【お題で嫁を】お題で簡単にSSを作ってみようか【自慢するスレ】 (292レス)
【お題で嫁を】お題で簡単にSSを作ってみようか【自慢するスレ】 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/computer/41116/1227626625/
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253: 名前が無い程度の能力 [sage] お題まとめ 香水・ぬこ・眼鏡+しみじみ・無礼講・中二病・米粉・そば・ラーメン 朝露・衣替え・暖の取り方・談話・遅咲きの花・聖夜 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/computer/41116/1227626625/253
255: 名前が無い程度の能力 [sage] >>253 お題『ぬこ』 ぬえちゃんが仔猫を拾ってきました。 ある小春日和の午後の事です。 わたくし、幽谷響子は命蓮寺の門前を雪かきしていました。 「ねぇ、響子。ちょっと来て…」 スノーダンプで雪の塊と奮闘していると、ぬえちゃんが私を呼んで手招きしています。 「? どうしたんですか?」 私は除雪の手を休めて、ぬえちゃんの方へ歩いて行きました。 ぬえちゃんは後ろ手に何かを隠していて、にやにやと不敵な笑みを浮かべています。 「ほら、ぬこ拾った!」 そう言ってぬえちゃんは後ろ手に隠していたモノを私に見せつけました。 私の目の前に、小さな仔猫が姿を現しました。それはそれは毛並みの良い三毛猫でした。 「わぁ! かわい…もがぁ!?」 私が感嘆の声をあげようとした瞬間、ぬえちゃんは慌てて私の口を手で塞いでしまいました。 「しぃー! 響子ったら、大きな声で叫んだらみんなにバレちゃうじゃん!」 ぬえちゃんは腕に仔猫を抱えたまま、そう言って不機嫌そうに苦言を呈します。 「もがぁ、ほがぁ……ぷはぁ、ごめんなさい」 ちょっと鼻詰まり気味だった私は呼吸が苦しくなり、ぬえちゃんの手首を掴んで引き剥がしました。 だけど、さっきのぬえちゃんの声の方がよっぽど大きかったと思うのですが… 「ところで、その子は何処で見つけたんですか?」 私が改めて質問すると、ぬえちゃんはパッと表情を明るくして仔猫に頬擦りしながら答えました。 「へへっ、お寺の縁の下に居る所を見つけたの。きっと母猫が産み捨てたんだわ」 お寺の境内は先週みんなで雪かきしたので、恐らくその後に雪を避けて母猫が潜り込んだのでしょう。 仔猫は円らな瞳でじっと私やぬえちゃんを見つめています。時折、眠たげに欠伸をする仕種はとても愛らしいです。 ぬえちゃんはすっかり魅了されたらしく、顔がデレデレと緩んでいます。それを見て私も和やかな気持ちになりました。 「ねぇ、お寺でこの子飼おう! みんなもきっとOKしてくれるよね!?」 「ええっ、そうですね……あっ」 命蓮寺の仲間になって日の浅い私でも、白蓮様を筆頭に皆さんが優しい方々なのは承知していました。 なので快くこの子を迎え入れると思ったのですが、ひとりだけ反対しそうな人物を思い起こしたのです。 「……ナズーリンさんは鼠なので猫は苦手なんじゃないですか?」 「えっ? 大丈夫だよ、既に虎が居るじゃん。響子だって犬っぽいし、今さら猫が増えても気にしないって」 そうこう言っていると、噂の本人がこちらにやって来ました。隣には茄子紺の唐傘を携えた小傘ちゃんも居ます。 「おぉーい、聖がお茶を淹れたから休憩にしよう……って、何をしてるんだい?」 ナズーリンさんは怪訝な表情を浮かべて私たちを見つめています。小傘ちゃんは何故か嬉々とした表情ですが。 「あっ、丁度良かったナズ。ほら、可愛い仔猫!」 「ぎゃあああぁぁぁ!!?」 その時のナズーリンさんの絶叫は、山彦である私の声量を遙かに凌駕していました。 目を見開き、顔を蒼白にして飛び上がったナズーリンさんは一目散に逃げ出してしまいました。 「やったぁー! なずりんがあんなに驚いてくれてお腹いっぱい! じゃあ、私帰るね!」 隣に居た小傘ちゃんはこうなると予想していたのか、満足げな笑みを湛えて山の方へ飛んで行ってしまいました。 「……ナズーリンさん、戻ってくるといいですね」 「……うん」 どうやら仔猫が受け入れられるにはもうしばらく時間が掛かるようです。 私とぬえちゃんは互いに顔を見合わせ、少し苦笑してからお寺の中に入りました。【終わり】 お題:明晰夢 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/computer/41116/1227626625/255
