[過去ﾛｸﾞ] 弱者男性 ☗将棋部 (355ﾚｽ)
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344: 07/25(金)11:29 ID:eICx1Szu(1/2) AAS
消毒液の匂いが鼻腔を刺す。白い壁、白い天井。白いカーテンに囲まれた診察室は、まるで感情を吸い取るかのように無機質だった。
弱男は、点滴につながれたまま、まだ意識が朦朧としてベッドに横たわっている。その隣のパイプ椅子に、母親は深く腰掛けていた。顔は青白く、目の下には深い隈。何度も濡らしたであろうタオルが、固く握りしめられている。
数時間、地獄のような時間が過ぎた。その間、母親は何度も、朝の悪夢のような光景を反芻した。
汚れた下着、泡を吹いて痙攣する息子の体。そして、自分がもっと早く、何かに気づいていればという、拭いきれない後悔が、彼女の胸を締め付けていた。
やがて、重い足音と共に、医師が診察室に入ってきた。医師は、無表情にカルテに目を落とし、鉛筆をトントンと机に叩きつける。
その乾いた音が、母親の耳に、これから告げられるであろう残酷な真実へのカウントダウンのように響いた。
「お母さん、検査の結果ですが」
省4
345: 07/25(金)11:32 ID:eICx1Szu(2/2) AAS
「て…てんかん…」
絞り出すような母親の声は、か細く、震えていた。彼女の心の中では、これまで漠然と感じていた不安が、確かな形を持って、ゆらりと広がるのを感じていた。
やはり、あの臍の緒のせいか。あの時、もっと私が… 懺悔と自責の念が、津波のように押し寄せる。
医師は、母親の動揺など気にも留めず、淡々と説明を続けた。
「脳の電気信号が一時的に異常に興奮することで、発作が起こります。原因は様々ですが、現時点では特定が難しいケースも多いです。今回のような、泡を吹いて全身が痙攣する大発作の症状は、典型的なものです」
医師の言葉は、頭では理解できるのに、母親の心には全く届かなかった。ただ、**「脳の電気信号が異常」**という言葉だけが、頭の中で何度も繰り返される。
それは、息子が生まれつき抱えていた「発育の遅さ」と、無邪気だった頃の奇妙な行動、そして今、彼の人生を蝕んでいる狂気とが、一本の暗い線で繋がれていくかのように感じられた。
省5
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