[過去ログ] 日向「強くてニューゲーム2」 (472レス)
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1 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/04/15(火) 01:31:59.95 ID:lXuWbvwp0(1/2)
これは日向「強くてニューゲーム」の続きです


前回は最後の方で荒らしが湧いたりしましたが気にせず書き続けていきます

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1397493119

373 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/07/08(火) 03:35:41.96 ID:3KvFjIZLO携(3/4)
左右田「あー……モノクマには毎度ボコられてたけどよ、お前が本気でモノクマを止めて俺たちを守ろうとしてたのは伝わったからよ……そう暗くなんなよ」

モノミ「左右田さん……あちし、最後までみなさんの力になりまちゅよ!」

日向「よし……みんな。この卒業試験が最後だ。頑張ろう!」

他のみんな『おう!』

日向「よし!」ガチャッ

日向「え?」



〔裁判所〕

日向「ここは……?」

モノクマ「コングラチュレイション!ようこそ、卒業試験場へ」

十神「前に学級裁判をした場所によく似ているな」





374 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/07/08(火) 03:36:24.02 ID:3KvFjIZLO携(4/4)
今日はここまでです
375 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/08(火) 05:26:44.36 ID:dmsQNky5O携(1)
乙。てか小泉狛枝マジで死んだのか...あっさり過ぎる。
376 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 21:01:40.61 ID:q2ttvena0(1)

377 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/07/15(火) 03:37:23.15 ID:bcQtuKOXO携(1/4)
左右田「つーかここでなにするんだ?」

モノクマ「ボクはね、オマエラにがっかりしてるんだよ」

九頭龍「あぁ?いきなりなんなんだよ」

モノクマ「だから本当にすべてのことを理解してるのかを試験します!」

澪田「試験なんて聞いてないっすよ!?」

モノクマ「とりあえずそこのパネルに『卒業』と『留年』の2つのボタンがあるよね」

モノミ「あ、ホントでちゅ」

モノクマ「オマエは邪魔だからこっちこいや!」ガシッ

モノミ「いやぁぁぁ!!」ズルズル

モノクマ「オホン、少し中断しましたが説明の続きです。すべてを理解したオマエラがここを出て外の世界に行くか、ここに残って死ぬまでみんな仲良く過ごすかを選んでもらいます」

終里「ここまで来て誰がこんな所に残るか!」

罪木「わ、私は創さんに付いていきます」

モノクマ「うぷぷ、まぁそのときになったら決めてよ」

日向(モノクマはなにを企んでいる?)

モノクマ「それじゃあ学級裁判の始まり始まりー」




378 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/07/15(火) 03:46:29.21 ID:bcQtuKOXO携(2/4)
〔学級裁判開延〕

モノクマ「まず最初に裏切り者についてはっきりしておきたいよねー」

モノクマ「狛枝クンが炙り出そうとした裏切り者、気になるよね?」

ソニア「裏切り者なんていないはずです!」

モノクマ「いいや、裏切り者はいるんだよ。未来機関からのスパイがね。そうだよね、日向クン」

左右田「なんで日向の名前が出てくんだよ」

モノクマ「日向クンは知ってるはずだよ?裏切り者の名前を」

日向「……裏切り者じゃない。俺たちの仲間だ」

モノクマ「それは暗に裏切り者がいるって認めてるようなものだよ?」

日向「違う!」

モノクマ「それに日向クンはそう思ってても裏切り者はそう思ってるのかな?」

日向「なんだと?」

モノクマ「だって彼女、七海 千秋さんは人じゃないんだもん」

日向「……え?」

九頭龍「人じゃないだと!?」

罪木「そ、そうなんですかぁ!?」

七海「…………」

左右田「どうなんだよ、七海!」



379 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/07/15(火) 03:56:15.55 ID:bcQtuKOXO携(3/4)
七海「…………」

日向「違うって言ってくれよ。なぁ……七海」

七海「ごめんね、みんな」

日向「……七海」

七海「そうだよ。モノクマの言うとおり私は裏切り者で、みんなと違って人じゃないんだ」

花村「でも七海さんにはちゃんと触れたよ!?」

モノクマ「ここはゲームなんだよ?ゲームだったらそれくらいできるようになってるよ」

弐大「だが感情も……」

モノクマ「AIだからね、感情くらいお手のものなんじゃないかな」

日向「本当……なのか?」

七海「うん……私はみんなを見届ける監視者だったんだ」

日向「なんで言ってくれなかったんだよ」

七海「自分では言えないようにプログラムされてたから」

モノクマ「だからもしみんなが卒業しても七海さんは卒業できずに置いてきぼりなんだよね」

日向「だったら」

モノクマ「もうその話ばっかり飽きちゃったから終わり。あんまり時間も使ってられないんだから」

日向「なっ!?」

西園寺「そんなのムチャクチャだよー!」

モノクマ「じゃあ次いってみよー」




380 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/07/15(火) 03:57:52.21 ID:bcQtuKOXO携(4/4)
今日はここまでです



381 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/15(火) 07:45:30.94 ID:AsKfk2v10(1)
乙ね。
382 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/16(水) 20:35:07.41 ID:kVxdYu/P0(1)
完走頑張ってください
383 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [age] 2014/07/20(日) 21:50:23.26 ID:z9QAPV6s0(1)
まだ?
384 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/07/23(水) 01:44:06.74 ID:vJCH9HTPO携(1/4)
モノクマ「次は超高校級の絶望についてだよ」

モノクマ「超高校の絶望については知ってるよね?」

左右田「あぁ。信じたくねーけど俺たちのことなんだろ?」

モノクマ「その回答じゃ50点だよ。このままじゃ赤点で補習です!」

九頭龍「普通40点以下が赤点なんじゃねぇのか?」

モノクマ「ウチは満点以外全て赤点なんです!」

左右田「厳しすぎるだろ!」

罪木「もしかして江ノ島 盾子さん……ですか?」

モノクマ「正解!」

モノクマ「そう!元々超高校級の絶望は江ノ島 盾子、ただ一人のことだったんだよね」

辺古山「『そこにいるだけで絶望を振り撒く』のだったな」

九頭龍「だが奴は死んだはずだ!」

モノクマ「たしかに江ノ島 盾子は死んだよ。でもね、彼女を心酔してた他の絶望たちはね」

モノクマ「ずっと絶望を振り撒き続けたんだ」

ソニア「でも江ノ島さんは死んだはずじゃ」

モノクマ「死んでも絶望の因子は残るんだよね」

花村「そんな……」




385 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/07/23(水) 01:54:55.45 ID:vJCH9HTPO携(2/4)
モノクマ「それに彼らは凄いよ。飢えによる絶望を得ようと絶食し続けて骨と皮だけになったやつもいたよ」

モノクマ「コロシアイの実験の為に江ノ島さんに家族を差し出したヤツや」

モノクマ「死んだ江ノ島さんの後追い自殺を強要して一般市民を大量に虐殺したり」

モノクマ「江ノ島さんの目を自分に移植した人もいたっけ」

モノクマ「他にもねぇ、江ノ島さんの子孫を残そうと死んだ彼女の体から……」

日向「もう、やめろぉぉぉぉぉぉ!」

花村「うぷ……」

モノクマ「絶望した?これがオマエラなんだよ」

左右田「もうやめてくれよぉ……」

モノクマ「オマエラはずっと絶望なんだよ。これまでも、これからもずっとね」

「それは違うよ」

モノクマ「やっと来たみたいだね」

「モノクマ、お前の思い通りになんかさせない」

日向「誰だ?」

「ボクの名前は苗木 誠」

苗木「希望ヶ峰学園の生き残りだよ」



386 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/07/23(水) 02:08:56.42 ID:vJCH9HTPO携(3/4)
〔?〕

「おい、まだできないのか」

「少しくらい待てないの?……あら……これは」

「どうした?」

「この反応は……」

「なぜこいつらがいるんだ!」

「これなら私たちの出番はなさそうね」

「苗木一人に任せられるか!」

「それは彼を信用してないから?……苗木君を信じると言ったあれは嘘だったのかしら」

「……フンッ!……まぁいい、今回だけは苗木に花を持たせてやろう。こいつらがなにかできるとは思えんしな」



〔学級裁判〕

終里「苗木?……苗木……どっかで聞いたことあるんだよなぁ」

十神「未来機関の苗木 誠だ。さっきのメールにもちゃんと書いてあっただろう」



387 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/07/23(水) 02:10:43.52 ID:vJCH9HTPO携(4/4)
今回はここまでです



更新遅くなってごめんなさいorz
最近ずっと忙しくてあまり書けてないです

388 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/23(水) 02:15:48.66 ID:xmzJYWa9o(1/2)

苗偽じゃないのか…?
389 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/23(水) 11:07:05.10 ID:KZK7Ojfzo(1)
まさか、小泉狛枝の復活フラグきたか…!?
390 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/23(水) 18:57:09.50 ID:W6XVw6t60(1)
あれ?田中は?
391 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/23(水) 22:12:25.61 ID:xmzJYWa9o(2/2)
自殺したじゃん
392 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/07/25(金) 00:27:24.85 ID:dTtOsC+/O携(1)
30日まで合宿があり、更新は難しいですorz

申し訳ありません

それが終わればやっと休みなので頑張ります
393 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/31(木) 00:40:10.63 ID:xGh/PfWT0(1)

394 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/08/01(金) 23:39:54.03 ID:A48FMMIk0(1/2)
来週からまた更新していきます



395 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/08/01(金) 23:40:50.94 ID:A48FMMIk0(2/2)
来週からまた更新していきます
396 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/02(土) 14:57:59.53 ID:YAm8ubrpO携(1)
了解、待ってるぜ
397 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/02(土) 22:00:36.20 ID:TU3PB1gfo(1)
超期待して待ってます。
398 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/08/07(木) 04:38:35.74 ID:ry1IVTJD0(1/4)
苗木「遅くなってごめん。新世界プログラムに侵入したウィルスのせいで今になっちゃった」

