ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」 (715レス)
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444: ◆b0M46H9tf98h [saga] 2020/08/10(月)02:08 ID:6N7YPZwl0(1) AAS
ストーンウッド「ほほう…ではその時間に何をしていたかおっしゃっていただけますか?」

フランス人「その時は部屋で寝ていた、嘘じゃない…!」

ストーンウッド「そうですか……では私の書斎に「これ」が落ちていたのはなぜなのかお尋ねしたい、ムッシュウ」上着の内ポケットから絹のハンカチを取り出し、ひらひらと振ってみせた…

フランス人「…」

ストーンウッド「この場の誰も持っていないようなしゃれたパリ製のハンカチーフだ。その上ご丁寧にイニシャルも刺繍されている…これでも忍び込んだのは貴方ではないと?」

フランス人「ああ、誓って私じゃない…きっと誰かが私をはめようとして仕組んだことなのだ!」

ストーンウッド「…ムッシュウ・ルブランク、どうも貴方はスパイにしては嘘がうまくないようだ……いくら私が諜報活動の素人だとしても「イチ足すイチ」が二である事ぐらいは理解しているつもりだが?」

フランス人「…」

ストーンウッド「おやおや、今度はだんまりか…まぁ、どのみちコブラに咬まれたら助からないのだ……ムッシュウ・ルブランクをお部屋までお連れしろ」

召し使い「承知いたしました」インド人の召し使い二人が、すでに毒が回って青ざめているフランス人を両側から担ぎ上げるようにして連れ出した……

ストーンウッド「さて、皆様には少々見苦しいものをお見せしてしまいましたな」…まるで「一つ片付いた」とばかりに両手をはたくと、ふたたび気取った笑みを浮かべた……

アメリカ人「……食後の見世物にしてはちょっとばかしきつかったですよ、サー・パーシバル」

ストーンウッド「いや、その点は申し訳ない……まぁどうか軽い飲み物でも傾けていただいて、気分を改めてもらえれば幸いだ」

アメリカ人「ぜひそうさせてもらいましょう…ウィスキーを頼む、ダブルで」白手袋の召し使いに声をかける…

金髪の婦人「…わ、わたくしにはブランデーを……」

エリス「あの……ジェーン様」

017「どうかして、エリス?」

エリス「ええ…ムッシュウ・ルブランですけれど、まさか本当に……?」

017「おそらくは……サー・パーシバルの言うように、コブラの毒が回ってはまず助からないですもの」

エリス「……恐ろしいこと」

017「そうですわね」(そんな人間を相手にするのだから、情報部員なんて因果な商売だこと……)

エリス「…ジェーン様、少し手を握っていて下さいます?」

017「ええ……」

………

…十数分後…

ストーンウッド「さて、どうやら飲み物は行き渡ったようだ……ではそろそろ、皆様をお招きした本当の理由をお話するとしましょう…もっとも、この中の何人かはすでにご存じだとは思うが……」周囲を見回して皮肉っぽい笑みを浮かべた…

一同「「…」」

ストーンウッド「……実は皆様をお招きしたのは、とある物の「商談」を行いたいからなのです…もっとも、同業者ばかりでは落ち着かないでしょうから、何人かは関係のない御仁も交じってはおりますがね」

イタリア人「なるほど、商談ですか…で、物は何ですかな?」

ストーンウッド「ふふ、そう慌てずに……」

イタリア人「おお…これは失礼」

ストーンウッド「…さて、今回取引を行いたいと思っている商品ですが……王国が開発した「高純度ケイバーライト」の精錬法と、そのサンプルです」

イタリア人「なにっ!?」

オーストリア人「ほう…」

フランス女性「…」

ストーンウッド「取引期間はこれから三日間。その間ならばいつでも構いません、私に値段を耳打ちしていただければ結構。ちなみに価格は金(きん)で百万ポンドから…申し訳ないが紙幣だの小切手だのはお断りさせていただく。三日後までに一番高値をつけた方が品物を手に入れることになります……」

017「…なるほど、闇競り方式ですわね……」

ストーンウッド「…皆様の中にはおそらく連絡手段をお持ちの方もいることでしょうが、本国と相談するなら早めになさった方がいいでしょうな」

………


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