[過去ログ] ハルヒ「キョンが女の子だったら良かったのに……」キョン「……は?」 (73レス)
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(1): 2017/02/26(日)22:43 ID:Erqo33dK0(1/15) AAS
タイトル通り、性転換モノです。
苦手な方は、ご注意下さい。

以下、本編です。

SSWiki : 外部リンク:ss.vip2ch.com
2
(1): 2017/02/26(日)22:45 ID:fK4U890c0(1) AAS
キョン子のAA必要?
3: 2017/02/26(日)22:46 ID:Erqo33dK0(2/15) AAS
二月も下旬となり、ようやく氷漬けになった北半球が解凍される兆しが訪れた……かのように見せかけて、朝晩はまだまだ冷える、そんな曖昧な季節。

今日も今日とて、部活動という名目で何をするでもなく部室に居座り、俺はひたすらに怠惰を貪っていた。

いや、何をするでもなく、というのは言い過ぎか。

朝比奈さんが淹れてくれた玉露を啜っていると、古泉が例の如くニヤニヤと気持ちの悪い笑みをこちらに向け、何やらボードゲームの駒のような物を並べ始めたので、俺は嫌々ながらその対局に付き合わされていたのだ。

古泉「んふっ。やはりあなたはお強いですね。さすが、と言っておきましょうか」
省10
4: 2017/02/26(日)22:48 ID:Erqo33dK0(3/15) AAS
>>2
AAはどうぞご自由に
5: 2017/02/26(日)22:50 ID:Erqo33dK0(4/15) AAS
ハルヒ「ねぇ、それってもしかして……『連れション』ってヤツ?」

古泉と連れションなどまっぴら御免だった俺が、どうやってそれをを阻止しようかと考えあぐねていると、ハルヒは唐突に目を輝かせてそう聞いてきた。

もしかしても何も、これが連れション以外に何に見えるんだ?
おっと、男子生徒2人がトイレの個室でくんずほぐれずなんて不埒な妄想はやめて貰おうか。
何せお前は願望を実現出来る能力があるんだからな。

そんな願望が実現されようものなら、俺はその瞬間に生きることを諦めなければならない。

ハルヒ「別にあんた達で変な妄想なんてしてないわよ。あたしはただ、連れションに興味があるだけ」
省6
6: 2017/02/26(日)22:53 ID:Erqo33dK0(5/15) AAS
ハルヒ「はぁ……あんたって、本当に馬鹿ね」

我ながら冴えた提案だと思っていたら、ハルヒは嘆息し、にべもなく却下した。

キョン「何が不満なんだよ。朝比奈さんや長門とは連れション出来ないってのか?」

頭ごなしに否定されたことに加え、今もこの身を苛んでいる尿意で余裕がない俺は、苛立ちを隠さずに理由を問う。

すると、ハルヒは腕を組み、顎を突き上げると、勝ち誇ったような笑みともに高々と言い放った。
省11
7: 2017/02/26(日)22:55 ID:Erqo33dK0(6/15) AAS
冗談のつもりだった。
しかし……

ハルヒ「キョンが女の子だったら良かったのに……」

俺の言葉に同調したようにハルヒは独りごち、その瞬間、古泉は珍しく焦ったように俺の二の腕を掴み、何やらアイコンタクトを送ってきた。

キョン「……は?」

しかしながら何を伝えたいかわからない上に、二の腕を掴むその力が思いのほか強く、その痛みと気色悪さから古泉を睨むと、奴は掴む力を緩め、場を取りなすような口調でハルヒに声をかけた。
省7
8: 2017/02/26(日)22:56 ID:Erqo33dK0(7/15) AAS
ここまでくれば如何に鈍い俺だって、団員達が何を恐れているのかを理解できた。

先述した通り、涼宮ハルヒは願望を実現出来る能力がある。

つまり、古泉達はその能力で此度の願望が実現されるのではないかと恐れているのだ。

なるほど。
それが実現したら確かに恐ろしいことだ。
だが、俺から言わせてみれば、他の団員達は少々過保護過ぎると思うし、大変大袈裟である。

考えてもみろ。
省10
9: 2017/02/26(日)22:57 ID:MxdAwx+u0(1) AAS
会話が汚い
10: 2017/02/26(日)22:58 ID:Erqo33dK0(8/15) AAS
古泉「上手くいきましたね」

