ミッションコンテストNo.3『生存限界 −LIVING END−』 (164レス)
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1(1): → 2011/08/22(月) 02:49:26
君が彼の死を知ったのは、その日の朝のニュースだった。
「本日未明━━━━━━━━
都内で病院を経営していた『塚本 博之』さん(38)が、遺体で発見されました。
病院内で倒れている所を発見された塚本さんは、すでに死亡していたとの事です。
遺体には、頭部に大きな外傷があり、警察では殺人事件として捜査を進めています。
又、同病院に勤務していた看護士の行方が分からなくなっており・・・・・・・・・・・・・・」
『塚本 博之』は、『塚本クリニック』を経営する医師兼院長。
数年前に君が通院した縁で知り合い、互いに独身で家が近所という事もあり、たまに
酒を酌み交わす仲だった。
医師という立場にも関わらず、社会的底辺にある君とも気さくに付き合ってくれる
数少ない人物であり、君が『スタンド使い』である事も知っていた。
彼自身に、その『才能』は無かったが。
すぐに病院へと駆け付けたが、警察の捜査で立ち入りは出来なかった。
だが、顔見知りの看護士に教えられ、その日の通夜に出席する運びとなる。
通夜には、彼の患者だった参列者も少なくなく、改めて彼の功績や人柄を知らしめ、
それを惜しむ声が絶えなかった・・・・・・・・・・・・・・・。
参列していた君は、そこで彼の弁護士と名乗る人物に出会う。
その弁護士は、生前の彼から預かっていたという1通の『封筒』を君に手渡した。
封筒に入っていたのは、1枚の手紙と『骨』。
『強膜骨』という鳥などの眼球を囲む部位で、それは彼からの最後の贈り物だった。
2(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/08/22(月) 22:00:49
>>1
「……?」
『塚本先生』が一体なんでこんなものを俺に?
疑問は尽きないが、まずは『手紙』を読む事としよう。
『骨』は……・なんの『骨』かすら分からない。
出来れば、今の時点では極力触れないで置く。
3(1): → 2011/08/23(火) 00:40:36
>>2
手紙には、直筆の文字が綴られている。
筆跡は、見覚えのある『塚本の字』だと思われた。
「『花レ身』君
この手紙は、私に万一の事態があった時の為に託しておく。
もしも、私が『殺された』か『自殺する』かした場合、その真実を確かめて欲しい。
君に頼むのは、君が『才能』を持っているからだ。
同封した『骨』は、それ自体が『スタンド能力』を秘めている。
『骨』を持った状態で私の遺体に触れれば、ほんの少しだけ『生前の私』になれる。
『追体験』すると思ってくれていい。
君が葬儀に参列してくれると信じているが、遺体に触れられる機会は少ないだろう。
くれぐれも、それを逃さないでくれ。
詳しい説明は、院長室にある私のパソコンで確認出来る。
勿論、『追体験』の中での話だ。
パスワードは、『AnaIRiHs』。
こんな手紙を用意する気になった経緯も、そこで知る事が出来るはずだ。
『塚本』」
4(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/08/23(火) 20:42:54
>>3
「『骨』に……『スタンド能力』?」
様々な驚きがある手紙だが……『塚本先生』が遺した最後の手紙。
信じない事は、『塚本先生』への冒涜にあたるだろう。
「何にしろ、『塚本先生』の最期の望み………叶えないわけにはいかないな」
とはいえ、手紙の通り、ただの参列者の俺が
先生の遺体に触れる機会は少ないかもしれない。
じっとそのチャンスを待つか、或いは作るか、か………。
とりあえず状況を把握したい。
通夜の式はもう始まりそうなのだろうか?
そして、参列者や親族に『気になる』者は居ないだろうか?
『塚本先生』が殺された『犯人』に繋がる『何か』を少しでも掴んでおきたい。
5(1): → 2011/08/24(水) 01:41:23
>>4
通夜は、すでに読経と共に焼香が始まっていた。
喪主は、『塚本』の両親らしき年配の男女が務めている。
看護士や常連患者もチラホラと目に止まったが、弔問客の大半は君の知らない人物だった。
その年齢層は、老若男女幅広かったが、やはり老人が割合的に多く感じられる。
厳かな悲しみに包まれた通夜会場で、弔問者達も一様に同じ雰囲気に包まれていた。
「『西脇君』も死んだらしい・・・・・・・・・・・」
「どうして、こんな・・・・・・・・・・・・信じられん・・・・・・・・・」
会場に入れば、弔問客の雑談も自然と耳に入って来る。
「死亡時刻は、『2時頃』という事だから・・・・・・・・・・・・」
「夜勤の最中に・・・・・・・・・・・・・」
「これから、どうなるんだろう・・・・・・・・・・・・・・入院してる人も・・・・・・・・・・」
時刻は、午後7時を回っており、すでに外は暗かった。
読経と焼香が済めば、『通夜振舞い』を経て一旦お開きとなり、親族等が一晩を遺体と共に
過ごして、翌日の葬式を迎える。
6(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/08/24(水) 23:13:15
>>5
(喪主は……両親かな)
『塚本先生』に妻、子供・兄弟などが居たかどうかを思い出す。
(あとは……『西脇君』?)
その名前に聞き覚えはないだろうか。
読経と焼香時は流石に遺体に触れるタイミングはないだろう。
(と、今まで出た通夜の経験からそう考えるが、宗派などによって、
焼香時に遺体に近付けるのかもしれないので、そういうチャンスがあれば臨機応変に対応したい)
狙うなら『通夜振舞い』以降…………それまでじっと待ちたい。
7(1): → 2011/08/24(水) 23:59:34
>>6
『塚本』は独身で、結婚歴も無い。
その家族構成までは、聞いた覚えが無かった。
『西脇』という名には、どこか聞き覚えがあった・・・・・・・・・・・・・・・・・。
君は、他の弔問客同様に焼香を済ませる。
程無くして式は終わり、半分程の弔問客が通夜振舞いの席へと移動した。
事務用の長椅子が5つ程、並行に5列に並べられた席には、様々な料理や飲み物が並んでいる。
特に決められた席は無かったが、君は一番隅の席にポツリと座った。
「『花レ身』君・・・・・・・・・」
ふと、隣の席の中年女性が君の名を呼ぶ。
それは、『大谷』という看護士で、病院では見知った仲の看護士の1人だった。
恰幅の良い大柄な女性で、唐揚げを口に放り込みながら、君の方を見ている。
8(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/08/25(木) 00:18:33
>>7
『西脇』については然るべき時になれば思い出すだろう。
「ああ、大谷さん……。この度はなんというか、突然の事で…………」
『大谷さん』に深々と礼をする。
「『塚本先生』は、俺なんかにも分け隔てなく接してくれた。
おいそれと恨まれるような人じゃあないと思うんですけど、なんであんな死に方を……」
そう言いながら『大谷さん』を眺める。『塚本先生』の殺された理由に心当たりがあるのなら、
何かしらの反応があるのではないだろうか。願わくば、中年女性特有のおしゃべり癖で、
知っている事を話してくれるならありがたいのだが。
9(1): → 2011/08/25(木) 00:48:20
>>8
「ええ、本当に・・・・・・・・・・」
『大谷』が、頭を下げ返す。
「私も、最初は『強盗』かと思ったんだけど、どうも違うみたいなのよ。
何も盗られて無いみたいで・・・・・・・・・・・・・・怨恨とも思えないんだけど、どうなのかしらねぇ?
『花レ身』君は、何か聞いてない?」
口早に言いながら、『大谷』は再び唐揚げを口に入れた。
10(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/08/25(木) 01:20:20
>>9
「ああ…特に聞いては居ないですね」
(手紙をもらってはいるが『聞いて』はいないからウソじゃあないだろう。…………詭弁だけどね)
「…そうだ、大谷さん。最期にもう一度、『塚本先生』のお顔を拝見したいんですけど……。
喪主…『塚本先生』の御両親ですかね? その方々と交流があったりします?
あるのであれば、申し訳ないんですけど、その旨を伝えてもらいたいんですけど」
しかし、唐揚げばっかり食べてるな。よほど好物なのか?
11(1): → 2011/08/25(木) 01:31:22
>>10
「そう・・・・・・・・」
『大谷』は、呟きながらレタスを口に運ぶ。
レタスの隙間から、それに包まれた唐揚げがチラリと見えた。
「食事が終わったら、このまま御親族の方々が残るみたいよ。
その時に拝見させて貰った方が、いいんじゃないかしら・・・・・・・・・・・・・?
