美しき愛の別館@SS投下用スレ (157レス)
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1: 2009/09/13(日)21:43 AAS
1.このスレは自作ネタ発表の場です。SSはもちろん小ネタ、AAネタも歓迎!
2.強制ではありませんが、人名や固有名詞は伏字を推奨。
  但し過剰な当て字は避け、住民が読み取れる範囲でお願いします。
3.いろんな萌えが同居しているスレですので、SS投稿は説明文をつけて下さい。
4.他のカプの方への配慮を忘れずに書き込みをお願いします。
5.長時間に及ぶスレ占拠防止のためリアルタイムでの書き込みは控え、
  あらかじめメモ帳等に書いた物をコピペで投下してください。
6.第三者から見ての投下終了判断のため、作品の前後は以下のテンプレで
  囲んで開始&終了宣言をしてください。
  ▼▼▼▼▼ 開 始 ▼▼▼▼▼
省3
138: スケベ受理2 2/3 2015/09/24(木)07:35 AAS
「佐波だ…お前ちょっと太ったんじゃないのか?」
「そうでっか?酒控えなあかんですね」

新曲の練習中、何かの弾みでバンドのメンバー達と談笑を始めた受理を、沙理はどこか遠慮しながら見つめていた。

「油断するとすぐに太るなぁ、お前は」

受理は猪上バンドの面々に囲まれ、とても居心地良さそうにしていた。
虎達時代では考えられなかったことだ。あの頃は毎日のように他のメンバーと衝突しており、沙理が仲裁に入る事が多かったのだが、このバンドではその役回りは必要無かった。
猪上バンドのメンバー達は皆、受理をとても甘やかしていた。
華やかな方を眺めた印象では、受理の為にと云う皆の愛情が我の強い面々を団結させているように見える。
受理を可愛がることで、このバンドがひとつの運命共同体を形成しているように思えた。沙理もその運命の一端に、劣等感に苛まれながら身を置いている立場ではあるのだが。

「みんな、真面目にやってくれよ」
省47
139: スケベ受理2 3/3 2015/09/24(木)07:43 AAS
飲みに行く、というのはふたりにとって暗黙の口実だ。
練習後、ふたりはホテルに直行した。

「沙理、先にシャワー使おてや」

到着したら手慣れたやりとりで、交代でシャワーを浴びる。
先に上がった沙理がバスローブを身に付けて椅子に腰かけていると、シャワー室から全裸の受理が髪をタオルで拭きながら出てきた。

「お待たせ。さぁ、ヤろか」

受理は自らの裸体に絡み付く視線を自覚しているようだ。
悪戯っぽい笑みで視姦を歓迎すると、突然の愉快な思い付きで沙理の前に跪く。
省45
140: 沙理受理1/4 2016/03/16(水)19:02 AAS
※注意※

虎s解散前の沙理×受理です。
無理矢理致しているシーンがあります。
沙理が結構ヒドイかも。殺伐とした感じの沙理受理です。
あと受理が枕営業的な事をしています。
苦手な方は読まれないようお願いします。

▼▼▼▼▼開始▼▼▼▼▼

ロックンロールの志半ば、事務所の意向でアイドル売り。
東京への憧れと幻滅に苛まれながらも、一貫してベースを弾き、自分達の青春に夢中でいられたこの四年間。
流行の移ろいの早さとアイドルの旬の短さを肌身に感じ、時代の感度は常に先を往く。G/Sは熱狂の末尾を見せ―――もうすぐこの青春は終わる。
省36
141: 沙理受理2/4 2016/03/16(水)19:12 AAS
名部プロの企画戦略、華々しい露出過多。ライトが当たる以上、ハタチそこいらのアイデンティティーは邪魔だった。一介の若者が苦悩を抱え込むのは事務所のせい、否、お蔭なのか。これから好きな音楽が出来る、そう意気込むほど自分の才能に自惚れてはいない。虎sの名を失ってからが正念場だ。つまらなければすぐに淘汰される世界、元より無害な存在で終わる気はないが、身震いは頼りのベースを握り締めても治まらない。
その胸中は他の四人も同じだろう。気掛かりなのは他のメンバーの進路、特に最近落ち込みがちなあの子の事だ。