キョン「ふん。毎度毎度、大袈裟なんだよ、お前は」

難なく窮地を脱した俺達は、現在、絶賛連れション中である。
もちろん、古泉と連れションなど、不本意なのは言うまでもないことではあるが。

古泉「いいじゃないですか。もし本当に僕達が女性になっていたら、こうして並び立つことは出来なくなっていたのですよ?共に連れションをすることが出来る喜びを噛み締めましょう」

キョン「お前と並び立つなんて怖気が走るし、連れションをすることに対しては嫌悪感しか感じないな。これならいっそ……」
省11
11: 2017/02/26(日)23:39 ID:Erqo33dK0(9/15) AAS
てす
12: 2017/02/26(日)23:42 ID:Erqo33dK0(10/15) AAS
その後、部室に戻った俺と不審者は、ハルヒの羨ましそうな視線を浴びながら、帰り支度をして帰路についた。

男の俺からするとよくわからんが、ハルヒはどうも連れションに夢を見過ぎているようだ。

しかしまあ、気持ちはわからんでもない。
今日みたいな得体の知れない不審者との連れションは御免だが、谷口や国木田なんかと連れ立って用を済ませるのは、楽しいとまでは行かずとも、和むことは確かだ。

そして、そのような感覚を我が部の女性陣と共有出来ないのは、少しばかり寂しいとも思う。

だからこそ、俺はあのような妄言を口走ってしまったわけで……というか、今思えば、別に俺が女にならずとも、ハルヒ1人が男になればいいのではないか?
省5
13: 2017/02/26(日)23:46 ID:Erqo33dK0(11/15) AAS
柔らかで、ひんやりとしたその手の感触に戸惑い、まるで意図がわからず呆気に取られていると……

長門「……はむっ」

いきなり手首に噛み付かれた。

キョン「お、おい!いきなりどうしたんだよ、長門?」

甘噛みにも似た、むず痒い疼痛でようやく我に返った俺が慌てて、問いただすと、彼女はいつも通り感情を感じさせない声音で、短くこう説明した。
省10
14: 2017/02/26(日)23:50 ID:Erqo33dK0(12/15) AAS
翌朝。

キョンの妹「朝だよ〜!おーきーてー!!」

けたたましい目覚まし時計のベル……
よりも早く、妹が起こしにきた。

モゾモゾと布団から這い出て時計を確認すると、まだ起床時間の30分前。

あと5分どころか、あと30分寝かせて欲しい。
省18
15: 2017/02/26(日)23:50 ID:kypuaPgjo(1) AAS
キョン子なのかハルヒコなのか...
16: 2017/02/26(日)23:53 ID:Erqo33dK0(13/15) AAS
キョンの妹「お姉ちゃん何してんのー?」

キョン「お、お姉ちゃん……だと?」

どうやら一夜にして背中の中ほどまで伸びてしまったマイヘヤーを、さわさわニギニギしていると、ポカンと口を開いた妹が不思議な物を見るかのような目をして、俺のことを『お姉ちゃん』と、そう呼んだ。

俺は今、妹から『お姉ちゃん』と、呼ばれたのだ。

Why? 何故?
省11
17: 2017/02/26(日)23:56 ID:Erqo33dK0(14/15) AAS
いやはや、参った。

あの後、妹の手前、取り乱すわけにはいかず、素知らぬ顔で朝食を摂り、歯磨き洗顔をして、邪魔な髪を悪戦苦闘しつつ後頭部で一本に束ねた俺は、ようやく完全に状況を把握した。

俺は、本当に女になってしまったみたいだ。

昨日のハルヒの言動からして、原因は明らかである。

どうやらあいつは、あの願望を本当に叶えてしまったらしい。
省11
18: 2017/02/26(日)23:59 ID:Erqo33dK0(15/15) AAS
試行錯誤を繰り返し、なんとか制服を着用した俺はトボトボと通学路を歩く。

