[過去ログ] 日向「強くてニューゲーム2」 (472レス)
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273 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 09:47:58.89 ID:aFMIt3ru0(87/162)
32
二回目の放送後、ようやく河瀬美希(女子7番)は動き出した。

ここでじっとしてても仕方ない。
燎子と朋美を探さなきゃ!

今回の放送で自分と同じグループの近藤美穂(女子9番)と斎藤実里(女子10番)と田中友里(女子11番)が呼ばれた。
もう自分達のグループで生き残ってるのは若村朋美(女子20番)と木原燎子(女子8番)しかいない。
友人達を失うのは、もう嫌だ。

「お願い、燎子、朋美、無事でいて……!」

美希は走る。
友人達に会うために。
そして数十分後、見つけた。

「あ……ぁあ……」

既に事切れた若村朋美の遺体を。
すぐ近くに渡辺弘(男子20番)の遺体があったが、美希の目には朋美しか映らなかった。

「と、朋美……う、そ……こんな、こんなのって……!」

美希は膝をつき、泣きじゃくった。

どうして、どうして!
何で朋美が!
美穂が!
実里が!
友里が!
何の罪もない子供達が死ななきゃいけないの!!

「許せない……!」

朋美や友人達の命を奪った人物が許せない。
でも、それ以上にこんなことを自分達に強要させた政府はもっと許せない。
274 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 09:48:36.08 ID:aFMIt3ru0(88/162)
「[ピーーー]、政府全員、殺してやる……!」

美希が拳を握り締め、強い決意をしたときーー。

「美希?」

背後から声が聞こえた。
咄嗟に振り向くと、そこには木原燎子が怯えた表情で美希を見ていた。
もし、朋美を見つける前に燎子に会っていたら、美希は政府に憎しみなんて抱かなかっただろう。
しかし、今の美希にとって、燎子は政府への復讐を邪魔する存在でしかなかった。



美希を見つけた燎子は自分の勝利を確信した。
美希はグループ内でもかなりの馬鹿だ。
大丈夫、勝てる。

「美希! 無事だったの!」

燎子は目に涙を浮かべ(勿論演技だ。)、美希に抱き付いた。

ーー後は銃を抜いて、引き金を引くだけ。

スカート内に隠してる銃を取り出そうとしたときーー首に圧迫感を感じた。

「えーーー」

燎子は驚愕の表情(これは演技ではない。だって想定の範囲外だから。)で美希を見る。
その顔はとても冷たかった。

ーーどういうこと?
こいつ、何でーーー。

美希の身にどんな変化があったのか。
それが分からないまま、燎子の意識は途切れた。



「一人……」

燎子の首を締めてから数分後、ようやく美希は手を離した。
燎子はドサリと倒れ、糞尿を撒き散らしながら暫く痙攣していたが、少しすると直ぐに治まった。

「ごめんね、燎子。 私、優勝を目指すことにしたから。 優勝した後政府の奴全員[ピーーー]ことにしたから」

倒れた燎子に美希は軽く手を振った。

「じゃ、バイバイ」


女子8番木原燎子 死亡
275 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 09:49:04.70 ID:aFMIt3ru0(89/162)
31
光井春奈(女子15番)は特に目的もなく、エリア中央にある公園の中にあるベンチに座っていた。

「はぁ……これからどうしよ」

春奈は先程、レストランで手に入れたチーズを一口囓り、これからのことについて考えた。

誰かを探す?
いや、自分には特に親しい相手はいない。
脱出を考える?
いや、脱出なんて不可能だ。
こんな高性能な首輪を無効果できる人がいれば、その人は神様だ。

じゃあ、どうする?

「……ま、考えても仕方ないか」

チーズを食べ終え、立ち上がった。
瞬間、ズブッと肉を刺す音がした。
少し遅れて背中に激痛が走った。

「ぎっ!?」

春奈はその場に崩れ落ちた。
何とか立ち上がろうとするが、痛みで全く力が入らない。

一体、誰が、こんなことーー。

「まだ生きてんだ」

低い声がした。
その声を聴いて、春奈は目を見開いた。

ーー何で、どうして君が?
君はこんな下らない物、絶対にやらないと思ってたのに。

「何驚いた顔してんだよ。俺が殺し合いに乗ったのがそんなに以外か?」

そう言って彼ーー長谷佑磨(男子12番)はニヤリと笑った。

「は……せ、君……」
「俺が殺し合いに乗った理由、教えようか?」

佑磨の右手が動いた。
そして、春奈は見た。

ーーあれは、包丁?
そっか、私、あれで刺されたんだ。

そして、春奈の意識は永遠の暗闇に飲み込まれた。



振り下ろした包丁は春奈の心臓に見事に命中した。
包丁を引き抜くと血飛沫を浴びたが、佑磨は気にせず、もう何も言わない春奈に言った。

「理由は特にないよ。ただ[ピーーー]だけ」



女子15番光井春奈 死亡

【残り13人】
276 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 09:50:02.02 ID:aFMIt3ru0(90/162)
30
六木成美(女子16番)と本島誠太(男子15番)は保健室から移動し、2号館3階の教室へ隠れていた。
桃園歩美(女子17番)が死んでから成美はずっと泣き続けていたが、今は泣き止んで眠っている。
しかし、目が覚めれば、きっと、また泣き喚くだろう。

「俺は、どうしたらいいんだ……」

本当なら慰めてあげたい。
でも、不器用な自分はどんな言葉をかけていいのかさっぱり分からない。

「くそっ!」

拳を握りしめ、壁を殴る。
少しして痛みを感じたが、成美が受けた痛みに比べれば対したこと無かった。

「……んっ」

壁を殴った音に反応したのか、成美が目を擦りながら起き上がった。

「あ、ごめん。 起こした?」
「ううん……ね、トイレ行って来ていい?」

その言葉に「行ってこい」と言いそうになったが、止まった。
歩美のときを思い出したから。
歩美は一人になってしまったから殺された。
もし、

「……駄目だ」
「えっ?」

成美が目を丸くした。

「途中で襲われたらどうするんだよ」
「……んじゃ、トイレまで着いて来てよ」

顔を赤くしながら成美が言った。

「はっ?」

今度は誠太が目を丸くした。
277 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 09:50:43.53 ID:aFMIt3ru0(91/162)
「だ、だって、その……なんか漏れそう、なんだもん……嫌でしょ? 漏らすとこ……見るのは」
「んっ……」
「……ちょ、何悩んでんのよ!」

ボカッと成美の鉄拳制裁を受けた。

「全く……」
「ごめんごめん……んじゃ、途中まで行くよ」
「……ありがと」

少しだけ



二人は教室から出ると慎重に歩き、一階へ目指した。
2号館にはトイレは一階しか存在しないからだ。
人の気配はしないが、それでも不安だった。

「……よし、いない」


扉を開けようと手を伸ばしーー一瞬だけ後ろを見た。
成美は目を見開いた。
誠太の後ろに、

誠太を力一杯突き飛ばし、言った。

「ありがとう」



突然、成美に突き飛ばされた誠太は倒れた。

「ありがとう」

そんな彼女の言葉とほぼ同時にぱららら、と耳が劈くような音がした。

「っ……な、にが……」

立ち上がろうとして、止まった。
成美が、血塗れの死体と化していた。

「なる、み?」

何で成美が倒れてる?
何で成美が血塗れなんだ?
何でーー。

そこで誠太の意識も暗闇に飲み込まれた。



智樹はマイクロウージーを下ろす。
目の前で倒れてる男女はもう息をしていなかった。

「馬鹿な二人だ。 生き残れるのは一人だけなのに」

鼻で笑うと、智樹は2号館から立ち去って行った。


男子15番本島誠太 死亡
女子16番六木成美 死亡

【残り14人】
278 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 09:51:42.52 ID:aFMIt3ru0(92/162)
29
二回目の放送を聞き、禁止エリアを書き込んだ渡辺弘(男子20番)はちらりと隣に座っている若村朋美(女子20番)を顔を見た。
朋美はもう泣いていなかったが、ずっと暗い表情のままだった。

まあ、無理もないよな……。
友達を失ったんだからな……。

「ねえ、弘……」

ずっと黙っていた朋美が口を開けた。

「私ってさ、生き残る価値あるのかな?」
「あるに決まってるだろ、だってお前はーーー」

途端、外から銃声が聞こえた。
音の大きさからして、すぐ近くだ。

「……朋美、離れよう」
「うん……」

二人は手を握り、外に出た。
周囲に人は見えない。
もう何処か行ってしまったのか。
そう思ったときーーー。

「こんにちは」

何処からか声がした。
瞬間、風を切る音と同時に、朋美の腹部に銀色の矢が突き刺さった。

「ぁ……」

小さな声と同時に、朋美が倒れた。

「朋美!」

弘は咄嗟に朋美を抱き起こす。
腹部から血がゆるゆると流れ、朋美のシャツを血の色に染めた。

「朋美!くそ!誰だ!!」
「私だよ」

近くの茂みから柳瀬美蘭(女子18番)が姿を現した。

「柳瀬……お前……どうして」
「復讐」

ボウガンを二人に構えた。

「みんな、苦しみながら[ピーーー]ばいいのよ」
「っ……俺は……こんなところで死なない……朋美も、絶対に死なせない!」

弘はデイパックからスタームルガーを取り出し、美蘭に向けた。
美蘭は一瞬だけ、顔を強張らせたが、また、いつもの表情になった。

「……撃てるの?」
「ああ、勿論さ」

美蘭の頭に狙いを定める。
しかし、引き金を引くことは出来なかった。

「だめ……だ、よ……弘……人殺しに、なら、ない……で……」

朋美が弘の袖を引っ張った。

「朋美……でも」
「嫌なの……弘が……人を[ピーーー]、な、んて……」
「お喋りしてる暇はあるの?」

矢が発射され、朋美の右腕に矢が突き刺さった。

「あうっ!」
「朋美!!」

もう迷ってる暇はない。
弘はスタームルガーの引き金を引いた。
しかし、銃弾は大分逸れ、美蘭には当たらなかった。

「……貴方も苦しませながら逝かせようと思っていたけれど……それを持ってるなら話は別ね」

279 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 09:52:24.06 ID:aFMIt3ru0(93/162)
そう言って美蘭はボウガンの矢を放った。
矢は弘の眉間を見事に捉えた。

「あっ……」

朋美が素っ気ない声を出す。
弘は身体を半回転させ、地面に倒れた。

「い……嫌ぁああああ!!」

朋美が悲鳴を上げる。
しかし、それも数秒で止まった。
美蘭が放った矢が、こめかみに突き刺さったので。

「……矢を抜いてる暇はなさそうね」

美蘭はスタームルガーを弘の手からもぎ取り、デイパックに入れると、急いでその場から離れていった。


男子20番和田弘 死亡
女子20番若村朋美 死亡

【残り16人】
280 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 09:53:04.85 ID:aFMIt3ru0(94/162)
28
「きゃあ!」

青島帝(男子1番)と小倉由美(女子6番)の遺体を見つけた明石美雨(女子1番)は尻餅をついた。

「あ、青島、君……小倉さん……」

帝は

みんな、何で……?
何で殺し合うの?
こんなの、おかしいよ……
絶対に間違ってるよ!



『死亡した人は、男子
281 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 09:53:41.58 ID:aFMIt3ru0(95/162)
27
「待てぇええぇええ!!!」

背後からまだ怒鳴り声が聞こえる。
青島帝(男子1番)はどうすれば小倉由美(女子6番)から逃げ切れるか必死に考えた。

説得する?
いや、あの状態の由美では絶対に説得は無理だ。
じゃあ、戦う?
駄目だ。自分はあまり体力には自信がないし、武器はストラップで外れだ。

クソ!
こんなとこで死にたくない!
まだ、生きたいんだ!

「[ピーーー]ぇええぇええ!!!」

その時、背後からブンッと何かを投げる音がした。
瞬間、背中に激痛が走った。

「がっ!」

激痛でその場に崩れ落ちる。
背後から由美の笑い声が聞こえた。

「あっはははははははは!!大当たりぃ!!」

由美は帝の背中に刺さった斧を引き抜いた。

「がはっ!」
「あ、まだ死んでなかったんだぁ。とっとと死んでよね」
282 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 09:54:33.29 ID:aFMIt3ru0(96/162)
歪んだ笑顔で由美は斧を振り上げる。

ーーー俺は、ここで終わり、なのか?
……せめて、あの人に会いたかったな……
明石さん……

次の瞬間、目の前が暗くなった。



「あは!あっははは!!死んだ!死んだぁ!!」

由美は殺した喜びで何度も斧を帝に振り下ろした。
振り下ろすたびに嫌な音がしたが、今の由美にとってはとても心地の良い音色だった。

あははは!!
楽しい!
[ピーーー]ってこんな気持ちのいいことだったんだ!!
もっと殺さなきゃ!
もっと!
もっと!!
もっと!!!

「やっと見つけたわ」

背後から声がした。
振り向こうとしてーーー動きが止まった。
首に、何かが絡まったから。

何、これ?
ってか、誰?

そんな疑問を持った瞬間ーーー。

「ぐうっ!?」

急に首が締まった。

「苦しい? 苦しいよね。首を締められているんだもん。まだまだ貴女には苦しんでもらうわ」
283 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 09:54:59.76 ID:aFMIt3ru0(97/162)
どんどん首を締める力が強くなる。
抵抗しようとするが、全く腕が動かない。

誰……?
誰なの?
もしかして、あいつ……?
あり得るけど……でも……。
あいつ、こんなに力強かったっけ?



