ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」 (716レス)
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610: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2022/06/19(日)02:31 ID:FQq1VuyC0(1) AAS
…数日後・ロンドン市内の高級美容室…

令嬢A「それで、今度のパーティにはプリンセスも出席なさるとか……」

令嬢B「ええ、その噂でしたらわたくしも耳にしておりますけれど、本当かしら?」

令嬢C「……あのクリーム色と緑のドレスは首回りのデザインが良くなくって……やはり仕立屋はロンドンに限りますわ」

令嬢D「そうですわね……ところでお父上から聞いたのですけれど、今度のスピットヘッドの観艦式には新型の軍艦が参加するそうですの」

…美容院の待合室で順番を待ちながらおしゃべりに興じるレディたち……ドレスや髪型、化粧や宝飾品の流行りすたりといった話題に交じって、王室や有名貴族の動静、夫や友人、はたまた父親から聞きかじった植民地事業や株価の値動き、官僚や軍の人事異動や配置転換といった、情報部員にとってよだれの出そうな情報も流れている……地味な格好をして髪を整え、結び、鋏を動かし、あるいは手にクリームを塗り、爪を磨き艶を出している「髪結い」の女性たちは何も言わず黙々と作業をこなしているが、その中にはしっかりと情報を聞き留めている共和国の情報部員や、情報を売って「副業」にしている下級の「タレコミ屋」なども交じっていた…

髪結い「では、ここを結い上げて……いかがでございましょう?」

令嬢「結構ね、これでよろしくてよ」

髪結い「はい……お待たせいたしました、どうぞ」

…その頃・王宮…

プリンセス「あら、叔父様。 ごきげんよう」

ノルマンディ公「ああ……ときにプリンセス」

プリンセス「なんでしょう?」

ノルマンディ公「うむ、今度のベニングスビー伯爵が開く夕食会についてだが……」

プリンセス「何かありましたの?」

ノルマンディ公「うむ、最近はロイヤル・ファミリーに対する不穏な動きが多いのでな……護衛官を二人ほど付けさせてもらう」

プリンセス「まぁ、王族を狙う事件だなんて怖いことですわね……叔父様、お気遣い嬉しく思いますわ」

…内務卿配下の護衛官に監視されていては何かと動きが制限されてしまうが、申し出を断れば疑惑を招く……プリンセスは仕方なく微笑みを浮かべ、丁寧に例を言った…

ノルマンディ公「なに、王国の将来を担うプリンセスに何かあっては困るからな……当日は誰も彼も着飾って来ることだろうから、うんとおめかしをして行くといいだろう」

プリンセス「あら、叔父様ったら……それでは素敵な格好をしませんと♪」

ノルマンディ公「うむ……では失礼」

ガゼル「……」ノルマンディ公に付き従っている「ガゼル」が、一瞬だけプリンセスとベアトリスに視線を向け、それから軽く礼をして歩いて行った……

ベアトリス「……姫様」

プリンセス「ええ」

ベアトリス「どうしますか?」

プリンセス「仕方のないことでしょう……ドロシーさんたちの言うように、当日は余計な事をせずに過ごしましょう」

ベアトリス「分かりました」

…その日の晩・部室…

ドロシー「やっぱりな……」

アンジェ「ええ。疑念を抱いているわけではないとしても定期的な「身体検査」は怠らないでしょうから、この動きは予想出来た」

ドロシー「しかし、こうなると当日は眉毛一つ動かせないな」

アンジェ「構わない。 コントロールには接触の時期をずらしてもらえばいい」

ドロシー「もちろんだ……ねずみ取りが仕掛けてあるって分かっていながらチーズに飛びつく馬鹿はいないさ」

アンジェ「そうね」

ドロシー「ちせにもおおよそのところは伝えておいた……これで堀河公にひとつ貸しを作ってやったことになる」

アンジェ「ええ……何かあったときに向こうから譲歩を引き出すいい質草になるわね」

ドロシー「そういうこと♪」
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