私も先生の御両親は知らないけど、看護長の『長谷川』さんなら知ってると思うから、終わったら
伝えておいてあげるわ。
『花レ身』君なら、私達も知ってるから大丈夫よ。」
12(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/08/25(木) 01:44:02
>>11
『唐揚げ』………は、忘れよう。
「どうもありがとうございます」
『長谷川さん』と自分は面識・交流があっただろうか。
思い出しつつ、ふと疑問を思い出したので訊ねてみる。
「ああ、そうだ。さっき小耳に挟んだんですけど、
『西脇さん』って方はご存知です? その方もお亡くなりになったとか………」
13(1): → 2011/08/25(木) 02:05:31
>>12
看護長の『長谷川』は、『大谷』同様に君の見知った人物だった。
40〜50代の眼鏡を掛けた小柄な女性で、気さくな印象がある。
「『西脇』君?」
『大谷』は、唐揚げを箸で摘みながら言った。
「『花レ身』君は、知らなかったかしら?
彼も私達の仲間なんだけど、警察は疑ってるみたいね・・・・・・・・・・。
先生がお亡くなりになった時、彼だけいなかったから当然かも知れないけど。
でも、あの子が先生を殺すとは、思えないんだけどねぇ。」
14(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/08/25(木) 08:01:02
>>13
「ああ、もしかしてニュースで言ってた『行方が分からない看護士』ですか」
もはや俺も、唐揚げを箸で摘みながら言った。
もし将来この行為が自分に不利益をもたらすとしても、後悔はない。
そして記憶を辿り、自分がその看護士、『西脇君』に会ってないか、何か知ってないか思い返す。
「『亡くなった』なんて小耳に挟みましたけど、行方が分かったって事なのかな。
あと、先生は『夜勤中』に亡くなったって話だったと思うんですけど、
『西脇さん』以外のスタッフは皆居たんです?
夜勤中にそれだけスタッフが残っているというのは、何か理由があったんですかね」
あるいは『クリニック』という事だし、スタッフ総数自体が少なかったのだろうか。
自身の記憶を思い返す。
15(1): → 2011/08/25(木) 10:57:47
>>14
「そうそう。」
『大谷』が頷く中、君は大皿に盛られた唐揚げを1つ摘んだ。
『西脇』という名に合致した人物は、思い出せない。
『グジュッ』
口に放り込んだ唐揚げを噛むと、まだ熱の残った肉汁が口の中に溢れ出す。
ニンニク醤油で味付けされた衣は、サクサクと心地良い食感で、鶏肉の豊かな
弾力とのコントラストが、噛み締める毎に調和されて行くのを感じた。
『大谷』も再び唐揚げを摘み、口に入れる。
「『西脇』君は、少し前に見つかったらしいわ。
病院の近くの・・・・・・・・・・ホラ、新しく建ったマンション。
あそこから飛び降りたんだって。
そういえば、昨日の夜勤は先生と『西脇』君だけだったわ・・・・・・・・・。」
病院は、3階建てで大きめのアパートと言った規模だった。
入院患者も数人いるらしかったが、勤務する看護士達は決して多く無かった。
医師は、『塚本』を含めて2名。
16(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/08/25(木) 20:53:37
>>15
「なるほど」
俺も再び唐揚げを摘み、口に入れる。
「事情を知っていそうな『西脇さん』もすでに亡くなって、
事態は暗礁に乗り上げているわけですか。ふぅむ……」
基本的な事は訊いたように思うし、『大谷さん』には看護長に口添えしてもらわなければならない。
何よりこのまま話し続けるとこの場の唐揚げを全て二人で食べ尽くしてしまいかねない。
「色々教えてくれてありがとうございます。
さっきの件(看護長への口添え)、よろしくお願いしますね」
そんな事を話し、会話は打ち切りの方向へ持っていこう。
ところでそもそも自分は何の病気で通院していたのだったか(『塚本クリニック』は何科の病院か)。
そしてもう一人の医師について何か思い出せたら思い出したい。
17(1): → 2011/08/26(金) 01:36:16
>>16
『大谷』は、唐揚げを口に含んだまま頷き、おもむろにハンドバッグを取り出す。
バッグの中から取り出したのは、ピンク色の携帯電話だった。
『塚本クリニック』の専門は、外科と内科、小児科だった。
君が初めて通院したのは、ただの風邪・・・・・・・・・・・・・・・・・その後、帯状疱疹に悩まされ、長期間の通院を
余儀無くされた。
『塚本』は内科と小児科の医師で、もう1人の外科医の名は、『佐藤』。
この外科医との面識は乏しかったが、『塚本』と同年代で褐色に日焼けした小男だった事を覚えている。
「『花レ身』君・・・・・・・・・」
ふと、『大谷』が再び君に話し掛ける。
携帯電話をバッグに戻した彼女は、それと入れ替えにティッシュ箱サイズのビニール容器を取り出し、
その中に唐揚げを詰め始めた。
「看護長も今夜は残るらしいから、貴方も一緒に残るって伝えておいたわ。」
18(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/08/26(金) 19:44:36
>>17
「あ、そうですか。じゃあそのへんに『長谷川さん』が居れば合流させてもらいますね。
色々ありがとうございました」
俺は唐揚げを口に含んだまま頷き、礼をした。
とりあえず訊きたい事は確認出来たし、
特に何もなければ『大谷さん』に別れを告げ、『長谷川さん』を探して行きたい。
19(1): → 2011/08/27(土) 00:18:59
>>18
唐揚げを食べている『大谷』を後に、君は席を立った。
会場の弔問客が次第に立ち去って行く中、中央付近の席に着いている『長谷川』を見つける。
丁度、彼女の周りに座っていた弔問客も立ち上がり、帰って行く所だった。
20(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/08/27(土) 15:25:29
>>19
「長谷川さん、この度はとんだ事で………」
『長谷川さん』に声をかけよう。
「『大谷さん』からお話きいているとは思うんですが、
俺も『塚本先生』に最期にもう一度お会いしたいんです。
一緒に行ってもよろしいですか?」
21(1): → 2011/08/28(日) 02:06:13
>>20
「ああ・・・・・・・・・・・『花レ身』さん。」
そう言って、君を見た『長谷川』の目は、微かに充血していた。
「先生の御友人ですから、構わないと思いますよ。
今夜は、このまま式場を借りての通夜ですから、疲れたら別室の布団で休んで下さい。」
『長谷川』は、棺の方をチラリと見て、さらに続けた。
「お顔が見たいなら、今の内に行った方がいいかも知れませんよ。」
22(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/08/28(日) 02:20:51
>>21
「ありがとうございます」
棺がどこにあるかを確認しておこう。
「お言葉に甘えて、行かせて頂きます。
…………『長谷川さん』は、少し休んだほうがいいんじゃあないですか?
凄く、お疲れのようですし………。俺一人でも行けますよ」
23(1): → 2011/08/28(日) 02:54:56
>>22
棺は、並んだテーブルの一番前に設けられた祭壇に置かれていた。
焼香した時のまま、動かされてはいない。
「ありがとうございます。」
そう言った『長谷川』は、目の前に置かれた麦茶らしきものの注がれたグラスを、
1〜2口傾けた。
棺の前では、時折弔問客が足を止め、『塚本』との別れを惜しんでいる様だった。
24(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/08/28(日) 14:23:52
>>23
『長谷川さん』に礼をして、『棺』の前へ移動する。
弔問客の動きが途絶え、自分ひとりで『塚本さんの棺』に
近づけるタイミングを見計らいたい。
25(1): → 2011/08/28(日) 20:58:41
>>24
君は、棺の周囲に誰もいなくなったのを見計らって、その前に立った。
棺の頭の部分には、開閉式のフタが付いており、開くと『塚本』が顔を覗かせる
仕組みになっている。
このフタの部分以外は、釘で完全に固定されていた。
26(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/08/28(日) 21:13:59
>>25
「さて……」
棺の顔の部分の蓋を開け、『塚本先生』の顔を見る。
27(1): → 2011/08/29(月) 00:53:40
>>26
『ドドドドドドドドドド』
フタを開くと、見知った『塚本』の顔があった。
黄色味がかった肌の色に、生気は感じられない。
28(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/08/29(月) 00:57:34
>>27
(『塚本先生』………)
変わり果てた『塚本先生』の前で、僅かな時間だけ目を瞑り、黙祷を捧げた後、そっと『塚本先生』の顔に触れる。
(これで……いけるのか?)
