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「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part9 (1002レス)
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974: コドクノオリ「かたわらのきみ」 [sage] 2013/10/19(土) 13:56:22.49 ID:Z9v+Ibn9o @ 「そうだよ、修実姉」 昌夫が時間を稼いでいる間に、久信は修実のもとへとたどり着いた。 修実は今、蠱毒の瘴気が溢れることを恐れてせいいっぱい集中しているため、ろくに動くこともできない。 修実の逃亡を防いだ上で、姉弟は向き合い、もしかしたら最後になるかもしれない会話の機会を得た。 「修実姉」 「久くん……」 言葉が返ってくることに安堵しながら、久信は続ける。 「俺の前から消えるのか?」 「うん、もう一緒に入ることはできないから」 「聞いたよ。蠱毒の瘴気だろ? 今はほら、抑え込めてるじゃないか」 「だめよ。ほんの少しの刺激で瘴気が溢れ出てしまう、とても不安定な状態なんだから」 そう言って顔に微笑みを張り付ける修実に、久信は強い語調で言った。 「それで、また自分が持ってるものを全部捨てて独りになるのか」 いつだってそうだった。家族も居場所も全部放り出して、自分から引きはがすことができない力を抱えたまま、修実は独りになって、それでも自分が生まれ持った力で何かができるのではないかと、彼女は周りに尽くしてきた。 力が強すぎる修実は、人の姿をしている人とは別の何かとして扱われ、根本的な部分で人としての生活を送らせてもらえていなかったから、そうやって周囲に尽くすことによって、異質な自分でも人の間に居てもいいんだろうかと、そういう許しを乞うてきたのだろう。 そして、尽くしてきた事に対しては裏切りで報われ、それを清算した果てに、彼女は新たに自分とは切り離すことができないコドクを抱えてしまった。 そしてそれはまた彼女を人の間から遠ざける。 「あと少しで、人並みの生活が送れるようになるってところじゃないか」 「それでも、もういいんだよ」 修実はゆっくりと首を横に振った。 「私は人として生まれて、人を、久くんを愛して、そして、ここまで生きてくることができたのも、やっぱり人のおかげで、人は好きだから……できればこの力を使って人の間で生きていくことができればって思ったこともあるけど、しょうがないね。 愛した人も、それ以外の人も、できることなら私は害したくないから、そこにいるだけで誰かを呪わずにはいられないどうしようもない私は、どこか、人のいない場所にのんびり隠れ住もうと思うの」 修実の最後の発言は嘘だと分かっている。これだけ力が不安定な状態でのんびりもくそもありはしない。あるのは、衰弱による死か、全てを力に乗っ取られるか、その前に自分を終わらせるか、その三択だけだ。 どれをとっても修実は死ぬ。そんな最悪の選択肢しかない状況で、修実はそんなことを微塵も感じさせない笑顔で言った。 「ねえ、久くん。私ね、私がこうなる前に家に帰って来いって、家族皆に言われた時、すごくうれしかった。でも、ねえ。知ってた? 私、あの時、久信に帰ってこいって言ってもらえたことが、何よりも嬉しかったんだよ。 小さいころは何も知らなったから、私を受け入れてくれていた。でも、中学生から高校生になる頃には、昌夫くんと一緒に普通の学校に通って友達を作ってた久くんがまるで私から離れていってしまうみたいで、ちょっと寂しかったんだよ」 「あれは――」 「ううん、いいの」 修実は、だけど、と自分の言葉を続ける。 「そんな時期の少し後、久くんは里帰りした私に好きだって言ってくれたよね。私もね、ずっと言いたかったんだよ。 私は、その思いでだけで十分だから。だから、久くんと離れても大丈夫。 むしろね。もしかしたら私が私の中の蠱毒を抑えきれずに久くんを殺してしまうかもしれない。それが怖いの」 修実の声がわずかに震え、六本の腕が一層強く濡れた体を抱きしめる。 「もし私のせいで久くんが死んじゃったら、私……いきていけない。だから……」 ――――さようなら。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1361373676/974
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