柳瀬美蘭(女子18番)は由美の首に巻いたベルト(脇村和人(男子19番)の物だ)を緩める。
由美はドサリと地面に倒れた。

「……残念ね。出来ればもっともっと苦しませて上げたかったんだけど……」

残念そうな顔しながら美蘭はその場を後にした。


男子1番青島帝 死亡
女子6番小倉由美 死亡

【残り18人】

中盤戦終了
284 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 09:55:38.75 ID:aFMIt3ru0(98/162)
26
朝倉和音(女子2番)は中華レストランに辿り着き、中にある厨房で食料を探していた。
しかし、あるのは材料だけしかなく(調理しようと考えたが、ガスも電気も水も止められていることに気づき、諦めた。)、無駄に終わった。

「ったく……レストランなんだから美味しいもの残してけばいいのに……」

ぶつぶつ文句を言うが、言っても仕方がない。
そう言えば、この近くにコンビニがあったはずだ。
そこなら、何か美味しいものが手に入るかもしれない。
和音はデイパックを担ぎ、コンビニに向けて走り出した。



「な、何だ……これ……」

食料を求め、コンビニに入った木嶋影郎(男子7番)は目の前の光景を疑った。
影郎の目に入ったのは血塗れになって死んでいた司馬祐樹(男子11番)と櫓冬明人(男子16番)の遺体だった。

「櫓冬……司馬……お前ら、こんなとこで死んだのか……」

二人の顔はとても苦しそうだった。
きっと、苦しみながら二人は死んだんだ。

「櫓冬、司馬……ゴメンな」

二人に謝り、その場から離れようと扉へ向かいーーー動きを止めた。
目の前に、少女がいたから。
あれは、朝倉和音ーーー。
そう認識した瞬間、和音が何か、黒い塊を此方へ向けた。
何だ、あれ?
そんな疑問もった瞬間ーーー。
ぱんっ、と大きな音が響いた。
それと同時に額に衝撃が走り、それっきり何も感じなくなった。



「お、大当たりだ!」

朝倉和音はもう動かない影郎のデイパックから武器を取り出した。
デイパックから出てきたのは大型拳銃M1911だった。
和音は大喜びで


男子7番木嶋影郎 死亡

【残り20人】

285 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 09:56:14.59 ID:aFMIt3ru0(99/162)
25
小倉由美(女子6番)はフィールドハウスの倉庫内で体育座りをしながらガタガタと肩を震わせていた。

怖い……もう5人も死んでるんだ!
私もそのうち殺されちゃうんだ!
だって、だって……斧じゃ、絶対に銃に勝てっ子ないもん!
あぁもう!誰か助けてよ!

恐怖と苛立ちが募る中、少し遠くからぱんっ、と銃声が鳴り響いた。

「ひっ!」

もう嫌!
誰か助けて!
私、死にたくない!

「殺さなきゃ、殺さなきゃ、殺さなきゃ……」

ぶつぶつと何か独り言を言い、デイパックから斧を取り出し、ゆっくりと立ち上がった。

「[ピーーー]、[ピーーー]、[ピーーー]、[ピーーー]、皆、[ピーーー]……!」

斧を握り締め、倉庫から出た。



「……?」

何処から音が聞こえ青島帝(男子1番)は足を止めた。

何だ、今の音?
何処から聞こえたんだ?

ふと、背後からただならぬ殺気を感じた。
咄嗟に振り向くと、そこには物凄い形相の小倉由美がいた。

「なっ!?」
「[ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー]ぅうううぅう!!!」
286 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 09:56:52.27 ID:aFMIt3ru0(100/162)
奇声を上げながら由美は斧を振り下ろした。
帝は間一髪でそれを避け、デイパックを由美に投げつけた。

「ぎゃぅ!!」

デイパックは由美の顔面に直撃し、由美は勢いよく転倒した。
その隙に、帝は全速力で走った。

「ま、待ちやがれ!!」

背後から由美の罵声が聞こえたが、構わず走り続けた。



「あいつ……あいつぅ!!」

由美は悔しそうに地面を殴る。
拳から血が出たが、由美は殴り続けた。

「もう許さない……みんな、ぶっ殺してやる!!」

由美は斧を握り直し、帝が走って行った方向へ走りだした。


【残り21人】
287 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 09:57:20.97 ID:aFMIt3ru0(101/162)
24
私は負けない。
絶対に優勝する。
このプログラムで優勝して、楽に過ごすんだ!



木原燎子(女子8番)は大学全体が見渡せる高台で他の生徒達を探していた。

「……んー見つからないなぁ」

ま、当然かも。
外には隠れられるとこなんてあんまなさそうだし。

溜息をつき、腰を下ろすと鞄からいつも持ち歩いてる飴玉を取り出し、口に入れた。

「ん〜美味い」

飴を舐めながら、燎子はこれからのことについて考えた。

ーーやっぱ演技で騙して[ピーーー]のが一番ね。



【残り21人】
288 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 09:58:03.59 ID:aFMIt3ru0(102/162)
23
きもーい![ピーーー]よ、ブス!

ブスに生きる権利なんて無いと思いまーす!

きゃはは!言えてるぅー!

うわぁ……関わりたくねえ……

話しかけないでくれる?私までイジメのターゲットにされるから



「……[ピーーー]」

昔の記憶を思い出し、柳瀬美蘭(女子18番)は呟いた。
許せない。
私を虐めたあの糞女達を。
許せない。
私を見て見ぬ振りをして、イジメから助けてくれなかった傍観者達を。
みんな、[ピーーー]。
醜く[ピーーー]。
みんな生きる価値のないクズどもだ!

「……?」

移動中、誰かの声がしたような気がした。
足を止め、耳を済ませる。
やはり、声がした。

「殺さないとね」

ニヤリと笑い、ボウガンに矢を装填した。



「あーもう!マジイライラするぅ!!」

プログラムの理不尽さに吉山瑛里華(女子19番)はゴミ箱を蹴り飛ばした。
289 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 09:58:41.35 ID:aFMIt3ru0(103/162)
あーマジイラつく!
もうわけわかんない!
何でウチがこんなのやんなくちゃいけないんだよ!

「くそ!」

またゴミ箱を蹴ろうとしたとき、右肩に衝撃と激痛が走った。

「ぎゃっ!?」

思わず尻餅をつく。
一体何が起こったのか。
瑛里華は自分の右肩を見る。
そこには、銀色のアンテナーーーボウガンの矢が刺さっていた。

「ぁ……ぎぃ!」

痛い!
痛い痛い痛い!!
誰が、誰が私を傷つけた!?

「こんにちは、吉山さん」

背後から声がした。
瞬間、今度は背中に激痛が走った。

「ぁあああ!!!」
「どう、苦しい? 苦しいよね。でもまだまだこれからよ」

そう言って、瑛里華を襲った人物ーーー柳瀬美蘭はニヤリと笑った。

「ぶ……ブス……!」
「ブスじゃないわ。私の名前は柳瀬美蘭よ」

美蘭はナイフを瑛里華の右腕に突き刺した。

「ぎゃ、ぁああああ!!!」
「うふふ、いい声。もっと聞かせて」

美蘭はナイフを引き抜き、何度も振り下ろす。
ナイフが瑛里華に刺さる度に瑛里華は悲鳴をあげる。
何度も、何度も、何度も、何度も、何度もーーー。



「あ……」

また瑛里華の身体を刺そうとしたが、手を滑らせ、彼女を首を引き裂いてしまった。

「ぎっ!」

そんな声と同時に血飛沫が巻き散った。

「……まだまだ苦しませたかったのに」

瑛里華の死体を蹴り、自分のデイパックから名簿を取り出し、瑛里華の名前に線を引いた。


女子19番吉山瑛里華 死亡

【残り21人】
290 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 09:59:10.02 ID:aFMIt3ru0(104/162)
22
朝倉和音(女子2番)は考えていた。
どうすればあの女ーーー明石美雨(女子1番)を[ピーーー]ことが出来るのか。
鎌では無理だ、避けられた。
やっぱり銃が欲しい。
マシンガンだったら
しかしーーー。

「問題はどうやって手に入れるか、よね」

マシンガンを持ってる人が素直に渡してくれるとは思えない。
殺して奪うのが手っ取り早いが、鎌では圧倒的に不利だ。
しかし、もしマシンガンの持ち主が貧弱だったら?
例えば臆病者の青島帝(男子1番)や若佐真樹夫(男子18番)だったら?
お人好しの本戸麻耶(女子13番)や光井春奈(女子15番)だったら?
もしかしたら、可能性があるかもしれない。
そう思うと少しだけ気が楽になった。

「待ってなさい明石美雨。貴女を殺して私が女子1番になるんだから」

鎌を強く握りしめ、和音は歩き出した。



少ししてすぐに見つけた。
若佐真樹夫の姿を。
真樹夫はベンチに座り、ムシャムシャとパンを食べてる。
ーーー不用心ね。
心の中で嘲笑い、気づかれないよう、後ろに回り込み、慎重に近づく。
真樹夫はまだこちらに気づいてない。

良かったわね、真樹夫君。
苦しまないで終われるんだから。

そして和音は鎌を振り下ろした。
カッ、とヒールのような音がした。
鎌は深々と真樹夫の後頭部に食い込んだ。
真樹夫は一瞬だけ、ベンチから立ち上がりかけ(その際手からジャムパンが落ちた。)、地面に倒れた。

「やっちゃった……」

生まれて初めて人を殺した和音は右手で胸を押さえる。
周囲に聞こえるんじゃないかと思うぐらい心臓の鼓動がバクバクと鳴っていた。

ーー落ち着け。
大丈夫。私は悪くない。
だって、これがルールなんだから。
私がやったことは正しい筈だ。

「こいつの武器は、と」

少しして幾分か落ち着いた和音は早速ゴソゴソと真樹夫のデイパックを弄る。
そして、出てきたのはーー。

「お、当たり」

コルト・パイソンだった。
マシンガンに比べれば対したことはない。
でもこれで、あの女ーー明石美雨を[ピーーー]事が出来る。

「さぁ、待ってなさい、明石美雨!殺してあげるから……でもその前に」

和音は地図を取り出し広げた。

「そろそろお腹が空いてきちゃった」

何処か食べ物がありそうな場所を探して和音は歩き出した。


男子18番若佐真樹夫 死亡

【残り
291 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 09:59:49.03 ID:aFMIt3ru0(105/162)
21
浮田匠(男子3番)は3号館の男子トイレの個室の中でガタガタと身体を震わせていた。

ーー殺した、殺したんだ。
俺は、この手で友達をーー拓也を殺したんだ!

思い出すあの光景。
出刃包丁で襲いかかる拓也。
そして、変わり果てた拓也の姿。

「っ……!」

耐え切れず、また吐いた。

「う……もう……い、やだ……」

もう限界だった。
早く楽になりたい。
そう願ったとき、近くから足音が聞こえた。

ーーああ、そうだ。殺されてしまおう。
もう、何もかも終わりにしよう。

匠は個室の扉を開けた。



小沢直己(男子9番)と佐倉大貴(男子10番)は3号館を探索していた。

「んー……ここも他の建物と同じだな。教室ばかりだ」
「パソコン室って何処にーー」

大貴は咄嗟に直己の口を防いだ。
そして、そっと耳打ちをした。

「……そのことはあまり喋るな。気づかれる」

大貴の言葉にはッとし、直ぐに頷いた。

大貴は気づいていた。
この首輪に盗聴器が仕組まれてることに。

「よし、この階調べ終わったらすぐに移動ーー」
292 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:00:26.91 ID:aFMIt3ru0(106/162)
ガチャリ、と扉が開く音がした。
二人は咄嗟に音のした方を見る。
そこには、浮田匠がいた。

「あ、たくーー」

直己が匠に近づこうとしたとき、大貴が直己の腕を掴んだ。

「大貴?」
「気を付けろ、もしかしたらあいつは、やる気かもしれない」

その言葉に、直己は目を丸くした。

「な、何でさ?」
「お前も見ただろ? 拓也の死体を。 時間的に考えて、あいつが拓也を殺した可能性が高い」

そんな、まさか。
直己は思った。
匠は怖がりだけど、人殺しなんてーー。

そこで、直己はある可能性を思いついた。

きっと、そう。
彼は怖いんだ。
だから、殺してしまった。
本当はやる気じゃないんだ!

その可能性を考えた直己は直ぐに匠に近づいた。
大貴の静止する声がしたが、構わず匠に駆け寄り、言った。

「……匠、大丈夫だよ。僕達はやる気じゃないよ。 だから信じーー」
「殺して」
「……へ?」

突然、何を言ってるのか理解出来なかった。

「えと、匠?」
「もう生きたくないんだ。 だからーー」
「だ、駄目だってーー」

そう言った瞬間、匠の目が変わった。

「ふぅん、そっか。 殺してくれないんだ。 ならいいやーー[ピーーー]」

匠が自分のベルトから何かを抜いた。
黒い塊だった。
そして、それを直己の額に押し付けーー銃声が鳴った。



銃声が鳴った瞬間、直己の頭部が弾け飛ぶのを大貴は見た。

「な、おき……?」

一瞬だけ混乱したが、すぐに理解した。
匠が、直己を殺した。

「ぅああああああ!!!」
293 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:01:04.64 ID:aFMIt3ru0(107/162)
殺した!
直己を殺した!
あいつが!
匠が、直己をぶっ殺した!
許さねぇ!!

