[過去ログ] ToHeart2 SS専用スレ 4 (717レス)
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(5): 05/02/15 20:53 ID:LCH7a5g90(1/3) AAS
桜が舞う、暖かな季節。
新しい出会いや恋、そして友情に笑い、悲しみ。
すべてが始まり、終わるかもしれない季節。
季節といっしょに何かがやって来る、そんな気がする―――。

ToHeart2のSS専用スレです。
新人作家もどしどし募集中。

※SS投入は割り込み防止の為、出来るだけメモ帳等に書いてから一括投入。
※名前欄には作家名か作品名、もしくは通し番号、また投入が一旦終わるときは分かるように。
※書き込む前にはリロードを。
※割り込まれても泣かない。
省5
698: 偽アイス2号 2005/03/26(土)11:58 ID:pd0pqu+K0(1) AAS
>692
多分、小樽郵便局の近くにある
そのアイス屋を思い出しながら書きました。
699: 0/13 言葉はいらない その7 2005/03/26(土)14:16 ID:w3emcs4/0(1/5) AAS
あらすじ
 両親の離婚、それが原因でよっちはこの街を去ることになった。残された時間はもう後四日だけ。
 急にそれを知らされたいつもの面々はよっちの送別会を開くことにするのだが、いつの間にやら忘年会に。
そこでちゃるに色々言われて貴明もよっちのことが気になりだしたのだけど……。