左右田「その未来機関の苗木がなんでここにいるんだよ」

苗木「キミたちを助けに来たんだ」

苗木「それに……おい、江ノ島!いるんだろ!」

西園寺「いきなり出てきて何言い出すの、この女男は?」

モノクマ「呼ばれちゃったら仕方ないなぁ……」

澪田「なにが仕方ないんすか!?」

モノクマ「ボクは思うんだ。やっぱりラスボスは変身できなくちゃね」

モノクマ「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」ゴゴゴ

日向「……ッ!?」

左右田「どうした、日向?」

日向「何か……もの凄く嫌な感じが……!ダメだ!モノクマを変身させるな!」

モノクマ「もう遅いよ。この“巨大な絶望”をしっかりとその目に焼き付けるがいい!」

モノクマ「ああああぁぁぁぁぁ!」ガシャン

「………………………」

日向「な、なんだよ……これ」


399 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/08/07(木) 04:51:16.15 ID:ry1IVTJD0(2/4)
罪木「いやぁ…………!」

九頭龍「流石にこれはなしだろ……!」

澪田「あばばばば……」ブクブク

弐大「う、うおぉぉぉ!?」

「ふーん、LLサイズの女子高生を目の前にすると、人ってこんなリアクションするんだ」

終里「でかすぎだろ!」

「ふむふむ、バストは推定15メートルってトコかしら。絶望的に巨乳ねぇ……。ね、挟んであげよっか?」

花村「是非お願いします!」ガタッ

左右田「バカ!潰されちまうっての!」

花村「離してよ!男ならやらなきゃいけない時があるんだよ!」

左右田「それが今じゃないのは確かだけどな!」

十神「これは……規格外だぞ……」

九頭龍「オレらはこんなの相手にしねーといけねーのかよ」

「こんなの呼ばわりだなんてショックでーす!酷いですよセンパーイ!」

西園寺「もっとキャラ決めてから出直してきたら?」

「絶望的に飽きっぽいんだから仕方ないじゃん」

日向「お前が江ノ島 盾子か?」

江ノ島「ピンポンピンポーン!そうそう、大せいかーい!」



400 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/08/07(木) 05:12:08.29 ID:ry1IVTJD0(3/4)
十神「江ノ島だと!?江ノ島はもうすでに死んだはずだぞ!」

江ノ島「まぁ確かに死んじゃったんだけどさ……イっちゃったんだけどさ」

ソニア「なんで言い直したんですか?」

左右田「そこは気にしなくていいと思いますよ」

花村「もう一回言ってください!」

左右田「お前はもう黙ってろよ!」

江ノ島「それでさ、アンタらは人工知能プログラム“アルターエゴ”って知ってる?」

弐大「さっき会ったあれじゃな」

江ノ島「アタシってさ、こんな性格だからすぐ死にそうじゃん?だから生前に予め作っておいたんだよね。自分の『人工知能プログラム』をさ……」

江ノ島「で、そんなアタシを誰かがこの新世界プログラムへと繋いでくれて……こうして江ノ島アルターエゴがアンタらの前に絶望的に現れたってわけよ!」

日向「それでなんで……」

江ノ島「ん?どうしたの?罪木ちゃんが無事なら仲間さえどうなったっていいと思ってる日向クン?」

日向「違う!!」

江ノ島「アンタらのデータはたんまりあるから何を考えてるのかだって簡単にわかるんだよね」

十神「耳を貸すな!ヤツにペースを持っていかれるだけだ」

日向「……それでなんで今ごろ出てきたんだ?」

江ノ島「あー、そういうつまんないこと?そこの苗木クンに呼ばれたってのもあるけど、最後のクライマックスくらいは出てあげようと思ったわけよ!」

江ノ島「それにラスボスなんだから変身の一つや二つくらいしとかなきゃね」



401 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/08/07(木) 05:13:13.60 ID:ry1IVTJD0(4/4)
今日はここまでです



更新遅くなって申し訳ないです
402 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/08(金) 15:28:28.46 ID:jVbLz57T0(1)
キターーーーーーーーーーー!
乙です。
403 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/08/12(火) 05:02:51.53 ID:CyM0YEqW0(1/4)
苗木「…………」

江ノ島「それに新しく改ざんしたことの報告もありまーす!」

九頭龍「改ざん?」

江ノ島「“卒業プログラム”の改ざんだよ。せっかくの『卒業』なのにご褒美成分が足りてないなーって思ってね」

江ノ島「本来『卒業』を選択したらここでの記憶が本体に上書きされ、死んだやつは死んだままだったよね」

江ノ島「だーけーどー、今回は記憶を本体に上書きされ、なおかつ『死んだみんなも生き返る』事にしました!」

九頭龍「い、生き返る……だと?」

江ノ島「そ!どう?アタシの提案する新しい“卒業プログラム”は?」

江ノ島「死んだ人も生き返ってみんなで外に出られる!みんな幸せハッピー!」

ソニア「田中さんたちが……生き返るって本当のことなんですか!?」

江ノ島「ホントホント。江ノ島ウソつかない」

苗木「それは違うよ!」

ソニア「なにが違うんですか!邪魔しないでください!」



404 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/08/12(火) 05:12:45.10 ID:CyM0YEqW0(2/4)
苗木「違うんだ。死んだみんなが生き返るなんてウソだ!」

江ノ島「ウソじゃないもーん!」

終里「どっちだよ!」

苗木「江ノ島の目的は“希望更正プログラム”を“絶望再生プログラム”に変えることなんだ」

花村「絶望再生プログラム?」

苗木「この世界のアバターが得た記憶や意識を最後に“卒業プログラム”で本体に上書きするんだ」

苗木「だけどアバターが消滅してしまうなんてことは考えてなかったんだ。江ノ島はそこに目をつけた」

苗木「消滅してしまったみんなのアバターの代わりに、自分のアルターエゴをその肉体に上書きしようとしているんだ!」

日向「な……ッ!」

苗木「一度消滅してしまったものは元には戻らない……現実であってもこの世界であっても。それが復活するなんてことは有り得ないんだ」

江ノ島「でも、騙してた訳じゃないよ?だってー、アンタら全員のデータはアタシの中に蓄積されてるからどの人格でも演じられるはずたよ」



405 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/08/12(火) 05:36:06.26 ID:CyM0YEqW0(3/4)
江ノ島「正直ここまでたくさん生き残ってるのは計算外だったけど」

ソニア「では田中さんや……狛枝さんたちは……」

江ノ島「あー、生き返んないよ?ゲームじゃないんだし、死んだ人間が生き返るわけないじゃん」

澪田「そんな……」

日向「“卒業プログラム”でみんなを乗っ取る為に、俺達に『卒業』を選ばせようとしてたのか!」

罪木「どうしてあなたは……そんなにひどいことができるんですか!」

苗木「それが江ノ島盾子なんだ……キミたちとは違う、真の超高校級の絶望なんだよ。そいつはどんな未来も望んでない……。関わったすべての人を絶望させてしまうんだ!」

江ノ島「さすがは苗木クン、アタシのことをよーく理解してくれてるんだね」

江ノ島「そう、アタシにとっての“絶望”ってのは、目的でも主義でも生き様でも本能でもなくて……」

江ノ島「アタシが江ノ島盾子である為の“定義付け”なの!だから、アタシはこうして、絶望だけ、を純粋に追求できるの!」

日向「それが……それだけがお前の目的だって言うのか?」

江ノ島「アタシを狂気的に愛してる予備学科のゴミクズ集団が、殺虫剤を浴びた虫ケラみたいにバタバタ死んでいく姿……」

江ノ島「思い出すだけで脳ミソが溶けちゃいそうなくらい」

江ノ島「最っ高だったわ」



406 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/08/12(火) 05:37:00.49 ID:CyM0YEqW0(4/4)
今日はここまでです




407 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/12(火) 08:44:19.19 ID:08ErxELgo(1)

おお、来てる来てる!!

しかしこの辺、本編と同じだな。

そろそろオリジナル展開来ないかな〜…。


408 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/12(火) 08:48:15.98 ID:neiFdcGY0(1)
オリジナル展開を創るほど難しいことはない
ソースは同じようなダンロンSS書いてる俺
409 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/12(火) 11:49:51.13 ID:FjfwstzDO携(1)
話の大体の流れが決まってても、
細かいセリフ回しや新展開への導入をどうするかでいちいち筆止まるもんなぁ。

乙ー
410 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/12(火) 23:46:40.78 ID:Z3ulLZ4Go(1)
>>407
>>1以外が無駄に空白使って行数多くするのはマナー違反

セリフや展開はほぼ一緒だけど脱落者が三人しかいないってのがどう影響するか
411 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/15(金) 18:16:41.91 ID:OzvuB7PR0(1)

412 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [age] 2014/08/16(土) 17:17:09.85 ID:QLeSvmvSO携(1)

413 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/08/17(日) 02:19:10.70 ID:qIy9xnyV0(1/6)
九頭龍「く、狂ってやがる……」

