ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」 (716レス)
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558: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2021/08/09(月) 01:02:02.59 ID:zclCxpev0 …同時刻・談話室… 女生徒H「…うーん、分かりませんわね」 女生徒I「ええ。これは難解ですわ……」 ドロシー「…」 女生徒J「あ、あれは……そうですわ、ドロシー様ならお分かりになるかもしれません。 ドロシー様!」アンジェたちとはルートを変えて談話室の脇を通り抜けようとしたドロシーを見かけ、廊下に出て声をかけた… ドロシー「お…なんだジョセフィンか。 いきなり声をかけるからびっくりしたじゃないか…どうした?」 女生徒J「あぁ、それは…ええと……大したご用ではないのですけれど///」 ドロシー「構わないさ…ただこの後ちょっとした野暮用が控えてるんでね、早めに済ませてくれると助かるな♪」 女生徒J「ええ、それはもう…実は……」 ドロシー「……なるほど、間違い探しか」 女生徒H「そうなんです。ですが最後の一つだけ見つけられなくて…良かったら一緒に解いて下さいませんか?」 ドロシー「ああ、いいとも。 どれどれ…」 …そう言ってページに目を走らせるドロシー…職業柄、多くの文書やそっくりな贋作を瞬時に記憶、判別する機会が多く、ファームで鍛えられた観察眼は常に鋭く研ぎ澄まされている…それもあって容易く残りの間違いを見つけ出したが、あえてしばらく探すふりをした… ドロシー「んー……あ、これじゃないのか?」 女生徒I「ああ、これですわ!」 女生徒J「さすがはドロシーさんです」 ドロシー「なぁに、たまたまだよ…それじゃあな」 女生徒H「ごきげんよう♪」 …数分後… アンジェ「…そんなに長い距離だったかしら?」 ドロシー「なぁに、ちょっと可愛い女の子を口説いていたら遅くなってね…♪」 アンジェ「そう…私はてっきり途中で息切れしたのかと思ったわ」 ドロシー「…おいアンジェ、何度も言うが私の事を年寄り扱いするのはやめろ」 アンジェ「事実を認めたがらないのは頭が固くなってきた証拠よ」 ベアトリス「もう、二人とも相変わらずなんですから♪」 ドロシー「やれやれ、ベアトリスにまで笑われちまうとはね…いいからさっさと済ませようぜ?」 アンジェ「それじゃあ今度は私が廊下に立つ……五分以内で済ませてちょうだい」 ドロシー「ああ」 …室内… ベアトリス「あ、かぼちゃの飾りがありますね…」 ドロシー「そうだな…王国側協力者の中には、あまりにもがちがちの王党派だと入り込みにくいグループや組織があるって言うんで、わざとこうやって開明的で共和派にも理解がある風を装った「敷居を下げる」偽装をしている連中もいるんだ……もっとも、ここで学生をしながらプリンセスの動向を報告しているような連中はたいてい小物だし、そこまでの考えがあってやってるわけじゃないだろうがね」 ベアトリス「なるほど…あ、ここに緩んだ羽目板がありますよ」 ドロシー「やるじゃないか……どうだ、何か見つけたか?」 ベアトリス「はい、何か冊子のようなものが……っ///」そう言って一冊の本を取り出すと、表紙を見て赤面した… ドロシー「どうした…おいおい、コードブックにしちゃあずいぶんと刺激的だな♪」他の場所を調べていたがベアトリスがどもると振り向き、表紙を見るなりニヤニヤ笑いを浮かべた… ベアトリス「もう…なんなんですか///」 ドロシー「そう言うな……ちょっと見せてくれ」 ベアトリス「…えっ!?」 ドロシー「別に私が読むわけじゃない。ただ、こういうのも大事な情報だからな……のちのちこれをネタにして脅したり、好みに合わせてハニートラップを用意したり出来るってわけだ」女学生同士のいかがわしい関係について書かれた読み物の本を受け取り、さっと中身に目を通す… ベアトリス「なるほど……」 ドロシー「…中身が気になるようなら音読しようか?」 ベアトリス「い、いりませんっ…///」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1520954906/558
559: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2021/08/10(火) 02:45:54.45 ID:IVWjJFmo0 …その日の夜… アンジェ「さて、今日の成果だけれど…」 ドロシー「王国側協力者三人分の通信手段とその暗号帳を確認。うち一人は受信メッセージの紙を処理し忘れていたおかげで「管理者」のコードネームや通信内容も確認できた」 アンジェ「結構、他には?」 ドロシー「たくさんあるぞ……調べに入った対象者のうちで王国側協力者ではなかったものの、面白いネタを持っていたのが何人かいる…「チェシャ猫」はクラスメイト数人と肉体関係を持っている仲だって事が分かったし「マグパイ(カササギ)」は常習的な喫煙者だ」 アンジェ「なるほど…」 ドロシー「…それと「ファイアフライ(ホタル)」は見た目こそしとやかな貴族の令嬢だが、後輩の女生徒を手籠めにするのが趣味のようで、部屋には飲み物に混ぜる睡眠薬や荒縄なんかが隠してあった」 アンジェ「なるほど…「ファイアフライ」といえばベアトリスにも親しげに声をかけているけれど……」 ドロシー「…もしお茶に誘われたら要注意だな」 アンジェ「それとなく警戒しておく必要がありそうね…それから?」 ドロシー「後は「チコリ」だが……」 アンジェ「どうしたの?」 ドロシー「それがな、どうやらお前さんにぞっこんらしい…」 アンジェ「…私に?」 ドロシー「ああ。平民で田舎者、不器用でフランス系のお前さんにだ……部屋には画家に描かせたらしいお前さんの小さな肖像画や、ああしたいこうしたいっていう秘密の日記帳が隠してあった…それとどこから手に入れたのか、髪の毛数本とかな」 アンジェ「そう…しかし私たちの立場上、必要以上の興味を引かれるのは好ましくないわね」 ドロシー「確かにな……とはいえ相手は「普通の」女学生だ。まさか消すわけにも行かないし、事を荒立てるのもまずい」 アンジェ「となると、しばらくはこのまま放置するしかないわね…」 ドロシー「そうだな……とにかく今日はくたびれた、休ませてもらうよ」 アンジェ「ええ」 ドロシー「ま、あと数日もすればハロウィーンだ…そのときは女学生らしく楽しむとしようぜ♪」 アンジェ「そうね……お休みなさい」 ドロシー「お休み♪」 …数日後・ハロウィーン… ちせ「皆、お早う…」 ドロシー「トリック・オア・トリート♪」 ちせ「…っ!」物陰から「わっ」と飛び出したドロシーに対して、反射的に正拳での突きを入れるちせ… ドロシー「おっと、私だから安心しな……お菓子をくれないといたずらするぜ?」鳩尾に叩き込まれそうになった突きをとっさに腕でガードすると、ニヤリと笑って手を出した… ちせ「全く、驚かすではない。 …ふむ、菓子といってもそう持ち合わせがあるわけでもないのじゃが……これならどうじゃ?」 ドロシー「いや、悪いね…って、なんだこりゃ?」掌の上に載せられた、ぎざぎざした星のようなものを見て眉を上げた… ちせ「金平糖という日本の伝統的な菓子じゃが…不服か?」 ドロシー「いいや、お菓子ならいいわけだからな。どれ、それじゃあ一つ味見してみるか……」ぽいと口の中に金平糖を放り込み、がりがりと噛んだ… ちせ「どうじゃ?」 ドロシー「味はただの砂糖みたいだな…さ、ちせも「トリック・オア・トリート」って言ってみろよ」 ちせ「うむ、しからば…トリック・オア・トリートじゃ」 ドロシー「あいよ…♪」そう言って派手なウィンクを投げると、紙袋に入ったクッキーを手渡した… ちせ「なるほど、これを言うだけで菓子がもらえる……なかなかいい日じゃな」袋をがさがさ言わせてクッキーを取り出すとつまんだ… ドロシー「ま、人によってはやらない連中もいるから一概には言えないが…カボチャかカブで「ジャック・オ・ランターン」が飾ってある場所ならたいていは大丈夫なはずだ」 ちせ「なるほど…せっかくの機会じゃから、あちこち巡ってくるとするかの」 ドロシー「菓子をもらうのはいいけど、一服盛られたりするなよ?」 ちせ「なに、心配無用じゃ……では、御免♪」 ドロシー「おう」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1520954906/559
