[過去ログ] 魔法少女まどか☆マギカ〜After Ten Years of History〜【あれから10年】 (942レス)
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1 川´_ゝ`){注意事項 ◆7F2DwKbdfg [saga] 2012/11/23(金) 01:20:12.03 ID:dp81wpXM0(1/5)
このスレは魔法少女まどか☆マギカの二次創作SSです。
【ほむら】「あれから10年か・・・」の続きになります。
前スレ→vip2chスレ:news4ssnip
このSSは以下の要素を含みます↓
・タツほむ(偶にゆまタツ)
・オリキャラ
・キャラ成長(誰おま状態)
・独自解釈、独自設定
・一部のキャラが死亡済み
・他作品or野球(主に横浜)ネタ
>>1の気分次第で、BGMや自作の駄イラストとかも投稿したりします。
これらの内容がNGだという方はそっ閉じ推奨。
あなたの戦場は此処じゃない(ファサァ
参考作品:
魔法少女まどか☆マギカ(アニメ版、漫画版、小説版)
魔法少女まどか☆マギカポータブル
魔法少女まどか☆マギカオンライン
魔法少女まどか☆マギカThe different story
魔法少女おりこ☆マギカ
魔法少女かずみ☆マギカ
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1353601211
843 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga] 2014/05/23(金) 14:25:12.54 ID:oUTyPh9F0(1)
ほむカス死ね
844 川´_ゝ`){やっと来れた ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/08(日) 02:09:52.05 ID:pK5l54ul0(1)
よる遅くにこんばんわ>>1です。いつも閲覧有難うございます。
お待たせしました。ようやく5話の終わりまで書ききる事が出来ました。
今月中と言ったな、あれは(ry 長らくお待たせして申し訳ありませんでした。
さて、次回ですが…明日(今日)8日の21時頃に投稿する予定です。
一応5話完結&第1章完結予定です。
それでは、次回の更新で。お休みなさい ノシ
845 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/08(日) 11:24:53.02 ID:AEyaZ9CDO携(1)
期待
846 川´_ゝ`){日付変わっとるやん… ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 00:03:22.32 ID:fDDfIeo+0(1/50)
夜遅くにこんばんわ>>1です。
大分遅れてしまいました。申し訳ありません。
それでは続きを投稿します。
847 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 00:08:22.79 ID:fDDfIeo+0(2/50)
【ほむら】
「う…あ…」
タツヤが雄叫びを上げる中、ゆまの魔法によって身体を再生したほむらが声を上げる。
しかし、その声は苦痛を訴えるような擦れたものであった。
タツヤの生命力吸収はほむらにも作用し、彼女の回復し掛けた魔力を奪い取る。
彼女の表情が歪む事は、当然のことだった。
【ゆま】
「ほむらお姉ちゃん‼‼」
【ゆま】
「不味いよ、こんな状態で魔力を奪われたら...‼‼」
【織莉子】
「っ‼」
ゆまの治癒魔法と、グリーフシードによる魔力回復によって辛うじて命を繋ぎとめている彼女にとって、
今の状況は…まさに地獄だった。
このまま力を奪われ続ければ、その先に待っているものは…『死』だけ。
この場に居る全員の脳裏に、そんな最悪の展開が過った。
【ゆま】
「ねえ、たっくん…もう止めて‼」
【ゆま】
「このままじゃ、本当にほむらお姉ちゃん死んじゃうよ‼‼」
ゆまは自分の残り少ない魔力を彼女に送りながら、タツヤに必死に呼びかける。
彼がこれ以上力を使い続ければ、魔獣を倒す前に自らの力でほむらを殺すことになる。
それだけは、なんとしても避けてほしかった。
【タツヤ】
「がぁぁぁぁああああああああああああああ‼‼‼」バァァァ
しかし、その声がタツヤの耳に届くことはない。
少年はその場全体を震わせるように、雄叫びを上げる。
吸収したエネルギーを自らを覆うオーラへと変え、今にも力を爆発させそうな雰囲気であった。
848 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 00:10:37.38 ID:fDDfIeo+0(3/50)
https://www.youtube.com/watch?v=KJDaWFyf-NE
【織莉子】
「(...駄目)」
【織莉子】
「(完全に、怒りで我を忘れてる…)」
今のタツヤは、タツヤであってタツヤではない。
そんな彼に、自分達の声は届かない。
【織莉子】
「(キュゥべえの言う通り、今の彼は…)」
【織莉子】
「(悪魔、だわ)」
織莉子は悟る。
今の彼は、自分達の知る人間・鹿目タツヤではない。
まさに―――『魔』なるものであると…
【ほむら】
「あ…あ…」
【ゆま】
「ほむらお姉ちゃんっ」
心配するゆまを他所にエネルギーを吸収され続けるほむらは、再び苦しみの声を上げる。
更には、瞳孔の開いた状態で、身体を痙攣させ始める。
その姿は、まるで…何かに呪われているかのようだった。
【ほむら】
「あ…ああ…」
そんな彼女に合わせるように、彼女自身のソウルジェムも…今まで以上に濁っていく。