江ノ島「そんなに驚かなくていいじゃーん。両親と恋人と親友がいっぺんに死んだみたいな顔でさ」

江ノ島「あ、失言しちゃいました……。みなさんにそんな人間関係が残ってる訳ないですよね……」

江ノ島「自分の絶望なんてとっくに味わい尽くしてますよね……」

花村「な、なにを言ってるのか全然わかんないなぁ」

苗木「江ノ島は関わった人間すべての未来を奪ってしまう……だから絶対にここから出しちゃダメなんだ!」

江ノ島「苗木クンがアタシを出したくないのは分かってるんだけどさぁ」

江ノ島「日向クンたちはそれでいいの?」

日向「なんで俺たちにそんなこと聞くんだよ」

江ノ島「だってー、みんなも外の世界に出られないんだよ?」

日向「なにが……あ」

左右田「なにがどうだっていうんだよ?」

七海「日向クンたちがここを出る為に『卒業』を選んだら“卒業プログラム”が起動しちゃうの」

十神「そうなれば江ノ島のアルターエゴは死んだ奴らの体に埋めこまれるということだな」

終里「じゃあどうすんだよ!」

辺古山「いや、まだ手はある」

ソニア「そうなのですか!?」



414 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/08/17(日) 02:30:46.35 ID:qIy9xnyV0(2/6)
七海「うん。一つだけあるよ」

苗木「みんなだけここから出られて、江ノ島だけを出さずに済む唯一の方法がね」

江ノ島「いやいや、そんなに都合のいい方法が……」

江ノ島「えっ?マジであるの?そんなの初耳なんだけどっ!?」

日向「それって強制シャットダウンのことか?」

苗木「そう。ボクが“新世界プログラム”に仕掛けておいた、裏技みたいなものだよ」

江ノ島「ま、人数も足りてるみたいだし発動はできるみたいだね」

苗木「お前……強制シャットダウンを知ってるのか?」

江ノ島「まぁちょちょいとやってるときにね。それよりも発動はできるけどみんなに強制シャットダウンをする気があるのかっていうのが問題だよね」

左右田「やるに決まってんだろ!その為にここまで頑張ってきたんだからな!」

罪木「そうですよぅ」

江ノ島「必死だねぇ、でも一つだけ聞いて欲しいのよね」

江ノ島「強制シャットダウンを発動させればアタシも、この世界も、全てのデータが終わるの」




415 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/08/17(日) 02:44:53.35 ID:qIy9xnyV0(3/6)
澪田「えーと、つまりどういうことっすか?」

江ノ島「強制シャットダウンはプログラム上にあるすべてが消去されるわけですから」

江ノ島「私はもちろん、あなた達のアバターもすべて消去されるわけです」

九頭龍「オレらも消えるって事か!」

苗木「消える訳じゃないんだ……ただ……アバターの記憶は上書きされないんだよ」

左右田「それって消えるってことだろ!」

西園寺「それに記憶も消えるんだよね……」

江ノ島「正しくは新世界プログラムに入る前、超高校級の絶望に戻るって事です」

ソニア「そ、そんなっ!?」

罪木「なんとかならないんですかぁ!?」

苗木「江ノ島を止めるにはこれしか……」

花村「それに……七海さんの存在も消えるってことだよね?」

日向「あ……」

七海「………………」

辺古山「七海も消えるのか?」

苗木「……うん」



416 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/08/17(日) 03:02:40.77 ID:qIy9xnyV0(4/6)
日向「そんな……」

江ノ島「でもさ、それでいいんじゃない?誰もここでの記憶はなくなるわけだし」

江ノ島「誰かから愛されたって記憶も、理解されたって記憶も、絆を深めたって記憶も、友達との記憶も、その人が大切だって気づいた記憶も、その七海さんの記憶さえも」

江ノ島「ぜーんぶなかったことになっちゃうんだからさ」

江ノ島「それに部位欠損してた場合はそこもなくなったまんまだから」

弐大「ならここでしか存在できない七海は……」

江ノ島「消えてなくなるの。ジ・エンドってね」

日向「なんで……他には……」

九頭龍「クソッ!クソがぁぁぁぁ!!」

罪木「あー、いいこと思いついちゃいましたぁ」

終里「……言ってみろよ」

罪木「みなさんで『留年』しちゃえばいいんですよぉ」

罪木「そうすれば創さんやみなさんの記憶もなくならないで済みますし、七海さんとも一緒にいられます!」

終里「……なるほどな」

西園寺「ゲロブタのくせにいいこと言うじゃん」

花村「そ、そうだよ!今はとりあえず留年してさ……」

ソニア「そうです……もしかすれば田中さんにも会えるかもしれませんし……」



417 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/08/17(日) 03:28:16.70 ID:qIy9xnyV0(5/6)
江ノ島「じゃあとりあえずおさらいしとこっかー」

江ノ島「えー、強制シャットダウンをすると、みんなは超高校級の絶望に逆戻り。そして死んだ仲間が生き返ることもありませんが」

江ノ島「アタシという絶望的な存在は消滅させられるので、外の世界の希望は保たれまーす!」

江ノ島「さぁ、どうなるの?『未来機関の希望』が勝つのかな?『アタシの絶望』が勝つのかな?」

苗木「待ってみんな!」

江ノ島「あ、今卒業を押すなら七海さんの外部アルターエゴも作ってあげられるよ。外見も七海さんそっくりにね」

七海「それだけはダメだよ!」

西園寺「もういいじゃん。アンタも生きられるんだし」

苗木「惑わされちゃダメなんだ!それ江ノ島の手なんだよ!」

江ノ島「これだけサービスしてあげてるのにダメなんですかせんぱーい」

苗木「どっちが本当の希望なのかよく考えてくれ!」

江ノ島「どっちが本当の絶望なのかもね!」

日向「…………………………」

十神「……どうする?」

九頭龍「どうするって……言われてもよぉ……」

花村「ぼくらが選ばなくちゃいけないの?」

日向「なんで……俺たちが」



418 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/08/17(日) 03:43:48.09 ID:qIy9xnyV0(6/6)
今日はここまでです

たぶん月曜日かその次くらいには終わらせれるように頑張ります



























419 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/17(日) 08:38:46.73 ID:5LcMmc01o(1)
乙です。(なんでこんなにスペ―スが空いてんだろう。)
420 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/17(日) 12:57:25.40 ID:e2T/JEDpO携(1)
乙乙、ついにラスト一本勝負だな
そして改めて思ったが、盾子ちゃんって凄まじく恐ろしい
421 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/08/19(火) 22:03:01.88 ID:30ku65gI0(1/7)
七海「日向クン……」

日向「………………ダメだ」

苗木「え?ダメって……なにが?」

日向「俺には……選べない。世界が滅ぶか自分を犠牲にするかなんて……いきなり言われても……」

日向「俺にはどっちも選べない」

苗木「……日向クン!」

日向「うるさい!放っておいてくれっ!」

罪木「私も創さんを犠牲にする選択なんて選べません……」

九頭龍「俺もペコがいなくなるのはムリだ……」

左右田「こんなの……どっちも絶望じゃねーか……」

ソニア「わ、わたくし達は……どこまで犠牲を払えばいいのですか?」

七海「みんな、しっかりして!」

花村「無理だよ……」

十神「……クソッ……」

西園寺「もうこのままでいようよ……」

澪田「……そうっすよ……それが一番楽なんすから」



422 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/08/19(火) 22:16:34.53 ID:30ku65gI0(2/7)
弐大「ワシらには荷が重すぎるんじゃ……」

辺古山「私たちなんかには未来なんて選べないんだ……」

苗木「だけどキミたちしか……」

日向「希望だの絶望だの勝手にしてくれ!俺たちには関係ない!」

苗木「そんな……」


江ノ島「そして答えは出ない……それがアンタらの選ぶ答えなのね」

江ノ島「あーあ、またアタシの予想通りになっちゃった。こうやって何もかも予想通りってのもさ、絶望的に退屈なんだよね」

江ノ島「ま、アンタらのデータを持ってる以上、そうなるのは当然なんだけどさ」

苗木「……くッ!」

江ノ島「それこそ、絶望的に予想不可能なことでも起きない限りはね……」

江ノ島「ま、無理して選択肢を選ぶ必要なんてないんじゃない?希望を求めなければ、絶望に襲われることもないんだし」

江ノ島「だからさ、ここでみんな仲良く立ち止まってようよ!ずっとこの南国生活にどっぷり浸ってようよ…」

江ノ島「ずっとずっと……ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとね」

江ノ島「これが最高の選択肢なんだからさ」

「それは違うよ」

日向「……え?」

苗木「キミは……」

江ノ島「はぁ……?なんでアンタが……」


423 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/19(火) 22:19:28.12 ID:JTVf/kjL0(1)
狛枝!
424 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/19(火) 22:23:55.55 ID:JGrmJ3yz0(1)
希望厨!
425 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/08/19(火) 22:39:57.80 ID:30ku65gI0(3/7)
「こんなのは本物の希望なんかじゃないよ」

日向「狛枝……それに小泉も……」

狛枝「やぁ日向クン、久しぶりだね」

日向「久しぶりじゃないだろ!なんでここに……」

狛枝「いやぁ、モノミに助けられちゃってね」

日向「モノミに?」

十神「そういえばモノミの姿がないな」

江ノ島「アンタこれが狙いだったのね」

苗木「モノミが助けられるかどうかは賭けだったけど……成功してよかったよ」

小泉「…………」カキカキ

小泉『日向、今のアンタって最高にカッコ悪いよ』

日向「……うるさいな」

小泉「…………」カキカキ

小泉『日向言ってくれたよね。自己満足でも後で後悔する選択をするなって。日向は今の選択で後悔しない?ずっと立ち止まって後悔しないの?』



426 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/08/19(火) 22:56:49.26 ID:30ku65gI0(4/7)
日向「…………」