560: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2021/08/13(金) 02:11:27.56 ID:ZwMkMxdK0 …しばらくして… ドロシー「しかし何だなぁ、まだ地味な方だから救いようがあるものの……ヴェニスのカーニバルじゃああるまいし、いつからハロウィーンにあんな仮装をするようになったんだ?」 アンジェ「本来は仮装なんてしないらしいわね?」 ドロシー「少なくとも古いアイルランドのしきたりにのっとったハロウィーンではそうらしいな……あの仮装ってのはここアルビオンか、新大陸あたりで始まった風習らしい」 アンジェ「なるほど…でもこうした風習が流行れば一つだけ都合のいいことがある」 ドロシー「仮装をしているから人相や風体を知られずに済む……だろ?」 アンジェ「その通りよ……というわけで、貴女にも用意しておいたわ」黒いマントと三角帽子、それに掃除用具入れから引っ張り出してきた箒を差し出す… ドロシー「あたしは魔女か…だったらどっかの「スノウ・ホワイト(白雪姫)」に毒リンゴでも仕込んでやらなきゃな♪」 アンジェ「ええ、ぜひそうしてちょうだい」 ドロシー「アンジェ、お前は?」 アンジェ「ええ、私はこれを……」二つのぞき穴を開けてあるだけの紙袋をかぶり、頭に崩れたシルクハットを載せる…服はよれて駄目になった燕尾服で、片脚で跳ねてみせた… ドロシー「スケアクロウ(カカシ)か…」 アンジェ「今だけはね。他の仮装もいくつか持っているから、途中で切り替えていくつもりよ」 ドロシー「それは私もさ……それじゃあ、また夜に」 アンジェ「ええ」 …数時間後・とある通り… カカシ「トリック・オア・トリート!」一軒の家の裏口を叩き、袋ごしのくぐもった声で呼びかけた… 中年男性「あぁ、はいはい……ハロウィーンね」 カカシ「…」ボロボロの燕尾服からすっとウェブリー・フォスベリーを取り出し「パン、パンッ!」と心臓に二発撃ち込んだ… 男性「う……ぐっ!」 アンジェ「…まずは一人目」蒸気で煙る街角を曲がるとカカシの燕尾服を捨て、白いシーツをまとった幽霊になった…… …同じ頃・裏通り… 貧しい子供「ねえ魔女のお姉ちゃん、お菓子ちょうだい…!」 汚れた子供「僕にも…!」 やつれた子供「おいらにも…!」 ドロシー「よーし、みんなにちゃんとやるから安心しな……ただ、今日はお菓子をもらうのに言うべき言葉があるだろう?」 やつれた子供「えーと…トリック・オア・トリート!」 ドロシー「正解だ。 そら、持ってけ♪」お菓子と一緒にさりげなく半クラウン硬貨も握らせるドロシー… やつれた子供「お姉ちゃん、これ…いいの?」 ドロシー「あたぼうよ♪ ただし、魔女のお姉ちゃんから一つ頼みがある……角に立ってる茶色い山高帽のおじさんが見えるか?」共和国の連絡役が泊まっている木賃宿の向かいに陣取り、出入りを監視している王国防諜部員を指差した… 貧しい子供「うん、背の高いおじさんだね」 ドロシー「そりゃあお前たちからしたらな…とにかく、あのおじさんにしつっこくまとわりついて「トリック・オア・トリート!」をやってくれ……追い払われたり蹴飛ばされるかもしれないが、最低でも一分はねばるんだぞ」 汚れた子供「それだけでいいの?」 ドロシー「おうさ、それだけで十分だ……あとはその半クラウンを持って飯屋に行って、美味いものでも腹一杯詰め込めばいい」 やつれた子供「分かったよ…ありがと、魔女のお姉ちゃん!」菓子は誰かに盗られる前にその場で食べ、それから一斉に駆けだしていく子供たち… ドロシー「ああ(これで雪隠詰めになっている奴もどうにか抜け出せるはずだ…)」 子供たち「……トリック・オア・トリート! お菓子をちょうだいよ、おじさん!」 山高帽「何だ何だ……えぇい、うるさい! あっち行け!」 子供たち「トリック・オア・トリートだってば! お菓子くれないならいたずらするよ!」 山高帽「ええい、まとわりつくなっ…このガキ共が!」子供にまとわりつかれて監視の邪魔になる上、目立つ状態に置かれて焦る防諜部員……いらだって腕を振り回したり蹴ろうとすればするほど子供たちはちょこまかと動き回りはやし立てる… 青年(共和国連絡員)「…」その隙を逃さず、連絡員はするりと裏通りの陰へと姿を消した… ……… … http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1520954906/560
561: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2021/08/13(金) 03:27:08.80 ID:ZwMkMxdK0 …一方・メイフェア校… 女生徒「トリック・オア・トリート!」 女生徒B「はい、お菓子…♪」 女生徒C「トリック・オア・トリート…お菓子をくれないといたずらするわよ!」 女生徒D「お菓子ね…はい、どうぞ」 ちせ「ふぅむ…ただ菓子をやったりとったりするだけでなく、魑魅魍魎の格好もするのが「ハロウィーン」とやらの風習か。 何とも奇っ怪じゃのぅ……」妙に感心しながら菓子をつまむちせ… ちせ「しかしこの「南京(なんきん)」の菓子はなかなか…「いもくりなんきん」とは上手いことを言ったものじゃ」 (※南京…カボチャの通称。中国から伝来したことからこう呼ばれ「いもくりなんきん」とは「いも(サツマイモ)」「栗」「なんきん」で、江戸時代に女が好きなものとしてよく言われた) ちせ「……さて、プリンセスとベアトリスはまだ公的行事でこちらには戻ってきておらぬし…もう少し「トリック・オア・トリート」して行ってもよかろう」 …とある部屋… ちせ「失礼いたす」 しとやかな女生徒「あら、ちせさん…ごきげんよう、何かわたくしにご用事?」 ちせ「うむ、一つ言わせてもらわねばならんことがあるのじゃが……」 しとやかな女生徒「あら、何かしら…?」 ちせ「では、はばかりながら……トリック・オア・トリートじゃ」 しとやかな女生徒「あぁぁ、そういうことでしたのね…では遠慮せずお入りになって?」 ちせ「かたじけない」 しとやかな女生徒「いいえ。でもちせさん、せっかくのハロウィーンなのに制服だなんて……いい機会なのだから仮装でもしたらいかが?」 ちせ「ふむ…とはいえ仮装の持ち合わせなどありはせぬし、そもそも何をどうすれば良いものやら……」 しとやかな女生徒「言われてみれば、ちせさんは経験が無いから分からないですわね…あ、ならわたくしが仮装をお手伝いして差し上げますわ♪」 ちせ「いや、そのような手間をとらせるのは…」 しとやかな女生徒「まぁまぁ、そんな遠慮をなさらないで……ね♪」さりげなく後ろに回り込んで身体をすりよせ、両肩をやんわりとつかんでいる… ちせ「し、しかし……///」 しとやかな女生徒「過ぎたる遠慮はかえって無礼というものですわ、わたくしの好意…どうかお受け下さいな」 ちせ「そ、そこまで言われては……では、お願いするといたそう」そのまま柔らかな手つきで押され、椅子に座らされるちせ… しとやかな女生徒「あぁ、良かった…♪」 ちせ「それで、いったいどうすれば良いのじゃ?」 しとやかな女生徒「まぁまぁ、まずはお茶でも召し上がりになって…もちろんお菓子もありますわ♪」丁寧に紅茶を注いでから「ミルクと砂糖はどのくらい?」と聞き、ちせの注文通りふたさじの砂糖とミルクを入れた… ちせ「かたじけない…」ふたさじにしては甘過ぎるような気がする紅茶をすすり、ルバーブの砂糖漬けが入った小さなパイをひとつ食べた… しとやかな女生徒「ふふふ……お代わりはいかが?」にこにこしながらちせを眺めている女生徒……口角にえくぼを浮かべ、紅茶をすすめてくる… ちせ「いや、もう十分じゃ…して、仮装とやらのやり方を指南してもらえるという話であったが……」 しとやかな女生徒「ええ、それはもう……でもまずは制服を脱がないといけませんわね?」 ちせ「なに…?」 しとやかな女生徒「だってそうではありませんこと? 仮装をするのですもの…制服の上からでは動きにくいでしょうし、それに上から着込むのでは暑いと思いますわ♪」 ちせ「それはそうかもしれぬが……しかし、人前で服を脱ぐとなると少々気恥ずかしいのじゃが///」 しとやかな女生徒「まぁ、遠慮することはありませんわ…ここにはわたくしとちせさんしかおりませんし…それにわたくしたちは女の子同士で、殿方がいるわけではありませんもの♪」そう言いながらちせの手に自分の手を重ねる女生徒…… ちせ「確かにそれはそうじゃが…///」そう言っているそばから泥酔したときのように視線が揺らぎ、頭がくらくらしてくるちせ……目の焦点が定まらず、優しげな女生徒の微笑みが四つにも五つにもぼやけて見える… しとやかな女生徒「あら、ちせさん…どうなさったの?」 ちせ「いや、あい済まぬ……どうも目まいがしてかなわぬゆえ、部屋に戻ることにいたそうかと」 しとやかな女生徒「まぁ、それは大変…でも、その様子では歩くのも難しいでしょう……わたくしのベッドをお貸ししますから、しばらくお休みになられたら?」 ちせ「いや、心配無用じゃ……!」鍛えられた身体と強固な意志の力でどうにか立ちあがると、詫びを言って部屋を出た… しとやかな女生徒「……ふぅ、あと一息と言ったところだったのですけれど…でも、欲張りはいけませんわね……くふふっ♪」お茶の道具を片付けクローゼットを開けると、乱れた制服に縄をかけられ、口にハンカチーフのさるぐつわをかまされた小柄な生徒が愛液をしたたらせ、情欲にとろけたような表情を浮かべている… しとやかな女生徒「…なにしろ、一匹目の蝶々はちゃんと糸にからめたのですもの……ね♪」小柄な女生徒を見おろし、ねっとりとした笑みを向けた… http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1520954906/561
