[過去ログ] ことり「大好き」 (372レス)
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1 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/10/13(月) 22:24:28.90 ID:7U1OeXcio(1/64)
・百合です。苦手な方はご注意ください
・ことうみのような三角関係のようなそんな話です
・基本的に2年生組メインの話です。1、3年生の出番はほぼないと思ってください。後半真姫ちゃんだけちょっとあるかもってくらいです
・学生時代は作文が大の苦手だった人間の書く文章です。お察しください
こんな感じですが、1人でも多くの人の暇つぶしの助けになれば幸いです
今月中の完結を目指して頑張ります
よろしくお願いします
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1413206658
273 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/10/20(月) 02:33:52.98 ID:5Esyj83eo(1)
やっぱりことりちゃんはビッチポジションなのか。
悲しい
274 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/10/20(月) 07:10:11.47 ID:FDV/5cFYo(1)
。゚(゚´Д`゚)゚。
275 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/10/21(火) 15:01:32.16 ID:RP4V5Bqp0(1)
てかことうみは?ことほのなんてつまんねーんだが?
276 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/10/21(火) 20:04:18.15 ID:ULcSk/yso(1)
いいから黙って見てろ
277 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/10/23(木) 13:57:06.06 ID:MFl85QNB0(1)
>>275
ことほのがつまんねーのは同意するし
謎展開に疑問符が浮かぶのもわかるけど堂々とそういうこと言うなよ
ことうみもつまんねーから人のこと言えんわけだし
大人しく盤石なにこまきでも見とけって
278 名無しNIPPER 2014/10/23(木) 15:15:07.99 ID:YEPQcAoSO携(1)
ことほの、ことうみはつまらないから、ほのまきにしよう!!
279 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/10/23(木) 23:33:51.96 ID:XhbRcL2yO携(1)
楽しみに待ってます!
280 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/24(金) 02:30:09.67 ID:qOy1KUpx0(1)
面白かったらなんでもいいよ
結局書く人の技量でどんなCPも面白く感じるし
281 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/10/24(金) 07:42:20.91 ID:PFA5KM6AO携(1)
×つまらない ○俺が嫌い
282 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/10/29(水) 01:10:51.71 ID:2sjpywoi0(1)
海未どこいった
283 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:03:17.48 ID:qsX+stJNo(1/44)
ようやく終わったので投下していきます
よろしくお願いします
凛ちゃん誕生日おめでとう!
284 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:05:02.21 ID:qsX+stJNo(2/44)
「GIRL FRIENDS(仮)」
春、それは出会いと別れの季節
音ノ木坂学院を卒業した私たちは、みんなそれぞれが自分の未来に向かって歩いていく
それは私も例外じゃない
私は明日、日本を離れて海外に留学する
自分の夢を叶えるために
そうやって前に進んでいく過程で、失うものはきっとたくさんある
285 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:06:16.78 ID:qsX+stJNo(3/44)
例えば、それは数多くの友達
高校に入学して、私にはたくさんの友達ができた
3年間、同じクラスだったり違うクラスだったりしたけれど、朝出会えばおはようと挨拶をし、廊下ですれ違えば軽く談笑をする
そんな人との繋がりを作ってきた
でも高校を卒業した時点で、その大半は壊れて消える
特別親しい友達をのぞいて、私のこの先の人生でその人達と関わることはないと思う
もし留学を選んでいなかったら、無くしてしまう絆だって今よりはもっと少なかったのかもしれない
286 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:07:04.13 ID:qsX+stJNo(4/44)
例えば、それは恋
私の大好きな人
あの人への大切な想いだって、私はここに置いて行く
持っていくことは出来ない、それはきっと私もあの人も不幸になる結果を招くから
本音を言えば、もちろん離れたくなんてない
これからもずっと、あの人と一緒にいたい
でもそれは無理
あれもこれも手に入れたくて、だけど何も失いたくないなんて、そんなわがままは通用しない
私たちはそういった色々なものを切り捨てながら、それでも歩き続けるしかないのだから
287 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:08:15.07 ID:qsX+stJNo(5/44)
穂乃果「今日はことりちゃんの家でお泊まり会をしよう」
そんな穂乃果ちゃんの一声で、私たち3人は今私の家に集まっていた
穂乃果「お邪魔しまーす」
海未「お邪魔します」
ことり母「あらあら、穂乃果ちゃんに海未ちゃん。いらっしゃい」
2人のことをお母さんが出向かえる
もう、そんなことしなくていいのに
友達と遊ぶのに親に関わってほしくないという子供心は、古今東西どんな親もわからないらしい
海未「おばさま、今日はお世話になります」
穂乃果「これ、つまらないものですが」
そういって穂乃果ちゃんは自分の家の和菓子をお母さんに渡す
ことり母「まあ、そんなの気にしなくていいのに。2人ならいつだって大歓迎よ」
288 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:09:22.31 ID:qsX+stJNo(6/44)
ことり「もういいから、お母さんはあっち行ってて」
ことり母「ええ?私だって穂乃果ちゃんたちとお話したいのに。2人とも、こんな娘といつも仲良くしてくれてありがとうね」
海未「いえそんな。こちらこそいつもことりにはお世話になっています」
穂乃果「私たち、ことりちゃんのこと大好きですから」
ことり「お母さん!」
ことり母「はいはい。じゃあ2人とも、遠慮せずに楽しんでいってね」
そう言ってようやくお母さんは自室へと戻っていった
ことり「あはは、なんかごめんね」
穂乃果「どうして?いいお母さんだよね」
海未「ええ、ことりがこうやって育った理由がよくわかります」
2人がお母さんの事を褒めて、私は少し顔が熱くなる
お母さんがいいお母さんなのは、娘の私もよく分かっているけれど
それでも家族を褒められるというのは、自分を褒められるより何故か気恥ずかしくなってしまうものだった
289 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:10:48.01 ID:qsX+stJNo(7/44)
2人を家にあげて、自分の部屋へと案内する
穂乃果「なんか、だいぶ片付いてるね」
ことり「うん、必要なものはもうあっちに送っちゃったから」
海未「ついに、明日なんですね」
明日
その一言で、私達の間には重苦しい空気が流れる
穂乃果「あーもう駄目駄目!今日はそういう話は禁止だよ」
だけどすぐに、穂乃果ちゃんが明るい声でその空気を一掃した
穂乃果「そんなことよりさ、せっかくのお泊まりなんだもん。いっぱい楽しいことしようよ」
海未「そ、そうですね。あ、そうだ。私家からこれを持ってきました」
そう言って海未ちゃんが取り出したのは、こういう時には定番のアイテムであるトランプ
それを見た瞬間、私は去年の修学旅行のことを思い出した
海未「前は不覚をとりましたが、今度こそ負けませんよ」
自信満々にそう言い切って見せる海未ちゃん
私と穂乃果ちゃんは顔を見合わせて、予想される展開に少し苦笑いをした
290 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:13:07.22 ID:qsX+stJNo(8/44)
それから私たちはめいっぱいお泊り会を楽しんだ
海未ちゃんの持ってきたトランプで遊び、3人で一緒に晩御飯を作り、狭いお風呂に一緒に入って、そして寝るまでにいっぱいおしゃべりをした
でも別に何をするかなんて関係なくて、ただこうして一緒にいるだけで私はとっても楽しい気持ちになれる
2人がいたから、私は毎日が幸せだった
私の大好きな友達
穂乃果ちゃんと海未ちゃんと友達になれて本当によかった
そんな生活とも明日でお別れ
2人のいない場所で、私は笑うことが出来るだろうか
あの人のいない世界で、私は幸せになることが出来るだろうか
想像もつかない、だって今までずっと一緒に過ごしてきたんだから
そんな不安からか、私はなかなか寝付けずにいた
だけど、それでも私は頑張るしかない
誰でもない、これは自分自身で決めた道なんだから
291 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:14:15.33 ID:qsX+stJNo(9/44)