小泉「…………」カキカキ

小泉『アンタがそうしたいならそれでもいいけど……』

小泉「ア……タシは……ゲホ……違う」

日向「小泉!?声が……」

狛枝「日向クン……ボクは希望が大好きなんだ。希望のためなら自分の命さえ捨てられる」

狛枝「だから前に進むよ。日向クンたちが……ボク自身が絶望だったとしても」

狛枝「ボクは希望を捨てないよ」

日向「…………」

小泉「この……バカでさえ…前を向いてるのに……ゲホ……アンタは…どうすんのよ」

日向「……でも怖いんだ……未来を俺が決めるのが……そのまま未来に進むのが怖いんだ」

七海「おいっ、いつまでウジウジしてるんだよっ!」

日向「な…なみ」

七海「みんなを助けるんじゃなかったのか?だからみんなを導いてきたんだろ!」

日向「だけど……」

七海「私は信じてるよ。日向くんは胸を張って未来へいけるって」


427 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/08/19(火) 23:15:38.37 ID:30ku65gI0(5/7)
日向「だけど俺には…自信がないんだ」

七海「自信っていうのはね、自分を信じてあげることだよ」

日向「自分を……」

七海「もうキミは自分に胸を張ってもいいと思うよ」

日向「なぁ……俺はどっちを選べばいいんだ?」

狛枝「ボクたちの未来はボクたちだけに権利はあるんだよ」

日向「自分で選べってことか……」

七海「でも、どっちも選べないなら」

七海「創っちゃえばいいんだよ」

日向「創る?」

七海「ゲームなんかじゃないんだから……『選ぶ』だけじゃなくて『創る』ことだってできるはずだよ」

日向「だけど俺なんかにできるのか?」

狛枝「一人では無理でもボクたちがいるでしょ?」

苗木「キミ達は誰かのためにやるんじゃない。自分自身のためにやるんだよ」

日向「自分のために……」

七海「そろそろさ、日向クンのカッコイイところを見せてよ」

江ノ島「アンタたちがなに言っても無駄なんだよ!こいつら雑魚どもにそんなことなんかできっこない!こいつらはなにもできないんだからさぁ!」



428 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/08/19(火) 23:28:10.22 ID:30ku65gI0(6/7)
江ノ島「どちらも希望でどちらも絶望!」

江ノ島「結論なんてでねぇんだよ!」

日向「それは……違うぞ!」

日向「絶望だってたくさんあるだろう……どんな未来になるかなんて、わからないけど」

日向「俺達の未来は俺達のものだ!もう誰にも渡さないぞ!」

江ノ島「…………」

江ノ島「は?アンタ誰?」

日向「俺は決めたぞ…もう逃げない。俺は自分の未来と戦う!」

日向「みんなが創ってくれた未来と戦う!誰かの為じゃない、自分の為にだ!」

江ノ島「ま、まさか…カムクラ?でもカムクラはもう……アタシが……」

日向「俺はカムクライズルじゃない」

日向「日向創だ!」

江ノ島「嘘だ嘘だ嘘だ!アンタたちなんかになにもできっこない!」

日向「それは違うぞ!」

江ノ島「な、なんなのよアンタ……なんでいきなりこんなバグが……」

日向「みんな、強制シャットダウンをしよう」

終里「え?だ、だけど……」



429 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/08/19(火) 23:44:19.55 ID:30ku65gI0(7/7)
十神「わかっているのか?強制シャットダウンをすれば俺達は……」

日向「みんなが繋いでくれた未来には、もっと大きな可能性があるはずなんだ。まずは胸を張って外に出て、そこから俺達で創っていけばいいんだよ」

日向「俺達の思い通りの未来をさ!」

江ノ島「そ、そんなうまくいくわけないだろ!」

日向「奇跡くらい起きたっていいだろ?これはゲームじゃないんだ!未来はいくらでも変えられる!」

七海「日向クン!」

日向「ありがとう七海、もう俺は迷わないよ。胸を張って進んでいける!」

小泉「日向……」

狛枝「さすがはボクが信じた希望だね!」

日向「お前俺達を殺そうとしてただろ……」

江ノ島「強がったってここから出ればすべて忘れるだけじゃん!こいつらだって…」

罪木「私は……創さんを信じます」

江ノ島「……は?」

罪木「創さんが未来を信じて進むのなら、私だって止まってられませんよぉ」

江ノ島「だ、だからさ……それだって忘れちゃうんだって……」

十神「だからどうした?俺達の未来は俺達で決める」


430 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/08/20(水) 02:20:40.88 ID:Q1v8Acw50(1)
遅くなりましたが今日はここまでです


431 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/20(水) 02:22:06.37 ID:bfzE88kbo(1)
おつ
432 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/20(水) 20:52:10.27 ID:yFNYMgYvo(1)

クライマックスのフィナーレってところですかな。
がんばって完走してください!!

433 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/23(土) 06:18:59.37 ID:7vd1UyS70(1/9)
 福岡県立沼川第一中学校、三年一組のバスの中は騒がしかった。これからこのバスで向かう先は、博多駅。目的地は京都・奈良。その目的は、たいして興味のそそられることのない大仏や寺の見学がメイン。それでも気分が高翌揚し、テンションが高くなってしまうのは、やはり中学校行事の花形、“修学旅行”だからだろう。

 その中でも前日から興奮しすぎて眠れなかったのか、何人かは静かに眠りについていた。バスの座席の右側の列、前から三番目の通路側に座っている古山晴海(女子5番)もその一人である。クラスの中でも比較的小柄な部類に入る彼女の頭は、現在小刻みに前へと揺れている。そのたびに、彼女のトレードマークともいえる二つ結びの髪が、規則正しく機械的に動いていた。

 その光景を、座席の左側の列、前から五番目の通路側に座っている萩岡宗信(男子15番)は静かに見つめていた。飽きもせず、じっと見ていることなんてよくできるな、なんて我ながら思うのだが。

 

「おい、見すぎじゃないのか?」

 

 ふいに隣から声をかけられ、反射的に顔をそちらに向ける。声の主は友人の一人、白凪浩介(男子10番)だった。

 

「そうか?」
「そうだよ。そんなに分かりやすいと本人に気付かれるぞ。」

 

 ハーフっぽい整った顔立ちに、よく似合う少しだけ低めの声。成績も運動神経もよく、そして身長はクラスで一番高い。コンプレックスに思うほど身長がクラスで一番低く、顔もまぁ普通―中の中くらいの宗信にとっては“生まれ変わるならこんな風になりたい”。そう思うほど、大変羨ましい存在であった。

 

「ただでさえ、宗信はわかりやすいんだからさ。」

 

 浩介は一言付け加える。その意味はよくわかっていた。

 

 浩介の言っている意味――それは宗信が晴海に対して、“恋”とか“愛”とかそういう類いの”好き”という感情を抱いている。それが、目に見えてバレバレである。そのことだろう。

 

 確かに本人に知られては困るので、晴海の方を見るのはやめることにした。そして座席に座り直す。ふいにあくびが出た。

 

――やっぱ、俺も寝不足か。

 

「めずらしいじゃないか。」

 

 再び浩介が会話を続ける。あまりペラペラしゃべるほうではないので、宗信からすればそれもまた“めずらしい”。もしかしたら、普段クールなこの男も、“修学旅行”というイベントに興奮して眠れなかったのだろうか、なんて想像する。

 

「宗信が座席におとなしく座っているなんて。よっぽど寝れなかったのか?」
「まぁな。」

 

 正直に答える。浩介は大変勘が鋭く、嘘はあまり通じない。それがわかっているので、最近はあまりごまかしたりしないことにしている。

 宗信自身も思う。どちらかというと、座席におとなしく座っているよりも、狭いバスの中をせわしなく歩き回っている方が似合っている。“元気だけど、落ち着きがない”。それが大概の通知表に書かれる担任の感想であった。

 

「浩介こそ、いいのか?}

 そう言うと、視線で宗信自身が先ほどまで見ていた方を示す。

「いいんだよ。俺はお前と違って女々しくないからな。」
「ひでぇな?。まぁ、顔はそう言ってないけど?」

 軽く毒を吐く浩介に、皮肉をこめて返す。これはいつものことなので、宗信も慣れていた。最初の方は、少々カチンときたことがあることは、内緒だけれども。

「彼女、中々鋭いからな。あんまり露骨に態度に出さないようにしてるんだよ。」
「さっさと告っちまえばいいのに。浩介絶対OKもらえるって。」
「俺のこと、絶対何とも思ってないって。玉砕覚悟で告白するのは、卒業式とかそんな時だろ?今はまだ、このままの関係でもいいから続けたいんだよ。」

 それこそ女々しくないか?と思ったが、これは口に出さないことにする。宗信にしたって、人のことは言えないのだ。
434 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/23(土) 06:19:42.48 ID:7vd1UyS70(2/9)
「宗信こそ、告白は?」
「俺みたいな奴、不釣り合いだって。あんなに可愛いのにさ。」
「お似合いだと思うけどなぁ。」

 

 こんな会話をしているのは、他人が聞いたらどう思うのだろうか。浩介が“恋愛”の話をしているなんて。それこそ隕石が地球に衝突するとか、いやいや火星人が侵略してきましたとか、そのくらいのレベルで信じられないだろう。

 白凪浩介という人間のことを、”人間の姿をしたロボット”という輩もいる。浩介は秘かにファンが存在するほど人気があり、所属している剣道部には一時期黄色い声援が飛び交っていたことは、この時浩介と違うクラスであった宗信でも知っていた。ならば、当然告白されたことも数知れない。けれど、浩介はそういうミーハーな女子が大変嫌いなのだ。そんな子が告白してきても、優しくやんわりと断るようなことはしない。はっきり、ズバッと、「興味ないから」とか、「うっとおしい」とか、歯に衣きせぬ言い方で相手を傷つける。それ故に、大体の人間が浩介のことを「性格に難あり」とか「女の子には冷たい」と認識していた。浩介と親しくなり、好きな人を知るまでは、宗信もそう思っていた。

 

「お二人さん。恋愛話は終わった?」

 

 前の座席から、突然話しかけられる。いつのまにか聞かれていたのかと思っていたが、相手を見てほっとする。友人の一人、乙原貞治(男子4番)だったので。

 