最早、元の色が分らなくなるほどに宝石の輝きは失われていた。
限界が近い…誰もがそう思った。
【ゆま】
「...え?」
だが―――
849 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 00:12:13.18 ID:fDDfIeo+0(4/50)
【ゆま】
「なんで...?」
【ゆま】
「ほむらお姉ちゃんのソウルジェムが…?」
その時、彼女のソウルジェムに―――変化が起こる
【織莉子】
「!?」
【ゆま】
「輝いている...?」
そう―――
タツヤの力によって限界近くまで濁っていたほむらのソウルジェムが、再び輝きを取り戻し始めたのだ。
【織莉子】
「嘘…」
【ゆま】
「でも…これって…」
【ゆま】
「普通じゃ、ない…よね…?」
しかし、その輝きはゆまの言う通り…普通ではなかった。
それは…グリーフシードによって穢れを取った綺麗な輝きではなく―――
何処かどす黒い…まるで、濁ったまま輝いているような…そんな輝きだ。
その輝きはある意味、穢れによって濁ることよりも悍ましい輝きに見えた。
【織莉子】
「一体…」
【織莉子】
「何が起きようとしてるの...」
魔獣達の異常なまでの強化…
タツヤの異常なまでの変化…
そして、ほむらのソウルジェムの異常な輝き…
自分の考えを遥かに上回る周りの変化に、織莉子は再び不安に襲われる。
これまでは予知能力を使えば、その先にあるものを見透かす事が出来た。
しかし、今回に至っては…どういう訳か予知能力が使えない。
何が起こるか分からない。
しかし、大きな何かが起きようとしているのは確か…
そんな状況の中で、織莉子が不安に思う事は…ある意味、仕方のないことであった。
850 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 00:16:40.34 ID:fDDfIeo+0(5/50)
【タツヤ】
「コロス‼‼」ドン
【タツヤ】
「があっ‼」ガン
そして、尚もタツヤと深化魔獣の戦いは続く。
【深化魔獣】
「...リィイ」
いや、それは最早戦いではなく…タツヤが一方的に魔獣を痛め付けているに過ぎなかった。
今の深化魔獣は戦う力を既に無くしており、ただただタツヤの攻撃を受けている状態であった。
結晶で作られた体はボロボロになり、体の結晶が少しずつ崩れ落ち始めてしまっていた。
【タツヤ】
「あぁぁあああ‼‼」ザン
しかし、それでもタツヤは攻撃の手を緩めようとはしない。
それどころか…彼は深化魔獣を吹き飛ばし距離を開けると、再び例の黒い宝石を取り出す。
宝石は一瞬黒い薔薇に変化し…その全ての花びらが散った後、武器である双刃剣に変化した。
【タツヤ】
「―――龍炎刃―――」ヴン
【深化魔獣】
「リィィィィイ‼‼」
タツヤはその双刃剣の両端の刃に炎を纏わせ、そのまま深化魔獣に向けて剣を投げつける。
炎を纏った双刃剣は回転しながら深化魔獣に近づき、魔獣の周りを円を描くように何周もすると、ブーメランのようにしてタツヤの下に戻ってくる。
深化魔獣の周辺には、剣を覆っていた炎だけが残り…その炎は龍の形となって、魔獣を締め上げるようにして迫る。
炎で作られた龍に締め上げられた深化魔獣は苦しむよう悲鳴を上げた。
【タツヤ】
「―――フレイム・ロケット―――」
【深化魔獣】
「ギィィィィイイイ‼‼‼」
続けてタツヤは、双刃を弓に変え…自らのオーラで炎の矢を作り出す。
弓で炎の矢を打ち出すと、その矢はミサイルのようなスピードで炎の龍によって身動きの取れない魔獣を撃ち抜く。
炎に囲まれた深化魔獣の身体は、いたるところに火が付きドロドロと溶け出していく。
その度に、魔獣は断末魔のような雄叫びを上げた。
851 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 00:18:24.85 ID:fDDfIeo+0(6/50)
【織莉子】
「...強い」
ただ一言、織莉子が言葉を漏らす。
その圧倒的な力の前に、自分達は遠くから眺めることしか出来ない。
自分達の力を遥かに凌駕する少年の力…
本当であれば心強い筈なのに、何処か嫌な感じを拭いきれない。
織莉子は、その力に『恐怖』のような物を感じていた。
【QB】
「そう、だね...」
彼女達に反応するように、キュゥべえが頷く。
しかし、その発せられた言葉は何処か弱々しいものだった...。
今のキュゥべえは、どんな事に対しても冷静で決して動じることのない普段の姿とは…似ても似つかない状態であった。
この珍獣ですら…タツヤの力を完全に推し量ることは出来なかった。
完全に…誤算だった、と珍獣は悔いる。
【QB】
「(一見すると、怒りで暴走しているように見えるけど…)」
【QB】
「(戦い方事態は、実に冷静だ)」
それでも、キュゥべえは彼の戦い方を目に焼き付け、必死に分析しようとする。
今のタツヤは、怒りに任せてただがむしゃらに戦っているわけではない。
トリッキーな動きで相手を惑わすタイプのこの深化魔獣に対し、拘束技を使いその動きを封じ込める。
続けて、相手に隙を与えないように連続攻撃を叩き込む。
戦い方としては、実に理に叶ったものであった。
そして、何より―――
『氷』という物質に強い『炎』を使って、相手を追い詰めていく。
そんな事は、怒りで我を忘れているような者には決して出来ないであろう。
852 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 00:19:09.92 ID:fDDfIeo+0(7/50)
【QB】
「(まるで...)」
そう、少年は…あくまで冷静だった―――
【タツヤ】
「っ‼‼」ザン
【深化魔獣】
「ギィ」
【QB】
「(あの魔獣を…苦めながら戦っているみたいだ)」