562: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2021/08/16(月) 02:15:58.52 ID:chh5Mciy0 …しばらくして・部室… アンジェ「ふぅ…どうにか午後だけで二人始末する事ができたわね……」 …いくどか仮装を変えつつ王国情報部のエージェントを片付け、最後は中世の医師を模したフードと鳥のようなマスクの仮装で戻ってきたアンジェ…一日中歩いたりバスに乗ったりと休む暇もなく、さらには尾行に対する予防措置もあってうんと回り道をしたため、脚はすっかり棒のようで足裏がじんわりと熱く、洗面器に張った冷水に足を浸けている… アンジェ「ドロシーもまだのようだし、少し休憩しようかしら…」 アンジェ「とりあえずちせには戻ったことを伝えておかないと……」 …壁の掛け時計を見るとまだ夕食には時間がある…足を水で冷やしていたしばらくの間はレースをあしらった白いペチコートとビスチェだけで椅子に腰かけていたが、ちせの部屋に顔を出して戻った事を伝えるため脚の水滴を拭ってストッキングを履き、制服をまとって眼鏡をかけた… アンジェ「これでいいわ……」部室に誰かが忍び込んでも分かるよう「保安措置」の髪留めピンをドアノブに載せて鍵をかけ、何事もなかったかのように歩き出した… …ちせの部屋… ちせ「…誰じゃ?」 アンジェ「アンジェだけれど、入ってもいいかしら」 ちせ「うむ、入ってくれ……」 アンジェ「ちせ?」ドア越しに聞こえる力の抜けたような声を聞いて眉をひそめ、身構えつつドアを開けた… ちせ「ここじゃ……ぁ///」ベッドにもぐり込み、壁の方を向いて身体を丸めている様子のちせ… アンジェ「…今戻ったわ。ドロシーたちはまだのようだから……どうしたの?」 ちせ「アンジェどの……ぉ///」 …布団をめくって顔を出したちせはとろんとした目つきで頬を赤く染め、いつもはきりりと引き締まっている口元を半開きにして涎を垂らしている…そして折り目正しくきちんとしたちせにはあり得ないが、制服は床に脱ぎ散らかされ、切ないような甘ったれたような声をあげている… アンジェ「ちせ、誰に何を盛られたの…何をしゃべらされた?」 ちせ「何もしゃべってなど……おらぬ……ただ、ハロウィーンの菓子と茶をごちそうになって…数分もしないうちに……///」 アンジェ「…お茶を飲ませたのは誰?」 ちせ「メイナードの令嬢じゃ……」 アンジェ「メイナード…メイナード伯爵令嬢のこと?」(ベアトリスを狙っていた「ファイアフライ」ね…) ちせ「うむ…菓子も茶もあちらが食べ、かつ飲むのを見てから口にしたのじゃが……///」 アンジェ「おおかた先に中和剤を飲んでおいたのね…それで?」 ちせ「数分もしないうちに…まるでいつぞや酩酊した時のように頭がくらくらして……どうにか戻ってきたのじゃが…それから身体が火照って…しかたないの…じゃ///」 アンジェ「分かった。様子を見るから布団をめくるわね」 ちせ「いや、それは……///」 アンジェ「何を隠し立てするつもり? 貴女の状態を確認しなければいけないのは分かるでしょう…!」力なく首を振るちせの布団をなかば強引に引き剥がした… ちせ「///」 アンジェ「…ちせ、貴女」 ちせ「だから…言ったのじゃ……ぁ///」 …赤子のように身体を丸め、ネグリジェ姿でベッドに入っていたちせ……その右手は花芯をねちっこくかき回し、溢れた愛蜜でふとももからネグリジェ、そして敷き布団までがぐっしょりと濡れている… アンジェ「……いつから?」 ちせ「…分からぬが…メイナード嬢の部屋には日も暮れなんとする黄昏時に訪ねて……それからずっと……んんっ///」ぐちゅっ、にちゅ…っ♪ アンジェ「だとすると、かれこれ一時間半くらいね…」 ちせ「アンジェどの……どうにかしてくれぬか…まるで下半身がしびれたように…気持ちよくて…一向に……指が止まらぬのじゃ……ん、んあぁぁ///」ちゅぷっ、くちゅ…♪ アンジェ「分かった。どのみちそろそろ効果は切れるはずだけれど……後は私に任せればいい」 ちせ「頼む…///」くちゅ…っ、とろ…っ♪ アンジェ「ええ」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1520954906/562
563: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2021/08/21(土) 11:13:33.18 ID:BhNVgAfP0 アンジェ「それじゃあ、始めるわ……」 ちせ「はぁ、はぁ…後生じゃから、早く……っ///」 アンジェ「ええ」 …アンジェはスカートとペチコートを脱ぐとベッドに上がり、ちせの小さな身体にまたがった…ふともも越しに触れるちせの身体はしっとりと汗ばみ、熱いくらいに火照っている…そのまま足元から手を差し入れてネグリジェをまくり上げると、引き締まった身体があらわになる… ちせ「んぁぁ…はぁ、はぁ……んくっ///」 アンジェ「ちせ…」ちゅっ…♪ ちせ「あっ……///」 アンジェ「ん…ふ……ちゅっ、ちゅる…っ……」 ちせ「んぅぅ…あ……んむ…っ///」 アンジェ「ここも…すっかり固くなっているわね……」小ぶりな乳房に指を這わせ、桜色をした先端を軽くつまんで引っ張る… ちせ「あふっ、ん…っ///」 アンジェ「…ちゅっ、れろ……っ♪」 ちせ「ふぁぁんっ…そんな、な…舐め……っ///」 アンジェ「ちゅぅ、ちゅぅ…じゅるっ、れろ…っ……♪」顔を近寄せて舌先からちせの胸へと唾液を垂らすと、それを舐めとるように吸い付き始めた… ちせ「あ、あぁ……んぅっ…///」 アンジェ「汗ばんでいるせいかしら、少ししょっぱいわね……れろっ、んちゅ…ちゅむ……♪」 ちせ「ふあぁぁ…♪」 アンジェ「それじゃあ、今度はここを……」ちせの指を花芯からゆっくり引き抜いて手をどかすと、代わりにアンジェ自身の細い指を滑り込ませた… ちせ「ふわぁぁぁ…あっ、あぁぁん……っ♪」ぬちゅっ、ぷしゃぁぁ…っ♪ アンジェ「…イったみたいね」 ちせ「んんぅ、はぁ…あぁ……んぅぅ♪」 アンジェ「…入れただけで果ててしまっては張り合いがないわね。 それに、貴女もまだ火照りが収まらないようだから……色々と試させてもらうとしましょう」 ちせ「んえ…?」 アンジェ「大丈夫、すぐに分かるわ…最近はこっちの練習がすっかりおろそかだったし……(それにプリンセスとも機会がなかったから…)」 …いつもの冷めた表情に少しだけ情欲をにじませ、ちせの秘部にぬるりと二本目の指を滑り込ませる…そのまま膣内に第二関節まで入れると、唇をキスで塞ぎつつゆっくり動かした… ちせ「んっ、んむぅぅ……っ♪」 アンジェ「ちゅるぅ…むちゅ……れろっ、じゅるぅ…っ♪」 ちせ「ふー、ふーっ……んぐぅ゛ぅ…っ♪」ぐちゅっ、ぢゅぷ…っ♪ アンジェ「…ちせ、貴女は体力があるしまだまだ大丈夫のはずだから……続けるわね」 ちせ「あひっ、はひぃ…っ♪」 アンジェ「それじゃあ、今度はこっちにも入れてあげるわ…」それまでやんわりと乳房を揉みしだいていた左手を離すと人差し指を舐めてたっぷりと唾液を付け、それをきゅっと引き締まったちせのヒップに這わせ、それからアナルに滑り込ませた… ちせ「一体なに……んひぃぃっ♪」 アンジェ「…こういう経験は乏しいでしょうから、ゆっくり慣らしていってあげるわ」 ちせ「んあぁ…ふあぁぁ……♪」前後に指を入れられ、巧みな技巧でねっとりと責められて喘ぐちせ…… アンジェ「何も恥ずかしがったり気兼ねすることはないから……思う存分声をあげてよがるといいわ」 ちせ「あっ、あっ……あ゛ぁ゛ぁぁ…っ♪」 アンジェ「ふふ、よくイったわね……ご褒美にもう一度キスしてあげる…」ちゅっ…♪ ちせ「あふぅ…はひぃ……ぃ♪」 ……… … http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1520954906/563