「匠ぃいい!!」

怒りに任せ、大貴は引き金を何回も引いた。


大貴は知らない。
匠を殺害した様子を遠藤誠治(男子5番)に見られていたことに。


男子3番浮田匠 死亡
男子9番小沢直己 死亡

【残り24人】

294 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:02:15.81 ID:aFMIt3ru0(108/162)
19
どうして、どうしてこうなっちゃったの!?
私、私そんなつもりなんて、なかったのに!



三浦沙奈(女子14番)は血塗れの彫刻刀は握りしめながら階段を駆け上がっていた。
私、私、とんでもないことしちゃった!
どうしよう!どうしよう!
どうしたらいいの?
お願い、誰か教えて……!



数分前。

『それでは、頑張って下さい』

放送が終わり、沙奈の顔はさあ、と青ざめた。
先程の放送で何人かが亡くなった。
その人達が自[ピーーー]るなんて、とても思えない。
きっと、誰かが殺したんだ。
そう思うとますます恐くなった。

「ど、何処か隠れなきゃ……」

周囲をぐるりと見回す。
そして、4号館の建物を見つけた。

「あそこなら……」

一気に走り、建物に入る。
入って直ぐに、教室を見つけた。
あそこならーーー!
沙奈は扉に手をかけた。
と、そのとき、ギィ、と音を立て、扉が開いた。
沙奈は目を見開いた。
目の前に、瀧口龍人(男子13番)が立っていた。
龍人はクラスで唯一の不良だ。

不良ーーー私、殺される?
295 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:02:58.48 ID:aFMIt3ru0(109/162)
そう思った瞬間、沙奈は咄嗟に彫刻刀を突き出した。
龍人は避けようとしたが間に合わず、彫刻刀は龍人の首を引き裂いた。

「あーーー」

沙奈が声を出した瞬間、血飛沫が舞い、沙奈の身体が血まみれになった。
龍人は目を大きく見開きながら床に倒れた。

「ぁ……あぁ」

そんな、私、[ピーーー]つもりなんてなかったのに!

その場から逃げ去るように沙奈は階段を駆け上がりーーそして、今に至る。



ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!

沙奈は何度も謝り続ける。
もういない龍人に向けて。

ごめんなさい、ごめんなさい、ごめーー。

「あっ!」

階段を駆け上がり、後一段というところで、足を滑らせた。
グルリと視界が反転する。
少しして、首からゴキッと骨の折れる音がした。
それが沙奈の聞いた最後の音だった。


男子13番瀧口龍人
女子14番三浦沙奈

【残り29人】
296 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:03:24.76 ID:aFMIt3ru0(110/162)
17
知らなかった。
命を狙われるのが、こんなにも恐いだなんて。



「ぁああ……し、死にたく、死にたくねえよ……!」

脇村和人(男子19番)は必死に走っていた。
時々、転び、手を擦りむいたが、構わず走り続けていた。

「あ……!」

走り続けていた和人はレストランを見つけた。
あそこに隠れよう!
そう思い、ドアノブに手をかける。
しかしーー。

「え……」

扉は開かなかった。
押しても、引いても、ガチャガチャと音を立てるだけで、開くことはなかった。

「嘘だろ……」

他の場所を探そうとして振り向いた瞬間、動きが止まった。
ボウガンを構えた柳瀬美蘭(女子18番)がいたので。

「また会えたね」

美蘭が微笑み、矢を放った。
矢は和人の左膝に命中し、和人は倒れた。

「ぅああああ!!いた、痛い!痛いぃいい!!!」
「煩い」

美蘭は和人に駆け寄り、顔面を思い切り蹴り飛ばした。
美蘭の蹴りは想像以上の威力で、鼻の骨が折れ、歯が何本か折れた。

「ぎっ!」
「私が虐められた痛みはこんなもんじゃないわ」

和人に刺さった矢を引き抜き、今度は右肩を突き刺す。
そして、また引き抜くと、今度は左腕に突き刺した。

「がはっ!がっ!」
「まだよ、まだまだなんだから……!」

その後も拷問は続いた。
腕や足や肩を刺され、顔や股間や腹部を何度も蹴られ、そしてーーー。



「ふう」

終わった。

美蘭は微笑み、名簿を取り出した。

「これで4人……でもまだまだ足りないわ……もっと殺さないと……特にーー」

自分を虐めた小倉由美(女子6番)、中谷香里奈(女子12番)、吉山瑛里華(女子19番)。
そして、その三人に自分を虐めるように指示したーー木原燎子(女子9番)。
この4人は何としてでも自分の手で殺したい。
お願い、4人共。
私に合うまで死なないでね。

ふと、空を見上げる。
もう、太陽が登っていた。


男子19番脇村和人 死亡

【残り31人】

序盤戦終了
297 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:03:54.33 ID:aFMIt3ru0(111/162)
02
周囲のざわめきに柳瀬美蘭(女子18番)は静かに目を覚ました。

ーーいつの間に眠ってたんだろう?

美蘭はゆっくりと体を起こし、周囲を見回した。
薄暗くてよく分からないが、自分はどうやら教室にいるらしい。
でも、自分の教室ではない。

次に何人かの生徒を観察した。
右隣の席に座っている明石美雨(女子1番)は委員長の木原燎子(女子8番)と話してる。
前の席ではギャルグループの小倉由美(女子6番)と吉山瑛里華がぎゃあぎゃあと喚いていた。

ーーホント、煩い女達。

美蘭はギャルグループが嫌いだ。
何かあったらすぐ暴力に走る。
平気で他人を傷付ける。
美蘭もその被害者の一人だ。

「あ、柳瀬さん起きた?」

保険委員の六木成美(女子16番)が話しかけてくれたが、正直鬱々しい。
誰かといるより、一人でいる方が幾分かマシだ。
でも、無視するのも悪いのでとりあえず、「うん、まぁ」とだけ言っておいた。
成美は「そっか」と言って、幼馴染の桃園歩美の元へ走って行った。

ーー何やりたかったのよあの女。

はぁ、と溜息を零した瞬間、ガラッと教室の扉が開いた。
それから一人の女性と兵士達が入って来た。

「だ、誰ですか、あなーー」
「皆さん、席に座って下さい」

燎子の言葉を遮って女は言った。

「十秒以内に座りなさい。 ……でないと」

一人の兵士が銃を天井に向け、撃った。
パァン、と弾けた音と閃光と同時に天井に穴が開いた。

「さ、早くなさい」



「さて、自己紹介が遅れましたね。 私の名前は五十音お子と申します。 皆さんの新しい担任です」
「あの!」

燎子が手を挙げた。

「えーと……あなた、木原燎子さん? 質問なら後で……」
「あ、篠塚先生は……っていうかこの状況を説明して貰えませんか?」


ふふ、とニッコリ笑いーー言った。

「あなたたちは今年のプログラムに選ばれました。 おめでとうございます」

298 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:04:21.75 ID:aFMIt3ru0(112/162)
04話
青島帝(男子1番)は教室から出た後、すぐに階段を降り、1号館を出た。
首を左右に振り、取り敢えず右方向へ走った。

少しぐらいして、ある建物を見つけた。
2号館だ。
帝は2号館へ入ると、4階まで一気に駆け上がり、男子トイレの一番奥の個室に入り、鍵をかけた。

「ぜぇ……はぁ……」

一旦呼吸を整え、デイパックを開けた。
デイパックにはあの担当教官の言う通り、地図、名簿、ペン、懐中電灯、食パン、水のペットボトル、そしてーーー。

「ん、ん……?」

指に何かが当たった。
それを掴み、引っ張り出す。
ーーークリップだった。

「は、ぁ……?」

帝は唖然とした。

何、これ?
クリップ?
クリップ、だよね?
何で?
もしかして、これが、俺の武器?

そして、一気に絶望に包まれた。
帝は野球部に所属しており、体力や身体能力にはそこそこ自信がある。
しかし、殺し合いとなれば話は別だ。
銃やマシンガンでは絶対に勝てない。

「どうしたらいいんだよ……」

もうどうしようも出来ず、うずくまる。
そのときだった。

銃声が鳴った。



浮田巧(男子3番)は腕が震え、大型拳銃、S&Wをカシャンと落とした。
足元にはクラスメイトのーーー枝地拓也(男子4番)が額から血を流しながら倒れていた。

そう、殺した。
殺してしまった。

俺は、ただ、話かけただけなのに。

そう、話かけただけ。
しかし、拓也は巧の持ってる銃を見て、巧がやる気だと勘違いした。
そして、出刃包丁を取り出し、襲いかかってきた。
巧は、拓也を咄嗟に撃ってしまった。
銃弾は、運悪く、拓也の額を貫いてしまった。



「お、俺は悪くない!」

そう、自分は悪くない。
話かけただけだ。
話かけただけなのに拓也は自分を殺そうとした。
これは、正当防衛だ。

「悪くない、悪くない、悪くない、悪くない……」

何度も呟きながら、落としたS&Wを拾い、巧は何処かへ走り去って行った。


男子4番枝地拓也 死亡

【残り39人】
299 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:04:50.00 ID:aFMIt3ru0(113/162)
05
浮田巧(男子3番)が枝地拓也(男子4番)を撃ち殺した音は残りの生徒達を一気に不安にさせた。
しかし、五十音は何事もなかったかのような表情で次の生徒の名前を呼んだ。

「次、女子4番牛原奈美さん」

奈美は涙を流しながら席を立ち上がり、デイパックを受け取った。
教室を出る際、一瞬だけ、誰かを見た。
きっと、恋人の海堂和巳(男子6番)だろう。
少なくとも遠藤誠治(男子5番)はそう思った。

「男子5番遠藤誠治君」

自分の名前が呼ばれ、誠治は立ち上がった。

「ふふ、頑張って下さい」

誰が頑張れだ。
俺は絶対にこんな糞な殺し合いやらねえからな。

デイパックを受け取り、誠治は外に出た。
そして、直ぐに見つけた。
見つけてしまった。
数分前に出発した枝地拓也の遺体を。

「……っ!」

さっきの銃声……まさかこれで拓也が死んだのか!?
いや、今優先することはーーー。

誠治は後方を一瞥すると、全速力で走った。
それから数分して誠治は3号館へ辿り着いた。
扉をそっと開け、中に入る。
人の気配はしない。
ホッと息をつくと、すぐに階段を駆け上がり、3階の教室へ入った。

「はぁ……取り敢えず、最初の放送までここでーーー」

少しだけ安心しかけてた誠治は目を見開いた。
誰かが、倒れていた。
少し距離があったので誰かは分からなかったが、スカートを履いてるから女子だという事は分かる。

寝てる?
気絶してる?
死んだフリ?

恐る恐る、近寄る。
そして、分かった。
倒れていたのは先程出発したばかりの牛原奈美(女子4番)だということに。
右手にはカッターナイフが握られており、首を切ったのか、首から血がどくとくと溢れ出ていた。
もう、手遅れだった。

「嘘、だ……そんな、……」

何でだよ。
どうして、自[ピーーー]るんだよ。
お前、確か海堂と付き合ってたよなぁ……
なのに、どうして海堂より



女子4番牛原奈美 死亡

【残り38人】
300 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:05:48.04 ID:aFMIt3ru0(114/162)
06
「奈美……?」

1号館に出た直後、海堂和巳(男子6番)はポツリと呟いた。
何処かで恋人の牛原奈美(女子4番)が死んだ。
そんな気がした。

俺の気のせい、かな?
でも、何だろうこの胸騒ぎは。
いや、あり得ない。
奈美が死ぬはずないんだ!

「奈美が、死ぬわけないんだ!」

何度もそう言いながら和巳は走った。
奈美を探すために。



和巳は走り続けた。奈美を探すために。奈美に会うために。それから数十分程走り続けたが、奈美は見つからなかった。

「奈美……何処にいるんだ……?」

奈美、お願いだから無事でいてくれ……!

