第2回東方最萌トーナメント 28本目 (1000レス)
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906: 桜咲く景色の中で -1- [sage] 2005/02/13(日)19:24 ID:Nwdy8tbw(2/7) AAS
リリーが目覚めてから何日かが過ぎた。
幻想郷の冬はもうほとんどなく、彼女の振りまいた春がところどころで芽吹き始めていた。
「春ですよ〜。あったかくてぽかぽかな春が来ましたよ〜」
今日もリリーは春を伝えに幻想郷中を飛び回っていた。
でも、今年の彼女の仕事がもうすぐ終わることは彼女もわかっていた。
「春で・・・ふわぁ〜・・・すよ〜」
時より無意識に出てくるあくび。
彼女の眠りのときはもう近い。
リリーは春を幻想郷中に伝える・・・そのためだけに存在する妖精だ。
その大きな仕事が終われば・・・彼女は来年の春と冬の境の日まで、ずっと眠り続けることになる。
ずっと・・・長い間・・・独りで・・・ずっと・・・。
リリーはそのことに何も不満はないようだった。
むしろ、そのことに疑問すら浮ばないようだ。
普通の人間が朝起きて夜眠るのを当たり前と思うように、彼女にとってもその長い眠りは当たり前のことなのである。
(ちょっと眠いな・・・でも、あと少し・・・がんばろうっと)
そんな彼女がふよふよと飛んでいく先は幻想郷のはずれ。
幻想郷と外の世界を隔てる博麗大結界の根元にある小さな神社だった。
ここにある桜を芽吹かせる事をリリーは春を伝える最後の締めとしていた。
これは本能とか、春の妖精の役割とは関係なく、なんとなくリリーが決めていたことだった。
「皆さ〜ん、春ですよ〜」
神社に着くと、早速リリーは春を振りまき始めた。
リリーの声に、境内の桜の新芽がいっせいにふくらみ始めた。あと1週間もすればここの桜も咲き始めるだろう。
無事、春を伝えられた事を確認し、リリーは再び空へ・・・。
「あら?こんなところに人が来るなんて、珍しい」
飛ぼうとして声をかけられたので、リリーは心臓が止まりそうになった。
振り返ると赤と白の巫女装束を着た女の子が彼女の元に歩いてくるところだったのだ。
「・・・と思ったけど、人じゃないか。妖精か」
この女の子をリリーは知っていた。
博麗神社の巫女、博麗霊夢。
初めて出会ったのは確か去年の春と冬の境の日。
あの年は幻想郷になかなか春が訪れなかった年だった。
いつまでも来ない春にやきもきして、ふと上空まで春を探してのぼっていった。
上空に確かにあった春がうれしくて。
ちょうど通りかかった彼女に春が来た事を知らせようとして・・・。
「うわっと!いきなり弾幕なんてひどいじゃないの!霊符『夢想封印 散』!!」
見事に落とされた。
さーっとリリーの顔が青くなる。
近寄ってくる彼女の微笑みがリリーの妄想で般若の顔に上書きされる。
逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ・・・
ばっと、リリーは霊夢に背を向けて飛び立った。
一刻も早く、彼女から遠ざかりたかった。
「あっ!そっちは・・・!」
ばちぃっ!
だから、リリーは気がつかなかった。
その逃げた方向がちょうど博麗大結界の広がっているほうだということを・・・。
リリーは博麗大結界にはじかれ、目を回しながらくるくると落下していくのであった。
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