564: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2021/08/24(火) 01:50:21.63 ID:rJmTyEgW0 …数時間後・部室… ドロシー「…よう、アンジェ」 アンジェ「ドロシー、戻ってきていたのね」 ドロシー「ああ…ついさっきな」 アンジェ「その様子だと上手くいったようね」 ドロシー「当然さ……♪」黒マントにドレスの洒落た姿には似つかわしくないだらしのない姿勢で座り、テーブルの上には仮面舞踏会で使うようなヴェルヴェットの仮面が放り出してある…仮面のかたわらにはブランデーの瓶が置いてあって、その隣のカットグラスには琥珀色をした液体が親指の幅ほど注いである… アンジェ「そう…それを聞いて安心したわ」 ドロシー「おやおや、ずいぶんと信用がないんだな?」 アンジェ「別にそういうわけじゃないけれど……ところで」 ドロシー「ん?」 アンジェ「実は貴女が戻ってくる前にちょっとしたことがあって……」年下好きの貴族令嬢にちせが媚薬を盛られた顛末を説明した… ドロシー「ほーん……それじゃあさっきまでちせの相手をしてやってたのか」 アンジェ「ええ…すっかり出来上がっていたから私がどうこうするほどのものでもなかったけれど……」 ドロシー「まぁ、お疲れだったな……それで?」 アンジェ「…何が」 ドロシー「とぼけるのはよせよ…要は「お味はいかがでしたか?」ってことさ♪」 アンジェ「そういうことを他人(ひと)に話すような趣味はないの」 ドロシー「はは、冗談さ……しかしそうなるとあのお嬢様につけた「ファイアフライ(ホタル)」ってコードネームは変えた方がいいかもしれないな。あれはファイアフライよりもっとタチが悪い」 (※ホタル…欧米では日本のような「はかなく光る」イメージよりも、獰猛な肉食昆虫である幼虫のイメージが強いとされる) アンジェ「何か候補が?」 ドロシー「そうだな…例えば「スパイダー(蜘蛛)」とか」 アンジェ「悪くないわね…」 ドロシー「あとは「マンティス(カマキリ)」でもいいかもしれないな……どっちも交わった相手のことを食っちまうって言うし、しとやかなふりをして寄宿舎の可愛い娘たちを食い散らかしているメイナードのお嬢様にはぴったりだぜ?」 アンジェ「そうね」 ドロシー「だろ? ところでアンジェ、今日は一日歩き詰めだったはずだが…ハロウィーンの菓子はもらえたか?」 アンジェ「…仮装をしているのにカゴに何にも入っていなかったらおかしいし、焼き菓子の数個は用意しておいたけれど……もらえていなかったらどうなの?」 ドロシー「さあな。まぁ「トリック・オア・トリート」って言ってみれば分かるだろうよ」 アンジェ「ふう…どうせ貴女の事だから、私が言うまでやいのやいのとせっつくんでしょう……トリック・オア・トリート」 ドロシー「おめでとう、よく言えました…そらよ♪」 アンジェ「……これは?」リボンのかかった紙袋を受け取るとリボンをほどき、包みを開けた…中には上手に出来ている手作りとおぼしき半ダースあまりのクッキーと、数切れのパウンドケーキが入っている… ドロシー「クッキーとパウンドケーキさ」 アンジェ「そんなことくらい見れば分かるわ…で?」 ドロシー「今日は妙に鈍いじゃないか……まだ分からないか?」 アンジェ「……ドロシー、もしかして…これ///」よく見ると菓子の出来に見覚えがある… ドロシー「ああ、もしかしなくてもそうさ」 アンジェ「だとしたら、一体どうして貴女が…?」 ドロシー「お前さんがなかなかやって来なかったから、代わりに渡すよう頼まれたのさ……それと、クッキーだけじゃなくて伝言もひとつある……誰からのメッセージかは言わないが「お菓子はあげたけれど、いたずらもして欲しいからお部屋で待っています…♪」だそうだ」 アンジェ「ええ、分かった…///」 ドロシー「やれやれ、これでようやく私もベッドに行けるってわけだ……それじゃあハロウィーンの夜を楽しんでくれ♪」残っていたブランデーを流し込んでグラスと瓶を隠しスペースにしまい込むと、手をひらひらと振って出て行った… アンジェ「お休みなさい…」ドロシーを見送ると、クッキーをひとつ手に取って口へ運んだ… アンジェ「……美味しい///」 ……… … http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1520954906/564
565: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2021/08/28(土) 13:42:08.98 ID:Mq/Nk66k0 …case・アンジェ×ドロシー「The forgery」(贋作)… …アルビオン共和国・とある港… 税関吏「…ここで下ろす積荷はこれだけだな?」制服姿の税関吏が通関書類とにらめっこをしながら箱を数え、送り状をあらためる… 船長「ええ、そうです」 税関吏「それで、この箱の中身は……家具とあるが?」 船長「依頼主からはそのように伺っております」 税関吏「ふむ…ま、いいだろう」手に持った書類にさらさらとサインをすると船の舷梯(タラップ)を降りはじめた… 船長「いいぞ、荷下ろしを始めろ!」 …税関吏が埠頭に降り立つと、まるでそれを待ちわびていたかのように港の蒸気起重機が動きだして大きな真鍮の歯車が回り、パイプやあちこちの隙間からシューッと音を立てて白い蒸気が噴き出す… 水夫長「ほら、ロープをかけろ!何をもたもたしてる!そんなんじゃあ日が暮れちまうぞ!」 掌帆長「とっととやれ!だらだらするな!」 水夫「えんやこら…どっこいしょ!」 水夫B「よーし、いいぞ!上げろ!」木箱がロープでくくられ結び目が起重機のフックに引っかけられると、蒸気の響きと共にアームが上昇してロープがぴんと張り、きりきりと軋む音を立てながら大きな箱が徐々に釣り上がる… 税関吏B「…や、ご苦労さん。次はあの船だな」 税関吏「まだあるのか、全く忙しいったらありゃしない……次の船を検査する前に休憩して、詰所でお茶でも飲もうじゃないか」 税関吏B「いいね…」そう言って二人で税関詰所へ歩き始めた… 荷役労働者「よーし、そのまま…そのまま……」 …やり取りこそ荒っぽいが、それまでは手際よく進んでいた荷下ろし作業…ところが数個目の箱がクレーンで吊るされ埠頭の上で揺れていると、不意に木箱に結びつけられていた太いロープのささくれた部分が「メリメリ…ッ」と音を立ててほぐれ始め、あっという間にぷっつりと切れた… 水夫「おいっ!」 荷役労働者「危ないっ!」 税関吏「何だ…っ!?」持ち上げられていた木箱が埠頭に落ち、中のアンティークものの家具が壊れてバラバラになって飛び散った… 税関吏B「あーあ、こりゃあひどいことになったな……っ!?」 …壊れた椅子のクッション部分がすっかりめくれて、中の詰め物がはみ出している……が、その詰め物は当たり前の白い綿ではなく、共和国の人間が見慣れたデザインをしたとある紙の束だった… 税関吏「こいつは……すぐ情報部に連絡しろ!」 ……… … …数日後・コーヒーハウス… ドロシー「…ずいぶんと唐突な呼び出しだな、何があった?」 7「ええ、実は少々急を要する事態が発生して……王国側に気取られる前に事を済ませたいから、貴女たちも投入することになった」 ドロシー「ほほう?」 7「今回はまず、とある人物を確保して所定の場所に「配達」してもらいたい…詳細はメールドロップに」 ドロシー「分かった」 7「それじゃあ、よろしくお願いするわ」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1520954906/565
566: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2021/08/29(日) 02:02:01.29 ID:J1ecVcy00 …数時間後・部室… ドロシー「どうだった?」 アンジェ「…さっき暗号を解読したけれど、明日のうちには対象人物を届けるよう指示されていた。普段は綿密な工作を要求するコントロールだけに、これだけせわしないのは珍しいわね」 ドロシー「それだけ尻に火が付いている事態だってことだろうよ…で、その「対象人物」とやらはどんな奴だ?」 アンジェ「ええ……情報によると対象はアンティークの美術品を扱っている老人で「トーマス・フロビッシャー」を名乗り、髪は白髪で目は淡いブルー、身長は5フィートそこそこ」 ドロシー「小柄な爺さんだな…他に特徴は?」 アンジェ「ないわ」 ドロシー「ずいぶんあいまいだ…」 アンジェ「そういう意見もあるわね。それと、店の場所はここ」指示書と一緒に入っていた薄紙を法則に従って地図に重ねると、一点を指し示した… ドロシー「分かった、それじゃあ急いで支度をしよう……もし爺さんをさらうとしたら、誰かに見られても人相や風体が捉えにくい黄昏時にしたいし、現地の様子を確かめる時間も二時間はいるからな」 アンジェ「ええ」 ドロシー「よし、そうと決まれば車を用意してこないとな…その間にそっちも準備を整えておいてくれ」 アンジェ「そうするわ」 …黄昏時… ドロシー「ここか…」 アンジェ「ええ」 …しばらく車を流して公安や防諜部の見張りがないことを確かめると、小さな間口の店の前にロールス・ロイスを乗り付けた…ドロシーは黒のシルクハットに燕尾服、長髪を結い上げて帽子の中に隠して男装をし、アンジェはペールグレイのドレスに長いケープをまとい、顔はボンネットの陰に隠れている…店の入口の脇には小さく古びてはいるが良く磨かれたマホガニーのプレートがあり、かすれかけた金文字で「古美術商、トーマス・フロビッシャー」とある… ドロシー「…ごめんください」 老人「いらっしゃいまし……」 …入口を開けるとカランコロンと鈴の音が鳴り、カウンターの奥にいた老人がゆっくりと出てきた…老人は白髪で小さいレンズの丸眼鏡をかけ、地味な格好をしている…店内は古びた布が発しているかすかなカビの臭いや絵画のテレピン油、ニスや木材の匂いが合わさって、いかにも年季の入った骨董品屋の雰囲気をかもし出している…床にはロココ調やバロック調の家具が所狭しと置いてあり、壁にはくすんだ額縁に入った絵画やリトグラフが飾ってある… 老人「…いかがです、何かご興味がございますか?」 アンジェ「ええ…これは素敵な絵ですね」 老人「おや、こちらがお気に召しましたか……お若いレディはお目が高くていらっしゃる、こちらはかのエドゥアール・マネが「すみれの花束をつけたベルト・モリゾ」の構想を練るため別に描いた物でして……」 ドロシー「…それじゃあこれは?」 老人「こちらはフラゴナールの作品ですな…元はとあるフランス貴族が所有していた物なのですが、家が没落し手放さざるを得なくなったものでございます」耽美で柔らかな色づかいで描かれた、川沿いに建つフランスの館(シャトー)を描いた風景画… ドロシー「そうですか…しかしフラゴナールにしては画題が珍しいですね。普通フラゴナールと言えば優美な雰囲気で上品にまとめた青年男女の絵か、神話をモチーフにした裸婦画が多いものと思っていましたが……」 老人「いかにも…フラゴナールはイタリア旅行の際には自然の風景を絵にしておりますが、建物を描いた物というのは珍しい……それだけにこの絵には価値があると申せましょう」 ドロシー「なるほど」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1520954906/566
