[過去ログ] 【スーパーダンガンロンパ2】天倉「俺はいったい何者なんだ?」【安価】【オリキャラ中心】 (1002レス)
上下前次1-新
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
次スレ検索 歴削→次スレ 栞削→次スレ 過去ログメニュー
1 ◆yuOvnLrWvA [saga] 2014/07/07(月) 21:51:46.22 ID:4Q83terAO携(1/13)
※注意
・ダンガンロンパ1、2、ゼロのネタバレがあります
・舞台は2と同じジャバウォック島、ルールも2と同じです
・オリキャラ中心になりますのでご注意ください
・前々スレ【プロローグ〜CHAPT.1】
【スーダン2】???「コロシアイ修学旅行……!?」【安価】【オリキャラ】
vip2chスレ:news4ssnip
・前スレ【CHAPT.2】
【スーパーダンガンロンパ2】天倉「修学旅行はまだ続く」【安価】【オリキャラ中心】
vip2chスレ:news4ssnip
注意は以上です。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1404737506
903 ◆yuOvnLrWvA [saga] 2014/08/05(火) 08:52:16.87 ID:J28AVwRAO携(7/9)
【甘いの甘いの作っちゃお!】
【超高校級のパティシエ志賀萌衣処刑執行】
志賀さんがキッチンでお菓子を作っています。
今日のお菓子はイチゴのケーキ×2、志賀さんの十八番。
手際よくケーキを作る志賀さんの顔は普段と違って真剣そのもの。
さすが超高校級のパティシエです。
1個目が完成して志賀さんは2個目のケーキ作りに取りかかります。
すると突然部屋が揺れました。
志賀さんが外を見ると部屋がベルトコンベアに乗せられてどこかに運ばれていきます。
扉も窓も開かないので、志賀さんはただうろたえるばかり。
そしてどこかに入ったのか部屋は暗くなり、何か扉が閉じた音がして……
チーン!
巨大なオーブンから出てきた丸い部屋型のスポンジにモノクマがクリームとイチゴを乗せて、ケーキは完成。
中に隠し味の入った甘いケーキ。
その隠し味は……モノクマしか知らない秘密です。
904 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/05(火) 08:57:12.02 ID:vvcSWp+IO携(1)
天倉が先天的な完璧超人で今は普通の人みたいな日向の逆バージョンだったりして
905 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/05(火) 09:10:58.34 ID:gHfZQmSJ0(1)
志賀さんは大和田バターみたいにクリームかなんかになるかと思ってたがケーキの隠し味になったか…
906 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/05(火) 09:16:04.73 ID:DYVdcbHe0(1)
そういえば美踊のおしおきは……?
907 ◆yuOvnLrWvA [saga] 2014/08/05(火) 10:28:46.00 ID:J28AVwRAO携(8/9)
【各自好きな物、嫌いな物】
・天倉春尊
好きな物…時代劇
嫌いな物…長い時間1人でいる事
・狩谷煉司
好きな物…森林浴
嫌いな物…ポイ捨て
・福永豪
好きな物…家族
嫌いな物…天井が低い所
・王城志紀
好きな物…B級映画
嫌いな物…自分のゲームを邪魔される事
・姫埜メリー
好きな物…桜の花
嫌いな物…髪を切る事
・当麻隼
好きな物…強さ
嫌いな物…弱さ
・切原生人
好きな物…ランニング
嫌いな物…傭兵部隊フェンリル
・クリス・アルテミア・フォン・リーデルハイド
好きな物…子供
嫌いな物…すぐ諦める人
・若葉実
好きな物…お風呂
嫌いな物…雷
・奉田仕乃
好きな物…編み物
嫌いな物…お化け
・和水冬羽
好きな物…落ち着く環境
嫌いな物…騒音
・二ノ宮歌恋
好きな物…美踊、人形
嫌いな物…辛い物
・二ノ宮美踊
好きな物…歌恋、いたずら
嫌いな物…苦い物
・志賀萌衣
好きな物…甘い物
嫌いな物…煙草の煙
・音木詩
好きな物…不思議な物
嫌いな物…自分の目
・神乃木美魅
好きな物…讃美歌
嫌いな物…炭酸飲料
908 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/05(火) 10:38:40.60 ID:/7/NX/uDO携(1)
名前を少し変えてアナグラムすると『希望はいらない』になる人がいることに気づいてしまった
考え過ぎであってほしい
909 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/05(火) 11:32:52.09 ID:Xwl7MDDa0(1)
歌恋で貴重な生き残り枠は削りたくないな
910 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/05(火) 11:59:56.72 ID:mooIkJWs0(2/2)
女子たちの好きなもの嫌いなものが全体的に可愛いな
切原はフェンリルと何があったんだ……
あと子供好きのクリスが素敵
>>908
たぶんその人だけど少し変えずとも『未来』と『傍観』が出てきた、これならまだ希望はあると思う
911 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/05(火) 13:46:15.15 ID:/N/CnNyx0(1)
この時点で確定死亡立ってそうなのは当麻、歌恋、もしかしたら狩屋くらいか
前作の本居のようなことごとく死亡展開を回避してるキャラ居ないかなー
912 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/05(火) 19:05:10.84 ID:nx7YJRlAO携(2/2)
地味に奉田さんはこまるスレ側の交流が豊富だなぁ
鉢笛→当たり前
矢頼→応援に行った
913 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/05(火) 21:43:33.39 ID:oaCYgINgo(1)
とりあえず嫌いなものが食卓に出たら交換し合う二ノ宮姉妹を想像した
かわいかった
>>910
『未来』と『傍観』……あっ
914 ◆yuOvnLrWvA [saga] 2014/08/05(火) 23:53:21.35 ID:J28AVwRAO携(9/9)
今日は眠いので前スレの埋めネタの続きはまた次回です。
それではおやすみなさい……
915 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/09(土) 21:37:16.71 ID:ja0KA1GA0(1)
>>463で1選んだ場合どうなってたの?
916 ◆yuOvnLrWvA [saga] 2014/08/09(土) 23:09:47.19 ID:vbmL/BwAO携(1/2)
>>915
プランAだった場合王城クンを見張る途中で神乃木さんを追う志賀さんを見つけた天倉クンが神乃木さんを止めていました。
一方王城クンは見張りをまいたりしながらスタンプラリーを完成、ナイトのゲームを演出。
被害者は切原、歌恋組となっていました。
917 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/09(土) 23:10:28.92 ID:A3uph0hno(1)
確定死亡フラグたってたのか(絶望)
918 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/09(土) 23:26:55.83 ID:q6Is2HnSO携(1)
ナイトのゲームの場合は誰がクロになっていましたか。
919 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/09(土) 23:44:47.30 ID:CvBv4gn8o(1)
前作含めて各キャラのCVって考えてる?
920 ◆yuOvnLrWvA [saga] 2014/08/09(土) 23:45:37.99 ID:vbmL/BwAO携(2/2)
>>918
奉田さんの予定でした
921 ◆yuOvnLrWvA [saga] 2014/08/10(日) 00:31:32.51 ID:c+pXyF+AO携(1)
>>919
基本的にこちらでは考えないですね……
皆さんにはこのキャラはこの声といったイメージはあるでしょうか?
922 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/10(日) 01:13:26.08 ID:Cu2jN4tW0(1/2)
後々本性が出てイメージ変わることもあるから敢えて声は考えてない
923 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/10(日) 01:19:54.68 ID:4pN+uchJo(1/2)
>>919だけど
こまるスレ
揮央…石川由依
花巻….佐藤利奈
神導寺…早見沙織
鉢笛…諏訪彩花
りん…飯田里穂
天ヶ瀬…三森すずこ
細河…悠木碧
根駒…阿部敦
下村…梶裕貴
綾咲…中村悠一
ルチアーノ…神谷浩史
本居…花江夏樹
矢頼…関智一
岩淵…日野聡
高坂…速水奨
天倉スレ
天倉…松岡禎丞
狩谷…森久保祥太郎
福永…宮野真守
王城…子安武人
姫埜…喜[スペランカー]英梨
当麻…中村悠一
切原…大塚明夫
クリス…津田健次郎
若葉…新田恵美
奉田…東山奈央
和水…加藤英美里
歌恋…久保ユリカ
美踊…徳井青空
志賀…戸松遥
音木…内田真礼
神野木…井口裕香
こんな感じで脳内再生してます 長文失礼
924 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/10(日) 03:09:27.54 ID:ANhLebfAO携(1)
え、西園寺=天ヶ瀬さん!?
925 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/10(日) 08:24:03.04 ID:4pN+uchJo(2/2)
>>924
(素で忘れてたなんていえない)
926 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/10(日) 08:53:22.08 ID:regjp3Zio(1)
和水のあの口調で加藤英美里とか、契約を迫ってくる白いアレしか思いつかなくなってしまったぞどうしてくれるんだ!
あと天倉は松本梨香で再生してた。ダンガンロンパの主人公的な法則も含めて
927 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/10(日) 09:30:06.48 ID:BIv96CNAO携(1)
えっ?ルッチーはグリリバが合うと思ってたのは俺だけ?