29(1): → 2011/08/30(火) 01:49:54
>>28
指先が、今や冷たい肉塊と化した『塚本』の鼻先に触れる・・・・・・・・・・・・・・・。
その瞬間、君を軽い目眩が襲った。
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
気が付くと━━━━━━━━━━━━━
君は、見知らぬ小部屋にいた。
背もたれ付きの椅子に座った君は、スチールの事務机に向き合っている。
机の上には、液晶画面とキーボードが1つずつ。
画面には、ログインパスワードの入力画面が映っていた。
30(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/08/30(火) 20:34:15
>>29
(……!!! 話に聞いていたとはいえ…… 『真実』だとやっぱり驚きはあるな)
まずは自分の服装を確認してみる。あとは近くに『鏡』の役割を
果たしそうなものがあれば、それで自らの顔を確認する。
次に『時計』を探し、今が何時か確認。
その後は、『ログインパスワード』の画面を確認したい。
何のログインパスワードか、書かれていないだろうか。
もし『時計』が他になければ、パソコンの時刻表示をこの時、確認する。
(……『追体験』しているとするならば、この後に、『先生』は『殺された』という事。
そして『スタンド使い』の俺に後を託したという事は、その相手もまた、『スタンド使い』。
油断は出来ないな)
31(1): → 2011/08/31(水) 00:24:39
>>30
最初に君が気付いたのは、自分が白衣を着ている事だった。
室内に鏡は無かったが、壁にはシンプルな丸い掛け時計があり、『午後10時』を指している。
ログイン画面は、Windowsのそれだった。
32(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/08/31(水) 00:37:07
>>31
(午後10時……殺害は午前2時ごろだったはずだったから、まだまだ時間はある)
という事は過剰に警戒していてもしょうがない。
確認はまだ出来てないが、白衣を着ているという事から、
俺が『塚本先生』になっている可能性は高いはず。
「…………よし」
意を決し、『AnaIRiHs』というパスワードを入れ、PCに『ログイン』しよう。
33(2): → 2011/08/31(水) 00:49:35
>>32
『シュゴォォオオオオオオ』
パスワードを入力すると、デスクトップが表示される。
壁紙は、見知らぬ巨大なトンネルだった。
並んだアイコンの中に目を凝らすと、『追体験』という名のフォルダに気付く。
『カチカチッ』
直感的にクリックしたフォルダの中には、メモ帳が入っていた。
そこには、びっしりと文字が詰め込まれている・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
34(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/08/31(水) 01:12:19
>>33
(…………ここまで来たら)
息を呑みながら、メモ帳を確認する。
35: → 2011/08/31(水) 03:57:12
>>34
『強膜骨は、マグロの骨だった。
医療活動のボランティアをしていた頃、知り合った男性からのプレゼントだったが、
今となっては彼の素性を知る術も無い。
初めて『それ』を体験したのは、大学病院に勤める知人の患者に対してだった。
『死者の時間』とも呼べる追体験は、医学的にも非常に意義深いものである。
私は、その後も何度か『死者の時間』を追体験し、この時間の法則を見つけ出した。
1.文字通りの『追体験』だが、その中での行動に束縛は無い。
ただし、『死亡時刻』になると確実に死亡し、それと共に『追体験』は終わる。
逆に言えば、『死亡時刻』まで『死なない』という事である。
何度か自殺を試したが、『運命の力』とでも言うべき大きな力が働き、悉く徒労に終わった。
2.『追体験』の中で行った事は、全て現実には無意味で終わる。
つまり、殺人や破壊行為を行っても、『追体験』の中だけの事として現実への影響は無い。
『追体験』によって、私自身が現実に傷付いたり、死ぬ事も無かった。
3.『追体験』の間、『強膜骨』は私自身の肉体と一体化した。
痛みは無く、摘出する事も出来ず、この現象は『追体験』の中では誰にも認識されなかった。
『追体験』の中で、死亡する可能性が1つだけある。
それは、『同じ追体験をしている者』が殺し合った場合だ。
勿論、そんな事例は今まで無く、これからも実証する事は出来ないだろう。
だが、この『強膜骨』が2つで1つだった事実を考えると、不安を消し去る事は出来ない。』
メモ帳には、続いて『塚本』の担当する患者の情報が書かれていた。
36(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/08/31(水) 22:12:58
>>33
(…マグロの骨がなぜ『スタンド能力』を宿しているのか?
良くはわからないが、『能力』が籠められた媒介みたいなものなのかな。
そして……『塚本先生』は、『追体験』中に殺されたのだろうか?
だとするならば、犯人は『追体験』出来る人物、となるわけだけど………。
そもそも『塚本先生』は『追体験』時の死亡の可能性について、
なぜ知っているのだろうか? という疑問はあるけど、それは今は分かりそうにもないか)
続きの患者情報に目を通そう。
37(1): → 2011/09/01(木) 03:15:17
>>36
『『湯浅 由子』、305号室の入院患者。
母親とは6年前に死別し、11歳の現在まで父子家庭で育っている。
父親の名は、『湯浅 慶介』。
重度の皮膚病を患っているが、投薬効果は乏しく、症状は精神的ストレスによるものと推測。
彼女を治療する内、ストレスが母親の死に起因している可能性が高いと確信した。
だが、その原因を知るには、『彼』の助力が必要である。
彼女の『スタンド』に、全てを知る手掛かりがあるはずだ。』
メモ帳の文章は、ここまでだった。
38(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/09/01(木) 22:02:40
>>37
(『湯浅 由子』……か。この患者に『塚本先生』が関わっていた為に、『殺された』……?
安易な発想だけど、他に手がかりもない。この患者を中心に探っていくか)
『メモ帳』以外に気になるファイル・フォルダなどがないだろうか。
なければ『メールソフト』を起動し、送受信したメールの件名をチェックしたい。
一般的な医療業務とは異なる件名や『湯浅由子』や『追体験』という文字が入ったものはないか調べる。
上記の行動で特に何もなければ、室内を探りたい。
事務机の引き出しをとりあえず全て開け、気になるものがないか探す。
後はこの部屋内に他にあるものはなんだろうか?
39(1): → 2011/09/02(金) 02:01:58
>>38
デスクトップ上に、他に目を惹くアイコンは見当たらない。
メールの送受信履歴を調べると、医療器具メーカーや他の病院との連絡が大半だった。
ふと、4日前に受信した1件のメールに目が止まる。
『<報告>
塚原様
調査の結果、湯浅 佳苗は2005年7月4日に死亡しておりました。
死因は、自宅近くの貯水池に落下しての溺死。
死亡推定時刻は、同日の午後9時頃。
当時の発表では、勤務先から帰宅する途中、誤って転落したとされております。
夫の湯浅 慶介は、同日の午後7時に帰宅。
事故のあった時刻は、娘と共に自宅におり、隣人らの目撃証言からアリバイが立証されております。
以上が最終報告となります。』
40(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/09/02(金) 02:24:58
>>39
(『アリバイ』……。『スタンド使い』が関係しているならば、これほど空しく響く言葉も無いな。
今までの『ピース』を単純に並べるならば、『湯浅 佳苗』は、『湯浅 由子』の母親。
そしてこれも安直過ぎる発想だが、それを殺したのは…………)
今のメールの差出人を確認する。メール最後になどに『企業名』や『住所』『電話番号』など書いてあれば、それもチェックしよう。
そして、他に気になるメールは無いだろうか。なければ、先程考えていた室内・事務机の引き出しの調査を行う。
41(1): → 2011/09/02(金) 02:45:06
>>40
メールの差出人は、『榊興信所』となっていた。
『コンコン』
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
突然、ドアの外からノックの音が響く。
42(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/09/02(金) 18:44:15
>>41
(……!!!)