258: 名前が無い程度の能力 [sage] >>253 『眼鏡+しみじみ』 如月。立春が過ぎて暦の上では春だが、幻想郷はいまだ雪深い。 それでも、久方ぶりの晴れ間は清々しく、澄んだ青空が広がる。 暖かな日差しによって、木々に被さる雪がどさっと崩れ落ちた。 その音を耳にしながら、森の古道具屋の店主は朝から雪掻きに勤しんでいた。 「ふぅ、今年も豪雪だったな……」 首に巻いた手拭いで汗を拭いながら、店主はスコップにもたれて一息ついた。 店主の名前は森近霖之助。銀髪に痩身、半妖半人の青年である。 彼は今、店舗の横にある倉庫の脇に積もった雪山を切り崩しにかかっていた。 すでに屋根の雪は片付けているので倒壊の恐れはない。しかし、巨大な雪山は皐月になっても残りそうな量だった。 「取り敢えず、倉庫の出入口だけでも確保しないと困る……」 霖之助はそう独り言を呟いて深呼吸すると、アイドリングしていたエンジンを再稼働させた。 雪に突き刺したスコップから、鋼鉄製のスノーダンプに武器を持ち替え雪山に挑む。 引き締まったザラメ雪にスノーダンプを喰い込ませ、ブロック状に切り分けて運び出す。 ぎゅっぎゅと力強く雪を踏み締め、密度の高い雪の塊を身体全体で外に押し出す。 30分くらい作業を続けた霖之助は、ふと雪山にぽっかりと洞穴のような空間が出来た事に気付いた。 雪山全体を切り崩すのではなく、倉庫の出入口に向かって一点集中して雪を搬出していたからだ。 それで遊び心を刺激されたのか、霖之助はいつしか雪掻きよりもカマクラづくりに熱中し始めていた。 ゴォーン、ゴォーン、ゴォーン――― 里の外れにある命蓮寺の鐘の音が聞こえてくる。12回打ち鳴らされた鐘の音は、時刻が正午であると告げた。 カマクラは約3畳ほどの広さに拡張され、高さも九尺(約90㎝)と大人でも十分入れる。 「うむっ、もうお昼か……さて飯はどうするか」 「おぉーい、香霖!」 霖之助が空腹感を覚えながら昼食のメニューを思案していると、森の小道から少女の声が聞こえてきた。 自分を屋号で呼ぶ少女は幻想郷でひとりしかいない。霖之助は小道を振りかえる事無く声の主を判別できた。 「やぁ、いらっしゃい魔理沙。こんなお昼時にどうしたんだい?」 そう言いながら霖之助はゆっくりと振り返る。そこには案の定、白黒の衣服を着た顔馴染みの少女の姿があった。 少女の名前は霧雨魔理沙。豪奢な金髪に小柄な身体つきの普通な魔法使いである。 「この前ウチの雪掻き手伝ってもらったお礼を持って来てやったぜ」 ニカッと爽やかな笑みを零しながら、魔理沙は手にしていた風呂敷を誇らしげに差し出した。 「ほう、珍しい事もあるもんだね。道理で今日は二月に似つかわしくない暖かい日だと思ったよ」 「へへっ、日頃の善行のおかげだぜ。中味はにとりからもらった猪肉や川魚だ」 にとりとは、魔理沙と交友のある山の河童である。機械いじりが趣味で、香霖堂にもしばしば訪れている。 霖之助はその中味を知って、ふとあるアイディアが思い浮かんだ。 「……そうだ、どうせならこの即席のカマクラで食べないかい?」 「おぉ、それは風流だな! 私も遠慮なくご相伴に与からせてもらうぜ」 「じゃあ、台所から七輪と豆炭、それとマッチを持って来てくれるかい? 僕は煙突と茣蓙を用意しよう」 「承知だぜ!」 そう言って魔理沙は元気よく店の中に駆け込んでいった。その後ろ姿を眺めながら、霖之助も店の中に入った。 1時間もしないうちに霖之助と魔理沙はカマクラで肉や魚を炙りながら焼きおにぎりを頬張っていた。 香ばしい肉や醤油の香りと、パチパチと豆炭の焼ける匂いが立ち込め、煙突から外へ流れ去っていく。 カマクラの天井を見上げると、雪の白にぽっかりと空の青が覗いている。白雲がゆったり流れる、穏やかな蒼穹だ。 「なんだか……のんびりしていて心地良いよな」 パリッと焼けた醤油味の焼きおにぎりを頬張りながら、魔理沙が満面の笑みで言った。 「あぁ……きっと、こういう時間が一番楽しい時間なんだろうね」 脂の滴る猪肉を肴に、霖之助はクイッと酒を呷る。辛口の酒が肉の旨味と融け合い、馥郁な酒精の香りが鼻腔を吹き抜けた。 凪いだ日常。異変も冒険も無関係な青年の、静かな一日が今日も半分終わった。そうして世界は廻っていくのだ。 傍らには、自分を慕ってくれる少女が食後の番茶を啜っている。いつか、自分を追い越して先立って行く儚い人間。 霖之助は今の何でもない日常を謳歌できる幸せをしみじみと噛みしめながら、切ない思いを酒と一緒に腹の底へ沈ませた。 冬が終わって春が来る。半妖半人の平坦な人生が、また巡ってくる。どこかで山鳩の暢気な鳴き声が聞こえていた。【完】 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/computer/41116/1227626625/258