928 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/10(日) 09:40:35.72 ID:vNjJ3F+90(1)
なんとなく王城の方が宮野だと思ってた
929 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/10(日) 09:48:06.40 ID:+JXy45ySO携(1)
俺は王城は浪川で再生してたんだが
930 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/10(日) 11:17:03.69 ID:mh+Gu1300(1)
男性陣だと福永は岩田光央、王城は置鮎龍太郎、当麻は松本梨香、狩谷は藤原啓治、岩淵が斎賀みつき、本居が阪口大助
女性陣だと天ヶ瀬が伊月ゆい、細河が野中藍、和水が松来未祐、歌恋は石毛佐和、メリーは石田彰で脳内再生してる
え?女性陣に男が紛れてる?いったい誰のことやら
931 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/10(日) 12:39:28.18 ID:CyfL74xPO携(1)
メリー石田さんとか草生えるわ
932 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/10(日) 12:57:23.22 ID:Z2A2kSQN0(1)
自分のイメージはこまるスレだと高坂は中村悠一、揮央は早見沙織、本居は内山昴輝、ルチアーノは小野大輔、天ヶ瀬はゆかな、花巻は、戸松遥
天倉スレだと若葉は中原麻衣、和水は坂本真綾、音木は桑島法子、切原は諏訪部順一、狩谷は神谷浩史、そして天倉は金田一役の松野太紀で再生しています。
933 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/10(日) 15:17:48.29 ID:RzKMXey10(1)
みんな良く考えてるなぁ……
自分はそれっぽい声で脳内再生はされてるけど声優で誰ってのは考えつかない
934 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/10(日) 16:03:00.40 ID:HjVvqd4s0(1)
天倉春尊(CV:天倉春尊)みたいな感じ分かる
935 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/10(日) 20:13:44.95 ID:Cu2jN4tW0(2/2)
最初から読み返してみると口調の違和感のだったり、フラグがちゃんと生きてて回収されてるのが凄いな
936 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/11(月) 01:40:02.60 ID:PRbhtSUR0(1)
このスレは狛枝枠は結構いるけど
田中やセレスみたいな自分の信念のために人を[ピーーー]ような枠の人はいないんかな
937 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/11(月) 09:12:54.46 ID:pq+BBCKjo(1)
セレスはどっちかというと自分の欲望のためにだな
そういう意味では天ヶ瀬は近いかもしれん、クロ枠じゃないけど
938 ◆yuOvnLrWvA [saga] 2014/08/11(月) 20:38:39.34 ID:zh4H6lMAO携(1/2)
21:00頃より次スレを立ててCHAPT.4を始めます
939 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/11(月) 20:39:39.47 ID:J8fe61ve0(1)
おk
ついに4章か、半分を超えちまった
940 ◆yuOvnLrWvA [saga] 2014/08/11(月) 21:18:06.19 ID:zh4H6lMAO携(2/2)
次スレを立てました
【スーパーダンガンロンパ2】天倉「未来にあるのは希望か絶望か」【安価】【オリキャラ中心】
vip2chスレ:news4ssnip
941 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/13(水) 22:27:32.69 ID:KjemOyfSO携(1/2)
和水
942 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/13(水) 22:28:10.95 ID:KjemOyfSO携(2/2)
和水
943 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [age] 2014/08/16(土) 17:51:08.69 ID:QLeSvmvSO携(1)
ほ
944 ◆yuOvnLrWvA [saga] 2014/08/16(土) 23:43:47.06 ID:N1L+9r9AO携(1/4)
【ランドリー】
こまる「あ、あれ?」
こまる「ない、ない……」
こまる「きゃああああああっ!?」
【食堂】
根駒「な、なんだ!?」
下村「これはこまるちゃんの悲鳴か!」
岩淵「なんだってんだ、いったい!?」
本居「あ、あれ?ルチアーノさんは……」
矢頼「既に食堂から出ていった」
綾咲「悲鳴の直後すぐに動かれましたね」
高坂「とにかく我々も行きましょうか」
【ランドリー】
鉢笛「こまっちゃん、どうしたの!」
花巻「尋常じゃない悲鳴だったわよ!?」
りん「こまるお姉ちゃん!」
こまる「み、みんな、ないの……」
細河【ないって、何が……?】
こまる「その、……が」
天ヶ瀬「すみませんが、よく聞こえませんでしたわ。もう一度お願い出来ます?」
こまる「……」
神導寺「こまるさん?」
揮央「……こまる」
こまる「だ、だから!」
945 ◆yuOvnLrWvA [saga] 2014/08/16(土) 23:45:02.47 ID:N1L+9r9AO携(2/4)
こまる「私の下着が……なくなってるの!!」
946 ◆yuOvnLrWvA [saga] 2014/08/16(土) 23:47:47.21 ID:N1L+9r9AO携(3/4)
EXTRACHAPTR【79期候補生下着盗難事件】
947 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/16(土) 23:48:07.69 ID:CWpdc/PK0(1)
本居クンがクロにきまりました
おしおきをかいしします
948 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/16(土) 23:49:00.82 ID:XS1I3zzl0(1)
ルチアーノクンが弾丸の確認をはじめました
949 ◆yuOvnLrWvA [saga] 2014/08/16(土) 23:58:08.34 ID:N1L+9r9AO携(4/4)
【学級裁判場】
花巻「それで釈明はあるかしら?幸洋君」
下村「いやいやいやいや!?俺じゃないから!」
花巻「こんな馬鹿な事するのはあなただけでしょう!」
こまる「下村君、今ならまだ返してくれるだけでいいから……」
下村「だから違うって!」
神導寺「み、皆さん、少し待ってください!ここはまず下村君の話を聞いてからでも遅くはないと思いますよ?」
花巻「……確かにそうね。一応聞いてあげるわ幸洋君」
下村「おう、間違いなく無実だって証明してやるぜ!」
本居「あ、あのルチアーノさん?」
ルチアーノ「……なんだ」
本居「何をしているんですか……?」
ルチアーノ「銃の手入れだ。確実に撃てるようにな」
天ヶ瀬「あらあら……これは大変ですわね」
高坂「くくっ、どうなる事やら」
950 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/17(日) 00:11:11.93 ID:Zub+qU43o(1/2)
メダルがないから禁断症状起こしたのかと思った
951 ◆yuOvnLrWvA [saga] 2014/08/17(日) 00:19:48.25 ID:JVKPQTpAO携(1/6)
細河【まずこまるちゃんがいつ下着をランドリーに入れて、いつ盗まれた事に気付いたのかが重要だと思うよ?】
矢頼「苗木、どうなのだ?」
こまる「えっと、私は朝起きて朝のお風呂に行く前だから……八時くらいにランドリーに洗濯物を入れました」
りん「それでこまるお姉ちゃんが悲鳴をあげたのは……」
こまる「……10時半くらいかな?」
ルチアーノ「ふん、さっさと回収すればいいものを放置しているからこうなるんだ」
こまる「うっ……」
天ヶ瀬「とにかくその間に苗木さんの下着は盗まれたと」
岩淵「つうか、じゃあ今お前下着つけてねえのか」
こまる「っ!?か、替えくらいあるよ!」
根駒「竜太郎、いくらなんでもそれはないだろ……」
岩淵「疑問だっただけだっての」
952 ◆yuOvnLrWvA [saga] 2014/08/17(日) 00:35:35.86 ID:JVKPQTpAO携(2/6)
綾咲「それで下村様、その時間のアリバイはあるのですか?」
下村「……あー」
根駒「どうしたんだ、下村?」
下村「いや、その時間なら……」
花巻「……少なくとも9時半までなら、幸洋君はずっと私といたわよ」
天ヶ瀬「あら、そうなのですか」
鉢笛「あっ、そういえばボク朝にゆっきーの部屋から2人が出てくるの見たよ!」
神導寺「なるほど、それなら確かでしょうね……」
高坂「それで9時半から10時半の間はどうなんですか?」
下村「その時間なら根駒や岩淵と一緒にいたぞ」
根駒「ああ、9時半頃からなら下村は音楽室で一緒だった」
岩淵「んで、食堂に行った頃に悲鳴が聞こえたんだよ」
こまる「つまり下村君にはアリバイがあるって事……下村君ごめんね、疑って」
下村「いや、まあいいって。ただ1つだけ言っとくぜ?」
こまる「……?」
下村「盗むくらいなら俺はくださいってはっきり言うぜこまるちゃん!」
こまる「……えー」
花巻「……そういえばそうね」
りん「えっ?」
953 ◆yuOvnLrWvA [saga] 2014/08/17(日) 00:36:33.01 ID:JVKPQTpAO携(3/6)
限界なのでこちらもここまで……
それではおやすみなさい……
954 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/17(日) 00:44:09.51 ID:a8f2V7s30(1)
ルッチーの本気加減に草不可避
955 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/17(日) 10:15:47.67 ID:wbnINs4mo(1/2)
岩淵はそんな事言うから細河さんに振り向いてもらえないんだよ
956 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/17(日) 22:58:26.87 ID:Vy+N+IYZ0(1)
そういえば岩淵が素だ
957 ◆yuOvnLrWvA [saga] 2014/08/17(日) 23:17:44.73 ID:JVKPQTpAO携(4/6)
高坂「さて、第一容疑者である下村さんではないとなると怪しいのは1人ですね」
本居「い、いったい誰ですか!?」
こまる「それは……」
細河【えっと……】
揮央「……」
花巻「もう、ねぇ……」
りん「えと、その……」
神導寺「なんと言えばいいのか……」
鉢笛「あはは、困っちゃうよね」
根駒「……あー、なるほど」
下村「むしろ俺以上に怪しいな……」
岩淵「普段がアレだからなあ」
綾咲「これは決まりでしょうか」
矢頼「……むっ」
ルチアーノ「……ふん、問題なしか」
本居「あ、あれ?皆さん、どうして僕を……」
天ヶ瀬「本居君、怪しい人物とはあなたの事ですわ」
本居「……」
本居「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
958 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/17(日) 23:31:48.74 ID:rL3Mkky+0(1/2)
ほら、早く白状して楽になれよ。
偶然、拾ったんだろ?
959 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/17(日) 23:33:01.78 ID:Zub+qU43o(2/2)
本居君の幸運がパンツだけ盗む事なんてありえない
960 ◆yuOvnLrWvA [saga] 2014/08/17(日) 23:34:56.43 ID:JVKPQTpAO携(5/6)
本居「ちょ、ちょっと待ってください!なんで僕が!?」
高坂「あなたの場合、自分の意思とは関係なく下着を持ち帰っている可能性がありますから」
下村「なんせラッキースケベの申し子だからな」
天ヶ瀬「被害者は女子全員……そういえばこの前とうとう綾咲君を突破してあやめさんにしでかしたとか」
綾咲「あれはこの綾咲義光、一生の不覚でした……申し訳ありません、あやめお嬢様……!」
神導寺「む、蒸し返さないでください綾咲……!」
鉢笛「いやー、まさに1つの才能だよねあれは」
岩淵「超高校級のなんつったらいいんだよそれ」
揮央「……超高校級の変態?」
本居「」
根駒「そ、それは違うと思うぞ揮央」
下村「さ、さすがに今のは俺でも凹むぜ……」
花巻「幸洋君もある意味変わらないじゃない……そうよ、きっとあんな事やこんな事……ダ、ダメよそんなの……!」
りん「せ、清良お姉ちゃん?」
矢頼「収拾がつかないな……」
961 ◆yuOvnLrWvA [saga] 2014/08/17(日) 23:51:10.19 ID:JVKPQTpAO携(6/6)
ルチアーノ「ふん、くだらん」
こまる「ルチアーノさん……」
ルチアーノ「こんな事に時間など使っていられるか。さっさとクロは自供しろ」
根駒「そうは言ってもな……」
岩淵「白状したらどっかのマフィアに撃ち殺されそうで言う気なんざなくなんだろ……」
ルチアーノ「ふん……」
矢頼「ここはやはり身体検査をするべきか……」
