【テンプレ】東方クロススレ 8【必読!!】 (373レス)
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303(1): 空の境界×東方◆8iqfbNauU2 2012/05/18(金)23:50 ID:cB9SbR92O携(1) AAS
朝に弱い訳ではない。
だが、人間は誰しも目が覚めたばかりだとまた眠りたい衝動に駆られる生き物のはずだ。
少なくとも、黒桐幹也はそういう考えを持ちあわせていた。
だから、「明日は四時に来るように」なんて言われた時は耳を疑った。
ただでさえ仕事の少ない会社(いや、会社といっていいか定かではない)なのに、朝早く出向けという。
理由を尋ねてもはぐらかされるばかりで真面目には答えてくれなかった。
だというのに、幹也は朝早くからきっちりと会社とは名ばかりの静寂なる廃墟へ足を運んでいた。
省8
304: ◆8iqfbNauU2 2012/05/19(土)00:09 ID:ad5PzTQYO携(1/4) AAS
結果を言えば今までで最高の珈琲が淹れれたといえなくもない。
幹也自身、妙な達成感に思わず拳を握りしめてしまう程にだ。ここまで自分が簡単な人間だとは想像していなかった。
とにかく珈琲をカップへ手早く移し、橙子の下へと運ぶ。
「随分時間とったのね」
彼女の言葉も最もだが、今は珈琲が先決である。
無言のままカップを差し出すと同時、軋む音と共に扉が開かれた。
「おはよう、し……き」
省11
305: ◆8iqfbNauU2 2012/05/19(土)22:58 ID:ad5PzTQYO携(2/4) AAS
さて、怒濤というか一瞬という表現が正しい朝は瞬きの如く過ぎ、気付けば四人は黒塗りのバンに乗り高速を走っていた。
所長の愛車であるいつものマイナー1000は、今回は狭すぎたようである。
バンの後部座席には僕と式が、助手席には鮮花が座っているのだが、得体の知れないものが載せられた荷台部分と前の鮮花の妙なプレッシャーのせいで、早くも僕はダウンしてしまいそうだった。
「所長、そういえば何処へ行くか全く聞いていないんですが」
何とかこの雰囲気に負けないように、ハンドルを握る所長に質問を投げた。
すると、ニヤリと橙子はバックミラー越しに獰猛な笑みを浮かべる。
「そういえば言ってなかったな。黒桐、お前幽霊は信じるか。あるいは妖怪でもいい」
省11
306: ◆8iqfbNauU2 2012/05/19(土)23:20 ID:ad5PzTQYO携(3/4) AAS
「だいたい本当に昔妖怪が居たってのか」
ようやく口を開いた式の第一声はそれだった。
相変わらず眠たそうな目をしているが、声は鋭利な刃のようだ。
対して橙子は大真面目に頷く。
「太古から日本には妖怪は存在していた。絵巻だって残っているだろう。鮮明に描かれた前時代の産物は事実として、私たちに妖怪が存在したことを示している。それだけじゃない、人間が妖怪を退治したなんて逸話は幾らでもある。それに、外国には妖精だっているんだ。日本に似たようなのが居たってなんら不思議でもない」
何だか言ってる事が滅茶苦茶に聞こえなくもないが、今まで自分が見てきたものを考えると妖怪がいたところで当然なのかもしれない。
式と鮮花は、確か妖精に直接遭遇しているはずだ。
省11
307: ◆8iqfbNauU2 2012/05/19(土)23:37 ID:ad5PzTQYO携(4/4) AAS
「じゃあどうしてわざわざ群馬なんかに出向こうっていうんです」
「目撃談がまだあるからだ。羽が生えてた奴だけじゃない。角が生えた奴や、幽霊のような霊魂まで目撃されているらしい。同じ山林でな」
しかしそれだけでわざわざ式や鮮花を連れて群馬まで行くのだろうか。
そんな黒桐の思考を看破したかのように、橙子は理由を語った。
「あまりに短期の目撃談に、ある寺の坊主がその山林に招かれたらしいんだがな、見たそうだ」
「見た、って。妖怪をですか」
いや、と首を振った彼女の瞳は、本当に愉しくて仕方がないといった風に笑っていた。
省10
308: ◆8iqfbNauU2 2012/05/20(日)00:06 ID:b/AqZPSEO携(1/3) AAS
群馬県までは約二時間半掛かって到着した。
目的の山は高速を降りて約三十分の所にあり、計三時間の長旅となった次第である。
バンを山林の麓に止めて車を降りる最中、式と橙子が目の色を変えて山を見つめるのを黒桐は何故だか不安な気持ちになった。
どう考えてもこれはアタリではないのだろうか。
