[過去ログ] 【R-18】由比ヶ浜結衣はレベルが上がりやすい (737レス)
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353: [sage saga] 2015/11/08(日)21:13 ID:FwRKI0Dw0(1/33) AAS
俺の主義とは反するドタバタ騒がしい朝食を終え今日は岩のように大人しくしていようと思ったものの、
一人でいれば夢の余韻で心を蝕み、かといって居間にいれば小町だけでなく
(祝日に休める程度には本当に時間の余裕が出来たらしい)両親から質問攻めに遭い疲れ切ってしまった為、
逃げ去るように実家を後にしていた。

いや俺、家族内じゃ影か空気みたいな扱いだった筈なんだけど、皆なんでそんなに八幡君に興味津々なの。
実は家族全員ツンデレで俺のこと好きだった? それともモテ期なの?
限界集落の住民みたく単にゴシップに餓えてただけだってのは分かってますとも、ええ。

それでも小町と比較して十対一、33-4くらいに注がれる関心や愛情に差があると思っていたから、
向けられる好奇はウザったいしくすぐったくて、なんだかんだ家族なんだなと変なところで納得していた。
省3
354: [sage saga] 2015/11/08(日)21:15 ID:FwRKI0Dw0(2/33) AAS
実際やり過ぎなくらいには小町との愛情格差はあったがそれも両親が俺を疎んでいたとかではなく、
俺が良くも悪くも自己完結した子供で手がかからなかったからではと今は考えることが出来る。

手間のかかる子ほど可愛らしいとは言ったもの、小町がどれだけ愛らしくしっかり者に見えても
独りぼっちの留守番に耐えかねて家出するくらいには不安定且つ行動的だったわけで。
それだけ愛情のリソースが必要な子供がいれば平等な扱いなど難しいものだ。

一方俺は友達のいないぼっちの癖してただ生きていくことに疑問を感じない程度には鈍感で、
けれど妹には気を遣えて、それはひたすら忙しい大人にとってはさぞ頼もしく見えたことだろう。

大人の目線からの信頼もある意味家族の認定。だが大人の信頼が子供を満たすかどうかはまた別の話で、
それが全ての元凶と言うつもりはないが結果として俺は立派に捻くれ育ってしまった。
省3
355: [sage saga] 2015/11/08(日)21:18 ID:FwRKI0Dw0(3/33) AAS
とはいえ今はその愛情とか家族の証がひたすらウザい。
俺がいない間に小町が何を吹き込んだのか彼女がどうとか連れてこいとか言い出して冷や汗かいた。
無理矢理振り切って家を出る際に

「あれ、まさかお兄ちゃん結衣さんとデート……!?」

とか分かりきった小悪魔スマイルで言い出した小町は大層可愛らしく憎らしさもマシマシ。
後でシバくと心に誓ったが、でもこの分じゃ家帰ってもさっきの再現にしかならんかな……。
もう俺の家は一人暮らしのあの部屋なんだ、家に帰りたい。

と言っても実際ノープランで家を飛び出して、
この後どうするかと考えた時真っ先に思い浮かんだのは由比ヶ浜の顔で……突発的でも誘ってみるか?
省6
356: [sage saga] 2015/11/08(日)21:20 ID:FwRKI0Dw0(4/33) AAS
歩いて、駅について、電車に乗って次の町へ。
特に目的もなく流離う一人旅は、これが案外悪くない。
運動したり太陽光を浴びると鬱を誘発する脳内物質が減少するとかなんとかで、その効果を実感していた。
運動は鬱に効く、故に悠々快適ぼっちライフの為には部屋に籠もりきるのではなく適度な外出や運動が不可欠。
これはぼっちアスリートの道が開けている……? 
山にでも登ろうか孤高っぽいし、神々の山嶺は原作も漫画版も超面白かったしな。
ぼっちであることをひたすら想え。想え――。

