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少年サンデーバトルロワイアル part6 (107レス)
少年サンデーバトルロワイアル part6 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1359032445/
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1: 創る名無しに見る名無し [sage] 2013/01/24(木) 22:00:45.56 ID:wqitE5aZ 当スレッドは週刊少年サンデーで連載されていた漫画のキャラクター達でバトルロワイアルのパロディをやろうという企画の場です 二次創作が苦手な方。人物の死亡や残酷な描写、鬱々とした展開が受け付けない方は閲覧にご注意ください。 また、当企画はリレー形式で進めていくので、書き手を常に募集しています。 文章を書くのが初めての方でも大歓迎なので興味があれば書いてみてください。 避難所 ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/14506/ まとめwiki ttp://www44.atwiki.jp/sundayrowa/ 前スレ ttp://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1342444952/ http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1359032445/1
2: 創る名無しに見る名無し [sage] 2013/01/24(木) 22:01:17.12 ID:wqitE5aZ 参加者名簿 からくりサーカス 14/14 ○才賀勝○加藤鳴海○才賀 エレオノール○ギイ・クリストフ・レッシュ○ルシール・ベルヌイユ ○才賀アンジェリーナ○ジョージ・ラローシュ○阿紫花英良○フェイスレス ○パウルマン&アンゼルムス○シルベストリ○ドットーレ○コロンビーヌ○才賀正二 ARMS 11/11 ○高槻涼○新宮隼人○巴武士○アル・ボーエン○キース・ブルー○兜光一○キース・シルバー ○キース・バイオレット○キース・グリーン○ユーゴー・ギルバート○コウ・カルナギ 金色のガッシュ!! 9/9 ○ガッシュ・ベル○高嶺清麿○パルコ・フォルゴレ○ゼオン・ベル○ヴィンセント・バリー○ナゾナゾ博士○テッド○チェリッシュ○レイラ 金剛番長 8/8 ○金剛晄(金剛番長)○金剛猛(日本番長)○秋山優(卑怯番長)○伊崎剣司(憲兵番長) ○桐雨刀也(居合番長)○白雪宮拳(剛力番長)○マシン番長○来音寺萬尊(念仏番長) うしおととら 7/7 ○蒼月潮○とら○井上真由子○蒼月紫暮○秋葉流○紅煉○さとり 烈火の炎 7/7 ○花菱烈火○霧沢風子○石島土門○水鏡凍季也○小金井薫○永井木蓮○紅麗 うえきの法則 7/7 ○植木耕助○佐野清一郎○宗屋ヒデヨシ○マリリン・キャリー○バロウ・エシャロット○ロベルト・ハイドン○李崩 SPRIGAN 6/6 ○御神苗優○ジャン・ジャックモンド○朧○染井芳乃○暁巌○ボー・ブランシェ GS美神極楽大作戦!! 6/6 ○美神令子○横島忠夫○おキヌ○ルシオラ○アシュタロス○ドクター・カオス YAIBA 5/5 ○鉄刃○峰さやか○宮本武蔵○佐々木小次郎○鬼丸猛 計80名 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1359032445/2
3: 創る名無しに見る名無し [sage] 2013/01/24(木) 22:01:48.18 ID:wqitE5aZ 【ルール】 バトルロワイアルスレ(パロロワスレ)で書くのが初めてという方は ttp://www44.atwiki.jp/sundayrowa/pages/24.html を参考にしてください それでも分からなければ遠慮無く聞いて頂いて構いません 経験者の方は以下の事に留意していただけばほぼ大丈夫です ・初予約の場合は期限が3日、それ以降は7日 ・ランダム支給品は1〜3個で、大きい物に関しては蔵王@烈火の炎に収納されています(蔵王の説明は下記) ・禁止エリアの発動は放送から3時間後 『蔵王の説明』 人の掌ほどのサイズの球であり、収納できる質量に限界はない 道具の出し入れを行う際は念じるのみでよい ただし、当ロワでは以下のニ点の制限がかかる 蔵王一個につき道具一つまでしか入らない 生物を収納することができない 【制限について】 基本的には最初にそのキャラを書いた人に委ねますが、以下の二点に関してはあらかじめ制限を明記しておきます 金色のガッシュ!!