[過去ログ] 智「さあ、おとぎ話をはじめよう」 Re:3 (1002レス)
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368: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] 2013/12/25(水)00:53 ID:no01ulARo(1/10) AAS
 →真雪と、クリスマスイブを過ごす。

 ――――――――――――――――――――。

 熱狂。 躁狂。 反響。
 眼下の彼らは、この真冬の寒さにも負けずに興奮の坩堝を引き起こしていた。
 僕らが一挙一動する度にまた歓声と喚声が湧き上がる。

 しかしながら、終わりを迎える。
 僕の赤と白で彩られた服装の裾がくるりと翻る。
 そしてステージ上に立つもう一人の彼女と手を合わせ、ポーズをとった。

 音楽が鳴り止むと同時、わっ、と会場は湧き上がった。
 そして僕は目の前の、僕と同じように若干のメイクをした少女と目を合わせる。
省6
369: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] 2013/12/25(水)01:15 ID:no01ulARo(2/10) AAS
 真雪こと結奈と、僕こと結香の新しいシングルはなんとクリスマスソング。
 そんなわけで、今日は握手会的なCD発売なのだった。
 その歌のお披露目もそこそこに、直ぐ様CDの発売が始まる。

 アイドルの握手会とかだと、自分のナニを手につけてから握手をする人もいるとか聞いたことがある。
 僕らのファン層にはそういう人はいないと信じたい。

「結奈ちゃん、これからも応援してるからね!」

真雪「はいっ、ありがとうございまーす!」

 CDを手渡し、満面の笑みで握手する真雪をちらりと見る。
 そのアイドルスマイルは完璧だ。 完全無欠の偶像少女である結奈は今日も絶好調。
 ちなみにファンの数は真雪の方が7:3で圧倒的に多い。 真雪の方が若干先輩というのもあるのだろうけれど、多分外見的な要因もあるに違いない。
省9
370: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] 2013/12/25(水)01:31 ID:no01ulARo(3/10) AAS
智「ありがとうございました!」

真雪「ありがとうございました!」

 今回のイベントで用意していた分を全部売りつくし、僕と真雪は並んで頭を下げる。
 パチパチパチパチ、と最後まで残ってくれたファンの方達に見送られつつ、僕らは舞台を降りる。

 ようやく一息。 ほぅ、と吐く息は白い。 サンタを模した衣装は、屋外で活動するには思った以上に寒い。
 一応、カイロだとかタイツだとかで防寒対策はしているけれど長時間外気にさらされるとそれでも、だ。
 駅前でティッシュ配りとかしている人は本当、すごいと思う。

真雪「お疲れ様です、智さん」
省9
371: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] 2013/12/25(水)01:44 ID:no01ulARo(4/10) AAS
真雪「智さんも智さんで、色々と反則ですけどね。 それこそ才能でしょう」

智「いや、まぁ」

 確かに外見が男になるだけで色々危ないけど。
 それはそれで、やっぱり僕は男でいたいのだ。
 そんな複雑怪奇な気持ちも真雪はわかっているのか、周りに聞こえないように僕に囁く。

真雪「それに、智さんが男らしいのは私が知ってるだけで十分ですから」

 僕はそれだけで嬉しくなり、つい抱き寄せて一緒の毛布に真雪を包む。
 一瞬驚いたような表情をするが、すぐにそれは柔らかくなって僕の胸へと擦り寄ってきた。
省12
372: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] 2013/12/25(水)02:10 ID:no01ulARo(5/10) AAS
 ミーティングを終えた僕たちは用意されていた車の中で着替えて、ひと通りスタッフ達に声をかけてから街へ繰り出す。
 時間は既に昼を大きく回っている。 デートをするには少し遅すぎる時間かもしれない。

智「どうしようか?」

真雪「そうですね……普通にゲームセンター、というのもいつもと同じですし」

智「自宅デートも、最近やったばかりだしね」

 真雪と二人で並んで街を往く。
 カラオケだボウリングだと案を出してみるけれどいまいちパッとしない。
 ショッピングだとか言ってみても真雪も僕も取り立ててファッションに興味が有るわけではないし。
 うーん、と頭を悩ませているとふと少女達が寄ってくる。
省9
373: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] 2013/12/25(水)02:38 ID:no01ulARo(6/10) AAS
 人を避けるように街を練り歩き、到達するのは寒風吹く公園。
 今朝方降っていた雪が芝生に残っており、それがまた寒さを演出する。
 無論のことながらベンチも雪が残っているか、太陽によって溶けたそれで湿っており腰を休められる状態ではない。

真雪「少し、歩きましょうか」

智「……大丈夫?」

真雪「大丈夫です……多分」

 少し街を速く歩いただけで若干息を切らしているインドア派アイドル。
 一応歌って踊るのだから、体力は人並みにあるはずなんだけど……
省12
374: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] 2013/12/25(水)03:01 ID:no01ulARo(7/10) AAS
真雪「……実はですね。 今日は初めからここにこようって決めてたんです」

智「……嘘でしょ?」

真雪「はい、嘘です。 けど、本当ですよ?」

 えへへ、とはにかむ真雪。
 僕の手を離し、まだ雪の残る芝をそっと撫でる。
 それもそこそこに、真幸は鞄を下ろして、それの中を探るように手をいれる。

真雪「いつ渡そうか、どうやって渡そうかって。 智さんの手を引っ張りながら考えてたら、自然とここに足が向いてましたから」
省12
375: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] 2013/12/25(水)03:19 ID:no01ulARo(8/10) AAS
 それでも、僕はとても嬉しくなった。
 まずは形から……というには些か遅すぎるけれど。 カップルと表沙汰に出来ない僕らには少しでも形に見える繋がりが欲しかった。
 お揃い、というのはそれの最たるものだろう。
 僕はそのメガネケースを、更にその中からメガネを取り出してすぐに掛けてみる。

智「どうかな?」

真雪「似合ってます」

智「えへへ……本当にありがとう。 大事にするね」

 僕はメガネケースをプラスチックケースの中に戻して、バッグの中に滑りこませる。
 そして、今度は僕の番。 同じく細長い箱を、その手で取り出す。
 真雪みたいにお揃いだとか、そういうのではないけれど。 プレゼントとしては定番な、けれど真雪に似合いそうなものを選んだつもりだ。
省10
376: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] 2013/12/25(水)03:41 ID:no01ulARo(9/10) AAS
真雪「……はい。 ありがとうございます、智さん」

 満面の笑みを見せて、真雪はそれを抱きしめるように胸に寄せた。
 それは、握手会で見たものと相違なく。 しかし、全く異なる笑顔。

 結奈としての真雪。 オタクとしての真雪。 接続者としての真雪。
 それぞれは、僕だけのものには確実にならない。
 また僕も同じように、真雪だけのものにはならない一面を備えている。
 例えばそれは学園のお姉様的な立ち位置であったり、結香だったりするのかもしれない。

 しかしながら、だ。
 今真雪が見せてくれた、この笑顔は。 その時抱いた、僕のこの想いは。 そして僕らのこの一瞬だけは。
 決して何者にも侵されない、侵させない。
省9
377: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] 2013/12/25(水)03:45 ID:no01ulARo(10/10) AAS
 おわり、です、。
 どうまとめようかすごく迷った上に、あまり真雪らしさを出せなかった気が……
 次があればもう少し頑張りましょう。 しかし、果たして次はあるのでしょうか……?

 それでは、また。
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