穂乃果「ことりちゃん起きてる?」
ベッドに入って1時間は経っただろうか、隣で寝ていた穂乃果ちゃんから声をかけられる
ことり「うん、起きてるよ」
穂乃果「海未ちゃんは?」
海未ちゃんからの返事はない
その代わりに、反対側からは可愛らしい寝息が聞こえてくる
ことり「寝ちゃったみたい」
穂乃果「相変わらず寝付きいいなー海未ちゃんは」
そう言って穂乃果ちゃんは少し笑う
ことり「穂乃果ちゃんはどうしたの?眠れないの?」
穂乃果「うん、なんだか目が冴えちゃって」
ことり「そうなんだ」
穂乃果ちゃんも一緒なんだとわかって、私はそれがなぜだかちょっぴり嬉しかった
穂乃果「でも良かった。ことりちゃんも起きてて」
ことり「どうして?」
穂乃果「私ね、ことりちゃんに大切な話があるんだ」
穂乃果ちゃんが横を向いて、私と目が合う
その真剣な眼差しに、私は話の内容を察した
292 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:15:43.98 ID:qsX+stJNo(10/44)
穂乃果ちゃんに連れられて、私たちは部屋を出る
お母さんはもう寝たらしい、電気のついていない暗い廊下
その壁にもたれかかるようにして、私たちは座り込んだ
穂乃果「バレンタインの日、ことりちゃんが私に言ってくれた事って覚えてる?」
膝を抱えるような体勢で、穂乃果ちゃんがそう切り出す
ことり「もちろん覚えてるよ」
忘れるわけがない
だってあれは、私の生まれて初めての告白だったんだから
穂乃果「あの、さ。ことりちゃん、あの時私に、その、キスしたじゃん。あれってやっぱりそういう意味でいいんだよね?」
ことり「うん。私は、穂乃果ちゃんのことがそういう意味で大好き」
穂乃果「……そっか」
穂乃果ちゃんが再び上を向く
そしてしばらく黙り込んだまま、何かを考えているように見えた
293 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:17:01.58 ID:qsX+stJNo(11/44)
ことり「やっぱり、気持ち悪いよね」
穂乃果「えっ?どうして?」
私の言葉に、穂乃果ちゃんは驚いたような声を出す
ことり「だって、私達は女の子同士なのに。穂乃果ちゃん、多分そういうのって受け入れられないと思ってたから」
穂乃果「そんな。私がことりちゃんのことを気持ち悪いだなんて思うわけないよ」
穂乃果ちゃんは私の目をまっすぐと見据えながら言う
穂乃果「ことりちゃんが私のこと好きって言ってくれたこと。私にキスしてくれたこと。すっごく嬉しいよ。ありがとうことりちゃん」
ことり「穂乃果ちゃん……」
穂乃果「私ね、あれからいっぱい考えたんだ。ことりちゃんのこととか、私のこととか。いままでのこと、これからのこと、他にもいろいろ。ちゃんと考えて、ことりちゃんに返事をしたかったから」
294 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:18:21.84 ID:qsX+stJNo(12/44)
そんなこと、気にする必要なんてなかったのに
だってあの告白は、完全に私の自己満足
私は留学する前に穂乃果ちゃんにきちんと気持ちを伝えたかっただけ
付き合いたいなんて思ってたわけじゃない、両思いになれるなんて思っていない
ただ自分の気持ちとしっかりと決別したかった
それが一つ目の理由
そしてもう一つは、自分で自分が嫌いになってしまうような酷い理由
ずるくて、汚くて、とても醜い感情から
そんな独り善がりな行動に穂乃果ちゃんを巻き込んで、あまつさえ穂乃果ちゃんの大事な初めてのキスまで奪ってしまった
そんな私は、本当なら穂乃果ちゃんに嫌われたって仕方がないのに
それなのに穂乃果ちゃんは、私の為にたくさん悩んでくれたらしい
穂乃果ちゃんの優しさが、今の私には少し辛かった
295 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:19:54.53 ID:qsX+stJNo(13/44)
穂乃果「ねえ、ことりちゃん」
穂乃果ちゃんは頬を軽く染めながら、潤んだ瞳で私を見る
穂乃果「ことりちゃんはさ、また私とキスしたいって思う?」
ことり「えっ?」
穂乃果ちゃんの口から出たのは、まるで想像もしていなかった言葉
その衝撃に、私は息をすることさえ忘れてしまう
ことり「ど、どうして?」
穂乃果「ことりちゃんがキスしたいって思うなら、いいよ。私、ことりちゃんとならキスできる」
私の質問には答えずに、穂乃果ちゃんは更に驚くような事を言う
一体何を考えているんだろう
私の気持ちを知っていて、どうしてそんなことを言うの
これじゃあ、まるで
296 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:21:34.43 ID:qsX+stJNo(14/44)
ことり「ほ、本当にいいの?」
穂乃果「うん。ことりちゃん」
穂乃果ちゃんが目を閉じる
これは夢じゃないのかな
あの穂乃果ちゃんが、私にキスを求めている
この前のような私からではなく、穂乃果ちゃんが自分から私とキスをしてもいいと言ってくれている
頭がクラクラとする
穂乃果ちゃんの可愛らしい唇に私は目を奪われる
297 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:22:31.88 ID:qsX+stJNo(15/44)
ゆっくりと、私は穂乃果ちゃんに顔を近づける
私は子供の頃から穂乃果ちゃんが好きで
こんな状況をずっと待ち望んでいた
それが今私のすぐ手の届くところにあって
そしてそれに手を伸ばさない理由なんてないはずで
だから私は、あと数センチにまで迫ったこの距離を、そのまま
『ことり』
ことり「っ!?」
それなのに、なんで
私の頭の中に、あの人の声が響くのだろう
あの人の姿を、こんなにも鮮明に思い浮かべてしまうのだろう
298 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:23:29.06 ID:qsX+stJNo(16/44)
『ずるいですよ……ことり』
とっても優しくて
『恥ずかしすぎます!破廉恥です!』
とっても恥ずかしがり屋で
『ことりは穂乃果に甘すぎます!』
とっても厳しくて
『好きな人に、好きだと言える自分になりたいんです』
そして、とっても可愛いあの人
たくさんのあの人が浮かんでは消えて、それが私の心を締め付ける
どうして私は、こんな……
299 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:24:56.86 ID:qsX+stJNo(17/44)
穂乃果「やっぱり、できないんだね」
穂乃果ちゃんが、その閉じていた瞼を開く
まるで、こうなることを予想していたかのように
ことり「穂乃果ちゃん、私……」
穂乃果「私ね、もし今ことりちゃんがキスをしてきたら、ことりちゃんのこと本気で好きになろうって思ってた。ことりちゃんと恋人になるのもいいのかもって」
穂乃果ちゃんは前を向いて、ひとりごとのように話し出した
穂乃果「ことりちゃんに告白されてから、私ずっとことりちゃんのことを見てきたんだ。それこそ、恋する女の子みたいにさ」
穂乃果ちゃんは照れるように少し笑う
穂乃果「でも、そしたら気付いちゃったんだ。ことりちゃんは、全然私のことを見てないんだなって」
ことり「そんなことない!」
穂乃果ちゃんの言葉に、私は思わず大きな声を出していた
300 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:26:06.53 ID:qsX+stJNo(18/44)
穂乃果「ことりちゃん、しー」
ことり「ご、ごめんなさい……」
私はとっさに口を押さえる
ことり「でも、ほんとにそんなことない。私は穂乃果ちゃんのこと……」
穂乃果「うん、ことりちゃんが私のことを好きだって思ってくれてるのは分かるよ。だけどそれでもことりちゃんは、いつも私じゃない人のことを見つめてたよね」
ことり「それは……」
違う、と言い切ることができなかった
私がさっきつい大声を上げてしまったのは、穂乃果ちゃんの言っていることが的はずれだったからじゃない
それが本当のことだと自分自身分かっていたから
そして、それを認めることが出来なかったからだ
穂乃果「ことりちゃんはその人が、海未ちゃんのことが好きなんだよ」
だけど穂乃果ちゃんは、容赦なく私にその心の内を突きつける
301 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:27:03.28 ID:qsX+stJNo(19/44)
穂乃果ちゃんが好き
それは嘘偽りのない、私の本当の気持ち
だけどいつからだろう
私が穂乃果ちゃんのことを考える時間が少しずつ減っていって
その変わりに、海未ちゃんのことを想う時間が増えていったのは
気が付くと、いつも彼女のことを目で追って
彼女の仕草の1つ1つが、私の心をざわつかせた
穂乃果ちゃんの言う通り、いつの間にか私は海未ちゃんのことを好きになっていたんだ
302 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:28:26.36 ID:qsX+stJNo(20/44)
ことり「ごめん、穂乃果ちゃん……」
穂乃果「どうして謝るの?」
ことり「だって私、穂乃果ちゃんのことが好きで、キスだってしたのに……。それなのに今更こんなの、最低だよ……」
同時に2人の人を好きになって
それでも私は、変わらず穂乃果ちゃんのことが一番大好きなはずだった
なのにどんどんと、否応なく2つの好きはその比重を変えていく
自分の意思とは無関係に、ただ残酷に
子供の頃から積み上げてきた穂乃果ちゃんへの想い
私という人間を構成する大切なところの一部分
それが、こんなにも簡単に塗り替えられていく
私のこれまでの気持ちを否定されていくようで
私が私でなくなっていくようで
私はそれが怖かった
怖くて、認めることが出来なくて
だから私は、穂乃果ちゃんにキスをした
私は穂乃果ちゃんが一番好きなんだと証明するために
本当は気付いていた自分の本心から逃れるために
あれはそんな自分勝手を押し付けた、最低最悪の口づけ
そしてその後に残ったのは、少しの興奮と、激しい胸の痛みだった