の魔物の子供たち→パートナーと魔本がなくても自身の心の力を使って呪文を発動することはできますが、威力は弱体化します。 また魔本は誰でも読むことができますが、本人が魔本を持って呪文を唱えても本来の威力にはなりません。 なお、魔本が燃えたとしても死亡や魔界に送還することにはなりません。 うえきの法則の能力者達→神候補から貰った才を使って能力者でない者を傷つけても才は減少しない。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1359032445/3
4: ◆hqLsjDR84w [] 2013/01/24(木) 22:02:28.77 ID:wqitE5aZ スレ立て完了。 投下します。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1359032445/4
5: 創る名無しに見る名無し [sage] 2013/01/24(木) 22:04:13.05 ID:G9R/R9/g http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1359032445/5
6: 普通の子ども ◆hqLsjDR84w [] 2013/01/24(木) 22:04:20.12 ID:wqitE5aZ ◇ ◇ ◇ 市街地へと歩みを進めつつ、思考を巡らせる。 朧さんに先頭を任せているので、それくらいの余裕はある。 完全に人を頼りきってしまうつもりはないが、いまは考えなければならないときだ。 前を行くおキヌさんが心配そうに振り向いているので、微笑みを返してから思考に没頭する……―― ◇ ◇ ◇ 僕のなかには、三つの記憶がある。 僕自身、すなわち才賀勝という少年の記憶。 おじいちゃんである人形破壊者(しろがね)・才賀正二の記憶。 そして――自動人形(オートマータ)の造物主・フェイスレスの記憶。 一つ目は僕が生まれた日より培ってきたものであるのに対し、二つ目と三つ目は違う。 二つ目はおじいちゃんの血を飲んだことで入手し、三つ目は僕の身体を手に入れようとしたフェイスレスによって流し込まれた。 だから僕のなかには三つの記憶がある――が、断じて三人分ではない。 おじいちゃんはしろがねとして百年以上生きてきたし、フェイスレスに至っては二百年をゆうに越える。 ただ単に、『長い』だけではない。 おじいちゃんは医者にして、懸糸傀儡制作の第一人者であり、剣術も免許皆伝の腕前で、一流企業『サイガ』のトップでもあった。 フェイスレスに至っては『賢者の石』を造り上げるほどの錬金術師であり、人形繰りの天才であり、おじいちゃんの右腕として『サイガ』の上層部に常にいて、さらにはしろがね−Oという改造人間を作り出すほど人体や工学にも精通している。 つまり――『多い』。 僕のなかにはただ三人分の記憶があるのではなく、僕という普通の子どもの記憶と、あらゆる分野に精通した人間二人の記憶がある。 医学も。 剣術も。 化学も。 工学も。 生物学も。 経営学も。 錬金術も。 言語能力も。 人形繰りも。 全部、僕のなかに『ある』。 使いこなせるかはさておき、事実として間違いなく存在している。 そんな膨大な知識をもってしても、現状は不可解だ。 朧さんやおキヌさんと話したところ、全員が『いまはいつなのか』という認識が違っていた。 二人とも、僕より過去を現在だと思っていた。 からかっているワケではないようで、また思い違いでもないらしい。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1359032445/6
7: 創る名無しに見る名無し [sage] 2013/01/24(木) 22:05:21.36 ID:G9R/R9/g http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1359032445/7