鉢笛「でもまだ持ってるとは限らないよ?」
神導寺「しかしまだ持っている可能性を考慮すれば有益な意見かもしれません……綾咲、お願いします」
綾咲「はっ!」
根駒「だったら綾咲は俺がしておくな」
綾咲「お願いいたします」
…………
花巻「どうだった?」
根駒「男子全員調べたけど誰もこまるの下着なんて持ってなかった」
下村「本居なんて隅々まで調べられたけどなかったみたいだしな」
岩淵「けっ、いつまでも自分が犯人だなんて証拠持ってるなんてありえねえだろ」
こまる「……岩淵君が言うとなんか変な感じだね」
細河【確かに……】
962 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/17(日) 23:53:19.25 ID:rL3Mkky+0(2/2)
世界線が…
963 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/17(日) 23:54:58.14 ID:wbnINs4mo(2/2)
まさに『おまえが言うな』
964 ◆yuOvnLrWvA [saga] 2014/08/18(月) 00:07:16.65 ID:ZL3jH80AO携(1/3)
花巻「とにかく今持ってないとしたら部屋に持って帰った可能性が高いわね」
天ヶ瀬「うふふ、偶然ではなく苗木さんの下着を狙った線が濃厚、というわけですか」
こまる「だ、だけどなんで私の下着なんて……それこそ女優の天ヶ瀬さんとかならわかりますけど……」
ルチアーノ「ふん、人の嗜好など千差万別だ。クロはお前のだからこそ意味があったんだろう」
高坂「つまり犯人は自分だと」
ルチアーノ「……なんだと?」
高坂「くくっ、ルチアーノさんは苗木さんを気に入っているようですから……」
天ヶ瀬「ああ、確かにそうなるとルチアーノさんは疑ってしかるべきですわね」
ルチアーノ「戯れ言を……なぜ俺がそんな事をしなければならんのだ」
天ヶ瀬「うふふ、意味があったからでは?」
ルチアーノ「死にたいらしいな……」
高坂「おやおや、そんな事を言うと焦っているかのようですよ?」
ルチアーノ「貴様ら……」
本居「な、なんだかすごい重苦しい空気です……」
根駒「本当にあの3人は仲がいいのか悪いのかよくわからないな……」
965 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/18(月) 00:09:54.37 ID:r9tidXYz0(1)
戦敵(とも
966 ◆yuOvnLrWvA [saga] 2014/08/18(月) 00:30:22.60 ID:ZL3jH80AO携(2/3)
神導寺「さ、3人共落ち着いてください!」
揮央「兄さん、ダメ……」
こまる「そ、そうですよ。1回落ち着きましょう」
天ヶ瀬「うふふ、ごめんなさい」
高坂「これはこれは申し訳ありません」
ルチアーノ「ふん……俺からすればそもそも下着など盗んでなんの意味があるか疑問に思うくらいだ」
こまる「えっ?」
ルチアーノ「重要なのはそれを着けている人間だ。衣服を盗むくらいなら、そいつの心をどうしたら手に入れられるかを考える方が有意義というものだ」
細河【すごい事言ってる気がするよルチアーノ君……】
花巻「さすが外国の人間は言う事がすごいわね……」
矢頼「ふっ、俺も同感ではある」
鉢笛「矢頼君、外国人だったの!?」
矢頼「鉢笛、なぜそうなるのだ……」
967 ◆yuOvnLrWvA [saga] 2014/08/18(月) 00:52:13.74 ID:ZL3jH80AO携(3/3)
本日はここまでで
968 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/18(月) 01:30:52.25 ID:l3t1IsEV0(1)
乙
鉢笛さんがあだ名呼びじゃないと違和感を覚える
969 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/21(木) 09:34:43.94 ID:3alGzjRB0(1/32)
久瀬ゆかり(女子五番)が、撃たれた。
部屋中に響き渡る悲鳴の中、城龍慶(男子九番)は立ち上がり、教室の後ろの方に目を遣った。
足許では、先程芝崎務(担任)が一度目の発砲をする際に引き寄せて身の危険から遠ざけさせた辻莉津子(女子九番)と時岡千波(女子十一番)が、いつも一緒にいたゆかりの突然の死に泣き叫んでいた。
久瀬ゆかりは、龍慶の知る限りでは、大人しい少女だった。
このクラスの女子は、その半数がいつも固まっていて大きなグループを作っているが――女子主流派グループ、とでもしておこう――、ゆかりはその中の1人だった。
だが、その中では目立たない方で、いつも莉津子や千波、寺内紅緒(女子十番)や堀内尚子(女子十五番)や前川染香(女子十六番)や山崎雛子(女子二十番)といった元気な面々が騒いでいるのを、微笑んで眺めている印象が強い。
だが一方で、保健委員に積極的に立候補し(3年間ずっと立候補し続けていると聞いたことがある)、体調の悪そうな人には特に気さくに声を掛けて面倒を見ることが多く、優しい子なんだと思った。
淡い桃色のセーターとハイソックスが、優しくほんわかとしたゆかりの雰囲気によく似合っていた。
そんな彼女に、殺される理由なんて、どこにもない。
「ゆかり、ゆかりッ!!」
紅緒がゆかりの体を抱いて、揺すっていた。
男勝りで勝気な紅緒が、泣き叫んでいた。
席の離れている染香や藤原奈央(女子十四番)も駆け寄り、親友の突然の死に衝撃を受けていた。
そう、これがプログラムなのだ。
何も非がないのに、命を奪われていく理不尽な制度なのだ。
そんなこと、知っている。
だけど、これは酷すぎる。
龍慶は、ゆかりから目を逸らし、芝崎を睨んだ。
担任の教師が、生徒を殺したのだ。
しかも、彼が狙ったのは、逃げようとした植本邦幸(男子三番)であって、大人しくしていたゆかりには、狙いが外れた弾が偶然当たってしまったのだ。
これほど理不尽な話があるだろうか。
もちろん、邦幸が死ぬべきだったというつもりは毛頭ない。
邦幸も憐れだ。
自分のせいでゆかりが撃たれたということは、口にはしなくともクラス全員が思っているだろうし、本人もそのことをわかっているだろう。
だが、邦幸がパニックに陥った原因は、東海林至(男子十番)を撃とうとした芝崎にあるのだから、やはり全ての元凶はあの男だ。
そして、その思いを抱いたのは、龍慶だけではなかった。
「芝崎、テメェッ!!」
激しい怒号が響いた。
この出来事で完全に堪忍袋の緒が切れた田村光貴(男子十二番)と橋川新(男子十四番)が、芝崎に飛び掛った。
2人共導火線が短い方だから、こうなってしまうのは仕方がない。
光貴、新、そして道下未来(男子十七番)――彼らとは、国立の児童養護施設“大東亜塾”で、今年の初めに出会った。
970 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/21(木) 09:35:17.89 ID:3alGzjRB0(2/32)
叫んだのは、その様子を見ていた三枝妃(女子六番)と浦原舞(女子二番)だった。
しかし、その声がなくとも、光貴と新は動きを止めていただろう。
芝崎の持つ銃が、光貴の眉間を狙っていたのだから。
妃と舞の悲鳴に、教室の前での光景に、クラス全員が気付いた。
室内は一気に静まり、啜り泣きだけが聞こえていた。
「……銃刀法違反…じゃないですか…この殺人犯…ッ」
光貴が搾り出すように言った。
その声は、震えていた。
当然だ、いくら様々な訓練を受けているとはいえ、銃口を向けられたことなどないはずなのだから。
芝崎は鼻で笑った。
「馬鹿が…プログラムだと言っただろう。
銃を持つことも、[ピーーー]ことも、ここでは合法なんだよ、田村」
「ざけんなよテメェ、久瀬が何したってんだッ!!」
光貴を人質に取られた状態の新は、芝崎の胸倉を掴んで硬直したまま叫んだ。
芝崎は、目線だけを橋川に移した。
「どうせもうすぐ死ぬクズだ、今死んでも同じことだろう」
「人間のクズは貴方ですよ、久瀬さんや僕たちじゃない…ッ!!」
「黙れ」
芝崎は、銃口を光貴の眉間に押し付けた。
二度の発砲で銃口が熱されているのだろう、光貴が小さく呻き声を上げた。
「た…田村の言う通りだ、クズはテメェだ!!」
そう叫んだのは、光貴や新と敵対する八尋グループ参謀、紫垣靖隆(男子八番)だ。
龍慶は見ていた。
光貴たちと同様、靖隆も芝崎に掴みかかろうと動いていたのだ。
「光貴を離してよ、バーカッ!!
俺たち何もしてないのに、1人で武器持って、卑怯だッ!!」
八尋幸太郎(男子十八番)も叫んだ。
靖隆も幸太郎も、普段敵対している相手を助けようとしている。
そのことが、クラスメイトたちに何かを訴えかけたのだろう。
次々と同調する声が上がった。
「そうだそうだ!」
「あたしたちを馬鹿にしないでよ!!」
「卑怯者!!」
芝崎はその声を浴び、たじろいだ。
しかし、そこで折れるような人間ではないようだった。
971 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/21(木) 09:36:03.69 ID:3alGzjRB0(3/32)
グループ内で最も大柄であり最も粗暴な政井威光(男子十六番)が、苛立たしげにつま先で地面を掘っていた。
その作業によって跳ね上げられた小石を頭に当てられた紫垣靖隆(男子八番)は、腰を浮かして大きいが鋭い目で威光を睨んだ。
「やめな、落ち着きなよ、ヤス」
靖隆の向かいで胡座をかいていたグループリーダーの八尋幸太郎(男子十八番)に止められ、靖隆は腰を下ろして目を逸らした。
教室内では滝川哀(担当教官)にルールを理解しているか不安視されていた幸太郎は、今は靖隆に改めてルールを教えてもらっていた。
1時間ほど掛かったが、何とか理解できたらしい。
10回以上同じことを言って聞かせた靖隆は、疲れた表情を見せていた。
「なあ、イッキ」
林一紀(男子十五番)はニックネームで呼ばれ、隣に立っている威光を見上げた。
細目で目つきが悪いので睨んでいると勘違いされやすいが、小学生の頃からの付き合いである威光は、さすがにそうは思っていない。
「多丞、何してんだろうな」
一紀は威光の言葉に、右膝に右肘をついて頬杖を付き、唸った。
グループのメンバーで唯一集合場所に姿を見せていない池埜多丞(男子二番)は、出発は特別参加者を含めても最後から4番目だ。
しかし、1時間半以上前に既に教室を出ているはずだ。
そしてこの池はエリアで数えて4つ分しか離れておらず、直線距離は1kmにも満たない(これは靖隆の出した、『1エリアの長さは200m前後』という目算を元に算出した距離だが、恐らくそれくらいだと一紀も思っている)。
いくら迷ったとしても、ここまで時間は掛からないだろう。
そうなると、最悪の可能性も頭を過ぎる。
多丞の出発したであろう時間の直後、激しい銃声が響いていた。
それは、教室内で聞いたものよりも重い音だったように思う。
誰かに狙われて餌食となった可能性は、無きにしも非ず、だ。
一紀は顔を上げ、靖隆を見た。
靖隆とは中学での出会いだが、同じ空手部の仲間として、主将だった靖隆の右腕として親しくしてきたので、それなりに理解している。
このメンバーの中で、最も冷静に物事を捉えることができるのは、靖隆だ。
「なあ、ヤス。
多丞はもしかして、誰かに――」
「あんま考えたくねぇけどな、否定する根拠もねぇ。
それか、俺らが信用できなくてここに来なかったか…」
「匡子ちゃんと一緒にいるのかもしれないね」
思慮深い靖隆の声を、幸太郎の能天気な声が遮った。
972 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/21(木) 09:36:45.30 ID:3alGzjRB0(4/32)
教室の外から、破裂音が響いてきた。
怯える者、泣き出す者、険しい表情を浮かべる者、何を考えているかわからない者――まだ中に残っている31人(既に物言わぬ魂の抜け殻となった久瀬ゆかり(女子五番)も数に含むならプラス1だ)は、それぞれの反応を示した。
「あらあら、一体誰かしらね」
滝川哀(担当教官)は、他人事のように呟いた(事実他人事だろうけど)。
“殺らなきゃ殺られる”という状況が、既に外では繰り広げられているのだ。
悲鳴も聞こえた、叫び声も聞こえた、そして銃声も聞こえた。
たった10人しか外にはいないはずなのに、もう、戦っているのだ。
城龍慶(男子九番)は大きな溜め息を吐き、頭を抱えた。
何で、どうして――その言葉が、頭に渦巻く。
それにしても、あの銃声は、誰だ。
その直前に出た佐藤史季(男子七番)ではないだろう。
あの音が廊下で派手にこけた音であるならば、その音源は間違いなく史季だと思うが、残念ながらそんなに平和的な音ではなかった。
出て行った面子を思い浮かべて最初に思い浮かぶのは、やはり自己中心的な評議委員、酒井真澄(男子六番)。
もしかして、待ち伏せでもしているのだろうか。
しかし、それならその次に出発した相模夕姫(女子七番)は狙わなかったのか?
もしかしたら、銃を使える状態にするのに時間が掛かったのだろうか。
もしくは夕姫が――
そこまで考え、龍慶はかぶりを振った。
そんなはずはない。
夕姫のような人に、そんなことができるはずがない。
そう、思いたい。
転校初日、結局最後まで落ち着きのなかった3年2組の様子を傍から見た後に教室に連れて行かれ、転校生の義務である自己紹介をした。
陽気に大阪弁を披露する前川染香(女子十六番)の後になるのは億劫だった。
龍慶はそこまで喋るのが上手というわけではない、表情豊かでもないので、ぶっきらぼうに名前を告げるだけの自己紹介となった。
染香の時とは空気が違うということを、肌で感じた(しかも、橋川新(男子十四番)が大袈裟に拍手をし、乗せられた道下未来(男子十七番)も同じように拍手をした。恥ずかしさ以外は何も感じなかった)。
973 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/21(木) 09:37:21.62 ID:3alGzjRB0(5/32)
名前を呼ばれ、龍慶は我に返った。
何時の間にか、龍慶と史季の間にいる紫垣靖隆(男子八番)はいなくなっていた。
こんな時に好きな人に思いを馳せるなんて、我ながら平和な頭だ…
それとも、追い詰められた状況に、頭がイカれてしまってるのか…?