567: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2021/08/30(月) 00:59:09.12 ID:3qHUnNkw0 アンジェ「それじゃあこれは?」 老人「ああ…これはですな、当時のパリで作られた……」 ドロシー「…」コートの下からナイフを抜くと、いきなりクッションの部分に突き立てて表地を切り裂いた… 老人「何ということを…この椅子は十六世紀のアンティークだというのに!」 ドロシー「…アンティークが聞いてあきれるぜ、どれもこれも贋作のくせしやがって」 老人「何を言うか、このルイ王朝時代の家具を贋作じゃと!?」お客相手のへりくだった言い回しを使うことも忘れ、真っ赤になっている… ドロシー「下らない芝居はやめな…骨董品もお前さんの素性も真っ赤な偽物だって事くらい分かって来てるんだよ、こっちは」 アンジェ「…それに本物のルイ王朝時代の家具だったらここの曲線はもっと柔らかく、色はもっとくすんでいる」 老人「……ほう、二人とも若い娘のくせになかなかの鑑定眼じゃな」すっかり調べ上げられている事を理解して、急に大人しくなった… ドロシー「商売柄そういう機会が多いものでね。それじゃあトーシロ相手の商売はお休みにして、一緒にドライブとしゃれ込もうじゃないか…」 老人「その上でわしの頭に鉛玉を撃ち込んでテムズ川へ放り込むのか…?」 ドロシー「ああ、本来ならな……だが、まだお前には重さ200グレインの鉛玉一発よりは価値がある、逃げようとしなければ脳天をぶち抜く真似はしない」 老人「…信用できるのか?」 ドロシー「少なくともここのアンティークよりゃな」 老人「……分かった」 ドロシー「よし…」軽く指を動かして合図すると、アンジェが後ろに回って老人の腰に銃を押しつけた…押しつけた銃そのものはまとっている長いケープに隠れて外からは見えない… ドロシー「それと今さら言うことでもないだろうが、おかしな真似はするなよ?」 老人「分かっておる。こんな年寄りじゃが、それでもまだ長生きはしたい」 ドロシー「いい心がけだ……どうもこの世界では命を無駄にする人間が多いもんでね」 老人「…それで、どこに連れて行くつもりなのかね?」 ドロシー「おいおい、言ったそばから寿命を縮めるような真似はするなよ…余計なせんさくは怪我の元だぜ?」 老人「沈黙は金(きん)…か」 ドロシー「その通りさ……それと目隠しもさせてもらう。ロンドンの眺めを見られなくて残念に思うが、これもお互いの健康のためだからな」 老人「ああ、それもやむを得まい…」 …車内… 老人「ところで、どうしてお前さんたちのような若い娘がスパイ稼業なんぞをしとるんじゃ…?」 ドロシー「さぁ、どうしてだろうな♪」 アンジェ「…あなたこそ、一体どうして贋作作りなんてしていたの?」 老人「わしか……実はな、わしには昔エマという女房がいてな…もうあれが先立ってしまってから二十年にもなるが……」 アンジェ「それで?」 老人「そのころまだわしは「まっとうな」古美術商だったんじゃが、ろくろく稼ぐこともできんでな…貧しい生活をしている中でエマは病気になってしまって……」 ドロシー「なるほど…」 老人「うむ…で、あるとき古い無名の絵を買ってきて元の絵をすっかり削り落とし、そこに有名画家の画風を真似た絵を描いたところ、それがいい値段で売れての……エマに栄養のあるものを食わせてやったり、薬を買ってやるためにも金が入り用だったものじゃから、そのまま続けておったのじゃ…」 ドロシー「…ところがある日、なんの特徴もない男が二人ばかりやって来た」 老人「いかにも……連中は殴ったりこそしなかったが、女房の事を持ち出してきての」 アンジェ「あなたが刑務所に入ったら、病気の奥さんは面倒を見る人間もなしに亡くなってしまうだろう…と」 老人「その通りじゃ…それ以来、わしは連中の言うがままに贋作を作ってきた……」 ドロシー「もうその必要も無くなったな……よし、着いたぞ。 転ばないよう足元に気をつけな」 老人「うむ…」慎重に足元を確かめ、そろそろと車から降りた… ドロシー「それじゃあな、爺さん…」 アンジェ「……奥さんの事は気の毒に思うわ」 老人「おかしなもんじゃな…わしをさらったお前さんたちの方が、女房の事を気にかけてくれるなんてな……」そのまま共和国側のエージェントに支えられて、奥へと連れて行かれた… http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1520954906/567
568: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2021/09/04(土) 01:58:03.34 ID:3NuIQS9a0 …翌日… ドロシー「お帰り…それで、コントロールからは何だって?」 アンジェ「ただいま…任務説明は受けてきたから、今からかいつまんで説明するわ」 …部室に隠してある装備の中から、三インチ銃身のウェブリー・アンド・スコット・リボルバーを取り出して手入れをしているドロシー…アンジェはその向かいに腰かけると、テーブルに「メール・ドロップ」から取り出してきた任務概要と、暗記してきた詳細を伝達した… ドロシー「……つまりここに偽の共和国ポンドを印刷している施設があるって事か」 アンジェ「そのようね。そして王国情報部の部員はあの老人の店で偽の骨董品を「買い」込んで、共和国に向けて荷を送る……そしてその中には偽札が詰めてあり、それを壁の向こう側で使って共和国ポンドの信用を落としている」 ドロシー「そりゃあコントロールが躍起になるはずだ…」 アンジェ「ええ…通貨の信用(クレディット)は国の存続に関わる。特に王国と分裂した影響で金(きん)の保有高が少ない共和国は、もし「共和国ポンド紙幣は同額のポンド金貨と交換できない」と思われれば一気に国際的な信用を失い、共和国ポンドの価値が暴落する……そうした事態はどうあっても避けたい」 ドロシー「そして偽札作りの拠点がどこにあるか明らかになった以上、早めに手を打つ必要がある」 アンジェ「その通り」 ドロシー「……それにしても贋作の家具に詰めた偽札か。 まるで詐欺師が作ったクリスマスのチキンだな♪」 アンジェ「ええ」 ドロシー「…それで、この後は?」 アンジェ「偽札の流通ルートは確認できたし、共和国側で活動していた連中も押さえたと連絡があった…あとは製造拠点を叩くだけよ」 ドロシー「鉄火場ってわけか、久々に面白くなりそうだ…♪」にやりと不敵な笑みを浮かべてみせる… アンジェ「ドロシー、あくまでも私たちは情報部員よ…ちんぴらやギャングの「出入り」じゃない。冷静に、確実によ」 ドロシー「もちろんだ」 …数時間後・ネストのひとつ… ドロシー「よし…それじゃあ支度に取りかかろう」 アンジェ「そうね」 ドロシー「まずは銃…お前さんはいつも通りウェブリー・フォスベリーか?」二挺のウェブリーに.455口径の弾を込めつつ問いかける アンジェ「ええ」 ドロシー「分かった」 アンジェ「ドロシー、貴女は?」 ドロシー「見ての通りウェブリー・スコットが二挺と…それからこれを♪」少しだけニヤッと笑みを浮かべると、銃身を切り詰めた垂直二連の散弾銃を持ち上げた… アンジェ「弾は?」 ドロシー「今回は鳥撃ち用の細かい散弾を込めてある…とっさにぶっ放す時は役立つはずさ」そう言いながら手際よく弾を込めて銃尾をパチリと閉じると、服のポケットに予備の散弾をひとつかみねじこんだ… アンジェ「そうね。それから私はこれを…」よく研がれたナイフ二ふりと、細いワイヤーの両側に木の持ち手が付いた首絞め具を用意する… ドロシー「あとは施設をぶっ飛ばす訳だから、爆弾がいるよな…」器用なベアトリスがいくつか作り置きしていた時限装置と、束にまとめられている丸棒状の爆薬を用意し、腰のベルトに付いているループに引っかけた… アンジェ「ええ…特に「原版は確実に破壊しろ」とのことだったわ」アンジェは発煙弾をいくつかと、真鍮で出来た球状の手榴弾を三つほど腰に提げる… ドロシー「だろうな…」 アンジェ「これで準備は整ったわね……そっちは?」 ドロシー「ああ、こっちも準備万端だ」 アンジェ「そう、それなら最後にこれを…」事前に届けられていた「C・ボール」を保管用の筒から取り出し、これも腰に提げた… ドロシー「それじゃあ出かけようぜ…♪」出口を開けると「お先にどうぞ♪」と手で示し、ぱらぱらと降り始めた小雨を避けるように車に乗り込んだ… http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1520954906/568