思わず驚いてしまったが、自分が今は『塚本先生』なのだ。
腹を括って応対するしかない。
「………どうぞ」
平静を装い、ノックに応える。
43(1): → 2011/09/02(金) 21:47:43
>>42
『ガチャリ』
ドアノブが回り、ドアが静かに開く。
その裏から、線の細い長身の男性が顔を覗かせた。
「皆さん、帰りました。
どうしますか・・・・・・・僕、食事をしてもいいでしょうか。」
まだ20代と思われる男性は、黒い短髪で面長な顔をしている。
どこか見覚えのある顔だったが、名前までは思い出せない。
男性は、君の方をジッと見つめて、返事を待っている様子だった。
44(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/09/03(土) 00:48:07
>>43
「ああ…そうだね、食べておきなさい。
………『西脇君』」
今までの聞き込みを組み合わせれば導ける、ごく初歩的な推理。
彼は十中八九、『塚本先生』と一緒に夜勤をしていたという『西脇さん』だろう。
そして『こちらから『名前』を呼びかけたという事実』は後々起こってくるであろう、
会話上での違和感を少々かもしれないが和らげてくれるはずだ。
「………入院患者の様子はどうかな?」
あとは出来るだけ『疲れて』いるような『演技』をしておきたい。
そうする事で彼が感じるかもしれない『違和感』に
『先生が疲れているからだ』という理由を添えてやれる。
そして実際、『塚本先生』は例の『湯浅』という少女の事やスタンド絡みの件で
けして元気溌剌といった調子では無かっただろう事は推察出来る。
そういう意味でも『疲れた演技』は非常に有効なはずだ。
45(1): → 2011/09/03(土) 01:09:13
>>44
「・・・・・・・・・はい。」
『西脇』と呼ばれた男性は、それを否定する様子も無く答えた。
「『彼女』は、眠ってました。」
君の問いに、再び短い返事をした『西脇』は、軽く一礼するとドアの裏に引っ込み、
静かにドアを閉める。
46(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/09/03(土) 18:59:04
>>45
「…………ふう」
一息つく。そして彼の言葉を心中で反芻する。
『彼女』…………『湯浅 由子』(と思っていいだろう)は『眠っている』。
『入院患者の様子』をきいたのにピンポイントで彼女の話をするというのは、
『西脇さん』も、『塚本先生』が『湯浅 由子』に細心しているのを知っていたという事だろう。
……『食事』か。おそらく『ナースステーション』あたりで食事出来るようになっているのだろう。
『西脇さん』が食事中という事は、そのほかの場所を探るように回っても
鉢合わせして気まずい思いをするという事はないはずだ。
「となると、今、出た方がいいわけだな」
思えば『塚本先生』は例の情報をパスワード入りのパソコンで管理していた。
先ほどは事務机の引き出しでも調べようかと思っていたが、
他者に見られる可能性のある場所に重要な情報はないと思っていいだろう。
(鍵をかけたところで、たかが事務机の鍵。ちょっと物理的に破壊されればおしまいだ。
PCのパスワード解除も出来なくはないだろうが、もう少しスマートなスキルが要求されるはず)。
というわけでこれ以上は部屋を調べず、ドアを開け、部屋を出よう。
47(1): → 2011/09/04(日) 02:45:38
>>46
部屋を出ると、通路が左右に伸びている。
君が出た部屋のドアの上には、『院長室』と書かれたプレートが突き出ていた。
すでに、『西脇』の姿は見当たらず、通路に人の気配は無い。
君は、此処が病院の2階である事が分かった。
通路の左手には、エレベーターと非常階段があり、1階と3階へ行く事が出来る。
右手には、1階と2階を結ぶエレベーターと階段があり、内科の診察室や手術室、
ナースステーションがある。
48(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/09/05(月) 01:09:58
>>47
(一階は主に外来…って感じだろうな)
自分の記憶と重ね合わせながら、歩いていく。
行くべきところは一つ。『湯浅 由子』の病室、『305室』だ。
通路の左手へ向かい、『三階』へ、エレベーターにて進む。
問題なければ、そのまま『305室』前まで移動する。
49(1): → 2011/09/06(火) 02:03:38
>>48
1階には、受付窓口や簡単なリハビリ施設があり、多くの老人が群れていたのを思い出す。
君は、エレベーターで3階に昇ると、『305号室』へと辿り着いた。
『ドドドドドドドドドドドド』
3階は、真っ直ぐに伸びた通路の左右に病室が並んでおり、ドアの開いた病室に入院患者の
入っている気配は無かった。
ただ一つ、ドアの閉まった部屋が『305号室』━━━━━━━━━━━━
室内から物音は聞こえず、通路には人影も見当たらない。
50(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/09/06(火) 19:26:42
>>49
(俺は、今、『塚本先生』なのだから、仮に誰かと出会っても慌てる必要はない)
と思いつつ、『塚本先生』の一人称や部下・患者に対して
どういう話し方だったか(敬語かどうかなど)を思い返しておく。
『305号室』のドアをノックする。
少ししても返事がなければドアを開けてしまおう。
51(1): → 2011/09/07(水) 01:29:53
>>50
君が知っている『塚本』は、誰に対しても一定の礼節で接する人物だった。
名字に『さん付け』で呼ぶのが普通で、自身の事は『私』と呼んでいた。
『コンコン』
ドアをノックする音が通路に響いたが、室内から応答は無い。
君は、意を決してドアノブを回した。
『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』
室内は、5メートル×4メートル程の広い部屋で、右奥にベッドが1つある。
ベッドの脇には、備え付けの棚があった。
最初に気付いたのは、棚を含む壁や床、天井に無数の『傷』がある点。
それらは、擦った跡というよりも、獣の『爪跡』の様だった。
52(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/09/07(水) 01:54:04
>>51
(さっきは西脇さんに君づけなんかしちゃったな。
変に思われてなければいいけど)
そう思いながら、部屋内に入り、部屋内の状況を確認した。
(………『傷』『傷』『傷』か。
ああ………『西脇さん』が、わざわざ『眠っている』
なんて強調したのかの理由はこれか……?)
【彼女の『スタンド』に全てを知る手がかりがあるはず】
先ほどのPC内には確かそういったことが書かれていた。
つまり、彼女は『スタンド使い』で、おそらくだが、それを上手く
『制御』出来ていないのではないだろうか。
ゆっくりとベッドへ近づいていき、おそらく居るであろう『由子ちゃん』をまず確認したい。
その他気になることがないか、慎重に観察していく。
53(1): → 2011/09/10(土) 03:19:52
>>52
ベッドに近付くと、白いベッドシーツに赤茶色の染みが幾つも確認出来る。
グシャグシャになったシーツからは、細い足が2本突き出していた・・・・・・・・・・・・・・・。
『ドドドドドドドドドド』
足には、無数の傷がある。
皮膚を裂き、肉を抉った生々しい傷以外に、ミミズ腫れも少なくない。
54(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/09/10(土) 21:30:43
>>53
「…………湯浅さん」
彼女に呼びかけてみる。反応がなければ、何回か。
もしかしたら『起こす』のは、大きなトラブルの元なのかもしれないが、
ここは『追体験』。彼女が『骨持ち』でない限り、何があろうが帳消しになるはずだ。
55(1): → 2011/09/11(日) 03:20:32
>>54
君の呼び掛けに、『湯浅 由子』と思われる人物が答える気配は無い。
『ボリッ・・・ゴリ・・・・』
ふと、シーツの下から何かを引っ掻く音が聞こえた。
56(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/09/11(日) 18:18:03
>>55
「………………」
シーツの下という事は、シーツとベッドの僅かな隙間から音がするということだろうか。
音の細かい位置を確かめ、そこが目で確認できないのならば、ゆっくりと布団を剥いで様子を観察したい。
57(1): → 2011/09/12(月) 01:19:46
>>56
『ボリッ、ボリ・・・・』
ゆっくりとシーツを捲ると、その下には1人の少女が横たわっていた。
上下半袖の白い病衣を着ており、露出した肌は包帯やガーゼで覆われている。
その顔も、目鼻口を除く大半が包帯に覆われていた・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
『ガリッ』
少女は、肩や腹を病衣の上から引っ掻いていたが、目は閉じている。
『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』
58(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/09/14(水) 22:58:00
>>57
(……スタンドではなく自分でやっているのか……?)
事態の異様さに息を呑みながらも、もう一度だけ、彼女に呼びかける。
「湯浅…………由子さん」
59(1): → 2011/09/15(木) 01:56:46
>>58
『・・・・・・・・・・・・』
改めて呼ぶと、少女が微かに呟いた様な気がした。
『・・・・・・・ンダ・・・・・・・・・ドウシテ・・・・・・』
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
耳を澄ますと、再び声が聞こえる。
それは、男女の言い争う声の様だった。
『・・・・・・・アナタ・・・・・・・ナノニッ!』
少女の口は、『動いていない』。
君は、声が少女の足元から聞こえて来る事に気付いた・・・・・・・・・・・・・・。
60(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/09/15(木) 07:50:54
>>59
(……!!! 『足元』……か?
これは……この現象は……………!?)
