[過去ログ] 鳴護アリサ「アルテミスに矢を放て」 〜胎魔のオラトリオ〜 (917レス)
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208: 田中(ドワーフ)◆7fp32j77iU [saga] 2014/04/30(水)10:27 ID:iVD6+Ji+0(1/30) AAS
――ユーロスターS 通路 移動中
柴崎「――さて、ではさっさと車両移動して切り離してしまいましょうか」
上条(そう言いつつ柴崎さんはアタッシュケースから何か――小さめのマシンガン?を取り出す)
上条(誂えたようにピッタリとはまる特注品か?)
柴崎「MP5短機関銃、サブマシンガンと言った方が分かりますかね」
省18
209: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/30(水)10:29 ID:iVD6+Ji+0(2/30) AAS
上条「つーかさ、前から思ってたんだが、連中の『ウロコ』消すには一瞬じゃ無理だったよな?」
鳴護「あ、学園都市でも」
上条「そうそう。あっちは巻き込まれた方で、ハウンド?とかと一緒に何とか捕まえたんだけどさ」
柴崎「……『暗部』の始末屋も動員されていたんですか」
上条「けど今の『アレ』は文字通り『幻想殺し』が徹った――ように、見えた」
省21
210: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/30(水)10:31 ID:iVD6+Ji+0(3/30) AAS
柴崎「あー、ほら。落ち込んでるアリサさんを励ます的なアレじゃないでしょうかね、多分」
鳴護「そっかぁ、当麻君……うんっ」
上条「やめてくんない?分かってて追い込むの止めてくれないかな?」
上条「……いやマジ話。『アレ』を放置したまま行くってのは」
柴崎「上条さんと自分の能力だけでは如何とも。銃器でどうにかなる相手とも思えませんし」
省24
211: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/30(水)10:33 ID:iVD6+Ji+0(4/30) AAS
上条「緊急事態にボケる意味が分からねぇよ」
柴崎「冗談だったら良かったんですが。『アレ』を」
『――テケリ・リ』
上条(閉めたドアの隙間から黒い粘液が染みだしてくる)
上条(密閉されている筈なのに――?)
省24
212: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/30(水)10:35 ID:iVD6+Ji+0(5/30) AAS
柴崎「なら結構。ではまた後で」
鳴護「柴崎さん、その……」
柴崎「ここは自分に任せて先に行って下さい!」
鳴護「死亡フラグですよね、それ?」
柴崎「自分、この仕事が終わったらプロポーズするんです!」
省31
213: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/30(水)10:41 ID:iVD6+Ji+0(6/30) AAS
――カーゴ3
□□□□−□□□□□−□※◇◇■
※ 現在位置
鳴護「うっわー、結構広いよねぇ」
上条「だな」
省18
214: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/30(水)10:43 ID:iVD6+Ji+0(7/30) AAS
青年「『――, ――?』」
上条(そして話しかけてくる言葉は英語じゃない。てか『黒鴉部隊』の人じゃないっぽい)
上条「よし、鳴護。俺に任せろ」
鳴護「お勉強は私と同じぐらいの当麻君に、自信満々で言われるとちょっと不安になるんだけどな……」
上条「こう見えても英語が得意な友だちに、『カミやんはこう言っとけばいいにゃー』と授った台詞がある!」
省20
215: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/30(水)10:45 ID:iVD6+Ji+0(8/30) AAS
青年「……そか。悪かったな、手間取らせて」
鳴護「えと、後ろの車両?にも大丈夫な人が居るみたいだし、きっとそっちに!」
青年「だと良いんだけどな。どーにも手間ばっか取らせやがって」
青年「つーかさ火事、なんだよな?」
上条「そうらしいな」
省15
