[過去ログ] 春香「インドア少女の秘めたる悩み」 (139レス)
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1 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/02/02(日) 04:05:03.76 ID:k5E5Q40AO携(1/9)

土曜日の朝
太陽もぐんぐん上がってきて、少し寒い事務所にはもうすぐ皆集まる頃

いきなり高い電話の音が響く

あ、美希が起き……ないよね、うん。

電話をとったのは小鳥さん

すこーしだけ聞こえてくる相手の人は…
響ちゃん、かな?
どうしたんだろう




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1391281503

40 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/12(水) 07:41:51.22 ID:vAEpdr70o(1)
響は普段完璧完璧言ってるからこそこういう展開が似合うというか
41 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/02/14(金) 00:47:30.11 ID:IS2yYsTAO携(1/3)

現場でそんなことがあったなんて初耳だった
響ちゃんの様子から察するに、プロデューサーさんにも話していないんだろう。

そんな衝撃的な話をまるで他人事のように、あるいは遠い昔の思い出のように
明るくさらりと話す目の前の小さな女の子に

…どうしても言葉が見つからなくて

ただただ黙って耳を傾けることしかできませんでした



42 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/02/14(金) 00:48:43.62 ID:IS2yYsTAO携(2/3)

彼女は続けます

「自分は明るい現場で仕事がしたかったんだ」

「だから、皆と話して、皆で遊んで、皆で…」

どこに行って何をしたのか、何が楽しかったのか

先ほどよりもリズムよくぽんぽんと出していく
話すごとに体が左右に揺れて、ポニーテールがゆらゆらと動きます

「好かれるのは簡単だったぞ」



43 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/02/14(金) 00:49:10.73 ID:IS2yYsTAO携(3/3)

「けどね」

くるりとふりかえった響ちゃんは


「見限られるのは、もっともっと簡単だったんだ」


笑顔でした。




44 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/14(金) 13:13:06.13 ID:3/isYMKJo(1)

45 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/15(土) 03:17:34.08 ID:gUSSjvDDO携(1)
切ねえ…でも不思議と響にはこういったシリアス系やほのぼの系が良く似合うんだよね
46 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/02(日) 22:37:50.96 ID:Dbhdn5Hdo(1)
待ってます
47 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/06(木) 00:53:03.17 ID:KAc4Go3AO携(1/5)

息がつまる。

頭はフルスピードで動いているのに、なのに、口はぽかんと開いたまま動いてくれません

話が、話が終わる前に…

「で、焦って…躍起になってこうなっ」

「ちがうよ!」

やっとの思いで口にした言葉は

否定の言葉でした



48 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/06(木) 00:54:33.71 ID:KAc4Go3AO携(2/5)

突然のことに、細めていた目をぱちりと開けて私を見つめる響ちゃん

私は私で、…自分に驚くばかりで言葉が続いてくれません

なんとも言えない空気感
時が止まってしまったかのような長い沈黙
厚い雲がかかってしまったのか、部屋が一段と暗くなっています



49 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/06(木) 00:55:00.01 ID:KAc4Go3AO携(3/5)

「あの、その」

「春香」

「な、なに?」

「…ちょっと疲れちゃったみたいだから寝ることにするね。何かあったら起こして」
「あ、…うん!おやすみなさい」


枕にぽふりと顔を埋めてすっかり眠る体制になってしまった

…帰ってくれ、とは言わない響ちゃんはやっぱり優しくて

私の知っているいつもの響ちゃんでした。



50 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/06(木) 01:22:18.20 ID:KAc4Go3AO携(4/5)




「……はぁ」

どうして

なんであんなこと言っちゃったんだろう

私、何が嫌だったんだろう

開いたノートも芯を出したペンもそのままに、ただ外の景色をじっと見る

まるで私の心を表しているように雲が… やめとこう、なんか恥ずかしい。

いつの間にか雨も止んでいました



51 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/06(木) 01:22:46.54 ID:KAc4Go3AO携(5/5)

動かないペンの代わりをするように
シマ男がカリカリと音を立ててご飯を食べて

いぬ美ちゃんはうさ江ちゃんに寄り添って

それぞれが思い思いの過ごし方をしているのを見ると、少し気持ちが落ち着きます。

あれ?

「ハム蔵…?」



52 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/07(金) 10:38:12.12 ID:WAUrg9iDO携(1)
旦那がいないのか?事件だ
53 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/10(月) 00:44:49.15 ID:DCvK02pAO携(1/3)

「あれ、…あれっ?」

いない

キッチンにも、棚の間にも

どこにも



54 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/10(月) 00:45:47.54 ID:DCvK02pAO携(2/3)

「えぇと、ぇ…」

何処か見落としがないか小走りで部屋を回る

玄関は美希が出たあとにきちんと閉めたし、何か見たら言ってくれてるだろうし

キッチンも、ちゃんと……

「…ひゃっ」

冷たい風が熱くなった首筋を撫でていきました

「っ…窓が開いてる!」


外に出ちゃったんだ…!