その時だった。

ーーー和巳。

「奈美!?」

奈美の声が聴こえ、周囲を見回す。しかし、奈美の姿は無かった。

「気のせい、か?」

ーーー違うわ、和巳。私はここにいるわ。

「奈美!? 一体何処にいるんだ!」

ーーー和巳、私はこっちにいるわ。こっちに来て。

「こっちって……」

暫くすると北の方から奈美の声がした。

ーーー和巳、こっち。北よ。 北の方よ。

「北、だな。 よし」

奈美の言葉を信じ、和巳は北へ走った。

ーーーそう、和巳。こっちよ。



首輪から変な音がしたが、和巳は気にせず歩き続けた。

奈美、待ってろ。もうすぐ会えるからな。だからーーー。

ドン、と首輪が爆発



「男子6番の死亡が確認されました」

海堂和巳の死の報告を受け、女は素早く報告書を書き上げた。

「それにしても……」

一人の兵士が言った。

「男子6番は何がしたかったんでしょうね。 何か女子4番の名前を何度も呟いてた見たいですけど」「ふふ、知らないの? 海堂君はね。 薬物依存症なのよ。 ここ暫く薬物はやってなかったみたい。 だから聴こえたのよ、牛原奈美の幻聴が」

ふふ、と笑い、女はカップに残ってるコーヒーを全部飲み干した。


男子6番海堂和巳 死亡

【残り37人】
301 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:06:26.31 ID:aFMIt3ru0(115/162)
09
青嵐大学には三つのレストランがある。
一つは和食を中心とした料理が自慢のレストラン。
もう一つは洋食を中心とした料理が自慢のレストラン。
そしてもう一つは中華を中心とした料理が自慢のレストラン。

その中の一つ、和食レストランの中に伊月伴太(男子2番)がいた。
ここに来た理由は特にない。
ただ、何となくだ。
鍵は掛かっておらず、すんなりと入ることが出来た。

「それにしても……これが俺の武器か……」

椅子に腰掛け、武器のナイフを見つめる。
外れではないが、当たりとも言えない。
微妙な武器だ。
これでは幼馴染を守ることさえも出来ない。
と、そこで自分が幼馴染を待たなかったことを後悔した。

あーあ、何で待たなかったんだろうな。
ちょっと我慢すりゃ、すぐにあいつに会えたのに。
いや、仕方ない。

伴太は首を振った。
どんなに後悔してももう遅い。
それよりも早く幼馴染を見つけるべきだ。

「んっ?」

ふと窓を見ると、誰かが歩いているのが見えた。
あれはーーー。

「あいつ……!」

間違いない。
伴太は急いでレストランを飛び出した。
そして、その人物の名を呼んだ。

「弥生!」

話しかけた途端、幼馴染ーー大下弥生(女子5番)の肩がピクッと跳ね、そして、振り向いた。
302 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:07:19.29 ID:aFMIt3ru0(116/162)
「あーーー」
「良かった、無事だったんだーーー」
「来ないで!」

伴太は目を見開いた。
弥生の手には銃が握られていた。
弥生はマイクロウージーを伴太に向けた。

「や、よい? 何の冗談ーーー」
「私、もう誰も信じないんだから!」

そう吐き捨て、弥生は引き金を引いた。
銃口が火を吹き、銃弾は伴太の足元に命中した。

「や、弥生!」
「煩い、煩い煩い!!私、死にたくない!! 枝地君みたいになりたくない!!」
「なっ、枝地!?」

意外だった。
枝地拓也(男子4番)はああ見えて、結構運動神経はいい。
そんな彼がこんな早々に死ぬなんて思いもしなかった。

「信じない! みんな私のこと[ピーーー]んだ!!」
「違う!俺はーー」
「黙れぇえええ!!!」

弥生はもう一発撃ち(目を瞑りながら撃ったためか、今度は全く見当違いな所に命中した。)、走り去って行った。

「なん、でだよ……」

伴太は膝をついた。

わからなかった。
何故、弥生は逃げたのか。
何故、幼馴染の自分を信じてくれなかったのか。

沢山の疑問が生まれるが、考えても分からなかった。
そして、その疑問が分かることは二度となかった。


【残り38人】
303 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:08:08.77 ID:aFMIt3ru0(117/162)
10
朝倉和音(女子2番)は明石美雨(女子1番)を探していた。
理由は一つ。
彼女を[ピーーー]ため。



和音は小学校でいつも女子1番だった。
1番。
和音はそれを誇りに思っていた。
しかし、6年の夏休みになる前だった。

「みなさん、初めまして!明石美雨です!」

あの女が転校してきた。
そして、その日からあの女は女子1番に、自分は女子2番になってしまった。



「[ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー]」

鎌をギュッと握りしめる。
この鎌を、あの女に振り下ろすんだ!
取り戻すんだ!
女子1番は、私のもんだ!

「!!」

ふと足を止めた。
そして、ニヤリと笑った。
少し遠くで、明石美雨の姿が見えたので。



明石美雨は出発した後、誰かを待たなかったことを後悔していた。
もし待ってたら親友の牛原奈美(女子4番)と合流出来た筈なのに。
でも、後悔しても仕方ない。
奈美が生きてることを祈って美雨は歩き続けた。

「……はあ」

溜息をついた。
と、同時に反射的に後ろを向いた。
人の気配を感じたので。
そして、そこにいたのはーーー。

「[ピーーー]えええええ!!!」

物凄い形相で鎌を振り上げてる朝倉和音だった。

「きゃっ!?」

咄嗟に飛び退き、鎌を避ける。
鎌は美雨のすぐ近くにあった木に食い込んだ。

「ちっ!避けんじゃないわよ!」
「か、ずねちゃん!? 何で……」
「あんたが気に入らないからよ!」

鎌を引き抜き、また振り下ろす。
これも何とか避けた。

「お願い、もうやめて!」
「嫌よ!あんたが死ぬまでやめないわ!!」

もう一度、鎌が美雨を襲う。
美雨は避けず、デイパックで鎌を防いだ。
「いい加減、死になさいよ!」
「……ごめんね、でも、私、ここで死ぬわけにはいかないの」

美雨は回し蹴りを繰り出した。突然の動きに対応出来ず、和音は後方に吹き飛ばされた。美雨はすぐに和音に背を向け、走り出した。背後から自分を罵倒する声がしたが、構わず走り続けた。


「ぅ……う……あの女ぁああ!」

逃げられた!絶対に仕留められると思ってたのに!!くそ!くそ!くそぉおお!!

悔しさのあまり、何度も木を鎌で刺す。そして、デイパックを掴むと、何処かへ走っていった。


【残り38人】
304 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:08:51.62 ID:aFMIt3ru0(118/162)
03
プログラム?
嘘だろ?
おい、嘘だって言ってくれよ



若佐真樹夫(男子18番)は自分の耳を疑った。
認めたくなかった。
自分が、殺し合いに、巻き込まれるなんて。

「嫌よ!」

桃園歩美(女子17番)がバンッ、と机を叩き、立ち上がった。
そして、担当教官を睨みつけた。

「私、嫌!どうして殺し合いなんかしなきゃいけないのよ!」
「決まりだからです。貴女も早くこのプログラムを受け入れなさい」
「嫌よ!絶対に嫌!私帰る!」

歩美が叫びながら扉へ駆け寄ろうとした。
しかしーー。

「大原野君、彼女を撃って。殺しては駄目よ」

女がそう言った瞬間、銃声が鳴った。

「きゃ!!」

歩美が腕を押さえ倒れた。

「歩美!」

委員長の木原燎子(女子8番)が歩美に駆け寄り、彼女を抱き起こした。
歩美の腕からは血がどくとくと溢れ出ていた。
305 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:09:25.93 ID:aFMIt3ru0(119/162)
「歩美!歩美!」
「ぅ……う……この、糞女……!」

歩美は腕を抑えながら担当教官を睨みつける。
担当教官は涼しい顔でクラス全員に言った。

「さて、これで皆さん分かったでしょ? 逆らう生徒はそれなりの対処をするつもりなので変な考えは持たぬように」

担当教官のその言葉で誰もが黙り込んだ。
いつも騒がしいギャルグループの小倉由美(女子6番)、中谷香里奈、吉山瑛里華も青ざめて、歩美を見ていた。


担当教官はコホンと咳払いをした。

「さて、ルールについて説明しましょうかね。えーと、はい、ご存知の通り、皆さんには殺し合ってもらいます。基本的に生き残れるのは一人だけです。生き残れるためであれば何をしても構いません。制限時間は特にありませんが……24時間死亡者が出なかった場合はその時点でプログラムは終了、生き残ってる皆さんの首輪を爆発させて貰います。ああ、そうそう、皆さんがつけてる首輪は高性能で、首輪を無理矢理外そうとしたら爆発しますよ」

五十音のその言葉に何人かの生徒が慌てて首輪から手を離した。

「コホン、次に、デイパックの説明ですね。 東崎さん、あれを」

東崎と呼ばれた兵士は教卓にデイパックを置いた。

「このデイパックの中には、生徒名簿、地図、ペン、懐中電灯、食料、水、コンパス、そして、武器が入ってます。 武器は当たりもあれば、外れも入っておりますので、武器が気に入らなければ他の人の武器を奪っても構いません」



「それでは出発して貰いましょう。男子1番青島帝君」

名前を呼ばれた帝は一瞬、顔を強張らせたが、すぐに立ち上がり、デイパック係の兵士の元へ向かった。

「では、ご健闘をお祈りします」

担当教官の言葉と同時に帝の姿は外へと消えて行った。


【残り40人】
306 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:10:02.34 ID:aFMIt3ru0(120/162)
11
僕は決めた。
このプログラムを生き残ることを。
理由は単純。
ただ、死にたくないだけ。



栗本克(男子8番)は中華レストランの厨房で中華包丁を手に入れた。
克の武器はスプーンだったので、これで少しマシになった。

「さて、と」

克はデイパックから名簿とペンを取り出した。

「取り敢えず、拓也は死亡、と」

枝地拓也(男子4番)の名前に線を引いた。
克は出発してすぐに拓也の遺体を発見した。
拓也の額には小さな穴が開いており、そこから血が溢れ出ていた。
克は拓也の遺体を見ても何とも思わなかった。
別に親しくもなかったので。
親しくないのは拓也だけではない。
クラスの殆どと親しくなかった。
だから、克は決めたのだ。
クラスメイトを殺して生き残ろうと。

「……?」

ふと背後から気配を感じた。
振り向こうとしたときーーー。
ババババッ、と掃射音が響き渡った。
それとほぼ同時に克の背中に激痛が走った。

「がはっ!」

克はその場に崩れ落ちた。

「ぅ……い、たい……」

立ち上がろうとしたが、ちっとも力が入らない。
このまま自分は死ぬのだろうか?
そう思ったとき、声が聞こえた。

「まだ生きてるんだ」

ーー嘘だろ?
何で、どうして?
お前は絶対そんなことする奴じゃない、と思ってたのに。

「ごめん、今、楽にしてあげる」

そう言って、彼ーー和英智樹(男子17番)は克に近づき、ウージーの銃口を克の頭部に向けた。

「や、めーー」

何とか命乞いしようとするが、その前にウージーの銃口から大量の弾が放たれ、克の頭部を貫いた。


男子8番栗本克 死亡

【残り37人】
307 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:10:34.32 ID:aFMIt3ru0(121/162)
12
六木成美(女子16番)はうーんと背伸びし、ソファに座った。

成美がいるのは8号館1階の保健室だ。
保健室にはたくさんの薬と医療器具が備わっており、多少の怪我ならここで処置出来そうだ。
そして、ベッドには先程応急処置を終えた桃園歩美(女子17番)がスヤスヤ眠っている。
出血多量で死ぬと思ったが、どうやら間に合ったようだ。

「お疲れなっちゃん」

応急処置を見届けた本島誠太(男子15番)が缶コーヒーを差し出した。

「ありがーーってこれブラックじゃん!」
「ごめんごめん、自販機で売ってるのそれしかなくて」

軽く謝るが成美は首を横に振った。

「悪いけど、歩美を見てて。ちょっと飲み物探してくる」
「は? ちょ、成美」
「大丈夫だって!すぐ近くなんだし、すぐ帰ってくるよ!」

成美はウィンクすると保健室から出て行った。

「あいつ大丈夫かな?」

後を追いかけよう考えたが、歩美のことを考えるとここを離れるわけにはいかなかった。

「全く……まあ、あいつは多分大丈夫だろ……」

そのときだった。
成美の悲鳴が聞こえた。

「成美!?」

悲鳴を聞いた誠太は思わず保健室から飛び出した。



「成美!!」
「あっ……」

誠太は悲鳴の現場に辿り着く。
そこには怯えた顔でへたり込んだ成美の姿があった。
308 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:11:10.28 ID:aFMIt3ru0(122/162)
「成美!大丈夫か!?何があった!?」
「……き、…り……」
「はっ?」
「ご、ゴキブリが出たの!」

成美は震える手で指を差す。
その先にはカサコソ動く小さな生命体ーーゴキブリがいた。

「ゴキ……ああ、なるほど……」

そういや、こいつゴキブリが苦手何だっけ。
すっかり忘れてた。

溜息をつき、成美の腕を掴み、立ち上がらせる。

「あ……」
「ほら、戻るぞ」
「う、うん。 ありがと」

一瞬、成美の顔が赤くなったが、誠太は気づかず、保健室へ戻った。

「それにしてもまだ苦手なのか」
「無理無理!あれだけはホント無理!」
「ハハ、」

そう言って誠太は保健室の扉へ手を伸ばしーー動きを止めた。

あれ?
俺、保健室のドア閉めたっけ?

「どうしたの? 早く入ろ」
「あ、うん」

成美に急かされ扉を開ける。
そして、見た。

「えーーー」

血塗れに染まった桃園歩美の遺体を。


女子17番桃園歩美 死亡

【残り36人】
309 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:11:46.62 ID:aFMIt3ru0(123/162)
13
一人目。
長谷佑磨(男子12番)は名簿に桃園歩美(女子17番)の名前に線を引いた。



佑磨が保健室を訪れたのは本島誠太(男子15番)が保健室を飛び出してからすぐのことだった。
保健室のベッドには歩美が気持ち良さそうにすやすやと眠っている。
ーーー呑気な女だ。
佑磨はデイパックから包丁を取り出し、歩美目掛けて包丁を振り下ろした。



「……あーあ、


【残り36人】

310 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:12:19.75 ID:aFMIt3ru0(124/162)
14
あーもうムカつく!
こんなのってないじゃん!
あんまりだよ政府!



