[過去ログ] 八幡「なあ雪ノ下。俺と」雪乃「ごめんなさいそれは無理。だけど――」 (142レス)
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1 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] 2014/07/13(日) 20:19:08.39 ID:bUv+jJwJ0(1/13)
時系列は文化祭終了後の部室にて、比企谷が雪ノ下に友達になってほしいと申し出るところ。
週一くらいのペースでゆっくり更新予定。
7巻以降の要素を取り入れるため、アニメ派はブラウザバック推奨。二期を待て。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1405250348
2 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/07/13(日) 20:20:37.54 ID:bUv+jJwJ0(2/13)
二人きりの部室。
最近は由比ヶ浜が俺よりも先に部室にいることが多かったため、こうして雪ノ下と二人で会話をすることはなかった気がする。
雪ノ下は進路希望調査書を、俺は議事録をまとめながらの会話。お互い決して目は合わさない。
そんな中、俺は雪ノ下の整った、美しく凛とした表情に目を向け、言葉の続きを待つ。
……あのさ。
ひどくない?俺まだ最後まで言ってないよ?
最後まで言う権限すら与えられない、やはりいつもの俺たちだ。
あれ?いつもこんなんなの?
泣いていい?泣いていいよね?
すると視線に気づいたのか、雪ノ下は顔をあげてこちらを見据える。
「友達にはなれないわ。けれど……」
「けれど?」
氷の女王こと雪ノ下にしては珍しく、歯切れが悪い。
視線も下へ下へと落ちていく。
いつもなら気持ち悪いだの害虫だのと暴言が飛んでくるのが定石だというのに。
このあとの言葉を紡ぐことをためらうかのような、そんな感じを受けた。
うつむくその瞳は何を映しているのか。
しばしの間があいて、そして。
そして、顔を上げてこちらを見据える。迷いは一切感じられない。
冷たく、凛とした声で、雪ノ下は。
「私と、付き合ってくれないかしら」
「……ど、どこに?」
3 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] 2014/07/13(日) 20:21:14.26 ID:bUv+jJwJ0(3/13)
大分間抜けな声をあげてしまったと思う。
もしかしたら裏返っていたかも。
雪ノ下にしては珍しく、言ってる言葉の意味がわからない。
目的語を忘れるなんて、致命傷ではなかろうか。
国語1位の名が廃るねっ!ははっ!(裏声)
……うわ、メッチャ睨んでませんかねぇ。
八幡、まずいこと言っちゃったみたい。いやまじで。
怖いっつーか怖い。
「本気で言ってるのかしら。何のためにいつも一人ぼっちで本を読んでいるのかしら。一人ぼっちで」
「わかったから強調すんな」
悲しくなるだろ。
人間って、わかってることを指摘されるのが一番堪えるんだぜ?しらないの?
あと、本は行間までしっかり読む。なんせ時間が有り余ってるからな。
登場人物の心情までがっつり読むぜ。
だから、雪ノ下の言わんとしていることはもちろんわかってる。
意味はわからんが。
「お前こそ本気で言ってんのか?付き合う?俺とお前がか?」
「……ええ、そうよ」
ハイ確定しました。
事実上の告白だ。
……で、「ドッキリ大成功〜」のプラカードを掲げた由比ヶ浜さんはどこに?
早く来ないと収拾つかなくなっちゃうぞ〜。
いや本当どういうことなのこれ。ドッキリなんでしょ?