303 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:30:12.40 ID:qsX+stJNo(21/44)
穂乃果「ことりちゃんは最低なんかじゃない」
そんな酷い私のことを、それでも穂乃果ちゃんは優しく包み込む
穂乃果「誰かを好きだって気持ちが、いけないものなわけないよ」
ことり「穂乃果ちゃん……」
穂乃果「私のことが好きだって言ってくれることりちゃんも、海未ちゃんのことを好きになったことりちゃんも、どっちも大切なことりちゃんだよ。だから、そんなに自分を責めちゃだめだよ」
私を許す穂乃果ちゃんの言葉
たったそれだけで、罪の意識に押し潰されそうだった私の心は少し救われる
穂乃果「ねえことりちゃん。私もことりちゃんのことが大好きだよ。だけどやっぱり、私はことりちゃんの気持ちには応えないね」
ことり「……うん」
応えられないのではなく、応えないのだと穂乃果ちゃんは言う
さっき私があのままキスをしていれば、もしかしたら何かが変わっていたのかもしれない
だけどそんなの、もういくら考えたって遅いこと
それに、もし仮に時間が巻き戻ったとして、同じ場面を迎えたとしても
それでもきっと、私はやっぱりキスをすることは出来ないと思う
だってあの時私を引き止めたものが、こんなにも強く心に残ってしまっているのだから
304 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:31:59.10 ID:qsX+stJNo(22/44)
穂乃果「でも私、それでもことりちゃんのことが大好きだから。ずっとことりちゃんと親友でいたいから」
穂乃果ちゃんが私の手をとり強く握る
穂乃果「だから、私待ってるよ。ことりちゃんが帰ってくるのを。そしたらさ、また一緒に遊ぼう。また、3人で遊園地に行こう」
また、3人で
留学から帰ってきた時、私たちの関係はどうなっているんだろう
口ではなんと言っていても、本当は私はそれがすごく不安だった
戻ってきた時、2人の隣に私の居場所はないんじゃないかって
だけどそんな不安も、穂乃果ちゃんが吹き飛ばしてくれる
穂乃果ちゃんがそう言ってくれるなら、私はそれを信じられる
だって穂乃果ちゃんのことを信じて、それが間違いだったことなんて1回だってないんだから
ことり「うん。私も穂乃果ちゃんが大好き」
305 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:33:17.55 ID:qsX+stJNo(23/44)
穂乃果ちゃん
持ち前の明るい笑顔で、太陽みたいにみんなのことを照らしてくれるあなた
そしてその明るさで、周りの人みんなのことを幸せな気分にしてしまう
誰にでも平等に、みんなのことが大好きで
私は、そんな穂乃果ちゃんのことが大好きだった
この先現れるだろうあなたを独り占め出来る人のことを考え、心の底から嫉妬してしまうほどに
でもそんな気持ちももう終わり
ありがとう、穂乃果ちゃん
こんな私をあなたの親友だと言ってくれて
そしてさようなら、私の初恋
あなたに恋をしていた毎日は、私の最高のタカラモノだった
306 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:34:37.35 ID:qsX+stJNo(24/44)
そして、芽生えてしまったもう一つの気持ち
知りたくなかった、認めたくなかった、好きになんてなりたくなかった
だって好きにならなけば、こんなに辛い気持ちになることもなかった
好きにならなければ、余計な未練を増やさずに旅立つことが出来たのに
でも、もう認めよう
私は、海未ちゃんのことが好き
好きで好きで、本当に大好きだから
私には、やらなければいけないことがある
どんなに嫌でも、胸が苦しくなったとしても
私は明日
この心で光る、もう一つの恋も終わらせよう
307 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:35:28.85 ID:qsX+stJNo(25/44)
眩しい程の朝日が窓から部屋に降り注ぐ
その光に当てられた海未ちゃんが、もぞもぞと布団の中でみじろいでいる
私はそんな海未ちゃんの寝顔を、その真横の特等席から眺めていた
その顔はとても可愛らしくて、つい海未ちゃんの頭を撫でてみる
さらさらな髪の毛が手のひらの下で揺れる
私はなんだか楽しくなってきて、掬ってみたり指で梳いてみたりとその綺麗な髪をいじり続ける
なんだかこのままずっと触っていたくなるような、そんな心地よさを感じた
308 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:36:52.00 ID:qsX+stJNo(26/44)
海未「……ことり?」
ことり「あ、おはよう海未ちゃん」
しばらくしてようやく海未ちゃんが目を覚ます
私は海未ちゃんに挨拶をして、でもその手を動かすことはやめない
海未「おはようございます。あの、ことりは何をしてるんですか?」
ことり「うーん。海未ちゃんの寝顔が可愛かったから、つい」
海未「なっ!?」
海未ちゃんが顔を赤くして起き上がる
私は手から離れていく感触に名残惜しさを感じて手を伸ばした
ことり「海未ちゃーん」
海未「だ、駄目です!ことりもはやく起きてください」
309 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:37:44.85 ID:qsX+stJNo(27/44)
残念、と私は諦めて体を起こす
まあ海未ちゃんの照れ顔が可愛かったのでとりあえずはよしとしておくことにしよう
海未「そういえば、穂乃果はどうしたのですか?」
意識がはっきりしてきたのか、海未ちゃんが穂乃果ちゃんの姿がないことに気づく
ことり「穂乃果ちゃんはいないよ」
海未「お手洗いですか?」
ことり「ううん、そうじゃなくて。穂乃果ちゃんは海未ちゃんより先に起きて帰ったの」
海未「はい?」
海未ちゃんが素っ頓狂な声を出す
海未「すみません、ちょっと意味が分からないのですが」
ことり「そのまんまの意味だよ」
海未「……冗談ですよね?」
信じられないといった顔の海未ちゃんに、私は首を横に振る
310 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:39:00.52 ID:qsX+stJNo(28/44)
海未「どういうことですか?だって今日はこれからことりの」
ことり「それより、海未ちゃん早く準備しないと。時間に遅れちゃう」
海未「それよりって、ことり!」
ことり「……海未ちゃんは、見送りに来てくれるでしょ?」
海未「え?」
ことり「だったら私は、それでいいよ。海未ちゃんがいてくれるなら、私はそれだけで嬉しい」
海未「ことり……」
海未ちゃんは一瞬とても辛そうな顔をして、だけどそれ以上何も言わなかった
311 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:39:57.60 ID:qsX+stJNo(29/44)
準備を終えた私は、お母さんに別れの挨拶を済ます
これまでの感謝の気持ちを綴った手紙もその時に渡した
恥ずかしいから、私がいないところで読んでほしいとお願いをして
本当に、お母さんには感謝している
今まで私を育ててくれたこと、そしてこの留学のことだって
これは、先日留学先から送られてきたエアメールに書いてあったこと
今回の再留学を実現するために、私の知らないところでお母さんはとても努力してくれていたらしい
312 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:41:02.41 ID:qsX+stJNo(30/44)
あの日、留学をとりやめて私が家に帰った時
お母さんは私を見て驚いた顔をした後、何も言わずに笑顔でおかえりなさいと言ってくれた
子供の私には知る由もなかったことだけれど、やはりあの後は大変だったそうだ
お母さんの元には当然苦情の手紙や電話が届いていた
それはそうだ、相手だって遊びじゃない
私が来るつもりで受け入れ準備などをしてくれていて、それにだってたくさんの手間やお金がかかっていたはずだ
それが全部無駄になったとなれば、相手が怒るのだって当たり前
それをお母さんは海外まで直接出向き、私の代わりに謝罪した
そして更に、いつか私が再び留学出来るようにと話までつけてくれていたんだ
313 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:42:09.29 ID:qsX+stJNo(31/44)
普通、留学をドタキャンするような相手のところにもう一度同じ話が来るわけがない
だけどお母さんは、私の将来の為にと何度も何度も頭を下げてくれていたらしい
お母さんは何も悪くないのに必死になってお願いし続けて
最初は断っていた相手方も、そんなお母さんの姿に今回だけはと折れてくれたそうだ
いいお母さんを持ったねと、手紙にはそう書いてあった
本当にそう思う
私のわがままのせいでたくさんの迷惑をかけて、だけど私の前では一度もそんな素振りを見せなかったお母さん
私はお母さんが大好きですと、お母さんに渡した手紙の最後はそう締めくくった
314 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:42:44.28 ID:qsX+stJNo(32/44)
私と海未ちゃんは2人並んで家を出る
右手には少し大きめのキャリーケース
そして左手には、しっかりと繋がれた海未ちゃんの右手
私から海未ちゃんの手を握ったのはもしかしたら初めてだったかもしれない
驚いた顔をした海未ちゃんは、だけど拒否することもなく絡めた指に力を込めた
315 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:43:49.94 ID:qsX+stJNo(33/44)
私たちは電車に揺られて、目的地の空港に到着する
人でごった返しているロビーまで来て、私たちはようやく繋いでいた手を離した
そこで、私は海未ちゃんと正面から向き合う
ことり「ここでいいよ、海未ちゃん」
海未「はい」
それだけ言って会話が途切れる
お互いに言いたいことはたくさんあるはずなのに、それがうまく言葉になって出てこなかった
せっかく穂乃果ちゃんが2人きりにしてくれたのに情けない