はやく、はやく探さないと…



55 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/10(月) 00:47:16.16 ID:DCvK02pAO携(3/3)




「ハム蔵ーっ!ハム蔵ーっ!?」

口から出る白い息が次々に寒空に溶けていきます

ばしゃばしゃと足下にはねる雨水も
…周りの人からの視線だって、気にしないんだから!


「公園にも…いないかぁ」

いつも事務所や外を駆け回る響ちゃんの苦労がやっとわかった気がする…

「私が、窓を開けたままに…してたのかな」

記憶がぼんやりしててよくわからない

「ハム蔵ー…」


「おや」

「…天海春香、ですか」

「ヂュッ!」



56 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 07:16:17.70 ID:2naDDSiAO携(1)
乙乙
57 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 13:40:03.47 ID:BfkHSiIDO携(1)
確かに春香は旦那でいぬ美はホクホクだけど・・・・
58 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/15(土) 02:18:27.58 ID:D4TblZ2AO携(1/4)

「チュィ?」

「いえ…真か、やよいを連れてくると思っておりましたので」

「しかし、ハム蔵殿が選んだのなら、それが一番良いのでしょう」

「ヂュッヂュッ!」

「では、後は頼みますね」

「ギュ!」



59 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/15(土) 02:19:33.20 ID:D4TblZ2AO携(2/4)


「ハム蔵ー!どこーっ?」

「チュッ」

「! ハム蔵!」

「わ、た、ちょっと止まっ…」

「うわあぁぁっ!?」

…地面が凄い勢いで近づいて来ました。

「ヂュゥイッ!」



60 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/15(土) 02:21:15.88 ID:D4TblZ2AO携(3/4)

うぅ、なんか目に砂が入っちゃったみたい


「あたた… あぁ、上着が…」

少し泥が着いちゃった、かな
あぁもう…なんか今日はついてないなぁ

「ヂュッ!」

「あ、ハム蔵まっ」

「ハム蔵!!探したんだぞーっ どこ行ってたんだよー!」

「えっ?」



61 ここまで ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/15(土) 02:28:01.27 ID:D4TblZ2AO携(4/4)



目の前でハム蔵を撫でている女の子は
ポニーテールで、身長が低くて、少しツンとした声をして…

「響ちゃん!?」

あれ?
……あれぇ!?

か、風邪で今お家で寝て

「あぁーーっ!!」

「お前、765プロの…春香!そんなところで何してるんだ?」

「あ、もしかしてハム蔵を探してくれてた…とか?」

「え?ぅ、うん」

「そうだったのか、ぇと… ありがとう」

「お、お礼は言ったからな!それじゃ、ばいばーい!」

「えぇ!?」


「…これ、どうなってるの?」

跳ねた冷たい雨水が、足をつうと伝います
「っむぁいた!」

ほっぺたもちゃんと痛い

あれぇ…?



62 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/15(土) 04:19:53.24 ID:NLEGCx4p0(1)
大作の予感
期待
63 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします [sage saga] 2014/03/15(土) 05:59:44.53 ID:YpQuinuO0(1)
コレは世界線を越えたのか
64 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/15(土) 08:33:18.24 ID:0C4GJR30o(1)
期待
65 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/15(土) 10:07:26.10 ID:ksgCpGgDO携(1)
ダイバージ○ンスをいくつに合わせたのか…
66 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/17(月) 15:54:10.12 ID:7Y1s8kCAO携(1/4)

突然鳴り響く機械音
携帯のライトが着信を知らせます

「プロデューサーさん?」

今日は外に出るお仕事は何もないはずだけど…

「はい、天海です」

「春香?今どこにいるんだ?」

「え?えーっと」

辺りは背の低い木と一戸建ての家がいくつか
目印になりそうなビルは随分と遠くに見えます。

「…わからないです」

電話の向こう側から小さなため息がひとつ

「…とりあえず携帯のナビ機能使って事務所に来なさい」

この時間からレッスンしましょうって、約束しただろ?と、諭すような声

「事務所で待ってるから、荷物持って早めに来いよー」

「あっ、はい!ごめんなさい!」

…そんな約束してたっけ?

まあ、とりあえず事務所に

「…あっ」

バック、響ちゃんのお家に置いたままだ…




67 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/17(月) 18:54:16.43 ID:7Y1s8kCAO携(2/4)


目の前はまっくら
頭まで布団を被ったせいで、息がこもってちょっと苦しい

ついさっき、ドアが閉まる音がした
きっと春香が出ていったんだろう

音の大きさから考えると、もしかしたら怒って出ていったのかもしれない。

こんな自分に嫌気が差したのかもしれない。

どっちにしても悪いのは自分で
でも、後悔しても今更遅いのはわかりきっていて

挫けてしまう弱い自分がいやで

何度繰り返してもできないことにただイラつくばっかりで。

…もうこのまま明日になるまで寝てしまおうと思っていたとき


玄関のチャイムが鳴った。



68 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/17(月) 18:56:22.88 ID:7Y1s8kCAO携(3/4)

