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(1): 2024/02/18(日)12:16 ID:z5WCrLp6(3/4) AAS
>>456

【付記: 2019.11.12、 (*0)を追記: 2020.1.29】
上記は本書を一読した1991年12月に書いた感想のメモである。今回本書のレビューを投稿したのは、調和積分論も変分法を発祥の地としていること(*1)、変分法の幾何学への適用範囲がその後も着実に拡がっていること(*2)、などを述べてみたいと思ったからである。

(*0) Hodgeの分解定理を解説するテキストでは、F.W. Warner『Foundations of Differentiable Manifolds and Lie Groups』(GTM 94)が定評のある標準書である。邦書では今野宏『微分幾何学』の第11章に、Dirac作用素の解析的性質を用いる証明が載っており、読者をDirac作用素の指数定理へと誘ってくれることだろう。

(*1) ある与えられたド・ラーム類(代表元ω、dω=0)に属する微分形式で、そのノルムが最小になるものを考える。ωより次数が1だけ低い任意の微分形式ηに対し、ω + tdηのノルムがt=0で最小になる条件(tの2次式がt=0で最小値をとるので、tの1次の係数が0である)から、0 = (ω,dη) = (δω, η)、即ちδω=0が導かれる。従って、ド・ラーム類に属するノルム最小の元として「調和形式」(dω=0かつδω=0、即ちΔω=0となるω)が出現する。この事実は単純だが、いくら強調してもし過ぎることがないほど重要なものである【調和積分論を学ぶ際に、ノルム最小のド・ラーム類の元として調和形式が現れるという視点をぜひ持っておきたい】。
458: 2024/02/18(日)12:17 ID:z5WCrLp6(4/4) AAS
>>457

(*2) 本書が出版されてから30年近い月日が経過した。その間にケーラー-アインシュタイン計量の存在問題、サイバーグ-ウイッテン理論、リッチ流や曲率流などの幾何学流の理論をはじめ、幾何解析における変分法の適用範囲は大きく拡がっている。このことは、2018年11月に出版された『幾何学百科II 幾何解析』という書を覗いてみれば一目瞭然である。

数空間における微分法と同様、変分法は「関数空間における微分法」の位置を占める訳だから、その重要性は言を俟たないのは当然である。最近(2019年9月に)その全訳が刊行されたクーラント-ヒルベルト『数理物理学の方法』(第4版)でも、常微分方程式及び偏微分方程式の研究において、変分法が果たす役割の大きさ・重要性とその射程の長さがじつに明瞭に叙述されている。変分法の発祥の地である解析力学や幾何光学に加え、シンプレクティック幾何学、電磁気学、量子力学なども変分法と緊密に連携する学問分野と言える。アマゾンに投稿しているレビューに変分法が関係する著書が数多くあることに気付き、「変分原理の摩訶不思議な調べ」に魅せられていることをあらためて実感する。
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