何とか言って下さいよ女王。
4 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/07/13(日) 20:21:54.28 ID:bUv+jJwJ0(4/13)
「……」
「……そう、そうよね」
何を言えばいいのかわからなくて黙っていたら、雪ノ下が俯いてしまった。
何に納得したのだろうか。そうよねって、なにが。
……さて、どうしたものか。
十中八九、雪ノ下は本気だ。本気で、俺に交際を申し込んでいると見える。
ここでこの告白を真に受けたとしたらどうなるか。
たとえこれがドッキリや冗談のたぐいだとしても、俺がからかわれ、黒歴史が一つ増えるだけだ。
枕を濡らす日々が始まるが、、それだけで済む問題であるとも言える。
大体、雪ノ下雪乃は嘘をつかない人間だ。ここは本気ととらえて間違いない。
……いや、文化祭で学んだばかりじゃないか。そして、さんざん自己嫌悪に陥ったばかりじゃないか。
しっかりしろよ比企谷八幡。
雪ノ下でも嘘をつく。
そして、それを許容できずにいる自分自身に嫌悪したんだ。
今さっきの事だ、もう忘れたのかよ。
ならば、冗談であり、ドッキリである…つまり嘘である可能性も、やはり考慮に入れておいた方がいいだろう。
まあそれでも、やはり俺のやることは変わらないのだが。
「雪ノ下」
「なにかしら、比企谷くん」
俯いたままに雪ノ下は応える。そのため、表情は見えない。
5 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] 2014/07/13(日) 20:22:36.49 ID:bUv+jJwJ0(5/13)
手に力が入っているのがわかる。
肩がこわばり、スカートのすそでも握っているのだろうか。
まあ、机越しだから下半身は全く見えないけどね。
「それは、勘違いだ」
「は?」
6 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/07/13(日) 20:23:02.90 ID:bUv+jJwJ0(6/13)
雪ノ下が顔を上げた。
ぽかん。そう表現するとちょうどいいような、間の抜けた顔をしている。
「それはどういう意味かしら」
まあ、意味わかんないよな。
だから、しっかりと説明してやることとしよう。
「この文化祭ではいろんなことがあったよな。相模が依頼をしてきて、お前のねぇちゃんが余計なことを言って混乱を生んで。そして、お前はその混乱をものともせずに、その過負荷を問題なく一人で消化していった。でも、体調を崩したんだよな、過負荷に耐え切れずに。そんな折に俺がお前をお見舞いに行って。恩着せがましいかもしれないが、結構お前のサポートをしたと思うんだよ」
「……何が言いたいのか、さっぱり話が見えてこないのだけれど」
濡れた瞳がまっすぐ俺を見据える。
いや、まっすぐじゃないな、瞳は小刻みに震えている。混乱しているのだろうか。
何を言っているのかさっぱりだ、告白の返事はどうなっているのか。
そう訴えかけているように見える。
「まあ聞け。それから、俺が文実をまとめ上げたわけだろ?お前が倒れたから、その代わりというかなんというか、まあ、手助けをしたわけだ。お前にはできなかったことを、俺はやってのけた。それに――」
7 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/07/13(日) 20:23:49.88 ID:bUv+jJwJ0(7/13)
「比企谷くん」
雪ノ下が話を遮る。
「ちょっと待って。自慢を聞きたいわけではないのよ。話が脱線しすぎだと思うのだけれど。嫌なのであればそう言ってくれれば、私はそれで納得できるの。だから、結論を言ってちょうだい」
「結論から言ったじゃねぇか、勘違いだって」
「何を言っているのよ……勘違いって、いったい何が」
「お前が俺に、その……好意、を寄せていること。それ自体が勘違いだ」
好きとか恥ずかしくて言えなくて、結局詰まってってしまったが、それでも言うべきことは言った。
雪ノ下は友達がいない。
一応由比ヶ浜とは友達と呼べる関係なのだろうが、由比ヶ浜はあの通り残念な子だ。助けになることはほとんどないと思う。
なにせ、雪ノ下は完璧超人だからな。由比ヶ浜でなくとも、人の助けを必要とする場面なんてなかったはずだ。
つまり、助けられたり人を頼ったりといったことに慣れていない。
だから、そういった感謝の念やら何やらを恋愛感情と勘違いしてしまったということだ。
……思い起こされるのは中学時代のイマイマシイキオクうへへへへへへ。
「そんなことないわ。私は、あなたを慕っている。ええ、好きよ」
「っ……」
先ほどの動揺は影も残っていなかった。
いつもの強かな目で、雪ノ下はまっすぐにこちらを見ている。
それだけは確かだと、ゆるぎない事実であるとうったえるかのように。