『沙理が受理をバンドにスカウトしたんだって?』
 虎sの解散が決まって間もない頃、芸能プロの男と交わした何気ない会話。沙理ははい、だとか、ええ、とか、うだつの上がらない返答をしたように記憶している。
『へぇ、あの子をバンドに引っ張ってくるなんて、相当な目利きじゃないか。その頃から受理には光るものがあったって訳だ』
 沙理は答えられなかった。男が言う光るものを記憶の中から探し、感情思考は不良少年の原型に気取られていたのだから。暫し激動する現実が疎かになった。
『受理はアイドルで終わらない。これからもきっと成功する。大スターになるさ』
 成長した不良少年は大観衆の前で歌唱を披露する。華やかで、綺麗で、艶めかしくて、置き去りの現実で目を細めてしまうくらい、眩し過ぎた―――きっとこの空想は現実のものとなるだろう。
男が去ってから、沙理は人知れず呟いた。『そないな事、いちいち言われんでも分っとるわ』と。
省11
142: 沙理受理3/4 2016/03/16(水)19:33 AAS
「メンバーは豪華、ですけど…」
GSのメンバーを集めたスーパーグループと事務所に熱心に提案されても、沙理はあまり乗り気にならなかった。安易に寄せ集めてうまくいくのだろうか。世間はそんなに甘くは無いし、ロックファンの気難しさは承知しているつもりだ。
「グループ名は決まっているんですか?」
話し合いを一旦終わらせて、虎sの沙理に戻る。これから解散まで詰め込まれたスケジュールを乗り切らなくてはならない。
「なぁ、受理の奴…変わったと思わないか」
沙理は移動バスの後部座席でぼんやりしていると、マネージャーから小声で耳打ちされた。
「あんなに解散を惜しんでいたのに、一体どういう心境の変化だろうね」
あれから―――沙理が別れを告げてから、受理は解散に落ち込まなくなった。
沙理が斜め前方に座る受理を盗み見てみれば、受理は強かな目つき、面構えで、何やら思案に耽っている。もし受理が解散後の事を考えているのであれば、酷い目に遭わせた甲斐があったと云う訳だ。
省14
143: 沙理受理4/4 2016/03/16(水)20:05 AAS
「おい、キシベ」
 事務所が推し進めるグループの構想が現実味を帯び始めた頃、沙理は局の廊下ですれ違いざま猪上さんに呼び止められた。
「佐波だの事なんだが………アイツ、大丈夫か?」
猪上はふたりの事情を知らない。だから遠慮なく物を言う。
「アイツ、よく夜の街で見かけるぜ。最近は作曲家の先生に気に入られて、愛人よろしく連れ回されているみたいだ。よくもまぁあんなオヤジと」
 猪上は受理の交友関係を心配していた。その不惑過ぎの作曲家は業界では男色家で有名だったからだ。
地位も名誉もぶら下げた中年男と可憐な容姿を持つ美青年の組み合わせ。猪上はいけ好かなさそうに渋い顔をしている。それはふたりが夜の街に消えた後にする事を考えているからなのか。
「佐波だ…先生と肩組んで頬ずりして甘えていたぜ。自分を売り込むにしても健全じゃないな。お前止めろよ」
「俺にそんな権限ありませんよ」
省17
144: 沙理受理4/4続き 2016/03/16(水)20:11 AAS
「一応、客やしな。呼んでへんけど。早う帰って欲しいけど」
 と言って茶を用意する間、受理はずっと口笛を吹いていた。娼婦のように品無く。その音色を虚ろな心で聴きながら、沙理はずっと疑問に思っていたことを口に出した。
「………お前、その恰好何やねん?」
 受理は膝上まで丈のある毛皮のコートと金のネックレス、それしか身に付けていなかった。はだけた胸元に光る金色、丈からすらりと伸びた素足、そして顔には倦怠を漂わせた表情。
「先生がくれたんや。次に会う時に着て欲しいって言うから、着て待っとったんや。どう、似合うか?」
「全然」
 受理は大きな音を立てながらテーブルにカップを置く。水滴が飛んで沙理の服に染みができた。
「何でこないな事しとるんや?お前やったら自分を切り売りせんでも、実力で…」
「駄目や」
省33
145: 駄馬だ兄さん1/5 2016/04/18(月)21:21 AAS
!!閲覧注意!!

