宇野功芳 (279レス)
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211: 08/27(水)23:13 ID:R7AW9z4A(1/2) AAS
戦争が終り、疎開から帰って来た私は、戦火をくぐって生き残った車たちと再会しました。しかし木造車はすでに廃車になり、「ワキワキ」や「クサイナア」は無残にも更新修繕を受けて、昔の面影をなくし、クモハ11型や12型に改番されてしまいました。ヘンリーの親戚であるモハ34型は、なんと荷物電車になっています。モハ51型や、なつかしいラジワーの姿はどこを探しても見当りません。私は絶望して、電車に対する興味を失い、その後二十年もの間、昔の省線電車に関してはすっかり疎い人間になってしまったのです。
212: 08/27(水)23:20 ID:R7AW9z4A(2/2) AAS
つまり昔の電車はその一両一両に人格があったのです。そして大正時代の木造車が昭和に入って鋼鉄車に変っても、内部や屋根は依然として木製でした。
それに対して戦後の電車、ことに昭和三十年以降に製造された電車の不趣味なことはどうでしょう。形はどれをみてもほとんど同じ、のっぺりとした規格品で人間の顔などは全く想像させてくれません。モハに乗ってもモーター音がしないので電車の味がなく、内部も冷たい金属製で、人間味や芸術性など、どこを探しても見当りません。木製ならば古くなればなるほど独特の味が出て来ますが、いまの車はうす汚れてきたないだけです。現在のオール金属性の電車の冷たい無機的な感じ、それは作曲にたとえれば現代音楽の感覚であり、演奏にたとえればカラヤンやポリーニのような現代風のスタイルです。たしかに彼らの演奏はスマートで、表面的には美しいかもしれませんが、聞く者を心の底から感動させるようなゆたかな内容や、精神的な深みがなく、時代が変れば、おそらく古くなってしまうでしょう。
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