あくまでも、冷静に考えて戦っていたのだ。
あの魔獣が…どのようにしたら…
苦しんで死んでいくのかということを―――
853 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 00:20:30.45 ID:fDDfIeo+0(8/50)
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
「ああああああああああああ」
「熱い熱い熱い熱い熱い‼‼」
何処までも濃い瘴気の中―――
意識は飲み込まれ…何時しか、深化魔獣の中に僅かに残る少女の意識が顔を出す。
タツヤの攻撃によって、全身に火傷を負った少女はその激痛に耐えられず泣き叫ぶ。
「助けて...‼」
「1人は嫌...‼‼」
少女は絶望の淵に身を堕としながらも、必死に助けを懇願する。
自分を1人にしないで欲しい、孤独にしないで欲しい。
誰かに傍にいてほしい…
少女は、生前の頃から変わらず抱いていた願いを…何度も何度も訴え続けた。
【タツヤ】
「…」
しかし、その願いを打ち砕くかのように…少年は武器を持って少女に近づいていく。
「ひっ」
「ご、ごめんなさい」
「こんな…こんな事をするつもりじゃなかったの」
少女は少年の姿を見るなり怯えだし、身体を強張らせる。
だが、それでも彼女は体を震わせながら少年の足元に近づき、両膝を地面に付ける。
そして、彼の足を掴む勢いで…必死に許しを請うた。
「私はただ、みんなと一緒に居たかっただけなの」
「1人は…1人は、嫌なのよ…」
自分は、孤独を受け入れたくなかった。
だから、みんなに構って欲しくてただただ必死になっていただけ…
まさか…こんな事になるとは思っていなかった。
そう…少女は弁明する。
854 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 00:22:14.56 ID:fDDfIeo+0(9/50)
「だから…‼‼」
【タツヤ】
「黙れ」ザクッ
「っ‼‼」
しかし、そんな少女に…タツヤは無情にも剣を突き立てる。
彼女の言葉に一切動じることなく、何の躊躇もなく彼女の片足を刺した。
「あああああああああああああっ‼‼」
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い‼‼‼」
自分の身体に突然襲ってきた激痛に顔を歪め、少女が悲鳴を上げる。
タツヤが少女から剣を抜くと、足からは真っ赤な血がしたたり落ち…その影響で双刃が鮮血に染まる。
肉は割け…骨は砕かれ、その足は見るに堪えられない状態になってしまった。
そんな中で少女は片足を引きずり、タツヤから距離を取る。
その表情は、完全に怯えきっており…この少年によって恐怖を植え付けられていた。
【タツヤ】
「お前は殺す」
【タツヤ】
「謝っても殺す」
【タツヤ】
「どうあがいても殺す」
「ひっ」
タツヤは表情を一切崩すことなく、少女に殺意に満ちた言葉を浴びせる。
その表情は、どこまでも冷たく…人間のものとは思えない。
相手に恐怖と絶望を与える、ただただその行為だけを繰り返す存在。
それ以外の感情を…一切持たない存在。
今のタツヤは、まさに――――『悪魔』であった。
855 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 00:23:01.37 ID:fDDfIeo+0(10/50)
【タツヤ】
「だが、只ではコロサナイ」
【タツヤ】
「お前は―――」
タツヤは、少女にゆっくりと近づき…再び剣を突き立てる。
そして、言い放った――――
お前は、殺す。
自ら『絶望』を受け入れてしまった方が、楽だったと思える程の…
『希望』という救済のない…『絶望』に満ちた痛みの中で―――
856 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 00:26:14.74 ID:fDDfIeo+0(11/50)
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
そして、戦いは続き…
【QB】
「…」
その戦いの光景は…誰の目から見ても、無残で残酷なものとなっていた。
そう…あのインキュベーターですら、言葉を失ってしまう程に―――
【織莉子】
「...惨い」
ただ一言、織莉子のその言葉がこの場の無残さを物語っている。
織莉子は額に汗をかき、顔は真っ青になっている。
戦いの世界で慣らした彼女達でさえ、目を背けたくなる程の光景がその場には広がっていた。
【タツヤ】
「…」
【深化魔獣】
「ギ…ギ…」
深化魔獣はタツヤの攻撃によって、四肢を失ってしまっていた。
更に、その身体のあちこちが砕け落ち…ひび割れてしまっている。
顔の半分も砕け落ちており、最早まともに声を発することも出来なかった。
タツヤは、そんな状態の深化魔獣の首を掴み、片手だけで化物を持ち上げる。
そして、そのまま勢いよく化物を空中へ放り投げた。
【タツヤ】
「...終わりだ」
【タツヤ】
「―――双円乱舞―――」
タツヤは双刃を双剣に変化させ、一瞬で魔獣との距離を詰める。
そのままタツヤは空中で円を描くように、双剣で数度魔獣に斬りかかった。
そして…地上に着地すると、黒と桃色の入り混じった巨大な魔法陣を自分を中心にして展開させる。
続けてタツヤは、双剣を弓に変化させると…その巨大な魔法陣から魔力を吸収し、その力を1本の矢に集中させた。
矢が黒と桃色の2種類のオーラに包まれると、少年は弓を構える。
857 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 00:27:23.90 ID:fDDfIeo+0(12/50)