魔眼を持ち合わせていない鮮花にも、二人が何かを見つけたのが解ったようで、同じように山林の奥を見つめていた。
「……これは、とんでもないな。結界というにはあまりにも大きい」
感動を圧し殺したような橙子の台詞にやはりか、と頭を抱えたくなる。
省15
309: ◆8iqfbNauU2 2012/05/20(日)00:29 ID:b/AqZPSEO携(2/3) AAS
「式!」
咎めるような鮮花の声に、式は悠然と振り返る。
「どうした」
「どうしたも恋したもないわよ。いきなり結界斬って妖怪でも出てきたらどうするつもり!」
鮮花の言葉に僕はハッとした。
もし目撃談の妖怪らしきものがこの結界の向こうにいるのなら、その結界を無闇に壊せば得体の知れない化け物が溢れ出す危険性がある。
だが、橙子はそれに、あくまで前を見つめたまま「大丈夫だ」と言った。
省23
310: ◆8iqfbNauU2 2012/05/20(日)00:31 ID:b/AqZPSEO携(3/3) AAS
とりあえず一区切りでありんす
拙い文章で大変お見苦しいかとは思いますが、当方初心者の為ご了承下さい
312: ◆8iqfbNauU2 2012/06/19(火)22:38 ID:3n6gYZFAO携(1/2) AAS
随分間を空けて申し訳ありませんでした
続きです
――ここは、何処だ。
ただひたすらに広がる宇宙のような、果てのない場所で。虚無感にも似た身体の脱力感には何故だかデジャブを感じた。
そう、いつだか昏睡状態にいた時に自分が見ていたあの――
それだけ脳髄の隅で考えた刹那、白刃の一閃がその纏わりつく無限の空間を引き裂いていた。
眩い光に目を細めると、先程までの浮遊していたような感覚は消え、自らの足で地の上へと立っているのがわかる。無性に腹のたつアレは消えたようだ。
省8
313: ◆8iqfbNauU2 2012/06/19(火)23:00 ID:3n6gYZFAO携(2/2) AAS
「いらっしゃい」
恐らく自分に掛けられたであろう声に、ここが何かしらの店であった事実を確認する。
後ろで扉が軋みを上げて閉まった。
ぐるりと店内を見渡すと、棚の中に所狭しと詰められたガラクタのようなものと、大きな壺、傘立てに纏めて束ねられた刀が目に入る。驚くことにそれだけだった。何の店かわかりゃしない。
束ねられている刀が果たして本物なのかは見てみない事にはなんとも言えないが、確かめれば済む話だ。
カウンターの手前にあるそれらに近づくにつれ、番頭のようにその場に据え付けられた店員がこちらを見つめているのがわかった。
「何かオレの顔についてるか?」
省17
314: ◆8iqfbNauU2 2012/06/21(木)17:47 ID:fcG2Q3kkO携(1/3) AAS
気持ちの悪いまとわりつくような空間に呑み込まれ、身体が浮いているのがよくわかる。
だが、そんな事実は今の機嫌の悪さを前には怒りを助長する要因にしか成りえない。
右手には、先程拝借したまま返しそびれた刀が握られている。白塗りの鞘の、使われた形跡のない新品同然のものだ。
式は苛立ちに任せて帯のナイフではなく、刀によって空間を切り裂いた。
再び視界が光に覆われていく――
「これはまた…………」
感嘆したような声に我に返る。
省11
315: ◆8iqfbNauU2 2012/06/21(木)18:03 ID:fcG2Q3kkO携(2/3) AAS
自然に自分でもその視線の先を追ってしまう。
そして、過去に見た廃ビルに浮かぶ幽霊の光景と重なった。
「あなたたちは食べてもいい人類?」
少女が、浮かんでいた。
「さて、食べてもいい人類とやらが存在するのかは知らないが、それを決めるのは結局自分自身だろう」
「…………………………どっち?」
こんな状況だというのに気にした様子もなく燈子は浮遊する少女と相対した。
省17
316: ◆8iqfbNauU2 2012/06/21(木)18:20 ID:fcG2Q3kkO携(3/3) AAS
「驚いた。予想はしていたが、やはり妖怪だったのか」
燈子のみは相変わらず立っているだけのようだ。
そう思ったのもつかの間、宙に浮く少女は何かを放った。
緑色の綺麗なそれは、真っ直ぐに鮮花へと飛来するが、難なく回避することに成功する。
緑色のそれは地面に当たると弾けて消えた。地面には、見間違うことなく穴が空いている。
それを見て鮮花が僅かに動揺した。
「外れたー。……よいしょ」
省12
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