臆している時間はない。彼女の『足元』、何事もなければ、
その付近の『ベッドの下』を確認する。
61(1): → 2011/09/16(金) 03:13:29
>>60
再び少女の足元を見た君の視線は、痛々しい生傷に注がれた。
『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』
ふと、傷口の1つに血が滲んでいる事に気付く。
その傷口だけが財布の口の様に開きかけており、皮下組織が露出していた。
『・・・・・・・・・が全部・・・・・・・・・・・あの子を・・・・・・・・・・・・・・』
再び声が聞こえると、君は『声の聞こえた場所』を見つける。
/´〉,、 | ̄|rヘ
l、 ̄ ̄了〈_ノ<_/ (^ーヵ L__」L/ ∧ /~7 /)
二コ ,| r三'_」 r--、 (/ /二~|/_/∠/
/__」 _,,,ニコ〈 〈〉 / ̄ 」 /^ヽ、 /〉
'´ (__,,,-ー'' ~~ ̄ ャー-、フ /´く//>
`ー-、__,|
それは、『傷の中』で━━━━━━━━━━━━━
目を凝らすと、傷の奥が『別の空間』になっている様に広がっていた。
又、其処に人影も確認出来る。
62(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/09/16(金) 21:25:38
>>61
「つまりは『傷の中の世界』………という事なのか? これは」
目を見開きながらも、ゆっくりと『傷の中』に顔を近づけ観察する。
また、耳をすましてもう少し何を言っているかはっきり聞き取りたい。
63(2): → 2011/09/17(土) 03:27:16
>>62
傷の奥に目を凝らした君は、その中に吸い込まれるかの様に意識を集中した。
『もう終わりなのよッ!』
ヒステリックな女性の声が、今度はハッキリと聞こえる。
『傷の中』には、男女が2人・・・・・・・・・・・・・・どちらもスーツ姿で、その顔に見覚えは無い。
リビングと思われる室内で言い争う2人の様子を、上方から見下ろしている光景だった。
『ドドドドドドドドドドドド』
突然、男性が女性を掴むと、近くにあった大きな水槽に顔を押し込む。
女性は、激しい水音を立てて抵抗していたが、その動きは次第に弱くなって行った。
やがて、女性が完全に動かなくなると、男性は『それ』を抱えて部屋を出て行く。
「・・・・・・・・・・・・・・先生?」
━━━━━━━━━━不意に、近くで女性の声が聞こえた。
64(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/09/20(火) 21:50:55
>>63
「……………ハッ!」
思わず目の前の光景に見入りすぎていた。
色々な『推測』は出来るが今はそれよりも…………。
「………………」
振り返り、近くに居るであろう女性を確認する。
65(1): → 2011/09/21(水) 02:07:46
>>64
ハッとして顔を上げると、いつの間にか少女が目を覚ましていた。
少女は、包帯の巻かれた喉をボリボリと掻きながら、頭だけ起こして君を見つめている。
「こんな夜中に、何やってるの?」
しばしの沈黙の後、少女が再び口を開いた・・・・・・・・・・・・・・・・・。
『ブヂッ』
ふと、包帯の隙間を広げる様に掻き毟っていた少女の指が、喉の肉を掻き削ぐ。
包帯がジワリと赤く染まったが、少女はお構いなしに掻き毟り続けていた。
66(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/09/22(木) 07:41:20
>>65
(……しょ、少女が起きていたのか。いつのまにか)
「君の具合が心配だったんで…………検診ですよ。
………………その喉は、痛くないのですか?」
平静を装い、少女に語りかける。
67(1): → 2011/09/23(金) 01:25:39
>>66
君の言葉に、少女は気付いた様に喉元を掻く手を止める。
少女は、しばらく無言で君を見つめていたが、やがて再び口を開いた。
「おかしくない?
こんな時間に検診なんて。
喉は痛くない。」
『ボリボリィ』
足を掻き毟りる音が、室内に響く・・・・・・・・・・・・・・・・。
68(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/09/23(金) 21:32:25
>>67
「患者を心配する気持ちは、いついかなる瞬間だって産まれる………けしておかしくはないですよ」
そういって彼女の頭を撫でようとする。
これによる『対応』で、彼女と『塚本先生』の『距離感』が測れるだろう。
「最近の調子は、どうですか?」
彼女は『スタンド』を知っているのか?
直接きいてはみたいところだが、極端に怪しまれても困る。
さりげない会話の中で『ヒント』を見出せればそれに越した事はない。
69(1): → 2011/09/24(土) 01:13:48
>>68
少女の頭を撫でようとした君は、その手に小さな傷がある事に気付いた。
手の甲に刻まれたミミズ腫れの様な傷跡には、どこか見覚えのある。
『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』
「調子が良かったら、こんな所にいないでしょ?
そんな事を聞くなんて、おかしくない?」
『ガリッ、ガリッ』
足の皮膚が裂け、血が流れ出ても、少女は表情一つ変えずに足を掻き毟り続けていた。
ふと、首筋に痛みを感じた君は、首に手を当てる・・・・・・・・・・・・・・・・。
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
ドロリとした生温かい感触に手を確認すると、指先に赤い血が付着していた。
少女は、その様子をジッと見つめながら、無造作に二の腕を掻き始める。
70(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/09/24(土) 02:56:55
>>69
(『傷』を……撒き散らしている……って事か……!?)
「たとえ療養中でも調子というのは変動するもの…………けしておかしくはないですよ」
平静を装いつつもどうすべきか必死に考える。
「そして自分を傷つけるのはそのくらいにしておきなさい…・…。
それを見た他人も傷つける事になる………」
ここで『ザ・ジェネラル』を発現しよう(『自分の分身を飛ばす』のは
あくまで能力で、『ザ・ジェネラル』には一般的な『人型ヴィジョン』がついている)。
彼女にそれが『見えるかどうか』が一つの試金石になる。
そして、『ザ・ジェネラル』でかきむしる彼女の腕を押さえたい。
『リスク』のある行為である事は承知の上だが………そこは『運命』を信じよう。
71(1): → 2011/09/26(月) 00:01:17
>>70
『ドドドドドドドドドドド』
君の『スタンド』の姿に、少女の目に驚きの色が映る。
「おかしくない?」
『スタンド』が手を伸ばすと、少女は避ける様に後ろへ退いた。
「それ・・・・・・・・『スタンド』って言うんでしょ?
先生が、教えてくれたわ。
『友人がスタンドという能力を持っている』って。
つまり、先生は持っていない・・・・・・・・・・・・・アンタは、先生じゃないって事じゃない?」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
『ブシッ』
君の首の傷から吹き出した血が、ベッドのシーツに散る。
痛みと共に激しい『痒み』に襲われた君は、無意識に首筋を掻いた。
72(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/09/26(月) 01:12:09
>>71
「…………ッッッ!!」
痛みと痒みに襲われながら、少女と対峙する。
彼女は『賢い』。半端な『誤魔化し』や『嘘』は容易に見抜かれてしまうだろう。
それならば。
「………たしかに、おかしいね」
彼女の言葉に同意する。そして言葉を重ねる。
「たしかに俺は『先生』じゃあない。君が聴いた『先生の友人』という奴だ。
『花レ身 将』。これが俺の本当の名前だ。
そして君に聴きたい事があって『先生』の…………『過去』を『追体験』する形でやってきた。
信じられないかもしれないが、『塚本先生』は、何者かによって今より少しだけ『未来』で『殺された』。
俺は『塚本先生』を殺した犯人を捜し、仇をとりたいんだ。
『塚本先生』は君の『スタンド能力』について調べていた。おそらく『あの晩』も。
率直に言えば俺は、『塚本先生』は君に関係した事で『殺された』と考えている。
だから、君に『協力』して欲しい。もし、君が『自分のスタンド能力』について、
知っている事があれば教えて欲しい。
『塚本先生』は、君のスタンドに『全てを知る手がかり』があると考えていたようだから…………」
彼女と敵対する理由はまるでない。少しでも『信頼』を得るためには、全てを話すのが一番に思えたのでそうした。
『首』に対する『攻撃』は、彼女の精神が落ち着けば止まるはず。それを信じるしかない。
73(1): → 2011/09/27(火) 01:42:20
>>72
「おかしいわね。」
少女が言った。
「『頭がおかしい』わ・・・・・・・・・・信じると思うの?
調べるなら、こんな夜中に調べる?