キョン「……寒い」

奥歯を噛み締めつつ、白い息と共に思わず漏れる恨み言。
幸いなことに、いつも着用しているお気に入りの上着とマフラーは女の俺も愛用しているらしく、上半身は暖かい。

しかし、下半身は……

キョン「……おかしいだろ。世の中の女子どもはどうしてこれで耐えられるんだ……?」
省12
19: 2017/02/27(月)00:01 ID:HHOZvDS20(1/40) AAS
谷口「よぉ!キョン子!!」

キョン「どぁっ!?」

ガタガタ震えながら歩いていると、突然背中を叩かれ、その衝撃に吹っ飛びそうになってる俺の背に、馬鹿みたいな大声が響いた。

馬鹿谷口……
お前、いつからそんなに当たりが強くなったんだ?

いや、俺が軽くなっただけか。
省17
20: 2017/02/27(月)00:03 ID:HHOZvDS20(2/40) AAS
ID変わりましたが>>1です。
続きです。

谷口「あん?どうしたキョン子。教室に行かねぇのか?」

キョン子「ちょっと用があってな……もし出欠に間に合わないようだったら、岡部には体調が悪いから保健室に行ったとでも言っといてくれ」

谷口「体調が悪いだぁ?この糞寒いのに生足出してっからだろ。んなことよりお前、なんか口調がおかし……」

キョン子「じゃあな!任せたぞ、谷口!!」
省21
21: 2017/02/27(月)00:05 ID:HHOZvDS20(3/40) AAS
キョン子「……ちくしょう」

足を内股にして、もじもじとしていても埒があかない。

このままでは漏らすだけだ。

女になって数時間。
いつまでこの状態が続き、そして男に戻れるのかどうかすら定かではない現状、『お漏らし女』の烙印を押されることだけはなんとしても避けたい。

どの道、このまま『漏らす』という選択肢はないのだ。
省8
22: 2017/02/27(月)00:08 ID:HHOZvDS20(4/40) AAS
……不味い。
これはすこぶる不味い状況だ。

????「……」

目の前には1人の青年。

背丈は男の時の俺よりは小柄だが、女になってしまった今の俺よりは頭一つ分高い。

さらりとしたストレートヘヤーは如何にも触り心地が良さそうで、もみあげがふわっと長めにカットされている分、輪郭のシャープさを引き立たせている。
省25
23: 2017/02/27(月)00:10 ID:MrRK+uNno(1/2) AAS
AA省
24: 2017/02/27(月)00:13 ID:HHOZvDS20(5/40) AAS
キョン子「そ、そうか……なら良かった」

彼の淡々としたその物言いに、少々鼻白んだ俺だったが、男は狼であることを思い出し、緩みかけた気を引き締め直した。

ともあれ、幸いなことに、どうやらこの青年はまるっきり話が通じないという訳ではなさそうだ。

それなら対話あるのみだ。

キョン子「あ、あのさ……1つだけ、聞かせて貰ってもいいか?」
省9
25: 2017/02/27(月)00:15 ID:MrRK+uNno(2/2) AAS
AA省
26: 2017/02/27(月)00:16 ID:HHOZvDS20(6/40) AAS
キョン子「ま、待っていた?俺を?」

????「……そう」

こえーよっ!

それはつまり、待ち伏せってことだろ?
すると、こいつは俺のストーカーか何かか?
勘弁してくれ。

だが、血の気が引いたおかげで、少しばかり冷静になれた。
省15
27: 2017/02/27(月)00:18 ID:HHOZvDS20(7/40) AAS
キョン子「ま、待っていた?俺を?」

????「……そう」

こえーよっ!

それはつまり、待ち伏せってことだろ?
すると、こいつは俺のストーカーか何かか?
勘弁してくれ。

だが、血の気が引いたおかげで、少しばかり冷静になれた。
省14
28: 2017/02/27(月)00:22 ID:HHOZvDS20(8/40) AAS
連投してしまい、すみません。
続きです……

変質者かに思われた青年は、なんと長門だった。

言われて見れば……なるほど。
サラリとした触り心地の良さそうなストレートヘヤーや、一見すると地味ではあるが端正な顔立ちなどは、確かに見知った彼女を連想させるものであり、そして何よりその無表情さこそ、彼が『彼女』である証拠と言えた。

というか、どうして今まで気づかなかったんだ?