河瀬美希(女子7番)は5号館の3階の女子トイレに隠れていた。
美希はイラついていた。
理由は三つ。
まず一つ目は、こんな理不尽なことを自分達に強要した政府。
最後の一人になるまで殺し合う、馬鹿げたルール。
こんな下らないものはやりたい人達だけでやればいいのに。
二つ目は友達を待たなかったこと。
あの時奈緒は恐怖で一号館から出た後、直ぐにその場を離れたが、少し待てば、友人の木原燎子(女子8番)に合流出来た筈だ。
そして、自分の支給武器だ。

「こんなんでどうやって戦えっていうのよ……」

溜息をついて、爪楊枝を見つめる。
そう、この爪楊枝こそが、美希の武器だ。

「もう、もぅ……死にたくないよ、私……」

どうしてこんなことになったんだろう?
どうして私達が殺し合いなんかしなくちゃいけないんだろう?
どうして、どうして、どうしてーー。



一方、その下の2階の教室ではーー。

「ぅ……うう……おしっこ、したいよぉ……」
311 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:12:48.54 ID:aFMIt3ru0(125/162)
岩峰奈緒(女子3番)が尿意を抑えようと必死に我慢していた。
奈緒は
でも、もうそろそろ限界が近かった。

「も、もう駄目!」

我慢出来ず、教室から飛び出す。
瞬間ーー。

「えーーー」

ずぶりと何かが奈緒の腹部に刺さった。
これはーーー何?
そこで奈緒の思考は停止した。



長谷佑磨(男子12番)は奈緒の腹部に刺さった包丁を引き抜く。
もう奈緒は死んでいた。

「ふうん、人ってこんな簡単に死ぬんだ」

奈緒の遺体をジッと眺める。
が、すぐに顔を顰めた。

「臭っ!こいつ漏らしてやがる!」

奈緒の股間からジョボジョボと尿が垂れ、床と自身のスカートを濡らしていった。

「汚ねえ女。殺して正解だな」


女子3番岩峰奈緒 死亡

【残り35人】
312 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:13:20.06 ID:aFMIt3ru0(126/162)
15
「え、何ここ? コンビニ?」

出発してからずっと動き回っていた櫓冬明人(男子16番)はコンビニを見つけ、少し驚いた。
青嵐大学はとても広く、とてもお金持ちな大学だと聞いてはいたが、まさかコンビニまであるなんて。

「お、自動ドアじゃない。ラッキー」

周囲を見回し、誰もいないことを確認すると、中に入った。
そして、また驚いた。
レジの近くで、人が倒れていたので。

「お、おい!大丈夫か!?」

声をかけるが、返事はない。
明人は恐る恐る近寄る。
そして、分かった。
倒れてる人物が司馬祐樹(男子11番)だということに。
祐樹はサッカー部のエースだ。
運動神経抜群で、彼が死ぬだなんてあり得ないと思っていた。
その祐樹が血塗れになって倒れている。
祐樹の腹部にはナイフのような物が深々と突き刺さっており、そこから血が緩々と流れていた。

「酷い……誰が、こんな……」

そのとき、祐樹の指が僅かに動いた。

「!? ゆ、祐樹!」
「っ……そ、の声……明人、か……?」
「ああ、そうだ!祐樹、誰にやられたんだ!?」
「ぅ……や、なせ……気を、つけーーー」

パンッと乾いた音が響いた。
同時に祐樹の頭部が大きく揺れ、祐樹は物言わぬ死体となった。
313 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:13:51.18 ID:aFMIt3ru0(127/162)
「ゆ、ゆう、き?」

明人は祐樹の身体を揺するが、もう祐樹が動くことはなかった。

「な、なんーーー」

また、銃声が鳴った。
そして、背中に激痛が走り、明人は倒れた。

「っ……ぅ……」
「うん、まだ生きてるね」

声が聞こえた。
女子だ。
きっと、これはーーー

「や、なせ?」
「正解」

また銃声が鳴り、右脇腹に穴が開いた。

「がっ!!……っ!」
「どう? 苦しい? でもね、私の受けた痛みはこんなもんじゃないわよ」

美蘭は祐樹に刺さったナイフを抜き、明人の腰を突き刺した。
そして、また引き抜き、右脹脛を突き刺す。
次に左脛、右手の甲、左踵。
そしてーーー

「とどめよ」

ナイフを首に突き刺し、そして、一気に引き裂いた。
鮮やかな血が美蘭の身体を赤色に染め上げた。

「うふふ、まだまだよ。こんなもんじゃ、私の気はすまないわ」

美蘭は明人のデイパックからボウガンと矢を取り出し、それを自分のデイパックに入れ、コンビニから去っていった。


男子11番司馬祐樹 死亡
男子16番櫓冬明人 死亡

【残り33人】
314 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:14:24.51 ID:aFMIt3ru0(128/162)
16
殺し合いに乗る者が現れる中、脱出を目指そうとする生徒もいた。
脇村和人(男子19番)もその中の一人だ。

「待ってろ糞政府め……これさえあれば……」

和人は支給武器の手投げ弾をギュッと握りしめた。



「あれ? あいつ何してんだ?」

武藤丈朗(男子14番)は隠れられそうな場所を探してる途中、和人の姿を見かけた。
和人は丈朗の存在には気づいていない。
このまま離れようと考えたが、やめた。
何か嫌な予感がしたので。
丈朗はばれないよう、慎重に和人の後を追う。
そして、見た。
和人が、1号館に入ろうとしてるところを。

「やめろ!」

気づいたときには叫び、和人の腕を掴んでいた。

「ちょ、いたっ!何すんだよ!」
「馬鹿か!死ぬつもりか!」
「違うって政府の奴らをぶっ[ピーーー]んだ!」
「はあ!? どうやって!?」
「これだよ!」

そう言って和人は手投げ弾を丈朗に突きつけた。

「これを使って政府の奴らを[ピーーー]んだ。どうだ、いい方法だろ!」

自信満々に和人は言った。
315 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:14:56.67 ID:aFMIt3ru0(129/162)
……こいつは本気で言ってるのだろうか?

「……なあ、それをどうやって彼奴らに投げるんだよ」
「え? そりゃ、普通に中に入って……」

「アホか。1号館はもうとっくに禁止エリアだ。中に入ったら即首輪が爆発するぞ」
「あ……」

和人の反応を見る限り、どうやら、ルールについてはあまり聞いてなかったらしい。
思わず、溜息をついた。

「兎に角、ここにいたって今は無意味だ。何処か離れーーー」

そのとき、風を切る音がした。
何だーーー?
そう思った瞬間、足元に棒が生えた。

「えっ?」
「はっ?」

どうして棒が?
いや、これは棒、なのか?

丈朗は棒を引き抜く。
あっさりと抜けた。
抜けた物は棒ではなく、矢だった。

「嘘、だろ……」

和人が言った。

何で急に矢が……?
もしかして、狙われてる?

「う、うわああああ!!!」

突然、和人が叫んだ。
そして、物凄い速さで逃げていった。

「ま、待て、待ってくれ!」

呼び止めるが、もう和人の姿は消えていた。
追おうとしたが出来なかった。
何故ならーーー。

「こんにちは、丈朗君」

女子の声がした。
瞬間、風を切る音と同時に首元が熱く感じるのが分かった。
でも、すぐに感じなくなった。



柳瀬美蘭(女子18番)は丈朗の首に突き刺さったボウガンの矢を引き抜き、またボウガンに装填した。

「脇村君、逃がしちゃったけど……ま、いいか」

クスリ、と笑い、美蘭は立ち去って行った。


男子14番武藤丈朗 死亡

【残り32人】
316 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:15:55.18 ID:aFMIt3ru0(130/162)
01話
六限目の授業が終わり、3年A組の生徒達はそれぞれの時間を過ごしていた。



「ねぇ、この間言ってたケーキ屋、潰れたってホント?」
「そーなんだよ!残念だなぁ、めっちゃ美味かったのに」

六木成美(女子16番)は桃園歩美(女子17番)と楽しくお喋りしていた。
少し離れた所では小倉由美(女子6番)、中谷香里奈(女子12番)、吉山瑛里華(女子19番)が雑談していた。
この三人は通称、ギャルグループと呼ばれている。
このグループは平気で悪いことをする。
カツアゲ、万引き、援助交際、その他色々。
勿論、イジメもしょっちゅう行っている。
ターゲットは月に変わるが、ここ最近になって三人と同じクラスの柳瀬美蘭(女子18番)へのイジメがどんどん酷くなっている。
その美蘭は三人とはかなり離れた席で文庫本を読んでいた。

「な、直己は修学旅行の自由時間誰誘うんだよ?」
「は? 聞くかそれ?」

小沢直己(男子9番)と佐倉大貴(男子10番)は来週行う修学旅行で誰を誘うか話していた。
この二人は幼馴染でよく一緒にいる。

「燎子ーお土産って何円までだっけ?」
「5000円までよ」
「嘘!? 安!」

教室の前側では委員長の木原燎子(女子8番)を始めとした委員長グループも修学旅行の話をしていた。

「ねーまだ先生来ないの? あたし見たいテレビがあるんだけど」
317 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:17:39.03 ID:aFMIt3ru0(131/162)
購入後のダウンロードと楽しみ方
1.ご購入処理後、ダウンロードボタンをクリック。
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318 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:18:32.72 ID:aFMIt3ru0(132/162)
出席番号1番浅瀬瑠衣子
出席番号2番天野岳
出席番号3番伊藤露子
出席番号4番上島忌引
出席番号5番江藤佐喜雄
出席番号6番大間倫太郎
出席番号7番貝山蓮
出席番号8番加川勇太
出席番号9番笠井露樹
出席番号10番風見友信
出席番号11番木下健一
出席番号12番来宮藍子
出席番号13番近藤真樹夫
出席番号14番斎川麗華
出席番号15番佐久間由花
出席番号16番佐伯良悟
出席番号17番設楽佑都
出席番号18番田中陣
出席番号19番千葉綺音
出席番号20番長井名子
出席番号21番那波多目千鶴子
出席番号22番波沢
出席番号23番縄田
出席番号24番羽尾美智
出席番号25番長谷部純夏
出席番号26番前田歩美
出席番号27番三崎佳菜美
出席番号28番邑田繭
出席番号29番雪咲あや
出席番号30番若宮秋郎
319 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:19:27.46 ID:aFMIt3ru0(133/162)
「……風見君遅いな」

佐久間由花は小さい声でポツリと呟いた。
彼女は今、廃校になった中学校で同窓会

「おーい、風見何処行った?」
「知らなーい、トイレじゃない?」



その後、風見君の遺体は隣の教室に運ばれた。

「……誰が、殺したの

320 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:20:28.06 ID:aFMIt3ru0(134/162)
渇望スル島
321 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:20:58.77 ID:aFMIt3ru0(135/162)
フィリップ殺害/中庭に出た者
ジョルジュ殺害/頭痛薬を所持
デヴィッド殺害/喫煙者

中庭に出た者・ジェレミー、クロード、ロネット、イザベル、カイル
6人

頭痛薬所持者・クリスピン、イザベル、ジャン
喫煙者・ジェレミー、イザベル、ジャン

ロネット、クリスピン、ポーラ・禁煙者
ジェレミー・喫煙者
322 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:21:24.62 ID:aFMIt3ru0(136/162)
12:00・ジャン到着/廊下の絵画
12:30・応接室に隠しごと
13:00・からくり時計/ジェレミー、ロネット到着
13:30・中庭の影
14:00・ジェレミー中庭
14:30・クロード、デヴィッド、ロネット中庭
15:00・イザベル、カイル到着
15:30・イザベル喫煙
16:00・フィリップ、ミレーユ到着/イザベル、カイル中庭
16:30・ミレーユ入浴中/大広間南の絵画
17:00・中庭ロック後、クリスピン、ポーラ到着
17:30・階段の紋章
18:30・ディナーの歌
19:00・最初に着席
19:30・発見取り消し
20:00・ジョルジュの部屋の絵画
20:30・ジョルジュ死亡/南の階段火事
21:00・ペンダント入手
21:30・ジョルジュはフィリップが殺害
22:00・殺人の記憶
22:30・記憶喪失
323 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:22:05.41 ID:aFMIt3ru0(137/162)
カイルの両隣がデヴィットとイザベル

だとすると五人並ぶのは合ってます?

ジャンとジョルジュは向かい合って、6時と12時の方角
ジェレミーは5時
クリスピンは1時か11時の方角だけど五人が入るから1時かなと・・・
324 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:22:45.24 ID:aFMIt3ru0(138/162)
62
ジョルジュ
325 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:23:13.67 ID:aFMIt3ru0(139/162)
生徒名簿
男子
01青島帝(あおしま・みかど)
02伊月伴太(いつき・ともた)
03浮田巧(うきた・たくみ)
04枝地拓也(えだち・たくや)
05遠藤誠治(えんどう・せいじ)
06海堂和巳(かいどう・かずみ)
07木嶋影郎(きじま・かげろう)
08栗本克(くりもと・すぐる)
09小沢直己(こざわ・なおき)
10佐倉大貴(さくら・だいき)
11司馬祐樹(しば・ゆうき)
12長谷佑磨(はせ・ゆうま)
13瀧口龍人(たきぐち・たつと)
14武藤丈朗(むとう・たけろう)
15本島誠太(もとじま・せいた)
16櫓冬明人(ろとう・あきと)
17和英智樹(わえい・ともき)
18若佐真樹夫(わかさ・まきお)
19脇村和人(わきむら・かずと)
20渡辺弘(わたなべ・ひろむ)

女子
01明石美雨(あかし・みう)
02朝倉和音(あさくら・かずね)
03岩峰奈緒(いわみね・なお)
04牛原奈美(うしはら・なみ)
05大下弥生(おおした・やよい)
06小倉由美(おぐら・ゆみ)
07河瀬美希(かわせ・みき)
08木原燎子(きはら・りつこ)
09近藤美穂(こんどう・みほ)
10斎藤実里(さいとう・みのり)
11田中友里(たなか・ゆうり)
12中谷香里奈(なかや・かりな)
13本戸麻耶(ほんど・まや)
14三浦沙奈(みうら・さな)
15光井春奈(みつい・はるな)
16六木成美(むつき・なるみ)
17桃園歩美(ももぞの・あゆみ)
18柳瀬美蘭(やなせ・みらん)
19吉山瑛里華(よしやま・えりか)
20若村朋美(わかむら・ともみ)
326 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:23:48.72 ID:aFMIt3ru0(140/162)
和英智樹は家に帰ったら何しようか考えていた。
まず、


「ただいま!」

元気よく言った。
瞬間、ザクッと肉を切る音がした。
そして、痛み。

「えーー」

何が起こったのか理解出来なかった。

何で自分は血塗れなんだ?
何で父はそんな恐い顔をしてるんだ?
何で父は包丁なんか持ってるんだ?
何でーー。

「[ピーーー]、愚息子」

父のその言葉を最期に、智樹の視界は暗転した。


和英智樹 死亡

【残り0人】


327 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:24:23.68 ID:aFMIt3ru0(141/162)
男子
安斎史生
大久保忠教
奥村進太郎
小沢康郎
加納雅行
久我豊
熊谷学
児玉秀之
後藤克洋
坂田謙二
佐々義博
白井竜彦
白柳良成
田部明久
土屋広幸
根本敏夫
藤井潔
掘野聡
三原真一郎
宮本浩明
吉本茂

女子
岩松由紀江
浦上泉
及川奈津子
金沢直子
真田美和
橋本梓
林小織 さおり
横山明日香
328 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:25:14.49 ID:aFMIt3ru0(142/162)
「ぁああ……」

突然起こった惨劇に明石美雨(女子1番)は尻餅をついた。
自分の目の前には血塗れになって倒れてる朝倉和音(女子2番)と銃を持った柳瀬美蘭(女子18番)がいた。

「ねえ、明石さん」

美蘭が微笑んだ。
瞬間、銃声が響き、美雨の右腕に穴が開いた。

「あう!!」
「うふふ、まだ死なせないわ」

今度は風を切る音がした。
同時に、美雨の左太ももにボウガンの矢が生えた。

「あっ……ぎっ!!」

ーーやだ!
やだ、いや、死にたくない!

