(,,゚Д゚)学校の怪談のようです (116レス)
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(1): 2011/08/04(木)23:08 ID:KjQ6rfnA0(1/38) AAS
AA省
60: 2011/08/04(木)23:08 ID:KjQ6rfnA0(2/38) AAS
AA省
61: 2011/08/04(木)23:09 ID:KjQ6rfnA0(3/38) AAS
AA省
62: 2011/08/04(木)23:10 ID:KjQ6rfnA0(4/38) AAS
*(;‘‘)*<へ?

猫の顔には、相変わらずあのなんとも言いようのない笑顔が張り付いている。

(,,゚Д゚)<少なくとも、あなたが"こうなってしまった"ことに理由があることくらい、
     ネコのわたしでもわかりますよ

*(;‘‘)*<<なッ……!?

猫の言葉に、少女は一瞬硬直し、顔を下に向けぶんぶんと左右に振って、
なんとか意識を落ち着かせると、猫に問いかけた。
省9
63: 2011/08/04(木)23:11 ID:KjQ6rfnA0(5/38) AAS
―――どうせ、それもあなたとっては、
    『どうでもいいこと』の一つでしかないのでしょうから

ぽんぽんぽん、と三回扉をノックすると、猫は少女のほうを振り返ってそんなことを言った。

                .
64: 2011/08/04(木)23:11 ID:KjQ6rfnA0(6/38) AAS
     *(‘‘)*学校の怪談のようです【二夜】

          「トイレの花子さん」

               .
65: 2011/08/04(木)23:13 ID:KjQ6rfnA0(7/38) AAS
*(‘‘)*

放課後の教室で、今年小学6年生になったわたし、ヘリカル沢近は、
頬杖をついたまま、ぼーっと外の風景を眺めていました。
夕陽に照らされた校庭には、ボール遊びをする生徒の姿がちらほらと見られます。
別に見ていて、特に楽しいってわけでもないんですけどね。
でも、やっぱりわたしは座っている席を離れず、ぼーっと外の風景を眺めていました。

ちなみに今、わたしが座っているのは自分の席ではないのです。
ここは、ほんの二ヶ月前までクラスメートの席だった場所。

―――いや、厳密にいえば、ここはまだ彼女の席なんですけど。

ここに座っていた人の名前は、ハインリッヒ高岡さん。
省12
66: 2011/08/04(木)23:14 ID:KjQ6rfnA0(8/38) AAS
高岡さんへのいじめが始まったのは、たしか今年の5月ごろ。
新しくなったクラスに、新しくなった人間関係。
調度みんなの心が不安定だった時期に、高岡さんの家庭の不和が噂になり、
あとは、よくあるいじめの筋書き通りにことが進みました。

*(‘‘)*(高岡さんが学校に来なくなってから、もう二ヶ月も経つのに……)

『死ね』と書かれた机に置かれている、白い花瓶が目に映ります。
飾られているのは、キクの花。
毎週誰かが取り替えているらしく、この花が枯れたところをわたしは見たことがありません。
つ、とわたしは人差し指で花をなでてみました。
黄色いキクの花の一部が、ぽろりと落ちて、
省5
67: 2011/08/04(木)23:14 ID:KjQ6rfnA0(9/38) AAS
小学6年生になって、数ヶ月経った今日この頃。
わたしはなんとなく『人間』という生き物が分かってきたような気がしています。

学校というこの空間は、人間の姿を見学するには最高の場所です。
考えてみれば入学してから6年間、色々なことを通してわたしは、様々な人間の姿を見てきました。

授業、休み時間、レクリエーション。

従属、敵対、反抗。

集団、孤立、またまた敵対。
省11
68: 2011/08/04(木)23:16 ID:KjQ6rfnA0(10/38) AAS
小さな戦争の小さな参加者は、皆さまざまな面を持っている個性ある人々でした。

おおざっぱに分ければ、いじめ反対派といじめ賛成派。あと教師。
この三勢力に分かれて、三者は互いに互いの心を削り合っていました。

反対派は正義の味方ぶって、相手に理解されない正しいだけの理屈を賛成派へ叩きつけ、
賛成派はただ自分たちが対象を気に食わないという、どうでもいい感情論を武器にそれに対抗する。
本来ここで仲裁役を務めるはずの担任は、まったくかやの外。
いじめがあるという事実も子どもたちに隠ぺいされたまま、
彼が何もしないうちに、ハインリッヒ高岡という人間は、この教室から消えました。

―――まったく、なんて退屈なんでしょう。

高岡さんの机に突っ伏したまま、わたしは再びため息を吐きます。
省12
69: 2011/08/04(木)23:17 ID:KjQ6rfnA0(11/38) AAS
*(‘‘)*(さんざん期待させといたわりには……今もつまんないし、
     大人たちを見る限り、未来にもとくに希望とか無さそうですよねえ)

わたしは、再び机の上にでかでかと書かれた『死ね』の文字をなぞります。

―――いっそ死んでしまいましょうか?