だからとりあえず、海未ちゃんに報告しなければならないことを先に伝えることにした
ことり「私ね、海未ちゃんに言わなきゃいけないことがあるの」
海未「言わなきゃいけないこと、ですか?」
ことり「うん。私、昨日穂乃果ちゃんに振られちゃいました」
海未「え?」
ことり「せっかく海未ちゃんが応援してくれたのに、ごめんね」
316 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:46:02.70 ID:qsX+stJNo(34/44)
海未ちゃんが背中を押してくれなければ、きっと私は今でも穂乃果ちゃんに気持ちを伝えられずにいたと思う
そしてその気持ちに決着をつけることも出来ずに、もやもやとした気分のまま日本を出発することになっていたはずだ
海未「そう、ですか。いえ、私はそんな……」
ことり「だけど、海未ちゃんのおかげで私は穂乃果ちゃんに告白できたよ。振られちゃったけど、でも私海未ちゃんにすっごく感謝してるの」
海未ちゃんに感謝の言葉を伝える
だけど、それを聞いた海未ちゃんの表情は暗い
海未「違うんです、ことり……。私は、あなたに感謝される資格なんてないんです」
そして、おずおずとゆっくりその口を開いた
海未「確かに私は、ことりに穂乃果への告白を勧めました。とても辛かったですが、ことりが幸せになるのならきっとその方がいいのだと」
下を向いて、私と目を合わさずに
海未「ですがそう思っていたつもりで、本当は全然違うんです。だって私は、本心ではことりが穂乃果に振られればいいと思っていたのですから」
そして海未ちゃんは、悲痛な声で私にそう告げた
317 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:47:20.26 ID:qsX+stJNo(35/44)
海未「そうすれば、ことりは穂乃果のことを諦めるしかなくなると思いました。そうなったら、もしかしたら私のことを見てくれるかもしれないと思ったんです」
そんなこと、言わなければ分からないのに
それでも海未ちゃんは、自分の見られたくない心の中を私に晒す
海未「ことりのことを諦めなくてはと思いました。ですが、私にはどうしてもそれが出来なくて……」
真面目で不器用な海未ちゃん
海未「私は最低です。好きな人の不幸を望んでしまうような、そんな最低な人間なんです」
ことり「……そうだったんだ」
そんな海未ちゃんのことを、私はとても愛おしいと思った
ことり「ありがとう、海未ちゃん。私のことを、そんなに好きでいくれて」
海未「そんな。どうしてお礼なんて……」
ことり「だって、海未ちゃんの気持ちがすごく嬉しかったから」
318 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:49:07.49 ID:qsX+stJNo(36/44)
私の言葉に驚いたように海未ちゃんは目を丸くする
ことり「今だから正直に言うとね、海未ちゃんが私に穂乃果ちゃんへの告白を勧めてくれた時、本当は結構ショックだったんだよ?海未ちゃん、もう私のこと好きじゃなくなっちゃったのかなって」
海未「あ、ありえませんそんなこと!私が、ことりのことを好きでなくなるなんて!」
ことり「うん、そうだよね。海未ちゃんの気持ち、私はよく分かってたはずなのに」
海未ちゃんがどんなに私を好きでいてくれているのか、これまで海未ちゃんはずっと私に伝え続けてくれていた
誰かを想う気持ちがどれだけ強いものか、それは私もよく知っている
私だって、だてに10年以上も片思いをし続けていたわけじゃないんだから
きっと海未ちゃんは、私が留学してもずっと私を好きでいてくれるつもりなんだろう
私のせいで
私が今まで海未ちゃんにはっきりと返事をしてこなかったばっかりに、海未ちゃんは私に縛られてしまっている
319 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:50:09.58 ID:qsX+stJNo(37/44)
海未「でも、どうしてですか?」
海未ちゃんが潤んだ瞳で私を見つめる
私の言葉に、わずかな希望の光を見い出して
海未「どうしてことりが、その、私の言葉にショックを?」
海未ちゃんがどんな答えを望んているのか、私はちゃんとわかっている
それを伝えた時の海未ちゃんの可愛い反応だって見たいと思う
ことり「それはそうだよ」
だけど私には、その言葉を海未ちゃんに言ってあげることが出来ない
だって言ってしまったら、気持ちが結ばれてしまうことを知っているから
でも、それは駄目なの
可哀想な海未ちゃんを、私はもう解放してあげなくちゃいけないんだから
ことり「だって海未ちゃんは、私の大好きな親友だもん」
320 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:51:17.07 ID:qsX+stJNo(38/44)
海未「親友……ですか」
海未ちゃんの声に、私の心がひどく痛む
だけど私はそれに気が付かないふりをして、作り物の笑顔を貼り付けた顔で話を続ける
ことり「うん。海未ちゃんに好きになってもらえて、私すごく嬉しかったよ。2人きりでおしゃべりしたり、手を繋いでデートをしたり、本当に楽しかった」
最初は、それまでと違う海未ちゃんの押しに戸惑ったりもしたけれど
恥ずかしがりながら、それでも勇気を出して私と必死に繋がろうとしてくる海未ちゃんを振り払うことなんて私には出来なくて
いつの間にか、私も海未ちゃんとのそんな時間を大切だと思うようになっていった
そしてそのままずるずると、今日までどっちつかずの関係を続けてしまったんだ
321 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:52:02.15 ID:qsX+stJNo(39/44)
ことり「でも、そんな恋人ごっこはもう終わりにしなきゃ」
海未「恋人ごっこって……。私はそんな……」
今にも泣き出しそうな海未ちゃんの表情
私はそんな光景を、自分じゃない、どこか第三者の視点から見ているような感覚になっていた
私の大好きな海未ちゃんを泣かせるこの人は誰だろう
海未ちゃんにそんな酷いことを言うなんて許せない
なんてそんな現実逃避な見方をしたところで、現実は何も変わらない
海未ちゃんを傷つけているのは、紛れもない私自身
322 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:53:00.34 ID:qsX+stJNo(40/44)
ことり「ごめんね海未ちゃん、今までハッキリとした返事をしなくて。海未ちゃんが答えを求めなかったから、私もすっかりそれに甘えてた」
でも、もう決めたから
今度こそ、私は自分の道を歩くことを
ことり「だけど今日こそ、私はあの時の告白に答えるね」
私のために、海未ちゃんのために
ことり「あのね、海未ちゃん」
この想いを、ここで終わりにすることを
ことり「私は、海未ちゃんとは付き合えません。今も、これから先もずっと。だから、私のことは諦めてください」
私を忘れて、私ではない人と恋をして
そして、どうか幸せになって
323 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:54:07.54 ID:qsX+stJNo(41/44)
海未「ことり……」
ことり「お願い、海未ちゃん」
きっとこれは、私から海未ちゃんへの最後のお願い
海未ちゃんにかけられた、呪いにも似た魔法
私がここに帰ってくる頃には、その魔法はきっと解けているだろう
深夜0時を超えたシンデレラは、ガラスの靴すら残してはいけない
私のお願いは、ただの言葉に成り下がる
だけどそれでいい
海未ちゃんが自由になることが、今の私の一番の望みなんだから
海未「……ずるいです、そんなの」
海未ちゃんは顔を俯けて、その小さな肩を震わせる
その体を抱き寄せたい衝動を必死に抑えて、私は海未ちゃんからの返事を待った
324 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:55:19.11 ID:qsX+stJNo(42/44)
海未「……お断りします」
ことり「えっ?」
海未「ことりのお願いだとしてもそれだけは聞けません。私は、これから先もずっとことりの事を好きでいます」
だけど海未ちゃんの口から出たのは、私のお願いを、私の決意を、真正面から否定するものだった
その予想外の返事に私は驚く
海未ちゃんが私のお願いをそんなハッキリと断るなんて、そんなこと今までなかったから
ことり「ど、どうして?私は海未ちゃんとは付き合わないよ。だから私のことを好きでいても意味なんてないんだよ」
海未「意味なんて知りません。さっきも言いました。私はことりのことを諦められないのだと」
ことり「で、でも」
海未「それに私は、まだあなたの気持ちを聞いていません」
325 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:56:34.68 ID:qsX+stJNo(43/44)
ことり「な、何言ってるの?私はちゃんと……」
海未「私が聞きたいのは、ことりが私のことをどう思っているのかです。付き合えないというのなら、その理由をはっきりと聞かせてください」
ことり「それは……」
海未ちゃんのことを好きにはなれないと
あなたを恋愛対象として見ることはできないのだと、そう言えばいい
そう言うことで海未ちゃんが私を諦めてくれるなら、嘘でもそう言うべきなのに
なのに私は、その言葉を口にすることが出来ずに黙り込んでしまう
私の心の深いところが、それを言うことを強く拒んでいるようだった
326 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/01(土) 23:58:10.25 ID:qsX+stJNo(44/44)
海未「ことり、私ではそんなに駄目ですか?あなたにとって、私はただの親友にしかなれませんか?」
ことり「海未ちゃん……」
違う
海未「ことりが穂乃果のことを好きなのはわかっています。きっと、私では相手になんてならないくらいに」
違うよ、海未ちゃん
海未「穂乃果に振られても、ことりの気持ちは変わっていないのかもしれない。今でも変わらずに、穂乃果のことが一番大好きなのかもしれません」
どうしてわからないの?