己の道化っぷりに、無性に腹が立ってきた。
省25
29: 2017/02/27(月)00:27 ID:HHOZvDS20(9/40) AAS
いやはや、スッキリした。

俺の放尿シーンなど、どこにも需要があるとは思えないので、詳しいことは割愛させて頂くが、特筆すべき点があるとすれば、そうだな……

勢いが凄い。

いや、本当に。

我が身のことながら、びびった。
省9
30: 2017/02/27(月)00:30 ID:HHOZvDS20(10/40) AAS
いや、出し終えた排泄物に関しては、ただ流すだけなので何ら問題はないのだが、排泄し終えた局部をどうするかが、問題だった。

まさか、このまま知らぬ顔で下着を穿き直すわけにもいくまい。

今現在、ただでさえ防御力皆無なスカートを、あろうことか生足で穿いているのだ。
きちんと処置しなければ、周囲にアンモニア臭が漂うことは間違いなし。

くそっ……参ったな。
男の身体であればピッピッと水気を飛ばして、それで終わりなのだが、女となってしまった今、そうすることは物理的に不可解だ。

さて、どうしたものか。
省13
31: 2017/02/27(月)00:35 ID:HHOZvDS20(11/40) AAS
キョン子「待たせたな」

長門「……間に合って、良かった」

マジで漏らす5秒前だったからな。
その後の後始末を含めて、長門が居てくれて本当に助かった。

さて、そろそろ本題に入ろう。

排泄し終え、少しばかり余裕が出た俺は、忘れないうちに手を洗い、長門へと向き合った。
省5
32: 2017/02/27(月)00:38 ID:HHOZvDS20(12/40) AAS
長門「……間違い、ない」

俺の質問に長門は小さく頷き、肯定した。

キョン子「つまり、今のお前のその姿も、俺と同じ現象なんだな?」

長門「……そう」

被害を共有出来る人物がいるのは、心強い。
何せ、妹も谷口も平然と女の俺を受け入れてたからな。
省22
33: 2017/02/27(月)00:47 ID:HHOZvDS20(13/40) AAS
長門曰く、観察対象の周囲にどのような変化が起きようとも静観するべき、というのが、情報統合思念体の主流派とやらの基本方針らしい。

考えてみればもっともな意見だ。
『観察対象』とはその名の通り、『観察すべき対象』である。

対象を観察することが本分なのだから、今回のような変化こそ、目を凝らして観察すべき事柄であることは明白だ。

だが、それが総意というわけではない。
中にはどこぞの通り魔委員長のように、強硬派も存在する。

積極的に介入し、より大きな変化を引き起こすべき、などと主張する危ない奴らだ。
省10
34: 2017/02/27(月)00:53 ID:HHOZvDS20(14/40) AAS
キョン子「何か、特別な理由でもあるのか?やっぱり、男になるのは嫌とか……」

長門「……私自身の性別について、特に思うことはない。重要なのは、貴女がどう思うか」

キョン子「俺が……?」

長門「……そう。貴女の意思を、尊重したい」

つまり、俺が現状をどう思うか、それ次第で長門は力になってくれるってことか。
省21
35: 2017/02/27(月)00:56 ID:HHOZvDS20(15/40) AAS
長門に根拠不明な太鼓判を押された俺は現在、自分の教室の前に佇んでいた。

あの後補足された説明によると、タイムリミットは日付けが変わるまで。

なんでも、日付けが変わると俺にかけられた魔法が解け、男だった時の記憶を忘れてしまうらしい。

因果律がどうたら、難しいことを言われたが、俺なりに解釈すると、どんなに小さな矛盾でも世界は許してくれない、ということだ。

そう言われるとなんとなく、そういうものかと納得せざるを得ないだろう?
省9
36: 2017/02/27(月)00:59 ID:HHOZvDS20(16/40) AAS
女子1「あ!キョン子ちゃんおはよ〜!」