「や、やめーー」
「やめないわ」

美蘭は美雨の顔面を思い切り踏み付けた。
グチャ、と潰れる音と同時に美雨の鼻が折れ、鼻血が噴き出した。

「ぅあ……」
「ふふ、いい顔ね。もっと苦しんで」

美雨の太腿に刺さった矢を引き抜くと、今度は右肩を突き刺した。

「ぎゃっ!!」
「いいわ……もっともっと苦しんで!」

歪んだ笑顔でまた矢を引き抜いた。
瞬間ーー。

ぱららららっ!!

「いぎっ!?」

掃射音と同時に美蘭の身体から血飛沫が舞った。
そのまま美蘭は地面に倒れ、ピクリとも動かなくなった。

「やっと一人目だよ」

近くの影から和英智樹が姿を現した。

「わ……和英君……」
「死んで」

智樹は笑いながらマイクロウージーを美雨に向けた。

「あ、や、やめーー」

命乞いしようとしたが、もう遅かった。
掃射音が響き、全身に激痛が走った。
でも、その痛みも一瞬だけだった。
次の瞬間、美雨の意識は無くなった。

そして、終わりを告げる放送が始まった。


女子1番明石美雨 死亡
女子18番柳瀬美蘭 死亡

【残り1人・ゲーム終了】
329 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:26:27.77 ID:aFMIt3ru0(143/162)
近藤澄子(女子14番)は出発してから今まで誰にも会えずにいた。
でも、それでいい。
だって、自分には信用出来る人物はいないのだから。

「ここって……」

暫く歩き続けた澄子はとある建物を見つけた。




「あっーー?」

足を、踏み外した。



「い……い、やぁ……」

澄子は必死にもがくが、結果は変わらなかった。



澄子が抵抗しなくなったのを確認すると、渉は手を離した。

330 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:27:02.44 ID:aFMIt3ru0(144/162)
間宮礼司(男子15番)はある人物をずっと探し続けていた。
その人は誰にも優しくて、そして、正義感が強い人だ。
自分はきっとーーーいや、絶対に生き残れない。
だから、死ぬ前に伝えよう。
大好きだと。

「……何処にいんのかなぁ……」

ずっと歩き続けているが、出発してから誰にも会えない。
自分は方向音痴なのだろうか?
いや、修学旅行では一度も迷子になったことはないし、地図だって何回も読み、何回も確認した。
間違いない筈だ。
……多分。

「あーあ、腹減った」

ずっと歩き続けたせいか、腹の音が鳴った。
その場に座り、デイパックからパンを取り出し、一口齧る。
……あまり、美味しくなかった。

「んー……政府最悪」

パンをデイパックに仕舞おうとしたときだった。

ガサガサ

「っ!?」

近くの草の茂みから音が聞こえた。

「誰だ!」

礼司はデイパックから果物ナイフを取り出し、構えた。

「十秒以内に出て来い! 出て来なかったらやる気と見なすぞ!」
「ま、待って!」

草の茂みから誰かが飛び出した。
その人物を見て、礼司は目を見開いた。

「冷泉……」

冷泉小夜子ーー礼司が探していた想い人


ズドン!

「えーーー?」

大きな音がした。
そして、右腕に違和感を感じた。
ゆっくり自分の右腕を見る。
そこには、ある筈の腕がなかった。
そして、激痛。

「が、ぁあああぁああ!!!」

痛い、痛い、痛い、

「煩い」

何処かで誰かの声がした。





男子15番間宮礼司 死亡

【残り

331 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:28:00.07 ID:aFMIt3ru0(145/162)
「そ……その人……」

死体を見て、愛子は震える声で言った。

「知ってんのか?」

津和野俊之の問いに愛子はゆっくりと頷く。

「その人……春影司馬太郎(はるかげ・しばたろう)……私が勤めてる喫茶店の常連客なの」
「ちょ、首から上がないのに何でわかんのよ!」



「と、取り敢えず、もどーーー。」

一旦、もとの部屋へ戻ろうとして、与一は気づいた。
宜山一美が、何処にもいないことに。

「あ……れ?一美ちゃんは?」
「え?あっ、一美ちゃん?」

332 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:28:54.42 ID:aFMIt3ru0(146/162)
ワケあり生徒会
きっと僕ら恋人になる

ブラックロビニア
333 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:29:24.71 ID:aFMIt3ru0(147/162)
自分達のグループに殺し合いに乗る人なんか一人もいない。
横枝爽子(女子21番)はそう考えていた。

しかし、ホントにそう言い切れるのだろうか?
もしかしたら、あの中の誰かが襲撃者と手を組んで自分達を殺そうとしたかもしれない。
だとしたら、一番怪しいのはーー。

「爽子、どうしたの?」

和山麗香(女子25番)が心配そうにこちらの顔を見ていた。
爽子は少し微笑み、言った。

「ううん、何でもない。みんなを心配してただけ」



爽子と麗香が合流したのは逃げて直ぐの後だった。
合流した後、住宅街へ逃げようとしたが、悲鳴が聞こえたため、諦め、南の灯台へ向かった。
灯台に鍵は掛かっておらず、すんなりと侵入することが出来た。
それから二人はずっと隠れることにした。
そして、数時間後、仲間達の死を知った。
その中には新たに河合椛(女子6番)と矢丸俊美(女子18番)の名前が加わった。

「椛……俊美……」

麗華が二人の名前を呟き、涙を流した。
しかしーー爽子は思った。
本当に麗華は、仲間達の死を悲しんでいるのだろうか?
もしかしたら、自分を油断させるための演技なのかもしれない。

334 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:30:00.69 ID:aFMIt3ru0(148/162)
「そ、んじゃ私、見張りに行くから何かあったら直ぐに呼んでね」

麗香は軽く手を振ると扉を開け、外に出た。
バタン、と扉が締まったとき、爽子は自分の荷物を纏め、窓を開けた。

ーーーごめんね、麗香。
私、あんたのこと信用出来ない。

音を立てないようにゆっくりと外に出る。
そして、再び窓を閉じると全速力で走った。



それからどのくらい走ったんだろう。
走るのをやめたときには南の住宅街にいた。

「ここなら大丈夫、だよね」

そう安堵したときーーー。

「こんにちは」

声がした。
咄嗟に振り向くと、そこには大中寿美礼が笑顔で手を振っていた。

「あんた……大中……」
「どうしたの? そんな恐い顔して」
「別に」

寿美礼はギャルグループ全員に嫌われている。
勿論、爽子も寿美礼が嫌いだ。





「ぁ……」

全身に激痛が走った。
同時に身体中の力が抜け、爽子は倒れた。

「い……たい……」

一体、誰がーーー。
まさか、麗華が?
いや、麗華の武器はこんな強力なものじゃない。
だとしたら、これはーー。
335 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:30:27.54 ID:aFMIt3ru0(149/162)
そのときになって、ようやく人の気配に気づいた。


ごめんね、麗華。
貴女を疑って。
ごめんね、みんな。
私、ここまでみたい。
みんな、どうか生き延びてーー。

再び、イングラムから大量の銃弾が放たれ、爽子の顔面をグチャグチャに潰した。


女子21番横枝爽子 死亡

【残り
336 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:31:04.17 ID:aFMIt3ru0(150/162)
五十嵐萌子(女子2番)は襲撃者から逃げ切った後、K=4にある小学校の屋上に隠れていた。

一人になっちゃったけど、きっと、みんな無事だよね!
大丈夫、みんな強いもん!
私と違って。

そう信じていた。
一回目の放送を聞くまでは。

「嘘……俊美ちゃん……椛ちゃん……」

ああ……殺されちゃったんだ!
あの襲撃者に殺されちゃったんだ!

「助けて……助けて、麗香ちゃぁん……」

その時、屋上の扉がガチャリと開いた。

「え……?」

俯きかけていた萌子の頭が再び上がった。
そして扉の方を見るとある人物が笑顔で手を振っていた。
その人物を認識した瞬間、萌子の顔は明るくなり、その人物に駆け寄った。

「由子ちゃん!」
「萌子ちゃん!無事で良かった!」

茂木由子(女子15番)は涙目になりながら萌子に抱きついた。

ーー良かった、由子ちゃんが無事で。
後は麗華ちゃんとそれからーーー。

ザクっと何かが切れる音がした。
瞬間、首元が熱く感じるのが分かった。

「えーー?」

何が起こったのか理解出来ないまま、萌子は倒れた。



由子は萌子の首元に刺さったハサミを引き抜くと、再びデイパックに入れた。

ーー楽勝ね。このままいけば優勝確実、かな。

由子はニヤリと笑った。
由子は初めからこのプログラムに乗る気だった。
理由は単純、死にたくないから。
出発した後、和山麗華が待ち伏せしてグループ全員で行動しようとしたときはどうしようかと思ったが、誰かが襲ってくれたお陰で一人になることができた。

「でも」

襲った人物も恐らく高い確率でやる気になってる。
しかも、大当たりの武器を持ってる。

「気をつけて行動しなきゃね」

由子は二人分のデイパックを担ぎ、下階へ降りて行った。


女子2番五十嵐萌子 死亡

【残り
337 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:33:30.05 ID:aFMIt3ru0(151/162)
確かに中は気になる。
けれど、やっぱり由芽子ちゃんを放ってはおけない。

「由芽子ちゃん、立てる?」
「あ……はい……」

由芽子ちゃんは震えながらも立ち上がった。
私は由芽子ちゃんを支えながら、みんなのいる食堂へ向かった。



「というわけなんです」

私はみんなに事情を説明した。

「ねえ、由芽子ちゃんは何処で倒れてたの?」
「ええと、確か……仏原さんの部屋の前、だったと思います」
「ふぅん、仏原さんの部屋、ねぇ」

日畑香苗はニヤリと笑い、部屋を出ようとした。

「日畑さん? 一体何処に?」
「ちょっと、仏原さんの部屋に、ね」
「なら、僕も行こう。 何だか、嫌な予感がするんだ」

日畑さんと渡辺さんは食堂から出ていった。



「みんな、大変だ!」

それから渡辺が焦った様子で食堂に戻ってきたのは丁度五分後のことだった。

「あの、どうしました?」
「……仏原君が死んでる」

その言葉で食堂中が一斉に静かになった。
338 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:34:03.26 ID:aFMIt3ru0(152/162)
私は意を決して、中に入った。

「仏原、さん……」

私は彼の名前を何度も言うが、返事は無かった。

ーーいないのかな?

そう思って何気無くベッドの下を覗き込んだ瞬間ーー動きが止まった。

「えーー?」

いた。
仏原さんが。
何で、こんなところに仏原さんが?
私がそんな疑問を持った瞬間ーー。

「ぎっ!」

後頭部に激痛が走った。
ーーいた、い、誰……?

もう一度、頭部に激痛が走ったが、すぐに何も感じなくなった。

もう、事切れていたため。


BADEND

339 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:35:02.10 ID:aFMIt3ru0(153/162)


出題NO.4430-★-tanuさんより出題
大石が苦戦している頃、赤坂もまた苦戦していた。裏口から犬飼少年を担いで逃走してきたもう一人の犯人に、いきなり○○を蹴られて悶絶してしまったのだ。さて、赤坂は何を蹴られた?
    正答● 急所
340 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:35:36.61 ID:aFMIt3ru0(154/162)
須佐直人(男子10番)は深いため息を何度もしながら歩いていた。

まさか、俺が殺し合いに巻き込まれるなんてね……。
俺、何かやったかな?