569: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2021/09/11(土) 11:05:04.79 ID:iHlGpjVm0 …夜… ドロシー「…偽札作りの拠点はあそこか」 アンジェ「間違いないわね…表と裏手にそれぞれ見張りが二人」Cボールで飛び上がった建物の屋根の上から望遠鏡で様子をうかがう… ドロシー「やるんなら同時に片付けないとな」 アンジェ「ええ…」パチリと望遠鏡を畳むと、ドロシーの手をつかんで飛び降りた… …倉庫・裏口… 見張り「ふー……嫌な天気だな。こんな時の見張りは嫌いだ」しとしとと降る霧雨の中ハンチング帽をかぶり、コートのポケットに手を突っ込んで肩をすくめている… 見張りB「全くだな…なぁ、煙草あるか」安物のパイプを口にくわえながら、空っぽの煙草入れを開けて見せた… 見張り「なんだよ、切らしちまったのか?」 見張りB「いや…刻み煙草そのものは買っておいたんだが、来る時に詰めてくるのを忘れちまって……」 見張り「やれやれ、準備の悪い野郎だ…今回だけだぞ?」 見張りB「ああ……なぁ、ついでに火もあるか?」 見張り「なんだぁ?煙草もなけりゃあマッチも忘れて来たのかよ…そら」 見張りB「いや、マッチはポケットに入れておいたはずなんだけどな……悪ぃ」火が上手く点くようにすぱすぱとパイプを吸うと、ふぅっ…と煙を吐き出した… 見張り「ったく、今度からは忘れるんじゃ……ぐっ!」 見張りB「おい、どうした……うっ!?」喉元を締める細いワイヤーをかきむしり、脚をばたつかせていたがすぐ静かになる…… ドロシー「……片付いたぞ」 アンジェ「こっちも」 ドロシー「よし…」 …廊下… 見張りC「ふわぁ…あ」机の上に脚を乗せ、椅子にふんぞり返るようにして一日遅れの新聞をめくっている……と、物陰から音もなく黒いシルエットが近づいた… 見張りC「……むぐっ、ぐう…っ!」 …詰所… 情報部若手エージェント「…そーら、いただきだ」 若手エージェントB「くそっ……やめだやめだ、今夜はツいてねえらしい」カードをテーブルの上に放り出すと、伸びをしながら部屋を出て行こうとする… 年かさのエージェント「どこに行くんだ?」 エージェントB「ああ、ちょっと用を足してくる……」 …数分後… エージェントC「…なあ、エディの大将ずいぶんと遅くないか? 便所にいっただけだってのに……」 年かさ「確かに遅いな、誰か様子を…」 エージェントD「なーに、心配いらないさ…それより勝負するのか、降りるのか、どっちなんだ?」 エージェントC「それじゃあ……」ふっと冷たい風が廊下から入ってきて、煙草の煙が立ちこめる室内の空気をかき回した… エージェントC「ようエディ、ずいぶん遅かったじゃな……!?」ドアの方に頭を巡らしながら言いかけたところで表情が凍り付く… エージェントD「…っ!」 年かさ「あっ…!」とっさに卓上に置いてあったホルスターに手を伸ばす… ドロシー「…」バン、バンッ! エージェントE「銃声!?」 エージェントF「くそっ…!」 …隣の仮眠室で寝ていた交代要員数人が慌てて飛び起きた矢先に「コン、コン、コン…ッ」と床に金属が当たって弾む音を立てながらころころと真鍮の丸い物が転がってきて、一人の足元でころりと半回転して止まった…… エージェントE「危ない、伏せ…!」言い終える前に手榴弾が炸裂した… ドロシー「…これであらかた片付いたみたいだな」 アンジェ「そうね…」 ドロシー「それじゃあ残りを片付けよう…右側を頼む」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1520954906/569
570: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2021/09/19(日) 01:23:53.29 ID:uxoBpbXI0 エージェントG「…くそ、何としても原版を守れ!」 エージェントH「アトキンス、お前は味方に連絡を!」 エージェントI「はい!」遮蔽物の陰から飛び出し、戸口の方へと駆け出す… ドロシー「させるかよ…!」バンッ、バン…ッ! エージェントI「ぐは…っ!」背中に二発の銃弾を浴びよろめきながらドアにたどり着いたものの、そのまましがみつくようにして崩れ落ちたエージェント… エージェントH「ちっ…!」 ドロシー「…くそ、粘られたらこっちの負けだぞ!」 アンジェ「ええ…!」 エージェントH「いいか、味方が来るまで時間を稼げばいい!」散弾銃の弾を込め直しながら部下に声をかける指揮官格のエージェント… エージェントG「再装填する、援護を!」 エージェントJ「ああ!」 ドロシー「まずいぞ、このままじゃあ時間切れになる……っと、そうか!」アンジェがマントの内側にぶら下げている中から球形の発煙弾をひとつ取り、時限信管のぜんまいを巻いてから木箱の向こうに投げ込んだ… エージェントG「…うえ…っ!」 エージェントH「げほっ、ごほ…!」 エージェントJ「がはっ、げほっ!」 ドロシー「今だ!」バン、バンッ! アンジェ「ええ…!」パン、パンッ…バンッ! …数分後… アンジェ「……原版があったわ」 ドロシー「ったく、こいつが厄介の種か…こんなものはとっととぶち壊すに……ん?」ふと輪転機の脇に積んである木箱に目を留めた… アンジェ「どうしたの?」 ドロシー「ひゅー♪ 見ろよアンジェ、手が切れそうなほどのピン札だぜ? …しかもこんなにだ」まだふたがされていない木箱の中に、帯封付きの札束が大量に詰まっている…木箱に手を突っ込むと、ニヤニヤしながら紙幣の束をアンジェに見せびらかすドロシー…… アンジェ「…こっち側で共和国ポンドの紙幣を持っていても何にもならないし、どのみちそれは偽札よ」 ドロシー「分かってるさ……でもこれだけあると良い気分じゃないか?」カードを切るようにパラパラと札束をめくる… アンジェ「良かったわね。それより早く爆弾をしかけてちょうだい」 ドロシー「ちぇっ、相変わらず感情の希薄な奴だな……」 アンジェ「黒蜥蜴星人だもの」 ドロシー「そう言うと思ったよ…時間は?」 アンジェ「三分にしましょう」 ドロシー「それじゃあ出て行くのがやっとだな…準備出来たぞ」 アンジェ「ならもうここに用はないわ、行きましょう」 ドロシー「そうだな」最後に輪転機のかたわらに置いてあった機械油の缶を開けて、札束の入っている木箱に注ぎ込むとマッチを擦って放り込み、肩をすくめて立ち去った… …しばらくして・裏通り… アンジェ「…ドロシー、ちょっといい?」 ドロシー「ん?」 アンジェ「いいから…動かないで」すすけたレンガの壁にドロシーを押しつける… ドロシー「おいおい、今夜はずいぶん積極的じゃないか……」 アンジェ「とうとう頭までおめでたくなったのかしら……そこ、怪我をしているわよ」そう言って指差したドロシーの左腕からは、ゆっくりと血が滴っている… ドロシー「えぇ? …本当だ、どうもさっきからヒリヒリすると思ったんだ」 アンジェ「きっと散弾がかすめたのね……戻ったら手当をしてあげるわ」 ドロシー「えー、どうせ手当をしてくれるなら冷血なお前さんよりもベアトリスかプリンセスの方がいいんだけどなぁ♪」 アンジェ「どうやら胡椒かカラシでも擦り込まれたいようね……」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1520954906/570
571: ◆b0M46H9tf98h [saga] 2021/09/24(金) 01:47:18.26 ID:qxHGoxvW0 …深夜・部室… アンジェ「さ、手当をするわ」 ドロシー「悪いな……っ」そう言って上着を脱ごうと腕を動かした瞬間に傷口が痛み、ぎゅっと唇をかみ締めて渋い表情を浮かべた… アンジェ「痛む?」 ドロシー「ああ…撃ち合いの時は感じなかったが、落ち着いたら急に痛み出しやがった……」 アンジェ「どんな風に痛いか教えてちょうだい…痺れる感じ?」 ドロシー「いや、血管が脈打つたびにズキズキする感じだ」 アンジェ「なら神経は傷ついていないはずよ……何よりね」 ドロシー「…ちっとも嬉しくないぞ、痛いのは同じなんだからな」 アンジェ「それじゃあ文句を言っていないで、早く上を脱いで…ほら、これを飲むといいわ」琥珀色の液体が入ったカットグラスをコトリとテーブルの上に置いた… ドロシー「ああ、悪いな……マッカランの18年ものか」香りを嗅ぎ、目をつぶって一口含むと口の中で転がして味わった… アンジェ「ええ、痛み止めの代わりに」 ドロシー「そいつはどうも…今日は気前が良いな」 アンジェ「治療を始めた途端に貴女にぴーぴー泣かれたら迷惑だもの」 ドロシー「ったく、虫歯を抜かれる子供じゃあるまいし…そんなことで泣くかよ」 アンジェ「じゃあいらないわね」 ドロシー「そうは言ってないだろ…経費でいい酒が飲めるなら文句はないさ」上着を片手で脱いで下着姿になる… アンジェ「でしょうね……腕を出して」 …テーブルの上に古い布を敷き、その上に腕を置かせたアンジェ…軽く傷口を洗うと薬箱を脇に置き、しげしげと眺めた… ドロシー「で、どうだ?」 