ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」 (711レス)
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709: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 09/14(土)02:45 ID:sLeI+l6g0(1) AAS
…化粧室…

帽子の女「さあ、着きましたわ」

ドロシー「助かります……それじゃあそろそろお芝居はおしまいにしようじゃないか」パーティ会場向けに取り繕っていた態度をかなぐり捨てると、帽子の女を化粧室の壁に押しつけるドロシー……

アンジェ「……この女ね」するりと化粧室に入ってくると、邪魔がこないよう入口を見張りつつドロシーの手伝いができる位置についた……

ドロシー「間違いない。これから持ち物をあらためるところだ」

アンジェ「任せるわ」

帽子の女「……」

ドロシー「どれどれ、ご婦人は何をお持ちかな……っと、その前にお顔を拝見させてもらおうか」目元が隠れるようにかぶっている婦人帽を脱がせて、洗面台に置いた……

帽子の女「……」

ドロシー「へぇ、なかなかの美人じゃないか。せっかくの顔を隠すなんてもったいないぜ?」唇が薄く頬の血色は少しが悪いが、それなりに整っていて悪くない顔立ちをしている帽子の女……

帽子の女「……」

アンジェ「……」さっと視線を向けた一瞬の間に、コントロールから見せてもらった王国エージェントの肖像画やポートレートを思い浮かべ脳内で照合するアンジェ……思い当たる顔がないことが分かると、目や髪の色、おおよその顔立ちや雰囲気、それに指や耳の形といった変装の難しい身体のパーツを記憶した……

ドロシー「せっかくアドバイスしてやったのにつれないね……それからそんなにアクセサリーを付けていたら肩がこって仕方ないだろう、ちょっと預かるよ」

…ドロシーたちが身に付けているアクセサリーと同じようにどんな仕掛けが施されているか分かったものではないので丁寧に、しかし手際よくネックレスや指輪、イヤリングを外して洗面台に並べていく……派手さはないがすっきりした宝飾品のスタイルから言うと、帽子の女はどこに顔を出してもおかしくないよう、野暮ったいオールドミスでも、またお飾りとしての「なんとか夫人」になっているでもない、独立志向のある活動的な貴婦人といったカバーを作っているらしい…

ドロシー「お次はこれだな……調べてみてくれ」手に持っていた黒いヴェルヴェットの化粧品ポーチと招待状を手際よく取り上げるとアンジェへと渡す……

アンジェ「ええ」

帽子の女「……」

ドロシー「それじゃあその間に手品のタネを見せてもらうとして……なるほど、こういう仕掛けか」

…パーティ会場では身だしなみとして長手袋が欠かせないことを利用して、手袋の中で隠れている中指に裁縫で使う「指ぬき」のような薄手のリングをはめ、そのリングと小手のように手首に付けた毒薬の袋をひもで繋いである……誰かに薬を盛りたいときは中指をちょっと折り曲げて手首を下に向けるだけで袋の口が開き、毒薬がこぼれ落ちる仕組みになっている…

帽子の女「……」

ドロシー「どうやらちょっとしたイタズラのためじゃあなさそうだな……そっちはどうだ?」

アンジェ「身元が割れそうなものは何も。化粧品は上等だけれど特注みたいな物はなくて、百貨店で買える既製品ばかり。アクセサリーにも細工はなし」

ドロシー「招待状の名前は?」

アンジェ「レディ・クリスティン・ハーウッド……ハーウッド男爵家はちゃんとある貴族の家系だけれど、こんな成人女性の娘がいるなんて聞いたこともない」

ドロシー「それじゃあ家系図のどこかで紛れ込んだってわけかい」

アンジェ「そのようね」

ドロシー「……所属は?」

アンジェ「何も。紙入れには嘘っぱちの恋文数枚、ザ・シティにある銀行の小切手帳、お父様から受け取った真心のこもった偽物の手紙……身分証や本人の手がかりになるようなものは紙切れ一枚なし」

ドロシー「いいね、素人さんじゃないってわけだ……」

アンジェ「あまり遅いと怪しまれる、手際よくね」

ドロシー「ああ」

…空中でピアノを弾くかのように軽く指先を動かすと、慣れた手つきでドレスの下の身体をまさぐっていく……両の手首に付けている毒薬の袋は外してアンジェの方に放り出し、それからまた撫でるように身体検査を進めて行く……乳房の回りは女性エージェントならではの隠し場所ではあるがありきたりで、ドロシーがしつこく愛撫するように探しても何も見つからない…

アンジェ「……」

ドロシー「まさか丸腰ってこともないだろうが……」シックで飾りの少ないドレスとはいえ、ドレープ(ひだ)やあちこちのふくらみを全て触って確かめるとなるとそれなりに時間がかかり、調べてもなかなか見つからない状況に焦りを感じ始めた……

アンジェ「……時間がない、下の方は私が」見張りをやめ、ドロシーとは反対に帽子の女の足元から調べていこうとする……

帽子の女「ふ……っ!」

ドロシー「ちっ!」細身の身体からは思いもよらないほど強烈な膝蹴りを受けそうになり、とっさにクロスさせた腕で受けとめたドロシー……

帽子の女「……!」

…帽子の女は蹴りでドロシーを一歩下がらせることに成功すると同時に、ドレスの下にまとっていたビスチェと身体のすき間から真鍮とガラスでできたシリンジ(注射器)を引き抜いた……そのままフックを打ち込む要領でアンジェの首もとにシリンジを突き立てようとする…

アンジェ「くっ……!」

ドロシー「どけ!」アンジェを突き飛ばすと同時に左腕に突き立てられたシリンジの針と、身体に流れ込む冷たい液体を感じ取った……

アンジェ「はっ!」石張りの床でくるりと一回転すると帽子の女の背後を取り、片腕で首を締め上げると同時に、バラの指輪から小さく突き出した針をぶつりと頸動脈に突き立てた……
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