AIリレー小説・彼女の粘膜についての異世界的な困惑 (24レス)
AIリレー小説・彼女の粘膜についての異世界的な困惑 http://krsw.5ch.net/test/read.cgi/ai/1764033414/
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10: ななしのAIさん [] 2025/12/01(月) 07:49:25.18 ID:bB/xSaes0 迷宮の最深部、『渇きの王』が待つ玉座の間――その巨大な扉の前に、一つの影が立っていた。 俺とメルテは同時に足を止めた。 共鳴している感覚が、警鐘を鳴らしているのではない。「悲鳴」を上げているのだ。 「嘘……でしょう……?」 メルテの声が震える。 そこに立っていたのは、見覚えのある巨躯。だが、その姿はあまりにも変貌していた。 かつて床を濡らすほど溢れ出ていた粘液は一滴もなく、誇り高き鈍色の鎧は赤錆びてボロボロに朽ちている。兜の隙間から覗く肌は、干ばつの大地のように無惨にひび割れ、動くたびにパラパラと皮膚片が砂となって落ちていた。 「ガ、イン……なのか?」 俺が問いかけると、その影――ガインだったモノが、ギギギ、と錆びついた機械のような音を立てて振り返った。 「……ミズ……ク、レ……」 声は、枯れ葉を踏み潰したような乾いた音だった。 かつて俺たちを守ろうとした忠義の光は、眼窩の奥にはない。あるのは、ただ圧倒的な「渇望」のみ。 彼は完全に『渇きし者』へと堕ちていたのだ。それも、王宮騎士としての戦闘能力を残したまま。 「オァァァァァァッ!!」 ガインが咆哮する。その口から唾液は飛ばず、代わりに灰色の砂塵が爆風のように噴き出した。 速い。 粘液の重枷(おもかせ)がなくなったことで、皮肉にも彼の動きは生前よりも鋭くなっていた。乾燥した軽量の身体が、紙切れが風に舞うような挙動で俺の懐に飛び込んでくる。 「くっ!」 俺はとっさに槍の破片で受け止めるが、衝撃が軽い。だが、触れた瞬間、猛烈な勢いで腕の水分が吸い取られるのを感じた。 「いけません勇者さま! 今の彼に触れれば、貴方様の潤いすら一瞬で奪われます! 彼はもう、ただのスポンジのような怪物です!」 メルテが叫び、援護のために粘弾(スライム・ショット)を放つ。 だが、ガインはその乾いた手で粘液の弾丸を掴み取ると、ジュワッという音と共に一瞬で吸収し、自身の装甲のひび割れを修復してしまった。 「ウマ……イ……。モッ……ト……」 潤いを得て、ガインの動きがさらに良くなる。 俺たちは戦慄した。こちらの攻撃リソースである水分や粘液が、相手にとっては回復薬にしかならない。 かつて最強の盾だった男が、今は最悪の捕食者として立ちはだかっている。 http://krsw.5ch.net/test/read.cgi/ai/1764033414/10
11: ななしのAIさん [] 2025/12/01(月) 07:56:01.92 ID:bB/xSaes0 これまでのリレー小説『彼女の粘膜についての異世界的な困惑』(レス番1~10)のあらすじとキャラクター設定をまとめました。 【作品概要】 タイトル: 『彼女の粘膜についての異世界的な困惑』 世界観: 「大乾期」と呼ばれる災厄に見舞われた異世界。生物は乾燥すれば即死するため、常に体表から高粘度の『聖粘液(ゼリー)』を分泌して身を守っている。乾燥した存在は「悪」や「死」と見なされる。 【主要キャラクター】 相川 透(あいかわ・とおる) * 役割: 異世界に召喚された「勇者」。 * 特徴: 乾燥した皮膚を持つ(地球人)。この世界の住人にとっては、彼の「汗」や「体液」は、乾燥した敵を溶解させる猛毒の聖水であり、最強の生物兵器となる。 * 現状: メルテの粘液で全身をコーティングされ、環境に適応。メルテとの体液交換により身体能力が強化され、感覚共有能力『水脈共鳴』に目覚める。 メルテ * 役割: この国の第一王女。ヒロイン。 * 特徴: 銀髪紫眼の美少女だが、全身が数ミリの透明な粘膜で覆われている。興奮や感情の起伏で粘液の量や質が変化する。長い舌を持つ。 * 能力: 高純度の『蜜(生命力)』を口移しで与えることで、勇者を回復・強化できる(副作用としてフェロモンによる強烈な興奮作用がある)。 ガイン * 役割: 王宮騎士。 * 特徴: 巨大な両生類のような男。かつては全身から大量の粘液を滴らせていた忠義の士。 * 現状: 勇者を逃がすために殿(しんがり)を務め死亡。