216: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/30(水)10:48 ID:iVD6+Ji+0(9/30) AAS
――ユーロスターS カーゴ3
男「鳴護アリサさんと上条当麻君ですよね」
青年「違うぜ?」
上条「アンタじゃねぇよ。つーか勝手に答えんな」
上条(さっきの人と何か意気投合していたら、別の人達――男女の二人組が話しかけてきた)
省22
217: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/30(水)10:50 ID:iVD6+Ji+0(10/30) AAS
男「『アレ』という不可解な、敵味方問わずに捕食する生物兵器としても全く取り柄のない欠陥品」
男「統制の取れていない敵、目的不明のまま切り離された後続車両」
上条「全部混乱させるため、とか?攪乱させるため、陽動目的とかあるだろ」
女「ここまで出来る戦力を揃えていたら、ハナっから全力でぶつけています」
女「小出しにすれば適宜撃破される可能性があり、仮面ライダ○に悪の組織が負けるのと同じ構図ですよ」
省22
218: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/30(水)10:52 ID:iVD6+Ji+0(11/30) AAS
――ユーロスターS カーゴ3
上条「へー、そうなんだ?」
男「少し照れますが」
鳴護「当麻君たち、そんなお話ししてたんだー?」
上条「ちょっとだけな。護衛の方じゃ、って話だけど」
省18
219: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/30(水)10:55 ID:iVD6+Ji+0(12/30) AAS
アル(青年)「親が知らせないのもまぁ?自由だと思うがね」
アル「だけどそれで子供が幸せになるか、つったら別の話だわな」
アル「俺には『不幸の先延ばし』にしているだけにしか思えねぇんだけどよ」
上条(流暢な日本語で、しかし脈絡もなく話を展開するアルフレド)
上条(何がしたい?何が目的だ?)
省19
220: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/30(水)10:57 ID:iVD6+Ji+0(13/30) AAS
アル「いやぁ別に俺もよく知らねぇんだけどさ。つーかカミやんに詳しい話聞こうと思ったら、取り込み中だったって事だけど」
アル「そっちの子がお偉いさんのお嬢ちゃんで、カミやんが友だち、でもってそっちがSSかボディガードなんだろ?」
アル「そいつらがカミやんの『引っかけ』、つまり『仲間の名前を聞いたり、スキルを教わってたってブラフ』を仕掛けたんだわな」
上条(正解。けどそれのどこがおかしい?)
アル「……でもなぁカミやん、よくよく考えてみ?」
省28
221: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/30(水)10:59 ID:iVD6+Ji+0(14/30) AAS
上条「決まってる。そりゃな」
女「柴崎はあなたを危険から遠ざけるためにしたのよ!それを分かってて!どうして意志を汲み取らないの!?」
男「……それはダメだよ!子供のする事だ!」
上条「いや、そんなに難しい事じゃねぇだろ。何一つ、どれ一つ」
上条「自分を犠牲に誰かを助けようとしてって奴を、助けられないんだったら――」
省21
222: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/30(水)11:00 ID:iVD6+Ji+0(15/30) AAS
――ユーロスターS カーゴ3
男「……行きましたね。あ、鳴護さん離して下さい」
鳴護「ほんほひ?ほわなひ?」
男「追いません。つか痛覚切ってありますから、痛くもありませんでした」
女「あなたも退いて下さって結構です」
省19
223: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/30(水)11:02 ID:iVD6+Ji+0(16/30) AAS
アル「テメェが気に入らねぇからって、ジジイのチャリンコみてーにキーキー叫き散らしたって、一体何が変わるって言うんだよ?」
アル「ダタこねてワンワン泣きじゃくったって、誰からもシカトされて終りだろーが」
アル「それでセカイが変わるか?テメェが偉くなるか?キチガ×扱いされるだけじゃねぇか」