酒場で駄馬だの駄馬だ兄さんが好き過ぎて妄想しました。

ドスケベアル中こと駄馬だ兄さんが酒場に入り浸っては、男を漁るという身も蓋も無い話です。
創作色が強め。兄さんのキャラ設定が定まっていない迷走感。
当然のようにエロあり。モブ相手に翻弄したり、いたぶられたりしています。
ほんの少しだけ沙理受理、証券受理、猪受理の要素がありますが、オチは数さん!

文章が下品というか話も残念な仕上がりです。先に謝っておきます。本当にすみませんでした!

▼▼▼▼▼開始▼▼▼▼▼
省13
146: 駄馬だ兄さん2/5 2016/04/18(月)21:29 AAS
「佐波田検事によく似てるって?………まぁ、言われないことも無いけど」
酒場に出没する、受理によく似た男。
「本物?馬鹿言うな。本物がこんな場末に居る訳ないだろ?おい、泣くんじゃないよ。偽物だって言っているだろうが。よく見て見ろ。俺の方が本物よりも色男だし、俺の方がスケベだぜ」
夜、ふらりと現われて、誰彼かまわず誘う。芸能人に似ていると言われれば、其奴を利用してまでも誘いかける。談笑している今だって、嬉しそうに受理の新曲の話をする客の、瞳の奥に光差す欲望に気付かない訳ではない。
「お前、テレビの前で受理を見ながら、マスでも掻いてるクチだろ?グラビアのページはパリパリに干からびているんだろ?………おいおい図星かよこの変態。よぉし、デビュー当時から受理を応援している健気な君の願望を、そっくりさんが叶えてやろうじゃないか」

「…あっ、…あっ、ああっ…」
安ホテルのしみったれたベッドの上で、受理に似た男は誘った客の突起に跨り、ゆっくり腰を落としていく。
雄の形に輪が拡がって尻を貫通する感覚、粘膜に伝わる脈打つ灼熱に感じ入ってみせるが、いまひとつ物足りない。あとは腰を振るだけなのに、ファンの男が突き上げてこないからだ。慎重で緩慢なピストン。どうやら本人の経験の問題であるらしく、男相手に緊張しているらしい。
こういった場合、言葉で責めてやるべきなのだろう。
「おい…もっと、腰…振れよ…本物はきっと激しい方が好きだぜ…」
省9
147: 駄馬だ兄さん3/5 2016/04/18(月)21:44 AAS
「えーと、何々……十六の頃合宿していたアパートで友人たちのいない間、ベーシスト相手に初体験。
ギリシャで情熱的な一夜を過ごした年下のツインボーカルとはすれ違いの生活に耐えきれず別れて絶望。
それからバンドの人間関係がこじれてベースがバンドを出ていって今度はギターとデキたけど、終いにゃギターにも逃げられて、もう男はこりごり………?なんだそりゃ?」

今晩酒場で引っ掛けた相手は、お喋り好きのサド野郎だった。
受理に似たキレイな顔を雄の象徴で汚したいと、跪かせて口に性器を咥えさせた。
此奴はほんの気紛れで、受理似のアル中に初めて男と寝た時のことを聞いた。舌を出して微弱に愛撫しながら語られた経験は淫乱の癖にやけに青々しく、興味を持って続きを促したのだが、ステージ、ギター、バンド、本物を連想させる単語を並べはじめると、途端に呆れはじめた。
「皆、俺の元を去っちまった。別れたくないから何でもしてやったのに、結局最後は“これは仕方のない事なんだ”って言って逃げたんだ………三人とも、本当に愛していたのに………」
アル中は哀れっぽい声で「俺の何がいけないんだか…」と締めくくる。
虚言だ。この支離滅裂な男遍歴を誰が信じるというのだろうか。
「それはなホモ野郎、お前が嘘を吐いてまで男の関心を惹こうとするどうしようもない男狂いだからだろう」
省8
148: 駄馬だ兄さん4/5 2016/04/18(月)21:51 AAS
往々にして夜、疼き出す我が毒。
男は自堕落に歩いていると、人生への参加を放棄したと自嘲し、朝昼はずっとレコードをかけながら眠り、夜は酒とセックスに溺れていると、そのふたつさえあれば快適だと、ある意味無欲なのだと語る。
酒は度数の高い方が現実を忘れさせてくれるから、男は性悪の方が後腐れないから好みだと言う。
ふらりと場末の酒場に現れては男と女にまつわる悲劇を聞きたがり、ジョークを用いて虚無主義を印象づける。
人生は三十年位が丁度良いと嘯いたかと思えば、百年寝て暮らしたいとも抜かす。
溢した酒の一滴でテーブルに自らの墓場を描き、その絵の横で安らかに眠って、夢の中で墓場までの距離を測るのだと笑う。これでは愛しの語呂合わせも儘ならない。