龍慶は溜め息を吐き、荷物を持って立ち上がった。
デイパックを受け取ると、強制された合言葉を淡々と述べ、教室を見回した。
光貴と新と目が合った。
いつもの元気はなさそうだったが、2人共それぞれの笑顔を浮かべた。
しかし、未来とは目が合わなかった。
じっと机を見つめており、一度も顔を上げてはくれなかった。
野田浩毅(軍人)に促され、龍慶は教室を出た。
未来……
夕姫のことも気に掛かるが、一番に気に掛けるべきは未来だ。
大人しいと思っていた未来が、芝崎務(担任)を殺害した。
それも、目潰しの上に銃[ピーーー]るという、残酷な手法で。
いくら戦闘訓練を受けているからといって、そう簡単に誰かの命を、しかも無駄な挙動を一つもせずに、奪うことなどできるものなのだろうか。
あいつは、一体――
外に出ると、鼻を突く臭いがした。
薄いが、煙のような臭いだ。
火事…?
いや、火の手は見えない…
ふと足許に目を遣った。
床に、何かの燃えカスのような物が落ちていた。
これが燃えたことによる異臭だろうか。
龍慶は辺りを見回し――目を見開いた。
誰かが、倒れていた。
「おい、大丈夫か、おい――」
声は、届かなかった。
倒れている小柄な少年――植本邦幸(男子三番)は、既に息絶えていた。
最初に出発し、最初にクラスメイトに殺害されてしまったということになる。
憐れとしか言いようがない。
その側には、木刀が落ちていた。
それを拾い上げる。
今はどの部活にも所属していないが、前の学校では剣道部に入っていた。
竹刀ではないが、持っていて損することはないだろう。
それに、入所している施設“大東亜塾”でのありがたい訓練のおかげで、剣技は上達しており、新参者だが剣術では右に出るものはいない。
銃器なんかよりも、はるかに役立つ相棒だ。
龍慶は木刀をベルトに差し込むと、側に落ちていたデイパックを引き寄せた。
水と食糧と防寒具は、多いに越したことはない。
必要な物をデイパックから出した。
詰め込むために自分のデイパックを前に置き、改めて邦幸を見た。
ここで息絶えているということは、出発して間もなく殺害されたということ。
つまり、加害者は、邦幸の次に出発した浦原舞(女子二番)である可能性が高い。
そうすれば、江南佳菜彩(女子三番)や来栖生馬(男子五番)の悲鳴は、既に亡骸となった邦幸の姿に驚いたものと考えられる。
浦原か…一応、注意はしておくべきだな…
974 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/21(木) 09:38:10.87 ID:3alGzjRB0(6/32)
柳田裕華(女子十九番)は足の力が抜け、その場にへなへなとへたり込んだ。
お守りのように握り締めていた裁ち鋏が、音を立てて床に落ちた。
中学生らしからぬ派手なアイメイクで大きく見せている目からは、ぼろぼろと涙が溢れ、所々グロスが剥げてしまっている厚めの唇の間からは引き攣った声が細々と漏れた。
「起きて…ねぇ、起きてぇ……舞……ッ!!」
疲れて何気なく入ることを決めた民家。
地図によるとE=08エリアに属しているので、暫くは禁止エリアに入る予定もなく、休むことができる。
そもそも外で夜を越すなんて裕華には考えられなかったので、次の放送で禁止エリアに指定されなければ夜を明かそうと思っていた。
しかし、中に入ると、異常を察した。
鉄の錆びたような臭いがした。
怖い、だけど足が進む。
呆れた野次馬根性だ。
裕華は懐中電灯を片手に居間に足を踏み入れ――愕然とした。
床や壁や家具を汚す紅い色、そしてその中心にいるのは、裕華の親友である浦原舞(女子二番)だった。
前の放送までは呼ばれていなかったので、その放送から僅か5時間の間に何者かに殺害されたのだろう。
「舞…舞……やだぁ……ッ!!」
裕華はいつも舞の後ろにいた。
クラスメイトをグループに分けるとすれば“ギャルグループ”に分類されるグループのリーダーは舞だった。
『ほら、行くよっ!
今日こそ三枝を泣かせてやるんだからっ!!』
田村光貴(男子十二番)を巡る恋敵である三枝妃(女子六番)率いる“妃グループ”と敵対し、毎日のように口論を繰り広げていた。
その中心には常に舞がいて、裕華は後ろから『そうだそうだ』と同調していた。
舞の後ろだから、妃たちに対抗することができたし、馬鹿みたいに真面目なところが何となく気に食わなかった宮嵜八千代(女子十八番)を堂々と苛めることもできた。
だけど、頼れるリーダーの舞は、もういない。
最初の放送では、もう1人の親友、中垣芽衣子(女子十二番)の名前も呼ばれた。
975 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/21(木) 09:38:43.11 ID:3alGzjRB0(7/32)
裕華の前に立っていたのは、3年2組名物のミステリアスな双子、二階堂悠(女子十三番)と二階堂哉多(男子十三番)だった。
確かに誰かと一緒にいたいと願ったが、この2人はどうだろう。
何となくだが、この2人とは一緒にいたくない気がする。
「人に会うのは何時間ぶりかしら、兄様?」
「中垣さんに会って以来だから、半日というところだよ、姉様」
……え?
裕華は目を見開いた。
哉多の口から出たのは、親友の芽衣子の名前。
しかも、半日前に会ったということは、生きている芽衣子に会ったということだ。
「芽衣子に…会ったの……?」
悠と哉多は互いに右手と左手の指を絡め合い、視線を交わした。
「中垣さんは国のために散ったのよね、兄様」
「中垣さんは大東亜の礎となったんだよね、姉様」
「刀で胴を貫かれ――」
「鎌で頭を割られて――」
「「黄泉の国へと旅立った」」
裕華は呻き声を上げた。
つい先程、刺殺体となっていた舞を見ていたおかげで、2人の言葉がリアルな映像となって頭に浮かんだ。
そして、あまりにも状況を知っている2人が、恐らく、芽衣子を殺害したのだ。
この状況は…とてもヤバい…ッ!!
裕華の脳が危険を察知した。
同時に立ち上がりながら身を翻し、危険な双子から離れようと地を蹴った。
運動能力は良くも悪くも目立たない程度、短距離走は50m9秒台とぱっとしない成績――それでも、火事場の馬鹿力というものか、裕華はかつて無いほどのスタートダッシュを見せた。
逃げ切れる、そう思えるほどに。
しかし、相手は防衛庁長官・二階堂一成の子どもたち。
二階堂が子どもたちに様々な教育を行っているということは有名な話で、あまりニュースを見ない裕華でも知っている。
並の運動能力の裕華の快心のダッシュが敵うほど甘くはない。
「まぁ、逃げるみたいよ、兄様」
「敵に背中を向けるとは情けないよね、姉様」
その言葉と同時に、裕華は背中に衝撃を受けた。
哉多が5歩ほどの大股なダッシュの後、裕華の背中に跳び蹴り(そう、跳び蹴り!アクション映画じゃあるまいし!)を食らわせたのだ。
裕華はその場にうつ伏せに倒れ、その上に哉多が飛び乗った。
哉多が持っていた太刀が、どすっという音を立てて裕華の眼前の地面に突き刺さった。
「ひ……ッ!!」
目の前には刃物。
細身とはいえ自分よりも20cmも背が高い男が乗っているために動かない体。
逃げられない。
頭の上から、くすくすという場違いな笑い声が落ちてきた。
目線だけでその声を追った。
悠が、どろんとした目を細めて、上品に笑っていた。
976 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/21(木) 09:39:24.55 ID:3alGzjRB0(8/32)
細く短い手足を目一杯伸ばして文句を言うのは、大きいがつり上がり気味の目と上げた前髪がその性格のキツさを物語っている時岡千波(女子十一番)。
伸ばした前髪を頭頂部でピンクのボンボンのついたゴムで結い、長い後ろ髪と共に垂らした愛らしい髪型と、クラスで3番目に低い身長で、所属する女子主流派グループ内では妹的ポジションをキープしている。
「千波はまだいいじゃん、チビっ子なんだからさ。
おれなんて手足が長すぎて困ったモンだよ?
あーあ、生まれて初めて自分の長身を呪ってるよ」
肥料の入った袋に腰掛けて長い足を組み、溜息混じりにそうぼやいているのは、女子の中では最も恵まれた体格をした寺内紅緒(女子十番)。
ショートヘアーと大人びた顔立ち、所属していたバスケットボール部で鍛えられた脚、一人称を“おれ”とする男らしい口調とハスキーな声――宝塚歌劇団の男役にもなれそうなその容姿と言葉から、主に女生徒から絶大な人気を得ており、一部からは“紅サマ”と呼ばれている。
「ちょっとぉ、紅ちゃん、それって嫌味ぃ?」
「ノンノン、可愛い千波を元気付けようという思い遣りだよ?」
「まぁた、カッコイイこと言っちゃって」
千波は文句を言いながらも、笑顔を浮かべた。
千波がグループ内で妹になるなら、紅緒は父親かもしれない。
グループの大黒柱だ。
紅緒は視線を千波からもう1人の仲間へと向けた。
祈るように手を組み項垂れるというポーズのまま、ずっと動いていない。
「…奈央、大丈夫か?」
紅緒の声に、藤原奈央(女子十四番)はゆっくりと顔を上げた。
右目の下の泣きぼくろと下の方で1つに結った髪、大きな装飾のないシルバーのネックレスが、奈央に大人びた印象を与えている。
優しげな瞳は、今は不安に揺れていた。
「紅緒……うん、ごめん、大丈夫…
ちょっと…考え事を…」
「奈央姉のことだもん、どうせ彼氏サンのことでしょ?」
「……ッ!!
う……うん、まあ……」
千波の指摘に、奈央は再び俯いた。
ちなみに、このクラスには“ナオ”と呼べる女子が2人いる。
1人はもちろん奈央、もう1人は2組の女子評議委員であり紅緒たちの仲間である堀内尚子(女子十五番)だ。
2人を区別するために、大人びている奈央を“奈央姉”、最も小柄な尚子を“チビ尚”と呼ぶ者もクラスには多くいる。
「こらっ、ち?な?み?っ!!」
紅緒が唸るような声で千波を制すると、千波もはっとした表情を浮かべ、「ごめん」と呟いて俯いた。
奈央には、彼氏がいる。
それはこのクラスの誰でもなく、隣のクラスにいる男子バレー部員だ。
女子バレー部員だった奈央とは2年生の時のクラスメイトで、バレーの話で盛り上がり、その流れで付き合うことになったという。
3年になってクラスが別になり、奈央はプログラムに選ばれた。
それは、彼氏との、ほぼ確実な永久の別れを意味していた。
もう一度会うために奈央に残されている手段は、優勝以外にないのだ。
「奈央…もう一度聞くけどさ、アンタ、優勝目指すのか…?」
紅緒の問いに、奈央は俯いたまま首を横に振った。
「無理よ…
そりゃあ、もう一度会えることなら会いたい…
でも、そのために、紅緒や千波たちを傷つけるなんて…とてもできない…」
977 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/21(木) 09:39:59.47 ID:3alGzjRB0(9/32)
目の前に現れたのは、切れ長な瞳に浅黒い肌、シルバーに光る十字のピアス。
紅緒は表情筋を緩め、その人物――茶色に染めた1本のテールを夜風に靡かせた、4人目の仲間、水無瀬繭子(女子十七番)を中に招き入れた。
「…で、どうだったんだ?」
紅緒はコルト・パイソンを元の位置に置くと、倉庫の中央にテーブル代わりに用意していた木箱の傍に腰を下ろした。
繭子は両手でしっかりと持っていた小型マシンガン、Vz61“スコーピオン”をコルト・パイソンの隣に置いてから、紅緒の向かいに腰掛けた。
それに倣い、千波と奈央も空いているスペースに座る。
「…よくわからなかった」
繭子は落ち着いた静かな声で言った。
「わかんなかったって…何それ?」
怪訝な顔をした千波を一瞥し、繭子は続けた。
「1時前の爆発…あれはここ…F=01エリアで起こったものだったよ」
繭子は地図を木箱の上に広げ、林が広がるというF=01エリアを指差した。
「暗くてちゃんと確認はできなかったけど、何かが爆発した跡はあった。
あれは、かなり大きな爆発だったと思う。
銃撃戦らしい銃で撃たれた跡とかも、木に残ってた。
……微かに残ってたあの臭いは、きっと…自然が燃えた臭いじゃなかった」
「自然じゃないって……もしかして……人……っ!?」
奈央の悲鳴交じりの言葉に、紅緒と千波は息を呑んだ。
繭子は少し唸り声を上げてから、続けた。
「奈央の言う通りだと、アタシも思った。
でも…何もなかった。
誰かの…死体とか、荷物とか…何も。
あったのは、焦げたのか血なのかわからないけど、色が変わった土…それだけ」
「…妙だね、そりゃどうも」
繭子の報告に、紅緒は首を傾げた。
そう、繭子は偵察に出ていた。
午前1時前に、大きな爆発の音がした(それは、篠宮未琴(女子特別参加者)が田村光貴(男子十二番)・橋川新(男子十四番)と結託し、反政府組織ADGI東京支部の面々と戦闘を繰り広げた時に起こった音だが、当然紅緒たちの知るところではない)。
1時間ほど経った頃、繭子は、何があったのか見てくる、と立ち上がった。
紅緒もついて行こうとしたのだが、繭子はそれを断わった。
天然の千波と、この中で最も精神的ダメージを大きく受けている奈央を2人で残していくわけにはいかないからである。
繭子はいつも冷静に物事を判断するし、いざという時には陸上部で培った抜群の瞬発力と脚力で逃げることだってできる――繭子を信じ、紅緒は繭子を1人で外に行かせたのだ。
「でもさ、とりあえず、誰もその爆発に巻き込まれてないんでしょ?
