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エスパー魔美 ◆Akina/PPII ハンター[Lv.173][苗]
08/29(金)14:04
ID:AI4uuZnF(66/77)
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142: エスパー魔美 ◆Akina/PPII ハンター[Lv.173][苗] [sage] 2025/08/29(金) 14:04:23.92 ID:AI4uuZnF 私は妻から財布を受け取って、外へ出る。もう暮れている。霧が薄くかかっている。 三鷹駅ちかくの、すし屋にはいった。酒をくれ。なんという、だらしない言葉だ。酒をくれ。なんという、陳腐な、マンネリズムだ。私は、これまで、この言葉を、いったい何百回、何千回、繰りかえしたことであろう。無智な不潔な言葉である。いまの時勢に、くるしいなんて言って、酒をくらって、あっぱれ深刻ぶって、いい気になっている青年が、もし在ったとしたなら、私は、そいつを、ぶん殴る。躊躇せず、ぶん殴る。けれども、いまの私は、その青年と、どこが違うか。同じじゃないか。としをとっているだけに、尚さら不潔だ。いい気なもんだ。 私は、まじめな顔をして酒を呑む。私はこれまで、何千升、何万升、の酒を呑んだことか。いやだ、いやだ、と思いつつ呑んでいる。私は酒がきらいなのだ。いちどだって、うまい、と思って呑んだことが無い。にがいものだ。呑みたくないのだ。よしたいのだ。私は飲酒というものを、罪悪であると思っている。悪徳にきまっている。けれども、酒は私を助けた。私は、それを忘れていない。私は悪徳のかたまりであるから、つまり、毒を以て毒を制すというかたちになるのかも知れない。酒は、私の発狂を制止してくれた。私の自殺を回避させてくれた。私は酒を呑んで、少し自分の思いを、ごまかしてからでなければ、友人とでも、ろくに話のできないほど、それほど卑屈な、弱者なのだ。 少し酔って来た。すし屋の女中さんは、ことし二十七歳である。いちど結婚して破れて、ここで働いているという。 「だんな、」と私を呼んで、テエブルに近寄って来た。まじめな顔をしている。「へんな事を言うようですけれど、」と言いかけて帳場のほうを、ひょいと振りむいて覗き、それから声を低めて、「あのう、だんなのお知合いの人で、私みたいのを、もらって下さるようなかた無いでしょうか。」 私は女中さんの顔を見直した。女中さんは、にこりともせず、やはり、まじめな顔をしている。もとからちゃんとしたまじめな女中さんだったし、まさか、私をからかっているのでもなかろう。 「さあ、」私も、まじめに考えないわけにいかなくなった。「無いこともないだろうけど、僕なんかにそんなことたのんだって、仕様がないですよ。」 「ええ、でも、心易いお客さん皆に、たのんで置こうと思って。」 「へんだね。」私は少し笑ってしまった。 女中さんも、片頬を微笑でゆがめて、 「だんだん、としとるばかりですし、ね。私は初めてじゃないのですから、少しおじいさんでも、かまわないのです。そんないいところなぞ望んでいませんから。」 「でも、僕は心当りないですよ。」 「ええ、そんなに急ぐのでないから、心掛けて置いて下さいまし。あのう、私、名刺があるんですけれど、」袂から、そそくさと小さい名刺を出した。「裏に、ここの住所も書いて置きましたから、もし、適当のかたが見つかったら、ごめんどうでも、ハガキか何かで、ちょっと教えて下さいまし。ほんとうに、ごめいわくさまです。子供が幾人あっても、私のほうは、かまいませんから。ほんとうに。」 私は黙って名刺を受け取り、袂にいれた。 「探してみますけれど、約束はできませんよ。お勘定をねがいます。」 そのすし屋を出て、家へ帰る途々、頗るへんな気持ちであった。現代の風潮の一端を見た、と思った。しらじらしいほど、まじめな世紀である。押すことも引くこともできない。家へ帰り、私は再び唖である。黙って妻に、いくぶん軽くなった財布を手渡し、何か言おうとしても、言葉が出ない。お茶漬をたべて、夕刊を読んだ。汽車が走る。イマハ山中、イマハ浜、イマハ鉄橋ワタルゾト思ウマモナク、――その童女の歌が、あわれに聞える。 「おい、炭は大丈夫かね。無くなるという話だが。」 「大丈夫でしょう。新聞が騒ぐだけですよ。そのときは、そのときで、どうにかなりますよ。」 「そうかね。ふとんをしいてくれ。今晩は、仕事は休みだ。」 http://egg.5ch.net/test/read.cgi/android/1751445162/142