重い体を気力と根性で動かして歩く

春香だったらと思うと気が重いけど、きちんと謝らないといけない。

受話器をとる前に、一回深呼吸
…よし

「はい」

「こんにちは、響。体調の方はいかがですか?」

「…貴音か?」

「ええ、少し渡さねばいけないものがありましたので参りました」

「あぁごめん、ポストに入れておいてくれる?…今、ドア開けられるような格好してなくてさ」

まぁ、普通に寝間着なんだけど

「わかりました。気分が悪くてもしっかり食事をして、睡眠を取るのですよ」

「うん、わかった。わざわざありがとね」


しばらくして、ガコンと何かが入った音がした。



69 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/17(月) 18:57:25.08 ID:7Y1s8kCAO携(4/4)

中に入っていたのは手紙と小さな箱

手紙には自分の体調を心配する言葉と箱の中身について書いてあった。

箱の中には以前自分が声を入れたゲームソフトと本体が入っているらしい
時間があればやってみてほしいと事務所に届いたみたい

結構面白そうなゲームだったし…
今の気分を紛らわすにはちょうどいいかも

…というか、春香バック置きっぱなしじゃないか
取りにまた来るかもしれないし、そのときにちゃんと謝ろう。
それがいい、そうしよう。


でもなんだかすごく眠いや

起きたら、あとでゲームをやろう

あとで…





70 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/17(月) 19:04:20.82 ID:wD/xOT6DO携(1)
フラグやん…
71 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/18(火) 01:19:36.16 ID:mc9CEXaAO携(1/7)


「響?…響と春香って、プライベートで会うくらいの仲だったのか?」

レッスン後の他愛もない会話の中に出たこの一言で
やっと私は何かがおかしいことに気づきました。

小説や漫画にしかないと思っていた別の世界というところに、何故だか来てしまったみたいです


この世界では

アイドルアルティメイトというトップアイドルを決める番組があって

私はその予選を着々と勝ち進んでいるということ

…我那覇響は、961プロ所属のアイドルだということ


でも、家に帰ってから調べても
貴音さんと美希についてだけは、何もわかりませんでした。




72 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/18(火) 01:21:34.62 ID:mc9CEXaAO携(2/7)

事務所からの帰りに迷い込んでしまったあの道に行ってみても、元の世界に戻るなんてことはなかった。

必死に調べている内にわかったことは
絶対にトップアイドルなる!というプロデューサーさんとの約束と

「響ちゃん」と書かれたDVDがあること。


「見れば、何かわかるかもしれないよね」

ポータブルのDVDプレイヤーを引きずり出してロードする。



73 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/18(火) 01:22:08.19 ID:mc9CEXaAO携(3/7)

それは

…一言で言ってしまえば、何の変わりもない音楽番組だった。

駆け出しのアイドル達が歌って、踊って、最後に司会の人と少しだけ会話をして去っていく

ただそれだけだった



彼女が現れるまでは



74 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/18(火) 01:32:13.79 ID:mc9CEXaAO携(4/7)

キレのあるダンスと力強い歌声

開かれた青い瞳はカメラを捉えて離さない

薄くひかれたルージュに
しなやかな指先

動きに合わせて踊る艶やかな黒髪

金色のステージ衣装をライトが華やかに照らし、彼女だけの舞台を造り上げる。


目を奪われるというのはまさにこの事だと、初めて実感した瞬間でした。




私なんかとは、違いすぎる…




75 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/18(火) 03:28:15.16 ID:YXuDKLeDO携(1)
響はダンスやってるからな
76 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/18(火) 18:18:18.17 ID:mc9CEXaAO携(5/7)

舞い上がる歓声がゆれる頭に響く

初めて見る響ちゃんの一面に、驚きと、
…妙な安心感を覚えている私。


明日になったら
明日があるなら、プロデューサーさんにもっと響ちゃんのことを聞こう。


携帯電話を握りしめて
今はただ、眠るだけです




《準々決勝まで、あと二週間》





77 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/18(火) 18:24:58.62 ID:mc9CEXaAO携(6/7)


左の頬に鈍い痛み
あと、なんか重い、お腹が重い

ネコ吉か誰か乗ってるのかも…

『…おーい』

『ねぇってば』

…自分、こんなに寝言酷かったっけ

なんか電気も点いてるみたいだし
もったいないから消しに…

「ん、ぅ…」

『おっ!おはよう』

「おはよ…」


「!?」



78 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/18(火) 18:33:39.19 ID:mc9CEXaAO携(7/7)

「………」

『痛いいはいいぁっ…!』

『って!なんで自分のほっぺたをつねるんだ!もぉ…』

「…え?いや、キミ」

『あーいいから、取りあえずコレ』

乱暴に投げられたのはゲーム機とソフト

『起きたらやるって、言ったでしょ?』



自分は、まだ夢を見ているのかもしれない…

人間ホントにびっくりすると声出ないんだなぁなんて
ぼーっとした頭で考えてた




79 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 03:42:53.20 ID:DLoB4zUDO携(1/2)
何が起きてるんだ…
80 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/19(水) 16:34:36.09 ID:ZCl+qoGAO携(1/2)


