河出書房の奇想/国書刊行会の冒険/晶文社の追悼 7 (783レス)
河出書房の奇想/国書刊行会の冒険/晶文社の追悼 7 http://mevius.5ch.net/test/read.cgi/sf/1617161113/
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631: 名無しは無慈悲な夜の女王 [sage] 2024/03/29(金) 13:09:38.72 ID:LMLImnm2 >>625 > 最初から日本語の作品と海外翻訳を一緒にして考えるのをいい加減にやめませんか? こちらからすれば、日本の作家の文章と翻訳の文章を分けて考えるから話がおかしくなると考えている。 まず結論から言うと、現在私たちの使っている言文一致体というものが、そもそも明治期の翻訳文を元にしている。 国語の授業で、二葉亭四迷『浮雲』を日本最初の言文一致体で書かれた小説と習った人もいるだろうけど、その後の作家たちに大きな影響を与え現代文にまで引き継がれてきたのは、むしろ彼の翻訳したツルゲーネフ『あいびき』の文章だった。 二葉亭の「浮雲」も「あいびき」も青空文庫に登録されているので、(どちらが現代文に近いか)両者のさわりを読み較べてみればすぐに納得できると思う。 若い作家たちが「あいびき」に強い衝撃を受けたのは、それが初めて見る口語の逐語訳であり、彼らがすぐに飛びついたのは、それが自分たちの求めていたリアリズムに感じられたからだという。 谷崎潤一郎も、『現代口語文の欠点について』で次のように記している。 要するにわれわれの書く口語体なるものは、名は創作でも実は翻訳の延長と認めていい。故有島武郎氏は小説を書くときしばしば最初に英文で書いて、然る後にそれを日本文に直したと聞いているが、われわれは皆、出来たらそのくらいなことをしかねなかったし、出来ない迄もその心組みで筆を執った者が多かったに違いない。 それは努めて表現を清新にするための手段でもあったけれども、正直のところ、美しい文章、ひびきのいい文章、――ということよりも、先ず第一に西洋臭い文章を書くことがわれわれの願いであった。 斯くいう私なぞ今から思うと何とも恥かしい次第であるが、可なり熱心にそう心がけた一人であって、自分の文章が英語に訳し易いかどうかを始終考慮に入れて書いた。 谷崎の時代はそうかも知れないけど、今は違うでしょと言う人もいそうだけど、村上春樹が出てきた当時も、ハルキは英文タイプで下書きした文章を日本語に直しているらしいなんて噂があった。(実際には、効率が悪くてすぐにやめたらしい) つまり、まだ村上春樹の世代でも、やはり西洋くさい文章をカッコイイと感じそんな噂をする人たちがいたということになる。 http://mevius.5ch.net/test/read.cgi/sf/1617161113/631
632: 名無しは無慈悲な夜の女王 [sage] 2024/03/29(金) 13:12:33.66 ID:LMLImnm2 さて、翻訳の話に戻ると、「欠陥翻訳時評」という連載で数多の悪訳を指摘し話題となった別宮貞徳氏は、『裏返し文章講座』という本で悪い翻訳について次のように述べている。 悪訳っていうのは日本語の表現上の問題で、何度読み返しても意味がくみとれない、わけのわからない文章、読む気が失せるようなみっともない文章、要するに悪文ですね。 そして忘れてはならないのは、誤訳は無知からにせよ不注意からにせよ誰にでも起こる、病気でいえば一過性のハシカみたいなもので、大した問題ではないのにひきかえ、悪訳は悪性の腫瘍で、こっちの方がよっぽど重大だということです。 上の本ではけっこうな大家まで撫で斬りしていて驚かされるのだけど、別宮さんが批判しているのは翻訳の文章におかしな日本語が多過ぎるという点で、巻末には多数のおかしな日本語の実例とともに、プロの翻訳家を目指すならせめてこれくらいの日本語は知っていてほしいと、日本語テストまでついているという念の入れよう。 逆に言うと、日本の作家だってこれくらいの日本語の知識と言語感覚くらいは持っていてほしいという内容になっている。 以下のレベルで2つ以上誤った日本語を使う人は、1冊の本の中ではかなりおかしな日本語を使っている可能性があると思う。 ・彼女は誰にも愛想をふりまく八方美人の人気者だ。 ・満面に白い歯を見せています。 ・どっちもどっちで目移りがする。 ・複雑多岐は良くない。単純明解が望ましい。 ・情けは人のためならずだ。そんな甘い顔をするんじゃない。 ・夕張メロンがたわわに実っている。 ・恋人の関心を買うことに浮身をやつしている。 ・タレントととして神出鬼没の活躍を見せている。 ・あの人の二の舞を踏むまいと必死でがんばりました。 ・母が働いて学校にやらせてくれた。 ・六本木周辺の街の稜線が変わった。 ・思いもつかない悪い結果だ。 ・流しに、出前のどんぶりが水にさらされたまま残されていた。 ・熱にうなされてうわごとを言う。 ・あらゆる不測の場合を考えて、それに備えた。 http://mevius.5ch.net/test/read.cgi/sf/1617161113/632
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