アンジェ「たいしたことないわ……縫合する必要もなさそうよ」 ドロシー「そりゃ良かった、この柔肌に傷が残るようじゃあ困るからな♪」 アンジェ「サメ肌の間違いじゃないかしら…いま軟膏を塗るわね」プリンセスが部室に置いている薬箱から、大変よく効くが同時に目玉の飛び出るような値段がする塗り薬を傷口に擦り込んでいく… ドロシー「おう……こいつはずいぶんと沁みるな」眉をひそめ、片手でグラスのウィスキーをあおる… アンジェ「我慢しなさい、情報部員でしょう」 ドロシー「お前は私の母ちゃんか? …終わったら教えてくれ」そう言って片手で「アルビオン・タイムズ」の夕刊をめくりだした… アンジェ「…何か興味深い記事は?」 ドロシー「んー…そうだな「去る二週間前、陸軍の『グレイ・ストリーム』連隊がドーセットシャーで演習を行った。演習結果は極めて好調であり、見事に仮想敵を打ち破った」そうだ」 アンジェ「その演習の結果なら、陸軍省に入り込んでいる情報源が確認したわね」 ドロシー「ああ、先週のやつだな…それから「本日『劇場版プリンセス・プリンシパル〜クラウン・ハンドラー・第二章〜』が公開され、おおむね好評であった」だって……もっとも、もう時計の針は零時を回っちまってるから「昨日」のことになるけどな」 アンジェ「そうね……さあ、終わったわよ」 ドロシー「相変わらず手際が良いな…」感心したように言うと腕に巻かれた包帯を眺め、軽く手を開いたり閉じたりしてみるドロシー… アンジェ「黒蜥蜴星では必須の技能よ」 ドロシー「そうかよ…とにかくありがとな」 アンジェ「どういたしまして……ところでドロシー」 ドロシー「ん?」 アンジェ「少し、いいかしら…///」ドロシーの横に腰かけると、身体を寄せた… ドロシー「あ、ああ…そりゃ、構わないけどさ……アンジェからだなんて珍しいな」 アンジェ「ええ、まぁ…その…このところプリンセスは公務で忙しくて……///」 ドロシー「それに、撃ち合いの後は妙に血がたぎる……か?」 アンジェ「それもあるわ…///」 ドロシー「……傷の所には触らないでくれよな?」 アンジェ「もちろん///」ちゅ…っ♪ http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1520954906/571
572: sage [] 2021/09/24(金) 08:03:26.76 ID:C+LEEkTI0 第二章、確かにおおむね良かったですね いずれ劇場版キャラも出して貰えると嬉しいです http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1520954906/572
573: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2021/09/25(土) 01:54:19.18 ID:OVjaGCgX0 >>572 まずは意見をありがとうございます 個人的には「第二章」はちょっとストーリー展開が忙しい感じで、黒幕を出すのは第三章あたりに引き延ばしても良かった気がしないでもないですが、出来は相変わらず良かったですし見応えがありましたね それと劇場版のキャラですが、いずれどこかで出してみても良いかなと思いつつ、公式のストーリー展開が(その人物の「退場」等)どうなるか分からないのでちょっと難しいかもしれません……ただ、回想か何かで「委員長」とかも少し出してみたいとは思います http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1520954906/573
574: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2021/09/26(日) 01:00:40.24 ID:dBec+Ixp0 このままアンジェ×ドロシーを続けようかと思ったのですが、何となくキリが良い感じなので次のエピソードに移行させようと思います…アンジェ×ドロシー(ドロシー×アンジェ)はお互いに背中を預けられるよき相棒として描きやすいので、また機会があれば百合百合しい場面を入れていく予定です http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1520954906/574
575: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2021/09/26(日) 01:43:21.61 ID:dBec+Ixp0 …case・アンジェ×プリンセス×ベアトリス「The Thirteens apostle」(十三番目の使徒)… …とある日… ドロシー「さて…と、今回の任務を説明しよう」勢揃いしている「白鳩」の面々を見回すと、紅茶を一口すすってから話し始めた… アンジェ「お願いね」 ドロシー「ああ…詳しい内容は省略させてもらうが、以前アンジェと私が任務中にかち合った教皇庁からの工作員について調べがついたとコントロールから連絡があった」 ちせ「教皇庁?」 ドロシー「ああ、ローマ・カトリックの総本山…いわゆるバチカンだな」 プリンセス「その教皇庁のスパイがどうしてここ、アルビオン王国に?」 ドロシー「理由は簡単さ。アルビオンには世界を制する力の源「ケイバーライト」があり、そしていま王国は揺れている」 アンジェ「ドロシーの言うとおり…すでに幾度も聞かされているとは思うけれど、王国には様々な勢力が乱立している……」 アンジェ「…例えば、綿々と続いてきた王国の歴史を守らんとする保守派と、新しい力である共和国に対抗するためには自分たちも変わらなければならないと考える革新派…それからアルビオン国教会とそれに対抗する親フランスのカトリック教徒、王党派に共和派、王制に不満を募らせている労働者階級や植民地出身者、アイルランドやウェールズ、スコットランドの独立主義者……挙げだしたらキリがないわ」 プリンセス「そうね」 ドロシー「…それだけじゃない。女王の後継者を誰にするかで、それぞれの利益や損得からいくつもの派閥が出来ている……つまり王室でさえも一枚岩とは言えない」 プリンセス「ええ……そのことはわたくしもひしひしと感じているわ」 …日頃から王室に渦巻く謀略や醜い権力争いを見てきているプリンセスだけに、その声には疲れとかすかなあきらめが混じった苦い響きが沁みだしている… ベアトリス「姫様…」 ドロシー「あー……つまり、今やアルビオンはスプーンでひっかき回した巨大なベイクドビーンズ(煮豆)みたいなもんで、どこもかしこもぐちゃぐちゃ…まさしくスパイが必要とされる舞台が整っているってわけだ」 アンジェ「そしてその「プレイヤー」の一つが教皇庁ということね」 ドロシー「その通り……コントロールからの連絡によると、先日フランスを経由してイタリアから数人のコーチビルダーが王国に入国した」 (※コーチビルダー…馬車架装者。自動車の登場以前は文字通り馬車の制作を行っていたが、自動車の時代になると客がメーカーから購入したシャーシに特製の胴体や内装などの架装を施すようになった。イタリア語の「カロッツェリア」としても知られる) プリンセス「コーチビルダー、ですか」 ドロシー「ああ…イタリア人ってやつはそういう職人が多いからな。 ところが足取りに不審な点があって、よく調べたらそいつらがバチカンからのお客様だって事が分かった」 アンジェ「嘘か本当かは分からないけれど、ローマ教皇庁のどこかの組織には本来は存在しないはずの「第十三課」があると言われていて、そこに所属している神父や司祭、修道士が諜報活動を行っているとまことしやかに言われているわ」 ドロシー「とは言えあくまでも噂だし、真相を知っているやつはそいつらの一員か死人だけだからな…身内の連中はしゃべるわけはないし、死人はしゃべれない…真相は謎のままさ」 アンジェ「いずれにせよ、その連中がアルビオン入りした」 プリンセス「目的は?」 ドロシー「それが分からないんだ。いくら連中がしつこいからって、まさか私とアンジェに手下をやられた復讐をしに来た…とも思えないしな」 アンジェ「まずはその目的を探り出すこと……今回の任務はそれが当初の目標となるわ」 ドロシー「コントロールからも定期的に連中の動向を連絡してもらう予定だ…とりあえず今は分かっている情報をつなぎ合わせることから始めよう」 プリンセス「ええ、そうしましょう」 ベアトリス「分かりました」 ちせ「うむ」 ……… …同じ頃・内務卿の執務室… ノルマンディ公「…ふむ、バチカンからの訪問客か……遠路はるばるご丁寧なことだ」 ガゼル「はい、すでに四人は入国したことが確認されております」 ノルマンディ公「普段フランスやスペインをけしかけている「人形つかい」がとうとうこらえきれなくなって出てきたか……この機会に連中の情報網を調べ上げるのも良いかもしれんな。ガゼル」 ガゼル「はっ」 ノルマンディ公「すぐに車の支度を…それと防諜部や警察のスペシャル・ブランチ(公安部)のような「素人(アマチュア)」に鼻を突っ込まれないよう、部内の機密保持は徹底させろ」 ガゼル「承知しました」 ノルマンディ公「さて、次はどう来るかな……」コーヒーテーブルの上にあるチェス盤をちらりと横目で眺め、黒い駒を一つ動かした… http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1520954906/575
