【女の子と魔法と】魔導機人戦姫U 第14話〜【ロボットもの】 (642レス)
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4: 3スレ目にかわりまして4スレ目がお送りします◆22GPzIlmoh1a [saga sage] 2014/07/20(日)21:06 ID:PGdg3XaSo(4/40) AAS
―2―
本條茜と言う少女は、有り体に言って“お嬢様”だった。
父方を遡ればどこまでも……
それこそ日本と言う国家の開闢まで遡れてしまう程の、旧い旧い魔導の家。
母方は華族でも貴族でも武家の出でも無いが、無名と言うには憚れる程の英雄の家柄。
世界有数の魔導の家である本條と、魔導の杖の技師の中でも名門たるフィッツジェラルド家と、
救世の英雄と謳われた閃虹の譲羽の血を継ぐ、魔導の家柄の中でも比肩する物の無い血統。
父は名家の当主らしい厳しさと父親らしい優しさを併せ持ち、
母はおっとりとしていながらも強く芯のある女性だった。
八つ歳の離れた兄や、兄と同い年の従兄や、その妹である優しい従姉、
その両親である父の妹夫婦、生ける現代の英雄と呼ばれる伯母、
祖父母の代から付き合いのある様々な人々に囲まれて、二歳の茜は幸せの絶頂にいた。
特に、父・勇一郎は彼女の誇りだった。
2060年、晩春――
明日華「さあ、茜、お父様にいってらしゃいませは?」
茜「いってらっしゃいませ、おとーさま」
茜は母・明日華の腕に抱かれたまま舌足らずな口調で言って、父に手を振る。
まだ二歳になったばかりの、物心つくかどうかと言う頃の、茜の記憶に鮮明に残る姿。
庭一面に植えられた桜はもう散って、青々とした葉を茂らせるソレを背に振り返る、
優しい笑みを浮かべた父・勇一郎。
ロイヤルガード長官の纏う、黒の中に僅かな装飾だけが施された
簡素だが威厳に満ちた制服を纏ったその姿は、今も瞼に焼き付いている。
勇一郎「ああ、いってきます」
勇一郎は手を振り返そうとして、だが少し逡巡してから、
その手を愛娘の頭に優しく乗せて軽く撫でた。
勇一郎「良い子にしているんだぞ、茜」
茜「はーいっ!」
大きくて暖かい手に頭を撫でられ、茜は父の言いつけに元気よく返事をする。
勇一郎「臣一郎も、今日は夕方までに勉強を終わりにしておきなさい。
帰ってから稽古を付けてやろう」
臣一郎「はい、父上!」
母の傍らに立っていた兄・臣一郎も、父の言葉に力強く応えた。
勇一郎は本條本家の奥義である剣術だけでなく、分家の格闘術や槍術などにも精通し、
当主となってからはそれらの統合と、分家にも剣術の教えを施し、広く伝えて行こうと励んでいた。
まだ魔力覚醒を迎えていない茜は、当然の事ながら父に稽古を付けて貰えるハズもなく、
自分よりも長く父と一緒にいられる兄を、彼女は少しだけ羨んだ。
そして、笑みを浮かべて踵を返し、門を潜って行く勇一郎の背中を、茜は憧憬の視線で見つめる。
広く、強い背中だったのを、今でも覚えている。
最強と謳われるオリジナルギガンティックの中でも、特に最強の呼び声の高い210のドライバー。
武芸百般に秀で、多くのテロリストやイマジンを、皇居の門に触れさせる事なく屠って来た最強の衛士。
そんな父を、討ち倒せる者などいない。
ずっと、そう、信じていた。
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