なんぞと変に前向きな思考を走らせつつ、それでもゴールデンウィーク故かなんでもない町中にも人は溢れている。
そんな中に紛れては疲労もして、次第に重くなっていく足を思うと運動趣味というのも中々厳しそうだ。
省1
357: [sage saga] 2015/11/08(日)21:22 ID:FwRKI0Dw0(5/33) AAS
しかし疲労するということは考えが散漫になるということで、
これも思考が大きな穴だけに留まらないという運動に於ける鬱予防の効果の一つなのだろう。
体力と引き替えに僅かな心の平穏を得て、このまま何処に行こうかと悩んでいたところで、

「あれ、ヒッキーくん?」

聞き覚えのある声と呼び名が背中を叩いた。

足と相応に心も弱っていたのかヒッキー≠ニいう部分のみに反応し
俺は由比ヶ浜の存在を期待して反射的に振り向いた。
そしてその包容力を示すような柔らかい声と君付けの呼び方が、
由比ヶ浜は由比ヶ浜でも由比ヶ浜結衣でないことを再認したゲシュタルト崩壊in由比ヶ浜。
省3
358: [sage saga] 2015/11/08(日)21:27 ID:FwRKI0Dw0(6/33) AAS
「ごめんね〜付き合わせちゃってぇ」

「い、いえ……俺も、特に用事とか無かったんで」

俺は今、何処とも知れぬ喫茶店で彼女の母親と同席している。
買い物のため遠出をしていたママさんは偶然俺の後ろ姿を見かけて声をかけ、
時間も頃合いだしお昼を一緒にしないか?と誘われ軽食と茶目当てで直ぐ近くにあった店に入ったのだった。
ママさんはサンドイッチ、俺はハンバーガーを頼んだが全て自家製手作りらしいボリューム満点のハンバーガーは
ファストフードの挟み物に慣れきった若者の舌には驚くほどの幸福感を(中略)今は食事を終え一息吐いたところだ。

どうしてこうなったと言うには、まぁ流れは自然だったろう……だが、
省6
359: [sage saga] 2015/11/08(日)21:29 ID:FwRKI0Dw0(7/33) AAS
正直、ママさんのことは苦手だ。
苦手と言っても嫌いだとか会いたくない訳じゃなく寧ろ俺には珍しく好意的に接したい相手なのだ。
が、それ故に落ち着いて対応したいのに彼女の持つ属性・空気は俺を落ち着かさせずにはいられない。
由比ヶ浜の姉と見まごうほどに若々しく似通った容姿と甘い声、
そして由比ヶ浜結衣の持つ包容力のレベルを更に上げて、
吐く息からすら包まれている♀エじを錯覚させる。
ふとした拍子に、彼女はそのまま未来の由比ヶ浜結衣なのでは?
と思ってしまいそうなほど、俺には魅惑的で危険な人だった。

三年時、勉強目的で由比ヶ浜の家に行ったとき遭遇する度その甘い魅力と近すぎる距離感にクラクラして、
省3
360: [sage saga] 2015/11/08(日)21:30 ID:FwRKI0Dw0(8/33) AAS
「……でも、良かった。 こうやってヒッキーくんと二人きりで話せる場を持てて」

「二人きり、ですか」

二人きり、という部分にイントネーションが寄っている気がしてドキリとしてしまう。錯覚だろうけどね実際は。

「ウチだとどうしても結衣も一緒になっちゃって、そうすると話せないこともあるし……ね?」

こちらに確認してくるような発音と視線が一緒になって、どうにもイリーガルでアナーキーな妄想が広がってしまう。
由比ヶ浜と一緒だと話せないこと……な、ナニを話すんですかねドキドキ。
省4
361: [sage saga] 2015/11/08(日)21:33 ID:FwRKI0Dw0(9/33) AAS
それは俺と由比ヶ浜……だけでなく、総武高校奉仕部に於いて全ての始まりとなった出来事だった。
入学式の日、車に轢かれそうになった由比ヶ浜家の飼い犬・サブレを俺が助けて事故に遭い、
その車に乗っていたのは……という話。
その事実を知った俺の一方的な態度で一度繋がった関係は終わり、
でもある助言で再び繋がることが出来た、痛くて苦くて酸っぱくて少しだけ甘い思い出。