私はこんなに
海未「ですがそれでも、私の気持ちだって変わりません。ことりが私のことを好きでなくても、私は」
ことり「そんなことない!私は海未ちゃんをっ!」
ハッとして、私は口を噤む
海未「……ことり?」
ことり「あっ、ち、違うの。今のは……」
私は、何を言おうとしたのだろう
ちゃんとこの想いを断ち切ると、そう決めてきたはずなのに
海未ちゃんを前にすると、こんなにも気持ちが揺らいでしまう
327 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/02(日) 00:00:55.71 ID:TCTMym7so(1/39)
海未「ことり!」
海未ちゃんが、強く私の名前を呼ぶ
海未「お願いですことり、聞かせてください。今、あなたが何を言おうとしたのかを。私は、ことりの本当の気持ちが知りたい」
ことり「私は……」
もう、限界だった
海未ちゃんの言葉に押されるように、私の口からは私の想いが溢れ出す
ことり「私は、子供の頃からずっと穂乃果ちゃんのことが好きで……ずっとずっと大好きで……」
穂乃果ちゃん以外の人なんて、考えたことすらなくて
ことり「だけど最近、気がついたら海未ちゃんのことを考えるようになってて……穂乃果ちゃんと同じくらい海未ちゃんのことが気になって……」
穂乃果ちゃん以上に、海未ちゃんのことを好きになって
ことり「私、わけがわからなくなって……。穂乃果ちゃんのことが好きなのに、こんな気持ち間違ってるって思って……。だから……」
海未「ことり……」
自分に嘘をついて、あなたを傷つけて
それでも結局、私はこの気持ちを捨てられない
328 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/02(日) 00:02:20.18 ID:TCTMym7so(2/39)
海未「ことりも、私のことを好きでいてくれているのですか?」
ことり「そんなの……そんなの当たり前だよ!」
私は、大きな声で叫んでいた
周りを通る人達が、何事かとこちらに目を向けてくる
だけどそんなことは気にせずに、私は海未ちゃんに思いの丈をぶつけ続ける
ことり「あんなに海未ちゃんにまっすぐ気持ちを向けられて、私だって海未ちゃんのこと意識しないわけなんてない!好きにならないわけないよ!」
海未「だったら!」
ことり「だけど、私は海未ちゃんを縛りたくないの」
海未ちゃんのことが好きだから
海未ちゃんには幸せになってほしいから
329 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/02(日) 00:03:52.23 ID:TCTMym7so(3/39)
ことり「海未ちゃん、私が向こうに何年いることになるか分かってる?5年、10年、ううん、もしかしたらそれ以上かもしれないんだよ?その間、海未ちゃんはずっと私を好きでいられる?」
海未「当たり前です。私が今まで何年ことりのことを好きだったと思っているんですか」
ことり「それは、私達がずっと一緒にいたからだよ。離れ離れになったことがなかったからだよ」
もうすぐ、こうして向かい合って話すことさえ出来なくなる
電話やメールは出来たとしても、きっと少しづつ、海未ちゃんを感じることが難しくなっていく
ことり「会えない時間が長くなったら、きっと海未ちゃんの気持ちだって私から離れていっちゃう。いつか、誰か他の人を好きになる。そんな時、私は海未ちゃんの足枷になんてなりたくない」
この留学は、私が自分の為に決めたこと
自分の意志で、ここを離れることを選んだ
私がいなくなっても、海未ちゃんの生活は続いていく
その中で、海未ちゃんが出会うであろう素敵な人達がいて、海未ちゃんが手に出来る素敵な未来がきっとあって
それを滅茶苦茶にすることなんて出来ない
私の勝手に、海未ちゃんの人生を巻き込むわけにはいかないんだから
330 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/02(日) 00:06:03.56 ID:TCTMym7so(4/39)
ことり「だから、お願い海未ちゃん……」
私の言葉に頷いて
私のことを諦めるって言って
じゃないと、私は……
海未「馬鹿にしないでください!」
だけど私の必死のお願いを、海未ちゃんは怒ったような声で一蹴する
私に甘い海未ちゃんが、こんな顔を私に向けるのは初めてだった
海未「私が、それくらいのことで他の人を好きになるなんて思っているんですか!?ことり以外の人と結ばれることが幸せだと、あなたは本気で思ってるんですか!?」
ことり「それは……」
海未ちゃんは、本気で私のことを好きでいてくれている
こんなに怒りを露にするほどに、私の言葉を否定してくれている
そんな海未ちゃんに対して、私は酷いことを言っていると思う
だけどこれが海未ちゃんの為なんだと、私は本気でそう考えていたのに
それなのに、海未ちゃんはとても困らせるようなことを私に言う
331 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/02(日) 00:07:33.33 ID:TCTMym7so(5/39)
海未「もしことりが私の気持ちを受け入れてくれないのだとしても、それでも私は他の人を好きになったりはしません。そしてことりへの想いを抱えたまま、ずっと一人で生きていきます」
ことり「駄目!そんなの駄目だよ海未ちゃん!」
それじゃ、私が海未ちゃんを諦める意味がなくなる
海未ちゃんがそんな寂しい人生を辿るのなんて耐えられない
私は、海未ちゃんにそんなことは望んでない
望んでいない、はずなのに
海未「だったら、ことりが責任をとってください。私をここまであなたに夢中にさせた責任を」
ことり「そんなの、ずるいよ海未ちゃん……。そんなこと言われたら、私……」
選択肢がなくなる
それを選ばざるを得なくなる
それなのに、海未ちゃんがそう言ってくれるのを、こんなにも嬉しいと思ってしまう
しっかりと蓋をしようとした気持ちを、あなたが無理やりこじ開けてくれることを
332 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/02(日) 00:08:35.12 ID:TCTMym7so(6/39)
海未「そうです。私だって、ことりに負けないくらいずるいんですよ」
お願い、海未ちゃん
それ以上、私に何も言わないで
海未「私は何を言われようとことりのことを諦めません。絶対にあなたの恋人になってみせます」
それ以上言われちゃったら、私は……
海未「何回だって言います、聞いてくださいことり!私はあなたのことが」
ことり「待って!」
海未ちゃんの口を両手で塞ぐ
その続きは聞きたくなかった
聞いてしまったら、きっと私は駄目になる
自分の夢を捨て、また多くの人に迷惑をかけ、そしてそれでもいいと思ってしまう
だけど、もうそれは嫌なの
私は自分で、今度こそ前に進むと決めたんだから
ことり「やっぱりだめだよ。私は海未ちゃんの気持ちには応えられない」
海未「ことり!」
333 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/02(日) 00:09:52.90 ID:TCTMym7so(7/39)
ことり「でもっ」
私が遠くに行ったとしても
それでも海未ちゃんが、私を想ってくれるというのなら
海未ちゃんのことを、諦めなくてもいいんだと言ってくれるなら
私だって、海未ちゃんのことが
ことり「ねえ海未ちゃん。私の事をずっと好きでいてくれるって、本当?」
海未「本当です」
ことり「いつこっちに帰ってこられるかもわからないのに?」
海未「ずっと待ってます。あなたが帰ってくるのを、ずっと」
ことり「もしかしたら、あっちで恋人が出来ちゃうかも」
海未「それは……とても悲しいです。ですがそれでも、私はことりのことを好きでいるんだと思います」
ことり「海未ちゃん……」
私は幸せ者だ
こんなにも私のことを想ってくれる人なんて、きっとこの先現れない
大切で、大好きな、私だけの海未ちゃん
334 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/02(日) 00:11:01.23 ID:TCTMym7so(8/39)
私は、言ってもいいのかな
こんなわがままで、ずるいこと
大好きな人を縛り、自由を奪う鎖のような言葉を
ことり「じゃあ、お願い海未ちゃん」
だけど海未ちゃんが、私にそれを望んでくれるなら
私は喜んで、あなたに鎖を巻き付けよう
ことり「私が帰ってくるのを、ずっと待ってて。その間、絶対に他の人を好きにならないで」
きつくきつく、決して解けることのないように
ついでに私の名前を書いた名札をつけて、海未ちゃんは私のものだと主張して
ことり「そして私が帰ってきたら、さっきの言葉の続きを聞かせてほしいな」
他の誰にも渡さない
だって海未ちゃんを幸せにできるのは、きっと私だけしかいないんだから
海未「そうしたら、ことりは私の気持ちを受け入れてくれますか?」
ことり「それは……考えておくね」
安心なんてさせてあげない
海未ちゃんが、片時だって私を忘れられないように
335 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/02(日) 00:12:06.87 ID:TCTMym7so(9/39)
海未「……やっぱり、ことりはずるいです」
そう言って、海未ちゃんは笑った
海未「約束します。ずっとあなたを好きでいると。あなたが帰ってくるのを、ずっとずっと待っていると」