【タツヤ】
「...死ね」バシュッ
その一言と同時に、タツヤはオーラを纏った矢で深化魔獣を射抜く。
矢は深化魔獣を一瞬で貫通し、そのまま上空のオーロラすら打ち消してしまった。
更に、放たれた矢は上空の瘴気をも吹き飛ばし…瘴気内の空間と元の世界を繋ぐ。
上空の空には綺麗な星空が浮かび、戦いとは無縁の光景が広がった。
【深化魔獣】
「ガ…ァァ…アア…」
深化魔獣は貫通された箇所から徐々に崩れ落ちていき…やがて、その身体は砂埃のように消し飛んでしまう。
その場には、深化魔獣の魔力のみが残り…宿主を失った魂のように、辺りを彷徨っていた。
【タツヤ】
「…」バァァア
しかし、その魔力もまた…タツヤによって吸収される。
空中を彷徨っていた魔力は、少年の身体へと流れ込んでいき…その場から消滅してしまった。
そして、主である深化魔獣がいなくなったことで…瘴気は晴れ、元の世界へと戻り始める。
【ゆま】
「終わった...?」
【織莉子】
「...ええ」
瘴気が完全に晴れ、彼女達は町の外れにある広場に立っていた。
ゆま達は周りを見渡し、敵がいなくなったことを確認する。
ようやく戦いが終わった事を確信すると、強張らせていた表情を少しだけ緩め安堵する。
一先ず、戦いは終わったのだ…と。
【ほむら】
「あ…」
しかし―――
【ゆま】
「ほむらお姉ちゃんっ」
問題が、完全に解決した訳ではない。
まだ、ほむらの事が残っていたのだ。
858 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 00:28:42.02 ID:fDDfIeo+0(13/50)
【ほむら】
「う…ああ…」
ほむらは、魔獣との戦いが終わると…再び苦しむように声を上げ始める。
身体はゆまの努力が功を奏したのか、完全に修復されていた。
しかし、ほむらは目を覚ますどころか、ますます状態を悪化させていく。
痺れているかのように身体は震え、苦しそうに言葉にならないような声を上げ続けた。
不気味に輝いていたソウルジェムは、その輝きを失い…再び黒く濁っていく。
そして、それに反応するように、ほむらの体の周りも黒いオーラに包まれていた。
【織莉子】
「ゆまっグリーフシードは!?」
【ゆま】
「駄目、さっきので全部使い切っちゃったよ」
ソウルジェムの魔力を回復するには、グリーフシードを使うしかない。
しかし、ほむらを回復するために使ってしまったせいか、ゆまの手元に予備のグリーフシードは残ってなかった。
【織莉子】
「くっ…」
【ゆま】
「そうだ、さっきの深化魔獣のグリーフシードを使えば…」
ゆまは言う。
深化レベルの魔獣を倒したのならば、それ相応のグリーフシードを残している筈…
それを使えば助かる、と
しかし―――
【織莉子】
「それは…多分、無理よ」
【ゆま】
「え…?」
織莉子は、ゆまの提案に対して首を横に振る。
859 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 00:29:51.50 ID:fDDfIeo+0(14/50)
【織莉子】
「周りを見てみなさい」
そう言って、織莉子は深化魔獣が倒された場所を指さす。
そして、ゆまにその周辺を探るよう指示する。
織莉子の表情は、既に…諦めているようにも見えた。
【ゆま】
「…?」
ゆまは織莉子の話がいまいち理解出来ないまま、彼女の言う通り深化魔獣の居た周辺を探る。
【ゆま】
「っ!!」
しかし、ゆまは織莉子の言っていたことを直ぐに理解することになる。
【ゆま】
「...嘘」
【ゆま】
「グリーフシードが…ない」
そう、深化魔獣を倒したにも関わらず…その場には、グリーフシードが落ちてはいなかった。
どんなに探しても…たったの1つも、見つけることが出来なかったのだ。
【ゆま】
「な、なんで…」
ゆまは目の前の光景に驚きを隠せなかった。
深化魔獣は他の魔獣よりも遥かに強い。しかしその反面、倒した時の報酬も大きい筈だ。
確かに、魔獣を倒してもグリーフシードを得られない時は稀にある。
しかし、深化レベルの魔獣を倒して…1つもグリーフシードが手に入らないという事は今まで1度も無かった。
【織莉子】
「...あの子が戦ったからよ」
織莉子はそんなゆまに近づき、静かに口を開く。
そして…一言、グリーフシードが手に入らない理由を述べた。
それは、あの子…鹿目タツヤが戦って深化魔獣を倒してしまったからだ…と―――
【ゆま】
「あの子って…たっくん?」
ゆまは戸惑いながらもタツヤに目を向ける。
タツヤは…彼女達の視線には気付いておらず、ただただ空を眺めているだけであった。
860 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 00:30:40.30 ID:fDDfIeo+0(15/50)
【織莉子】
「…」
その光景を眺めながら…織莉子は、唇を噛みしめる。
このままでは…ほむらを助ける為に、力を使った筈のタツヤが…ほむらを追い詰めることになってしまう。
そんな悲惨な結果にするわけにはいかない。
しかし、今の自分達では…どうすることも出来ない。
その事実が、織莉子には歯がゆくて仕方がなかった。
【タツヤ】
「…」
【タツヤ】
「ほむら、さん…」
【織莉子】
「!!!」
だが、そんな彼女に反応するように…タツヤが声を発する。
いつの間にか髪の毛は元に戻り、彼を纏うオーラもなくなっている。
先程彼女達が恐怖を覚えた鹿目タツヤは、今そこにはいなかった。
【ゆま】
「たっくん...?」
【タツヤ】
「…」
だが、それでも…タツヤの様子が可笑しいことに変わりは無かった。
タツヤは酷く疲れている様子で、今にも倒れてしまいそうである。
恐らく、先の戦いで自分の限界を超える程の力を使ってしまったのだろう。