「は、はぁ……別に、俺は、その……偶々、偶然です」

「ふふ、やっぱりそんな謙遜して、結衣の言ってた通りね〜」

「す、すんません、でも本当に……」

「本当に偶々でもサブレを助けて貰ったのは事実で、ヒッキーくんが何を意図したわけでなくても、そのお陰でサブレが助かっていたならそれは胸を張ってもいいことなの……もっと素直にお礼も受け取って、誇らしくしてくれてもいいんだから」
省7
362: [sage saga] 2015/11/08(日)21:34 ID:FwRKI0Dw0(10/33) AAS
「その、サブレのことは受け取りますけど、由比ヶ浜を助けたって、受験のことですか?」

仮にも進学校である総武に何故由比ヶ浜結衣が入学できたのか、
これは総武高校七不思議の一つとして俺が妄想していることである。
時折見せる大人っぽさと裏腹に由比ヶ浜の学力は本当に色々アレで、それで尚

「ヒッキーと同じ大学に行く!」

と言って聞かなかったので俺は受験に大切な三年の勉強時間に大変なお荷物を背負うことになったわけで。
いやでも一緒に勉強とか実際は嬉し恥ずかし、由比ヶ浜が合格したのも教え子の努力が実ったって以上に
思うところがあったりしましたがね。

「そんなこともあったわね〜、ヒッキーくん結衣の面倒見てくれてありがとう……でもそれじゃなくて、去年結衣が一週間くらい学校休んだでしょう? その時のこと」
省5
363: [sage saga] 2015/11/08(日)21:36 ID:FwRKI0Dw0(11/33) AAS
「あの時の結衣、本当に熱出して寝込んでたの……でも直ぐに良くなって、それでもまだ調子悪いから学校休むって聞かなくて」

バレンタインを過ぎ、その中で発生した奉仕部最後の依頼を解決……と言えずともその露払いと準備を終え、
恐らくは長くなるだろう戦いに赴く依頼主の背中を押し、その中で決意を固め、
いざ俺自身も戦いを始めようと思ったらその相手である由比ヶ浜は熱を出したとかで学校を休んだ。

格好付けようとすればするほどスカを食らうのは俺の人生の様式美みたいなもんだから、
変に硬くなるならそれもアリだろうと思っていた。
……それよりもっと前に戦端は開かれていたことに俺は気付かなかった。気付けなかった。

「叱ろうと思ったけど、何時もだったら楽しそうに何度も話してくれたヒッキーくんとゆきのんちゃんのことを全く話さなくなってて……バレンタインのクッキー、凄く頑張ってたの見てたから、この子はきっと無くしてしまったんだって考えたら、何も言えなかったの」

バレンタイン、渡されたクッキー。あの時の由比ヶ浜の心はどれほど傷んでいただろう。
省5
364: [sage saga] 2015/11/08(日)21:39 ID:FwRKI0Dw0(12/33) AAS
「あの子、今はあんな見た目だけど鈍くて恋なんてしたことなかったのに、その一番最初でこんなに辛い思いをしているなら、これからどうなってしまうんだろう……十何年も一緒に暮らしてきて、あの子のことは誰より分かって近くにいるのに、何かしてあげたいのに、何も出来ないのが歯痒くて」

そう、近い存在なら救える、何かしてあげられる……それは絶対ではない。
どれだけ長く寄り添い合う存在でも、結局は表層的な反応を印象に焼き付け、深層にあるものは想像するしかない。
近しい人間を赤の他人より多く助けてやれるとしたら、それは経験則で行動や心理のパターンを予測し対応しているに過ぎない。
そしてそれが現実の中で起きていることなら、読み切れない乱数は何処かで必ず発生する。
だから家族だって喧嘩するし、仲睦まじかった筈の恋人達がふとした誤解や思い込みで別れることもあるだろう。
人はどれだけ見識を深めても主観から逃げることは出来ない。俯瞰で他人を見定められる人間なんて存在しない。