8 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/07/13(日) 20:27:03.58 ID:bUv+jJwJ0(8/13)
「勘違いではないわ。それだけは確信してる」
……俺は何を動揺しているんだ。
勘違い。雪ノ下の俺への思いは勘違いでしかないんだ。
ちょっと優しくされただけで惚れてしまう、ボッチ特有の勘違い。
だから、これを真正面から受け止めては駄目だ。
「いや、違うな。それはお前の勘違いでしかない」
「っ、だから……!」
変わらぬ態度にしびれを切らしたのか、雪ノ下の語調が強くなる。
「ちょっと優しくされたからって勘違いしちまったんだよ、お前は。俺はあの程度なら誰に対してでもやるし、そもそもが誰かの為にやったことじゃないんだよ。気に入らないからやった、自分の好きなようにしたかった。ただ、それだけだ」
「……それの何がおかしいというの。優しくされて好きになって、それが駄目だというの?」
「ああ、駄目だ」
「なにが」
「すべてが」
雪ノ下の顔が険しいものとなる。
いつもの氷の目とは違う。何かに耐えているかのような、そんな顔だ。
9 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/07/13(日) 20:36:21.29 ID:bUv+jJwJ0(9/13)
「あなたは私の好意を、好意と認めないと、そういうこと?」
「なんせ、勘違いだしな」
「勘違いだったとしても、私は現に、あなたを好意的に感じている。あなたの優しさは私の勘違いだとしても、この気持ちは勘違いでも何でもないわ」
なおも食い下がる雪ノ下。平行線だなぁ……
考えろ。
反論できない要素を並べて畳み掛けろ。
大丈夫だ。今の雪ノ下なら言いくるめられる。
そうしないと。
そうじゃないと。
多分、この奉仕部は――
「お前、今まで人を好きになったことはあるか?」
「ないわ」
即答である。
まあ、わかってた。
「じゃあ、今のお前の気持ちが恋愛感情だって、どうしてわかるんだよ」
「それは……」
「な?わからないはずなんだよ。これが初めて抱く恋愛感情であるなら、その感情は世間一般的に言うと違うものである可能性が高いとは思わないか?」
「ねえ、本当にあなたは何がしたいの?なぜ、こんなことになっているの?」
10 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/13(日) 20:47:29.73 ID:67deiqifo(1)
ええな
11 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/07/13(日) 20:54:33.90 ID:bUv+jJwJ0(10/13)
雪ノ下の瞳がじわりと滲んでいく。
「それはさ、多分友達とかそういうのに対するもんだと思うんだよ」
「……それはないわ。由比ヶ浜さんがいるもの」
雪ノ下は友達がいない。
であるなら、友人に対する信頼や友情といった感情を恋愛感情と勘違いしている可能性は十分にある。
たしかに同姓の友達なら由比ヶ浜がいるが、しかし男は一人もいないだろう。
「男と女は違うよ。男女間の友情ってのは、巷で存在が議論されるほど特殊なものだ。だから、恋愛感情と錯覚したとしてもおかしくはない」
「たとえそうだったとしても、私はあなたを」
「もし俺とお前が付き合ったら!」
雪ノ下がビクンと震える。
今にも泣き出しそうな顔で、肩で息をしている。
吐息がこちらまで聞こえてきて、そこでようやく、自分が大きな声を上げていたことに気がついた。
見つめる瞳は、今にも壊れてしまいそうで。
それは仔猫のように弱々しく、いつもの女王然とした姿は影も形もない。
「いや、なんでもない」
12 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/07/13(日) 21:06:45.95 ID:bUv+jJwJ0(11/13)
「また、一人で何かを抱え込もうとしているの?」
俺は、応えることができなかった。
雪ノ下の好意が本物、それくらいはわかってる。
素直にうれしいし、この文化祭で雪ノ下の事もいろいろ知れたと思う。
――もう一歩くらい、踏み込んでも、いいのだろうか。
由比ヶ浜に対してそう思ったのは、もちろん雪ノ下に対してもそうだ。
もう一歩くらい、距離を縮めたっていい。
しかしそれは大きな勘違いだったのかもしれない。
近づきすぎてはいけないと、由比ヶ浜を突き放したあの職場訪問。
あの時の選択は、きっと違っていなかったのだ。
近すぎる距離は不和を生み、すべてを破壊する。
俺と雪ノ下が付き合えば、由比ヶ浜は遠慮をするだろう。
雪ノ下に気を使い、俺との接触は極力避ける。
部室にも来なくなるかもしれない。
ハニトーを食べに行く約束も、多分なくなる。
それはなんというか――嫌だ。
「……そう、そうなのね」