巻き込まれてても、怪我で済んでるってことだよね?」
「ま、そうなるね」
千波の安堵感の込められた言葉に、繭子は静かに返した。
そして、地図の横に印刷された名簿を指でトントンと叩いた。
「ま、よくわからなかったから、それはいい。
千波の言う通り、誰も巻き込まれてないならそれでいい。
問題は…」
978 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/21(木) 09:41:23.74 ID:3alGzjRB0(10/32)
繭子は紅緒を一瞥すると、名簿の1番下、男女特別参加者の木下亘(男子特別参加者)と篠宮未琴の名前にアンダーラインを引いた。
「ま、この2人は考える余地もない。
見つけたら…逃げるべきだろうね」
「そういえば…」
奈央ははっと顔を上げた。
6つの瞳が、奈央に向けられた。
「教室にいた時に、姫ちゃんが、男の転校生に声掛けてたのよね…
『どこかで会ったことある?』って…
男の転校生は、肯定も否定もしてなかったけど…」
「夕姫…肝が据わってるというか何というか…」
紅緒は苦笑した。
相模夕姫(女子七番)とは、2年生の頃からのクラスメイトで、同じ部活に所属していたこともあって縁がある。
黙っていれば美人なのに、喋れば男勝り、動けば暴力を振るうこともあるという割と激しい気性の持ち主だが、紅緒とは気があった。
しかし、繭子の見解は違うようだった。
「奈央の言うことが本当なら、姫も怪しいかもしれないね。
関係を持ってるのなら、政府の回し者ってことだって…」
「回し者って言ったら、双子とか“軍の子犬”だってそうじゃん。
道下くんなんて、芝崎を……」
千波は芝崎務(担任)の凄惨な最期を思い出したのか、ぶるっと体を震わせた。
芝崎を殺害した道下未来(男子十七番)をはじめとした“軍の子犬”も、防衛庁長官の子どもである二階堂哉多(男子十三番)・二階堂悠(女子十三番)も、確かに怪しい。
政府の言うことに従い、殺し合いのルールに乗っているかもしれない。
「八尋グループだって、やる気になってたっておかしくないよ。
性格的には、酒井なんかモロだね」
繭子は次々に名前にアンダーラインを引いていく。
それを見ていた紅緒は、深く溜息を吐いた。
「…こうして見ると、怪しいのばっかだ」
「超問題児クラスだったもんね、2組って」
979 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/21(木) 09:42:32.30 ID:3alGzjRB0(11/32)
紫垣靖隆(男子八番)と八尋幸太郎(男子十八番)が屋上で聞いた銃声を響かせた戦闘はまだ続いていた。
ぽつぽつと点いたライトに薄っすらと照らされた木々の中、落ち葉を踏み拉く音と荒い息遣いが大きく聞こえる。
背後から襲ってくる銃声。
隣にあった木の幹に弾がめり込んだ。
その木の陰に隠れ、二度撃ち返すと、衝撃がびりびりと腕に響いた。
「クソ、忌々しい…
馬鹿のくせに俺を撃つなんて…ッ」
酒井真澄(男子六番)は右目を隠している前髪を苛立たしげにかき上げ、汗でずれた眼鏡を指で押し上げた。
真澄はコルト・ガバメントを両手でしっかりと構え、再び引き金を引いた。
二度撃ったところで弾切れを起こし、がちんという金属音が響いた。
舌打ちをすると、木の陰に隠れ、ポケットに入れていた予備のマガジンを出し、急いでマガジンを詰め替えた。
「コソコソ隠れてんじゃねぇよ、メガネがッ!!」
襲撃者、政井威光(男子十六番)の罵声に、真澄はまたも舌打ちをした。
「ふん、そっくりそのまま返してやるよ、柔道馬鹿」
「んだとテメェ、投げ殺してやろうか、あぁっ!?」
威光はそう怒鳴ると、身を隠していた木の陰から飛び出し、大柄な威光の大きな手にすっぽりと納まる自動拳銃、USSR マカロフの引き金を引きながら真澄との距離を詰めてきた。
落ち葉を踏みしめる音に混じり、威光が身に付けたごつい装飾品がぶつかり合うじゃらじゃらと不快な音が耳に障った。
真澄はぎりっと歯を食いしばると、コルト・ガバメントの銃口を威光に向けた。
しかし、襲い掛かる銃弾の中、狙いを定めることはできない。
弾は外れ、闇へと消えた。
「ハッ、ノーコンだなぁ、クソメガネッ!!」
「不愉快極まりないけど、お互い様だろ、お馬鹿さん。
お前の弾も、俺には1つも当たってないよ」
…とは言え、馬鹿みたいに突っ込んでくるのを正面から受けるのは利口とは言えないか…
真澄と威光との体格差は大きい。
10cm弱の身長差があるだけではなく、柔道で鍛え上げられた威光の大柄な体はそれだけで大きな武器になる。
身長では城龍慶(男子九番)には及ばないが、総合して見れば、このクラスで最も体格に恵まれているのは威光だろう。
980 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/21(木) 09:43:34.30 ID:3alGzjRB0(12/32)
時間 被害者 加害者 凶器 死亡場所 死亡話数
第一回放送
11/10
0:00p.m.
04:26a.m. 久瀬ゆかり(F5) 芝崎務(担任) 銃 C=06 第11話
05:05a.m. 植本邦幸(M3) 浦原舞(F2) 軍人用ナイフ C=06 第14話
08:19a.m. 林一紀(M15) 政井威光(M16) USSR マカロフ D=03 第24話
09:31a.m. 中垣芽衣子(F12) 二階堂哉多(M13) 鎌 A=06 第25話
10:55a.m. 来栖生馬(M5) 篠宮未琴(F21) 首輪 F=08 第26話
第二回放送
11/10
6:00p.m.
00:11p.m. 佐藤史季(M7) 辻莉津子(F9) 包丁 B=07 第30話
00:15p.m. 辻莉津子(F9) 相模夕姫(F7) ワルサーPPK B=07 第30話
03:01p.m. 楪静眞(M19) 篠宮未琴(F21) スローイングナイフ G=07 第32話
第三回放送
11/11
0:00a.m.
07:17p.m. 浦原舞(F2) 三枝妃(F6) 軍人用ナイフ E=08 第37話
11:01p.m. 柳田裕華(F19) 二階堂悠(F13) 鎌 E=08 第42話
第四回放送
11/11
6:00a.m
死亡者なし
第五回放送
11/11
0:00p.m
06:10a.m. 秋庭俊人(M1) 酒井真澄(M6) コルト・ガバメント I=09 第59話
06:10a.m. 宗和歩(F8) 酒井真澄(M6) コルト・ガバメント I=09 第59話
10:41a.m. 関本春海(M11) 酒井真澄(M6) コルト・ガバメント E=09 第67話
第六回放送
11/11
6:00p.m
00.23p.m. 宮嵜八千代(F18) 堀内尚子(F15) S
981 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/21(木) 09:44:07.63 ID:3alGzjRB0(13/32)
1位 篠宮未琴(F21) 11人 来栖生馬(M5)
楪静眞(M19)
北修司(M4)
東海林至(M10)
道下未来(M17)
橋川新(M14)
紫垣靖隆(M8)
田村光貴(M12)
前川染香(F16)
木下亘(M21)
三枝妃(F6)
2位 酒井真澄(M6) 7人 秋庭俊人(M1)
宗和歩(F8)
関本春海(M11)
時岡千波(F11)
米村直(M20)
山崎雛子(F20)
堀内尚子(F15)
3位 政井威光(M16) 3人 林一紀(M15)
磯田匡子(F1)
池埜多丞(M2)
堀内尚子(F15) 3人 宮嵜八千代(F18)
寺内紅緒(F10)
水無瀬繭子(F12)
4位 北修司(M4) 2人 川西亜由子(F4)
江南佳菜彩(F3)
二階堂哉多(M13) 2人 中垣芽衣子(F12)
政井威光(M16)
道下未来(M17) 2人 二階堂悠(F13)
二階堂哉多(M13)
前川染香(F16) 2人 城龍慶(M9)
八尋幸太郎(M18)
5位 木下亘(M21) 1人 酒井真澄(M6)
浦原舞(F2) 1人 植本邦幸(M3)
三枝妃(F6) 1人 浦原舞(F2)
相模夕姫(F7) 1人 辻莉津子(F9)
辻莉津子(F9) 1人 佐藤史季(M7)
二階堂悠(F13) 1人 柳田裕華(F19)
982 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/21(木) 09:44:55.52 ID:3alGzjRB0(14/32)
1 ○ 芝崎務(担任) v.s. 久瀬ゆかり(女子5番) ×
(11/10 4:26a.m. 久瀬ゆかり 死亡)
2 ○ 道下未来(男子17番) v.s. 芝崎務(担任) ×
(11/10 4:31a.m. 芝崎務 死亡)
3 ○ 浦原舞(女子2番) v.s. 植本邦幸(男子3番) ×
(11/10 5:05a.m. 植本邦幸 死亡)
4 △ 佐藤史季(男子7番)
相模夕姫(女子7番) v.s. 酒井真澄(男子6番) △
(佐藤史季・相模夕姫 撤退)
5 ○ 田村光貴(男子12番)
橋川新(男子14番) v.s. 二階堂哉多(男子13番) ×
二階堂悠(女子13番)
(田村光貴・橋川新 撤退)
6 ○ 道下未来(男子17番)
前川染香(女子16番) v.s. 酒井真澄(男子6番) ×
(酒井真澄 敗走)
7 ○ 政井威光(男子16番) v.s. 林一紀(男子15番) ×
(11/10 8:19a.m. 林一紀 死亡)
8 ○ 二階堂哉多(男子13番)
二階堂悠(女子13番) v.s. 中垣芽衣子(女子12番) ×
(11/10 9:31a.m. 中垣芽衣子 死亡)
9 ○ 篠宮未琴(特別参加者) v.s. 来栖生馬(男子5番) ×
(11/10 10:55a.m. 来栖生馬 死亡)
983 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/21(木) 09:45:55.57 ID:3alGzjRB0(15/32)
酒井真澄(男子六番)はクラス内外での評判がすこぶる悪い。
常に周りを見下して、自分を中心に世界が回っていると思っていて、上に立つには相応しくない横暴さをもち、いつも人を近づけないオーラを纏っている。
などという話は恐らく佐藤史季(男子七番)の周りでも言われていたのだと思うけれど、史季は中学3年生になって初めて同じクラスになるまでは、酒井真澄という人間を知らなかった。
理由は大したことではない。
単に、史季は基本的に人の話を聞いていないから、というだけだ。
「今の真澄ちゃんに自分から近付くなんて、サトちゃんは変わりモンだなぁ!」
そう言ってきたのは、秋庭俊人(男子一番)だった気がする。
俊人と関本春海(男子十一番)は、真澄とは小学生の頃からの仲で、優しくて頼りがいのあった昔の真澄も知っているのでそのままずっと一緒にいるのだと聞いた。
来栖生馬(男子五番)は真澄が今の性格に変貌した後である中学2年生の頃からの付き合いだそうなので、史季に負けず劣らず変わり者なのかもしれない。
生馬はどうなのか知らないが、史季は真澄に対して悪い印象を持ったことはない。
何しろ第一印象が良かったので。
真澄と最初に言葉を交わしたのは、1学期の始業式中だ。
984 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/21(木) 09:46:53.26 ID:3alGzjRB0(16/32)
何故か怪我をしていて片腕が使えなかった道下未来(男子十七番)と体調不良で楪静眞(男子十九番)が除かれたので、出席番号一から九番までで1チーム、それ以降で1チームとなった。
この分け方をすると、運動能力は後半チームの方が遥かに高い。
クラス1の問題児集団でありながら内3人が運動部で活躍する八尋グループからは林一紀(男子十五番)と政井威光(男子十六番)と八尋幸太郎(男子十八番)、児童養護施設“大東亜塾”で生活し軍人になる訓練を受けていると噂されている田村光貴(男子十二番)と橋川新(男子十四番)、何を考えているかさっぱりわからないが文武両道の二階堂哉多(男子十三番)、史季たちの友人の中で唯一後半グループに入る春海も囲碁部所属だが運動はできる。
前半チームも運動が苦手だと主張するのは植本邦幸(男子二番)くらいなのだが、後半チームとは平均値が違うのだ。
985 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/21(木) 09:47:30.88 ID:3alGzjRB0(17/32)
アイドルマスター絶賛発売中!!