女子2「体調悪いって聞いたけど、大丈夫?」

女子3「あんまり無理しないでね?」

朝のSHRを既に終えた様子の教室に一歩踏み入れた俺は、思わぬ歓待を受け、たじろいだ。

これは一体どういうことだ。
どうして俺は、これまで会話を交わした覚えのない、名前すら定かではない女子達に囲まれ、ちやほやされているのだ?
省32
37: 2017/02/27(月)01:02 ID:HHOZvDS20(17/40) AAS
どえらいDQNがそこに居た。

初対面の相手をすぐさまDQN認定するのは我ながらどうかと思うが、致し方あるまい。
緩めたネクタイ、上から2つほど開け放たれたワイシャツ、そして何より印象的なのはその髪型だ。

カチューシャで額を晒し出すなど、テレビの中のヤンキー以外存在しないだろうと思っていたが、考えを改める必要があるようだ。

その形の良いおでこから視線を下げると、肉食獣のごとくギラギラと光る双眼がこちらを見据えている。
青白くも見える白目が如何にもデンジャラスで、すぐに目を逸らした。

3秒視線が合えば、間違いなく因縁をつけられること間違いなしな相手だと、直感的に理解した。
省21
38: 2017/02/27(月)01:03 ID:NNh+TOH+o(1) AAS
AA省
39: 2017/02/27(月)01:05 ID:HHOZvDS20(18/40) AAS
キョン子「な、何か気に障るようなことを言いましたかね……?」

DQN「チッ」

冷や汗をダラダラ垂らし、なるべく相手を刺激しないように気を使ってみたのだが、どうやらそんな態度が気に入らないようで、苛立たしげな舌打ちが返ってきた。

どうすりゃ良いってんだよ。

DQN「なんだよそのよそよそしい態度は。人が心配してやってるってのに、おちょくりやがって」
省16
40: 2017/02/27(月)01:09 ID:HHOZvDS20(19/40) AAS
こいつがSOS団の団長……だと?

なんだそれは。
俺の知らぬ間に代替わりしたってのか?

いや、それよりも、ハルヒはどうした。
あいつはどうなってしまったんだ?

キョン子「え、SOS団の団長は、涼宮ハルヒの筈だ。あいつはどうしたんだ?」

DQN「涼宮、『ハルヒ』だと?てめぇ、また人のことおちょくるつもりか?」
省13
41: 2017/02/27(月)01:13 ID:HHOZvDS20(20/40) AAS
涼宮ハルヒが男になった。

それは衝撃的な事実ではあったが、今朝方、同じく男になっていた長門の姿を目撃していたこともあり、辛うじて取り乱すことはなかった。

ハルヒが消失したあの日、騒ぐだけ騒いで精神異常者扱いをされた俺は、完全に孤立した。
あんな思いは二度とごめんだ。

そして長門は言っていた。
この異常事態を認識しているのは、俺と長門だけだと。

ならば、ハルと名乗った彼に何を聞いたところで得られるものはないだろう。
省21
42: 2017/02/27(月)01:16 ID:HHOZvDS20(21/40) AAS
さて。
そのような一悶着を朝っぱらから巻き起こし、今日1日を無事に過ごせるかどうか不安で仕方なかった俺だったが、意外なことにそんな不安は杞憂に終わった。

朝の一件以来、後ろの席の危険人物は大人しかったのだ。

それはもう、不気味なほどに。

あまりの静けさを不審に思い、恐る恐る振り返り、覗き見ると、彼はスヤスヤ眠っていた。

起きてる時は困った奴だが、寝ている時だけはこうしてあどけない寝顔を見せるところは、男になろうが変わっていないらしい。
省21
43: 2017/02/27(月)01:19 ID:HHOZvDS20(22/40) AAS
そんなこんなで午前中の授業をなんとか乗り切り、昼休みとなった。

授業の合間にクラスの女子から聞いた情報によると、どうやら俺は『涼宮ハル』という災害に対し、防波堤のような役割を担っているらしい。

なんでも、見栄えだけなら目の保養だが奇行癖のあるハルを、大人しくさせることが出来る俺は大変重宝されている、とのことだ。

今朝俺が教室に踏み入れた際の歓待ぷりは、この役割によるところが大きいのだろう。

まったく。
損な役回りだぜ。
省16
44: 2017/02/27(月)01:22 ID:HHOZvDS20(23/40) AAS
涼宮ハルに引きずられ、連れてこられた場所は、SOS団の部室でもある、文芸部室だった。