ことり「うん。ありがとう海未ちゃん」
この約束をお守り代わりに持っていこう
もしも辛いこと、苦しいことがあった時には、この約束を思い出そう
そうすれば、きっと私はどんなことでも頑張ることができるから
336 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/02(日) 00:13:11.10 ID:TCTMym7so(10/39)
空港に響くアナウンスが2人の時間の終わりを告げる
ことり「……そろそろ、行くね」
海未「……はい」
もう当分の間会うことはない
今までずっと一緒だった私達にとってそれは初めてのこと
それでも私達の顔に絶望の色はない
だけどそれはきっと今だけだ
私も、多分海未ちゃんも、このあと一人になったらいっぱい泣くんだろう
でもこの時だけは、笑顔でいようと以前からの約束だった
だってこのお別れは、悲しいものではないはずだから
ことり「いってきます」
海未「いってらっしゃい」
さよならは言わない
決して振り向かない
前だけを見て、そこに向かって歩いていく
そうして、私たちは、笑顔のまま、そのまま
337 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/02(日) 00:14:10.82 ID:TCTMym7so(11/39)
海未「……っことり!」
後ろから、誰かが私の手を掴む
なんで、どうして
ちゃんとお別れしようって決めたのに
笑顔でいると決めたのに
あなたが私の名前を呼ぶ声だけで、わかってしまった
あなたが今、どんな顔をしているのかを
だけど、それでも私は振り向かない
見なければ、それはわからないことだから
見られなければ、約束破りにはならないはずだから
海未「ことり!」
だけど海未ちゃんはもう一度強く私の名前を呼んで
私の肩を掴み無理矢理に振り返らせた
338 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/02(日) 00:15:10.09 ID:TCTMym7so(12/39)
海未「ひどい顔ですよ、ことり」
ことり「海未ちゃんだって」
約束は破られた
この別れが、悲しいものなのだと認めてしまった
一度そうなってしまったらもう止まらない
とどめていた涙が次から次へと溢れ出してきて、私たちの顔を歪ませる
そして私たちは、どちらからともなく抱き寄せあう
大勢の人が行き交う、空港のロビーの真ん中で
それでも今この瞬間、この場所にいるのは確かに私達2人だけだった
339 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/02(日) 00:15:59.55 ID:TCTMym7so(13/39)
海未「ことり……ことり……」
海未ちゃんは何回も私の名前を呼んだ
そうやって本当に言いたいことを必死になって堪えるように
それを言えば、きっと私があの時と同じことを繰り返すとわかっているから
それが分かっていて、そしてそれを望んでいて、だけどあなたは私の為にと絶対に口には出さないのだろう
本当にありがとう
だけど私は絶対にあなたのもとに帰ってくるから
私は精一杯の気持ちをこめて、海未ちゃんを抱く腕に力を込める
340 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/02(日) 00:17:11.83 ID:TCTMym7so(14/39)
私が子供の頃に見ていた夢
私と穂乃果ちゃんが、真っ白なウエディングドレスに身を包み、2人並んで神父さんの前に立っている
そこは立派な教会で、天使なんかが描かれた綺麗なステンドグラスがあったりして、たくさんの人達が集まっていて
そして誰もが、笑顔で私達を祝福してくれた
私達ももちろん最高の笑顔でその人達に応え、みんなが見守る中静かに誓いの口づけを交わす
そんな、馬鹿みたいな未来をあの頃の私は無邪気に信じていた
ごめんね、あの頃の私
その夢は、もう叶うことは無いけれど
だけど今の私は、あなたが想像もしていなかったような場所に立っている
本当に、人生は何が起こるかわからない
それでも私は、もう一度未来を夢見よう
子供の頃よりは現実的な、だけど子供の頃と変わらない幸せな未来を
海未ちゃんとなら、今度こそ叶えられると信じてる
そんな夢を胸に秘め、そうして私はこの場所を飛び立った
341 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/02(日) 00:18:46.01 ID:TCTMym7so(15/39)
「プロローグ2」
穂乃果「ねえねえ、まだかな?まだ来ないのかなあ?」
海未「落ち着いてください穂乃果。慌てなくてももうすぐ来るはずですよ」
さっきから忙しなく何回も周りを確認している穂乃果をたしなめます
まったく、穂乃果はいくつになっても変わらないのですから
穂乃果らしいといえばそれまでですが、もう大人なんですから少しは落ち着きを持ってほしいものです
ですがこんな穂乃果も、穂むらで働いてる時はしっかりしているんですけどね
この間穂乃果の作ったほむまんを食べさせてもらいましたが、その腕前はもうおじさまと比べても遜色のないくらいに成長していました
今では穂乃果を目当てに来るお客さんもいるとかいないとか、とにかくお店はそれなりに繁盛しているようです
凛「そんなこと言って、本当は海未ちゃんが一番そわそわしてるよねー」
海未「なっ、そんなことありません!何を言っているのですか凛は!」
凛にそんな指摘をされてしまい、照れ隠しから私は凛に言い返します
久しぶりに会った凛は、高校時代は短かった髪を肩まで伸ばし、今や誰もが振り返るような美人に成長していました
高校時代の元気でボーイッシュな感じも可愛かったですが、やはり凛はこういう女性的な雰囲気もよく似合います
342 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/02(日) 00:20:19.15 ID:TCTMym7so(16/39)
絵里「凛、あんまり本当のことを言ったら海未が可哀想でしょ」
海未「もう、絵里まで。からかうのはやめてください」
口の前で指を立てていたずらっぽく笑う絵里
絵里は大学を卒業後、みんな一度は名前を聞いたことがあるような大企業に就職
バリバリのキャリアウーマンとして、毎日遅くまで働いているそうです
一生懸命働くのは素晴らしいことですが、真面目な絵里のことですから無茶しすぎてしまわないかと少し心配です
希「でも海未ちゃん、あれ以来一度も会ってないんやろ?早く会いたいのも当たり前やってうちは思うよ」
海未「希。それはまあ、そうなのですが」
そう言ってくれる希のフォローはありがたかったですが、やはりみんなにそう思われていたのが分かって逆に恥ずかしくなってしまいます
希が今何をしているのかは……すみません、わかりません
何やらスピリチュアルな事をしているらしいという話ですが、聞いても笑ってはぐらかされてしまうばかりで教えてはもらえませんでした
相変わらず希は不思議な人ですね
343 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/02(日) 00:23:01.41 ID:TCTMym7so(17/39)
にこ「まったく、休みにも1度も帰ってこないなんて。彼女が寂しい思いをして可哀想だと思わないのかしら」
海未「ありがとうございます、にこ。ですが電話やメールなどで連絡は取り合っていたので大丈夫ですよ」
それと彼女ではありません、とちゃんとにこの言葉を忘れずに訂正しておきます
にこは、なんというか、私が覚えているままのにこでした
見た目も性格も当時とあまり変わっておらず、にこを見ていると楽しかったあの頃を思い出します
20代も後半になりかけている年齢でするのは普通なら少し痛々しいと思われるツインテールも、にこの童顔にかかればこんなにも可愛く見えてしまうのですね
花陽「でもすごいなあ。こんなに長い間離れ離れでもまだ相手のことが好きだなんて。そんな恋愛、ちょっと憧れるかも」
海未「そんなにいいものじゃないですよ、花陽。私は花陽達みたいないつでも一緒にいられる関係にこそ憧れます」
羨望の眼差しを向ける花陽に私はそう返します
花陽もだいぶ大人っぽくなっていますが、以前と比べて少しだけ丸くなったような印象を受けました
そんな花陽は今、なんと年下の恋人と同棲中だそうです
その方がなかなか食べる人のようで、大好きな人と大好きなお米をたくさん食べて太っちゃったと笑いながら惚気けられてしまいました
本当に、羨ましい限りです
344 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/02(日) 00:24:05.61 ID:TCTMym7so(18/39)
真姫「海未だってすぐそうなるじゃない。もうどこにも行かないんでしょ?」
海未「真姫にそう言ってもらえるのは嬉しいですが、私の場合そもそも恋人になれるかどうかも分からないので」
壁に寄りかかるように立っていた真姫が私達の話に加わります
ふふ、そうやって髪をいじる癖は変わっていないようですね
真姫は医者として両親の経営している病院に勤めているそうです
医者になるだけでも大変なことなのに、なってからも毎日が勉強だと真姫は愚痴をこぼしていました
ですがそうやって話す真姫の顔は、どこか誇らしげに見えました
絵里「それにしても、久しぶりね」
海未「ええ、そうですね」