淫売がのさばる酒場、容易に齎される尻の軽い結論、なし崩しを好む無情思想は吐き気しか残さないが、然し、時折わざとらしく大仰に、まるでそう振る舞うことを自らに架しているような脅迫めいた心理を感じるのは、人生に於ける栄光の虚しさ、愛の終わりとやらを骨身の髄まで思い知っているからだろうか。
演じ切れない、狂い切れない僅かな理知は、虚像を打ちのめしてくれる何かに期待でもしているのだろうか………。
149: 駄馬だ兄さん 5/5 2016/04/18(月)22:15 AAS
「ほら、こっちだぜ淫売」
「そんなにヤりたきゃ俺たちが相手してやるよ」
飲み過ぎた。
三人の男に路地裏に連れ込まれても、酒に浸った頭は抵抗すら覚束なかった。
乱暴に壁に身体を押し付けられ、無理矢理シャツを捲り上げられ、スラックスを下げられても、ぼんやりと夜空を見上げるばかりで、腹部に蠢く感触をないがしろにしていた。
「おい、何をしてるんだ!やめろ!」
安蛍光灯の明るい方から怒鳴り声が聞こえた。
若い男の声だった。
強姦にしか見えない構図。実際その通りなのだが、こんな場末で他人を助けようなんて奴は珍しい。
男たちは案外気の弱い連中だったのか、そそくさと逃げ出していた。
省40
150: E/X/0/T/1/C/S×受理【1/6】 2017/03/03(金)20:39 AAS
需要なさそうですがE/X/0/T/1/C/S×受理
受理がメンバー達を順番に毒牙にかけていくという身も蓋もない話です
当時の事が分からず間違ったことを書いているかもしれません
気にされない方のみ読んでください