――あなたは、そういう人よね。
俯いてしまった彼女は、いったい何を思ったのだろう。
その瞳には何が移っているのか、うかがい知ることはできないけれど。
けれど。
雪ノ下の顔から滴り落ち、机に落ちた一滴の雫が。
すべてを理解してしまった彼女の心を表しているようで。
きっと、傘をさしていいのかどうかもわからないほどの、微妙な雨がぽつぽつと降り注いでいるのだろう。
13 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/07/13(日) 21:07:36.92 ID:bUv+jJwJ0(12/13)
――その後、由比ヶ浜が部室に来るまで会話はなく。
ただ、気まずい沈黙だけが横たわっていた。
14 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/07/13(日) 21:09:28.28 ID:bUv+jJwJ0(13/13)
今日の分は投下完了。
読みづらいところあったら対処しますので、改行とか指摘してくださいな。
15 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/13(日) 21:12:53.47 ID:KGga8ekto(1)
おつ
これは楽しみですねえ
頑張れゆきのん
16 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/13(日) 21:12:56.25 ID:AjfU2H5tO携(1)
乙
17 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/13(日) 21:35:14.25 ID:ULTSFkUXO携(1)
面白いです
続きが気になります
18 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/13(日) 22:00:37.57 ID:apG17Z5s0(1)
オモロー!
19 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/13(日) 22:08:39.61 ID:XVR8vyJYo(1)
乙
ここでは結局根っこの部分がはがないの主人公と同じなのね
偽難聴主人公を悪く言えんな……
20 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 22:19:24.88 ID:GW1QNx5x0(1)
ほんまに八幡はめんどくさい主人公やで
21 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 23:10:52.93 ID:tObZO0OM0(1)
仕方ないよ八幡は本物が欲しいんだもん
22 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/14(月) 00:27:20.32 ID:nCunR28AO携(1)
根底にあるのが好意を向けて来る異性への不信感な分、某偽難聴主人公の境遇よりも悲惨といえば悲惨
告白=自分へのドッキリとか相手が自分を晒し者にする行為にしか思えないような背中から撃たれるような経験しかしてないからガードが無駄に堅くなるのは仕方ない
それに文化祭直後だと諸々の事情が重なって(雪乃から唯一の同性の友人を失わせる可能性がある事+告白を受け入れた場合について回る八幡自身の文化祭関連の悪評による雪乃の立場の悪化)雪乃の為にも告白を受け入れられないタイミングでもあるんだよな
23 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/14(月) 07:26:30.42 ID:CXePpLHEO携(1)
サキサキ派なのに
このゆきのんは応援する。
この偏屈っぷりが八幡っぽくて期待
24 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/14(月) 13:03:48.64 ID:W3n6AVsGO携(1)
珍しく八幡が八幡してるな
25 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/14(月) 22:25:34.87 ID:dVe+DBXY0(1)
こういうの好きだわ
続きに期待やな
26 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/14(月) 22:26:02.02 ID:B4h5kAzHO携(1)
【このスレは無事に終了しました】
よっこらしょ。
∧_∧ ミ _ ドスッ
( )┌─┴┴─┐
/ つ. 終 了 |
:/o /´ .└─┬┬─┘
(_(_) ;;、`;。;`| |