「貞治、盗み聞きは趣味悪りぃぞ。」
「別にいいじゃない。俺もう知ってるしさ。大体バスの中でするような話じゃないって。そういうのは、修学旅行の部屋の中で、枕を並べてする話でしょ?」
「武田とかがうるさいだろ。」

 

 浩介が今挙げた人物、武田純也(男子11番)は宗信と同じ野球部に所属しており、クラスのムードメーカーともいうべき存在だ。ムードメーカ故なのかは知らないが、なかなかうるさく、宗信以上に落ち着きがない。そしてよく人をからかう。悪気があるわけじゃないので、腹はたたないが(それでもたまにはカチンとくる)、はっきり言うとあまり弱みを握られたくない人物ではある。宗信が晴海を好きなのは、野球部全員が知っているのであまり問題はないが、浩介の好きな人は宗信と貞治以外は知らない。浩介がそういうのも無理はなかった。

 その純也は、宗信達よりも大分後ろの座席に座っており、そしてやはりというべきか、会話の内容が分かるほど大きな声で話している。多分今の会話は聞こえていないはずだ。

 

「いつかはバレるって。浩介も結構分かりやすいよ。大体、俺の隣にもう一人いるの忘れてるでしょ?」

 

 そう言われて、宗信と浩介はほぼ同時に席を立つ。前の席の窓側に座っている貞治の隣、江田大樹(男子2番)はすやすやと寝ていた。どうやら本気で寝ているらしく、まったく反応がなかった。

 

「んだよ。脅かすなって。」

 

 ため息まじりで浩介がぼやく。大樹は浩介の好きな人も、宗信の好きな人も知らない。はっきりいってかなり焦った。

 

「でも、江田も同じ班だからね。多分この修学旅行でバレると思うけど。純也も一緒だしね。」

 

 このクラスの男子は二十一人いる。そして修学旅行の班構成は三つ。なので、一つの班が七人で構成される。宗信は浩介、貞治、そして話に出た純也と大樹、それから男子クラス委員の鶴崎徹(男子13番)と、浩介ほどではないがこちらも中々顔の整っている野間忠(男子14番)と同じ班だ。ちなみに宗信は浩介、貞治と仲が良く、純也は徹、忠と仲が良い。そして宗信と純也は同じ野球部、貞治と忠は同じ卓球部に所属している。そこでまず六人グループが出来上がった。大樹は特に親しくしてる人間がいないようだが、最近は席が近いからか貞治とよく話している。そこで貞治がこの班に引き入れたのだ。宗信にしても、大樹は悪くない奴だし、たまに話すこともあるので異論はなかった。

 

「聞く限りでは、二人ともこの修学旅行では進展なさそうだね。もったいないなぁ。華の修学旅行ですよ?」
「ほっといてくれよ。」

 

 浩介が心底勘弁してくれといった感じで返す。貞治も慣れているので、クスクス笑って「はいはい。」と言った。

 貞治は優しくて人当たりもよく、他クラスにも友人が多い。特に女の子には大変親切なせいか、クラスの大半に「いい人」だと言われている。貞治のこういう少々皮肉めいた部分を知っている宗信としては「違う違う、こいつそ結構ひねくれてるとこあるって。」と言いたい。まぁ、いい奴なんだけど。
435 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/23(土) 06:20:59.80 ID:7vd1UyS70(3/9)
「萩岡くん。」

 

 ふいに話しかけられて、ドキッとする。なぜなら宗信のすぐ隣の通路には、先ほどまで寝ていたはずの晴海が立っていたのだ。もしや聞かれた?と内心かなり、いやそうとう、心臓が破裂するくらい焦っているのがわかる。

 

「な、なに?」

 

 努めていつも通りに返そうとするが、やはり動揺は隠せていなかった。その証拠に、貞治が含み笑いするのがわかる。

 

「実は、飴持ってきてるんだ。本当はいけないんだけどさ。よかったら食べない?いっぱいあるし。」

 

 そう言って、その小さな手に握られていた飴を一つ差し出す。コンビニとかで市販されている、フルーツの味が何種類か入っているものだとわかった。宗信自身もよく食べている。

 

「あ、ありがとう。」

 

 そう言って受け取る。よく食べているはずなのに、なぜかこの世に一つしかない、貴重な宝石のような感覚がした。少なくとも、すぐに封を開けて、ポイッと口に放り込む気にはなれなかった。

 

「白凪くんや乙原くんもどうぞ。」

 

 宗信と同じように、浩介や貞治にも袋から取り出して一つずつ差し出す。

 

――なんだ、俺のために持ってきたんじゃないのか…

 

 少々拍子抜けしてしまった。勝手に期待したくせに、勝手に軽い失望感を味わってしまう。

 

「晴海、あんまり動くと危ないよ。」

 

 そう声をかけていたのは、彼女の友人の一人である矢島楓(女子17番)であった。大きめの眼鏡に、ショートカットがよく似合う女の子。見た目通りというべきか、成績は大変よく、クラスでも上位に入るほどであった。まぁ浩介にしたって成績は楓と同じくらいいいのだけれども。

 

――あ、浩介…

 

 ふと気になって、浩介の方に顔を向ける。案の定、先ほどとはまったく異なる表情。なんだか呆けたような、驚いたけどどうしていいのかわからない、そんな表情をしていた。これには宗信も思わず笑いそうになる。

 

――貞治の言う通りかもしれないな。

 

「大丈夫だよ。今あんまり揺れてないし。楓こそ、動いていいの?車酔いしちゃうよ。」
「酔い止め飲んだし、そんなに時間かからないでしょ?大したことないよ。」

 

 そんな宗信や浩介の心中を知ってか知らずか、二人はいつも通りの会話を繰り広げる。そのやり取りも、またなんだか別世界のようであった。そばにいるのだけれども、どこか違う世界のような感覚。やすやすとは踏み込めない、手の届かない領域。

 

「あ、邪魔してごめんね。じゃ!」


 そう一言残して晴海は後ろの座席の方へと立ち去っていった。正直なところ、もっと会話がしたかった。はっきり言ってしまうと、「いくらでも邪魔してくれ、いや邪魔じゃないからさ。」と言いたかった。
436 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/23(土) 06:22:01.67 ID:7vd1UyS70(4/9)
 淡々と出発を促す声が響く。そして次々と出ていくクラスメイト。そんな光景を萩岡宗信(男子15番)はじっと見つめていた。本当は先に出て行った古山晴海(女子5番)を追いかけたい気持ちであったが、そこはグッとこらえていた。

 

――くそ、まだ出発できないか…

 

 何度頭の中で計算しても、宗信は最後から三番目。宗信の後には女子不良グループのサブリーダー三浦美菜子(女子15番)と、今だに親友を失ったショックのせいか、微動だにしていない藤村賢二(男子16番)しかいない。したがって、大半のクラスメイトを見送ることになる。一刻も早く晴海の合流したい宗信にとっては、それはとてつもなく長い、永遠の時間のように感じられた。

 

――古山さん、どうか無事でいてくれよ。

 

 晴海だけじゃない。友人の乙原貞治(男子4番)や、同じ修学旅行の班であった江田大樹(男子2番)も安否も気がかりだった。早くみんなの無事を確認したい。内心宗信はあせっていた。

 そんな宗信をよそに、月波明日香(女子9番)も淡々と宣誓をし、比較的落ち着いた様子で出て行った。おそらく少し前にでた谷川絵梨(女子8番)が待っていると思っているのだろう。二人は仲がいいし、出席番号も近い。できればそこに晴海も加わってほしい。そう願っていた。

 そしてふと思った。明日香の次は、宗信の友人である白凪浩介(男子10番)が呼ばれる。二人の間には九人。時間にして約二十分後に宗信は出発する。浩介ほどの冷静さと度胸があれば、宗信を待つことも可能ではあるだろう。しかし、宗信は何となく、それはないような気がしていた。

 

「次、男子10番白凪浩介。」

 

 ついに浩介の名前が呼ばれる。宗信から離れた窓側から二列目、前から三番目の席に座っていた浩介がゆっくりと立ち上がった。傍目から見れば、落ち着いているように見える。けれども宗信には、浩介が内心かなり焦っているのをが分かっていた。浩介の想い人である矢島楓(女子17番)は、よりにもよって教室中に響いたあの銃声より前に出発している。宗信にしたって、楓のことが心配だった。浩介は、宗信以上に気がかりなはずだ。おそらくわざとゆっくり行動しているのは、自分を落ち着かせるためだろう。
437 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/23(土) 06:24:57.63 ID:7vd1UyS70(5/9)
 教室はとても静かだった。さっきの爆発のような音とクラスのみんなの悲鳴や大声の反響のせいなのか、静寂が耳に痛い。それでも視線は一様に里山元(男子8番)の方へとそそがれている。

 晴海の身体がガタガタと震える。両腕で抑え込もうとしても、震えは収まらない。それどころか、ますます身体がいうことをきかなくてついに地面に座り込んでしまった。元の首のあたりから、血がスーッと流れ出しているのがはっきりは見えてしまう。その身体はピクリとも動かない。それはまぎれもなく―死体だった。

 

――これは現実なのだ。自分達は殺し合いに参加させられるのだ。

 

「てめぇぇぇ――!」

 

 静寂を切り裂くかのような悲鳴に近い怒号。藤村賢二(男子16番)が押さえこんでいる白凪浩介(男子10番)の腕を振り切ろうともがいていた。しかし浩介がそうはさせまいと必死で腕に力を込める。その腕の中で賢二は暴れていた。今にも担任である栗井孝に掴みかかろうと、殴りかかろうと、必死で抵抗していた。

 

「離せ白凪!あいつが元を殺したんだ!生かしておけねぇ!」
「今行ったらお前まで死ぬぞ!」

 