ハル「入れ」

突き飛ばされるようにして中に入ると、そこは俺の知る部室となんら変わった様子はない。
様変わりしていないことに、正直ホッとした。

しかし残念なことに、この場に長門の姿はなく、どうやら俺は、1人でこの状況に対処しなければならないようだ。

おずおずと自分の定位置に座り、涼宮ハルの出方を伺う。
省20
45: 2017/02/27(月)01:25 ID:HHOZvDS20(24/40) AAS
ガツガツと弁当を食っていた俺が、ふと顔を上げるとハルの姿がない。

どこに行っちまったのかとキョロキョロしていると、背後から声が掛けられた。

ハル「お前、その髪どうしたんだ?ぐちゃぐちゃじゃねぇか」

悪かったな。
余計なお世話だ。

キョン子「今朝は時間がなくてな。上手く結えなかったんだよ」
省22
46: 2017/02/27(月)01:28 ID:HHOZvDS20(25/40) AAS
その後、あらかた弁当を食べ終えると、ハルは満足げな表情を浮かべて部室を後にした。

これから購買にでも行って、自分の昼食を買うつもりなのだろう。

パンが残っているか心配だ。

そう考えると居ても立っても居られなくて、弁当の残りを素早くかっ込み、彼の後を追おうとした『私』は……

ふと我に返った。
省11
47: 2017/02/27(月)01:32 ID:HHOZvDS20(26/40) AAS
キョン子「はぁ……」

空になった弁当を片手に、トボトボと教室に戻る。

結局、ハルの後を追うことはしなかった。
彼とこれ以上関わると、『俺』が『私』になってしまいそうで、怖かったからだ。

改めて現在の自分自身の状態を分析してみる。

今朝方女となってしまった俺は、長門の魔法により、男だった時の記憶を保持していた。
そして、その魔法の効果が切れるのは、日付けが変わる時。
省19
48: 2017/02/27(月)01:37 ID:HHOZvDS20(27/40) AAS
縋り付いてしまったとは言え、ありのままを話したところで理解は得られず、余計に心配されてしまうことは目に見えているので、当たり障りのないように言葉を選ぶことにした。

キョン子「もし仮に、重大な二択のどちらかを選ばないといけない状況に置かれたとして、鶴屋さんならどう選びますか?」

鶴屋さん「ふむふむ。二択かぁ……それならもちろん、より良い方っさ!」

単純明快なその回答は、実に彼女らしい。
しかし、今現在俺を悩ます状況は、そこまで単純なものではなかった。

キョン子「それなら、どちらがより良いか、自分自身にもわからない場合はどうしますか?」
省15
49: 2017/02/27(月)01:44 ID:HHOZvDS20(28/40) AAS
結局上手いこと鶴屋さんに丸め込まれてしまった俺は、午後の授業も手につかず、悩みを抱えたまま放課後を迎えた。

そそくさと支度をして、重い足取りで部室へ向かう。

ちなみにハルは、終業のベルと同時に教室を飛び出して行った。
何が彼をそこまで掻き立てるのかはわからない。
だが、こちらとしても今日に限っては、気合いを入れなくてはならないだろう。

どちらを選ぶにしても、今日の部活動での俺の立ち居振る舞いにかかっているのだ。

その結果、上手くハルを誘導することが出来れば、男に戻ることが出来るだろうが……
省23
50: 2017/02/27(月)01:48 ID:HHOZvDS20(29/40) AAS
ハル「おーい、みく。お茶、おかわり!」

みく「はい!わかりました〜」

朝比奈さんは、男となった今、『みく』と名乗っているらしい。
男の名前としてどうかとは思うが、可愛いのでとやかく言うまい。

そう。
朝比奈さんは、男になっても可愛かった。

今の私と大差ない小さな背丈、愛嬌のある表情、そして見るからに柔らかそうなふわふわの髪は、ショートボブにカットされていて、思わず抱きしめたくなってしまう。
省21
51: 2017/02/27(月)01:53 ID:HHOZvDS20(30/40) AAS
女狐を連想させる切れ長の瞳、口元に張り付く営業スマイル、時間をかけてセットしたと思われるセミロングの髪を耳にかけ、形の良いお耳を晒せばあら不思議……誰もが彼女を振り返ること間違いなし。