【放置スレの撲滅にご協力ください】
これ以上書き込まれると
過去ログ化の依頼が
できなくなりますので
書き込まないでください。
27 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/14(月) 23:25:23.88 ID:CFNvq+WJ0(1)
続き期待
28 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/15(火) 00:01:43.35 ID:Vr507SDL0(1)
久々に期待できる1を発見
29 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/15(火) 03:39:27.39 ID:79hUriBNO携(1)
乙 待ってる
30 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/15(火) 09:22:17.16 ID:3pZuJYUoo(1)
まあ八幡がヒロインで八幡を攻略する話だからな
でも案外あーしさんあたりならあんたに拒否権はないからとかいってゴリ押しでなんとかなりそうな気はする
原作あーしさんはそんな気ないだろうけど
31 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/15(火) 22:46:53.02 ID:XGYKH5SAO携(1/2)
普段の態度や言動はアレだが基本的に自分の面倒は自分で見られる八幡と相手に何かとしたがるオカン属性のあーしさんは割と相性悪そうだけどな(オマケに八幡も割と面倒見が良い方だし)
……あーしさんのようなオカン属性タイプって割とダメ男に引っかかり易いとか聞いた事があるなぁ……
32 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/15(火) 23:02:22.87 ID:HxmzWlDZo(1)
自分の面倒見られても性格があれだからあーしさんはそこを矯正するから大丈夫
33 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/15(火) 23:42:41.94 ID:XGYKH5SAO携(2/2)
>>32
この場合のオカン属性が引っかかるダメ男は
・口出しはするが何もしない
・とにかく時間をかけて決断までの時間を稼ごうとする
・終わった事をいつまでも後悔し続ける
優柔不断で決断力が無いタイプの男だそうな
34 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/16(水) 06:14:32.50 ID:bGhHQKM/0(1)
ハリーハリー
35 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/16(水) 06:30:00.09 ID:TMheB5X5o(1)
ポッターポッター
36 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/16(水) 06:38:35.20 ID:Kqq/dJ/Fo(1)
>>33
なんだ俺か
37 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/07/16(水) 20:00:20.64 ID:kjt7MoXK0(1/12)
「なにやってんだろ」
自分の部屋、ベッドの上にて。
誰もいない部屋で、そう呟く。
一人言はボッチの癖であり、習慣である。
――よく、1人は耐えられても独りは耐えられないという話を聞く。ネットで。
俺はいつでも1人だし、独りだ。
ボッチの真髄を究めた者からしてみれば、独りの孤独など孤独のうちに入らない。
むしろ独りにしてほしいまである。
「……俺はそういう人間だったはずだ」
そう、そういう人間「だった」
夕刻、奉仕部部室。
由比ヶ浜がいつもの奇妙なあいさつとともに入ってくると、雪ノ下はすぐに部活終了の合図を出して部室を出て行った。
疲れたから帰ると言った彼女の表情は見えなかった。見れなかった。
俺は、視線を机の上の雫から少しも動かすことができずにいたのだ。
由比ヶ浜が何かを言っていた気もするが、何も頭に入っては来なかった。
涙。雪ノ下が初めて見せた弱さ。
その意味を考えることに意識が集中していた。
あれは、誰を想っての涙だったのだろうか。結局は、何も分からずじまいだが。
「俺は、表面だけの、上っ面だけの慣れ合いが大嫌いだったはずだ」
気がつくと由比ヶ浜も部室から消えていた。
外を見れば、太陽がもうほとんど沈んでいた。一体どれだけの時間をこうして過ごしていたのか。
時刻は大体午後7時。
机の上には鍵が残されていた。それを拾い上げる。
この部室の鍵。