私は妻から財布を受け取って外へ出るもう暮れている霧が薄くかかっている 三鷹駅ちかくのすし屋にはいった酒をくれなんというだらしない言葉だ酒をくれなんという陳腐なマンネリズムだ私はこれまでこの言葉をいったい何百回何千回繰りかえしたことであろう無智な不潔な言葉であるいまの時勢にくるしいなんて言って酒をくらってあっぱれ深刻ぶっていい気になっている青年がもし在ったとしたなら私はそいつをぶん殴るせずぶん殴るけれどもいまの私はその青年とどこが違うか同じじゃないかとしをとっているだけに尚さら不潔だいい気なもんだ 私はまじめな顔をして酒を呑む私はこれまで何千升何万升の酒を呑んだことかいやだいやだと思いつつ呑んでいる私は酒がきらいなのだいちどだってうまいと思って呑んだことが無いにがいものだ呑みたくないのだよしたいのだ私は飲酒というものを罪悪であると思っている悪徳にきまっているけれども酒は私を助けた私はそれを忘れていない私は悪徳のかたまりであるからつまり毒を以て毒を制すというかたちになるのかも知れない酒は私の発狂を制止してくれた私の自殺を回避させてくれた私は酒を呑んで少し自分の思いをごまかしてからでなければ友人とでもろくに話のできないほどそれほど卑屈な弱者なのだ 少し酔って来たすし屋の女中さんはことし二十七歳であるいちど結婚して破れてここで働いているという だんなと私を呼んでテエブルに近寄って来たまじめな顔をしているへんな事を言うようですけれどと言いかけて帳場のほうをひょいと振りむいて覗きそれから声を低めてあのうだんなのお知合いの人で私みたいのをもらって下さるようなかた無いでしょうか 私は女中さんの顔を見直した女中さんはにこりともせずやはりまじめな顔をしているもとからちゃんとしたまじめな女中さんだったしまさか私をからかっているのでもなかろう さあ私もまじめに考えないわけにいかなくなった無いこともないだろうけど僕なんかにそんなことたのんだって仕様がないですよ ええでも心易いお客さん皆にたのんで置こうと思って へんだね私は少し笑ってしまった 女中さんも片頬を微笑でゆがめて だんだんとしとるばかりですしね私は初めてじゃないのですから少しおじいさんでもかまわないのですそんないいところなぞ望んでいませんから でも僕は心当りないですよ ええそんなに急ぐのでないから心掛けて置いて下さいましあのう私名刺があるんですけれどからそそくさと小さい名刺を出した裏にここの住所も書いて置きましたからもし適当のかたが見つかったらごめんどうでもハガキか何かでちょっと教えて下さいましほんとうにごめいわくさまです子供が幾人あっても私のほうはかまいませんからほんとうに 私は黙って名刺を受け取りにいれた 探してみますけれど約束はできませんよお勘定をねがいます そのすし屋を出て家へ帰る途頗るへんな気持ちであった現代の風潮の一端を見たと思ったしらじらしいほどまじめな世紀である押すことも引くこともできない家へ帰り私は再び唖である黙って妻にいくぶん軽くなった財布を手渡し何か言おうとしても言葉が出ないお茶漬をたべて夕刊を読んだ汽車が走るイマハ山中イマハ浜イマハ鉄橋ワタルゾト思ウマモナクその童女の歌があわれに聞える おい炭は大丈夫かね無くなるという話だが 大丈夫でしょう新聞が騒ぐだけですよそのときはそのときでどうにかなりますよ そうかねふとんをしいてくれ今晩は仕事は休みだ
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