本当に久しぶりです
μ'sのみんながこうして同じ場所に集まるのは
345 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/02(日) 00:25:12.34 ID:TCTMym7so(19/39)
希「音ノ木坂を卒業してからはなかなか予定が合わなくて、こうしてみんなで会うことも出来なかったもんね」
花陽「でも、穂乃果ちゃんはたまに電話とかメールくれたりしてたよね」
凛「私にもよくきたよ」
にこ「ホントにね。寂しいと思う暇もなかったわよ」
穂乃果「だって、みんなとお話したかったんだもん。あっ、真姫ちゃんともよく会ってたよね。真姫ちゃん結構うちの店に買い物に来てくれるんだー」
真姫「そ、それはたまたま近くを通りかかったからついでに寄っただけで、別に穂乃果に会いに行ったわけじゃないから!」
凛「あ、真姫ちゃん赤くなってるー」
真姫「うるさい!」
346 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/02(日) 00:26:00.90 ID:TCTMym7so(20/39)
凛「あはは、真姫ちゃんは可愛いなー」
にこ「ねえ凛、私今日会ってからちょっと気になってたことがあるんだけど」
凛「ん?なーににこちゃん」
にこ「あんた、なんだか喋り方変わったわね」
にこの言葉に、凛が一瞬ビクッとしたのが見えました
凛「えっ!?な、なんのことかな?」
にこ「あんた昔はよく語尾ににゃーとかつけてたじゃない。あれやめたの?」
凛「わ、私そんな喋り方してないよ?」
にこ「嘘つくんじゃないわよ。それにあんた自分のこと私なんて言ってなかったじゃない」
凛「そ、それは……」
347 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/02(日) 00:26:47.95 ID:TCTMym7so(21/39)
花陽「あ、あの。その話はその辺で」
たじろぐ凛に、花陽がすかさずフォローに入りました
それを気にすることなく、にこは更に畳み掛けます
にこ「なんでやめちゃったの?ねえ凛、なんでなんで?」
凛「う、う……」
にこの勢いに、凛は言葉をつまらせて
凛「うにゃあああああああああ!」
そしてついに、恥ずかしさからか壊れたような悲鳴をあげました
そのまま頭を抱えてその場にしゃがみこんでしまいます
348 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/02(日) 00:27:49.88 ID:TCTMym7so(22/39)
凛「お願いだから昔のこと言うのはやめてよお!」
にこ「ぶふっ」
たまらずといった感じで吹き出すにこ
やっぱり、わかってやっていたんですね
真姫「もう、にこちゃん性格悪いわよ」
にこ「ごめんごめん、だってなんか可笑しくって」
凛「うう、忘れたい黒歴史なのに……」
花陽「で、でも、私はすごく可愛かったと思うよ」
穂乃果「そうだよ。私も好きだったよ、あの喋り方」
凛「慰めはやめて!」
凛はすっかりやさぐれてしまいました
私も猫みたいで可愛いと思っていたのですけどね
349 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/02(日) 00:29:08.52 ID:TCTMym7so(23/39)
凛「っていうか、にこちゃんにだけはそんなこと言われたくないよ!にこちゃんだって昔はにっこにっこにーとかやってたじゃん!」
にこ「私は今でも出来るわよ?」
凛「えっ?」
にこの言葉に、一瞬その場の時間が止まったような気がしました
にこ「なに、久しぶりに見たいの?仕方ないわねえ」
凛「いえ、いいです」
絵里「は、ハラショーね、にこ」
苦笑いを浮かべる絵里
ちょっとだけ見てみたいと思うのは私だけでしょうか
350 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/02(日) 00:30:32.56 ID:TCTMym7so(24/39)
凛「……そんなんだから彼氏とも長続きしないんじゃないかな」
にこ「なんか言った!?」
凛が小声で呟いたのを、しかしにこはしっかりと聞いていたようです
凛のことをそれはもうすごい目つきで睨みつけていました
にこ「ふん、彼氏がなによ!あんな奴らこっちから願い下げよ!そもそも、アイドルは恋愛禁止!にこの恋人はファンのみんななの!」
花陽「おお!にこちゃんかっこいい!」
花陽は目を輝かせながらにこに拍手を送りました
確かに一見いいことを言っているようには聞こえますが
海未「そもそも、にこはアイドルではないでしょう」
希「たしか、家の近くの会社でOLしてるんやろ?」
にこ「うっさい!心はいつまでもアイドルなのよ!」
351 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/02(日) 00:31:47.25 ID:TCTMym7so(25/39)
穂乃果「さすがにこちゃん!私もなんだか久しぶりにダンスとか踊りたくなってきたよ」
そんな穂乃果の言葉に私はすかさず口を挟みます
海未「何を言っているんですか、そんな体で」
穂乃果「もう、さすがに本当に踊ったりしないってば。相変わらずだなー海未ちゃんは」
真姫「でも、本当に気を付けなさいよ。もう穂乃果一人の体じゃないんだから」
穂乃果「うん、心配してくれてありがとうね」
穂乃果はそう言って、大きくなった自分のお腹を優しくさすります
352 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/02(日) 00:32:59.61 ID:TCTMym7so(26/39)
絵里「だけど、まさかあの穂乃果がねえ」
絵里の言葉に、みんなうんうんと頷いています
まあ、確かに意外ですよね
希「この中じゃ穂乃果ちゃんが一番乗りやね」
凛「ねえ穂乃果ちゃん、ちょっとお腹触ってみてもいい?」
穂乃果「いいよ。あんまり強くしないでね」
にこ「わ、私も!」
2人して穂乃果のお腹を触る凛とにこ
最初はおっかなびっくりといった感じでしたが、徐々に慣れたのか今はゆっくりと撫でるように触れています
凛「おお……」
にこ「な、なんかすごいわね」
穂乃果「2人ともくすぐったいよー」
凛「もうお腹蹴ったりするの?」
穂乃果「それはまだかな。でもあとちょっとでそういうのも分かるようになってくるって話だよ」
353 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/02(日) 00:34:09.02 ID:TCTMym7so(27/39)
にこ「真姫、あんたも触ってみなさいよ」
真姫「わ、私は別にいいわよ」
にこ「いいから。ほら」
真姫「ちょっと、わかったから!引っ張らないで」
そうして真姫もゆっくりと穂乃果のお腹に手を当てました
穂乃果「どう?元気な子が産まれそうかな?」
真姫「そんなの触っただけでわかるわけ無いでしょ。でも」
お腹に触れながら、優しげな表情を浮かべる真姫
真姫「不思議。この中に、穂乃果の赤ちゃんがいるのね」
にこ「あんたねえ、それが医者の口から出る感想なの?」
穂乃果「でも本当に不思議だよね、まさか私がお母さんになるなんて。そんなの自分でも信じられないくらいだもん」
354 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/02(日) 00:35:56.97 ID:TCTMym7so(28/39)
花陽「あの、私穂乃果ちゃんの旦那さんとの馴れ初めとか聞いてみたいな」
穂乃果「えー、別にいいけど普通だよ?劇的な出会いとか期待しないでね?」
花陽にせがまれて、穂乃果はその人とのいきさつを語り始めました
他のみんなも、興味津々といった様子で穂乃果の話に耳を傾けます
穂乃果「最初は、私が店番をしてた時にあの人がうちに買い物に来たのがきっかけ。そしたら、そこでいきなり告白されちゃったんだ。一目惚れだって」
絵里「え、いきなり?なんていうか、すごいわねその人」
希「積極的やね。うちは嫌いじゃないよそういうの」
穂乃果「もちろん最初は断ったんだけど、その人の勢いに負けてとりあえず友達にってことで、アドレスだけ交換して」
にこ「ちょっ、あんたそんな簡単にメアドなんか教えちゃダメじゃない!危ないわよマジで」
凛「にこちゃんはちょっと自意識過剰すぎだよ。アドレスくらいいいじゃんねー」
にこ「なんですってえ!?」
穂乃果「あはは。それでメールのやり取りとかするうちに、いつしかデートに誘われるようになって」
海未「そのことでよく穂乃果に相談を受けましたね」
真姫「私もよ。……まったく、人の気持ちも知らないで」
真姫が小さくでそう言ったのを、私は確かに聞きました
ですが穂乃果には聞こえていなかったようで、そのまま話を続けます
355 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/02(日) 00:37:20.52 ID:TCTMym7so(29/39)
穂乃果「そうやって何回かデートをして、また告白されて、それでって感じ。ね、よくある話でしょ?」
絵里「相手の熱意に心を動かされちゃったってことね」
真姫「……穂乃果、あなた本当にそれでよかったの?」
真姫が意味有りげな視線で穂乃果を見つめます
穂乃果はそんな真姫に微笑んで言葉を返しました
穂乃果「私ね、真姫ちゃん。あの時には分からなかったこと、今はようやく分かるようになったんだ。あの人が、それを教えてくれたから。だから、私は大丈夫だよ」