私は、一日中この部屋にいるのに。
先生が殺されたとしたら、今さっき殺されて、アンタが先生のフリをしてるってトコじゃない?」
君が首筋に続いて、右足の内腿に激しい『痒み』が襲って来た事に気付いた時には、すでにズボンの上から
右腿を強く掻き毟っていた。
首筋の傷から流れ出た血が、胸元を赤く染め始めていたが、傷を掻く手は止まらない。
74(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/09/28(水) 23:24:41
>>73
「………けしておかしくはないよ」
とはいえ、この状況はいかにもヤバイ。
「けれど、今は、俺は、君から、逃げる。
君の能力は、予想以上に強力だ…………。
ここでこのまま行動不能になるわけにはいかないんでね」
そう言って、彼女を見据えたまま後ろへ下がる。
おそらく掻き毟りながらでは上手く歩けないだろうから、
『ザ・ジェネラル』の『分身』を、床に向かって斜めに飛ばし続ける事で『下がる』。
(『後ろへ下がる』という事はつまりは『足』で床を前方斜めに『押す』事によって成される。
つまり『分身』の『突進パワー』を『足のパワー』の代用として使うという事。
『分身』は突破できない『障害物』にぶつかれば消える為、数の制限は特に気にせずに使用出来るだろう)
問題なく下がれれば、ドアを開け病室から出たい。『射程距離』さえとれば、
『掻き毟る』能力は弱まっていくと信じたい。
75(1): → 2011/09/30(金) 03:31:29
>>74
君がドアから病室を出る様子を、少女は警戒した目でジッと見つめていた。
何事も無く病室を後にすると、『痒み』は急速に引いて行く。
それに反比例して、傷口の痛みがジワジワと染みる様に押し寄せて来た。
76(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/10/01(土) 22:24:27
>>75
「……あ、あ、危なかった」
張っていた気が抜け、息をつく。
そして、痛みに顔をしかめる。
「彼女のスタンドは『傷』に関する能力だとは思うんだけど、詳細はよく分からないな。
……しかし、彼女の『心的外傷(トラウマ)』の理由は『推理』出来る」
『傷の世界』が過去の記憶を示すとしたならば、
彼女、『湯浅由子』は母親の『殺害現場』を『目撃している』。
そして今持っている情報で一番その『犯人』の可能性が高いのは…………。
「『写真』でもあれば、確定できるんだけど」
とりあえず彼女のカルテを見れば、『家族』の連絡先や情報は分かるはずだ。
二階へ戻り、『ナースステーション』へと赴こう。
77(1): → 2011/10/02(日) 20:24:52
>>76
ナースステーションに辿り着くと、そこには誰もいない。
ステーションの照明だけが通路を照らしており、コントロールパネルに異常は無い様だった。
ただし、操作方法や役割について、君は何も知らない・・・・・・・・・・・・・・・・。
カルテの類は、見当たらない。
78(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/10/03(月) 21:48:51
>>77
「……カルテはないのか? イメージからするとこういうところにありそうだけど」
『院長室』にカルテらしきものがなかったか思い返す。
家族の情報なら、一階の受付にあるのかもしれない。
念の為、ナースステーションに気になるものがないか見回し、何もなければ、
一階受付に移動していきたい。
79(1): → 2011/10/04(火) 13:46:18
>>78
院長室で、カルテらしきものを見た記憶は無かった。
1階に移動すると、受付は玄関ロビーの前にある。
ロビーには、クッション付きの長椅子が整然と並んでおり、その合間合間に雑誌などの本が
適当に積まれていた。
君が辿り着くと、『西脇』がロビーにポツンと立っている事に気付く。
「先生・・・・・・・」
『西脇』は、そう呟きながら、君の方へと歩み寄って来た。
80(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/10/04(火) 22:14:29
>>79
「……西脇さん、食事はもう済んだんですか?」
何かしら異様な雰囲気を感じたので『西脇さん』の様子を確認する。
81(1): → 2011/10/04(火) 22:52:04
>>80
「はい、食べ終わりました・・・・・・・・・・先生も、どうぞ。」
『西脇』は、片手をポケットに入れ、ポリポリと頭を掻きながら言った。
「何か用事があるなら、僕がやっておきましょうか。
今夜は、多分暇ですから・・・・・・・・・・」
特に気になる様子は無く、その口から微かにカレーの匂いが漂って来る。
82(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/10/06(木) 22:21:36
>>81
「そうさせてもらいましょうか。
用事………ですか。
では、『湯浅 由子さん』についての情報を改めて、まとめておいてもらえますか」
カレーの匂いが気になりつつ、応える。
そもそも『塚本先生』は『夜食』をいつもどこで食うんだろうという疑問はあるが……。
83(1): → 2011/10/07(金) 01:33:43
>>82
夜食について、『塚本』から何か聞いた記憶は無い。
「はぁ・・・・・・・・・情報、ですか・・・・・・・?」
『西脇』は、何か腑に落ちない様子で答えると、続けて言った。
「じゃあ、カルテを貸して頂けますか。」
84(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/10/07(金) 21:47:44
>>83
……ヤバイ展開になってしまった。というかカルテは『塚本先生』が保管していたのか?
「ああ………君の方で持っていってくれて構わないよ」
と、告げて様子を伺う。一番いいのはこれで通じる場所に『カルテ』が保管されている事だが………。
もし駄目でも何らかの情報は得る事が出来るだろう。
(その代わり『塚本さん』の信用は失ってしまうだろうが………やむを得ない)
85(1): → 2011/10/07(金) 22:03:11
>>84
「分かりました。」
『西脇』は、素っ気無く答えると、続けて言った。
「でも・・・・・・・・今更、彼女の情報なんて、何かあったんですか。
カルテと個人データで、十分だと思うんですが・・・・・・・」
86(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/10/07(金) 22:19:10
>>85
「いや、彼女の状態もなかなか良くならないようですし………、
私じゃあない第三者が纏める事で何か新しい発見がないかと思っているわけなんですよ」
じっと『塚本さん』の目を見据え、動揺を気取られないようにする。
「そんなわけで、頼みましたよ」
これ以上話すと不信感が高まりそうなので、話は早々に切り上げ、院長室にでも戻ろう。
院長室にはカルテがないようだし、行き先が被る事もないだろう。
87(1): → 2011/10/07(金) 22:55:14
>>86
「そうですか・・・・・」
『西脇』は、気の進まない様子のまま答えた。
君が院長室へ向かうと、『西脇』も後ろに続く・・・・・・・・・・・・。
1〜2メートルの距離を保ったまま、両者は院長室の前まで辿り着いた。
88(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/10/07(金) 23:49:23
>>87
「……………………ああ、そうだ。少しトイレに行ってきます。
そのうちに始めていて下さい」
これはアレか。カルテは実は院長室にあって俺が見落としているだけなのか?
とりあえず、誤魔化す。
89(1): → 2011/10/09(日) 01:44:48
>>88
「・・・・・・・・・・・・・・はい。」
そう短く答えた『西脇』は、君がトイレに行くのを待つ様に、ジッとこちらを見つめていた。
90(2): 将『ザ・ジェネラル』 2011/10/09(日) 10:32:48
>>89
「………………(どうするべきか)」
とりあえず実際にトイレで用を足してこよう。そうしないと余計に怪しまれる。
場所は案内を見ればすぐにわかるはずだ。
何事もなくトイレで用を足したら、普通に戻って来よう。
『塚本さん』が自発的に『カルテ』の場所に向かっていてくれるとありがたいんだけど。
91: → 2011/10/10(月) 00:49:48
>>90
君は、トイレが少なくとも1階と2階にある事を知っていた。
恐らく、3階にもあるだろう。
2階のトイレは、1階のものよりも手狭だったが、それでも個室2つと小便器が3つある。
小便器の1つには、障害者や高齢者の為の『手摺り』が設置されており、個室は両方に設置されていた。
洗面台は、大きな台に2つの窪みが並んでおり、各々の窪みにセンサー式の水道と液体石鹸のタンクが
1つずつ設置されている。
温風乾燥機は無く、使い捨てペーパータオルのホルダーが壁に掛かっていた。
個室に入ると、洋便器が1つポツリと置かれており、君は素早くズボンを下ろして座り込む。
便座は暖房で適度に温められており、肛門の緊張を自然に和らげてくれた・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
トイレを出ると、通路に『西脇』の姿は無かった。
92(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/10/10(月) 23:39:09
>>90
「よし……リラックスできたな」
そして『西脇さん』の姿もない。上手い具合に『カルテ』のところまで
移動してくれたのだろう。とりあえず『院長室』に入ってみる。
93(1): → 2011/10/11(火) 01:51:06
>>92
院長室の中に、特に変わった様子は無かった。
『西脇』の姿も見当たらず、外からは微かにサイレンの音が聞こえている。
94(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/10/12(水) 20:35:45
>>93
「…………ここじゃあないのか」
そしてサイレンの音。少し不吉な予感がするが、気にしてもしょうがない。
「院長室でもナースステーションでもない。
となると………どこなんだ?」
案内板まで行き、それらしき名前の場所がないか改めて探す。
95(1): → 2011/10/13(木) 02:40:29
>>94
案内板は、1階の玄関ロビーに設置されていた。
1階まで戻った君は、明滅する光で赤く染まったロビーの様子に気付く・・・・・・・・・・・・・・・。
ロビーには、カルテらしきものを抱えた『西脇』が、ポツリと立っていた。
「先生・・・・・・・・」
君に気付いた『西脇』が、呟く様に口を開く。
ふと、玄関のドアが開く気配と共に、外の冷気が静かにロビーの中へと吹き込んで来た。
96(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/10/13(木) 22:25:24
>>95
「……?」
『西脇さん』の声かけも気にはなるが、それより、玄関のドアが開く気配を注意する。
こんな夜更けに誰が来たというのだろう。
97(1): → 2011/10/15(土) 03:35:09
>>96
玄関ドアの方を見ると、2つの人影が立っている。
それが警官である事は、服装から容易に分かった。
「『通報』が、あったそうです。」
『西脇』が口を開く中、2人の警官は機敏な動作で中に入って来ると、君達の前で立ち止まる。
1人は20代と思われる若い男性で、もう1人は30〜40代と思われる中年男性。
中年男性は、懐から警察手帳を取り出すと、それを君達の前に向けながら口を開いた。
「夜分にすみません。
ええと、『塚本先生』は・・・・・・・・・・・・」
中年男性が促す様に言うと、『西脇』は君の方を無言で指差した。
98(1): 将『ザ・ジェネラル』 [レス遅れ申し訳ない] 2011/10/22(土) 22:55:55
>>97
「……私が『塚本』ですが……何の『通報』があったというんです?」
なぜ警察が来たのかはわからないが……これも『塚本先生』の『死因』に関係しているのだろうか?
