ー ッ ! ! 山と積まれた火薬が炸裂するような音を立てて、その鱗が密集した背中を爆発させた。 ソラール「おおっ!?」 おびただしい量の鱗を撒き散らしながら、飛竜は崩れ落ちる。 口からは火柱ではなく火の粉を散らせ、全身から黒煙を上げながら、竜の残骸は徐々に形を霞ませていく。 やがて霞が晴れる頃、太陽の戦士の視界に、 跪いた男と、その男を支える鎧姿の女が入った。 コブラ「よお…ちょっとタバコくれないか…?」ゼェゼェ… ソラール「………タバコ?…」 顔色の悪い男はそう言うと、力なくニヤリと笑ったが… スッ… 急に演技をやめた役者のように、みるみる元気になって立ち上がり、頭を掻いた。 コブラ「なんだぁ?急によくなっちまった」ポリポリ… レディ「…なんか、だんだん貴方が仮病を使ってるように思えてきたわ」 コブラ「よせよぉ、そんな目で見ないでくれ。オレにもサッパリ分からないんだ」 コブラ「それにしてもアンタ、危なかったな。もう少しでバーベキューになるところだったぜ?」 ソラール「ん……あ、ああ…そうだが…」 奇抜としか言いようの無い格好をした男に無闇に話しかけられ、ソラールはまたしても困惑した。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1473930004/27
28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga] 2016/09/15(木) 21:01:23.32 ID:KpK00xl90 レディ「あそこの建物の中に焚き火があるわ。少し休憩しましょう?」 コブラ「そうだな。さっきからオレも働き過ぎのせいか青くなったり赤くなったりで、少し休暇が欲しかったんだ」 コブラ「アンタはどうだい?」 ソラール「う、うむ。俺もあの篝火が目的だったんだ」 コブラ「そうかい。なんなら世間話の一つでも聞かせてくれると有り難いね」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1473930004/28
29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga] 2016/09/15(木) 21:02:12.02 ID:KpK00xl90 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー コブラのベルト コブラが身につけている特製のベルト。 バックルにはカード状の物を収納するケース、カメラ、 着脱式双眼鏡といった機能が仕込まれている。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1473930004/29
30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga] 2016/09/15(木) 21:06:06.30 ID:KpK00xl90 パチパチ…… コブラ(不思議な炎だ……当たっているだけで心身の疲労が消えていく…) コブラ(燃え方もおかしい……ただの炎じゃないってことか) コブラ(…まさか、あの時オレたちを飲み込んだ炎ってのも、もしかすると…) ソラール「温かいだろう」 コブラ「ん? 」 ソラール「この火は良い……俺のような不死ですら、太陽のように包んでくれる」 コブラ「………」 コブラ「そうかい、アンタは不死だったのか」 ソラール「……その口振りでは、まるで貴公は不死ではないような言いようだが」 コブラ「そういうおたくこそ現地人には見えなかったぜ。手からプラズマ砲を撃つなんて、未来人にしか出来ないはずだからな」 コブラ「ま、そのアテも外れちまったよ」 ソラール「………さっきからなんの話をしているんだ?ぷらずまとはなんだ?ばーべきゅうとは?」 コブラ「あー…アンタにとっては、遠い未来の話さ」 コブラ「…いや、そもそもここが過去なのか、それともどっか別の次元なのかってのも、オレたちには分からんがね。推測は出来るが、確証には至らずってヤツさ」 ソラール「………そうか、貴公らも別の世界から来たのか」 コブラ「意外だなぁ。もっと驚くと思ってたが、案外話が通じるじゃないか」 ソラール「この地においてはさほど不思議でもない。このロードランには正しい時間などは存在しないからな」 コブラ「時間が存在しない?」 ソラール「ああ」 ソラール「この地の時間はすぐにズレていく。100年以上前の伝説が目の前に現れたかと思えば、見たこともない、貴公のような未来の者が姿を見せる事もある」 コブラ「………」 ソラール「なんといったら良いか……あらゆる時間や物事が、この地を中心に混然一体となってると言えば良いか……とにかく、俺と貴公が存在している世界が、いつまで繋がっているかも分からないんだ」 コブラ「ちょっと待ってくれ。じゃあ仮に俺達とアンタの世界が切れたら、俺達は元の世界に帰れるって事か?」 ソラール「帰れる。帰れはするが、そこは貴公が望む世界ではないだろうな」 コブラ「なに?」 ソラール「鴉に落とされた場所に、騎士が一人座っているだろう」 ソラール「彼は不死の使命を果たして自由になると言っていたが、飛竜や骸、仮面を被った恐ろしい闇霊などに阻まれて、希望を失ってしまった」 ソラール「だからなんだろうが、彼は使命を果たす事より、このロードランから抜け出す術を探し続けた」 ソラール「俺も力を貸した。助けになりたくてな」 ソラール「だが……」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1473930004/30