8: 普通の子ども ◆hqLsjDR84w [] 2013/01/24(木) 22:05:47.27 ID:wqitE5aZ 普段ならば決して考えないが、すでにある発想に至る要因は十分にあった。 刃さんが物干し竿の柄紐を解くと、空間に穴が開いた。 おキヌさんによると、美神令子というGS(ゴーストスイーパー)は時空移動能力を持つという。 朧さん曰く幽霊の気配は一つしか捉えられなかったというのに、もう死んだはずの人間が何人も名簿に記されている。 仮説――――このプログラムの参加者は、『異なる時間』から呼び出されている。 ならば、頷ける。 いろいろと納得がいく。 この仮説を口にはしていない。 認識の違いからおキヌさんと朧さんは思い至っているかもしれないものの、まだ僕から告げてはいない。 他の誰かから告げられてもいない。 それに――もし『これが真実である』のなら、『明かさないほうがいい』ことだってあるかもしれないのだから。 とにかく、考えを固めたいところだった。 『どうにかすることによって時間移動が可能である』という確証を得たい。 「…………って!?」 不意になにかに当たった。 いや、当たらなかった。通り抜けた。 「うわわっ! ちゃんと前を見てなきゃダメですよ、勝くん」 「ご、ごめんなさい」 いつの間にか、おキヌさんが足(?)を止めていたようだ。 見れば、朧さんもまた少し前で立ち止まっている。 歩み寄っていくと、朧さんは険しい表情のまま静かに口を開く。 「何者かが飛行しながら迫ってきています」 朧さんの視線の先を確認するが、なにも見当たらない。 困惑していると、十秒ほど経ってからその視線の先に人影が現れた。 「あれ? おキヌちゃんじゃない」 腰まで伸ばしたストレートの茶髪。 紫色の派手なボディコンスタイル。 整った顔立ちで、気が強そうな目つき。 さらに、いまのおキヌさんに対しての発言。 運がいい。心から、そう思った。 僕が所持していない霊に関する知識を有しており、時空移動能力を持っている。 まさしく――現時点においてもっとも会いたかった参加者の一人だった。 「なによ、ジロジロ見て。 ……でもなんか育ちがよさそうな雰囲気してるわね、賢そうな顔つきだし、もしかしてお坊っちゃまとかかしら…………」 小声でぼそぼそと言っているのが聞こえてくる。 確信した。彼女こそ、話に聞いた美神令子さんその人だ。 ◇ ◇ ◇ http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1359032445/8
9: 創る名無しに見る名無し [sage] 2013/01/24(木) 22:05:48.55 ID:+G77EKdM http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1359032445/9
10: 創る名無しに見る名無し [sage] 2013/01/24(木) 22:05:52.05 ID:G9R/R9/g http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1359032445/10
11: 創る名無しに見る名無し [sage] 2013/01/24(木) 22:06:19.71 ID:+G77EKdM http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1359032445/11
12: 普通の子ども ◆hqLsjDR84w [] 2013/01/24(木) 22:06:22.90 ID:wqitE5aZ 「み、美神さぁ〜〜〜ん!」 三十秒ほど目をぱちくりさせて、おキヌさんはようやく状況を認識したらしい。 「そんな大きな声出さなくても聞こえてるわよ」 「無事でよかったです〜〜〜!」 「はいはい」 おキヌさんに勢いよく抱きつかれながら、美神さんは具合が悪そうに頬をかいた。 ぶっきらぼうな言葉に反して、どこか気恥ずかしそうな笑みを浮かべている。 「ところでおキヌちゃん、なんで幽体離脱してんのよ」 「……? いったいなにを言ってるんですか、美神さん」 「いやいや。なにって、そのままなんだけど」 「…………?」 「幽体離脱するのはいいけど、体どっかに置いてきちゃダメでしょ」 「………………?」 首を傾げすぎて、おキヌさんの首の角度が大変なことになっていた。 そのそぶりに、美神さんもまた困惑を露わにする。 もしやと思った。 こういう、認識のズレは知っている。 美神さんとおキヌさんも、お互いに『認識している現在』が違っているのかもしれない。 指摘するべきか否か。 いま、『参加者の時間軸が異なっている』可能性に触れてしまっていいのだろうか。 迷う僕とは違い、朧さんは迷わなかった。 「なるほど。お二人の時間軸も異なっているようですね」 なんの躊躇もなく、あっさりと言ってのける。 意図せず口が半開きになった僕の前で、美神さんは「あーあーあーあー」と四回ばかり声に出したのち深く頷く。 「そういうことね」 「……えっ?」 未だよく分かっていないらしいおキヌさんをよそに、美神さんは一人納得したように呟く。 