あんまり乗り気じゃないけど、ゲームを始める

「なんだこれ?ザ・アイドルま」

『アイドルマスターSP、パーフェクトサン』

貰ったソフトと違うじゃないか
こんなゲーム見たことも聞いたこともないぞ

『はいスタート』

「あっ!」


81 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/19(水) 16:38:52.97 ID:ZCl+qoGAO携(2/2)

ボタンを押されてテンポのいい音楽が流れる

というかこれもうデータあるじゃないか

『まあまあ、どうせ暇なんだから』

背中から抱きしめられるような形でくっつかれて
自分の手に手を重ねて、ほぼ強制的に操作させられる

「だからって勝手に始めることは―」


《おはようございます!》


少し大きめの音で、馴染みのある声が耳に届く


「…春香?」


後ろの奴が、楽しそうにケタケタと笑った




82 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 18:17:11.39 ID:DLoB4zUDO携(2/2)
なるほどアイマスに響が初登場して961時代のライバルだったゲームに迷い混んだのか
83 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 19:04:18.29 ID:ya74MsRKo(1)
普通にSPって言えよ
84 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/20(木) 00:14:42.53 ID:IB7t8TjAO携(1/4)

「なんだよ、これ、ねぇ」

こんなゲームがあるなんて聞いてないし

プロデューサーも律子も何も言ってなかったはずだ


質問への答えはない

嫌な想像ばかり膨らんで、
手がだんだんと冷たくなる

事ある毎に表示される見知った人の名前も見たことがあるような景色も

肩に乗る頭の暖かさに気を取られて
頭に入ることなんてなかった。



85 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/20(木) 00:17:10.82 ID:IB7t8TjAO携(2/4)

今にも思考が停止しそうな状態
それでも止まらない
何度止めようと思っても、手をがっちりと握られてしまう

後ろはさっきから喋らないまま
正解の場所まで指を動かすのは後ろから
ボタンを押すのは自分


《パーフェクトコミュニケーション》

《パーフェクトコミュニケーション》

《パーフェクトコミュニケーション》


ミニゲームで間違える度、手に爪をたてるのは勘弁してほしいと
抗議をしようとした瞬間


背筋が凍る。


86 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/20(木) 00:19:39.39 ID:IB7t8TjAO携(3/4)

がらりと変わったBGMと共に出てきた新しい登場人物


これ、

『キミじゃないよ』


『…自分だ。』


突然の声に振り向く
意識してあらためて見る
彼女の顔は




87 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/20(木) 01:02:48.59 ID:IB7t8TjAO携(4/4)


泣きはらしたような顔をしている。

そう気づいたのは、ステージ用の薄いメイクを落とした後でした


88 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 05:00:03.55 ID:xast4WsDO携(1)
すっごい気になる内容だ
89 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/21(金) 00:27:26.48 ID:umymNK4AO携(1/11)


不定期におかしな挨拶をするプロデューサーさんにも慣れた頃

この世界の響ちゃんについてわかったことがたくさんある
それと同時に心配なところも見えてきたり

「ごめんなさい!ちょっと用事があるのでお先に失礼しますっ!」

一緒に帰れない事を伝えて
髪で隠れた彼女の背中を探します。


着替えに少し時間がかかっちゃったけれど
この後にお仕事が入ってないとしたら、まだ近くにいるはずだよね



90 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/21(金) 00:29:42.89 ID:umymNK4AO携(2/11)



「あっ」

見つけ

「あぁっ!」

私の姿を見た途端、突然の全力ダッシュ
隣のいぬ美ちゃんに負けてないよあの速さ

じゃなくて、追いかけないと!




91 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/21(金) 00:34:48.09 ID:umymNK4AO携(3/11)



「うぅ〜、見つからないよ」

足もふらふら、太陽も西に傾いてきています

帰りの電車に間に合うか不安…


「あれ?」

ふと、目に留まったのは大きな黒い影
姿を隠しても影は隠せないっていうのは、頭隠しても尻隠さずになるのかな


そんなことはさておき



92 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/21(金) 00:36:45.96 ID:umymNK4AO携(4/11)

「響ちゃんっ」

「うわぁ!春香!? かなり遠くまで来たのになんで…」

正直いぬ美ちゃんに凄く助けられました

「会った途端に逃げることないでしょ…」

「だ、だって…極悪事務所の三流アイドルには関わるな!って言われてるし」

「だから、極悪事務所でも変態事務所でもないってば!」


響ちゃんはなぜだか
765プロと事務所の皆について間違えた認識をしているみたいです


「それに、春香と話すことなんてないでしょ?」

あ、傷ついた。今すごく傷ついたよ私。



93 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/21(金) 01:02:05.38 ID:umymNK4AO携(5/11)

