あ (59レス)
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抽出解除 必死チェッカー(簡易版) レス栞 あぼーん

7: 2014/12/30(火)14:25 ID:btMwsC/A0(1/20) AAS
目の前に金のドリルが降ってきた。
思わずうわっと声を出して、読んでいた本をこぼしてしまった。
静かな図書室に私の声が反響した。

ξ゚⊿゚)ξ「ごめんなさい。驚かせるつもりはなかったんですのよ」

身を乗り出してこちらを覗き込む女の子。
この子は ツンさん。
同じクラスだが一度も喋ったことはない。
私は闇属性、ツンさんは光属性グループに属しているのだから仕方がない。
8: 2014/12/30(火)14:26 ID:btMwsC/A0(2/20) AAS
ミセ*゚ー゚)リ「わ、私に何か?」

精一杯の言葉だった。
ツンさんは机を回り込み私の側まで近づく。

ξ゚⊿゚)ξ「本、落としましたわよ

ミセ*゚ー゚)リ「あ、ありがとう」

ξ゚⊿゚)ξ「ミステリー、好きなんですのね」
省6
9: 2014/12/30(火)14:27 ID:btMwsC/A0(3/20) AAS
ξ*゚⊿゚)ξ「ワタクシも好きですのよ」

ミセ*゚ー゚)リ「へ?」

ξ゚⊿゚)ξ「だから私も好きですのよ。ミステリー」

なんと。
お嬢様のような佇まいを見せるツンさんが?
まさかのミステリー好きとは。
そういえば、一目で私の本をミステリーと判別していた。
10: 2014/12/30(火)14:28 ID:btMwsC/A0(4/20) AAS
ξ゚⊿゚)ξ「それ、どこまで読みましたの?」

ミセ*゚ー゚)リ「あ、あの。研究所から加奈子が消えた所」

ξ*゚⊿゚)ξ「いい所ですわね」

ξ゚⊿゚)ξ「読み終わったら殻の少女もお勧めしますわよ」

ミセ*゚ー゚)リ「同じ作者の本?」
省3
11: 2014/12/30(火)14:29 ID:btMwsC/A0(5/20) AAS
第六感が告げている。
これは即刻エクソダスしなければ出禁を喰らってしまう。

私はツンさんの手を引いて廊下へ駆け出していた。
奥手な私の辞書にも緊急事態という言葉はあったようで。

ミセ;゚ー゚)リ「あの、できれば図書室では静かにお願いします」
12: 2014/12/30(火)14:29 ID:btMwsC/A0(6/20) AAS
ξ゚⊿゚)ξ「貴女、相当謎に飢えていますのね」

ミセ*゚ー゚)リ「はい?」

ξ゚⊿゚)ξ「ほとんどのミステリー小説の貸出カード」

ξ゚⊿゚)ξ「貴女の名前が入っていましたもの」

顔が熱くなるのを感じた。
私は引いていた手を放し一歩後ろに後ずさる。
13: 2014/12/30(火)14:30 ID:btMwsC/A0(7/20) AAS
ミセ;゚ー゚)リ「ツンさん、私を調べても何もありませんから」

ξ゚⊿゚)ξ「引き下がりませんわよ。今日は貴女に用あって来たんですの」

ミセ*゚ー゚)リ「私に?」

ξ゚⊿゚)ξ「貴女」

ξ゚⊿゚)ξ「ワタクシと一緒に謎解きをしませんこと?」
省1
14: 2014/12/30(火)14:31 ID:btMwsC/A0(8/20) AAS
ミセ*゚ー゚)リ「こういう本の犯人当てゲームみたいなものですか?

ξ゚⊿゚)ξ「違いますわ」

ξ゚⊿゚)ξ「現実にこの学校の謎を解くのですわ!」

ミセ;゚ー゚)リ「はひ?」

ξ゚⊿゚)ξ「この学校に散らばった有象無象の謎を、ワタクシと一緒に」
省2
15: 2014/12/30(火)14:31 ID:btMwsC/A0(9/20) AAS
ミセ*゚ー゚)リ「一体どうして?」

ミセ*゚ー゚)リ「…、誰かを助けるために?」

ξ゚⊿゚)ξ「誰のためでもないですわ」

ξ゚⊿゚)ξ「これはワタクシ達自身のためにやることですの!」

私は目を持っている本に移す。
探偵。
こういう謎を解く人達は一体何の為に動いているのだろう。
誰か、それとも何かのため?それとも…
純粋に謎を探求するため?
16: 2014/12/30(火)14:32 ID:btMwsC/A0(10/20) AAS
ミセ*゚ー゚)リ「あの、ツンさん。私…」

