[過去ログ] 葉鍵ロワイアル3作品投稿スレ8 (496レス)
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84: 鬼の王の選択 2006/12/18(月)18:25 ID:+hi1XfwY0(1/8) AAS
「――祐介お兄ちゃん…………」
窓の外を眺め、今にも泣き出しそうな顔で初音はもう何度目かもわからないほどに、祐介の名前を呟いていた。
放送後、祐介が家を出てからすでに二時間が立とうとしていた。
だが一向に彼が戻ってくる気配は無い。
もしかして襲われでもしたのだろうか? 最悪死んでいたり?
そう思うといても立っても居られなくなり家を飛び出し探しに行こうともした。
――もしそれで入れ違いになったらどうするんですか?
――そのせいで柏木さんの身に何かあったらそれこそ祐介さんは立ち直れないかもしれませんよ?
――信じて……待ちましょう。
だがその度に有紀寧の言葉によって遮られ、シュンと項垂れてしまう。
省18
85: 鬼の王の選択 2006/12/18(月)18:26 ID:+hi1XfwY0(2/8) AAS
その時、何かに気付いたように初音が叫んだ。
「耕一お兄ちゃん!」
「え?」
「耕一お兄ちゃんだ、きっと迎えに来てくれたんだ!」
言うや否や初音は勢いよく扉を開けると外へと駆け出した。
「あっ! 柏木さん!!」
いきなり何を、と訝しげに思いながらも慌てて有紀寧もその後を追うように走った。

「――お兄ちゃん、お兄ちゃん!!」
初音の中に浮かんだ一つのイメージ。
それがいつのことだったのかはわからない。
省18
86: 鬼の王の選択 2006/12/18(月)18:27 ID:+hi1XfwY0(3/8) AAS
有紀寧の言葉に耕一は頷くと、初音の手をギシッと握り締め有紀寧の後に続いて歩き出した。

「……楓お姉ちゃんは」
家に入るなり初音の口から出た言葉に耕一は何も言えずに固まっていた。
なんと返せば良いのだろうか?
返答に詰まり、苦虫を潰したような耕一の表情を見て初音は呟く。
「やっぱり……んじゃったんだね」
その声はとても小さく、死んでいるということを認めたくなかったのだろうことが見てとれた。
答えない耕一の姿に初音の瞳から大粒の涙が零れ落ちる。
有紀寧は初音の身体を包み込むように抱きしめると耕一の顔をじっと見据えて言った。
「……他のご家族の方は?」
省18
87: 鬼の王の選択 2006/12/18(月)18:28 ID:+hi1XfwY0(4/8) AAS
「有紀寧さん、あなたも一緒にどうだろう?」
(……ほらやっぱりそうきますよね)
有紀寧は考える。
危険を冒してでも彼と一緒に行動して鎌石村に向かうべきか、それともなんとか言いくるめてここに留まるか。
だが先ほど自分が起こした扇動を考えると、どうしても鎌石村に向かうという気は起きないのだった。
「でも、危険ですよ……」
「かもしれない、でもここにいてもそれは代わらないと思うんだ。
 初音ちゃんと一緒にいたお礼になればって事もあるけど、頼りないかもしれないが俺が絶対に守ってみせる」
(本当に想像通りの答えを返してくれる方ですね……)
有紀寧は半ば呆れながらも、それを表情には出さずに耕一の顔を見つめた。
省19
88: 鬼の王の選択 2006/12/18(月)18:28 ID:+hi1XfwY0(5/8) AAS
選べない選択の前に耕一は唸りながらも、ゆっくりとパソコンの前に置かれた椅子へと腰掛ける。
「――耕一さん?」
その姿に有紀寧の声は震えていた。
「無駄かもしれないが、これを使って梓に呼びかけてみる」
「そんなっ!」
「わかってるさ、これを書いたところで梓が見る可能性だって無いに等しい。
 だがやらないよりは絶対マシな事だ」
「誰が書いたかわからないんですよ? 嘘だと思われるかもしれないんですよ?」
「それでもだ」

有紀寧の制止に耳を貸さず、耕一はキーボードを叩き続ける。
省14
92: 鬼の王の選択 2006/12/18(月)18:31 ID:+hi1XfwY0(6/8) AAS
「初音ちゃん」
「ん?」
「ここに岡崎朋也ってやつのはいたのか?」
「え? ここにいたのはずっと私達だけだったと思うけど」

「それじゃIDが同じってのはどう言うことだ?」
そう言いながら耕一が有紀寧に大して振り返ったほぼ直後。
ポケットの中のリモコンを取り出すと有紀寧はそのスイッチを二人に向かって押していた。
耕一と初音の首輪が紅く点滅を始めるのにたいし、二人は有紀寧の行動の意味がわからずに呆然としていた。
「本当に残念です……あなたなら良い盾になってくれると思ったのですが……」
「「え?」」
省15
93: 鬼の王の選択 2006/12/18(月)18:32 ID:+hi1XfwY0(7/8) AAS
「勿論、パソコンが見つからなかったらそこでゲームオーバーですので時間には余裕を持って行動することをお勧めしますね。
 場所は……鎌石村は掲示板を見ても予想がつくとおり、すでにいろいろ起きそうな気がしますので平瀬村にしましょうか。
 勿論そっちに向かってもらっても結構ですよ? ただし私に危険が及ばないように氷川村では行動を起こさないようにお願いします。
 もっとも、初音ちゃんがいますしそんなことはしないでしょうけどね」
「そんな要求呑むと思っているのか?」
「思っていますよ。そうしないと二人とも死ぬんですから。
 それとも見知らぬ他人を助けて、柏木さん……初音さんを見殺しにしますか?
 ああ、言い忘れてましたが爆弾は解除しないと48時間以内に爆発しますので急いだほうがよろしいかと」
「!?」
「今は……8:45ですか。迷っている暇は無いと思いますよ? そして勿論選択肢もあなたには無いかと」
省13
95: 鬼の王の選択 2006/12/18(月)18:33 ID:+hi1XfwY0(8/8) AAS
【時間:2日目8:45】
【場所:I-6上部】

 宮沢有紀寧
 【所持品:コルトバイソン(6/6)、スイッチ(3/6)、ゴルフクラブ、支給品一式】
 【状態:前腕軽傷(治療済み)、強い駒を隷属させる、祐介の帰りを待つ】

 柏木初音
 【所持品:鋸、支給品一式】
 【状態:首輪爆破まであと二十四時間】

 柏木耕一
 【所持品:大きなハンマー・支給品一式】
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