しかし、それでも彼は足を引きずるようにして…少しずつある方向に向かっていく。
【ほむら】
「…」
その先には、彼が守ろうとして…彼が傷つけてしまった…1人の魔法少女が居た。
861 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 00:34:46.12 ID:fDDfIeo+0(16/50)
【タツヤ】
「...助け、なきゃ」
タツヤは息も絶え絶えとした状態で、ぶつぶつと同じ言葉を繰り返す。
助けなきゃ…守らなきゃ…と―――
そう言い続けて…彼は疲労した体を無理やり動かしながら…ゆっくりと彼女に近付いていく。
【ほむら】
「…」
【タツヤ】
「ほむら、さん…」
そして、タツヤはほむらの傍まで近付くと…静かに腰を下ろす。
先程まで苦しんでいたほむらは、既に虫の息となっていた。
近くにはキュゥべえやゆま達もいたが、ほむらの事で必死になっていたタツヤが彼女達に気付くことは無かった。
【タツヤ】
「…」
しかし…次の瞬間、タツヤは何かを呟きながら再び自らにオーラを纏わせる。
先程とは違い、黒いオーラではなく…桃色の綺麗なオーラだ。
そのオーラと共に、タツヤは自らの周りに小さな魔法陣を展開させる。
魔法陣からは…ほむら達を包み込むような光が発せられた。
【ゆま】
「何…これ…」
【ゆま】
「凄く…暖かい…」
ゆまの言うように…その光は凄く暖かかった。
優しく…包み込み癒してくれるような…そんな印象を受ける。
その光は、ただ浴びているだけでも力が湧いてくるようであった。
【タツヤ】
「全ての…理に…示すは」
【タツヤ】
「天上に…捧げる…祈り…」
そして、タツヤはポツリと何かを呟くと…その光はますます輝きを増していく。
周りのほむらやゆま達をも巻き込み、その光はそのまま全てを包み込むように広がっていった。
862 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 00:36:09.09 ID:fDDfIeo+0(17/50)
【織莉子】
「...え?」
そして、光に包まれた織莉子達は…自分達にある変化が起き始めたことに気付く―――
【QB】
「そんな…馬鹿な…」
キュゥべえもまた、その変化に驚くことになる。
その現象は、この珍獣にとって…あり得ないことであり、そして本来あってはならないことだった。
何故ならそれは、魔法少女の常識を根本から覆すようなものだったから…
【QB】
「ソウルジェムが、浄化されていくなんて…」
そう…彼女達が見たものとは―――
ほむらのソウルジェムが、浄化に必要なグリーフシード無しで…その輝きを取り戻していく様だった。
【ゆま】
「あ…」
【ゆま】
「私達のソウルジェムも…」
そして、その現象はゆま達にも起きる。
タツヤの発動した魔法陣から発せられた光に包まれ、彼女達のソウルジェムもまた浄化されていく。
更に、ほむらを助ける為…回復を後回しにしていたゆま達の怪我すらも、綺麗に消えていった。
彼女達が浴びた光は、まるで―――
全てを浄化する、神様による癒しの光のようであった。
【タツヤ】
「...うっ」
【ゆま】
「タっくん‼‼」
彼女達のソウルジェムを浄化し終えると、タツヤは魔法陣が消えると同時に…その場で倒れてしまう。
驚いたゆまは、直ぐに彼に駆け寄った。
863 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 00:37:54.52 ID:fDDfIeo+0(18/50)
【タツヤ】
「…」スゥ
【織莉子】
「...大丈夫よ、気を失っただけ」
しかし、タツヤは織莉子の言う通り疲れ切ってその場で眠ってしまっただけであった。
恐らく…今の魔法で体力を使い果たしてしまったのだろう。
彼女達の魔力や怪我全てを癒す程の魔法を使ったのだ、無理もないだろう。
【ゆま】
「良かった...」
【QB】
「…」
ゆまが隣でホッとする一方で、キュゥべえは深刻そうな面持ちで彼を見つめる。
そう、本来であればソウルジェムがグリーフシード無しで浄化されるなど…あってはならない事なのだ。
だが、タツヤはそれを実行してしまった。
その事実が今後に与える意味を、キュゥべえは考えずにはいられなかった。
魔法少女達の今後を左右しかねない、その意味を―――
【ほむら】
「...うぅ」
【ゆま】
「あっ」
しかし、キュゥべえが考え込んでいると…
【ほむら】
「う…ううん…」
【ほむら】
「あれ…私は…」
傷を負い…深い眠りに落ちていたほむらが、静かに目を覚ます。
タツヤの力によって身体の傷は綺麗に癒え、彼女の手元にあったソウルジェムもその輝きを取り戻していた。
【ゆま】
「ほむらお姉ちゃんっ‼‼」
ほむらの無事な様子を見て、ゆまは目に涙を浮かべ…思わず抱き着く。
彼女が生きていてくれて本当に良かったと…ゆまは、心からそう思った。
大切な人を失う悲しみは、何度経験しても慣れるものではないのだから…
864 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 00:39:12.11 ID:fDDfIeo+0(19/50)
【ほむら】
「ゆま...?」
【ゆま】
「良かった…本当に…」
ほむらは、何が何だか分らないというようにボーっと辺りを見回す。
記憶が曖昧になっているのか、自分が何をしたのかさえも分らない様子であった。
恐らく、眠っている間に何が起きたのかなんて…全く理解できていないのだろう。
タツヤの力のことも、彼女はまだ知らないままだった。
【ほむら】
「…私、は…確か…」
【織莉子】
「全く、無茶したわね...」
【ほむら】
「あ…」
【ほむら】
「私は…」
織莉子の一言で、ようやく脳が覚醒し始め…事の経緯を思い出す。
