[過去ログ] 【卓球場】野村美月作品エロパロ2冊目【文学少女】 (700レス)
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625: 2013/07/05(金) NY:AN:NY.AN ID:eoRUic0l(1/13) AAS
エロじゃないけどそのうち投下します。
626: 2013/07/05(金) NY:AN:NY.AN ID:eoRUic0l(2/13) AAS
時系列的に言えば6月後半、しーこの若紫の話が終わった頃、
葵さんに彼氏のフリをして欲しいと言われたあとの話です。
本来、葵さんにそう言われたその日に月夜子先輩に会いますけど
この話は、月夜子先輩に会うのはそう言われた数日後ということにしてください。
627: 2013/07/05(金) NY:AN:NY.AN ID:eoRUic0l(3/13) AAS
タイトル『雨露に濡れる花』
「雨、降り出してきたな。今日、傘を持ってくるの忘れたから、どこかで雨宿りするか。」
赤木是光は平安学園からの帰り道、誰もいるはずのない虚空を見つめながら呟いた。
「是光、朝のテレビで降水確率50%って言ってたのに。僕も傘持ってったほうがいいよっ
て言ったでしょ?」
誰もいないはずのところから何かを喋ってるのは、4月に亡くなったはずの帝門ヒカルと
いう少年だ。彼は彼自身の葬式の時、幽霊として是光にとり憑いている。
その姿も声も是光しか認識できず、その為、こうやって話している姿は、傍から見れば
奇妙としか言い様がなかった。
「降水確率50%くらいじゃあ、大丈夫だと思ったんだよ。」
省15
628: 2013/07/05(金) NY:AN:NY.AN ID:eoRUic0l(4/13) AAS
それを見るとヒカルが、
「雨露に濡れた紫陽花の花は風情があるよね。是光、知ってる?
紫陽花は万葉集に言葉として登場してるんだ。紫陽花と呼ばれるのは
『藍色が集まったもの』を意味するあづさい(集真藍)がなまったものっていうの
が有力な切なんだけど、万葉集の歌に
あぢさゐの 八重咲く如く やつ代にを いませわが背子 見つつ思わぬ
なんていう歌があるんだけどこの意味は…」
と、また花のうんちくが始まったと是光は呆れていたが、今、雨宿りしている公園は、是
光にとって思い出深い場所だ。
奏井夕雨というひとりの少女との思い出の場所。雨に濡れた紫陽花を見て是光はその姿
省15
629: 2013/07/05(金) NY:AN:NY.AN ID:eoRUic0l(5/13) AAS
紫陽花を見ていた是光は顔を上げると、高級そうな車が公園の前を通るのが見えた。
ヒカルがその車を見てあっと声を上げると、通り過ぎたはずの車がバックしてきた。そ
して、その車が公園の入り口あたりに止まると、車からひとりの少女が降り、傘をさして
こちらに向かって歩き出した。その少女は是光の前まで歩み寄ると、是光が雨宿りしてる
木の下でおずおずと、傘を是光の方へ差し向けたので、
「車から俺が見えたのか?葵。」
と、是光が、その少女、左乙女葵に向かって言った。
「学校から車で帰宅しているところ、車の窓から外の景色を見ていたら、公園の木の下で
雨宿りしてる赤城くんが見えたものですから、運転手さんに公園の前に止めてもらいまし
た。そのままでは、雨に濡れて、お体に障るとよくありませんし、私の車で赤城くんの家
省12
630: 2013/07/05(金) NY:AN:NY.AN ID:eoRUic0l(6/13) AAS
「濡れた体では風邪をひいてしまいます。このタオルをお使いください」
葵は自分のカバンからタオルを出して、隣の是光に渡した。是光はありがとうと葵に言っ
て、頭を拭き始めた。すると葵は遠慮がちに是光の方を見ていたので、是光が
「どうした?」
と聞くと、
「いえ、その、雨宿りしてた時にとても悲しそうな顔をしてらしていたので、お体が優れ
ないのかと思いまして、その心配で…。」
と葵は、心配そうに是光を見ながら答えたので
「心配しなくても、俺は大丈夫だ。このくらいで風邪なんかひいたりしないぞ。」
(夕雨と頭条のことと怨霊のことくらいは噂程度で葵も知ってるだろうけど、俺が直接、
省14
631: 2013/07/05(金) NY:AN:NY.AN ID:eoRUic0l(7/13) AAS
そうすると是光も穏やかな気持ちになった。そして、ふと是光は思ったことがあったので、
小声ですぐ隣のヒカルに
(そういえば、ヒカル。本当に俺が青いの彼氏のふりなんてしても大丈夫なのか?)