また溜息をつこうとしたとき、何処からか、ノイズのような音が聞こえた。



『男子は3番嘉山信之君。女子は6番河合椛さん。14番村上美央子さん。17番八尾郁恵さん。18番矢丸俊美さん。以上5人。次に禁止エリアです。今から一時間後にC=4、その二時間後にB=8、そして3時間後にF=2です。皆さん、地図にチェックは済ましましたか? では次の放送でお会いしましょう』



「くそっ!」

放送が終わった後、直人は地面を殴った。
誰も殺し合いなんかしないと思ってたのに。
なのに、どうして……。

「どうして[ピーーー]んだよ……!」

それが、直人の最期の言葉だった。

パパパパ!!

ふと、背後からあの音が聞こえた。



斎藤紘子(女子8番)は見てしまった。
須佐直人が殺される瞬間を。
殺した人物は仮面をつけていたから分からないけどーーー間違いない。
村上美央子(女子14番)と、八尾郁恵(女子17番)を殺した犯人はあいつだ。

「早く、みんなに伝えなきゃ!」

紘子は走り続けた。
少しでも早くみんなを救うために。


男子10番須佐直人 死亡

【残り34人】
341 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:36:10.44 ID:aFMIt3ru0(155/162)
矢丸俊美(女子18番)の悲鳴を聞いたのは他にも数名いた。
その中の一人、河合椛(女子6番)は逃げるように住宅街から離れていった。

「やっば!誰かわかんないけど絶対に死んだよ!」

椛はあの後、直ぐに校門まで戻った。
もしかしたら誰か逃げ遅れたメンバーがいるかもしれない。
椛は校門付近を探したが誰もいなかった。
代わりに、村上美央子(女子14番)と八尾郁恵(女子17番)の遺体を見つけ、改めて二人が死んだことを実感した。
それから椛は住宅街へ向かった。
この季節だ。
野宿すれば高い確立で風邪を引く。
そう考えた椛は直ぐに住宅街へ向かった。
しかし、途中であのマシンガンのような音を聞いて、怖くなり諦めた。
そして、今に至る。



それから少しして小屋を見つけた。
あそこで暫く隠れていよう。
小屋へ近寄り、ドアノブを回す。
しかし、ガチャガチャと音を立てるだけで、押しても引いても開かなかった。

「何よ、もう!」

開かない扉に腹を立て、扉を蹴った。
諦めて別の所へ行こうと回れ右をしたときーーー目を見開いた。
仮面をつけた人物がいたので。

「えーーー?」

仮面をつけた人物は右腕を上げた。
そこで椛は気づいた。
右手に黒い塊が握られていることに。

あれ、何ーーー?

瞬間、黒い塊から光が瞬いた。



仮面をつけた人物は倒れた椛に近寄る。
全身から血を流しており、一目で即死だと分かった。

「ひぃ!!」

後ろから声が聞こえた。
ゆっくりと振り向くと、そこには嘉山信之(男子3番)が怯えた目でこちらを見ていた。

「や、やめてくれ!な、何でもするから!!だからーーー」

仮面の生徒は黒い塊ーーーイングラムM11サブマシンガンを信之に向け、トリガーを絞った。

「ぎゃあぁあああぁ!!!」

大量の銃弾が信之に襲いかかる。
手を、足を、頭を、顔を、身体を銃弾が貫いた。
音が止むと、信之はドサリと地面に倒れた。
仮面の生徒は信之を一瞥すると森の中へ消えていった。


男子3番嘉山信之 死亡
女子6番河合椛 死亡

【残り35人】
342 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:36:43.78 ID:aFMIt3ru0(156/162)
この島には東西南北全てに灯台がある。
そのうちの一つ、南の灯台では吉田茉祐子(女子22番)と湯川希(女子20番)が隠れていた。

「ねえ、まゆちゃん……私達、生き延びられるかな……?」
「大丈夫だよ麗華がいれば何とかなるもん」

不安になる希を励ますも、茉祐子自身も不安になりつつあった。
というのも、今さっき銃声が聞こえたからだ。

ーー今の銃声……やっぱやる気の人がいるんだね。

そのとき、今まで椅子に腰掛けていた希が立ち上がった。

「希?」
「……まゆ、ちゃん……私、恐いの」

希はじっと茉祐子を見つめた。
茉祐子も希をじっと見てーー背筋が凍りついたような感覚が襲った。

ーー希?
まさか、そんな……。

そんなはずない。
希は気が弱いけど、心優しく、命の大切さをよく理解している少女だ。
その彼女がやるはずない。
そう、きっと自分の気のせいだ。
しかし、その淡い期待はすぐに消えた。

「……私……死にたく、ないよ……だから、まゆちゃん」

希は茉祐子に飛び掛かり、押し倒すと、首に手をかけた。

「っ!」
「死んで」

希は手に力を込めた。

ーー何で……希……
あんた、こんなことする奴じゃない、って思ってたのに……。
な……んで……?

何とか逃れようとするが、バレー部の希と無所属の茉祐子、どちらが勝つのか一目瞭然だった。



「……ごめんなさい、まゆちゃん」

茉祐子の首を締めてから数分後、ようやく希は手を離した。
茉祐子は白目を剥き、泡を吹き、もう生きてないことが分かった。

「……ごめんなさい、ホントにごめんなさい」

何度も謝りながら、希は立ち上がり、二人分のデイパックを掴むと、扉へ向かった。

「……ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさーーー」

何度も謝りながら、扉を開けーー硬直した。
目の前に、仮面をつけた人物がいた。

「えーーー」

仮面をつけた人物は黒い物体を希に向けーーーその物体から光が瞬いた。
瞬間、物凄い音と共に全身に激痛が走った。

「あがっ……」

ぐるりと一回転し、希は地面に伏した。

「…………」

仮面の人物は倒れた希に目もくれず、二人分のデイパックを漁った。
出てきたのは火炎瓶と、手斧だった。
仮面の人物はそれらを人物のデイパックに入れると、灯台から去っていった。


女子20番湯川希 死亡
女子22番吉田茉祐子 死亡

【残り
343 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:37:42.25 ID:aFMIt3ru0(157/162)
和山麗香(女子25番)は校門から出ると近くの茂みに身を隠した。
麗華の目的はただ一つ。
政府を倒すことだ。
そのために必要なのは仲間だ。
仲間が入れば、絶対に何とかなる。
麗華はそう確信した。
そして二分後。

「あ、おーい愛!」
「麗華さん!」

次に出発した藍田愛(女子1番)と合流を果たした。
その後、五十嵐萌子(女子2番)、上坂陽子(女子3番)、江沢奈美子(女子4番)、河合椛(女子6番)、木下莉乃(女子7番)、斎藤紘子(女子8番)、佐藤怜子(女子10番)、高城亜紀(女子11番)、中田菜穂(女子12番)、町田三四子(女子13番)、村上美央子(女子14番)、茂木由子(女子15番)、森山加奈子(女子16番)、八尾郁恵(女子17番)、矢丸俊美(女子18番)、


「よし、みんな揃ったね」
「うん、早くここから離れ……ん?」

移動しようとした時、草の茂みの隙間から何か光が瞬いた。
瞬間、パパパパ、と大きな音が鳴り響き、美央子の頭部が弾け飛んだ。

「えっ?」
「な、何……!?」

突然のことにその場にいた全員が戸惑った。
当然だ。
いきなり仲間が死んだのだから。

「み、みお……嫌ぁあああ!!」

紘子が悲鳴を上げた瞬間、また連射音が鳴り、美央子のすぐ近くにいた郁恵の左胸に沢山の穴が開いた。

「ひっ!」
「や、やだあ!!」
「な、何なの!?」

戸惑う少女達に再び弾丸の雨が襲う。
しかし、今度は誰にも当たらず、地面の土を抉り取っただけだった。

「みんな!逃げよ!」

麗香がグループ全員に指示をする。

「逃げよって……何処に!?」
「何処でもいいから!早く!」

麗香の言葉で全員がバラバラに逃げ出した。



「チッ」

麗華達を襲った人物は舌打ちし、死んだ二人に近寄る。
死んだことを確認すると、今度は二人のデイパックを漁った。
少しして、郁恵のデイパックから刀が。
美央子のデイパックからは仮面が出てきた。

「……」

二人の命を奪った人物は仮面をつけ、刀をデイパックに入れ、その場から去って行った。



女子14番村上美央子 死亡
女子17番八尾郁恵 死亡

【残り38人】
344 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:38:16.69 ID:aFMIt3ru0(158/162)
早く、早くみんなに伝えなきゃ!
お願い、みんな無事でいて!



斎藤紘子(女子8番)は住宅街でグループメンバーを探し続けていた。
早く須佐直人を殺した仮面の人物のことをみんなに伝えなくてはならない。
でないと、みんな死んでしまう!

「きゃっ!」

次の曲がり角を曲がった瞬間、何かが紘子の足に当たり、紘子は転んだ。

「いったぁ……えーーー」

紘子は足元に転がってる何かを見て、硬直した。
それは、人間ーーーいや、人間だったものだ。
胸を赤黒く染めた、矢丸俊美(女子18番)の遺体だった。

「ぁあ……」

俊美の顔は苦痛に歪んでいた。
きっと、苦しみながら死んだのだ。
そして、紘子は思った。
みんな、俊美のように残酷に死んでしまうんだ、と。

「い、や……」

私も、死んじゃう?
俊美みたいに?
須佐君みたいに?
そんなの、嫌!

「し……死にたくない!」

紘子はデイパックから釘バットを取り出した。

「私、まだ生きたい……みんな、殺さなきゃ……!」

そのとき、背後から気配を感じた。
咄嗟に振り向く。
そこには、あの仮面の人物がいた。

ーーやらなきゃ、やられる!!

「ぁ……やっ……やだぁ!!」

紘子は釘バットを振り下ろす。
しかし、バットは空を切るだけで終わった。
それでもめげず、再び振り下ろす。
だが、どんなにバットを振り下ろしても結果は同じだった。
そしてーーー。

「あ……」

紘子は見た。
イングラムを構えた仮面の人物を。

やだ、死にたくない。
お母さん、お父さん、麗華ちゃん、みんな。
誰か助けーーー。

一筋の涙を零した瞬間、掃射音を共に、紘子の頭部が弾け飛んだ。



イングラムを下ろすと同時に頭部が右半分失った紘子が自ら作り上げた血と脳髄の海へ倒れた。
紘子を殺し終えた人物は直ぐに荷物を纏め、去って行った。


女子8番斎藤紘子 死亡


345 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:39:14.17 ID:aFMIt3ru0(159/162)
「はぁ……はぁ……!」

上坂陽子(女子3番)は道も分からずただ、必死になって走り続けていた。
時折後ろを向くが人の気配はない。
でも、走るのは辞めなかった。
あの襲撃者の事を考えると恐くて堪らない。
出来るだけ遠くへ逃げたかった。

麗香……みんな……大丈夫かな……?
うん、大丈夫だよね!
美央子と郁恵は死んじゃったけど、他のみんなはきっとーーー。

ガサガサ!

突然、近くの茂みが音を立てた。
そして、人が飛び出してきた。

「きゃっ!」
「ひっ!」

思わず、武器の文化包丁を構えるがすぐに降ろした。
何故ならーーー。

「三四子!」
「あ、陽子!」

茂みから出てきたのは町田三四子(女子13番)だった。
三四子は陽子の姿を認識すると、ボロボロ涙を零しながら陽子に抱きついた。

「良かった……!陽子が無事で……!」
「うん、私も三四子が無事で良かったよ……」



それから二人は他のメンバーを探すため住宅街へ向かった。

「みんな野宿は嫌だと思うからここにいると思うんだけど……」

二人は静かな住宅街を慎重に歩く。
きっと、他のみんなも野宿を嫌い、ここにくるはずだ。
自分達を襲った犯人も。

「ねえ、陽子……みんな、無事、だよね?」
「決まってるじゃん!」

陽子がそう答えた時だった。

「きゃああああああ!!!」
「!?」
「悲鳴!?」

そう遠くはない。
二人は急いで悲鳴がした方向へ走った。



「あぁ……」
「そん、な……」

少し走って二人は見つけた。
矢丸俊美(女子18番)の死体を。
俊美は仰向けに倒れており、左胸には刀が突き刺さっていた。

「俊美……」

俊美はいつも明るかった。
偶に空気が読めないところもあるけど、ギャルグループのムードメーカー的存在だった。
その俊美を[ピーーー]なんて……。

「私、許せない」
「えっ?」

俯いていた三四子が顔を上げた。

346 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:39:53.86 ID:aFMIt3ru0(160/162)
青野瀬里奈(女子1番)は出発してから直ぐに分校から離れた。
友人の野々村唯(女子30番)や日立香恵(女子32番)を待とうと考えたが、二人とは出席番号がかなり離れていたため、諦めた。