 浩介の言う通り、今にも兵士が賢二に銃口を向けようとしている。浩介の腕から離れて栗井に向かっていこうものなら、迷わず賢二に向けて引き金を引くだろうということは容易に想像できた。それではダメだと、元の最後の優しさを無駄にしてしまうと、晴海はそう思った。だからこそ、賢二に向かって「止めて!」と言おうと思った。その時だった。

 

「やめとけ。」

 

 誰よりも静かな声色。賢二が今一番殺したい相手、栗井本人がすぐ近くまで歩み寄っていた。その顔は、威厳のある堂々としたものではなく、どこか寂しそうな、悲しそうな、そんな表情をしているように見えてしまった。

 

「それこそ無駄死にだ。それを里山が望むとでも思っているのか?」

 

 その言葉に賢二の表情がグッと強張る。けれどもまだ諦めきれない様子でいるのか、その瞳だけは今だに明確な殺意を示しながら栗井を睨みつけていた。

 シンとした静寂が再び訪れる。ややあって賢二が静かに「離せ。もう暴れないから。」と浩介に告げる。浩介がその腕を解くと栗井に向かって静かに、はっきりと、こう言った。

 

「てめぇは絶対に許さねぇ。覚えておけ。」

 

 そう言って後ろに振り返り、ガタンと自分の席に着席した。強がっているが、本当は辛いのだということが、大声で泣きたいのだということが痛いほどわかる。大事な親友を目の前で失うことがどれほど辛いことなのか。晴海には想像できなかった。いや、想像することはできるのかもしれないけど、その辛さはきっとそれ以上なのだと。

 

――もし、楓や絵梨や明日香や、あるいは萩岡君だったら…

 

 もし自分の親しい友人、あるいは好きな人だったら、どうなっていただろう。そう思うと、それだけでも辛い、苦しい、どうしていいのかわからない。もしかしたら、その辛さに耐えられず狂っていたのかもしれない。そう思うとゾッとした。

 これがプログラムなのだ。殺し合いとはそういうことなのだ。大事な人を目の前で失うことなのだ。

 

「では、これから一人ずつ出発してもらう。最初に出発してもらう人間はもうこちらで決めてある。その人間から出席番号順に、男女交互に出て行ってもらう形になる。このクラスは男子の方が多いから、最後の方の番号は男子が続く形になるな。一人出発してから、二分後に出発してもらう。」
438 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/23(土) 07:05:13.07 ID:7vd1UyS70(6/9)
 その一言で文島歩(男子17番) がスッと立ち上がる。先ほどの直子よりも、落ち着いていてしっかりとした足取りだった。そんな歩のことを、晴海はよく知らない。パソコン部に所属していて、津山洋介(男子12番) とよく話すところを見るくらいだ。まともに会話をしたこともない。どうなのかと推し量ることすらできなかった。

 そんな歩はデイバックを受け取り、先ほどの直子と同じように「私は殺し合いをする。やらなきゃやられる。」と感情のこもっていない淡々とした口調で宣誓した後、ゆっくりと教室を出て行った。

 そこでハッとする。次は女子17番、つまり楓だ。思わず楓の方へと視線を走らせる。待っていてくれと伝えたかったが、何せ席が離れすぎている。それに下手なことをしたら、今でも蛇のように睨む兵士に何をされるかわからない。結局じっとしているしかなかった。

 

「次、女子17番矢島楓。」

 

 そう呼ばれると、先ほどの歩を同じようにスッと立ち上がり自分のバックを持って歩き出した。ただし、出ていくべき廊下とは反対方向に。晴海のいる方向に向かって。

 

「矢島。方向が違うぞ。」

 

 栗井のその言葉が合図であるかのように、兵士が銃をかまえる。しかし楓は兵士の方ではなく栗井の方を向いて、はっきりとこう口にした。

 

「里山くん、亡くなったんです。少しくらい弔ってもいいですか?」

 

 口調は丁寧そのものだが、有無を言わさない威圧感があった。楓にどこかしらそんなところがあるのは、三年になってからの短い付き合いでも分かっていた。普段はあんまり自分の意見を言わないが、譲れないところは決して譲らない頑固なところがある。今の口調にはそんなところがありありと出ていた。

 晴海はそんな楓の優しさにホッとしつつ、兵士が今にも楓に向けて引き金を引くのではないかと気が気ではなかった。ここで大事な友人を失いたくはない。お願いだから何もしないでください、そう切に願った。

 楓に向けて銃口を向けている兵士を手で制しながら、先ほどよりも優しさのこもった口調で返事をした。その顔には、わずかながら微笑みが浮かべられている。その表情に悪意は含まれていないように見えた。

 

「いいだろう。矢島は優しいな。」

 

 楓はそれには答えず、再び歩を進める。スニーカーのつま先が血の海に触れ、ピチャッと音をたてた。元の遺体の近くまで来ると、しゃがみこんで静かに手を合わせていた。その心の中では何を思っていたのだろうか。死なせてしまったことに対する謝罪なのか、それともあなたの分まで生きるという決意だろうか、ふと気になった。

 楓は持っていたハンカチを元の顔にかぶせると、立ち上がって今度こそ出口の方へと歩いていった。その間、晴海とも、誰とも目を合わせることはなかった。晴海の中で、急に不安が津波のように押し寄せる。

 

――楓はこんなプログラムに乗ったりしないよね?待っててくれるよね?

 

 デイバックを受け取った楓が淡々と宣誓をし、そのまま教室を出ていくのを、晴海はただじっと見つめていた。
439 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/23(土) 07:06:07.97 ID:7vd1UyS70(7/9)
 年配の兵士、笠井がそう声をかける。その言葉に反応するかのように栗井孝は首だけ動かして、笠井の方を向いた。たった今荒川良美(女子1番)の死亡報告書を書き終えたところばかりだ。思わず心の中でチッと舌打ちをする。

 

 はっきりいって迷惑だ。現在AM05:30。もうすぐ第一回の放送。今からその為の準備をしなくてはいけないのに、この電話のせいで作業が滞る。大体こんな朝早くかけてくるなんて、どこの早起きの暇人だ。こんなことで電話するより、もう少し国をよくするために政治の勉強でもしたらどうだ?

 そんな心に浮かぶ文句を、頭の隅に押しやり黙って電話を受け取る。こいつのこともいささか気に食わないが、今怒鳴ってもただの八つ当たりだ。

 

「はい、栗井です。」
「おぉ、栗井君か!担当官の職務はどうだね?」

 

 ええ、大変気分が悪いです。何回やっても慣れません。一体何の為にあるのか、総統とやらに直接会って聞きたいものですね。戦闘実験なんて、ただの言い訳ですよね?こうやって先の未来を担っていく中学三年生の命が散っていくのを、安全な高台から笑って見学していて何が楽しいんですか?ホント、この国の政治家って腐ってますよね。

 

 洪水のように流れ出る、文句というより罵倒するような言葉をギリギリのところでせき止める。どうやら思っている以上に不機嫌らしい。腐っていても教育長。言葉には気をつけなくてはいけない。萩岡宗信(男子15番)に軽率なことをするなと言っておいて、自分が軽率なことをしてしまっては、人のことはとやかく言えない。

 

「まぁ何とか。しかし慣れないものですね。何せ初めてのケースなもので。」
「無理もないな。プログラム前から担当クラスに担任として配属されるなんて、あまりないケースだからな。」

 

 本来ならば、担当官はプログラム開始時に生徒と始めて対面することになる。しかし今回は、新学期開始時から担任として赴任しているのだ。メリットとしては、生徒の普段の行動を間近に見ることができるため、トトカルチョの為の資料を詳細に作成できること(これもかなり気の進まない仕事だった)。あとは、プログラムに参加が決まったクラスの担任には、政府に刃向かって命を落とす人間も少なくない。その無駄な仕事を減らす為でもあった。
440 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/23(土) 07:06:58.52 ID:7vd1UyS70(8/9)
 どうやらこの馬鹿な教育長は、トトカルチョで一番人気の白凪浩介(男子10番)に賭けたらしい。確かに頭脳も運動神経も上位クラス、加えて少々冷たい性格も相まってトトカルチョでも大変人気である。女子だけにとどまらずここでも人気だなんて、本人からしたら絶対迷惑に違いない。

 

「現在一人で行動していますね。目立った行動は取っていません。ただ、既に死亡している宮前直子の遺体を発見しています。もしかしたら、何か推測がたっているかもしれません。詳しいことは長くなるので、後ほど報告書で送ることになりますが。」

 

 教室で聞こえた銃声の正体。それで死んだのが宮前直子(女子16番)だと推理しているのならば、おそらく殺したのが矢島楓(女子17番)だろうと考えているのかもしれない。もちろん、その仮説の前提には、“開始早々人を[ピーーー]人間なんて、そうそういないだろう。ならば殺した人間は、個人的な恨みをもつ人間ではないか”という仮定がつくのだが。

 

「まぁ、開始早々から動くのが得策というわけではないからな。今は様子見をいうことで、体力を温存するのも一つの策だろう。」

 

 よく言うよ。これで白凪が積極的に動いて殺し回っていたら、“やはり私が期待した通りの人材だったか!その調子で突っ走ってほしいものだな!”なんて言うのだろうに。まったく、物は言いようだな。

 

「で、誰が積極的に動いているのかな?それと、くじで選ばれたのは誰なのかな?」

 

 こちらの気持ちなどお構いなしか。この時間ほど無駄なものはない。もうすぐ放送ですからと言って、電話をブチッと切りたい衝動に駆られるが、それを何とか踏みとどめる。

 

「くじで選ばれたのは、男子8番の里山元です。積極的に動いているはですね…。」

 

 ちょっとお待ちください、そう言ってから資料を再確認する。確認しなくたって、誰が動いているかなんて把握しているが、何だか言うのがはばかれた。なぜなら一番キルスコアを伸ばしているのが、そのくじのせいで乗った人間だからだ。それに、一人気になる人間もいるし。