576: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2021/09/29(水) 14:10:07.69 ID:ipHN+6W40 …数日後・ロンドン市立図書館… ドロシー「…ここだな」 アンジェ「ええ…」 ドロシー「コントロールいわく、ここに問題解決のヒントがあるとかなんとか……」 アンジェ「そういう話ね」 …ドロシーとアンジェはノートやペン、教科書の詰まった鞄を抱え、制服姿で図書館にやって来ていた…受付のカウンターにいる気難しそうな司書も女学生の二人連れということで特に声をかけるでもなく、二人を見送った… ドロシー「ここだな…」 …借りる人の少ない不人気な歴史書が並ぶ一角に席を占めると、目的のものを含めた数冊を引き抜いてきて卓上に並べ、ノートを広げる……分厚い百科事典のような、革表紙に金文字で装丁された歴史書をパラパラとめくると、中に一枚の薄紙が挟まれていた… アンジェ「…これね」暗号で書かれたメッセージの紙はいかにも歴史書に挟んで忘れてしまったようなメモ書きを装ってあり「エリザベス一世」や「サー・マーティン・フロビッシャー」などと書き込んである… ドロシー「よし…それじゃあしばらく「お勉強」をしてから帰ろうじゃないか。あんまり早く席を立つと怪しいからな」 アンジェ「ええ、ついでに貴女はこの前やった不品行の罰に課せられたラテン語の書き取りをしておけば良いわ」 ドロシー「あれか…あんなものはとうの昔に済ませたさ」 アンジェ「…なかなか手際がいいわね」 ドロシー「当然…♪」 ……… …その日の午後・部室… ドロシー「…それで、内容はどうだ?」 アンジェ「ええ、いま読むわ…「ライムハウス通り十二番地の三階…西の角部屋にある暖炉の敷石の手前から三列目、右から四番目を外し、中にある書類を回収せよ」だそうよ」 ドロシー「ライムハウス通り…あぁ、この辺りか」さっと市街地図に目を走らせ、納得したようにうなずいた… アンジェ「それじゃあ行きましょうか」 ドロシー「そうだな…書類は私が回収するから、見張りは任せる」 アンジェ「ちせは連れて行く?」 ドロシー「いや…三人、四人とぞろぞろ連れだって行くような話じゃない。 それにお前さんがいれば大丈夫さ」 アンジェ「それはどうも」 …数時間後・下宿の空き部屋… ドロシー「ここか…」 アンジェ「そのようね」 ドロシー「よし、廊下の見張りは頼む」 …いかにも安部屋住まいのタイピストといった冴えない格好で、時代遅れなスタイルのボンネットに何色とも言えないような野暮なスカート、よれた上着を羽織っている……しかしスカートで隠れている足元はがっちりした茶革の編み上げブーツで固められ、いざというときのためにスティレット(刺突用の針状ナイフ)も隠し持っている… ドロシー「緩んだ暖炉の敷石……これか」下宿人が入らなくなって半年は経っている空き部屋の、灰まですっかり取り片付けられている暖炉…ドロシーが四つん這いになって、表面が黒く煤けている敷石のレンガを動かしてみると「ず、ずっ…」と擦れるような抵抗をしながら敷石が出てきた… ドロシー「よし…あった……」レンガの下にはほんのわずかな隙間があり、そこに古新聞に挟まれた一枚の紙が隠してある… アンジェ「…見つけた?」 ドロシー「もちろん……アンジェ、お前が先行して出ろ。安全が確認できたら合図をくれ」 アンジェ「分かった」 ……… … http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1520954906/576
577: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2021/10/04(月) 10:41:15.40 ID:qmTr05JN0 …数時間後・部室… アンジェ「解読が終わったわ」 ドロシー「相変わらず早いな。どれどれ……」 …まだ湯気を立てているミルクを入れたアッサム紅茶のカップを置くと、解読された暗号文にさっと目を通す…その短い内容を確認してからちらりと視線を上げ、アンジェの顔を見て眉をひそめてみせると、内容を読み上げた… ドロシー「…サー・エドワード・ウィンドモア著「緑なる石の輝き」およびウィンドモア家の歴代当主を調査のこと……アンドロメダ」 アンジェ「内容はこれだけだったわ」 ドロシー「そうか……なぁアンジェ、このメッセージを発信している「アンドロメダ」って…」 アンジェ「ええ…このメッセージが残された時期を考えると、おそらくは「委員長」のものよ。きっと「ダブル・クロス」(二重スパイ)に転向させられる直前、最後に遺した「プロダクト」(資産)でしょうね」 ドロシー「…ったく、委員長のやつ…最期までくそ真面目でやがる……」読み終えた用紙を暖炉にくべて焼き捨てると、小さくつぶやくように言った… アンジェ「そうね……でもこれだけではこの本が何の役に立つのか見当もつかない」 ドロシー「つまりそれを調べろって事だろう…とりあえずはロンドン図書館だな」 …数日後… アンジェ「……どうやら今度の調べ物は一筋縄ではいかないようね」 ドロシー「そうだな」 …図書館巡りに明け暮れたアンジェたちを始め、立場を利用して…しかし慎重に…王室秘蔵の書物まで調べたプリンセス……と「白鳩」それぞれが数日間努力して得た結論を前にして困惑気味の二人… アンジェ「とはいえ今回もケイバーライトと関係があったわね……図書館で調べ物をしたおかげで、色々な事を知ることが出来たわ」 ドロシー「そうだな…なんでもケイバーライトが発見された直後は飲み物にケイバーライトの粉末を入れて、緑色に光るさまを楽しみながら飲むのが貴族や富裕層の間で流行したそうだ……古代ローマ人が鉛を赤ワインの味付けに使った話みたいだな」 アンジェ「そうね」 ドロシー「…で、この「ウィンドモア家」ってのはケイバーライト…発見当初はケイバーストーンとも言われていたそうだが…を発見したうちの一人で、その力に魅せられて研究に一生を捧げた貴族だ。以後代々の当主は領地の城に閉じこもってケイバーライト研究と資料の収集に没頭しているが、その狂気じみた入れ上げぶりは有名だ」 アンジェ「私もその話は聞いたことがある…領地に客も招かず、ロンドンにもほとんど出てこないというわね」 ドロシー「ああ…実際問題、ケイバーライトってやつは「パンに塗ってむしゃむしゃ食べる」以外なら何にだって使える便利なシロモノだからな。取り憑かれちまったら、そりゃあ夢中にもなるだろうさ」 アンジェ「そうね」 ドロシー「とにかくウィンドモア家にはおおよそケイバーライトに関して「ないものはない」っていうくらいに資料が収集されている…中には王立博物館さえ所蔵していないものがあるくらいだ」 アンジェ「そしてあのメッセージにあった本は、初代当主が当時行った研究と実験について記したものだと言われている……しかし余りにも異常な内容だったことから禁書扱いとされ、内容のほとんどが削除された不正確な写本だけが王立図書館と博物館に所蔵されている……」 ドロシー「…分かったのはここまでか」 アンジェ「ええ…あとは原本を読むしかないようね」 ドロシー「そいつが難関だな…まさか泥棒じゃああるまいし、城に忍び込んで盗み読みするわけにも行かない……」 アンジェ「そうね……でも一つだけ手がある」 ドロシー「…アンジェ、お前さん「金の卵」を使うつもりなのか?」 アンジェ「ええ……プリンセスなら王国にあるほぼ全ての扉が開けられる」 ドロシー「そりゃあそうだが……」 アンジェ「貴女の心配はもっともよ。だからプリンセスではなくて私が行けばいい……そもそもプリンセスは腰が重いタイプじゃないから、公務以外にも慈善活動やねぎらいのために「お忍び」であちこち訪問している。今回もそういう形で訪問すれば怪しまれることはない……何より私は「本物」をよく知っているのだから、ボロが出る可能性はまずない」 ドロシー「まぁな…」 アンジェ「後はつじつま合わせとして、プリンセスが公務で国民の前に顔を出す予定のない日を選べばいいだけ…それは私が聞いておく」 ドロシー「……分かった」 アンジェ「ドロシー、まだ何か…?」 ドロシー「教皇庁の連中さ…わざわざここまでやって来ているんだ、何かしらの目論みがあって来ているはずだ……」 アンジェ「その本のことを始め、ある程度の事は知っていると?」 ドロシー「そう考えてもおかしくはないだろうな……連中が敵だとすると面倒だぞ」 アンジェ「そうね。 でも必要ならやるだけよ」 ドロシー「お前さんならそういうと思ったよ…気を付けてな」 アンジェ「ええ」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1520954906/577
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