▼▼▼▼▼開始▼▼▼▼▼

向う見ずに若くて、それなりに我も強くて、腕に覚えがあれば、好機は自ずとやってくる。
 砂羽田検字のバックバンドという好機は音楽の世界で生きていこうと意気込む若者たちにとってまたとないキャリアだ。
 トップ歌手を盛り上げるべく集められたメンバー達は、多少の自惚れと野心との遣り繰りに夢中になっていた。音楽は何処でも出来るなんていうのは綺麗事、俗なTⅤで演奏したいし、ステージの観客は多い方がいいに決まっている。受理のステージを支えるその時、プロダクションが贅と苦心を尽くして創り上げた音楽の先端にいることだろう。
 彼らは浮かれていた。商業音楽の真ん中に立ち、華々しい世界へ仲間入りを果たす事に。何せ演奏で引き立てるのは、あの受理なのだ。
省12
151: E/X/0/T/1/C/S×受理【2/6】 2017/03/03(金)20:48 AAS
 亜樹等は悩んでいた。
 バンドの活動は順調で、メンバーは気の良い奴らばかり。労働に見合ったギャラも頂き、充実した日々を送っている。
目下の悩みはそんな日常から派生していた。何故ならばその男ときたらそこいら中をうろつき、くつろぎ、人懐っこく話かけてくるからだ。
「砂羽田さんって…やっぱりエロいですよね…」
 亜樹等は受理をチラチラ見遣りながら、そう呟いた。
「あのさぁ、本人を目の前にして急に何を言い出してるの?」
「だってエロいですもん。こうして話している今もヤバいです」
 数が顔合わせの後ふたりに慣れるよと言っていた時…えっ、俺全然慣れてないんですけど!と思ったものだった。
 受理は男が恥ずかしげもなく断言できるほどキレイだ。だがキレイだけで済めば亜樹等は悩むことは無かった。
省24
152: E/X/0/T/1/C/S×受理【3/6】 2017/03/03(金)21:05 AAS
由香里は過去、受理と共演した事があった。
もう10年以上前の話だろうか。当時受理はアイドルグループを解散してロックバンドを結成したばかりで、ふたりは同じロックのフェスに参加していた。
アイドルから転向してきた受理に対してロックファンの反感は根強く、受理のバンドは演奏が搔き消されるほどの罵声を浴びていた。
『オカマ野郎はお呼びじゃないんだよ!女のファンに泣きついて慰めてもらいな』
 出演後、受理が粗暴な男ふたり絡まれているのを目撃した。彼らはそのフェスで一番声援を受けていたバンドの男達で、熱狂を受けていい気になったのか受理をオモチャみたいに扱って虐げていた。女性的な容貌の美しさを下品にからかい、肩を馴れ馴れしく組み、顎をクィっと掴んで、キスの真似事をしようとしていた。
 由香里はロック側の人間とは云え、罵声を浴びても懸命に歌う受理に好感を持っていたから、これ以上エスカレートする前に止めなければと声を上げようとした時だった。
『うす汚い手で触るなや変態!』
 受理は軽やかな身のこなしで、アッと云う間にふたりの男を殴り倒していた。
 由香里はその時の、床に転がった男達に向けた、受理の目が忘れられない。根底に凍土を宿した、己に性的興味を抱いた者への軽蔑の眼差し。その蔑視は美しいからこそより美しさが鮮烈に際立ち、その物凄い眼力は活殺自在の魔力を秘めて、見た者を絶対零度の谷底に叩き落とす。
省8
153: E/X/0/T/1/C/S×受理【3続き/6】 2017/03/03(金)21:08 AAS
 地方ライブの打ち上げ。ホテルの宴会場を貸し切り、呑んだくれた後にはそこいらに酒に酔い潰れた男達が転がっていた。
 由香里は受理の姿を無意識に探していた。畳の上で泥酔している屍の中に受理の姿は見当たらない。受理の席には彼の私物が置いてあり、部屋に戻った様子も無かったから、近くに居るのだろう。胡乱な頭で受理を探そうと体を起こした。
 ふと…、押入れの方を見ると不自然に襖が少し開いていた。その数センチの暗闇がどうも気にかかって、何気なしに襖を開けると、浴衣が捲れて太ももが露わになった細長い脚が現れた。それは由香里が何時も舐めまわすように見ていた脚と同じ形をしていた。由香里は心音を大きく響かせながら押入れの中に入った。そこには暗がりを求めて眠りに落ちた受理が居た。
 光が、横たわる男の肌を蒼白く透き通らせて、艶やかに照り返す。由香里はごくりと喉を鳴らした。
 まるで境にいるようだった。今迄自分が築き上げたものと、それらをすべて帳消しにしてしまう転落との。
 由香里は受理の肌蹴た胸元に指を這わせていた。常日頃、受理に対して抱いていた欲望のままに触れた。
『昔からずっと…君の事を覚えていたんだよ』………その言葉を大切にしていた由香里は、悪さを働く謙遜と思い上がった傲慢を指の腹に乗せて、すべらかな肉身に触れた。受理は断続的に女の様な喘ぎ声を漏らし、朦朧とした吐息を吐き、愛撫を享受している。
 由香里はこの上なく煽られて、この沈黙に乗じ、より受理の深いところへ迫ろうと心を逸らせた。浴衣の帯を剥ぎ取る暴挙に出ようとした。
「…誰だ?」
 突然、思い切り胸を蹴られた。由香里は低い仕切に頭をぶつけた。美しい男は手籠めにされる前に目覚めたのだ。
省7
154: E/X/0/T/1/C/S×受理【4/6】 2017/03/03(金)21:24 AAS