いつもは雪ノ下が管理をしていたため、今までそうして手に取ることはなかった。
あいつはもう先に帰ってしまったため、ここにはいない。人気が少ない部室棟とはいえ、流石に施錠をしないわけにもいかないだろう。
仕方がないので返しに行くことにした。
38 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/16(水) 20:00:50.61 ID:kjt7MoXK0(2/12)
『ん?雪ノ下じゃないのか』
鍵を返しに行った時の、顧問の第一声がそれだった。
やはり、雪ノ下が返すのが当然という認識なのだろう。
適当に返事をしたと思う。よく覚えていない。
『そうか。まあ、あの子には大分負担をかけてしまったからな。ゆっくり休んでほしいものだ』
負担をかけたのは、誰だろうか。
相模南か。雪ノ下陽乃か。それとも文化祭実行委員か。
――比企谷八幡かもしれない。
『君もご苦労だった、今日はよくやったよ。休みは2日間あるからな。十分に休養をとると良い』
鍵を平塚先生に渡し、職員室を後にする。
そのあとどう帰ったのかは覚えていない。気がついたらこうしてベッドの上に制服のまま寝転がっていた。
39 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/16(水) 20:01:23.97 ID:kjt7MoXK0(3/12)
ふと、電気がついていないことに気がついた。外は夜の帳が下り、辺りは真っ暗で何も見えない。
しかし、電気をつける気力すら湧いてこなかった。
「どうでもよかったはずだろ。雪ノ下とどうなろうが、由比ヶ浜とどうなろうが、奉仕部がどうなろうが、俺には関係のない話なはずだろう」
振り返ってみればみるほど、自分の行動が不可解でならなかった。
さんざん忌み嫌ってきた慣れ合いを肯定するようではないか。
雪ノ下の告白を勘違いだと、好意ではないと否定することに何の意味がある。
由比ヶ浜や奉仕部の行く先を憂う必要などどこにある。
俺はそんな、嘘で塗り固めた関係が大嫌いだったはずだ。許せなかったはずだ。
最初に雪ノ下と友達になろうとしたのは、彼女に自分に近いものを感じたから。
今日雪ノ下と友達になろうとしたのは、彼女が自分と違うということを知ったから。
そんな彼女をもっと知りたいと思った。まるで違う二人だからこそ、俺が夢見ていた本物になれる気がして。
それなのに、雪ノ下から歩み寄ってくれたとき、俺はそれを否定し、拒んだ。
……もう、何もわからなくなってしまった。
今まで変わることのなかった、唯一無二で不変の存在であったはずの自分自身すらわからない。
生まれて初めて自分がわからなくなった。
「俺って何だっけ」
「知らないよ」
40 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/16(水) 20:02:12.78 ID:kjt7MoXK0(4/12)
と、不意に暗闇の中から声がした。
小町がいつの間にか部屋の中にいたようだ。
ドアの開閉にすら気がつかなかった自分に少々あきれる。
「何度も何度も晩御飯って呼んでるのに真っ暗な部屋にこもって返事もしないお兄ちゃんなんて小町は知らない」
「こ、小町?」
小町は抑揚なく一気にまくしたてる。
……やべーぜこれは。
暗闇で全く見えないが、総統お怒りなのがわかる。総統ってなんだ、アドルフ・ヒットラーかよ。正しくは相当。
「すまん、ちょっと考え事をしててな……おっと」
弁解をしようと思って重い腰を上げると、何かを手のひらで感じた。
スマートフォンか。
つい癖で電源を入れる。日頃からメールチェックは欠かさないからな。
ちなみに、実際に連絡が入っている確率は1パーセントにも満たない。俺マジ健気。
突然の光明に顔をしかめつつも、やっとの思いで画面を確認する。
「……は?」
「なに?」
若干の明かりで小町の顔が見え、100点満点の笑顔が現れた。戸塚の次くらいに天使。戸塚は絶対に不動のナンバーワン。
……え?さっきの抑揚のないしゃべりの正体はその笑顔だったの?
もしかして陽乃さんの次くらいに恐ろしいんじゃない?
イギリスの番犬くらいなら軽く屈服させてしまいそうだ。
41 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/16(水) 20:02:50.20 ID:kjt7MoXK0(5/12)
「い、いや」
俺はもう一度スマホの画面に目を落とし、自分の認識が誤りでないことを確認した。
現在時刻、23時26分――つまり午後11時半。
俺は小町――いつの間にか笑顔が消えていた――に顔を向ける。
「お前、こんな時間まで飯作ってなかったの?」
「とっくに作ってたよ。2時間前には出来てた」
「はぁ!?」
今日は本当によくわからないことが起こる日だ。
雪ノ下の奇行といい、俺の奇行といい、小町の奇行といい。
なんで2時間も前に作ったものを食べないの?