古泉は、そんな完璧な美少女の姿へと変貌を遂げていた。

もっとも、すっかり団員の性転換に慣れてしまった俺が、今更動じることはない。

それにしても……

古泉「おや?どうかしましたか?私の胸をじっと見つめて……んふっ、おかしな気分になってしまいますね」
省19
52: 2017/02/27(月)01:58 ID:HHOZvDS20(31/40) AAS
何をするでもなく、ただただ緩慢に時間が流れていく。

しかし退屈かと言えば、そうでもなく、私は案外、この時間を好ましく思っていたようだ。

今日も今日とて、古泉とボードゲームを繰り広げながら、なんとなく、それを自覚した。

それは、自分がしようとしていたことを……
自分がしなければならないことを……
忘れかけている何よりの証拠であり、そもそもそれが何だったのかすら、今となっては定かではない。

いや、もはやどうでもいい。
省20
53: 2017/02/27(月)02:02 ID:HHOZvDS20(32/40) AAS
みく「つ、連れション、ですか?ぼ、僕はちょっと……」

長門「……特に尿意は感じていない」

突然のハルの提案に、恥ずかしそうにもじもじする朝比奈さんと、取りつく島もない長門。

長門はともかく、もしかしたら朝比奈さんは自分のブツに自信がないのだろうか?
そうならば、実に可愛い。うん、可愛い。
お姉さんが、自信をつけてあげたい。

おっと。
省10
54: 2017/02/27(月)02:06 ID:HHOZvDS20(33/40) AAS
そんな騒動のどさくさに紛れて、私は古泉を残し、そそくさと部室を出た。

なにせ、ハルがへそを曲げて一番困ることになるのは彼女なのだ。
せいぜい、閉鎖空間が生み出されることがないように善処してくれ。

キョン子「それにしても寒いな……」

だいぶ日が長くなってきたとは言え、今にも沈みそうなほど太陽が傾いたことにより、廊下はかなり冷え込んでいた。

その上、今日の私は生足なのだ。
どうしてタイツを履いて来なかったのか、後悔してもしきれない。
省23
55: 2017/02/27(月)02:10 ID:HHOZvDS20(34/40) AAS
くそっ。
どこのバカがトイレットペーパーを無駄遣いしやがったんだ?

そんな風に憤ってみたが、実はそのバカは自分自身であり、今朝慣れない排泄の際に、これでもかと紙を消費したことが原因だった。
もっとも、極度の混乱状態の私がそのことに気づいたのは、ずっと後になってからである。

とにかく、絶望の淵に沈んでいても状況の好転は望めまいと考えた私は、下着を下ろしたまま隣の個室へ赴き、紙を拝借することを決めた。

女子としてあるまじき行為ではあるが、この際仕方ない。

幸いなことにこのトイレを利用するのは我々SOS団くらいなので、人が入ってくることはまずない筈。
省25
56: 2017/02/27(月)02:14 ID:HHOZvDS20(35/40) AAS
個室の頭上から古泉が投げ入れたトイレットペーパーを受け取った私は、それでお尻を拭き、個室から出た。

キョン子「ハルをほっといて良かったのか?」

手を洗う際にそう訪ねると、古泉は苦笑して……

古泉「もちろん、良くありませんよ。ですが、問題の根本をどうにかする方が先決かと思いまして」

何やら意味深なことを口にしやがる。
相変わらず、遠回しな言い方をする奴だ。
省22
57: 2017/02/27(月)02:28 ID:HHOZvDS20(36/40) AAS
キョン子「お前が願いはわかった。だが、どうにも腑に落ちない点がある」

古泉「なんでしょう?」

口元の笑みを絶やすことなく、余裕たっぷりの古泉は、何を聞かれても答えられると言わんばかりな自信に満ち溢れていた。
そんな彼女の微笑を見ていると、ムカムカして仕方ないのだが、それはさておき、聞きたいことを聞き出すことに専念しよう。