986 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/21(木) 09:48:24.16 ID:3alGzjRB0(18/32)
城龍慶(男子九番)は壁に凭れかかり、ぼんやりと天井を見上げていた。
頭がぼうっとする。
鼻を突く血の臭いに、頭痛も感じる。
何度も護ってもらいながら、何も道下未来(男子十七番)には返せなかった。
自分の知らないところで、あんな小さな体と優しい心に大きな傷を抱え、普段はそれを誰にも感じさせないように生きていた未来。
大人しくて控えめで護ってあげなければならないと思わせる弟のような存在だと思っていたが、その実今までに幾人もの命を奪ってきた“人間兵器”。
その事実を未来本人や田村光貴(男子十二番)・橋川新(男子十四番)から聞いた時には、衝撃的すぎる内容に言葉を失い、未来に恐怖すら憶えた。
八尋幸太郎(男子十八番)のようにすぐに未来を受け入れることはできなかった。
しかし、結果的に幸太郎は正しかった。
事実を知る前も知った後も、未来は未来だった。
自分の命を投げ出してでも皆を護ろうとする姿勢には、何も変わりなかった。
幸太郎と未来とは、これまであまり関わりがなかったはずだ。
そんな幸太郎にはわかったことが自分にはわかっらなかったということが悔しくてたまらない。
龍慶は視線を天井から未来へと移した。
片足を失う痛さとは、どれほどのものだっただろう。
手を刃物で貫かれる痛さとは、どれほどのものだっただろう。
一度負けている篠宮未琴(女子特別参加者)を前にして、怖くなかったのだろうか。
死を目前にした時、恐怖したのだろうか。
それとも、そんなことを感じる間すらなかったのだろうか。
どうして、1人で行くことを無理にでも止めなかったのだろうか。
未来の亡骸を見る度、ぐるぐると様々な疑問や後悔が巡った。
987 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/21(木) 09:50:35.58 ID:3alGzjRB0(19/32)
はまぐり 無節操ジャンルサイトですので、OBRのみのURLはこちらになります
午後のパレード 200X年度
北海道上見市立狛楠中学校3年B組
(男子20名/女子21名/計41名) 進行中
18話/中盤戦
【残り32人】 標準ルール。血と暴力の青春をただ書いていく予定です。
another world 透 サブタイトルに沿うように話を展開しています。
?Real? 1993年度第43号
私立青奉中学校3年1組(特進クラス)
(男子17名/女子17名/計34名) 進行中
45話(46話)/中盤戦
【残り23人】 ?Link?と若干の関連性あり
水金 翔 読みやすく、を目標にマイペース更新しています。イラスト・質問・お題などもたまに更新しているのでよろしければそちらもどうぞ(^_^)
月に叢雲、花に風 2012年度
東京都私立帝東学院中等部3年A組
(男子20名/女子20名/計40名) 進行中
71話/終盤戦
【残り15人】 特殊ルール採用。
988 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/21(木) 09:51:46.72 ID:3alGzjRB0(20/32)
北村梨花(女子5番)は、エリアE-6をズカズカと歩き回っていた。学校登校時は常に車で送り迎え。体育のときですら身体を動かすことを極力避けていた梨花にとって、ひたすらに歩き回らなければいけないこの状況は大変気にいらないものだった。大企業を経営する父の一人娘として大事に育てられてきた彼女にとって、こんな何もないところをただ歩き回ることは拷問以外の何者でもなかったから。
しかし、状況的にはそうせざるを得なかった。先ほどの放送で、梨花が隠れていた民家(その民家もかなり古びたものであり、仕方ないとはいえそこにいることも我慢ならなかったが)のあるD-5がお昼前には禁止エリアになってしまうということを知り、仕方なく(本当に仕方なく)移動している。こんな森の中をずっと歩き回ることは嫌なので、とりあえず今いるエリアにある商店へと向かっているところだ。そろそろお腹もすいてきたところなので、何か食べ物があることも期待した故の行動だった。
いずれにせよ、こんな何もないところはさっさと立ち去りたいところだ。
――まだ九人……。この私のために、早く全員死んでくれないかしら? 帰るのは、この高貴な私と決まっているのよ。野蛮でいくらでも替えのきく一般庶民とは違って、私は特別な人間なんだから。
生まれたときから特別扱いをされ、両親から甘やかされて育ってきた梨花は、自分が“特別な人間”であると信じて疑わなかった。他のクラスメイトとも、その辺にいる一般市民とも、自分は違う人間だと思っていた。そんな彼女にとって、自分が死ぬことなど想像できなかった。より正確に言えば、自分が死ぬことなど有り得ないと思っていた。
――野蛮な一般庶民のくせに、何を未練たらたらとこの世に留まっているのかしら? どうせならさっさと死んで、この私が少しでも早く帰れるよう、庶民なりに貢献してほしいものね。
現在の退場者は、放送時のままであれば九人。まだ二十人以上の人間が生きている。家に帰るにはまだまだ死人の数が足りない。プログラムが始まってまだ一日も経っていないのだから、それは無理もないことではあったけど、一刻も早く家に帰りたい梨花にとって中々進行しないこの状況は、苛立ちを生む要因でしかなかった。
989 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/21(木) 09:53:25.47 ID:3alGzjRB0(21/32)
――まだ九人……。この私のために、早く全員死んでくれないかしら? 帰るのは、この高貴な私と決まっているのよ。野蛮でいくらでも替えのきく一般庶民とは違って、私は特別な人間なんだから。
生まれたときから特別扱いをされ、両親から甘やかされて育ってきた梨花は、自分が“特別な人間”であると信じて疑わなかった。他のクラスメイトとも、その辺にいる一般市民とも、自分は違う人間だと思っていた。そんな彼女にとって、自分が死ぬことなど想像できなかった。より正確に言えば、自分が死ぬことなど有り得ないと思っていた。
――野蛮な一般庶民のくせに、何を未練たらたらとこの世に留まっているのかしら? どうせならさっさと死んで、この私が少しでも早く帰れるよう、庶民なりに貢献してほしいものね。
現在の退場者は、放送時のままであれば九人。まだ二十人以上の人間が生きている。家に帰るにはまだまだ死人の数が足りない。プログラムが始まってまだ一日も経っていないのだから、それは無理もないことではあったけど、一刻も早く家に帰りたい梨花にとって中々進行しないこの状況は、苛立ちを生む要因でしかなかった。
武器が使えるものであれば、まだ自分でどうにかすることもできるだろう。けれど、支給武器は完全なる当たりとは言えない代物だった。支給されたのは、アストラプレッシンという手のひらに収まるほどのサイズの銃。装填数とやらは二発。一般的な銃とは違って、引き金を引くというより、銃全体を握りしめるような形で弾丸を発射する。手のひらに収まるサイズであるだけに、不意打ちにはもってこいの銃だろう。しかし二発しか連続で撃てないことから、撃ち合いとか、誰かと戦闘になったときにはあまり有利な武器とはいえない。弾切れになってしまったら、こちらは完全なる無防備になってしまうのだ。
それに、人を[ピーーー]気はまったくない。それは、人を[ピーーー]ことに抵抗があるわけでも、増してやクラスメイトの命が尊いと考えているわけでもない。野蛮な一般庶民に高貴な自分が直接手を下すことなど、汚物を処理するような下劣な行為だからだ。そんな庶民の血を見ることも、増してやその血で穢れることなどあってはならない。そんな汚物処理は、他の一般市民に任せておけばいい。最後に残った一人くらいは直接手を下さなくてはいけないのかもしれないが、それまではそのような穢れたものに触れることなどあってはならない。
そう、高貴な私が人を[ピーーー]など、そんなことはあってはならない。手を汚さず、できるだけ綺麗なままで家に帰るのだ。
――次の放送では、十人くらい呼ばれないものかしらね?
