[過去ログ] おんなのこでも感じるえっちな小説12 (72レス)
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20: うみなりタウン物語α 15/17 2013/11/24(日)00:02 ID:0iPk0KZ3(14/14) AAS
「――そん、な。だって、だって、リオンさんは」
「うん。兄さまは、僕の大切な人。僕の大切な家族。でも、僕がたった一人、守りたいっ
て、愛したいって思うのは、あんたなんだ。きっと、わかってくれる。こんな仕事、やめ
ろって、前から言われてた。僕が勝手にしてた事だ。ちゃんと、普通に働いて、マトモな
大人になって、アンジュの傍にいて、アンジュを笑わせて、アンジュを幸せにして、一緒
に歳を取りたい。だから、だから」

……泣かないでよ。

って。
言いたいのに、どうして、僕が泣くんだよ。畜生、カッコ悪い。なんで、ホントに僕はガ
キなんだよ。なんで――なんで。

アンジュが、僕を見上げる。
まだ、泣いている。けれど。

「……知っていますか? アルファさん」
震える声で、僕に問う。僕は首を横に振る。
「涙って、嬉しくても、出るんですよ」
そう言って、アンジュは眼を閉じる。僕は、僕の指で涙を拭い、口付けた。
暫くそのままでいると、アンジュはひとつ咳をして。

「さて、アルファさんの道は決まったとしまして、いきなりリオンさんに報告しても、寧
ろ年増に籠絡されたと警戒するでしょうね。逆に買収されて逆スパイとか疑う可能性もあ
りますし、何より常識的に、出会って二日も経たずに肉体関係を結んだという事は、世間
体も悪過ぎます。ここは一発、まだ私とは接触が無い事にして、アルファさんが私に一目
惚れをし、ちゃんと普通の一般人としてアタックしたい云々という説明をなさるのが自然
かと思うのですけれど」
そんな事をすぐさま思い付くこの才女は。
……やっぱ、あったまいいんだなあ、と、ちょっと背筋も寒くなったりした。

あ、そういえば、なんでこの仕事してたかって、クソ親父を引き摺り下ろす為に、色々な
証拠を集め回っていたからだった。
危ない事をしてって、物凄く怒られたけれど、凄く喜んでくれたから、だからだった。

「――という訳で、僕、まっとうな人間になりたいんだ。兄さまの元を離れる事も、役に
立てなくなるって事も、わかってる。けど、僕は」
兄さまに、とりあえず当初の目的の報告をしてから、実は、と話し出した。
僕が兄さまに、こういった話をするのは初めてだったから、ひどく驚かれたけれど。
「前々から、確かにアルファの将来については、考えていました」
いつも通り、あくまで冷静に、穏やかな中にも油断は許されないような、そんな兄さまは、
僕を真っ直ぐに見据えて。
「……いつの間にか、大人になっていたのですね、アルファ。もしかしたら、貴方のその
感情は、一時の気の迷いかもしれません。逆に、アンジュ様のような素敵な女性が、別の
殿方に恋をしてしまう事態も、有り得ない話ではありません」
兄さまらしく、僕の事を心配してくれる。だからこそ、騙している事に罪悪感を抱いたり
もするけれど、これも必要以上の心配はさせない為。
「うん、わかってる。僕がする事は、無駄な事かもしれない。けれど」
僕の言葉を遮って、兄さまは立ち上がり、僕の肩を掴む。
「――無駄な事ではありません。確かに、私の元を離れる事は……その、寂しいですけれ
ど、貴方が、たった一人で一歩を踏み出そうとする事は、とても大切な事なのです」
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