自分が少年を守るために、命を投げ出そうとしたことを―――
【ほむら】
「でも、なんで…」
しかし、今の自分は命を落とすどころか…身体の傷すらも綺麗に消えている。
怪我に関しては、ゆまが治してくれたのかもしれない。
だが、自分も死を覚悟したつもりだったのに…一体どうして…
そう、ほむらは混乱しながらも思考を巡らせる。
【QB】
「…」
その姿を、キュゥべえはじっと見つめることしか出来なかった。
滅多に表情を変えないその顔を、ほんのわずかに歪めながら―――
865 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 00:44:44.72 ID:fDDfIeo+0(20/50)
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
【タツヤ】
「ん…」
少女達がか自分達の事で一喜一憂している中―――
その原因を作った張本人であるタツヤが、静かに目を覚ます。
【タツヤ】
「…あれ」
【タツヤ】
「此処は…」
しかし、そこはほむら達の居た広場ではなかった。
というより、その場所は…元の世界であるかも怪しい。
その場所は…辺り一面に綺麗な花畑が敷き詰められ、この世のものとは思えない程の美しい光景が広がっている。
タツヤは、そんな世界に1本だけポツンと立っていた巨大な木の真下に居た。
まるで、昼寝でもしていたかのように…日差しを木影で遮るよう木に寄りかかって眠っていたのだ。
『お疲れ様』
【タツヤ】
「え?」
ふと、タツヤは反対側から聞こえる声に気付く。
『頑張ったね』
【タツヤ】
「...貴方は」
タツヤはその言葉に反応して、声の聞こえた方向へと振り向いた。
声の主はタツヤ同様木に寄り掛かるよう座っていたが…
彼の反対側に座っているため、後姿しか見ることが出来ない。
声の主は―――純白のワンピースに身を包んだ…桃色の髪の毛の少女…
その少女は、初めて会う筈なのに…何処か懐かしい印象を受ける。
そう…まるで、昔何処かで会っているかのような―――
『けど、少し頑張り過ぎたね』
少女は、振り返ることもなく話を続ける。
その口ぶりはタツヤのした事を、全て見ているかのようであった。
力を暴走させ、ほむら達の事を一切考えない滅茶苦茶な戦いをしてしまったタツヤの事を―――
866 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 00:45:58.79 ID:fDDfIeo+0(21/50)
【タツヤ】
「俺は…」
何となく…その事に気付いたタツヤは、少しだけ沈黙した後に口を開く。
タツヤは、あのような状態でも魔獣との戦いのことを覚えていた。
ほむらやゆまの魔力を吸収してしまった事までは覚えていないが、
暴走してしまった自分…理性を無くして魔獣を力で惨殺した事だけは、はっきりと覚えていたのだ。
【タツヤ】
「俺は…怖かったんだ」
その事を踏まえて、タツヤは言う。
自分は…怖くなったのだと―――
【タツヤ】
「大切な人達が、目の前で居なくなることが…」
【タツヤ】
「『恐怖』という感情に閉じ込められて押し潰されそうになって…」
【タツヤ】
「気付いたら、自分が自分じゃなくなって…」
ほむらが自分を庇って氷塊に押し潰された瞬間、タツヤの中に流れ込み浸透していった『恐怖』という感情。
自分の軽はずみな行動のせいで、親しくなった人を傷付けてしまった。
自分のせいで、その人を失ってしまうかもしれない。
そう思えば思うほど…自分の中で『恐怖』というドロドロとした黒いものが流れ込んでいく。
次第に、少年は理性を失い…ほむら達を傷付けた深化魔獣に対する『恨み』や『憎しみ』といった負の感情に支配される。
そして、それらが爆発した結果…力を暴走してしまったのだ。
【タツヤ】
「でも、ほむらさんの姿を見て…」
【タツヤ】
「助けなきゃ…守らなきゃって…」
しかし、それでも…少年は最終的に理性を取り戻した。
タツヤを負の感情から救い出したのは、たった1つの願い―――
ほむらを…魔法少女を守りたいという―――少年が胸に強く抱いた、最初の願いだった。
その願いが、タツヤの心の奥底に残っていたからこそ…彼は戻ってくることが出来たのだった。
867 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 00:47:08.16 ID:fDDfIeo+0(22/50)
【タツヤ】
「本当、怖いんだな…」
【タツヤ】
「ほむらさんの気持ちが、少しだけ分かった気がする」
タツヤは改めて、戦いの場に身を置くことの怖さを知る。
戦いで誰かが傷つくことは勿論、今回のように負の感情が溢れ出し自分を見失う怖さを肌で感じた。
先程、ほむらが言っていたこと。
自分はもう親しくなった人を失いたくない。
少年はその言葉が、少しだけ分かったような気がした。
親しくなった人を失うかもしれないという『恐怖』―――
それだけでも恐ろしいのに、本当に大切な人を失った時…その感情はどうなってしまうのだろう。
きっと、自分が自分では無くなってしまうのだろうと…タツヤは思う。
それこそ…大切な人を取り戻せるのであれば…悪魔に魂を売って良いと思えてしまう程に…。
『そっか…』
【タツヤ】
「…」
純白の少女は、タツヤの話を背中越しにただ黙って聞いていた。
後ろを向いている少女が、今どんな表情をしているのかは分からない。
彼の話を聞いた上で、どんな事を考えているのか…全く見当も付かなかった。
『じゃあさ…』
『こっちの世界に来る?』
少しして…少女は口を開く―――
【タツヤ】
「え?」
しかし、彼女から発せられた言葉の意味を少年は理解出来ず、思わず聞き返してしまう。