気にしない、きにしない。

「えっ〜と、ね」

「皆のモチベーションを下げるようなことを言ったり、まだ控えてる子に自慢したり…」

「他の子に嫌われるようなことをするのはやっぱり良くないよ」


周囲に嫌われろ
王者は常に孤独であるべきだ

そんな961プロの方針に従って行動している響ちゃんが
私は心配で仕方ないんです
今響ちゃんの目が赤いのは、本当は辛いからなんじゃないかって



「そんなことしてたら響ちゃん、トップアイドルになっても誰にも相手にされなくなっちゃうと思う」

「そんなの…、そんなのダメだよ!」


トップアイドルになるために一緒に頑張る他の子達に嫌われるなんて
そんなのムチャクチャです



94 ◆hKz3YtisHo [また明日 saga] 2014/03/21(金) 01:04:08.78 ID:umymNK4AO携(6/11)

「でも―」

「ワンッ!!」


「…いぬ美ちゃん?」

「…ごめん春香、自分、用事できたからっ!バイバイっ!」

さっきとは比べものにならないくらいのスピードで
リードを離されたいぬ美ちゃんの後を焦った様子で追いかけていく。


あまり深くまで聞いてはいけないのかもしれない
前を走る彼女のあの笑顔を思い出して、足がすくみます。


「…ううん、行こう」

行かないより、行って後悔するほうがいい
きっと、そうだよね



95 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 11:20:17.33 ID:mpyahfUDO携(1/2)
乙!楽しみに毎回読んでるからがんばって
96 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/21(金) 14:38:45.19 ID:umymNK4AO携(7/11)



「…春香」

「ついてきちゃった」

ふにゃりと諦めたように笑う

その腕の中には

「みぃ」

痩せた子猫が抱かれていました。



97 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/21(金) 14:39:13.02 ID:umymNK4AO携(8/11)

「たぶん、親においていかれたんだと思う」

「自然界で生きていけないって判断された子はね、こうされることがあるんだ」

怯えたようにバタバタと暴れる子猫
よく見ると後ろ脚の動きがぎこちないことがわかります

「よくここまで大きくなったね」

爪で何回もひっかかれた手を頭に乗せると
逆立った毛が戻り、目を細めて喉を鳴らしだす



98 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/21(金) 14:39:40.10 ID:umymNK4AO携(9/11)

「その子…」

「連れて帰る」

「でも、もうすぐ本選も始まっちゃうし」

「それでも連れて帰るよ」

「…どうして?」

響ちゃんには
ちょっぴり悔しいけど、私よりたくさんの仕事がある

それに、ここでも同じように家族の皆がいる

やっぱり大変なんじゃ

「…かわいそうだからって、ただそれだけじゃないぞ」

「この子のことが気になるから、一緒にいたいから連れて帰るんだ。」



99 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/21(金) 14:40:07.08 ID:umymNK4AO携(10/11)

まっすぐな思いのこもった視線が私を突き刺す。



「…あっ!自分まだ散歩の途中だったんだ!」

「そうだったの?ごめんね、なんだか邪魔しちゃったみたいで…」

「ううん、気にしてないさー」

「あぁ、それとね」

「なあに?」




100 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/21(金) 14:40:43.21 ID:umymNK4AO携(11/11)

「春香もそうだけど、最近他もどんどん成長してきてる」

「自分、負けるつもりなんて全然ないけど… トップアイドルには一人しかなれないんだ」

「春香は甘すぎるんじゃないかな」






101 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 17:58:30.96 ID:ZCRSaIlAO携(1)

102 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/21(金) 21:46:46.81 ID:mpyahfUDO携(2/2)
乙やっぱ面白い
103 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/22(土) 23:11:52.47 ID:n14V91oAO携(1/5)


照れたように笑いながら
『自分は昔のキミだ』と

詳しく話を聞く間もなく、ストーリーは進む

後ろの自分は
たまに興味のありそうな声を出して画面を覗き込むこともあれば
目をそらして他のもので遊ぶこともある

春香がオーディションで受かる度に自慢話をしたり
かと思えば黙り込んだり

良い人なのか、悪い人なのか

正直、よくわからない。



104 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/22(土) 23:13:19.36 ID:n14V91oAO携(2/5)

「…ねぇ」

「昔の自分は、自分の家に何しに来たんだ?」

『何って、このゲームをさせるためだよ』

「それだけ?」

『それだけ』


「…正直、これなら自分でやれるぞ」

『なんだ、自分でやる気出てきたのか?』

『さっきまで期待してたゲームと違ってやる気なくしたー、とか思ってたくせに』

「うっ、うるさいな」



あれ、ちょっと待って



105 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/22(土) 23:14:40.82 ID:n14V91oAO携(3/5)

「…なんで、自分がそう思ってたって知ってるの?」

『そりゃあ自分の事だからね!わかるのなんて当たり前でしょ?』

『一応の未来にこうやっているんだし、キミが考えてた大体の事はできると思うぞ』
自分が考えたこと…

『そう、例えば…』



106 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/22(土) 23:16:59.93 ID:n14V91oAO携(4/5)