だからこそ、プログラムという名の現実は、梨花にとってはどこか別の世界の出来事でしかなかった。誰かの死に悲しむことも、自分が死ぬかもしれない恐怖を感じることもない。まるでテレビの向こう側にある、映画やドラマのような虚構の世界。自分自身には何の関わりもない世界。
ここにいる誰にも干渉しない。干渉されてもならない。こうして時間が経てばそのうちプログラムも終わり、また家に帰れる。そして、贅沢で何も不自由しないいつもの生活を楽しむのだ。これからも、ずっと、永遠に――
990 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/21(木) 09:54:22.96 ID:3alGzjRB0(22/32)
干渉されないはずの私に、礼儀も知らない野蛮な一般庶民が声をかける。無礼な。この高貴な私に、何の断りもなく、しかも姿の見えない背後から声をかけるなど。そう梨花は思っていた。
「私だよ……? 梨華だよ……? 良かったぁ……ずっとずっと探していたんだからぁ……」
そう言った人物は、まるで縋りつくかのようにこちらの腕を掴んできた。そして、もう二度と離れないといわんばかりに、きつくその腕にしがみついていた。
ああ、そうか。そういえば、そんな子がいた。久住梨華(女子6番)という、金魚のフンのようなうっとおしい子がいたのだと。声をかけられて梨花が思ったことは、そんな何の感慨もない簡素なものだった。
「待ってなくてごめんねぇ……。ほら、間もすごく空いていたからさぁ、待ってるのも怖くて。あんな遅い時間に外出なんてしたことなかったし……。でも梨華……ずっとずっと梨花ちゃんのこと探してたんだよぉ……。だからさぁ、怒らないでね?」
何を言っている。誰がそんなことを頼んだ。このままずっと会わないまま、どこかで野たれ死にしてくれればよかったのに。どうしてこの金魚のフンは、いつもいつも高貴な私に縋りついてくるのだろう。うっとおしい。どこか遠くの知らないところへ行って、私の前から永遠にいなくなってくれればいいのに。梨花が心からそう願ったことは、これまでの人生で数知れない。
「梨花ちゃん……? もしかして怒っているの……? ごめんねごめんね……何でもするから……だから許してぇ……!」
「じゃ、ここで死んでもらえる?」
苛立ちの度合いがピークに達したとき、梨花は梨華に向かってそう吐き捨て、同時に掴まれていた腕を強引に振り払っていた。
「何でもしてくれるんでしょ? だったら、今すぐにここで死んで。そうでないと、私が家に帰れないから」
そう言った後、しばしの沈黙が流れる。肝心の梨華は、何を言ってるのか理解できないと言わんばかりの表情をしており、身体は完全に動きを止めていた。それはまるで、突然電池が切れたおもちゃのように、無様で滑稽なものだった。
991 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/21(木) 09:55:20.08 ID:3alGzjRB0(23/32)
「嫌だッ……! 私には、梨花ちゃんしかいないもんッ……! 私には、梨花ちゃんが必要なのッ!」
「身の程をわきまえなさいよ。私にあなたはいらない存在な――」
「いらないなんてッ! そんなこと言わないでよぉ!!」
一度離れたはずなのに、梨華がもう一度しがみついてくる。今度は両腕で梨花の身体をはがい占めにするかのように、先ほどよりも強い力で。あまりにも強い力でしがみつかれているせいか、今度は簡単に引きはがすことができない。まるで払っても払っても飛びまわる虫のように、梨華はしつこく縋ってくる。
「一人は嫌だよッ! ずっとずっと一人で、誰も信じられなくてッ!! 夜とかすごく怖かったんだからぁ!! 私には、梨花ちゃんしかいないの! だから一緒にいてよぉ!!」
「うるさいわねッ!! 離しなさいよ!!」
力づくで、梨華の身体を何とか引きはがそうとする。けれど、まるで接着剤でも付けたかのように、梨華の身体は少しも離れなかった。執着の度合いを見せつけるかのような梨華の行動に、このとき初めて恐怖を覚えた。
「いいかげん離しなさいよ! これじゃ何もできないでしょうッ!!」
「じゃあ、梨華と一緒にいてくれる? もういなくなってとか言わない? 言わないよね? 友達だもんね? ねっ? ねっ?」
一類の希望を見出せたからだろうか。梨華がこちらに視線を合わせ、このとき始めて笑顔を見せた。まるで幼い子供がおもちゃを買ってもらって喜ぶかのような無邪気さで、それでもその瞳はある種の狂気で歪んでいる。
この子は危険だ――。そう思わせるには十分すぎるほどに、梨華の存在は脅威と化していた。
――やりたくなんてなかったけど、このままじゃ一生この馬鹿に付きまとわれるわ……!
決断は早かった。右手に持っていた銃を、梨華の左横腹に押し付ける。その瞬間、始めて梨華に動揺の色が見られた。
992 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/21(木) 09:56:13.64 ID:3alGzjRB0(24/32)
「なんで……? どうしてぇ……」
口から大量の血を吐きながら、梨華はずっとそう呟いていた。そう呟いたまま、その声は小さくなっていき、やがて完全に聞こえなくなった。息絶えた梨華を見下ろし、あちこちに付いた血を見て、梨花はひどく顔をしかめた。
「汚らしいッ……!!」
こんなもので、私の身体が穢されることなどあってはならない。こんな野蛮な一般庶民の血が、私の身体に触れていいわけがない。なのに、こんな形でその汚らわしいものに触れることになるなんて。
けれど、今回ばかりは仕方がない。こちらの言うことを聞かなかったあちらが悪いのだ。この私の言うことに逆らうことなど、絶対にあってはならないことなのに。
「優勝するのは私ッ……! 家に帰るのは私なの!! あんたと違って、私はこの世界に必要な人間なんだからッ! あんたみたいに何の取り柄もない、野蛮な一般庶民とは格が違うのッ!!」
「そいつはどうかな?」
突然聞こえた低い声。それと同時に感じる強烈な痛み。首は熱く、でも逆に身体は冷えていくような、そんな奇妙な感覚。
それが何を意味するのか、梨花が正確に知ることはなかった。鋭い刃物で正確に頸動脈切られたことで大量に出血し、そのせいで一瞬のうちに意識は飛んでしまっていたから。声を出すことはおろか、まるでいきなり舞台が暗転したかのように自身に何が起こったのか欠片も理解できなかった。誰が自分を殺したのか。どうして自分が死ななくてはいけなかったのか。その全てを知ることがないまま、痛みを感じる頃には梨花は完全に事切れていた。
「俺からしてみれば、お前も久住と大して変わらねぇよ。馬鹿で無知で、傲慢で世間知らずのお嬢様」
梨華の上に折り重なるように倒れている梨花の死体を見ながら、有馬孝太郎(男子1番)は一人不敵に笑っていた。
993 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/21(木) 09:57:09.91 ID:3alGzjRB0(25/32)
東堂あかね(女子14番)は、エリアD-2にいた。加藤龍一郎(男子4番)と別れて以来ずっと移動し続けているものの、これまで誰にも会えていない。そうしている間に何度か銃声――それも連続した銃声が聞こえていたけど、そこへ向かう勇気はまだなく、今は手当たり次第に歩き続けているだけだ。
龍一郎と別れてから、他に信用できそうな人。主に辻結香(女子13番)を含めた主流派メンバー、そうでなくてもやる気でない人を探し続けている。恐怖と不安はずっとつきまとっているものの、龍一郎に励まされたことで少しばかり前向きに行動できるようになっていた。
『場所が変わったって、世界が変わったって、自分まで変える必要はどこにもない。やりたいようにやればいいと思う。東堂さんは東堂さんらしく、これまで通りにやればいいと思う』
龍一郎の言う通りだと思った。どこにいようと、自分のやりたいようにやればいい。会いたい人には会いに行けばいいし、[ピーーー]ことが嫌ならそれをしなければいい。そうすることで命を落とすことがあったとしても、自分自身を曲げて生き残るよりはずっといいはずだ。
そうやって龍一郎に励まされ、ずっと考えて、ようやくそう結論付けることができた。そうすることで自分を奮い立たせ、少しばかり積極的に動けるようになった。それと同時に、一つの悲しい出来事を整理することもできるようになっていた。
『あかねなりに助けてあげればいいから』
幼馴染である槙村日向(男子14番)のことは、今でも心が痛む。けれど、日向は日向のやりたいようにやったのだから、それに関して自分はとやかく言える立場ではない。だから、それはそれでいいのだ。日向にとって、それはきっと良かったことなのだ。半ば無理矢理そう結論付けていた。今はまだ強引でも、いつかは素直にそう思える日が来るだろう。悲しいという気持ちも、怒りという名の感情も、うまく整理できるようになるだろう。完全に理解することはできないだろうけど、きっといつかは。
とにかく、今最優先すべきことは、まだ生きているみんなを探すこと。そして、もう日向のように絶望する人間が出てこないよう、何とかしてこの状況を打開することだ。
――そのためには、まずみんなを探さなくちゃっ!
あかねが今歩いているところは、地図でいうと田園地帯が一部含まれるエリアであるらしく、かなり自然が目立つ場所だ。民家や施設は島の東側に集中しているらしく、こちら側にはそのような建物はほとんど存在していない。そのエリアを既に数時間歩き回っているのに、人に会うどころか誰かがいそうな気配すらない。けれど、これしきのことで諦めるわけにはいかない。無駄に諦めが悪いのが、あかねの長所でもあるはずだから。
994 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/21(木) 09:57:56.22 ID:3alGzjRB0(26/32)
ここは、エリアB-2。住宅街や公園から遠く離れたこのエリアに住宅らしきものはほとんどなく、代わりにとても広い田園地帯が目の前に広がっている。そのエリアにある小屋というべきところにいる宮崎亮介(男子15番)は、身体を横にして休息をとっていた。ここまで連れてきてくれた澤部淳一(男子6番)は、少し離れたところで見張りをしてくれている。
学校から離れた後、みんなが行きそうな住宅街を敢えて避け、このエリアまで移動してきた。誰が乗っているのか分からないこの状態では、なるべく人に会わない方が安全だという淳一の提案からだ。必要な食糧は淳一がある程度確保してあったので、住宅街に行く目的もない。武器が探知機と鉄串(バーべキューに使うような奴だ。といっても、亮介はバーベキューになど行ったことはないが)ということもあり、亮介も特に異論はなかった。
今はとりあえず、交代で休憩しようということになっている。人間の睡眠時間は六時間ほどが望ましいということで、まずは淳一が最初の放送まで眠り、今は亮介が休憩しているという状態だ。といっても、この緊迫した状況でまともな睡眠が取れるはずもなく、結果的にはただ身体を休めているだけ。それだけでも随分違うだろうが、これが続くとさすがに身体に支障をきたしそうだ。
そうしてぼんやりとしていると、突然連続した銃声らしきものが聞こえた。それは、まだ眠りの世界へ誘われていなかった亮介の緊張した糸を張りつめさせるには、あまりに十分すぎるものだった。
「い、今のって……」
あまりにはっきりしない音だったせいか、それが本当に銃声であったかどうか分からない。けれど、ただの気のせいとも思えない。ここから大分離れたところで、もしかして何かあったのだろうか。
「どうした?」
亮介の言葉に反応したのか。淳一が、静かにそう聞いてきた。視線は淳一自身の手元にある探知機に落とされたままだが、それはおそらく、亮介の口調から何かあったと察知し、警戒心を強めているためなのだろう。
「今……銃声らしきものが聞こえた気がしたんだけど……」
「……俺には聞こえなかったな。となると、ここから大分離れたところか。探知機にも、俺たち以外の反応はない」
どうやら淳一には、あの銃声らしきものは聞こえなかったようだ。けれど、それを亮介の気のせいだと聞き流すこともなく、それが本当であることを前提として話を進めている。亮介の言うことを、微塵も疑うことなく。
「少なくとも、俺らに危険が及んでいるわけでもないだろう。もう少し様子を見るってことでいいか?」
「あ、ああ……」
ただ同意を求められただけなのに、じんわりと気持ちが温かくなる。誰かに同意を求められることも、誰かに意見を求められることも、亮介にとっては決して当たり前のことではなかった。家に帰れば、言っていること何もかもが、誰にも聞きいれてもらえない世界になるのだから。反対意見を持つことなど許されるわけもなく、賛成を問われたことも、同意を求められたこともなかったのだから。何もかも一方的に決めつけられて、自分の意見を持つことなど許されなかったのだから。
995 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/21(木) 09:58:43.37 ID:3alGzjRB0(27/32)
2014/08/21(木) 09:22:31.47 ID:aEJsd3tB0 [5/5] AAS
アニメだと仁の声優も変わってたな
520: 枯れた名無しの水平思考@転載は禁止[sage]
2014/08/21(木) 09:32:11.32 ID:W5AJzcqt0 [1/2] AAS
>>517
未だに高山声には違和感が付きまとうから俺は別に構わん
学園長の声は山田だと高すぎアニメだとオッサンすぎで丁度良くならないなと思った
521: 枯れた名無しの水平思考@転載は禁止[sage]
2014/08/21(木) 09:34:00.11 ID:6H Rplje0 [1/1] AAS
譲治か力也を追加しよう
522: 枯れた名無しの水平思考@転載は禁止[sage]
2014/08/21(木) 09:36:19.63 ID:jb2hz1gN0 [1/1] AAS
1のこまるとか仁みたいなちょい役と主人公の声優変えるのは別問題だろ
523: 枯れた名無しの水平思考@転載は禁止[sage]
2014/08/21(木) 09:38:17.49 ID:qeVxrcx50 [3/3] AAS
苗木と召使いには3Dモデルないんかな
コメント1件
524: 枯れた名無しの水平思考@転載は禁止[sage]
2014/08/21(木) 09:43:16.65 ID:JfLx15nK0 [1/2] AAS
苗木は最後に出てくるだけかもな
525: 枯れた名無しの水平思考@転載は禁止[sage]
2014/08/21(木) 09:46:28.45 ID:ZLlYQMzg0 [3/3] AAS
違和感の欠片もないから変えなくていいわ
そんなに嫌なら音量オフっちゃえばいいんだよ!