そんな言葉が頭に浮かびました。どうせ生きてたってどうせ面白いこともないのだし、
新聞の一面を堂々と飾って目立てるし、なかなかいいアイデアではないでしょうか?

しかし、それもバカバカしいとわたしは首を振ります。
省12
70: 2011/08/04(木)23:18 ID:KjQ6rfnA0(12/38) AAS
*(‘‘)*<何かないかなあ……
     この退屈を跡かたもなく吹き飛ばしてくれるような、面白い何か

ぼやきながら、わたしはまた、『死ね』の文字を何度となく指でなぞります。

わたしのなかで、高岡さんへのいじめはかなりエキサイティングな記憶として残っていました。
あの張りつめた空気と、クラスのみんなが、
大人に張り付けられた『子ども』という仮面を脱いで、
ぴりぴりといがみ合うさまは見ていて飽きなかったし、楽しかったのです。
高岡さんが学校にこなくなった今、そういう緊張感みたいなものは、ある程度緩和されてきています。
でもまあ、これもそう長くは続かないでしょう。
高岡さんの机への八つ当たりでことがすんでるうちはいいですけど、
省11
71: 2011/08/04(木)23:18 ID:KjQ6rfnA0(13/38) AAS
*(‘‘)* ?

いったいこれはなんだろう、とわたしは首を傾げます。

そのとき胸に生じていたのは、
違和感とも、恐怖ともとれるような、奇妙な感覚。
意味不明で正体不明なその感覚を、
しかしわたしは"確かに知っている"ような気がしました。

*(‘‘)*<ぁ……あ?

とくん
胸の疼きがさらに大きくなります。
なぜでしょう? これ以上この"疼き"が大きくなるのはまずい気がします。
省9
72: 2011/08/04(木)23:20 ID:KjQ6rfnA0(14/38) AAS
*(‘‘)* ?

いったいこれはなんだろう、とわたしは首を傾げます。

そのとき胸に生じていたのは、
違和感とも、恐怖ともとれるような、奇妙な感覚。
意味不明で正体不明なその感覚を、
しかしわたしは"確かに知っている"ような気がしました。

*(‘‘)*<ぁ……あ?

とくん
胸の疼きがさらに大きくなります。
なぜでしょう? これ以上この"疼き"が大きくなるのはまずい気がします。
省9
73: 2011/08/04(木)23:20 ID:KjQ6rfnA0(15/38) AAS
・ヒント1:わたしは『退屈』しているせいで、何か考えてはいけないことを考えてしまっている

            .
74: 2011/08/04(木)23:21 ID:KjQ6rfnA0(16/38) AAS
     *****

昼。教室の中では今日も、話好きの女子たちがおしゃべりに花を咲かせています。

「それでね……その子がずっと付けてたスカーフをとると……」

「首がコロッっと」

「それがコロコロその家の階段を転がって」
省12
75: 2011/08/04(木)23:22 ID:KjQ6rfnA0(17/38) AAS
*(‘‘)*(『退屈』を消すには、今のこの状態を退屈しないものに変えないと。
     でも、今のところはクラスでいじめが再発するみたいな気配もないし……)

つぎに標的になりそうなのは誰だろう?
気付けばわたしはクラスメートを、まるで獲物を探す野生動物みたいな目で眺めまわしていました。

「でね、この話が面白くてー……」

さきほどから明るく楽しそうに話している、この人とかどうでしょう?
今は仲良さそうに振る舞っているこのグループですが、
陰では互いの悪口を言い合っていることを、わたしは知っていました。

うまく互いが争うようにコントロールしてやれば、あるいは……
省7
76: 2011/08/04(木)23:22 ID:KjQ6rfnA0(18/38) AAS
ヒント2:わたしは、もう第三者という立場では満足できない。

              .
77: 2011/08/04(木)23:23 ID:KjQ6rfnA0(19/38) AAS
ぞわり、と生ぬるい何かが背中を伝うような感覚がありました。
胸の違和感が、どんどん重いものになっていきます。

*(;  )*(そんな……そんなばかな。わたしは―――)

違う。と、わたしは頭のなかで、何かを必死に否定し続けていました。
わたしはあくまで第三者。
関係ない立場で、起こっている出来事を客観的に観察するだけのはずなのに。
わたしは、あくまでただの傍観者。起こっている出来事に感情移入なんかしない。
そのはずなのに……

*(;  )*(わたしは……わたしは"当事者なんかじゃない"……)

高岡さんのいじめを遠巻きに見ながら、わたしはいつだって思っていたのです。
省10
78: 2011/08/04(木)23:24 ID:KjQ6rfnA0(20/38) AAS
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