 

「一番スコアを伸ばしているのが、三人殺している男子16番藤村賢二ですね。あとは一人ずつです。女子17番矢島楓、男子3番岡山裕介、女子15番三浦美菜子、男子20番米沢真。以上になります。」
「藤村君といえば、このクラスで一番運動神経が優秀だったな、それに里山君の友人だったそうじゃないか。やはり、あのくじはやって正解だったな。彼が乗るかどうかは未知数だったからな。」

 

 確かに里山元(男子8番)が選ばれなければ、藤村賢二(男子16番)は乗らなかった可能性が高い。だからなおさら後味が悪いのだ。いくら松川悠(男子18番)の発言に問題があるにしても、きっかけは友人の死であることは明確なのだから。現に運動神経は優秀であるが、性格的に乗らない可能性が高いからこそ、トトカルチョでは五位というパッとしない順位なのである。
441 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/23(土) 07:07:35.80 ID:7vd1UyS70(9/9)
 ただ、自分にはどうしても矢島がただクラスメイトを殺して回っているように思えなかった。宮前を殺した時にしたって、相手が分かってから引き金を引いている。もし無差別に[ピーーー]のだったら、物音をした時点で攻撃しているはずだ。おそらくいじめた不良グループ(しかしその中で、加担していなかった内野翔平(男子1番)のことはどうなのかは分からないが)のみ対象をしているのではないかと考えていた。もちろん仮説にすぎないのだが。

 

「まぁこれから朝になるし、他にも動く生徒が出てくるだろう。担当官という職務は大変だろうが、名誉ある仕事だからな。しっかりやってくれ。」

 

 心の中で溜息をつく。大体、名誉だなんて一回も思ったことはない。必死で生きようをしている子供たちをただ観察し、それをまとめて本部に報告する。それのどこが名誉なのか聞きたいくらいだ。個人的に言えば、この国におけるどの仕事よりも汚れた職務だと思うくらいなのに。

 けれど、敢えてこの仕事を選んだ。悲惨ともいえるプログラムで、自分なりにもがいてみたかったから。そう、今プログラムで必死にもがいている、沼川第一中学校の三年一組のみんなのように。

 

「そろそろ第一回目の放送の時間ですので、すみませんがこの辺で失礼します。」
「おぉ、忙しいところすまなかったな。では頑張ってくれたまえ。」

 

 迷惑だと思うくらいなら初めから電話してくるなよ。そう思ったが、その言葉ものみ込んだ。「失礼します。」そう一言そえ、ゆっくりと電源ボタンを押し電話を切った。切った途端、疲れがドッと押し寄せてくる。まったく、馬鹿を相手にするほど疲労感のたまることはない。しかし休む時間はない。今の電話で大分タイムロスしてしまった。急いで準備しないと―

 

「あの…、担当官…。」

 

 おずおずといった感じで<後ろから声をかけられる。まだ機嫌が悪かったせいか、いささか眉をひそめたまま振り向いた。そこにはまだ若い、二十代くらいの兵士が両手にカップを抱えて立っている。こちらの顔を見て、少々びっくりしたのか一瞬表情がこわばっていた。

 

「あの…、よろしかったらコーヒーをどうぞ。」

 

 大事そうに抱えられたコップの中には、真っ黒な液体がわずかに波を立てている。湯気は出ていないところからして、アイスコーヒーのようである。中々気がきく兵士だ。このくらいの気遣いを、さっきの教育長にも求めたいところである。

 

「あぁ、すまない。ありがとう。」

 

 カップを受け取ると、口をつけてコーヒーを流し込む。どうやら喉が渇いていたらしく、一気に飲みほしてしまった。気分がシャキッとする。さすがはブラック。目覚め効果はばっちりのようだ。

 

「すまないが、もう一杯もらえるかな?」

 

 そう言って差し出したカップを、「はい!」と兵士らしいキビキビとした返答で答える。その表情は、少しばかりホッとしているように見えた。まぁ一般の兵士から見れば、担当官なんて人間は雲の上の存在に近いのかもしれない。誰でもできる仕事ではないし、皮肉なことにそこそこ偉い立場である。
442 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/23(土) 20:18:50.34 ID:2IPgHtK90(1)
おやおや慰安婦捏造で朝日に梯子を外されて吊るされた韓国人がキムチフェイスで荒らしですかい?
443 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/24(日) 07:27:14.01 ID:iGkFB/190(1/2)
男子一番 愛川優希(あいかわ・ゆうき)

支給武器 --(出発前に死亡)
被害者 なし
加害者 なし
死因 首輪による爆死

最終行動 乾楓(女子4番)が死亡したことによりランダムで自分の首輪が作動する。クラスメイトを巻き込まないように教室から出て、廊下の方へ走った。
友人関係 今村遥斗(男子2番)
所属部 帰宅部
備考 体力は普通。よっほどのことがないと怒らない。普段は笑って許せる。あまり存在感がないように見えるが、実はやる時はやる時に目立つタイプ。
444 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/24(日) 07:28:07.68 ID:iGkFB/190(2/2)
男子二番 今村遥斗(いまむら・はると)

支給武器 カッターナイフ
被害者 なし
加害者 鈴木涼磨(男子10番)
死因 銃による左胸被弾

最終行動 内田真琴と遭遇。放送にショックをうけていたが、鈴木涼磨(男子10番)に遭遇。
友人関係 愛川優希(男子1番)
所属部 陸上部
備考 明るく、時にはおとなしくしている。そのギャップのせいか女子の間で人気者に。スポーツはまあまあ。テニスを楽しんでいたが鈴木涼磨(男子10番)に負け、スポーツに何でもかんでも挑戦するようになる。
445 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/24(日) 08:23:39.21 ID:ViXNkFb30(1)
男子3番 クズ田クズ男(クズ田・クズ男)

支給品武器RPGー7

被害者 日高「強くてニューゲーム2」のスレ
加害者 このスレを荒らしている奴もしくは相手のスレを自分のスレに書き換える奴
死因 なし

最終行動 勝手にスレを荒らし、暴走している奴らの別のSSを持ち込んでいるSSを荒らすために来た
所属部パソコン部
このスレを荒らしている腐女子を蹴散らそうと日々さくを練っている


446 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/24(日) 11:52:55.68 ID:bnHe8Elh0(1)
あらしうざい
447 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/08/24(日) 22:27:18.27 ID:t2FyUPf+0(1/8)
十神「俺を信じてくれたみんなが示してくれた未来だ。なら俺もその未来を信じるだけだ!」

澪田「唯吹はまだまだやりたいことがいっぱいあるっす。みんなと音楽して、遊んで……みんなとずっと一緒にいたい」

澪田「だからみんなと進みたい。白夜ちゃんたちとバカやって騒いでる、それが唯吹っすから!」

花村「ぼくはみんなみたいになにができるってわけじゃないけど……大切な人の笑顔が曇っているんだったら」

花村「ぼくはぼくなりのやり方でみんなを笑顔にしてみせる!」

西園寺「小泉おねぇや日向おにぃがあれだけ頑張ってくれたんだもん」

西園寺「わたしも少しは頑張らなくちゃね!」

九頭龍「たしかにオレらのメリットなんて見当たんねーな……だけどよ、いつまでもペコや日向にばっかり頼ってられねーんだよ」

九頭龍「へっ、いつまでもガキ扱いされてちゃ堪ったモンじゃねーよなぁ!」

辺古山「ぼっちゃんに仕え、ぼっちゃんに甘え、ぼっちゃんに尽くすことが私の使命だ」

辺古山「それを邪魔するのならば誰であろうと容赦はしない!」

弐大「大事なことを忘れておったわい。ワシはみんなのマネージャーだったのぅ」

弐大「この弐大猫丸のマネージャーとしての自信と誇り、信念は誰にも曲げられんぞぉ!」

ソニア「身動きが取れないほどの重圧に押しつぶされそうだったときに……一瞬ですが確かに見えたのです。厳しいけど、暖かい光が……あの光はきっと……」

ソニア「わたくし達がこれから作る未来は、みなさんが作ってくれた未来でもあるんですよね?だったら……止まれる訳ないですよね!」



448 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage] 2014/08/24(日) 22:27:45.51 ID:BFdF7I7l0(1)
おp
449 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/08/24(日) 22:36:50.39 ID:t2FyUPf+0(2/8)
終里「やっぱゴチャゴチャ考えるのなんて、オレの性に合わねーや。つえーヤツがいたら戦うってのが、オレらしいよな?」

終里「それが胸を張るって意味なんだよな?だったら……オレはこっちだろ!」

左右田「あーあ、またメンドクセー事になっちまったな。けどオメーらがやるっつってんのに、オレがやらねー訳にもいかねーだろ」

左右田「どこにも居場所がねーなら、せめてこの場所は守らねーとダメだろ!」

江ノ島「ア、アンタらまで……どうして……どうして自分から絶望に飛び込むような真似ができんのよ!」

日向「信じてるからだ」

江ノ島「…は?」

日向「俺達は自分自身の未来を信じてるんだ。そこがお前とは決定的に違う」

日向「新しいことも困難なことも、やればできるって信じてるんだよ」

日向「未来だって創れるはずだって信じてるんだよ!」

江ノ島「そ、そんなの…希望なんかじゃないじゃん……絶望ですらない……」

江ノ島「な、なんなのよぉぉぉぉぉぉッ!?」

七海「日向くん、それにみんな……ありがとう。未来を信じてくれて……」



450 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/08/24(日) 22:47:48.05 ID:t2FyUPf+0(3/8)
日向「…………」