 名尾矢はベッドのシーツの中に丸まり、後悔に押し潰されていた。
 真っ暗なホテルの部屋、これから自分の身に起こる濡れ事を想像すると緊張が高まり、シャワー室から聞こえていた流れっぱなしの水音が途切れ、無音になると、心臓を掴まれたかのように身を縮こませていた。
「お待たせ」
 すると間もなく肌と髪に水滴を残して、からだを淫靡に滴らせた、何も身に纏っていない受理がシャワールームから出てきて、ベッドに悠然と腰掛けた。名尾矢は思わずベッドの端に後ずさり、受理と距離を取ろうと図った。
「何で逃げるの?」
 受理は名尾矢の背に擦り寄り、そう耳元で囁いた。彼のセミヨンのような魅惑的な声が鼓膜を通じて脳幹を甘美に侵し、全身へと染み込んでいく。肉体の芯は力を失って、官能の揺らぎにこよなく痙攣し、朦朧とした白いものが頭を過っていく。
「やめて下さい…」
 名尾矢は受理をあろうことか突き飛ばして拒絶した。ベッドに伏した受理は喉を鳴らして低い笑い声を響かせていた。拒絶された割にはとても愉快そうだ。
「僕はただ、ベッドは広く使おうねって言いたいだけなのに…」
 名尾矢は受理の視線すら恐れているらしかった。目を閉じて顔を覆い、自分の世界に引き篭もっている。
省23
155: E/X/0/T/1/C/S×受理【5/6】 2017/03/03(金)21:45 AAS
「おい、受理!」
 受理が歌番組のリハーサル前、楽屋でひとり新聞を読んでいると研が物々しい雰囲気を漂わせながら入って来た。受理と目が合うと溜め込んでいたものが一挙に噴き出したのか、物凄い剣幕でにじり寄り始めた。
「何?トラブル?どうしたの?」
「どうしたもクソもあるか!おい、バックバンドのメンバーに手を出すボーカルなんて聞いたことねーぞ!」
 受理は少しも動じず「ああ、その事…」と呟くと、読みかけの記事を再び追い始めた。
「おい、聞けよ!こちとら大変なんだぞ。最近、亜樹等と由香里と八っさんがしきりに目をギラギラさせてて、様子がオカシイと常々思っていたんだが、まさか受理のせいだったとはな!アイツらさっきお前さんと寝た回数を競って口論してたんだぜ!ったく、どうかしてるよ!何で俺がホモの仲裁をせにゃならんのだ!受理が誰とでもホイホイ寝るから、皆おかしくなってしまったんだろ!」
「そうなの?全然気が付かなかったよ」
 研はいつも怒っているかのように喋るから、同じ調子でバンドの危機について訴えられても、いつもと同じ響きで受理に届いた。だからなのか、あまり深刻には受け止めていない様子だ。
「皆、お前さんの関心を欲しがっている…一番になりたがっている…」
「贔屓は駄目だって知っているつもりさ。僕は分け隔てなく平等に皆と接してるつもりなんだけどね」
省20
156: E/X/0/T/1/C/S×受理【6/6】 2017/03/03(金)22:22 AAS
 数が受理のバンドに加入した直後、周囲の反応は様々だった。
 女の子からは羨ましがられ、同業者からは心配された。数は前向きな性格だから、何を言われても大丈夫だよと言って笑った。もし大変なことがあったとしても努力をすれば何とかなる、そうやって楽観的に構えていた。
『君が砂羽田のバンドの新しいギタリストか?』
 だがスタジオで最もやりにくい同業者に捕まって、この時ばかりは苦笑いをするしかなかった。
『もっと頼りがいのある男を選ぶかと思ったんだがな。君みたいな男に砂羽田のギターが務まるとは思えないね。枷にもう少しちゃんと選ぶよう言っとくべきだったよ』
 前任のギタリストは手厳しい。強烈なボディーブローで先制された気分だ………というか自分からバンドをやめておきながら、何でこんなボロクソに言われなきゃならないんだ。落ち込む。腹が立つ。
 数はいつか見返してやると決心した。元々努力が嫌いでは無い性分だったが、更に努力を重ねた。
 特に受理から要求されたことは絶対にやり遂げたかった。出来ないなんて絶対に言いたくなかった。だから脇目も振らず音楽に打ち込んでいた。

「数さんってズルいですよね」
「何、急に?」
省16
157: E/X/0/T/1/C/S×受理【6続き/6】 2017/03/03(金)22:27 AAS
「数、何か欲しいものある?」
 ある日、受理は何でもあげるよ、と数に言った。それはもう車一台くらいならポンと買ってくれそうな、とても頼りがいのある口調だったから、普段なら絶対に言えない大胆な願いが、喉元を通り過ぎていた。
「う~ん、そうですね、出来る事なら砂羽田さんと一晩寝てみたいです」
 数は受理の口元が微笑んだのを見逃さなかった。そして間髪入れずにこう続けた。
「とでも言えば砂羽田さんは満足するんですか?」
 受理は微笑んだままだ。ギタリストのちょっとした反乱を興味深そうに眺めている。
「俺で最後って訳?まるで収集でもするみたいに、バンドのメンバーに手を出さないで欲しいんですけど」
「へぇ、気付いていたんだ…僕と皆の事。鈍そうにしていたのに」
「男の嫉妬に巻き込まれたくないですから」
 その利口さを自らの秩序の中に迎え入れたいと思ったのだろう。受理は数を欲しがり、その瞳は色めいて涙の膜を張り始める。
省15
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