とりあえず無難に応じる。
99(1): → 2011/10/23(日) 02:00:52
>>98
「此処の『305号室』に、『湯浅 由子』という女性が入院していませんか?」
中年男性が尋ねる。
「はい、います。」
すぐに、『西脇』が答えた。
「通報者は、彼女で・・・・・・・・・・・すみませんが、病室まで案内して頂けますか?」
彼の方をチラリと見た中年男性は、再び質問して来る。
「彼女の病室は、3階です。
どうぞ、こちらへ。」
そう答えた『西脇』は、エレベーターの方へ歩き出す。
若い方の男性が『西脇』の後に付き従うと、中年男性も歩き出しながら、君の方を見て言った。
「先生も一緒に来て下さい。」
100(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/10/29(土) 18:46:13
>>99
「………」
警察に逆らってもろくな事にはならない。
黙ってついていこう。
101(1): → 2011/10/30(日) 01:25:40
>>100
『西脇』を先頭に、君の前後を刑事2人が歩く。
『305号室』に辿り着いたのは、ほんの1〜2分後だった。
『コンコン』
『西脇』がドアをノックする音が通路に響くと、少ししてドアが開く・・・・・・・・・・・・・・。
ドアの前には、セミロングの黒髪の少女が1人立っていた。
上下半袖の白い病衣を着ており、露出した肌は包帯やガーゼで覆われている。
その顔も、目鼻口を除く大半が包帯に覆われていた。
「通報した『湯浅 由子』というのは、貴女ですね?」
若い刑事が尋ねると、少女は無言で頷く。
「こちらの・・・・・・・・・・・『塚本先生』が、君に乱暴しようとしたと?」
少女は、再び無言で頷いた。
『西岡』と2人の刑事は、君を冷たく見つめている。
102(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/10/30(日) 09:58:35
>>101
「…それは、誤解です。確かに先程様子を見に彼女の元へ訪問しましたが……。
話しているうちに私が『私じゃあない別の誰か』だと主張し始めまして……。
入院や諸々の心的ストレスで、少し混乱していたのだと思います」
話に嘘は混じらせない。嘘は更なる欺瞞を産む。極力避けるべきだからだ。
そして心的ストレスについては『西脇さん』も十分承知のはず。自然な主張だろう。
103(1): → 2011/10/31(月) 00:23:26
>>102
「いつも、こんな時間に来るんですか?」
中年の刑事が尋ねると、『西脇』が横から答える。
「いつもは、消灯時間に見回るだけです。」
「いつもの先生なら、勝手に部屋に入ったり、ベッドの横でジッと眺めたりしないわ。」
少女が、さらに付け加えた。
2人の刑事は、互いに何か耳打ちした後、君の方に向き直る。
「・・・・・・・・・・・彼女の言った事は、本当ですか?」
中年の刑事が尋ねて来た。
104(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/10/31(月) 19:23:37
>>103
「全くの本当というわけではありませんが……………。
勝手と言いましたけど、一応ノックはしましたが、返答がなく、声をかけて入りました。
寝ているようだったので起こすのも悪いと思い、少し様子を確認して
問題なさそうだったら戻るつもりでした」
返答する。
105(1): → 2011/11/01(火) 03:11:08
>>104
「そうですか。」
そう言った中年の刑事は、続けて尋ねる。
「今までは、ノックをすれば必ず返事が?
それとも、今までも返事が無ければ、黙って入っていましたか?」
「先生は、黙って入って来たりしなかったわ。」
少女が口を開いた。
106(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/11/01(火) 21:20:58
>>105
「………そうですね確かに。いつもは黙って入ってはいません。
ただ、今日は変な胸騒ぎがしましてね。
ここは病院です。急変で返事が出来ない状態に陥っている可能性もあるわけです。
そして私は医者です。その危惧が僅かでもあるのであれば、入らない方がむしろ怠慢ではないでしょうか。
そして何より、私が『塚本』でなければ誰だというんです?
怪人二十面相じゃああるまいし、見知った『西脇さん』まで完全にごまかせるような変装技術なんて、
確立されてないんじゃあないですか? なんなら私の顔を触っていただいたって構いませんよ」
少女の主張の絶対的な根拠は『俺がスタンドを使える』という一点にある。
しかし、それを持ち出せば『世迷言を口走る少女』として、彼女の信用は失われるだろう。
言っても言わなくても彼女は自分の説を完全には信じてもらえないはず。
とりあえずなんとかこの場は切り抜けたい。
107(1): → 2011/11/01(火) 21:54:09
>>106
「貴方が『塚本先生』だという事は、疑う余地も無いでしょう。」
中年の刑事は、『西脇』の方をチラリと見ながら答えた。
「問題は、彼女の病室に入った事です。
その『胸騒ぎ』について・・・・・・・・・・・・・・詳しく聞かせて貰えますか?
出来れば、御同行して頂きたいのですが。」
108(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/11/03(木) 22:15:02
>>107
「同行? 警察へという事ですか?
……見てのとおり、私は今『夜勤中』です。
そこに居る西脇さんも居るとは言え、『医師』は私一人、
もし私がここを不在にして何かあった時に貴方方が責任をとってくれるというんですか?
話自体はここの別の場所でも構わないでしょう?
それでも出頭してほしいというのならせめて明日まで待ってもらえませんか?
西脇さんも居ますし、彼女のところへは何事もなければ今日はもう私は赴くつもりはありません」
あまり良くない展開になったがいずれにせよ今ここを離れるわけにはいかない。
もし何かあった時の責任を主張して、事なかれ主義(であろう)の警察の気持ちを揺さぶりたい。
109(1): → 2011/11/05(土) 00:35:56
>>108
「入院患者は、彼女だけですし・・・・・・・・」
君の言葉に、『西脇』が口を開く。
「今夜は、私だけでも大丈夫ですよ。」
『西脇』と君とを見比べながら、若い刑事が続けて言った。
「・・・・・・・・・・・彼は、こう言っていますが。
それに、こういう事は早めに済ませてしまった方が、先生の為だと思いますよ?」
110(1): 将『ザ・ジェネラル』 [遅くなって申し訳ない] 2011/11/18(金) 20:28:19
>>109
(参ったな……)
このままクリニックを離れてしまえば、おそらく殺害時間まで戻って来れないだろう。
そして、塚本先生が荼毘に付されてしまえば、『追体験』は最早出来ない。
かといって警官に直接的に逆らう、などという真似は事態を悪化させるだけだ。
「……ふうむ」
考え込むように腕を組む。
その間に、最後の交渉を彼女、『湯浅 由子』と行いたい。
彼女は『スタンド使い』だ。であるならば、スタンド使い同士で行える『スタンド会話』が出来るはず。
<『大きな水槽』『言い争う二人の男女』『スーツ姿』『男が女の顔を水槽に押し込む』
『完全に動かなくなる女性』『彼女を抱えて部屋を出て行く男性』。
『それを見ていた君』。
さて、由子ちゃん、俺には君に対してしてあげられる事がある。
今話した事が君の心に刺さる大きな『楔』となっているのなら、それを取り除く為に、俺は尽力したい。
『保身』や『偽善』なんかじゃあなく、おそらくそれが『塚本先生』の、『死因』に深く関わっていると推察出来るからだ。
……少しでも信じてくれるのなら、警察に一言言ってくれるとありがたいんだけどね>
111(1): → 2011/11/19(土) 01:11:58
>>110
『ドドドドドドドドドドド』
この場で君の言葉に反応したのは、『湯浅 由子』だけだった。
彼女は、次第に顔色を変え、汗を噴き出して震え始める。
「由子ちゃん、どうしたんだい・・・・・・・・?」
その様子に気付いた『西脇』は、そう言いながら彼女の肩にそっと触れた。
直後、彼女の悲鳴が院内に響き渡る。
「うわァァァあああああ━━━━━━━━━━━ッ!!!