「なるほどなるほど。 通りでジャンとちょっと話が合わなかったはずだわ。うむうむ」 「どういうことですか?」 「うーん、これおキヌちゃんに言っていいのかしら。 でもまあ幽霊のおキヌちゃんなら大丈夫か。うん、言っちゃおう」 美神さんも迷わなかった。 「『私の時間軸』だと、おキヌちゃんって身体手に入れてるのよね」 「はあ。でも私、三百年前に死んでるんですけど……」 「まあいろいろあったのよ」 「いろいろあったんですか」 「そうそう」 「いろいろですかー」 僕が『時間軸のズレについて触れないほうがいいかもしれない』と思った理由は、こうしてあっさりと乗り越えられた。 『言ってはいけない未来もある』と思ったのだが、完全に無視されていた。 一瞬躊躇したのを見るに、美神さんも気付いていたはずなのに…… http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1359032445/12
13: 創る名無しに見る名無し [sage] 2013/01/24(木) 22:06:39.58 ID:G9R/R9/g http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1359032445/13
14: 創る名無しに見る名無し [sage] 2013/01/24(木) 22:06:55.83 ID:CL+SGBa9 支援 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1359032445/14
15: 普通の子ども ◆hqLsjDR84w [] 2013/01/24(木) 22:06:58.15 ID:wqitE5aZ 「っていうことは、キース・ブラックも美神さんのような能力を持っているのでしょうか」 「ほぼ間違いなくね。 他人をつれてこれる辺り、私のより使い勝手いいんじゃないかしら」 「むむむ、強敵ですね」 おキヌさんのほうも、大して気にしていないらしい。 身体手に入れるって、それ相当のことだと思うんだけどなあ…… いや、まあ置いとこう。 すんなり片づいたのなら、それに越したことはない。 なにより、いまの話題に乗っておきたい。 「あの美神さん、おキヌさんから話は聞いてます。 アナタには時間移動能力がある――とのことですが、本当でしょうか」 「ん、まあ……ね」 いままでの会話ですでに明らかだったが、あえて尋ねておいただけにすぎない。 にもかかわらず、帰ってきた返事は曖昧なものだった。 「雷くらいのエネルギーがあれば発動できるようですが、それでこの殺し合いをなかったことにするのは可能ですか?」 「無理」 またしても、美神さんは迷わなかった。 おキヌさんが目を見開いているが、僕には大した驚きがない。 朧さんも同じだったようで、平然としている。 「と、いうと」 「まず、ここに張られている結界。 地図の端だけじゃなく上も、そして下まで張られてるでしょうね。 ちょうどいまこのホウキで上昇して確認してきたんだけど、そっちから来たってことはアンタたちも見てきたの?」 「はい」 「張られてたでしょ? なんか、目には見えない壁みたいのが」 「……はい」 「それは、三次元的に物体を阻むだけの結界じゃないのよ。 四次元的、つまり時空移動さえも完全に遮ってしまっている。 だから――」 一拍置いて、美神さんは断言する。 「無理」 おキヌさんは驚き、僕と朧さんは驚かない。 「その結界を解除すれば、どうにかなりませんか?」 「うーん、それ考えてたんだけどね。まあ無理。 ここを出なきゃいけないから、結界の解除は必須だと思うのよ。 でもそれで『時空移動できるようになった! 全部なかったことにしよう!』は無理、少なくとも私には。 私は時空移動能力を受け継いでいるけれど、決して完全に使いこなせるワケじゃないのよね。 どれだけ膨大なエネルギーを集められたとしても、ちょうど過去のキース・ブラックが殺し合いを始めようとしているところに移動してー……ってのは無理」 「そう、ですか……」 驚きはない。 そう、ない。 ないはずなのに……勝手にため息がこぼれた。 多少なりとも、期待してしまっていたのだろう。 けれど、それでも――大人しくかっこつけて諦めてなんかやらない。 「では結界について、教えていただけませんか? 僕は『父親の方針』で様々な分野の知識を『まあまあ』持っているんですが、心霊関係についてはまったく知らないんです」 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1359032445/15