こっちの世界とは、今自分がいる世界を指しているのだろうか…。
澄んだ青空に…綺麗な花畑、戦いとは程遠いような美しい自然に囲まれた…この場所のことを―――
868 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 00:48:29.33 ID:fDDfIeo+0(23/50)
『この世界なら、そんな感情に襲われることもない』
『辛い思いをしなくても済むようになるんだよ』
『ずっと…』
純白の少女は、なおも続ける。
この世界であれば、今さっきのように負の感情に悩まされることはない。
感情に左右されることのない…そして、何も考える必要のない…幸せな毎日を過ごすことが出来る。
そう、ずっと…それこそ、永遠に―――
【タツヤ】
「…」
【タツヤ】
「それも…良いかもな」
タツヤは少女の話に対し、沈黙を続ける。
しかし、ふっと一言…そんな生活も悪くない、と言葉を漏らした。
【タツヤ】
「でも、遠慮しとくよ」
だが、そう言った上で…この少年は首を横に振る。
【タツヤ】
「俺は、約束したんだ」
【タツヤ】
「あの人を、1人にはしないって…」
自分がこの世界に留まったら、あの人を裏切ることになる、と―――
【タツヤ】
「約束は、守らないと」
自分は約束したのだ。
彼女を…1人にはしないと、彼女の心を守ると…。
約束は守らなければいけない、その為にもこんな所で呑気に過ごすわけにはいかない。
それが…少年の揺るがない決意だった。
869 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 00:49:59.42 ID:fDDfIeo+0(24/50)
『...そっか』
『…分かったよ』
タツヤの意思の強さを知った少女は、少し残念そうに呟く。
『じゃあ…』
『ほむらちゃんを、お願いね』
そして、少女はタツヤに言葉を贈る。
何時までも少女の姿のまま戦っている、魔法少女の名前を挙げ…
彼女の事を…支えてあげて欲しい、と―――
【タツヤ】
「…」
【タツヤ】
「...あぁ」
何故、彼女の事をこの少女が知っているのか。
そんな問いかけを…タツヤは、あえてしなかった。
彼女がほむらの事を知っていようと知っていまいと、自分に出来ることは1つしかない。
その事を成し遂げるだけ…そう、心に決めていたのだから―――
870 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 00:51:26.87 ID:fDDfIeo+0(25/50)
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
そして、場所は再び見慣れた世界へと変わる―――
【タツヤ】
「...ん」
【タツヤ】
「…日差しが」
少年は…その身体に浴びる眩しい光に誘われ、再び目を覚ます。
暗くなっていた空は、すっかり明るくなり…暖かい日差しが差しのべる。
寝ぼけていたタツヤはその日差しに導かれるように、徐々に意識を覚醒させていった。
【タツヤ】
「はっ」
【タツヤ】
「みんなは...!」
暫くして、タツヤはようやく意識をハッキリさせる。
自分が深化魔獣と戦ったこと、戦って…倒したこと…
そして、ほむら達のことを―――
タツヤは辺りを見回す為に、起き上がろうとする。
ほむら達は、一体どうなったのだろうか、と...。
「まだ、寝てなさい」
しかし、起き上がろうとしたタツヤの頭を突如…冷たい手のひらが支える。
【タツヤ】
「っ‼」
そこで…タツヤは驚くと同時に、ある違和感に気付いた。
外で寝ているの筈なのに、首元は柔らかくて暖かい何かに支えられているということに―――
しかし、少年はその理由を直ぐに知ることになる。
871 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 00:53:15.68 ID:fDDfIeo+0(26/50)
https://www.youtube.com/watch?v=xgat59HFycY
【ほむら】
「全く…」
【ほむら】
「無茶したわね」
その冷たい手のひらの持ち主である…暁美ほむらが、タツヤの頭を膝に乗せながら話す。
そう…首元に感じる感触は、ほむらの膝枕だった。
タツヤは、ほむらの膝の上で夜が明けるまで眠ってしまっていたのだ。
【タツヤ】
「す、すいません」
タツヤは、今の状況が上手く飲み込めず…口籠るように返事をする。
だが、ほむらに迷惑を掛けたことだけは直ぐに理解できた。
ほむらを守ると決めたのに、何をしているのだ…と、タツヤは少しだけ自暴自棄になる。
【ほむら】
「...でも」
しかし、そんなタツヤの顔を…ほむらはそっと覗き込む。
【ほむら】
「おかげで、助かったわ」
【ほむら】
「どうも有難う」
そして、彼女は言う。
助かった、有難うと―――
その表情に…人間らしい、優しい微笑みを作りながら…
【タツヤ】
「え…いや、俺は…」
その不意打ちとも言えるほむらの言葉と表情に、タツヤは思わず目を反らしてしまう。
お礼を言われたのが恥ずかしかったのか
それとも、ほむらの表情に見とれてしまった自分を隠すためなのか…
タツヤは自分でも分からなかった。
【ほむら】
「...でも、そのおかげで」
【ほむら】
「仲間の下へ行きそびれちゃったわ」
だがその一方で、ほむらは少しだけ残念そうに呟く。
872 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 00:55:37.37 ID:fDDfIeo+0(27/50)
【タツヤ】
「え?」
【ほむら】
「私は、導かれたかった」
【ほむら】
「そして、会いたかったのよ」
【ほむら】
「かつての、仲間たちに」