262: 名前が無い程度の能力 [sage] >>253 『ラーメン』 ぼぉーん、ぼぉ−ん、ぼぉーん……… 執務室の壁に掛けられた振り子時計が重厚な鐘を鳴らす。時刻は午後7時を指していた。 窓の外はすっかり夜の帳が下りている。私はひとつ伸びをすると、上司の閻魔様が申し訳なさそうに言った。 「ごめんなさいね、こんな時間まで残業に付き合わせちゃって……」 「あぁ、いえ……これがお仕事ですから」 私は恐縮して答えると、再び書類の整理に取り掛かった。既決になった『旧都開拓事業報告』という公文書を裁断する。 死者の魂を裁く司法機関・是非曲直庁の書記局に私が特命書記官として入庁したのはつい先月のことだ。 幻想郷の歴史を編纂してきた御阿礼の子。その9代目に当たる私も、2冊目の歴史書を記し終えて天寿を迎えた。 次の10代目が産まれるまで約1世紀、私はこうして幻想郷を管轄する四季映姫・ヤマザナドゥ様の下で働いている。 「まったく、あの子は何度言ってもサボり癖が直らなくて……」 「ははっ、小野塚さんはマイペースですからね……」 閻魔様の愚痴に、私は愛想笑いを浮かべながら相槌を打った。すると、噂をすればご本人が執務室に駆け込んできた。 乱雑なノックと、間を置かずに扉が開け放たれる。茜色の髪の死神が、書類の束をふらふらと私の机に置いた。 「あひぃー、四季様これで終わりました〜!」 「何ですか小町、騒々しい! 忙しい時ほど落ち着きなさいと何度言ったら……!!」 目くじらを立てて自分より大柄な死神に説教をする閻魔様。実のところ、このお説教も残業が生じた要因の一つなのだが…。 世渡り下手じゃない私はそんな指摘は微塵も声に出さず、彼女らの仲裁に割って入った。 「まぁまぁ、お仕事も一段落した事ですし、中有の道でご飯でも食べてから帰りませんか?」 私の提案に、御二方ともピタッと動きを止めました。そして、「くぅぅ〜」とお腹の鳴る音が執務室に響きます。 「……こほんっ、ええ、そうですね。時間も遅いですし、みんなで一緒に食事へ行きましょうか。小町のおごりで」 「ちょっ!? なんであたいの奢りなんですか!? 普通、上司が部下に奢るもんでしょ?!」 「おだまりなさい小町。貴方がサボらなければとっくに帰宅できてたのですよ!」 四季様の正論に小野塚さんはぐうの音も出ないようです。もう小野塚さんが奢る事は確定していました。 それから30分後、私たちは中有の道の屋台に並んで腰かけていました。 目の前では屋台の主人が手際よく麺を茹でています。大きな鍋には鶏ガラのスープが煮込まれています。 ここは生前に里でちょっとした話題になったラーメンの屋台です。中でも厚切りのチャーシューは絶品だとか。 「へい、チャーシューメン特盛りに半ライスお待ち!」 ごとんと大きな器いっぱいにチャーシューが盛られたラーメンが四季様の前に出されました。 意外な事に、四季様は小柄な体躯で結構な大食家なのです。庁内の食堂でも定食+デザートはペロリと平らげます。 「あらっ、これは美味しそうですね。ではいただきます」 四季様は嬉しそうな笑みを湛えながら丁寧に合掌すると、割り箸で特盛りチャーシューを切り崩しにかかりました。 「へい、チャーシューメン2つお待ち!」 間を置かずに私の小野塚さんの注文したチャーシューメンが出てきました。量は特盛りの半分ほどでしょうか。 小野塚さんの財布はスッカラカンなのでしょう。チャーシューメンに胡椒を振りながら溜め息をついています。 「はぁ……今月は金欠なのに参ったねぇ……」 「はふはふ……これを機に少しでも反省する事です。もぐもぐ……小町、貴方はサボり過ぎるとあれ程……ずるずる」 お説教をしつつも、汗を額に滲ませながら美味しそうに麺を啜りご飯を頬張る四季様に、私たちは苦笑しました。 何だかんだ言って面倒見の良い閻魔様と、マイペースだけど忠愛のある死神。 素敵な凸凹コンビの下で働く愉快さを噛み締め、私は煮干しの匂いが漂うラーメンを味わいました。 お題:石油 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/computer/41116/1227626625/262
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