『キミの代わりに自分がトップアイドルになる、とか』


『あれ?違った?こういうの、漫画とかだとよくあるパターンだって聞いたんだけど』

愉快に笑っている目の前の自分に寒気がする

『それか春香を… あっ!』

『そうだ!勝負しようよ』

「…勝負って、どんな」

『キミがもしこのゲームをクリアしたら自分は何もしない』

『クリアできなかったら自分が代わりになる!とか』

『うんうん!それがいい!そうしよう!』

「ちょ、ちょっと…っ」

『あれ、ダメか?やっぱり自分の助けが必要?』

「そ…そんなことない!」

『そうだよねぇ!』

とても嬉しそうに口角をつり上げるもう一人の自分



107 また明日にでも ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/22(土) 23:19:23.41 ID:n14V91oAO携(5/5)


『…だってキミは、カンペキなんでしょ?』



『ねえ、やってみせてよ』




手に汗が滲む

捻くれた空想が現実で暴れだす前に

早く目を、覚まさなくちゃ。





108 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 03:47:07.52 ID:Bd+UxPvDO携(1)
響と響の戦いか…不思議な戦いになるな
109 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/24(月) 22:59:10.52 ID:WxdmnTfAO携(1/4)



「本日のオーディション合格者は…」

「2番と1番の方、それと6番の方以上です。おめでとうございます」

「呼ばれなかった方は―」



「準々決勝合格おめでとう!バッチリだったよ」

「よかった…じゃあこの調子でもっとがんばりますっ!」

「おう、事務所で社長に報告したら今日は終わりにしようか」

「わかりました!すぐ着替えてきますねっ」



110 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/24(月) 23:00:42.17 ID:WxdmnTfAO携(2/4)


今日は、いや最近は本当にオーディションのレベルが高くなっている気がする。


とくに響ちゃんのパフォーマンスは
よくできたかもしれないなんて喜ぶ気持ちを、一瞬で吹き飛ばしてしまうほどに

カメラに映るその姿は大きくて
憧れと一緒に…怖いとも思ってしまいました

待機の時点で、皆とは何か違くて
カメラさんも、音声さんも
私じゃなくて
自然に吸い込まれるみたいに響ちゃんの方を見てた


「私も、もっともっと頑張らないとね!」


さて、着替えも終わったし
プロデューサーさんのところに戻って…

「きゃっ」

「あぁ、ご、ごごめんなさい!大丈夫ですか!?」



111 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/24(月) 23:01:24.28 ID:WxdmnTfAO携(3/4)

「怪我とかしてないですか?」

「…大丈夫ですっ!…合格、おめでとうございます。それじゃ」

「え?あのっ…」

涙で潤んだ目で私を見ると
おぼつかない足取りで走っていってしまった


「あの人…」

「さっきのオーディションで、落ちた人だ」



112 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/24(月) 23:03:11.62 ID:WxdmnTfAO携(4/4)

ぐしゃぐしゃになったメイク、くずれた髪と衣装

『もし、途中の予選や、本選で敗退すれば……』

『敗者の汚名だけが残り、たいていはそのまま引退、というケースが多い』

社長が教えてくれた言葉が
まさに今のあの人を表しているのかもしれない

「わたしも…」

「春香ー?そろそろいいかー?」

「あっはい!今いきます!」




113 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/25(火) 07:46:00.84 ID:wbiOV5uAO携(1)
どうなるんだ…
114 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/26(水) 02:38:09.16 ID:EKU/2+gDO携(1)
気になるところで終わらせるなんて>>1はできる
115 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/26(水) 23:53:54.62 ID:2cpmcEdAO携(1/8)



「ごめんなさい遅くな…どうしたんですか?」

お腹をおさえてうずくまるプロデューサーさん

「子猫…触ろうとしたら親猫に殴られた…」

「殴られ?…あ」

指さす先には肩に乗っているあの子
物珍しそうにキョロキョロと首を振っています

「あいつのペット、いつも勝手に飛びついてくるくせに今回は引っ掻かれるし…」

「まぁ、まだ小さいですから、ね?」

「それはそうなんだけどさ…」



116 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/26(水) 23:54:44.25 ID:2cpmcEdAO携(2/8)

「というか、今親猫って言いませんでした?」

「あー、なんか猫っぽいだろ」

「こっちから構うと嫌がるし、何もしないと突っかかってくるし、」

「変に素直じゃないから甘えにこないし…そこは違うか」

「あれで本当に寂しくないって言いきれるのか… 春香?」



「春香ー?」




117 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/26(水) 23:55:24.02 ID:2cpmcEdAO携(3/8)

「私、ちょっとお話ししに」

「…これから収録だって言ってたぞ」


「でも、まだ時間は」

「春香」

「…響が心配なのはわかるけど、俺達だってあまり時間がないんだ」

「明後日にはまた違うオーディションが控えてるし、レッスンもある」


「…今日はもう帰ろう」

「…はい」




118 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/26(水) 23:56:16.67 ID:2cpmcEdAO携(4/8)



「お疲れさまでしたーっ」

扉の静電気に注意して外に出ると
高い空に浮かぶ、ぼんやりとした月が見えました

「うぅ、さむい…」

マフラー、してくればよかったかな



119 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/26(水) 23:56:57.26 ID:2cpmcEdAO携(5/8)