キーンコーンカーン…

昼の授業の予鈴が廊下に鳴り響き、図書室から生徒が数人出てくる。
人に流されるように私とツンさんも歩き始める。
17: 2014/12/30(火)14:33 ID:btMwsC/A0(11/20) AAS
ξ゚⊿゚)ξ「返事はすぐにとは言いませんわ」

ξ゚⊿゚)ξ「放課後、屋上前の階段で待ってますから。気持ちが向いたら来てくださいまし」

ξ*゚⊿゚)ξ「それでは失礼しますわね」

ミセ;゚ー゚)リ「ちょっ…」
18: 2014/12/30(火)14:33 ID:btMwsC/A0(12/20) AAS
ツンさんは少しずつ駆け足になり私を追い抜いていった。
その足取りは、見えなくなる頃にはスキップを刻んでいるように見えた。

ーーー

午後の授業中、私は考えていた。
謎解きに関してでは無く、イメージ像とかけ離れたツンさんについて考えを巡らしていた。
19: 2014/12/30(火)14:34 ID:btMwsC/A0(13/20) AAS
窓の方を眺める。
窓際の席のツンさんは清楚なお嬢様といったような佇まいで、昼休みの言動とはかけ離れているように思われた。

ツンさんが私の方を向く。
しまった。視線を感づかれた。
ツンさんは縦ロールを揺らしてあどけなく笑った。
つられて私も笑ってしまった。
20: 2014/12/30(火)14:35 ID:btMwsC/A0(14/20) AAS
ツンさんは親指をグッと立てると教壇に向き直った。

どうやら昼間の件は夢では無かったようだ。

ーーー

ホームルームが終わった。
私は階段に一歩足をかけた格好のまま迷っていた。
21: 2014/12/30(火)14:36 ID:btMwsC/A0(15/20) AAS
昼休み言いかけた言葉。
ツンさん、私、遠慮しておきます。

私が興味を持っているのは飽くまでも架空の謎。
現実に刺激を求めている訳ではない、
はず…。

ツンさんの嬉しそうな顔を思い出す。
胸がチクリと痛む。

断る決心がつかぬまま、よたよたと階段を上り始める。
22: 2014/12/30(火)14:37 ID:btMwsC/A0(16/20) AAS
ーーー

手すりに手を掛け、白い息を吐く。
屋上へ続く扉の窓から夕日が差し込んでいる。

しかし、そこにはツンさんの姿は無く。

ミセ*゚ー゚)リ「…」

やっぱり夢だったのだろうか。
念のため、屋上も調べよう。
階段を登りきり扉に手をかけた瞬間、
23: 2014/12/30(火)14:38 ID:btMwsC/A0(17/20) AAS
ミセ*>ー<リ「ひゃ!」

頬にぶつかる冷たい衝撃に私は飛び上がった。

ξ゚⊿゚)ξ「ふふ、驚きましたわね。大成功ですわ」

ミセ;゚ー゚)リ「ツンさん?!」

どうやら階段の縁の陰に潜んでいたようだ。
その両手にはジュース缶を持っている。
省2
24: 2014/12/30(火)14:38 ID:btMwsC/A0(18/20) AAS
ツンさんから貰ったお揃いの炭酸飲料を二人で飲んだ。
ツンさんは企みをたたえた笑いを浮かべた。

ξ゚⊿゚)ξ「それで、御返事はどうかしら」

ミセ*゚ー゚)リ「あの…」

ミセ*-ー-)リ
25: 2014/12/30(火)14:39 ID:btMwsC/A0(19/20) AAS
ミセ*゚ー゚)リ「とりあえず話を、聞かせてくれませんか?」

悪い癖だ。他人の機嫌を損ねるような事をしたくないばかりに自分の本意と違うことをしてしまう。

ξ*゚⊿゚)ξ「こ、交渉成立でよろしいんですわね?!」

ξ*>⊿<)ξ「ぅぅやったですわ!」
26: 2014/12/30(火)14:39 ID:btMwsC/A0(20/20) AAS
ピョンピョンと縦ロールを揺らして喜ぶツンさん。
それはもう子供さながらのはしゃぎ様で。

まあ、ツンさんがこれだけ喜んでくれるならいいのかな。
夕陽を受けて黄金色に輝くツンさんの髪に見とれながら
私は、そんな事を思ったりしたのでした。

続く
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