31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga] 2016/09/16(金) 02:26:53.14 ID:arCyxKGf0 戦士「お、おお…見ろ…俺の体が透けていく…」 戦士「どうなってるんだ…?」 ソラール「見当もつかない…痛みはあるか?」 戦士「いや、痛くはない……だが、どこか懐かしい感じがするんだ…」 戦士「俺は今度こそ帰れるのか…?」 試せる事を全て試した後に、彼はしばらく項垂れていたんだが、その時に異変が起きたんだ。 今思えば、アレはただ彼と俺の世界が再び離れ始めただけだったのだが、 あの時の俺は、そんな事思いもしなかった。 戦士「見える…今見えてる景色に、別の景色が重なってる…」 戦士「あれは……俺の…」 ソラール「なんだ!何が見えるんだ!」 戦士「あれは俺の……俺の家…」 彼が何を見たのか、俺には想像しか出来なかったが、 彼が消える瞬間に言い残した言葉を聞いて、安心したよ。 少し寂しい気もしたが、彼は故郷に帰る事が出来たんだと思うと、その寂しさも消えた。 だが、彼は故郷には帰れなかった。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1473930004/31
32: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga] 2016/09/16(金) 02:39:49.52 ID:arCyxKGf0 俺は、鐘を鳴らしにまた不死街に入った。 街の中は相変わらず亡者だらけだったが、あいつらを倒すのにも、もう慣れていたな。 ソラール「……?」 しかし、いつもと同じ景色の中にあって、一つだけ変化した物を見つけた。 開けたはずのない扉が開いていた程度のものだったが、用心するに越した事はないからな。 俺は剣を構えながら、足音を立てないように、民家に入った。 戦士「………」 そこには血塗れになった彼が立っていた。 棚や机は叩き壊され、壺は割られ、床で蠢く亡者は食器棚の下敷きになっていた。 俺に背を向けて立っていたから、彼の顔は分からなかったが、 彼に何が起こったのかくらいは、俺にも想像がついたよ。 俺は何も話しかけられなかった。 彼も何も話さずその家から出て、去って行った。 俺とは目も合わさずにな。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1473930004/32
33: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga] 2016/09/16(金) 03:01:32.11 ID:arCyxKGf0 ソラール「あれ以来、彼はあそこに座ったまま、何もしようとしない」 ソラール「使命を見出し、それを果たさぬ限り、何をしようとロードランからは出られない………仮に他者の時の流れから抜け出しても、抜け出した先にある自分の世界は、やはりこの地のみなのだ……と、悟ってしまったんだ」 ソラール「この地にある偉大な力……その力がここに来る者達を縛り付ける。彼はそれに屈してしまい、心を折ってしまったということだ」 コブラ「………」 ソラール「貴公らは、見るからにロードランでも俺の居た『人の世界』でもない、どこか別の世界から来たと見えるが、ここでは甘い希望は捨てた方がいい」 ソラール「ここで出来ることは、諦めて亡者になるか使命を果たすか、それだけしかないんだ」 コブラ「ふーん」 ソラール「………」 ソラール「ニヤつかないで真面目に聞いてくれ。不死ではない貴公にとっては…」 コブラ「ああ、スマンね。どうせそんな事なんだろうなと薄々は予感してたんでね」 ソラール「なに?」 レディ「つまり、いつもの事ってことよ。彼にとってはね」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1473930004/33
34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga] 2016/09/16(金) 03:08:54.05 ID:arCyxKGf0 コブラ「体に時限爆弾を仕掛けられるよりは気楽な話さ。なぁレディ?」 レディ「そうね。にやけ顏でそんな事言えるのは、貴方ぐらいなものって所もね」 ソラール「………そちらの騎士殿に聞きたいのだが、じげんばくだんとは一体…?」 レディ「いつ爆発するかを予め決めておく事ができる爆弾よ。簡単に言えば、導火線のついた火炎瓶の高級品ってところかしら」 ソラール「…うむ……」 コブラ「………」スッ パッパッ レディ「どうしたの?」 コブラ「どうって、ズボンの埃を落としてるのさ。いつまでもここでアウトドアをしてる訳にもいかないだろ?」 レディ「それもそうね。行きましょう」 コブラ「アンタはどうする?一緒に来るか?」 ソラール「いいのか?」 コブラ「よかなきゃ誘わないよ。こっちとしても戦力が欲しいからな。もっとも、来ないってんならそれもいいさ」 ソラール「いや、俺と貴公らの世界が重なったのも何かの縁だ。是非とも同行させてくれ」 コブラ「決まりだな。レディもいいだろ?」 レディ「ええ、OKよ」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1473930004/34
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