「…おしるこはじめました」

自動販売機の冷めた光に、でかでかと貼られる魅力的な言葉

こんな時間に飲んだらお腹が…

「ちょっとだけ、ちょっと…だけ…」

寒くて外すのがいやで
手袋のままチャリチャリと小銭を数えます


チャリン


「あれっ?落としたかな」

音からすると100円玉とかそのあたりの…

「…なにしてるんですか?」



120 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/26(水) 23:57:46.14 ID:2cpmcEdAO携(6/8)

「へぇっ!?いや、これはそのっ」

どどどうしよう!見られた!?
私、下覗いてる姿を見ず知らずの人に…っ

「えーっと…」

恐る恐る顔をあげると
気まずそうに赤い頬を掻きながらこっちを見ている

「あ、…響ちゃんかぁ」

知らない人じゃなくてよかった…
いや、よくないんだけど



121 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/26(水) 23:58:40.60 ID:2cpmcEdAO携(7/8)

「えへへ、恥ずかしいところをお見せしました…」

「…あぁ!春香か!」

「いま!?」

会うたびに地味に攻撃されてると思うのはきっと気のせいじゃないはず

「いや、変装してたからさ」

「今日はそれほど意識してないよ…」

「…ごめん」

あ、謝られてもなんか…ううん…



122 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/26(水) 23:59:53.51 ID:2cpmcEdAO携(8/8)


「で、なにしてたんだ?」

「あの、100円落としちゃったかもしれなくて…」

チャリン

「あれっ?」

モシモシ!

「…それ、オウ助の声なんじゃないか?」

「えっ!? えぇ〜…」

恥ずかしいやら、ほっとしたやら
どっと疲れがきた感じがします


「とりあえず人前では気を付けないと、ファンの人が見てるかもしれないし」

「そうだよねー…」

「でも、響ちゃん会場では」

「あ、あれは一応ファンの人いないからいいんだ!…たぶん」

わたわたと手を動かしながら話す響ちゃんは、まるで小動物みたい

あ、おしるこおいしい



123 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/27(木) 00:00:55.73 ID:02k/PfbAO携(1)

「…やっぱり、猫っていうのはあってるのかも」

話そうとすると逃げられて
なんでもないときに話しかけられて

「なにが?」

「プロデューサーさんがね、響ちゃんが猫みたいだ、って」

「うぇえっ!?765プロが!?」

おぉ、驚いてさらに激しく…

「じ、自分は同じネコ科ならライオンがいいぞ!」

「百獣の王で、強くて、春香なんてペロッと食べちゃうくらいこう…かっこいいヤツ!」

「…ふふっ」

「わ、笑うなぁ!」


なんだか、こうやってのんびり話をするのも
こっちに来てからはじめてで、久しぶりで嬉しいなぁ



124 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/27(木) 01:39:26.04 ID:YZSXLsBDO携(1)
俺はカバがいいな…響はキャンチョメみたいなことをいうなーかわいいからいいけど
125 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/28(金) 00:29:10.76 ID:JOTuxIYAO携(1/6)


「そういえば、響ちゃんこれから収録じゃなかった?」

「オーディション後だからって、ずらしてくれたんだ。今はオウ助の散歩中」

「そのあとは何かあるの?」

「自主トレだけど…なんでそんなこと聞くんだ?」

「えっと、時間があったら遊んだりしたいなって思って」

「うーん、それはいいや。一応自分忙しいし」

空を見上げて、当然だと言うようにさらりと答える彼女の横顔は
誰かを探しているようにも思えました。


「…それは、」



126 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/28(金) 00:29:58.99 ID:JOTuxIYAO携(2/6)


「やっぱり黒井社長が言ってるから?」

「違うよ」

「…自分は、黒井社長のやり方が本当に正しいのか…今はちょっとわからないけど」

「それでも、自分のことをスカウトしてくれて、部屋だって用意してくれて」

「ここまで961プロのやり方で来たんだし、961プロのやり方でトップアイドルになりたいんだ。社長のためにも」

「でも、黒井社長は」

「自分が今勝ってるから優しくしてくれてるのも、わかってる」

「ようは、勝てばいいんだ!だから自分はこのまま頑張るよ」

「…そうなんだ」

「…あはは、ごめんね、なんかヘンなこと聞いちゃって」

「いや、別にそんな」

「もう遅いし、私帰るね!響ちゃんも気を付けないとダメだよ?」

「えっ、ちょっと」



「春香…?」








127 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/28(金) 00:35:39.20 ID:JOTuxIYAO携(3/6)


「あっ…」

『ギリギリ合格、かな』

「危なかった…」

『やっぱりヘタだなぁ』

「うるさいっ」



128 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/28(金) 00:36:46.19 ID:JOTuxIYAO携(4/6)

