ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」 (711レス)
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708: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 09/10(火)01:04 ID:LfItGAu40(1) AAS
ドロシー「……しかし「帽子の女」はどこだ?」

…カクテルグラスを片手に談笑する紳士淑女たちに社交的な笑顔を振りまき、あたりさわりのない言葉を交わしつつも、油断なく会場を巡るドロシー……アンジェも同様に会場を歩き、お互いの死角をカバーしつつまんべんなく探って回る…

ドロシー「くそ、ここで見つけられないと面倒なことになるぞ……」ぬるくなりはじめたジョン・コリンズをちびちび飲みながら、いかにも楽しんでいるような面持ちで会場を探し回る……

ドロシー「……ん?」

…パーティ会場で誰と親しげにするでもなく、かといって手持ち無沙汰というほどでもなさそうな様子でグラスを持っている一人の女性……地味なミディアムグレイのドレスに目元が隠れるような婦人帽で、帽子の下からのぞく薄い唇からはときおり笑みも浮かんでいる…

ドロシー「あいつか……?」

帽子の女「……」周囲の人混みなど存在しないかのようにするすると会場を横切っていくと、にこやかにバーテンダーの方に近寄っていく帽子の女……

ドロシー「……奴だ、間違いない」

…エージェントとしての勘に加え、動きに感じる無駄のなさや、目立ちたくない時には消え失せてしまう絶妙な存在感など「同業者」どうしに相通じる雰囲気を感じ取った……まるで影のような帽子の女と違い、その場限りで忘れてしまうようなよそ行きの愛嬌と色気を振りまきつつバーカウンターに近づいていくドロシー……ほとんど空になったコリンズ・グラスから絹の長手袋を通して、冷や汗のような雫が手のひらに伝ってくる…

帽子の女「ドライ・マティーニをいただくわ」

バーテンダー「かしこまりました」

…そう言ってバーテンダーの方へ軽く手を伸ばすと同時にドレスの右袖口からかすかに白い粉がこぼれ、次々と消費される氷の容器に降りかかったようにみえた…

帽子の女「……いいお味ね」

ドロシー「……」額にうっすらと浮かぶ汗は会場の熱気とアルコールのせいばかりではない……

バーテンダー「お嬢様は何になさいますか?」

ドロシー「あぁ、そうね……私にはカンパリ・ソーダを」

バーテンダー「はい、ただいま」イタリアの紅い色をしたリキュール「カンパリ」を発見の合図と決めておいたドロシーとアンジェ……

帽子の女「……」カクテルグラスを持ったまま、女はしゃなりしゃなりとした歩き方でバーカウンターから離れていく……

ドロシー「あいつ、氷に盛ったのか?だが氷に毒を盛ったなら全員が中毒を起こしそうなもんだが……」

ドロシー「……」

…いぶかしがりつつも女との距離をじりっ、じりっと詰めていくドロシー……帽子の女が向かう先には、ちょうど氷の入ったウィスキーを受け取った一人の紳士……事前にコントロールが送り込んだ「餌」がいて、帽子の女はそこに近寄っていくと隣に立っている別の紳士に何やら話しかけて「餌」の紳士を含めた視線を引きつけつつ、反対側の袖口からウィスキーのカットグラスに薄灰色の粉を溶かし込んだ……

ドロシー「……そういうからくりか」

帽子の女「……」

…帽子の女はグラスに粉が溶けたのを見届けると雑談を切り上げ、すました態度のまま場を離れようとする…

白ひげの紳士「……なるほど、感心なことです」

共和国エージェント(囮)「いや、そうお褒めいただいてはかえって恥ずかしい……しかしこの部屋にいると喉が渇きますなぁ」

ドロシー「きゃっ……!」

…わざと近くを通りすぎつつ、さりげない手つきでグラスを持つ相手の手首をはね上げるドロシー……囮のエージェントがいましも飲もうとしていたウィスキーがばちゃりとはね、磨き上げた床にこぼれた…

囮「おっと、いかん! お怪我は?それにお召し物は大丈夫ですかな?」

ドロシー「はい、どちらも平気です。ですがせっかくのお飲み物をこぼしてしまって……」

囮「なに、ウィスキーなどまた取りに行けばいいだけの事ですから……それよりも裾にかかってしまったようですよ。奥に行けばご婦人の化粧室があるはずですから、そこでお召し物を直していらっしゃったらいかがですかな?」

ドロシー「そうですわね、そうします……済みません、わたくしお化粧室の場所が分かりませんので、お付き合いいただけます?」

帽子の女「……ええ」

白ひげの紳士「うむ、それがいい。グラスはここに置いて行きなさい」

ドロシー「そうさせていただきますわ。せっかくわたくしにぴったりの毒を調合してもらったのですから♪」

白ひげ「ははは、お上手ですな……わしもこの手の毒は大好きですぞ♪」

ドロシー「どうやら気が合いそうですわね……では、しばらく」にこやかな表情のまま帽子の女を逃がさぬよう、絶妙な位置を取る……

帽子の女「……」

ドロシー「ご面倒でしょうけれども、どうかお付き合いくださいましね?」

帽子の女「……」

………


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