と、言うと、
ヒカルは、
(葵さんも困ってるみたいだし、是光なら任せられるから気にしてないよ。)
と相変わらず、何を考えてるのかわからない笑顔でそう言った。
すると、葵が
「どうかなさいましたか?」
と言ってきたので、是光は誤魔化そうとして咄嗟に、
省31
632: 2013/07/05(金) NY:AN:NY.AN ID:eoRUic0l(8/13) AAS
是光は家の玄関の扉を開け、「ただいま」と言うと、奥からパタパタと走る音が聞こえた。
すると是光に向かってきて、しがみついた少女は
「是光お兄ちゃん!おかえりなさい!」
と元気よく是光を出迎えた。
 その少女、若木紫織子は少し前から赤城家の住人となった。可愛らしいツインテールの
その少女は、是光を本当の兄のように慕っている。是光がしおりこの頭を撫でてあげると
嬉しそうに笑い是光を見上げた。
 紫織子が赤城家に来てからわずかの間だが、もうすっかり馴染んだようだ。最近は、紫
織子より少し前に、赤城家に来た猫のこるりと、家ではよく一緒にいる。なので、紫織子
が是光を出迎えた時に、こるりがいなかったので、
省21
633: 2013/07/05(金) NY:AN:NY.AN ID:eoRUic0l(9/13) AAS
「葵さんやしーこの前ではそんな顔はしないように頑張ってたみたいだね。」
と、いきなり、自分の肩の上の方からそんな声がした。どうやら是光が考えてることがよ
くわかってるみたいだった。
 「ダメだな。こういう雨の日、しかも今日は、あのアパートの近くの公園に、行ってる
から、余計に夕雨のことを意識してるみたいだ。」
 「是光は誠実だね。君は夕雨のこと、後悔してないって言ってたけど、やっぱり寂しい
かい?」
「何度も言ってるけど、後悔はしてねーよ。ただ、寂しくはあるかもしない。何て言えば
いいのか、モヤモヤするというか、自分でもよくわかんねーんだよ。」
是光は頭を掻きながら、自分の唯一の男友達に自分の心境を吐露した。
省22
634: 2013/07/05(金) NY:AN:NY.AN ID:eoRUic0l(10/13) AAS
学校に着くと、下駄箱で式部帆夏にバッタリ会ってしまった。葵の件で勘違いしてる帆
夏とは今会うといろいろ気まずいのだが、ここで、何もしないのも男らしくないので、
「うっす」
と、ヤンキーみたいな低い声で帆夏に挨拶した。是光自身は、自然に挨拶してるつもりな
のだが、帆夏は「うっ」と呻いたあとじっと、是光を睨み、顔を赤くしてぷいっと顔を背
けて、スタスタと歩き去ってしまった。
「ヒカル!見たか、アイツの態度。くそっ。何なんだよ。昨日は、授業中に何度もメールし
てくるし、さっきの俺の挨拶も無視して、これだから女は…。」
と言いながらも最後の方はだんだん口調が弱々しくなっていた。
「まあ、式部さんは葵さんとの件を勘違いしてるだろうし。しょうがないよ。でも、式部
省32
635: 2013/07/05(金) NY:AN:NY.AN ID:eoRUic0l(11/13) AAS
今日の授業が終わると、部活に入ってもいない是光は、家へ帰ろうとしたとき、帆夏が
是光に向かって何か言おうとしては口を噤むのを繰り返して、
「あんた、今日、ずっと窓の外見てたけど、どうして?」
と、やっと話を切り出してきた。
葵のことに関して何か言われると思ったので、少し意外だったが、
「少し気になることがあっただけだ。それがどうかしたのか?」
是光が質問の形で返すと
「なんとなく、あんたが辛そうな顔してるように見えたから。」
「そんなことねーよ。でも心配してくれたんだな。ありがとう、式部。」
帆夏に心配させてしまったことを悪く思い、礼を言うと、
省25
636: 2013/07/05(金) NY:AN:NY.AN ID:eoRUic0l(12/13) AAS
雨露に濡れていた紫陽花が陽の光を浴び、反射している姿は昨日見た、しとしと降る雨
の中で咲いていた紫陽花とはまた違った印象を持たせていた。
 ヒカルがそれを愛おしそうに眺めながら、紫陽花について話し始めた。
「ねぇ、是光。昨日、紫陽花にまつわる歌が万葉集に2首あるといったよね。その一つが
昨日言った、
あぢさゐの 八重咲く如く やつ代にを いませわが背子 見つつ思わぬ
この歌はね『あじさいが幾重にも群がって咲くように変わりなく、いつまでも健やかでい
てください。私は、この花を見るたびにあなたのことを思い出しましょう。』って意味なん
だよ。是光、今の君の気持ちにピッタリなんじゃないかな。」
 ヒカルの言葉を聞いて是光は、
省11
637: 2013/07/05(金) NY:AN:NY.AN ID:eoRUic0l(13/13) AAS
以上です。
長々と駄文失礼しました。
もしお暇で興味あるならどうぞ。

夕雨可愛いよ夕雨
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