ヲタ君の家庭教師「襖」⑴ (20レス)
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1: 2016/03/07(月)00:24 ID:Cj6mNBzg0(1/14) AAS
 これは、学生時代、俺がキモヲタあつかいされてた頃に出会った、家庭教師の先生との話だ。

ヲタ君っていうのは、俺が女子共から呼ばれてた当時のあだ名。

とりあえず反響があれば続き書こうと思う。
ちょっとラノベっぽくしたけど、そこはご愛嬌って事で。

ある日、俺の家に家庭教師が来る事になった。
母子家庭で、しかも息子を一人置いて遠方に単身赴任中、ろくに俺の面倒が見れていない事を危惧しての母親の行動らしい。

母方の亡き祖父が、父親に捨てられた俺と母の為に残してくれた古い日本家屋。
省41
2: 2016/03/07(月)05:41 ID:Cj6mNBzg0(2/14) AAS
俺は振り払うように頭を二三度振り、階段を足早に掛け降りた。

忍び足で玄関の扉に近づくと 、そっとのぞき穴から外の様子を伺う。

玄関の扉の前で、呼び鈴に指を掛けたまま立ち尽くす女性の姿が見て取れる。
腰まであるきめ細やかな長い黒髪に、切れ長で物憂げな大きな瞳、真っ白な雪のような肌……と、キモさ全開な俺だが、とにかく今、家の玄関の前にスッゴい美人が呼び鈴を鳴らしているって事を伝えたい 。

俺はどぎまぎしながらも、扉の前で手もみしつつ、

「落ち着け、落ち着け……」
省25
3: 2016/03/07(月)05:42 ID:Cj6mNBzg0(3/14) AAS
やがて階段を登りきり自分の部屋の前までやってきた。

先生は階段を登りきった所でしきりにキョロキョロと辺りを見渡している。
そんなにこの家が珍しいのだろうか ?

一部改装はされているものの、明治の頃に建てられた歴史ある家らしいのだが、俺からしてみればただの古い家、だだっ広く埃まみれの古屋敷だ。

胸のうちで悪態をつきつつ、部屋の入り口である襖に手を掛ける 。

この襖がなかなか融通のきかないやつで、普通に引いても開かないという曲者。
おそらくこの屋敷で、ダントツの立て付けの悪さ。
省27
4: 2016/03/07(月)05:44 ID:Cj6mNBzg0(4/14) AAS
足先から手先までが一気に氷付き、胸を突き破りそうなほど心臓が、ドクンドクンと暴れだす。

焦点が合わない、いや、合わせたくない。 だが、意に反するように、俺の両目はその異質な物体に吸い寄せられていく。 そしてそれが何なのか、脳が理解するのに、そう時間はかからなかった。

先生の肩越し、正確に言うと部屋の入り口、中途半端に開いた襖と柱の間、

暗闇の中、襖の隙間からこちらを覗く、能面のような、

女の生首……。
省36
5: 2016/03/07(月)05:45 ID:Cj6mNBzg0(5/14) AAS
俺はさっと反射的に身を引くと、襖から手を離し、その場で踵を返して元の場所へと戻った。

そして自分に言い聞かせる。

見るな、見なければ消える。
家庭教師なんていう妙なシチュエー ションのせいで頭がテンパってるだけだ。

俺が必死に頭の中で何かしら言い訳を考えていると、それまで黙ったままこちらを注視していた先生が、重苦しい空気を振り払うように、突然口を開いた。

「なぜ……なぜ襖を閉めないんだ?」
省21
6: 2016/03/07(月)05:46 ID:Cj6mNBzg0(6/14) AAS
「あの、ど、どうしたんですか急に ?」

椅子を襖に寄せ、先生は俺の問いには答えず、椅子の上に登り立ち上がろう としてこちらを向き口を開いた。

「覗くなよ? 今日穿いてないんだ 」

一瞬、俺の頭は真っ白になりかけた 。
そして瞬時に顔面を茹で蛸のように真っ赤に染め上げ、

「えっ……ええっ!?」
省34
7: 2016/03/07(月)05:47 ID:Cj6mNBzg0(7/14) AAS
「ふふ、」

背筋が逆立ち、すっかり萎縮してしまった俺を見ながら、先生が口元に手を当て、微かに笑う。

冷笑というか、何というか乾いた笑みだった。

だが、さすがの俺も今日会ったばかりの人間に笑われ馬鹿にされるのは納得がいかない、思わず聞き返した。
その笑みの正体について。

「な、何がおかしいんですかいったい」
省47
8: 2016/03/07(月)05:48 ID:Cj6mNBzg0(8/14) AAS
長くなったけど、とりえず今日はこれにて。
最後まで読んでくれてありがとう。
9: 2016/03/07(月)12:57 ID:00ZbSOKk0(1) AAS
なかなか面白い。
書き切って欲しいね。
10: 2016/03/07(月)20:15 ID:Cj6mNBzg0(9/14) AAS
おお、まさか声が上がるとは思っても見なかった。一人でもいるのなら次も書かせてもらいます。
11: ヲタ君の家庭教師「憑猫(ヒョウビョウ)」① 2016/03/07(月)20:19 ID:Cj6mNBzg0(10/14) AAS
 高校時代、俺はとある家庭教師の先生と出会った。
見た目は清楚なお嬢様系美人の女子大生だが、その本性はまったくと言っていいほどの真逆だ。