真姫「……そう、ならいいわ。おめでとう、穂乃果」
穂乃果「ありがとう。この子が産まれるときは真姫ちゃんのとこの病院にお願いしよっかな」
真姫「任せて。うちで1番の産科医を紹介してあげるわ」
真姫は、おそらく穂乃果のことが好きだったのでしょう
それなのに今こうして穂乃果を祝福し、共に笑い合うことができるなんて
私にはない強さを持っている真姫を、私は心の底から尊敬します
356 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/02(日) 00:38:52.86 ID:TCTMym7so(30/39)
私は穂乃果に、答えなんて分かりきっている問いを投げかけました
海未「穂乃果、あなたは今幸せですか?」
それに穂乃果は、迷うことなくこう答えます
穂乃果「うん。あの人や、μ'sのみんな。お父さん、お母さん、雪穂。それに他にもたくさん。こんなに多くの大好きに囲まれて、私は本当に幸せだよ」
そう言う穂乃果の顔は、私の大好きな、太陽のような笑顔でした
おめでとうございます、穂乃果
穂乃果の幸せが、永遠に続くように願っています
穂乃果「だから、今度は海未ちゃんの番!」
海未「え?」
穂乃果「ほら、あっち見て」
穂乃果に言われて私は振り返ります
海未「……あっ」
その視線の向こう、空港のロビー、忙しなく動く人混みの中で
私は見つけました
何年経っていたって見間違うはずなんてない
私の大好きな人の姿を
357 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/02(日) 00:39:46.53 ID:TCTMym7so(31/39)
穂乃果は私の手を握リ、正面から私を見据えてきます
穂乃果「大丈夫、海未ちゃんなら絶対にうまくいくから。ファイトだよ、海未ちゃん」
海未「穂乃果……」
絵里「頑張ってね、海未」
希「しっかり気持ちを伝えるんよ」
にこ「キメてきなさい」
花陽「勇気を出して」
凛「いっくにゃー」
真姫「少しは応援してあげるわ」
海未「みんな……」
358 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/02(日) 00:41:04.06 ID:TCTMym7so(32/39)
穂乃果「ほら、行った行った」
海未「ま、待ってください!まだ心の準備が……」
しかし穂乃果はそんなことはお構いなしといったふうに、私の背中を強く押しました
その勢いにのって、私の体は前に出ます
最初はゆっくりと、しかし徐々に速度は上がっていき、最後には駆け足になって
彼女がすぐそこにいる、そう思うだけで私の胸はこんなにも高鳴り、私の足は一目散に彼女の元へと向かいます
彼女はその場から動かずに、私が傍まで来るのを笑いながら待っていました
359 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/02(日) 00:42:23.83 ID:TCTMym7so(33/39)
軽く息を切らせながら、ついに私は彼女と向かい合います
昔と変わらず、いえ、昔以上に可愛い女性へと成長している彼女
私達はそのまま少しの間、お互いの瞳を見つめ続けました
言いたいことはたくさんあるのに、彼女の顔を見ただけで、私は言葉を発することが出来なくなっていました
彼女への想いが心の奥から溢れ出し、それが私の喉を詰まらせて、そして今度は涙へと変わり私の顔を濡らします
すると彼女は自分のポケットからハンカチを取り出し、そっと私の涙を拭ってくれました
私に触れる彼女の暖かさに、彼女は本当にここにいるのだと、私の夢ではないのだと、それをようやく感じることができました
360 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/02(日) 00:43:23.31 ID:TCTMym7so(34/39)
ただいま、と彼女は言いました
久しぶりに聞いた、電話越しではない彼女の声
それだけで、私の目からは再び涙がこぼれそうになってしまいます
私はそれを必死にこらえて、笑顔で彼女に応えます
海未「おかえりなさい」
本当に、おかえりなさい
ずっとずっと、あなたに会いたかったです
出来ることなら、もう2度と離れないようにとあなたの体を強く抱き寄せて、キスをして、そしてそのまま無理矢理押し倒してしまいたい
ですがこの衆人環視の中でそんなことができるはずもなく
いえ、例え誰もいなくても、私にそんなことをする勇気なんてあるはずないのですが
だからせめて、この気持ちだけでも彼女にちゃんと伝えたい
あの日の彼女との約束を果たすこの時を、私はずっと待ちわびていたのですから
361 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/02(日) 00:44:12.65 ID:TCTMym7so(35/39)
海未「あの、私」
私の心に一抹の不安がよぎります
彼女は、私の気持ちに受け入れてくれるでしょうか
人目も気にせず、この場で私の唇を奪ってくれるでしょうか
自分では恥ずかしくて出来ない事だって、あなたにならしてほしいと思ってしまうんです
362 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/02(日) 00:44:58.86 ID:TCTMym7so(36/39)
あなたにお願いがあります
もし、私の想いを受け止めてくれるなら
これから先、どんなことがあってもずっと私の傍にいてください
一緒の家で暮らして、一緒のご飯を食べて、一緒の布団で寝て
たまにはケンカをしたりするのだっていいかもしれません
そしていくつになっても、2人で手を繋いでデートに行きましょう
私はあなたに穂乃果のような普通の幸せをあげることは出来ません
ですが絶対に、あなたのことを一生大切にすると約束します
363 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/02(日) 00:45:54.96 ID:TCTMym7so(37/39)
そして、本当なら考えたくもないことですが
もし、私の気持ちが叶わなかったとしても
もし、あなたが私以外の誰かと一生を添い遂げることになったとしても
それでも、あなたのことをずっと想い続けることを許してください
私はこの気持ちを失いたくはありません
例えそのせいで心が痛み続けることになったとしても、あなたを忘れて生きていくよりずっといい
だって、私はこんなにも
364 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/02(日) 00:46:39.03 ID:TCTMym7so(38/39)
あなたの可愛らしい顔が
あなたの女性らしい体が
あなたのとろけるような甘い声が
あなたの優しい性格が
そして、ちょっとずるいところだって
私は、あなたのすべてが
海未「私は、あなたのことが大好きです、ことり」
365 ◆xgvLVVJToBeS [saga] 2014/11/02(日) 00:48:47.81 ID:TCTMym7so(39/39)
これで終わりになります
拙い文章、無理矢理な展開などあまり出来がいいとは言えなかったかもしれませんが、それでも読んでくださった方にはとても感謝しています
ありがとうございました
HTML依頼を出してきます
366 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/02(日) 00:51:38.47 ID:6t7yJQQc0(1)
本当によかったです
感動しました
お疲れさまでした
367 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/02(日) 00:52:34.34 ID:TRVofdyBo(1)
お疲れ様!
368 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/02(日) 02:04:44.02 ID:owmH/JB40(1)
1乙
俺の事書くなら一言言って欲しかったぜ
369 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/02(日) 05:54:05.97 ID:qhx4wjFVo(1)
穂乃果ちゃんめ!
あれほど僕との慣れ初めのことは話さないでくれって言ったのにッ!
370 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/02(日) 22:34:06.46 ID:FG2Octweo(1)
おつでした
371 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/03(月) 00:48:32.93 ID:zEle00mPO携(1)
女同士が当たり前に付き合ってるようなSSも好きだけどこういうSSもリアリティがあって好き
乙です
372 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/06(木) 23:21:18.56 ID:2FKOxoTho(1)
乙乙
最高だったよことうみ万歳
また機会があれば書いてくれ
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