いつからかついていたテレビは暗いニュースが淡々と流れている
お互い画面を睨んだまま話さないっていうのは、よく考えると変な空間だと思う

『思い出使わないの?』

「使わない。決勝で一気に使って倒すんだ」

『うわぁ…ちょっと悲しいぞ』

「…961プロは楽しかったのか?」

『うん?』

「だから!…その、大変だったり」

『…その話はあとにしようよ、それより!』

プツリとニュースが消えて、ゲームの音が大きくなる

『自分は、キミのことが知りたいかな』

『765プロでどんなことがあったのか聞いてみたかったんだ』

「…自分の事なんか聞いたって、面白くないよ」

『なんで?』



129 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/28(金) 00:39:27.43 ID:JOTuxIYAO携(5/6)

「だって自分、…このゲームの自分みたいに強くないし」

「最近何だかうまくいかないし、さっきだって、関係ない春香に…やつあたりみたいなことしちゃったし」

「自分はもう…」

『…カンペキだっていつも言ってるのにできないのか?』

「それは!その…っ!」



130 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/03/28(金) 00:41:11.00 ID:JOTuxIYAO携(6/6)

暗転。

ゲーム機が落ちた音がした

ベッドに押し付けられた手に
髪を巻き込んで倒れた背中

頭がゆれて、目の前がチカチカする


『ひとつだけ聞くね』

『このストーリーの最後の最後、自分がどうなるか決められるとしたら』

『キミだったら、どうする?』


自分の登場を知らせる音楽
オーバーマスターが、部屋に激しく反響していた








131 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/28(金) 11:12:20.78 ID:Noq4gyjDO携(1)
765プロの響と961プロの響でお互い違う事務所にいてどちらの響もお互いからすればIF世界の自分なのか?
132 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/29(土) 10:09:29.78 ID:8P21wlUAO携(1)

133 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/04/03(木) 04:03:20.28 ID:5/fQDfsAO携(1/3)



「…こんな悪役なんだからボコボコにされるのが当たり前なんじゃないのか?」


「というか今から自分がそうするから。アレで」

見えたのは、大きく目を見開いた顔と笑った顔


『あははははっ!それっ、あのレベルで?レッスンだってまともに…っ!』



『ふふっ…はぁ、なんか疲れたなぁ、キミのせいからなー?』

「勝手に笑ってたんでしょ!いいとこなんだから邪魔しないでよ、あとくっつくな!」

『散々笑ったお礼にちゃんと質問に答えるからさー、許してよ』

「…本当にちゃんと答えるの?」

『キミもこっちの話をしてくれるならね』

「それじゃ結局何も変わらないだろ!?」

前よりもどこかぬるい空気の中

勝負は後半戦に差し掛かる







134 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/04/03(木) 04:05:34.16 ID:5/fQDfsAO携(2/3)


「お疲れさま、合格おめでとう。よかったぞ」

「お疲れさまでした」

「…春香、最近元気がないな。何かあるなら話してくれよ」

「いえ、ちょっと…周りの子が気になっちゃって」

「周りの子?」


「私、この前…オーディションで落ちた人に会ったんです」

「何か酷いことでも言われたのか?」

「そうじゃなくて、…また私が勝ったらあの人みたいに悲しむ子がいるんですよね?」

「そんなのなんだかやりきれないですし、…オーディションもレベルが高くなってます」

「いつか負けるってわかってるなら…悲しむ子が減る方が」

「そんな考えはよくないな、春香。負けるかじゃなくてまずは勝つことを考えないと」


「…少し前までの春香はそんなことなかったはずだ。響にも言われたじゃないか」

「少し前の、わたし?」


少し前の私って
私が来る前に、ここにいた私?


「春香?どうした?」

「…っごめんなさい!先に、帰ります」

「春香っ、ちょっと待て、おいっ!」

「いったいなんなんだ…?」





135 ◆hKz3YtisHo [saga] 2014/04/03(木) 04:07:42.52 ID:5/fQDfsAO携(3/3)

「あった。」

見るのが申し訳なくて、バックに大事にしまっていた日記
ここにいた私の記録

プロデューサーさんと初めて会った日のこと

響ちゃんと初めて話したこと

私の知らないことが、鮮やかに紙を彩っている

「これ」



そこには、他の子達と私の実力について悩んでいることと
それがもう解決していることが書かれていました

「同じようなことで悩んでた…?」


私なりの答えを見つけました。

その一文が頭をまわる

いったいどんな答えを見つけたんだろう

「…わからないよ」

私だけど私じゃない私の考えなんて、わかるはずもない

見つけた答えは

「どこにあるのかなぁ…」







「もしかしてこれのこと?」

「ひぇっ!?」


136 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/04/04(金) 07:15:48.56 ID:potXdjMDO携(1)
おつん
137 ◆hKz3YtisHo 2014/04/07(月) 04:20:18.37 ID:mbn5392AO携(1)
急な仕事によりこれ以上書けそうにないです。
依頼を出しておきます。

また、機会があるならこれに似た物を書くかもしれません

ありがとうございました
138 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/04/08(火) 05:37:44.39 ID:N/IvcdvAO携(1)

139 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/04/11(金) 17:25:04.79 ID:jir+uN+DO携(1)
なん…だと…いいところなのに…依頼せずともここは2ヶ月は落ちないしゆっくり書く選択肢はないの?
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