猫かぶりという言葉があるが、先生は猫の皮を何枚被っているのか分からない程に酷い。

とにかく、それほどに変わった人だと断言できる。
と、まあここまで扱き下ろしておいてなんだが、美人は正義、だという言葉を付け加えておく。

先生が家庭教師を引き受けてくれてから約二週間が立った。
早いもので先生がこの家を訪ねて来るのも四回目となる。
省26
12: ヲタ君の家庭教師「憑猫(ヒョウビョウ)」② 2016/03/07(月)20:21 ID:Cj6mNBzg0(11/14) AAS
まあその事は置いといてだ、俺にはどうしても気になる事が一つあった。
それはなぜ俺があんなものを見てしまったのかだ。

あんなものとは所謂、幽霊といった類のもの。 それについて自分なりに考えられる事は二つ、

一、俺の霊力が増した。

二、先生程の霊感の持ち主が近くにいたから、それに俺が感化された。

それに関して先生に疑問をぶつけてみたところ、
省35
13: ヲタ君の家庭教師「憑猫(ヒョウビョウ)」② 2016/03/07(月)23:37 ID:Cj6mNBzg0(12/14) AAS
「し、失礼します」

先生と会うのはこれが四回目だが、外でこうして会うのは初めてだ。
会話にも随分と慣れたつもりだったが、いつもと勝手が違うせいか俺は僅かばかり緊張していた。
心なしか先生もいつもと違ってみえる。

「おっ、今気が付いたけど、お前髪切ったんだな」

「えっ? あ、ええ、まあ……」

と、はにかみながら答えて照れる俺。
省45
14: ヲタ君の家庭教師「憑猫(ヒョウビョウ)」④ 2016/03/07(月)23:39 ID:Cj6mNBzg0(13/14) AAS
まあ何であれ、先生みたいな人とこうして外を歩けるだけでも、昔の俺からしてみれば想像もつかない事だった、そう思うと思わず自然と顔がにやけてしまうのも仕方がない事。

「さっきから何なんだお前、気持ち悪い顔しやがって……ほら、着いたぞ」

俺はにやけた顔のまま、先生が立ち止まり視線を向けた先に目をやった。

先生の切れ長の目が見つめる先には、雑居ビル?
いや待て、入り口の看板にはどこかで見たような英語表記が……H O T E L。

えっ……?
省38
15: ヲタ君の家庭教師「憑猫(ヒョウビョウ)」⑤ 2016/03/07(月)23:41 ID:Cj6mNBzg0(14/14) AAS
「ええ、覚えてます……あの後ちょっと家の事について調べてみたけど何も分かりませんでした、それが?」

勿論調べてなどいない、調べるつもりもないが、

「いや、あの家はいいんだ、いずれ調べれば分かる事だしな。 一筋縄ではいかないだろうし」

と先生。

おいおい調べる気なのか……
省36
16: 2016/03/09(水)10:57 ID:TQD9NBGE0(1) AAS
契約書にパンチ穴あけて保存してた後輩に2時間ガチ説教した結果wwwww
外部リンク:bit.ly
17: ヲタ君の家庭教師「憑猫(ヒョウビョウ)」⑥ 2016/03/09(水)14:15 ID:q2QLSbVU0(1/3) AAS
踊場に出ると、目の前に壁があり、左右に長い廊下が伸びている。
奥の方は真っ暗だ。

ふと腕時計を見るともう午後6時を回っていた。
もう夜の闇はそこまで来ている。

先生は迷わず右に曲がると、慣れた足取りでそのまま奥へと進む。

「ここにはよく来るんですか?」

何となく気になったので聴いてみた。
省43
18: ヲタ君の家庭教師「憑猫(ヒョウビョウ)」⑥ 2016/03/09(水)14:20 ID:q2QLSbVU0(2/3) AAS
「ここに座れ、ほら」

先生はそう言いながら、握っていた俺の手に、ひんやりとした鉄の板のようなものを掴ませた。
空いた手でその物体を確認する。 どうやらパイプ椅子のようだ。

俺がそのパイプ椅子を広げ座ろうとすると、直ぐ隣で先生が何やらゴソゴソとしだした。

何か液体のようなものを器に注いでいるようだ。
とりあえず椅子に腰掛けると、俺は先生にさっきの事を聴く事にした。
ついでに今何をしているのかも、
省33
19: ヲタ君の家庭教師「憑猫(ヒョウビョウ)」⑧ 2016/03/09(水)14:23 ID:q2QLSbVU0(3/3) AAS
先生の態度に俺が戸惑っていると、そんな俺の様子を察したかのように、先生は独り言のようにポツリ、と話し始める。

「女子高生がこの廃ホテルに侵入したのには訳があったんだ」

女子高生、確かこの部屋に来る途中に先生が話してくれたやつだ。

さっきは途中までだったが、どうやらやっと続きが聞けるらしい。
まあ話の出だしからして、おそらくその女子高生がここで自殺したというような内容だろうか。

「その女子高生は普段学校にも行かず、その当時付き合っていた男の家で暮らしていたらしい。 まあ素行の悪い家出娘だな。 そんなある日、その付き合っていた男と女子高生の間に子供ができてしまった」
省36
20: 2016/03/17(木)12:28 ID:sp41e8r.0(1) AAS
んで?
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