日向「ありがとな、七海」

七海「え?」

日向「じゃあ、始めるか。いいか?」

罪木「創さんの、私の決めたことです。後悔なんてありませんよぉ」

十神「フンッ……くだらなかったな」

澪田「相変わらず白夜ちゃんはクールっすね!」

左右田「……こんな簡単に終わっちまうんだな」

終里「あ?終わりじゃねーだろ?」

ソニア「ここから始める為…ですよね?」

狛枝「みんなの希望を始める為だよね」

小泉「うん」

西園寺「でも家に帰るのやだなぁ」

花村「嫌なことがあっても、ぼくが笑顔にするよ」

弐大「ワシもサポートするぞ」

辺古山「そうだな……だがまずは」

九頭龍「この閉ざされた世界を終わらせて」

日向「そこから先は…俺達が創っていくんだ」

七海「みんな一緒に、ね」


カチッ


451 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/08/24(日) 22:55:19.72 ID:t2FyUPf+0(4/8)
江ノ島(大)「………………」サラサラ

江ノ島「ぎゃは…ぎゃはははは……」

江ノ島「あーあ、こりゃ絶望だわ……また絶望に絶望して絶望を絶望しちゃった。あー、楽しい」

江ノ島「いっぺん“あんな絶望”を体験しちゃった以上はさ、もう戻れないのよねー」

江ノ島「あー、でも…これでもう…絶望を希望しないで済む」ジジジ

江ノ島「そ…んなの……絶望…的……」ブチッ

苗木「…………」

苗木「直にこの世界は終わるよ……もうボクは行くね?」

日向「あぁ、ありがとな」

苗木「これはキミたちみんなで創り出した結末なんだよ。胸を張ってね」ヒュン



452 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/08/24(日) 23:04:42.26 ID:t2FyUPf+0(5/8)
終里「あーあ、崩れてくな…」

日向「そうだな…」

ソニア「あの……もしもの話で恐縮ですけど…外の世界で目覚めた時に、ここでの事を忘れてしまっていたとしても……無意味ではなかったのですよね」

七海「うん。私もみんなの決意も未来も全部、みんなにとって大切な事だよ」

西園寺「ま、七海おねぇがこう言ってるんだからそうなんじゃないの?」

左右田「適当だな!」

花村「でも……七海さんのこともみんなのことも忘れちゃうんだよね」

罪木「私は創さんがいるから平気ですよぉ」

辺古山「私もぼっちゃんがいるからなにも問題はない」

九頭龍「お前ホント変わらねぇな。それにさっきも変なこと混ぜてただろ!」

辺古山「なんのことですか?」

弐大「そう簡単に人は変わらんしのう」

狛枝「無意味かどうかは、これからのボクら次第じゃないかな」

小泉「アンタホントに……変わったね」


453 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/08/24(日) 23:22:28.50 ID:t2FyUPf+0(6/8)
狛枝「絶望のまんまだったらボクが殺してあげるから安心していいよ」

花村「簡単に人が変わらないのって本当なんだね」

十神「そろそろ……タイムリミットみたいだな」

左右田「……やっぱこえーな」

罪木「……私も本当は……創さんを忘れたくないです……」

終里「でも、いいんだよな?怖くて当たり前なんだよな?」

七海「それが未来だからね」

左右田「オイッ!オレはオメーらのことも全部ぜってーに忘れねーからな!」

左右田「オメーらも覚えとけよ!オレの名前は…左右田和一だからなッ!」

十神「……絶対に忘れるものか……」

ソニア「もし忘れたとしても…意地でも思い出してみせますって!」

終里「後で日向が訳わかんねーこと言い出したら、オレが半殺しにして正気に戻してやるよ!」

罪木「駄目ですよぅ!その時は私が……えへへ……注射をしてぇ……付きっきりで看病するんですからぁっ!!」ハァハァ

日向「助かるけど……どっちも怖いな」

七海「みんな……頑張ってね。辛いことや悲しいこともあるけど……未来を信じて……」ポロポロ

日向「おいおい、泣くなよ」

七海「じゃあね」

日向「あぁ、俺は絶対に七海を忘れない」

七海「約束……だよ?」

日向「あぁ」




454 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/08/24(日) 23:25:17.99 ID:t2FyUPf+0(7/8)

「ありがとう、七海」



「私の方こそ…ありがとう」

「みんなの事…忘れないよ…」

「ずっとずっと…忘れないよ…」

「この先も…どこかでみんなの事を応援しているからね」

「だって…ずっと仲間だもん」




455 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/08/24(日) 23:34:07.80 ID:t2FyUPf+0(8/8)
終わりです


長い間ありがとうございました!


ツッコミ所もたくさんありますけどそこは暖かい目でスルーしてください!

あと地の文ありって書いてんのに地の文が行方不明になってる笑


とりあえず日向の強くてニューゲームはこれで終わりです

色々ありましたが見てくださった方、本当にありがとうございます!

前作

江ノ島「私の姉がこんなに強いわけかない」
きぼうがみねようちえん、ぜつぼうぐみ
桑田「舞園が挨拶ついでに刺してくる」
江ノ島「江ノ島 盾子ちゃんで苗木「ねぇ、江ノ島さん」
苗木「え?出演者の変更?」
日向「え?配役変更?」


456 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/25(月) 00:14:55.50 ID:zmK30zoDO携(1)
乙でした
457 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/25(月) 00:35:18.62 ID:eUxlFxMOO携(1)
長い間本当にお疲れさまでした
色々あったけど、良い終わりだったよ。追いかけてきて良かった

もし気が向いたらエピローグ的なものも書いてくれると嬉しい
458 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/25(月) 06:52:30.74 ID:VECk0n9DO携(1)
おつ
死んだのは田中だけか、仕方ないけどなんか寂しいな
459 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/25(月) 17:33:11.79 ID:K/a8aRGi0(1)
完走乙! 結構アッサリ終わった印象
460 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/26(火) 17:18:44.22 ID:hDhG2cVZ0(1)
後日談が欲しくなるね
461 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/26(火) 17:42:04.97 ID:dLPNoC8L0(1)
乙ー
田中...
462 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/08/27(水) 00:37:19.36 ID:vwfkWrQk0(1/2)
HTML化依頼して書き込めなくなるのって何日くらいですかね?
463 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/27(水) 00:40:15.17 ID:PujI59tDO携(1)
スレ主に続ける意思があるレスがあれば処理は中断される、が…

3日ぐらいは持つよな?
464 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/08/27(水) 01:17:16.44 ID:vwfkWrQk0(2/2)
わかりました

じゃあ書きます

明日か明後日には書き込みます
465 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/27(水) 01:59:55.53 ID:R5LBv5EoO携(1)
了解、期待してる
466 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/28(木) 17:29:40.57 ID:3RLGnPI20(1)
おつかれさまです!
ずっと前から追いかけてきてよかった!

しかも>>1の前作読んだことあるしこんなに書いてたんだ。
467 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/08/29(金) 21:45:28.08 ID:Xerp7Adi0(1/4)
ーエピローグー

「…………」

九頭龍「なにやってんだ?」

「……島でのことを考えていた」

九頭龍「……少しはなにか思い出せたか?」

「いや、まったくだ」

九頭龍「だろうな。俺らの記憶からは完全に消されてんだからよ」

「…………」

九頭龍「お前はこれからどうすんだよ、日向。いや、今はカムクラか」

日向「どっちでもいいぞ。今の俺は希望ヶ峰学園に憧れていた日向でも全てに絶望したカムクラでもないからな」

九頭龍「……そうか」

日向「俺たちにはやらなくちゃいけないことがあるだろ?」

九頭龍「まぁ……な」



468 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/08/29(金) 21:59:44.35 ID:Xerp7Adi0(2/4)
日向「なにかをするのはそれが終わってからでも遅くはないはずだ」

「船の用意ができましたよぉ」

九頭龍「悪いな罪木。日向、先行ってるわ」

日向「あぁ」

罪木「あのぅ……」

日向「罪木か」

罪木「あぅ……」カァ

日向「大丈夫か?」

罪木「大丈夫です!」

日向「……苗木から聞いたんだが俺たちはあの島で付き合っていたらしいな」

罪木「ふぇ?あ……そう、みたいですね」

日向「俺はお前のことを全然知らない。島でのこともまったく覚えてない」

罪木「…………」

日向「だから俺に罪木のことを教えてくれ」

罪木「はい……え?」



469 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/08/29(金) 22:18:50.86 ID:Xerp7Adi0(3/4)
日向「お前自身のことをもっと知りたい。それで、ちゃんと知った上でもう一度俺と付き合ってくれ」

罪木「……わかりました!」

「フハハハハ、そろそろ俺様の新たな夜明けの時間だ。早く来るがいい!」

罪木「行きましょう、創さん!……あ」

日向「創でいいよ」

「恋……か」

日向「お前もすぐにわかるよ。あ、ソニアが来たぞ」

「なに!?ではな、日向!有意義な時間であったぞ!」ダッ

ソニア「待ってくださーい!なんで逃げるのですか」

十神「時間だ。行くぞ」

日向「そうだな。世界に希望を広げるために」

「進もう、俺たちも」



END


470 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/08/29(金) 22:21:34.49 ID:Xerp7Adi0(4/4)
エピローグってどこらへん書こうか迷ったのですがこうなりました

物足りないかもですがすみません(;´Д`)

今度こそこれで日向の強くてニューゲームは終わりです

ここまで読んでくださりありがとうございました!



471 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/29(金) 22:25:20.69 ID:kzE2SujyO携(1)
part1の最初、
七海が呟いてたのは何だったのですか?
472 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/29(金) 22:27:58.54 ID:sWacqvCZO携(1)
本当にお疲れさまでした
田中も一緒に起きてくれて良かった
皆で一緒に始まりだな
1-
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ AAサムネイル

ぬこの手 ぬこTOP 0.348s*