16: 創る名無しに見る名無し [sage] 2013/01/24(木) 22:07:12.08 ID:G9R/R9/g http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1359032445/16
17: 創る名無しに見る名無し [sage] 2013/01/24(木) 22:07:44.05 ID:+G77EKdM http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1359032445/17
18: 普通の子ども ◆hqLsjDR84w [] 2013/01/24(木) 22:07:44.95 ID:wqitE5aZ 問いかけると、美神さんは目を丸くした。 「もっと凹むと思ってたんだけど、結構タフね。 うちの横島くんだったら、間違いなく二週は引きずるんだけど」 「そんな余裕、ありませんよ」 そう、落ち込んでいる余裕はない。頭を切り替える。 僕は普通の子どもにすぎないんだから、その分抗うんだ。 全部なかったことにするのが無理なら、いまできることをやってやる――! 「落ち込んでたら、キース・ブラックの思うつぼだもの。 一番の敵は、結界でも首輪でも殺し合いに乗った参加者でもない。 諦めようとする自分自身の弱い考えが、なにより戦わなきゃいけないんだ」 美神さんの目を見て言い切ってから、勢いよく頭を下げる。 「だから――覆っている結界を取り払う方法を教えてください」 GSとして働いている美神さんにとって、結界の知識はそうそう明かせぬものだろう。 おキヌさんの言葉通り利益優先主義であるのならば、なおさらである。 ゆえに頭を下げる。 それでもダメならば、他のなにかを考える。 そう思っていると、美神の返事より先にエンジン音が響いた。 「……ッ!?」 反射的に顔を上げると、美神さんとおキヌさんもそちらを見つめている。 朧さんだけが一人、そちらに視線をやらずにあらぬ方向を眺めている。 「警戒する必要はないですよ。 迫ってきている男が殺し合いに乗っている可能性はありません。 苛立ちこそ溢れ出していますが、殺気は漂っていませんし――それに」 エンジン音は、僕らから少し離れたところに止まった。 原付を止めると、乗っていた男性がゆっくりと歩み寄ってくる。 「なにより、彼は最速のスプリガン――ジャン・ジャックモンドですから」 長く伸ばした金色の髪を風になびかせて、ジャンさんは朧さんに鋭い視線を飛ばす。 「おいおい、なにバラしてんだよ。一応機密事項だろうが、そいつは」 「ふふ。元より、アナタは知りたければ知れというスタンスではないですか」 「はッ! 俺たちに軽々しく手ェ出したら終いだって、バカどもに知らしめてやるだけだろ」 「現状、手を出されていますけどね」 「だから分からせてやるんだろうが、あのしたり顔のキザ野郎によ」 「そう上手く行っていないようですが」 「ちッ。久々に会ったってのに見透かしたみてえな口調は変わんねーな、朧。 でもその通りさ。なにも間違っちゃいねー、ボコられっぱなしだ。だが終わっちゃいねー。生きてる以上は、あの野郎に分からせてやる。 アンタだって、言われるがままってワケじゃねーんだろ。もしそうなら、こんなガキたちがアンタと一緒にいられるはずがねえ」 言いながら、ジャンさんは朧さんから視線を外す。 辺りを見渡そうとして――ある一点でオブジェのように静止した。 「…………」 そちらでは、美神さんがおキヌさんの背後に身を隠していた。 けれどおキヌさんは幽霊であるので、まあ、うん。 美神さんの姿は、見事に透けて見えている。 それはもう完全に。まったくもって丸見えだった。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1359032445/18
19: 創る名無しに見る名無し [sage] 2013/01/24(木) 22:07:46.18 ID:G9R/R9/g http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1359032445/19
20: 創る名無しに見る名無し [sage] 2013/01/24(木) 22:08:04.26 ID:xONgW/tp ? http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1359032445/20
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