いや、俺を待っていてくれていたことはわかるのだが、それにしても遅い。そんなに待つくらいなら、先に食べてしまえばよかったのに。
そもそも、比企谷家は大抵6時半には食卓を囲んでいる。
文化祭があったから多少遅くなったとしても、この時間になるのは少々違和感を覚えた。
文化祭の閉会式が終わったのが大体5時半頃。そこからバスで帰って、どこかで買い物をしていたとしても7時には飯が作れるはずなのだ。
多少ゆっくりしていたとしても、2時間のタイムロスにはつながらない。
「お前、なんで食わなかったの?」
「お兄ちゃんを待ってたんだよ。ずっと、ずっと。声をかけても返事ないし」
いつも口癖のように言っている点数制度も、今回は無用のようだ。
小町的にこれはかなりポイント高いはずなんだが。
42 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/07/16(水) 20:03:37.90 ID:kjt7MoXK0(6/12)
「それはまあ、悪かった。でも、こんな時間になっちまう前に先に食ってればよかったじゃねぇか」
「……本気で言ってるの?」
「本気も何も、お前が馬鹿みたいじゃねぇか」
つい、少し口調が強くなってしまった
律義に待っていてくれたことはありがたく思っているし、もちろん申し訳なく思っている。
だからこそ、俺なんかの為にわざわざ我慢大会のようなことをしている小町に少し苛立ちを覚えた。
「今日色々あったこと知ってたから、小町待ってたんだよ?せめて小町だけでも温かく迎えてあげようと思ったから」
「っ……!」
小町に全部見透かされている気がして、変に体がこわばる。
色々、というのは、相模のことだろう。
自分を悪者に仕立て上げて相模を連れ戻した、あれだ。
きっと、俺の周囲からの悪評を由比ヶ浜あたりに聞いたのだろう。
あいつも大分おせっかいなもんだ。
――なのに。
なのに俺は、放課後の雪ノ下の事が頭にチラついて離れない。
「おかえりって言ったのに返事すらないからさ、結衣さんが言った以上に重症だなーと思ったわけですよ。そしたら部屋に閉じこもって、全然出てこないしさ。で、いい加減おなかも減ってきたから呼びに来たよ」
「……大丈夫だよ。大したことじゃない」
「嘘」
「即答かい」
43 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/07/16(水) 20:04:10.77 ID:kjt7MoXK0(7/12)
光速だった。
まぁ、小町の話から推測するに、2時間以上部屋に閉じこもっていたみたいだしな。
幸い小町は雪ノ下と起こったことを知っているわけではないから、ごまかしはきく。
「あー、嫌われるのはいつもの事だからな。ちょっと今は落ち込んでっけど、ほうっておいてもすぐに復活すると思うぜ」
「嘘」
「なんでだよ!」
おかしい。俺の計画ではこれで話は終わるはずなのに。
「だって、今までとは全然違うもん。そんなすぐに立ち直れるとは思えないよ」
「いや、あんま変わらないんじゃね」
「変わるよ。だって、雪乃さんとなんかあったんでしょ?」
「はあ?なんで雪ノ下が出てくんだよ」
なんで小町が知っているんだ。
まさか、由比ヶ浜はあれを見ていたのではなかろうか。それなら、小町が事の顛末を知っていてもおかしくはない。
しかし、その予想は的外れだったようで。
「ずっとずーっと、雪ノ下、雪ノ下、ってぶつぶつ言ってたもん。何があったかまではさすがにわからないけど、雪乃さんの事で悩んでるのはわかる」
44 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/07/16(水) 20:04:55.89 ID:kjt7MoXK0(8/12)
あっれー?
もしかして全部聞かれちゃってたの?
独り言にこんな弱点があったなんて。
「なんで何も相談してくれないの?なんで1人で何でも抱えようとしちゃうの?」
「っ、お前には関係ない」
「……な、なにその言いかたぁ!」
「手助けなんていらないんだよ。1人でどうとでもできる」
「なにもできてないじゃん!1人で閉じこもっているしかできてないくせに!」
「うるせぇ」
暗闇の向こうの妹を睨みつける。
もう、とっくにスマホは自動消灯していてお互いの姿は見えないが、それでも目だけは合っているという確信があった。
しかし小町はおくさない。
「結衣さんも心配してた!お兄ちゃんも雪乃さんも何も言って――」
「うるせぇっつってんだろ!」
ガタっという物音がする。
おそらく、びっくりした小町が何かにぶつかったのだ。
45 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/07/16(水) 20:06:06.21 ID:kjt7MoXK0(9/12)
「……っもーしらない!勝手にしろ!お兄ちゃんのご飯なんて無い!」
ドアを大きく開け放ち、そのまま出て行ってしまった。
さっきまで暗闇だった部屋に光がこぼれ、中の状態がわかる。
ゴミが散乱していた。おそらく、小町はこれにぶつかったのだ。
「……」
小町にしては珍しく、ヒステリックな怒り方だった。
いつもはさざ波のごとき静けさで感情を逆立てるのに。
今回はやけに直情的だったな……。
「……珍しいのは俺もか」
小町との喧嘩で怒鳴り散らしたことなど、本当に小さいときにしかなかったような気がする。