第一話から第六話はこちらで
外部リンク:www.geocities.jp

ギリギリなんだけど、強行投下
700: 1/13 言葉はいらない その7 2005/03/26(土)14:17 ID:w3emcs4/0(2/5) AAS
 結局一晩中降り止まなかった雪は、翌朝には町中を白く埋め尽くし、それに飽き足らずに今だ深々と降り
続いていた。朝の、冬の、雪の冷気が開け放った窓からひゅるりと部屋の中に侵食してきて、俺はぶるりと
体を震わせ、それでもまだ窓を開けたままにしていた。
 風に誘われひらひらりと雪の一片一片が窓辺に落ちて消え、消えずに残り、やがて薄く降り積もっていく。
 吐いた息は白く染まり、窓の外で風に吹かれてさっと消える。
「センパイ、おはーッス!」
 勢いよくドアが開けられて、着替えはしてるものの頭には寝癖の残ったよっちが顔を出す。
「ああ、おはよう」
「うおーーー、何で窓開けっ放しなんスか? 寒いッスよ! ほら、閉めて閉めて!」
 部屋の寒さにぎょっとしたよっちが、ずかずかと部屋の中に入ってきて窓を閉める。
省16
701: 2/13 言葉はいらない その7 2005/03/26(土)14:17 ID:w3emcs4/0(3/5) AAS
 せっかくの休日だっていうのに熱を出して寝込むなんてバカらしいもんな。
 それにもう明後日にはよっちはこの街からいなくなるのだ。せっかくの思い出作りにそんなものを追加する
こともないだろう。
 俺は着替えて伸びをする。
 多分顔を洗えば、この頭が重いのも収まるだろう。
 そう思って階段を下りる。
「このみー! 起きろー!」
 客間からはこのみを相手に苦戦するよっちの声が聞こえてくる。
 休日と知っているときのこのみの寝ぼすけっぷりはよく知っている。というよりあれは半意図的なものなの
で性質が悪い。しかも今朝のこの寒さともなれば、このみと包む布団は今や鋼鉄の盾だろう。しばらくはこ
省17
702: 3/13 言葉はいらない その7 2005/03/26(土)14:18 ID:w3emcs4/0(4/5) AAS
 沸騰したお湯を一杯だけマグカップに注ぎ、かき回して手に取りリビングへ。
 テレビをつけると、この大雪の中をリポーターが中継し、休日だというのに出勤中のすっ転ぶサラリーマン
なんかを映していた。事故も結構起きているようだ。まさかこんなに降るとは思わなかったもんなぁ。
「くそー! こうなったら最終手段ッス。意地でも起こしてやるッスよ〜!!」
 なんだかそろそろ助けに入ったほうがいいような気がしてきた。気がしてきたけど、結局俺はソファに腰を
下ろしたまま、またマグカップのコーヒーに口をつける。
「ふぬぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
 テレビはまたどこかの中継をしていた。そこは雪が降っておらず突き抜けるような晴天で、風は強く寒そう
だった。当たり前のことだけど、同じ日本でも遠く離れれば空の色はまったく違っていて、たとえ電話ですぐ
に話せたとしても、同じ天気の話題で盛り上がることはなくなるんだろう。
省14
703: 4/13 言葉はいらない その7 2005/03/26(土)14:19 ID:w3emcs4/0(5/5) AAS
 ピザをオーブンで温めなおしていると、その匂いに釣られたのか、もそもそとこのみが起き出してきて、寝
ぼけ眼のままでダイニングの椅子に腰掛けた。よっちと顔を見合わせて苦笑する。
「あれぇ、みんなはぁ?」
「帰ったに決まってるだろ。ほれ、お前も食ったら帰れよ」
「えー、どうしてー?」
「どうしてって……」
 そう言われて初めて気付く。
 あれ? どうしてだろう?
 俺はそんな動揺を隠して、都合のいい言い訳を探す。
「……いや、ほら着替えとかあるだろ?」
省16
704: 5/13 言葉はいらない その7 2005/03/26(土)14:20 ID:FkWPtsU/0(1/5) AAS
「タカくん、よっち、お待たせー!」
「今度は早ッ!」
 昨日の残りをなんとかよっちと二人で平らげて、食器と後片付けを分担して、その後身だしなみなんぞを整
えていると、もうこのみがやってきた。
「さー、遊ぶでありますよー!」
 そんな気合を入れて遊ばなくても、と思ったら、
「オーッス!」
 よっちもやる気満々でしたか。
 仕方がないので目いっぱい厚く着込んで庭に出ると、まだ空からは深々と雪が降り続けていた。
「おいおい、どこまで積もるんだよ」
省17
705: 6/13 言葉はいらない その7 2005/03/26(土)14:21 ID:FkWPtsU/0(2/5) AAS
 しかしまあ高校生にもなって雪ひとつでここまではしゃげるとは、俺もこのみのことを子供っぽいとか言って
られないかもしれない。そんな風にしているうちにあっという間に昼になって、昼食をどうしようかということに
なった。
 するとこのみがにこやかにアテがあるといって俺の家の中に入っていった。あれ? なにかあったかな、と
その後を追うと、キッチンには、あの、カレーの鍋に火をかけるこのみがいた。
 うわ、忘れてた。まだそれがあったんだった。
 仕方なく三人でよっち特製カレーを口に入れる。残念ながら何日置いても苦味は抜けてくれないらしい。
「よっち……、一体何を入れたらこんな味になるでありますか?」
 やばい、このみの目が据わっている。これは、ブラックこのみだ。自分で勝手にカレーに決めておいて、食
べると文句を言う辺りが、多分にブラックだ。
省15
706: 7/13 言葉はいらない その7 2005/03/26(土)14:21 ID:FkWPtsU/0(3/5) AAS
 しかしなんとなく分かった。ブラックこのみの発動条件は不味いカレーなのだ。おそらくは幼いころからおば
さんの必殺カレーで育てられてきたこのみにとって、不味いカレーとは冒涜に値する代物なのだろう。そして
その怒りゲージが頂点に達したとき、このみはカレーの国からやってきた必殺天使ブラックこのみんへと変
身するのだ。
「……タカくん、なんか変なこと考えてない?」
「か、考えてません!」
 こわっ! ブラックこのみの時は余計なことを考えるのも止めておこう。
 このみのカレー談義を聞きながら、俺とよっちは黙々とスプーンを口に運んだ。今年の3月頃に初めてカ
レーを作ったヤツが、よくもまあ言うもんだ、とも思ったが、このみのカレーは確かに美味い。というよりおばさ
んのレシピがいいのだろう。
省14
707: 8/13 言葉はいらない その7 2005/03/26(土)14:22 ID:FkWPtsU/0(4/5) AAS
「え、あれ? まだ昼過ぎだよ」
「うん。でも雪遊びでドロドロになっちゃたし、お風呂も入りたいかなって」
「そっか」
 確かに風呂には入りたいかもしれない。髪の毛は拭いたものの、濡れた感触は心地よいとはいえない。
「また後で来るか?」
「ううん」
 このみは横に首を振る。
「タカくんがずっとよっちを独り占めにしててズルかったから、今日はその分のお返ししてもらったんだ。でも
それもここまで。わたしの出番はこれにて終了だよ。よっち、楽しかった。ゼッタイ連絡してね」
 ぎゅっとこのみが強くよっちに抱きついた。
省16
708: 9/13 言葉はいらない その7 2005/03/26(土)14:23 ID:FkWPtsU/0(5/5) AAS
 よっちの後にシャワーを浴びて、リビングで一服。
 朝から結構走り回ったからか、心地よい疲れがある。
「休憩なだ。休憩」
「そッスね〜」
 二人してそれぞれソファに転がる。大きく息を吐く。
「……これからどうしようか……」
 時間はないはずなのに、時間が余っている。そんな不思議な感覚。
「明日は終業式だろ……」
「そッスね……」
 そうしてしばらくよっちはソファに顔を埋めたまま黙り込んでいたが、やがて顔を上げた。
省16
709: 10/13 言葉はいらない その7 2005/03/26(土)14:24 ID:a2PjcpUA0(1/4) AAS
 ドクンと心臓が一度強く打った。なんだろう? 俺に何か変なところがあっただろうか?
 俺が返事をせずに考え込むと、よっちはゆっくり立ち上がってこっちにきた。俺がソファに座りなおすと、そ
の隣によっちが腰を下ろす。
「あたし、なにかしちゃったッスか?」
 恐る恐る、まるでとても恐ろしいものに触れるかのように、よっちの手が俺の腕に触れた。
 俺にはよっちが何を言っているのか分からない。俺はいつも通りだし、よっちは何もしていない。
 よっちの手は俺の腕を確認するようになぞり、やがてゆっくりと腕を絡めてきた。
「なんでそんなにビクビクしてるのさ」
「だって、センパイ、また眉間に皺が寄ってるんスもん」
 よっちは今にも泣き出しそうな顔だった。
省8
710: 11/13 言葉はいらない その7 2005/03/26(土)14:25 ID:a2PjcpUA0(2/4) AAS
 ――――――。
 ――昨夜――。
 ――――――。