キョン子「お前は問題の根本は涼宮ハルの性別にあると言ったな」

古泉「はい。確かに言いました」
省4
58: 2017/02/27(月)02:39 ID:HHOZvDS20(37/40) AAS
古泉「女性が皆、連れションをしない、というのはあなたの偏見ですよ。涼宮さんが連れション出来なかったのは、周囲の方達に適正がなかったのでしょう」

なるほど。
長門や朝比奈さんの性格を鑑みるに、連れションの適正がなかった為、ハルヒの提案に乗らなかったと考えるのが自然か。
その言い分には一理ある。

だが、それでは……

キョン子「なら、結局どちらの性別でもあいつは連れション出来ないってことじゃないか」

そうなってしまう。
省12
59: 2017/02/27(月)02:48 ID:HHOZvDS20(38/40) AAS
渋々納得した俺は、部室に戻る道中、古泉と具体的な策を練っていた。

キョン子「それで?どうやってハルに願いを叶えさせるつもりだ?」

古泉「それはあなたの仕事です。私が口を挟むことではありません」

なんだそれ。
結局俺に丸投げかよ。

いや、先に丸投げしようとしたのは、こっちか……
省17
60: 2017/02/27(月)02:52 ID:HHOZvDS20(39/40) AAS
結局策らしいものを何一つ練られなかった俺が、覚悟を決めて部室を開くと、朝比奈さんと長門はいそいそと帰り支度を始めた。

俺が入ってきた際に、ほっとした表情を浮かべた朝比奈さんの様子を見るに、不在の間、部内はさぞかしピリピリとしていたのだろう。

その元凶の人物はと言えば……
不機嫌さを隠そうともせずに、のそのそと、気怠げに帰り支度を始めていた。

そんなハルにそっと歩みより、訪ねる。

キョン子「ハル……お前、そんなに連れションがしたかったのか?」
省20
61: 2017/02/27(月)02:58 ID:HHOZvDS20(40/40) AAS
そうして俺は男の姿へと戻ることが出来た。

朝起きると……

キョンの妹「キョンくん、朝だよ〜!おーきーてー!!」

と、愛しい妹が目覚ましダイビングをかましてきた。

この可愛い妹に、もう『お姉ちゃん』と呼ばれることがないと思うと悲しい。
省21
62: 2017/02/27(月)03:07 ID:oLAA44Dd0(1) AAS

63: 2017/02/27(月)07:28 ID:Hknp7o7rO携(1) AAS
ハルヒまで性転換するならタイトルにそう書いとけボケが
64: 2017/02/27(月)08:06 ID:wXebb5+No(1) AAS
乙乙
良かった
65: 2017/02/27(月)18:07 ID:wizTZ3bto(1) AAS
原作の再現というか、ラノベ風の書き方が上手いな
66: 2017/02/27(月)18:27 ID:IF3LbzTEo(1) AAS
久々のハルヒSSなんだけど古泉のガチホモレズ変態化は忌まわしい風習だと思う
67: 2017/02/27(月)18:31 ID:XRQq4i3DO携(1) AAS
まぁ、でも性転換いつきちゃんが
ガチレズなのは定番というか
古泉自体が変態よりはかなりの頻度で見るぞ
68: 2017/02/27(月)22:08 ID:Z3/mWhhi0(1) AAS
キョン子がらしく無く察しが悪すぎなのが理由があってよかった
69: 2017/02/28(火)15:18 ID:6xMJq5giO携(1) AAS
ハルヒコじゃなかった、訴訟
70: [sageteyon] 2017/02/28(火)16:58 ID:1wmzksvDO携(1) AAS
ハルキな事もあるしハルヒは転換してないパターンもあるし
そこら辺はキョン子程定まったイメージが無い
71: 2017/02/28(火)20:47 ID:Rm7nU2rs0(1) AAS
長門はともかく、もしかしたら朝比奈さんは自分のブツに自信がないのだろうか?
↑ロリ巨乳の性転換verはショタ巨根に一票
72: 2017/03/01(水)12:35 ID:2nmuwBTlo(1) AAS
ユニーク
73: 2017/03/16(木)09:33 ID:L7/K+j2Fo(1) AAS
乙カレー
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