ふと、腕時計を見る。
自分が出発してからまだ、数分しか経ってない。
大丈夫、まだ数人しか出発してない筈。
冷静にならなきゃ。

「あ、青野、さん!」

突然声がした。
声のする方へ向くと、そこにはーーー。

「女木さん?」
「あ、そうです!女木です!」

そう言って彼女、女木真優(女子39番)は手を振りながらこちらへ駆け寄ってきた。

「青野さん、良かったら一緒にーーー」
「え、ちょ?」

訳がわからなかった。
プログラムで生き残れるのは一人だけなはずなのに。
なのに、一体彼女は何故ーーー。

「……青野さん? どうしました?」

真優が心配そうな顔でこちらの顔を見る。

「あ、いや別に」
「そうですか、じゃ、行きましょう!」

真優が瀬里奈の腕を掴んで、歩き出した。



真優は初めからゲームに乗る気だった。
死にたくないし、まだもっともっと色んなことを学びたい。
だからゲームに乗ることにした。
でも、生き残るためには仲間が必要だ。
だから、このゲームにやる気でない
347 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:40:20.69 ID:aFMIt3ru0(161/162)
人間電子レンジ
仮婚
348 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 10:40:54.97 ID:aFMIt3ru0(162/162)
01青野瀬里奈(あおの・せりな)
02阿部美紗子(あべ・みさこ)
03磯脇香織(いそわき・かおり)
04宇佐杉子(うさ・すぎこ)
05江野薫子(えの・かおるこ)
06大瀬弥生(おおせ・やよい)
07河合乃絵(かわい・のえ)
08木崎桜(きざき・さくら)
09久米誠子(くめ・せいこ)
10近衛千佳子(このえ・ちかこ)
11小宮由梨江(こみや・ゆりえ)
12西川繭子(さいかわ・まゆこ)
13榊美代子(さかき・みよこ)
14佐古茜(さこ・あかね)
15佐藤真希(さとう・まき)
16沢木悠子(さわき・ゆうこ)
17椎名千世子(しいな・ちせこ)
18鈴木有希子(すずき・ゆきこ)
19関松美(せき・まつみ)
20園田志帆子(そのだ・しほこ)
21田中由紀(たなか・ゆき)
22千葉麻里絵(ちば・まりえ)
23都築瞳(つづき・ひとみ)
24手塚麻衣美(てづか・まいみ)
25豊島亜美(とよしま・あみ)
26永瀬早子(ながせ・そうこ)
27二把俊美(にば・としみ)
28鵺野藍那(ぬえの・あいな)
29根岸有未(ねぎし・ゆうみ)
30野々村唯(ののむら・ゆい)
31浜野麻里奈(はまの・まりな)
32日立香恵(ひたち・かえ)
33風吹風美(ふぶき・かざみ)
34辺見江美里(へんみ・えみり)
35本田佐奈美(ほんだ・さなみ)
36間倉香穂子(まぐら・かほこ)
37水木星子(みずき・ほしこ)
38睦月和美(むつき・かずみ)
39女木真優(めぎ・まゆう)
40元重邦子(もとしげ・くにこ)
349 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 12:20:48.45 ID:lXKWj78No(1)
なんだこれ
350 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 13:08:00.69 ID:Yaywtyzr0(1)
あちゃーまた荒らしが来ちゃったかー
351 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/30(月) 14:31:10.77 ID:BAIsDCYQO携(1)
>>349
前スレ参照&NG推奨
352 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/30(月) 20:37:21.34 ID:gFN5F+Mo0(1)
おいチョン!そんなに河野談話が中身のないスッカスカだってのがバレて悔しいのか?
353 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/30(月) 20:39:32.54 ID:WQTUT/Yd0(1)
くっそ、また来やがったか…
誰か焼き依頼スレかあぼーんスレ紹介してくれない?
354 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga] 2014/06/30(月) 22:08:50.86 ID:Bd6fALn9o(1)
BBSバーボン規制解除、焼きまたはあぼーん依頼スレッド
vip2chスレ:operate
355 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/01(火) 08:50:01.77 ID:VO4XDxbU0(1/2)
はじめはブログの項目にそって自己紹介していく。
白死蝶の由来は、ブログを書いている本人は既にいないため
死んだあとは綺麗な蝶でいたいという願望のもと名付けたものらしい。

ブログ主は女子高生。
父に襲われ母に殺されたと話し、欲しいものは友達だと何度も繰り返す。
そのうち項目の質問を無視しだす。亡くなるまでのやり取りを生々しく告白。
父に襲われた直後に母親に殺されたことを恨んでいると話す。
そして画面で見ている貴方に対して幸せな姿が妬ましく
また寂しいから一緒に連れて行きたいと、殺してやると呪詛の言葉を吐きかける。
文字が一気に赤くなり上へスクロール。女の顔が映し出され悲鳴とともに消失する。

最後に友達三人にメールとしてこのページを送信すれば助けるという文面がでる。
「トモダチに回す」を選んだ場合でも「回さない」を選んでも
冗談でしたー。トモダチは大事にね☆ といった感じの文面が出てくる。
作成者のお茶目なネタサイトのようですな。
356 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/01(火) 08:50:53.45 ID:VO4XDxbU0(2/2)
A√
河井晶
志賀真弓
岸根千代・Death
新田賢介・Death
内藤卓也・Death
露崎篤志

B√
河井晶
志賀真弓
岸根千代
新田賢介・Death
内藤卓也・Death
露崎篤志

潮見荘
357 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/07/02(水) 11:54:03.58 ID:Q+MNtzV6O携(1/2)
今書きだめしてます

最後まで書きだめして一気に書き込もうかと

でもそれだとけっこう時間かかりますし、荒らし無視して書き込んでいったほうがいいですか?

あと焼き依頼ありがとうございますorz
358 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga] 2014/07/02(水) 12:05:11.78 ID:dfl1IGPwo(1)
荒らしは無視でいいよ。みんな黙ってNG突っ込むから
359 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/07/02(水) 13:00:31.15 ID:Q+MNtzV6O携(2/2)
ありがとうございます!


わかりました

今日からまた書いていきます
360 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/07/03(木) 03:13:54.38 ID:TtmFafy0O携(1/2)
日向「…………」

左右田「うぉぉぉぉぉぉ!?」

七海「左右田君がなにか見つけたみたいだね。さ、行こ」

日向「あぁ」

左右田「なぁ日向!見てみろよ、人工知能だぜ!」

アルターエゴ「はじめまして、『アルターエゴ』です」

日向「すごいな」

アルターエゴ「モノクマについて、伝えなければならないことがあります」

モノクマ「呼んだ?あ、そうそう。あまり余計なことを喋るとぶっ壊しちゃうからね」

モノクマ「だから監視死死死死死死死死死」

日向「え?」

モノクマ「死死死死死死死死…………」グニャ

日向「な、なんなんだよこれ!」



361 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/07/03(木) 08:32:48.77 ID:TtmFafy0O携(2/2)
日向「おいアルターエゴ」

『………………』

日向「アルターエゴ!」

『………か………るの?』

日向「アルターエゴになにが起きてるんだよ……」

『アルターエゴの前に誰かいるんだよね?』

日向「お前は誰なんだ」

『アルターエゴがこうやって動いたということはそういうことなんだよね』

日向「こっちの声が聞こえてないのか?」

『ボクの名前は苗木 誠。希望ヶ峰学園の元生徒だ』

日向「苗木 誠!?」




362 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/03(木) 15:31:27.78 ID:CabM10KY0(1)
http://www.youtube.com/v/vhm2wcnTsgg
363 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/03(木) 20:23:55.18 ID:3odvoGr10(1)
↑荒らし
364 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/07/06(日) 03:01:30.07 ID:bNaWtA7FO携(1/5)
苗木『すぐにそっちに助けに行きたかったけど、ウィルスの妨害のせいで……できなかったんだ』

苗木『こっちからの命令も、シャットダウンも含めて一切受け付けなくなっていた……』

苗木『でもアルターエゴがボクに直接話をできる機会を作ってくれた』

苗木『それが動いてるってことはボクの話すべき相手がそこにいるって事だよね?』

日向「こっちの声は聞こえていないし……見えてもいないのか」

苗木『時間がないから一方的に喋らせてもらうよ。だけど……まずはみんなに謝らないとね。ごめん』

苗木『まさかこのプログラムにウィルスが紛れこんでるなだなんて』

苗木『謝っても許されることじゃないとは思うけど……これしか方法はなかったんだ……』

苗木『君たちを救うにはこれしか方法がなかったんだ!』

日向「…………」

苗木『なぜかはわからないけど覚醒したカムクラクンが教えてくれたよね?キミたちが絶望だったって』

日向「そんな俺たちを救うために……わざわざ未来機関を裏切ったのか」

苗木『だけど今のキミたちは絶望なんかじゃない。むしろ人類の希望だ。特に日向クン、キミだよ』

苗木『それにあいつを打ち負かす奥の手があるんだ!』

日向「そんな方法があるのか!?」

苗木『教師役の監視者が暴走した万が一のときに備えていた“特別な方法”を用意してたんだ』





365 ◆WkLjhRHZNU 2014/07/06(日) 03:09:13.30 ID:8QMTCSl10(1)
キターー
366 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/07/06(日) 03:11:27.93 ID:bNaWtA7FO携(2/5)
苗木『それが……“強制シャットダウン”なんだ』

日向「強制シャットダウン?」

苗木『それはキミ達がキミ達自身で選べる終わり、だよ』

苗木『だからその……ご……人……』

日向「どうした!」

苗木『ごめ……時…………な』グニャ

モノクマ「シシシシ死死死死しし死死死死」

モノクマ「…………」

モノクマ「あれ?今のボクって変じゃなかった?」

日向「い、いや……別に……」

モノクマ「そう?まぁいいや。早く来てね」

アルターエゴ「君たちはいつも見られているよ」

日向「なぁ……今のって……」

アルターエゴ「ぼくが忠告することはもうないよ」

日向(秘密……ということか)

アルターエゴ「君たちは武器を手に入れた。とっても強力な武器だ。ぼくにできるのはその武器を使えるように体を張ってウィルスを止めることだけ……」

アルターエゴ「頑張ってね……」



367 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/07/06(日) 03:22:29.73 ID:bNaWtA7FO携(3/5)
左右田「なぁ、武器ってなんだ?」

日向「……仲間と勇気だよ」

左右田「へぇ……勇気か。ソニアさーん、勇気が不足してるみたいなんで俺に勇気くださーい」

ソニア「みなさん、最後の踏ん張りどころです!がんばりましょう!」

左右田「ソニアさーん、無視しないでー」

〔赤い扉前〕

十神「ここを通れば卒業試験とモノクマが待っているのだな」

終里「おっしゃ!一丁ぶちかましに行くか!」

日向「…………」

九頭龍「日向?傷が痛むのか?」

日向「いや、そうじゃないんだ。ここを通る前にみんなに言っておきたいことがあるんだ」

左右田「なんだよ、改まって」

日向「蜜柑」

罪木「は、はい!」

日向「蜜柑がいなかったら俺は途中で折れてたよ。蜜柑のおかげで頑張れたんだ、ありがとな」

罪木「そんな!私こそ創さんに助けられてばっかりで……」

罪木「でも、こんな私が少しでも創さんの助けになれてたならそんなに嬉しいことはないです……えへへ」



368 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/07/06(日) 03:37:34.98 ID:bNaWtA7FO携(4/5)
日向「十神」

十神「どうした」

日向「十神にはいつもみんなをまとめてもらってたな。いつか十神としてのお前じゃなくて素のお前と友達になりたい」

十神「フンッ!……うん。いつか本当の僕と友達になってね」

日向「七海」

七海「なにかな」

日向「いつも七海は俺たちを信じて励ましてくれたよな。俺たちはずっと……絶対に七海のことを忘れないから」

七海「!!……約束だよ?」

日向「九頭龍」

九頭龍「おぅ」

日向「不器用だけど九頭龍は優しいやつだ。その優しさは伝わってるよ。ここを出たらお前が言ってた兄弟杯をやろうぜ」

九頭龍「へっ……その言葉忘れんなよ」

日向「辺古山」

辺古山「なんだ」

日向「九頭龍が絡むとふざけてばっかだったけど、周りや九頭龍が暗くなったのを和ませようとしてくれてたんだろ?」

辺古山「わ、私はぼっちゃんが好きなだけだ。そんな意図など……」ゴニョゴニョ



369 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/07/06(日) 03:38:31.73 ID:bNaWtA7FO携(5/5)
今日はとりあえずここまでで


おやすみなさーい
370 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/06(日) 20:26:00.38 ID:RHIjABXn0(1)

371 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/07/08(火) 02:35:23.03 ID:3KvFjIZLO携(1/4)
日向「左右田」

左右田「お、おぅ」

日向「今更信じてくれとは言わない。けど、俺は絶対に左右田を裏切らないからな」

左右田「あ……俺も信じるからよ……絶対裏切んなよ!!」

日向「ソニア」

ソニア「はい」

日向「俺はソニアの凛とした態度や立ち振る舞いに憧れてた。いつもその姿に勇気を貰ってたよ」

ソニア「そんな……わたくしも日向さんから勇気を貰ってましたから……お互い様?ですね」

日向「花村」

花村「うん」

日向「誰よりもみんなを見てて、慰めてくれたよな。ありがとう」

花村「ぼくにはそんなことしかできなかったから……でも日向くんの役に立ててよかったよ」

日向「西園寺」

西園寺「なに」

日向「西園寺がいつも自分なりにみんなをリラックスさせようとしてるの、知ってるぞ」

西園寺「はッ!?バッカじゃないの!?そんなわけないじゃん!」



372 ◆HbpyZQvaMk [saga] 2014/07/08(火) 02:42:59.59 ID:3KvFjIZLO携(2/4)
日向「弐大」

弐大「どうしたんじゃ」

日向「弐大がずっとサポートしてくれたからここまで来れたと思ってる」

弐大「急に言われるとむず痒いもんがあるのう」ポリポリ

日向「澪田」

澪田「はーい!」

日向「ずっと十神を支えてくれてありがとな。これからも頼んでいいか?」

澪田「白夜ちゃんの面倒なら任せるっす!」

日向「終里」

終里「なんだよ」

日向「終里が仲間のために本気で怒ってくれたおかげで我を忘れずに済んだと思う」

終里「ま、オレの大事な仲間のためだからな」

日向「モノミ」

モノミ「ふぇ!?あ、あちしもでちゅか!」

日向「先生として必死にみんなを守ろうとしてくれてありがとう」

モノミ「あちしは……なにもできてまちぇんよ」



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