キャアアアアアア!!ママぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!」
2人の刑事は、驚いた様子で振り返った。
その場で頭を抱えて屈みこんだ少女の背中を、『西脇』がなだめる様に撫でている。
「先生、発作が・・・・・・・!」
『西脇』は、そう言いながら君の方を見た。
112(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/11/19(土) 01:52:23
>>111
「……やはり、精神が不安定なようですね。
刑事さん、私は彼女を見る『義務』がある。
それに………彼女には『こういう』症状があるんですよ。
職務熱心なのは素晴らしいとは思いますが……いいのですか? 真に受けてしまって。
『精神的に不安定な症状の患者の話を鵜呑みにして医者を事情聴取に連行する』
……あくまでそんな横暴を強行するのなら、私は貴方方の上司ともお話させて頂かなければなりませんよ?」
刑事たちだけに囁くようにそう告げる。
113(1): → 2011/11/20(日) 00:08:56
>>112
刑事達は、一言二言ヒソヒソと交わした後、若い刑事だけが外へ出て行く。
中年の刑事が君に歩み寄り、少女をチラリと見てから小声で言った。
「どうやら、本当に精神的に不安定の様ですね。
夜分遅く、失礼しました・・・・・・・・我々は、帰らせて頂きます。」
ペコリと一礼して出て行く刑事を尻目に、『西脇』が再び声を上げる。
「先生、どうしますか?
とりあえず、病室に運びましょうか。」
少女の方は、依然として屈み込んだまま震えていた。
114(1): 将『ザ・ジェネラル』 [一ヶ月レスせず申し訳ありません これから頑張るので許して下さい] 2011/12/24(土) 02:10:12
>>113
「そうしましょう…」
『病室』に運ぶよう塚本さんに指示する。
塚本さん一人では難しそうなら、手伝う。
(一応は『しのいだ』……けど、強引ではあったな。
これからどうするべきか、迷うところだ)
塚本さんにさっきの依頼(由子の情報を集めてもらう)を再度頼むのも、
こんな事態になった以上気が引ける。
自分から何か調べられればいいのだが……。
115(1): → 2011/12/28(水) 05:07:20
>>114
『西脇』は、少女を軽々と抱きかかえると、そのままエレベーターの方へ向かって行った。
刑事達は、玄関から外へ出て行く。
『ドドドドドドドドドドド』
ふと、2人の刑事達を見送った君は、玄関ロビーに中年男性が1人立っている事に気付く。
見覚えの無い中年男性は、Yシャツの上に薄手のトレンチコートを羽織った長身の男性。
どこか疲れた様な印象を受ける顔立ちで、その外見は30〜40代と思われた。
116(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/12/28(水) 18:26:11
>>115
(今度は……なんだ?)
「こんな時間に、何か御用ですか?
『診察』は終わっていますが……」
十分な距離をとり、多少叫ぶような距離で男に呼びかける。
117(1): → 2011/12/31(土) 03:23:48
>>116
「警察が、来ていたので・・・・・・・・・・・・・・・」
男性は、そう言いながら君の方へ近付いて来た。
「もしかして・・・・・・・・・・・『娘』に何かあったのでは、と思いまして。」
『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』
118(1): 将『ザ・ジェネラル』 2011/12/31(土) 11:02:05
>>117
「『娘』……………ああ、『湯浅さん』ですね?」
今、入院しているのは『湯浅由子ちゃん』しか居ない。
となればこの男性の『出自』は容易に把握できる。
「今夜は、少し『混乱』してしまっているようですね。
ただ、大きな問題があったわけではありませんよ」
そして、男の顔をよくよく観察する。例の『傷の中の世界(>>63)』で見た男の顔ではないだろうか。
119(1): → 2012/01/01(日) 15:36:22
>>118
男性の顔を見ると、どこか見覚えのある気がした。
病室で『湯浅 由子』の傷の中に見えた顔である事は、すぐに思い出せる。
「そうですか・・・・・・・」
男性は、ロビーを見回しながら言った。
「ところで、娘に会いたいのですが。」
120(1): 将『ザ・ジェネラル』 2012/01/02(月) 11:49:24
>>119
「…先ほど言ったとおり今は少し『混乱』していますので。
『医師』として、『面会』はお勧め出来ません」
仮に、この男が『塚本先生』を殺したのならば、『運命』は変えられないはず。
素直に帰るという事はしないだろう。
ところで今は何時だろうか。ロビーならば『時計』があるだろう。
121(1): → 2012/01/05(木) 04:47:14
>>120
ロビーにある円形の壁時計を見ると、時刻は『午後11時35分』だった。
「どうして、警察が?」
男性が食い下がる。
「病人としては、先生に従いますが・・・・・・・・・・・・・・親としては、娘を確認しておきたいですね。
何があったのか、教えて頂けますか。」
122(1): 将『ザ・ジェネラル』 2012/01/10(火) 22:20:09
>>121
「…私が『診断』にいったらいきなり乱暴しようとした、
なんて事を警察に『通報』しましてね。
……ああ、いや、勿論乱暴なんてしていませんよ。
『精神不安定』な状況が続いていたのはご存知でしょう?
それで、でしょうね」
『塚本先生』が亡くなったのは確か午前2時ごろ。
今の時間を鑑みるにまだ早すぎる。『彼』が原因じゃあないのだろうか?
「ところで……彼女の『精神不安定』は、おそらく……『母親』の『死』によるものが
大きいと思うのですが、『母親』、あなたにとっては『奥様』でしょうが、
『事故死』だったんでしたっけ? やはり『由子さん』はショックを受けていた様子でしたか?」
ここで話題を変えてみよう。
123(1): → 2012/01/12(木) 12:14:02
>>122
男性は、様子を確認する様にロビーを見回した。
「ええ、勿論・・・・・・・」
答えながら君に向き直った男性は、更に言葉を続ける。
「では、診療時間に出直して来ます。
娘を・・・・・・・・・・・・・よろしくお願いします、先生。」
そう言うと、男性は玄関の方へ踵を返し、歩き出した・・・・・・・・・・・・・・・・。
124(1): 将『ザ・ジェネラル』 2012/01/14(土) 02:37:21
>>123
(…・・・今逃していいのか? この人を)
もう一度良く考えてみた。
(ああいや、この人は『鍵』だ。『塚本先生』のPCにもあったじゃあないか。
<その原因を知るには、『彼』の助力が必要である>)
「……すみません、湯浅さん」
帰ろうとする男性を呼び止める。
「やはり、由子さんに会っていきませんか?
先程はああ言いましたが、よく考えてみれば、
『混乱』しているからこそ、『父親』に会えば安心するでしょうし。
…お願いします」
125(1): → 2012/01/14(土) 03:16:46
>>124
君の言葉に、男性は立ち止まると、再び踵を返した。
「そうですか・・・・・・・・・では、そうしましょう。
病室は、3階でしたか?」
そう尋ねながら、男性はエレベーターの方へと歩き出す。
エレベーターの方からは、戻って来る『西脇』の姿が確認出来た・・・・・・・・・・・・・。
男性を見た『西脇』は、君と男性とを見比べ、怪訝そうな顔をしている。
126(1): 将『ザ・ジェネラル』 2012/01/16(月) 23:13:52
>>125
「そうですね……」
少し距離をとりながら、ゆっくりついていく。
彼女には申し訳ないが………何かあれば、俺が守ろう。
127(1): → 2012/01/19(木) 03:27:10
>>126
「先生、どちらへ・・・・・・・・」
男性の後を追う様に歩いて行く君に、『西脇』が尋ねた。
「彼女は、落ち着いた様です。
トリクロを与えたので、もう眠っていると思います・・・・・・・・・・・」
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