何を意地になっているんだか。
どうにもおかしい。すべてが狂いっぱなしだ。
小町も、いつもはこんなに深く詮索してくることはなかった。
「ふー……」
叫んだおかげか、ある程度頭がすっきりした。
1度、情報を整理しよう。
今までの俺の行動、思考とはまるで違う動きを繰り返している。
ある程度冷静に対応し、合理的かつ効率的な解を導き出してきたはずなのに。
雪ノ下の好意を否定すること自体は効率的な答えではあった。
しかし、誰かとの慣れ合いなど、最も嫌ってきた行いを、なぜいとも簡単に選択してしまったのか。
由比ヶ浜の時のように、なんとなく距離をとればよかったのではないか。
俺に気を使っているのならば必要がないと、雪ノ下なりの気遣いということにして消化してしまえばよかったのだ。
なぜああも意地を張って真っ向から否定をしてしまったのか。
46 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/07/16(水) 20:06:45.61 ID:kjt7MoXK0(10/12)
「……やっぱわかんねーや」
諦めた。
これは人類の課題と言ってもいいね。俺1人でどうにかできる問題ではなさそうだ。
――1人じゃ何もできないくせに!
……今回の事は全面的に小町が正しいな。
だが、誰かに助けを求めるまで許してはくれないのだろう。
そして、これは誰にも話してはいけないこと。1人で抱え込んでいなければいけない問題であると言える。
迷宮入りだ。
考えるだけ無駄。
と、しばらくぼおっとしていると、手の中のスマホが振動しだした。
小町か?
そう思ってメールを開くと。
☆★ゆい★☆
何だスパムか。
「約束、か」
この休みのうちを御所望らしい。
ハニトーを食べに行く、なんて約束をしたんだった。
それにしても催促が早すぎる気がする。きっと、雪ノ下の事を聞こうとしているのだろう。
由比ヶ浜結衣は、人が入り込んでほしくないと思うポイントを的確に避けて人付き合いを形成していく人間だ。
空気を読むことに関しては一品で、小町といい勝負。
その2人が深く入り込んでいるということ。それが何を意味するか。
47 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/07/16(水) 20:07:15.76 ID:kjt7MoXK0(11/12)
「へ・ん・し・ん、っと」
学校前日の外出は疲れる。
出かけるならば明日だ。
全部を解決するための糸口など、つかめるはずのないことはわかっている。
でも、小町と仲直りするためのヒントくらいなら、つかめるかもしれない。
しっかし、腹減ったな……。
48 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga] 2014/07/16(水) 20:10:33.36 ID:kjt7MoXK0(12/12)
今回分投下完了。
あーしさんの人気に草不可避。
私も、一巻で死ねよクソビッチって思ってたのがウソみたいに好きです
びっちってひらがなだとかわいいね。
49 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/16(水) 20:37:26.77 ID:JJdg9+JW0(1)
天使に当たっちゃアカンてヒッキー
ともあれ乙
50 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/16(水) 20:41:00.82 ID:9tF7QVhWo(1)
これはいいヒッキー
51 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/16(水) 20:43:08.59 ID:KGMTqDmDO携(1)
三浦いろはす折本の逆転評価3連星
52 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/16(水) 21:24:58.92 ID:1NrKhIdAO携(1)
乙
この調子だとガハマさんの前でも同じ事をやりそうだな
53 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/16(水) 22:56:34.01 ID:wL1t61qEo(1)
おつ
いやあ…ほんと面白い
54 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/17(木) 01:39:41.17 ID:fP25n0TiO携(1)
乙
なんかこのヒッキー好き
55 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/17(木) 03:18:48.98 ID:lj3ZH7zDO携(1)
ゆいゆいとゆきのんから迫られるも二人の仲を壊したくないがために敢えて自ら距離を置くことを選択し、そして数年後大学生となったいろはすと偶然にもバイト先で再会しそう
56 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/17(木) 04:45:47.09 ID:EKbdgxE10(1)
ヒッキーらしいヒッキーを見た
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