[過去ログ] 「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part9 (1002レス)
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993: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/28(月)18:09 ID:GWgB8pC0o(1/8) AAS
>>992
ありがとうございます。
では、最後一話、行かせていただきます
994: コドクノオリ「孤独の檻」 2013/10/28(月)18:10 ID:GWgB8pC0o(2/8) AAS
 自分の体がある、という感覚すら曖昧なまま、久信は粘性の水の中を漂っているような感覚をおぼろげに得ていた。
意識はかろうじて、湧き出した蠱毒の毒によって今のような状態に追い込まれてしまったということを覚えている。
 ……くそ、毒そのものよりも、この纏わりついてくる呪いが邪魔くさい。
 ともすると、ものを考えることすらできなくなりそうな異常な不快感が体にまとわりついて離れない。
 蠱毒は新たに放り込まれた蠱毒の礎を逃さないように、次々と体に腕や蛇が絡みついては爪や牙を突き立てるように久信の中に侵入してくる。
 久信が思っていた以上に、蠱毒の呪詛が強力に久信を侵しているのを感じる。
蠱毒の本質が毒ではなく、呪詛にあるということを身をもって思い知らされる気分で、
自分の意識を蠱毒に塗りつぶされるのを防ぐために、ひたすら思考を回転させる。
 纏わりついてくる腕や蛇は時間が経つごとに増加していき、久信にはもう自分が立っているはずの地面や手に持っているはずの壺の感触すらもなくなってしまった。
省22
995: コドクノオリ「孤独の檻」 2013/10/28(月)18:19 ID:GWgB8pC0o(3/8) AAS
 姉は、結局自分が放り込まれていた組織の中でその手段をほぼ完ぺきに完成させた。
最後には暴走してしまったが、その後も久信のところまで戻ってきてくれた。
 ただ、今はコドクの中で溜まった毒が修実に彼女が望まない力を与えて、その力が彼女を苦しめている。
 現在修実を苦しめているコドクを横合いからかっさらって食いつぶそうとした久信は、情けなくも取り込まれる寸前にまできている。
 いつの間にか手段が目的にすり替わってしまい、身の丈に合わない力を求めることに固執した結果がこれだ。
 一緒に居るために必要な選択は、久信が蠱毒を喰らって強くなることでも、心中をすることでもない。
 ……今思えば、家の両親は修実姉が自分で力を制御できるようになるって信じてたんだろうな。
だから俺が自分の力を磨くことに必死になってる事に気付いていても、目的と手段を取り違えてるなんて教えなかったんだ。
世継ぎが自分の力を磨く事自体は好ましいことだからって。
 だとしたら文句の一つでも言ってやらなければならない。苦笑気味にそう思い、久信はここにきてもう1つの手段に辿り着いた。
省23
996
(1): コドクノオリ「孤独の檻」 2013/10/28(月)18:20 ID:GWgB8pC0o(4/8) AAS
 抱きしめて、離れることはないと伝えてやること。
 これは修実の無意識が抱く執着心の表れだ。
 孤独であることを受け容れていたかのように見えた修実が、
唯一手放すことを拒んで自分の中に取り込んでしまいたいと思うほどに執着を見せる他人。それが久信だ。
 蠱毒は、自分たちの頂点が無意識に下した指令に従い、近くに寄って来た格好の標的である久信を取り込もうとして、
まるで誘うかのように亡者の群れをばらまいて壺の場所を教えたのだ。
 久信には、毒を通して修実が縋ってくるのが分かるようだった。
 あんなに力を持っている修実が、彼女と比べて大した力を持っていない久信に縋り付いていることに、
内心驚きのような、こそばゆいような感情を覚える。
 修実が言っていた、久信が居なければ生きていけないという言葉が本心からのものであったと、ようやく実感として理解できた。
省11
997: コドクノオリ「孤独の檻」 2013/10/28(月)18:21 ID:GWgB8pC0o(5/8) AAS
    @

 久信は、壺の中から転がり出ていた。
 どう考えても自分の頭すら入りそうにない、横倒しになった壺の入り口に、あの中にどうやって入っていたのかは分からない。
ただ、確かにそこから転がり出てきたのだということは、久信の脚に一匹だけ絡みついている黒い蛇の尾の先が壺の中に伸びているのを見ればわかる。
 手で外すと、蛇は底を見透かすことができない壺の奥へと消えた。
 顔を上げると、四肢を無くした修実が、意外なものを見るような目で久信を見上げていた。
「毒に飲まれなかったんだね」
 事実を確認するように呟く修実に、久信は頷きを返した。
「そうだよ。自分と修実姉の間違いに気付いたからね。それを今から教えるよ」
省24
998: コドクノオリ「孤独の檻」 2013/10/28(月)18:22 ID:GWgB8pC0o(6/8) AAS
   @

 地面に落ちてこちらを見上げる修実に、久信は笑みで頷いた。
「なんていうか、さっきぶり、修実姉」
 その言葉を聞いて、久信の腕の中に抱えられていた修実が口を開く。
「あーあ、せっかくあと少しでこの人を私の物にできたのに」
 久信の腕の中の修実からは、先程の大蛇と同じように、黒い瘴気が流れ出していた。
 久信の腕の中の修実からは数秒足らずで人の形が失われ、久信と、
地面に居る修実から逃れるように少し離れた位置で再び瘴気の塊として凝り出した。
「残念。あなたは私の正体に気付いていたの? 久くん?」
省15
999: コドクノオリ「孤独の檻」 2013/10/28(月)18:25 ID:GWgB8pC0o(7/8) AAS
 久信と目を合わせるのを避けるように俯き加減になった修実に、久信は優しく言う。
「修実姉の精神……でいいんだよね? 俺に付き合って修実姉もここに来てくれてたんだね」
「ごめんなさい。この毒に挑んだら久くんは飲まれて、久くんであることができなくなると思ったから、私が自分でできるだけ久くんを壊さないように取り込もうって、そう思ったの」
 何度か苦しそうに呼吸を繰り返し、修実は顔を上げた。
「私の毒は、私の罪は。私が独りで飲み込んで消えていくって決めていたのに……っ。
 久くんが、あんまり私なんかに優しいから。私独りで逝く決心が揺らいでしまったの……。ずっと独りでいられると思ってたのに……」
 言葉に詰まりながら修実は言う。その手の付け根がおずおずとこちらに差し出されるように動く。
 無自覚の動きだ。彼女は誰かに助けを求めるという、当たり前のことをする権利が自分にもあるということが未だに定着していない。
 だが、人として生まれた彼女の本能は誰かに助けを求め続けていたはずなのだ。
 久信は、かつてはその手が伸ばされている可能性があることすら、考えもしなかった。
省25
1000: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/28(月)18:26 ID:GWgB8pC0o(8/8) AAS
と、いったところで新スレの季節です

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