それはきっと俺の憧憬する大人達でも例外ではなく、由比ヶ浜親子ですら……これはそういう話なのだ。
今朝俺が感じた比企谷家の距離感と似ているようで、それはもっと深くて重い。
省4
365: [sage saga] 2015/11/08(日)21:40 ID:FwRKI0Dw0(13/33) AAS
しかし、

「お、王子様って……そんな柄じゃないですよ、俺」

「ふふふ、家でヒッキーくんのこと話す結衣を見てたらそれ以外に言葉が無いもの、ヒッキーくんがどう思ってても由比ヶ浜家にとってヒッキーくんは白馬の王子様なのよぉ?」

えー、何このヨイショ。
宗教勧誘の前段階? それとも美人局?

なんかもう顔が熱い。多分てか絶対に赤くなってる。
言うに事欠いて白馬の王子様って。白(痴で)馬(鹿)の(自称)王子様なら分からんでもないが。
つか由比ヶ浜家って括りだと、まさかファブリーズパパヶ浜さんも俺の話聞いてる?
そっちは寧ろ怖いんですけど……。
省4
366: [sage saga] 2015/11/08(日)21:42 ID:FwRKI0Dw0(14/33) AAS
「謙遜することないのに……ヒッキーくんが結衣に告白して全部丸く収まったんじゃないの〜?」

……寧ろ由比ヶ浜が家でどういうこと話してるのかが気になってきた。
俺なんか顎が鋭角な非現実的ハンサムヒーロー扱いになってんじゃないだろうな。

とはいえ、告白という部分にだけ注視するなら、話がそこだけに止まっていることは理解できる。
そこだけ≠オか話せないはずだ。

多分、あいつは。

「あいつ、雪ノ下の話はしてましたか」
省11
367: [sage saga] 2015/11/08(日)21:44 ID:FwRKI0Dw0(15/33) AAS
「俺は、本当に何もかもの最初から、自分で決めたことなんて何も無かったんです。 誰かに頼まれて、お願いされて、それに対応するだけで、その裡にある気持ちなんて考えもしないで」

ママさんには好意的に思われたいし、悪く思われたくない。
そう強く思っている筈なのに、口は理性の関所をすり抜けて語る必要のないそれ≠垂れ流す。

「それで、欲しい物を自分から口に出来ても、それはただ自分の我侭で、その裏にあるあいつの……あいつらの気持ちや欲しい物を見て見ぬ振りして」

子供らしい浅慮な思い付きでで墓の下まで持っていこうと決めていた筈の本音を、まだ関係の薄い誰かに投げつけしまう。
それこそ由比ヶ浜や小町にすら隠したままでいようと思っていた醜さの塊。
俺の本質。

「それで自分に都合の良い場所へ腰を下ろして、それを支えてたあいつのことを忘れて、その癖あいつのことが欲しくなったら体重預けたまま願望だけ勝手に押し付けて」
省4
368: [sage saga] 2015/11/08(日)21:46 ID:FwRKI0Dw0(16/33) AAS
「結局俺はあいつらに何もしてやれなくて、今だって何かの度自分に嫌気が差すし、そんな自分を見られるのが辛くて距離取って、でも別れる気なんて全くなくて、本当に、自分勝手なままで……」

言いながら、本当に自分自身に嫌気が差す。黒いモノを抱えたままグルグル同じ場所を回っているだけの愚物。
あんな夢を見たから今こうなってるんじゃない、こんな自分だからあんな夢を今更見たのだ。
変わろうと誓った傍から「間違っている」と言われ、それをはね除けることも出来ず誓いが揺らぐ。
その癖自分の欲望優先で独りになることも選べない。
かつてのように虚勢でも独りであることを選び続けた方がまだマシである筈なのに。

間違ってるというなら、こんな俺が誰かと道を共にしていること自体が間違いなのだ。

それ以上は何も口に出来ず俯き、再度場は沈黙する。
連休の昼時だと言うのに人気も疎らで静かな喫茶店は何時もなら有り難いのに、
省6
369: [sage saga] 2015/11/08(日)21:47 ID:FwRKI0Dw0(17/33) AAS
「真面目って……俺の話聞いてましたか? その真逆ですよ、俺は」