526: 枯れた名無しの水平思考@転載は禁止[sage]
2014/08/21(木) 09:50:31.14 ID:W5AJzcqt0 [2/2] AAS
お、おう…
>>523
会話やイベント時も画面では3Dモデルが動く感じになるだろうからその二人もあるんじゃね
召使いにモノクマ5発ぶち当てるミッションとか期待してもいいっすかね?
527: 枯れた名無しの水平思考@転載は禁止[sage]
2014/08/21(木) 09:54:40.28 ID:b XUaXto0 [8/8] AAS
転載禁止
狛枝は誰の召使いなんだよ、腐川?ジェノ?
528: 枯れた名無しの水平思考@転載は禁止[sage]
2014/08/21(木) 09:56:32.74 ID:JfLx15nK0 [2/2] AAS
未来機関以外じゃないか
続きの最新を読む
996 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/21(木) 09:59:24.64 ID:3alGzjRB0(28/32)
01 有馬孝太郎 01 五木綾音
02 五十嵐 篤 02 江藤 渚
03 小倉高明 03 小山内あやめ
04 加藤龍一郎 04 小野寺 咲
05 古賀雅史 05 北村梨花
06 澤部淳一 06 久住梨華
07 下柳誠吾 07 佐伯希美
08 末次健太 08 真田葉月
09 須田雅人 09 鈴木香奈子
10 妹尾竜太 10 曽根みなみ
11 田添祐平 11 園田ひかり
12 冨澤 学 12 橘 亜美
13 広坂幸治 13 辻 結香
14 槙村日向 14 東堂あかね
15 宮崎亮介 15 羽山早紀
16 八木秀哉 16 細谷理香子
17 弓塚太一 17 薮内秋奈
997 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/21(木) 10:04:29.48 ID:3alGzjRB0(29/32)
天海千恵、秋山みなね、天海千理、桐生京我、園咲くろえ、伊集院綾斗、絹畑シュウ、汐音妃乃、柚木優芽、
998 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/21(木) 10:05:11.05 ID:3alGzjRB0(30/32)
五十嵐篤(男子2番)は、暗闇に紛れている下柳誠吾(男子7番)に向かって、いつも変わりない調子で話を続ける。
「そういう誠吾こそ、一人なのか?」
「まあな」
「へぇ、末次のことは待たなかったんだな」
予想はしていたことだけれども、誠吾は間一人挟んでの出発であった末次健太(男子8番)のことは待たなかったようだ。その健太は、先ほどの放送で既に名前が呼ばれている。
「末次。さっきの放送で名前が呼ばれていたじゃないか」
「そうだな」
「それだけかよ。けっこう仲良かったんじゃないのか?」
「出席番号が近かっただけだ。元々そこまでのつきあいじゃない」
誠吾がそう答えるのは想定内ではあった。けれど、もう少し悔しいだとか、悲しいとか、そんな感情の片鱗くらい見せたらどうかとも思う。そもそも、それらの感情が著しく欠落している自分にいえたことではないが。
「ただ、おそらく末次はやる気の人間に殺されただろうな」
「何でそう思う?」
「あいつは乗りそうにないし、下手な事故で殺されるほどヘマをすることもないからだ。ネックは運動神経のなさだが」
誠吾の言葉に、篤は至極納得していた。健太のことを、篤はよく知らない。けれど、教室での振る舞いから、乗るような人間ではないだろうとは推測はしていたからだ。だが、あれが一種の演技である可能性もあったので、一抹の疑念は残したままだったけれど。
「それより篤。聞きたいことがある」
「あん? 何だよ」
「お前の支給武器……何だった?」
先ほどとは打って変わって、少し静かな口調でそう問いかける。そこに、最初話しかけてきたときに感じた凄みを含ませていた。
「それ聞いてどうするんだよ? 俺に敵意がないことは分かり切っているだろ?」
「それとは関係ない話だ」
突き放すかのような言葉。それ以上は追求させないつもりなのか。追求されると、何か困ることでもあるのだろうか。
「……別に教えてもいいけど。お前が教えてくれるなら」
「俺の武器は、銃だ」
牽制するつもりで口にしたけれど、思いの外誠吾はあっさりと答えていた。
999 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/21(木) 10:06:14.64 ID:3alGzjRB0(31/32)
波崎蓮(16番)は、2階の男子トイレで端末の説明画面をじっくりと読んでいた。間もなく、時刻は0時を指そうとしている。4月16日が、すぐそこまでやってきている。
上を向いて、はーっ、と大きく息を吐いた。隣の個室で死んだ高石遼(12番)による、血生臭い香りが、自分を不快な思いにさせる。
爆弾、か。
12時間経たないと使うことのできない端末だなんて、いったいどんな武器なんだろうとは思っていた。高石遼に支給されたロシアンルーレットだって、考え方によっては相当エグい武器だと思っていたが、これは予想を超えるエグさだった。学校の任意の場所を好き勝手に爆破できる? なんだよそれ、チートじゃないか。
だからこそ、24時間のタイムリミットがあるのだろう。この武器を使えるようになるまで生き延びてみせろ。そして、この武器を使って優勝してみせろ。できないのなら、[ピーーー]。なるほど、わかりやすい。
具体的に爆破できるのは3ヶ所。20のエリアとなっているから、単純に考えて1つの階につき5エリアとかなんだろう。まぁ、ちょっとズルいかもしれないけれど、素直に解体用の爆弾という性質を考えたら、1階を爆破して倒壊させてしまったら、そのまま2階から上も崩れ落ちてしまうだろう。そうなると、もうわけがわからない。校舎棟まるまる、もしくは体育館棟まるまる生き残って潜んでいる生徒をぺちゃんこにしてゲームセットだ。
それを考えたうえでの、爆破は3ヶ所までという制約は、なかなかに絶妙なのかもしれない。そうだ、だったら確実なのは、体育館棟の1階を爆破することだ。ここを潰せば、確実に上の階を支えきれなくなった体育館棟はまるまる崩壊する。問題はそこに残り少ない生き残りのうち何人が潜んでいるか、だが。
……考えたって、なにも始まらないか。
今は、このボーナス的な武器を、ちょっと一発かますだけでいい。時間はまだ12時間残っている。優勝するために、少しずつこれまで通り頑張れば、それでいい。
1000 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/21(木) 10:06:51.08 ID:3alGzjRB0(32/32)
誰かがやってくる気配は、ない。
今、この学校には何人の生徒が生き残っているのだろう。引きこもりだった自分には、友達と呼べる存在は、このクラスにはいない。ここで一緒に殺し合いをするクラスメイトは、全員が陽太郎にとって敵だった。
陽太郎は、この殺し合いに参加する気など、始めからなかった。ただ、2年生まで一緒に席を並べていた、自分とは無関係な生徒たちが、ただ加納という男に言われるがままに戦いはじめ、そして一人、また一人と姿を消していき、気が付いたら半分以下にまで減っていた。
それで、いい。一人で、いい。一人でいるのは、慣れている。さびしくなんか、ない。他人に干渉されるのは、嫌なんだ。あれこれ思われるのは、まっぴらごめんだ。他人なんて、なにを考えているのかわからない。わかりっこない、エスパーでもなんでもないんだから。
校舎のあちこちを歩き回り、大貝玲子(5番)や和光美月(24番)、そして神崎聖美(7番)のような生徒と遭遇しては、戦闘を回避して、のらりくらりと生き延びてきた。そして、神崎から聞いた小鳥のさえずりの話を頼りに、校舎棟の3階へと行こうとして、いきなり目的地から銃撃音が聞こえてきた。さすがにまともな武器もない状態で、そんな戦火の渦に飛び込んでいくような愚か者ではない。落ち着くまで待機し、頃合いを見て戦場見学へと勤しむと、案の定、死体がいくつも転がっていた。誰の死体かはわからなかったし、顔を見ても誰だか思い出すことはできなかった。だが、そこに転がっている防犯サイレンは、この戦闘の火付け役になったんだろうなと、そう感じた。
……酷い有様だ。この戦闘の黒幕は、間違いなく防犯サイレンが鳴ったまま放置した、最初の殺人鬼だ。性格が悪い奴は何人も思い浮かぶが、こういう悪知恵が働く奴というと、生き残っている中ではそうそういない。知ってる。どうせ、あいつなんだろ。
おまえってさ、なにが楽しくて生きてんの?
お前だよ、お前。楽しくなかったら、生きている意味なんてないとか思っている、そこのお前だよ。そういう考え、やめろよ。楽しく生きたいとか生きたくないとか、そういう問題以前の話なんだよ。なにが楽しいのか、それすらわからないんだよ。ただ、のんべんだらりと毎日を怠惰に過ごして、でもどうすればいいのかわからなくて、そして誰も手を差し伸べてくれないだけなんだよ。お前とは違うんだよ。お前の価値観、勝手に他人に押し付けんじゃねーよ。なんとでもいえ。自分は、そういう面倒くさい人間なんだ。
あいつは、まだ生き残っているんだろうか。……いや、生き残っているに違いない。あいつは、絶対に簡単には死なない。理不尽な方法で殺されない限りは、どんな手を使ってでも生き延びるだろう。でも、違う。自分には、武器がある。
1001 1001 Over 1000 Thread
/\
/:::::/
,. - 、 /:::::/ . 、
〃´⌒>':::::::/ ,. <::::::::〉
{{. /:::::/ヾ>:'´::::::;>'"´
く^>':::x=fム<´::::::>'"
/:::::厶イ:::::::,.>'´}}
く::;.:ィ´::::::::x<乂_/ノ SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)
ヽ:>'"´ヽ.> ` ¬'´ vip2ch板:news4ssnip
1002 最近建ったスレッドのご案内★ Powered By VIP Service
飛鳥「フフフ……メタルジェノサイダー…!」 @ 2014/08/21(木) 09:45:51.16 ID:MmUahvQ/0
vip2chスレ:news4ssnip
不良女「おい、顔はやめな。可哀想だろ」 @ 2014/08/21(木) 09:38:46.04 ID:ct6ex9Nh0
vip2chスレ:news4ssnip
チノ「」ココア「チノちゃんが息してないよぉ!」 @ 2014/08/21(木) 08:19:29.15 ID:CJhzNx0z0
vip2chスレ:news4ssnip
穂乃果「うわあああ真姫ちゃんがアルパカになったぁああああ!!」 @ 2014/08/21(木) 08:00:21.52 ID:AU+Kld1mo
vip2chスレ:news4ssnip
真姫「出来たわ!海未を>>3にするスイッチよ!」 @ 2014/08/21(木) 07:26:13.10 ID:FcxTix+Zo
vip2chスレ:news4ssnip
好きなAV女優書いてけ @ 2014/08/21(木) 06:21:07.00 ID:y5rrQCkl0
vip2chスレ:part4vip
「いってきまーす」猫「にゃあ」 @ 2014/08/21(木) 05:56:51.79 ID:1mqAMLWY0
vip2chスレ:news4ssnip
叢雲「落ち着きが無いわね。大丈夫?」グラハム「私は我慢弱い」 @ 2014/08/21(木) 05:35:25.91 ID:DImNb6JAO
vip2chスレ:news4ssnip
VIPサービスの新スレ報告ボットはじめました http://twitter.com/ex14bot/
管理人もやってます http://twitter.com/aramaki_vip2ch/
Powered By VIPService http://vip2ch.com/
上下前次1-新書関写板覧索設栞歴
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ AAサムネイル
ぬこの手 ぬこTOP 0.339s*