「センパイ、眉間に皺が寄ってるッスよ」
 いつの間にか目の前にやってきてたよっちの指先がちょんと俺の眉間をつつく。その感触を追うと、よっち
と目があった。ドクンと心臓が跳ねる。
 そんな俺の動揺を知ってか知らずか、よっちは俺の隣にストンと腰を下ろすと、甘えたように腕にしがみつ
いてきた。その柔らかさにカッと体が熱くなる。な、なあ、誰か俺に腕にしがみつかれたときに、その腕の指
先をどう扱えばいいのか教えてくれ。腕を動かすとよっちの柔らかさを再確認してしまうだけのような気がし
て、俺は不自然な形のまま右腕をピクリとも動かせずにいる。
省19
711: 12/13 言葉はいらない その7 2005/03/26(土)14:26 ID:a2PjcpUA0(3/4) AAS
「え……あ……、はい……」
 行き場を失ったよっちの手が、そのままぎゅっと握られた。
 ――傷つけた。それが分からないわけがあるだろうか?
 よっちは言ったのだ。振り解かない俺の腕を信じてる、と。それを聞いて俺は振り解いたのだ。
 ――そしてまた、傷つき、しおれる彼女が――例えそれが俺の所為だとしても――狂おしく―しかった。
 俺はその手をこの手で包みたいと思った。その躯を掻き抱いて、その髪に顔を埋め、唇を奪い、肌に掌を
当て、総てを知り、総てを味わいたいと……、そしてそう望む俺をよっちは受け入れてくれるだろう。
 しかしだからといって、
 しかしだからこそ、
 俺はそうするわけにはいかないのだ。
省18
712: 13/13 言葉はいらない その7 2005/03/26(土)14:27 ID:a2PjcpUA0(4/4) AAS
 ――――――。
 ――今日――。
 ――――――。

 深い雪の底で、それはしっかりと息づいていた。
 いくら隠そうとしても、それは雪を押しのけて競りあがってきた。
 せっかく忘れようとしていたのに……。
 せっかく忘れられそうだったのに……。
 心のうちから湧き上がる感情に、俺はもう抗えない。
 黙りこんでしまった俺が怖かったのか、よっちは俯いてしまっている。
 その目に涙があふれかかっているだろうことは、顔を上げさせないでも分かる。
省7
713
(1): 言葉はいらない その7 2005/03/26(土)14:31 ID:580DiJqs0(1) AAS
「言葉はいらない」第七話はこれにて終了。
 次回必殺天使ブラックこのみん第二回
「激闘喫茶店! カレーかハヤシかオムライス」
 見ない子は必殺カレーで……すみません。悪ノリしました orz

あー、ギリギリの投下で違った方向に緊張感でいっぱいでした。
連投規制くらいまくったしw

というわけで次スレ
2chスレ:leaf
714: 2005/03/26(土)15:23 ID:2WuQDuP00(1) AAS
よっちいいなあ・・・ 乙
715: 2005/03/26(土)15:44 ID:2oz1GblG0(1) AAS
AA省
716: 2005/03/26(土)17:21 ID:iU3VXkIl0(1) AAS
>>713
ブラックこのみにワラタ

どうでもいいことかもしれませんが、
クラシックギターが中心になったオーケストラはありますよ。
ちょっと新鮮でギターの音が何気に合ってるんですよ。
どうでもいいですけどね・・・

とりあえず、続きを楽しみにしてます!
717: 2005/03/26(土)17:43 ID:bnGLNANS0(1) AAS
AA省
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