「そんなことないわぁ。 月並みだけど、本当に不真面目な人ならそんな風に自虐はしないと思うし、真面目過ぎるのね、きっと」

下からどうしてもジト目で卑屈に見上げてしまう俺に、ママさんは頬に手を当て変わらぬ笑顔で答えてみせた。
どうしたって曲解しようのない言葉をそれでも曲解しようとしてしまう陰気な俺と裏腹に、
何処までも陽気を振りまく彼女と俺は平行線だった。
それは俺に踏み込み何時の間にか隣に居座った……由比ヶ浜結衣と同じ。
本格的に二人の姿がダブり、心臓がギシリと軋んだ。

「……誤解です、貴女は俺のことを良く知らないからそう言えるんです」

「そうかしらぁ? 結衣からたくさんお話聞いてるし、去年はよくウチに来てくれたし、今だってこうやって話してるでしょう?」
省13
370: [sage saga] 2015/11/08(日)21:49 ID:FwRKI0Dw0(18/33) AAS
「確かに私が聞いたヒッキーくんはあくまで結衣にとってのヒッキーくんかもしれない……それでも、そのヒッキーくんがぶつかった問題や答えに独りで真摯に向き合ってきたんだってことは分かるつもり。 そのくらいには娘の、結衣のことを信用してるの」

真面目。

真摯。

そんなもの自分とは最も縁遠い言葉だと思っていた。否、今も思っている。

しかし、俺は俺なりの最善で問題課題へ回答をぶつけてきたつもりで、それはきっと正しい。
例えその内実が意趣返しや怨念返しだろうと、そこまで積み上げて来た自分を否定することは出来ない。
それを否定することは俺が何より嫌う欺瞞で、比企谷八幡という積み木の土台を抜き取るに等しい行為。
だから否定しないし、出来ない。
省2
371: [sage saga] 2015/11/08(日)21:51 ID:FwRKI0Dw0(19/33) AAS
「へ?」

己の間違いに思いを巡らせていた俺には唐突な問い。
だがこの人の問いかけなら、由比ヶ浜についてのことならきっと意味はある筈。
そうやって縋り付かなければバラバラになってしまいそうなほど、俺の思考はガタガタになっている。

「……なんか、その、イイ奴ですよ。 真面目って言うなら、あいつの方が相応しいって……」

……あれ、これ彼女の母親に「娘のことどう思ってる?」て聞かれてんじゃねぇの?
いや細部は違うのかもしれんけど、でも地雷質問をさり気なく踏まされてんじゃないの流石大人は怖ぇなぁ。
結局怖じ気づいて無難な回答に落ち着く。しかしボカした言い方とはいえ的を外してはいない筈。

「うん、親馬鹿かも知れないけど結衣は真面目な子で……真面目だから、時に自分から間違った方向に行ってしまうって、見てきたから分かるし、ヒッキーくんも結衣を助けてくれた時に見ている筈でしょう?」
省6
372: [sage saga] 2015/11/08(日)21:53 ID:FwRKI0Dw0(20/33) AAS
「きっとね、真面目な子って誰より早く安心したくて、だからどんなことにも真っ直ぐぶつかって行っちゃう。 例えそれが間違いでも、一番良い形なんだって思っちゃったらもう止まらない。 遠慮とか謙遜もそういうことだと思うの」

安心、確かにそれは俺の人生の指標に近い概念だとは思う。
独りであれば揺るがす物はなく、揺るがされることはなし。
ただ佇むだけで済むのならこれ以上楽な生き方もない。
そこがどんな不毛の大地だろうと、落ち着くことさえ出来れば良い。

激しい喜びはいらない、そのかわり深い絶望もない
そんな植物の心のような人生を求めた男は猟奇殺人の犯人だったけれど。

「きっとヒッキーくんにとってはそれが謙遜で、結衣にとっては遠慮なのね。 それが行き過ぎても独りじゃ引き返せないから、笑って間違いへ進んでしまうんじゃないかしら」

「笑って、ですか」
省4
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