アル「結局人間ってのは、結果と経過に対してのみ評価されるもんであってだ」
アル「テメェが世界を変えたいんだったら、テメェが変えるしかねぇんだよ」
省35
224: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/30(水)11:03 ID:iVD6+Ji+0(17/30) AAS
――ユーロスターS 10両目 一般座席
「――シッ」
ヒュゥ、と空中に光が舞い、限界まで伸び上がろうとしていた『アレ』を千々に裂く。
『剃刀(ブリトヴバァ)』、ほんの少量の鉱物を扱える”程度”の能力だと言ったが、それだけではない。
扱える物質、柴崎の場合は銀だけであったが、それを極限にまで細く、肉眼では不可視なまでに薄くすれば充分な凶器となる。
時として意図せず紙で手を切るように、『薄い』だけで充分に肌を裂く威力を持つ。
それが分子単位で縒り上げた糸を鞭の要領で振り抜けば、指や腕程度は軽く落とせる。
SFでは単分子繊維鞭(モノフィラメントウィップ)と呼ばれ、また能力の一環であるから貨幣一枚あれば、容易に持ち運び出来る武器となる。
省9
225: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/30(水)11:05 ID:iVD6+Ji+0(18/30) AAS
『テ……ケリ・リ』
相性が悪すぎる。相手は粘液、アメーバのような『アレ』を切ろうが、直ぐに繋がってしまう。なまじ切断面が鋭い分、傷口は再生しやすい。
銃器も数発撃って諦めた。黒いドロドロの中はぼんやりと透けていて、中には意味不明の器官がデタラメに発光しているだけで、意味があるとは思えなかった。
こうなると膠着状態に陥る――にも、また違う。
相手は『液体』であり、その体を押しつけ『消化』しようと擦り寄ってくる。
本来はアメーバなどの原生生物の補食行動であり、そのサイズから人類の脅威になるとは有り得ない。病原体の一部としては別にしてもだ。
しかしここまで大きければ避けるのは困難。また飛び散った粘液も強酸か、消化酵素であるらしく、飛沫が付着しただけで溶け始める。
体に強化ステンレスを埋め込み、対物狙撃銃(アンチマテリアルライフル)の直撃を受けても、死なない”かも”知れない柴崎にとって、徐々に消化される攻撃方法は防げない。
省3
226: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/30(水)11:06 ID:iVD6+Ji+0(19/30) AAS
救いがあるとすれば、『アレ』の知能が著しく低い事か。現在分かっているルールは、
1.目の前に『エサ』がある場合、それを優先して捕食する
2.無い場合は何らかの方法で索敵、一番近い有機物を探し出す
3.索敵方法は不明。感覚器は見当たらない
ぐらい。食堂車で何かを溶かしていた『アレ』はこちらへ見向きもしなかった。
(セオリーでは『火』なんでしょうが、ふむ?)
生物にとっての天敵は『火』だ。
動物であっても恐れるし、恐れないのであれば抵抗されずに焼ける。『アレ』にそんな知能があるかは知らないが。
鳴護の意見は一蹴したが、火炎放射器が装備にあったら躊躇いなく使っていただろう。無い物ねだりをしても仕方が無いのだが。
省4
227: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/04/30(水)11:08 ID:iVD6+Ji+0(20/30) AAS
だが、ユーロスターSには当然最新式であり、突発的な災害についてのセーフティが多くかけられている。
地震が発生すれば20秒以内に自動減速して停まり、不意の事故へも対応が成されている。
また車内での火災にも適宜鎮火剤を含んだ水が撒かれ、大きな火災になる事はない。
つまり。
(……詰んでますね、これ)
二人分の人間を消化し、比例して体積が大きくなっている『アレ』。圧倒出来るだけの火を用意するのは不可能に近い。
火災警報器を切ればまだ望みはあるが、車内で爆発的な炎を起こしたら、そのまま列車火災へ繋がるのが目に見えている。
フィクションの世界だとすれば。半裸の中年刑事がデタラメに配線を切っていけば、都合良く止まるだろう。
が、現実にそんな事をすれば停まるのが列車の方だ。エラーが起きれば『安全に停止する』と最初から組み込まれており、それが実行されるだけ。
省5
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