【お題で嫁を】お題で簡単にSSを作ってみようか【自慢するスレ】 (292レス)
【お題で嫁を】お題で簡単にSSを作ってみようか【自慢するスレ】 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/computer/41116/1227626625/
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37: 名前が無い程度の能力 [sage] >>36 題:籤 シリアス限定 キャラ:指定なし http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/computer/41116/1227626625/37
41: 37 [sage] 正直、自分でもかなりの無茶振りだと思っていたので、 これだけすばらしい作品をお書きになるとは、感服いたしました。 紫の立場と、それに対する魔理沙の思いを籤でここまで奇麗に表せるとは…… さて、私も遅筆ながら何か掌編を書こうと思うので、お題を頂けるでしょうか? できれば、ギャグだけはご勘弁願いたいのですが……。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/computer/41116/1227626625/41
43: 37 [sage] れんあ……い? 全く書いたことのない分野ですが、頑張ってみます。 遅筆故、だいぶお待ちを。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/computer/41116/1227626625/43
44: 37 [sage] 甘酸っぱいと言えるかどうかわからない代物ですが、出来たので投下します。 『妖精逢人而変妖怪 ―妖精 人に逢ひて妖怪に変ず―』 もう随分と経ってしまったわねぇ、と幽香は独り呟いた。 正面にあるのは一面の菊。林の一角が全て菊に覆われ、今は盛りと咲き誇っていた。 そう、この場所で彼に会った。向こうは妖怪を狩る人として、こちらは一介の妖精として。確か彼が、他の妖怪に襲われていたのだったと思う。幽香に日常茶飯事であった。 最初に彼を見て思ったのは、こいつは美味しいかな、だったはずだ。 それが、どうしてか気まぐれで助けてしまったのが始まりだったと思う。どういう心境の変化だったかなんて覚えていない。ただ辺りにいた歯牙にも掛からぬ妖怪共を一蹴して――こちらはまだ妖精だったけれど、並の妖怪くらいなら難なく潰せた――怪我だらけになった彼を助け起こしてやって、わざわざ手当までしてやったのだったと思う。今ならまずありえないのだろうな、と幽香は思う。 とにかく、一度関わってしまったら途中で投げ出せなかったから、彼が動けるようになるまで丁寧に面倒を見てやった。 そうして、気付いた時には自分の中に彼が座っていた。 それから幽香の生活は変わった。それまで平気で裸のまま雑魚寝するような生活だったのに、きちんと洞窟の中で服を着て寝るようになったし、食べ物も肉を生のまま齧っていたのからきちんと調理するようになった。 彼の居る洞窟へ行く前には水浴びして体を清め、一張羅を着て行った。近くにいた獣を狩って持って行って、また体にいい草をたくさん持って行って、いつもできるだけ良いものを食べてもらおうと頑張った。妖怪が人間の匂いを嗅ぎつけて襲ってきたときには、これまでないほど真剣に戦って追い払った。 そうやって頑張っているのを見るといつも、幽香に彼は少し困った顔で笑いかけるのだった。 「いつも、ありがとうな」と。 その笑顔が幽香には恥ずかしくて、嬉しくて、たとえどんなに疲れていてもどんな怪我を負っていても、まだ頑張ろうという気になれた。彼の為なら、なんでもしてやろうと思えた。 毎日自分の寝床に帰っても、考えるのは彼の事ばかり。彼の少し困った笑顔が風呂の間も寝る時も頭を離れない。そしてそれはやがて、自分と彼とが一緒にいる光景へと変貌する。そうすると決まって幽香は顔を真っ赤に染めて水風呂を浴びた。でもいつかは、想像しているように彼に求められるのではないか、とそんな思いに心を焦がされながら、毎日暮らしていた。 今考えれば、恥ずかしくて仕様もない話。紫なんかには絶対できない話だ。 彼はほんの10日くらいで動けるようになっていた。元々そこまでの酷い怪我でもなかったのだろうし、幽香が毎日のようにその辺りで一番効く薬草を持って行ったこともきっと効を奏したのだろう。 そうして、幽香が最も恐れていたことを彼は口にした。もう帰ろうか、と。 最初は、帰れば、とそっけなく返事をした。自分は妖精で、彼は人間で。その差は埋めがたいことをわかっていたから。でも、やっぱり無理だった。彼が着々と自らの身支度をしていく姿が、幽香には耐えられなかった。でも今更帰らないで、ということもできず幽香はただその新緑の如き髪を振ってみていることしかできない。 そしてとうとう彼の身支度が終わって、すっかり旅姿になった。洞窟の中は本当に彼がさっきまで使っていたとは思えないようなほど綺麗になっていて、彼が戻ってこないことを明らかにしていた。 「それではな」 そう言って彼が背を向ける。でも、幽香は遂にはち切れた。 「行かないで!」 この先の事は良く覚えていない。ただわんわん泣いて、それから必死に彼を引きとめたことだけ記憶している。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/computer/41116/1227626625/44
45: 37 [sage] 「それで、彼は残ってくれた。私の為に、残ってくれたのよね」 くす、と幽香は少し頬を染めて笑う。もう古びた記憶だが、いつ思い返しても未だに恥ずかしい。 「どうせ残ってくれるなら、早く言ってくれればいいのに」 実は、もう残ることを決めていたと、後で彼に聞かされた。曰く、彼は彼で幽香の本当の気持ちを知りたかった、とか。幽香は怒ったが、それでも嬉しくて仕方なかった。 そんな風にして、平穏で満ち足りた生活が始まるはずだった。幽香と彼との共同生活が。妖精と人と立場は違うのかもしれないけれど、それでも気持ちの通い合わせた二人での生活を、少なくとも幽香は満喫する予定だったし、その希望に満ち溢れていた。 しかし、現実はそうならなかったのだった。二人で獣を狩りに行ったところで、妖怪に襲われてしまったのである。その妖怪は、いくら力ある妖精の幽香にもどうにもならぬ妖怪で、幽香も懸命に戦ったがどうしようもなく、結局彼が幽香の身代わりに攻撃を受けてしまったのだった。 そうして彼は、あっさり幽香の腕の中で息を引き取った。 あれから如何程の年月が流れたか覚えていない。あれから幽香は復讐の為に修業を積んで、苦難の挙句にとうとう仇討ちを果たした。その間に気付けば幽香は妖精から妖怪に変わっていて、そして今や妖怪の中でも大妖怪とされるようになってしまった。 「貴方は、こんな風になった私をどう見るのでしょうね」 ふふ、と笑う。この菊の畑は、彼の墓だ。 「こっちはね、人と妖怪が共存できない苦しい世の中になってしまったの。だから、移住することにしたわ」 幽香の行く先は、友人の紫の作った結界の中。なんでも彼女は妖怪の楽園を作る、という。一度入ればそうそう出られないだろう。 「本当はずっと貴方と居たかった。ごめんね」 菊が一斉に風になびいた。それはまるで、彼が自分に答えているかのように、幽香には思えた。 「それでは、これで最後だわ。もう二度と、ここには来れないでしょうし」 幽香は振り向いた。濃緑の髪がはらり、と白い菊の上に舞う。 「さよなら。愛しの貴方」 終 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/computer/41116/1227626625/45
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