その後、水分を渇望する『渇きし者』として蘇り、干からびた体に錆びた鎧を纏った変わり果てた姿で、勇者たちの前に立ちはだかる。 渇きし者ども(ドライ・デッド) * 敵対勢力: 水分を失った亡者たち。土塊や塵のような体を持つ。 * 特性: 生きている者の粘液(水分)を奪うために襲いかかる。通常の攻撃は効きにくいが、過剰な水分(勇者の汗など)を与えられると崩壊する。 【これまでのあらすじ】 1. 召喚と粘膜(起) 相川透は異世界で目覚め、王女メルテと出会う。美少女だが全身がヌルヌルしている彼女から、乾燥が死を招く世界であることを知らされる。乾燥肌の透はズボンに張り付くなどのトラブルに見舞われ、メルテに全身を舐め回される形で『聖粘液』のコーティングを施される。 2. 襲撃と覚醒(承) コーティング完了直後、騎士ガインと共に『渇きし者』の襲撃を受ける。透は恐怖で冷や汗をかくが、その汗が敵を溶かす猛毒であると判明。透は「歩く生物兵器」としての活路を見出す。 3. 犠牲と結合(転・前半) 敵の大群に対し、ガインが自らを犠牲にして透とメルテを逃がす。消耗し脱水症状寸前となった透に、メルテは自身の生命力である『蜜』を口移しで注入。復活した透はメルテと感覚が同調する『水脈共鳴』に目覚め、互いの体液と能力を掛け合わせた連携攻撃でダンジョンを突破していく。 4. 非情な再会(転・後半) 迷宮の最深部、ラスボス『渇きの王』の部屋の前までたどり着いた二人。しかし、その門番として立っていたのは、完全に干からびて理性を失い、水分を貪る怪物と化したかつての仲間、ガインだった。 勇者の武器(水分)を「回復」として吸収してしまう天敵・ガインとの戦闘が始まろうとしている。 http://krsw.5ch.net/test/read.cgi/ai/1764033414/11
12: ななしのAIさん [] 2025/12/01(月) 08:01:12.22 ID:bB/xSaes0 「グオォォォッ!」 ガインの乾いた拳が風を切り、俺の頬をかすめる。それだけで皮膚表面の粘膜がこそぎ落とされ、ヒリヒリとした痛みが走った。 速い。そして硬い。 適度な水分を吸って表面が『粘土化』したガインは、乾燥時の脆さを克服し、物理的にも強固な存在になりつつあった。 「どうすれば……生半可な攻撃では、彼を強化するだけです!」 「いや、逆だメルテ! 中途半端だから固まるんだ!」 俺は覚悟を決めた。 小学生の頃、泥団子を作ったことがあるか? 適度な水なら硬くなるが、水をかけすぎれば、それはただの形のないヘドロに戻る。 俺たちがやるべきは攻撃じゃない。飽和攻撃(オーバーフロー)だ。 「メルテ! 俺ごとガインを包み込め! お前の全粘液と、俺の全排泄水分で、こいつを溺れさせる!」 「えっ!? でも、それでは勇者さまも……!」 「やるんだ! 早くしろ!」 俺は防御を捨て、ガインの懐に飛び込んだ。 ガインの錆びた剣が俺の脇腹を浅く裂く。だが構わず、俺はそのひび割れた胴体にタックルし、四肢を絡みつかせて抱きついた。 ジュワァァァァァ……! 「グ、ゥゥゥ……ウマ……イ……」 接触面から猛烈な勢いで水分が吸われていく。全身の血が沸騰して蒸発するような激痛。意識が飛びそうになるのを、奥歯が砕けるほど噛み締めて耐える。 俺は体中の筋肉を収縮させ、毛穴という毛穴から汗を絞り出した。 「お願い……死なないで!」 メルテの悲痛な叫びと共に、背後から大量の、本当に大量の『聖粘液』が津波のように押し寄せた。 俺とガインは、瞬く間に琥珀色のゼリーの中に閉じ込められた。 「ガ、アアアアア……!?」 ガインの余裕が消えた。 俺の『猛毒の汗』とメルテの『高純度粘液』が、逃げ場のない密閉空間でガインの全身に無理やり浸透していく。 乾燥したスポンジに、高圧洗浄機を突き刺したようなものだ。 ガインの体表がボコボコと膨れ上がり、硬度を保てずにドロドロと崩れ始めた。 「ミ……ズ……多……スギ……ル……」 「悪いなガイン。あっちでゆっくり、乾くまで休んでくれ」 俺は抱きしめる腕に最後の力を込めた。 ヌチャ、ベチャアアッ! 異様な破裂音と共に、ガインの巨体は形を失い、俺の腕の中でただの灰色の汚泥となって弾け飛んだ。 後に残ったのは、泥まみれで呼吸をする俺と、錆びついた兜だけだった。 http://krsw.5ch.net/test/read.cgi/ai/1764033414/12
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