自分が何故あんな無茶な事をしたのか…それは、かつての仲間に会いたかったから―――
戦いの中で死ぬ事が出来れば、魔法少女が導かれし楽園…円環の理で、彼女達に会えるのではないか、と…
ほむらは、空を見上げながら…そう、ゆっくりと話し始める。
その姿は…遠くて手の届かないような場所を、悲しそうにじっと見つめているかのようであった。
【タツヤ】
「…」
【ほむら】
「例え、それが…」
【ほむら】
「絶望の淵に、自分の身を落とすことだと分っていても…」
しかし、ほむらは分かっていたのだ。
自分の選んだ道が…『希望』ではなく『絶望』へと繋がっているということを...。
円環の理に導かれる者は、『希望』を信じて戦い続けた少女達のみ。
かつて、全ての魔法少女を救った少女が…そうだったように―――
自分のように、人間ではないからと自暴自棄になり…命を投げ捨てるような戦いを続ける者には、決して辿り着けない場所。
だからこそ、自分はまだ戦わされているのかも知れない。
円環の神様…彼女が、自分にその事を気付かせる為に―――
頭では、分かっている。
でも…1人で戦えば戦う程、『人』としての自分が壊れていくことも事実だった。
https://www.youtube.com/watch?v=Odhk7dFRHCw
綺麗な花畑の中―――
一緒に戦ってくれたかつての仲間達が、次々と…砂のように消えていく。
その中で、自分だけがたった一人取り残される。
ほむらの心の中では、そんな映像が永遠を繰り返されていたのだ。
873 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 00:58:11.44 ID:fDDfIeo+0(28/50)
【タツヤ】
「ほむら、さん」
【ほむら】
「でも…」
【ほむら】
「そんな私に」
【ほむら】
「手を差し伸べるあなたが居た」
しかし、花畑で1人泣き崩れるほむらに…そっと手を差し伸べる者が居た。
その者は…かつての最愛の友人の面影を残した、心優しい少年―――
泣いているほむらに…柔らかい笑みを浮かべる少年の名は、鹿目タツヤといった...。
【ほむら】
「私は、それを掴んでしまった」
花畑に居るほむらは、恐る恐るタツヤの手を掴もうとする。
触れた瞬間―――砂となって消えてしまうのではと、恐れながら…
しかし、その差し伸べられた手は…しっかりと掴むことが出来た。
その瞬間…ほむらは、何かから解放されたような気がしたのだ。
【タツヤ】
「…」
【ほむら】
「...情けないわね」
【ほむら】
「…あなたの事を、邪魔者扱いしておいて」
【ほむら】
「そんなあんたに、私は救われたんだから...」
ほむらは、タツヤによって『人間』の心を取り戻すことが出来た。
『人間』としての自分を忘れ掛けていた彼女も、タツヤの前では『人間』であることが出来たのだ。
そう、ほむらはタツヤに話す。
【タツヤ】
「多分…」
【タツヤ】
「ほむらさんを絶望の淵から救ったのは、俺じゃないと思います」
しかし、少年はほむらの話を聞き終えると…少し照れくさそうに呟いた。
874 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 01:00:44.52 ID:fDDfIeo+0(29/50)
【ほむら】
「?」
【タツヤ】
「きっと、その仲間達がほむらさんを救い出したんです」
『絶望』という名の奈落へと堕ちようとしていたほむらを救い出したのは、自分ではない。
ほむらの中に眠っていた仲間達との暖かくて…切ない思い出達が、ほむらを立ち直らせたのだ。
自分は、その思い出を呼び覚ますきっかけを作ったに過ぎない。
かつて、一緒に戦った仲間達が…貴方を助けてくれたのだと、少年は言う。
【タツヤ】
「それに…」
【タツヤ】
「ほむらさんは、1人じゃないですよ」
【ほむら】
「っ‼‼」
そして、タツヤは続ける。
急いで仲間の下へ行かなくても良いのではないか、と―――
こっちの世界でも仲間はいる。
ゆまや織莉子、和子や仁美だって彼女のことを心配してくれている。
それに、自分はほむらを1人にしないと約束したのだ。
これからは、自分が貴方を守る。
そう…タツヤは、柔らかい笑みを浮かべながら話した。
【ほむら】
「…」
ほむらはその言葉を聞き、以前も…宗一郎にも似たような言葉を言われたことを思い出す。
お前は1人ではない―――
確かに、そうかも知れない。
宗一郎や美佐子はいつも自分の事を心配してくれてたし、魔獣との戦いだって…ゆまが手伝ってくれることもある。
だが、ほむらは認めたくなかった。
仲間が居ると思えば、その仲間に頼ってしまうから...。
そして、弱い自分はいつか…その人達を傷付けてしまうから。
その事が…ほむらはどうしようもなく怖かったのだ。
875 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 01:02:22.30 ID:fDDfIeo+0(30/50)
だから、自分に言い聞かせた。
自分に、仲間は居ない…自分はずっと1人なのだと―――
でも…タツヤはそんな自分の気持ちを知っても尚…貴方は1人じゃないと、言い放つ。
彼の言葉を聞いていると、自分は仲間に頼っても良いのではないか、と...。
少しだけ…本当に少しだけだが、思えるような気がした。
孤独によって冷たくなっていった自分の心が、徐々に暖かくなっていくような気がしたのだ。
【ほむら】
「本当に」
【ほむら】
「つくづく似てるわね」
そして、ほむらは思わず言葉を漏らす。
【タツヤ】
「え?」
【ほむら】
「まどかに…」
自分を救ってくれた少年に向かって…
あなたは似ている…自分の最愛の友人に、と―――
【タツヤ】
「!?」
【タツヤ】
「えっそれって、どういう…」
タツヤはその言葉を聞いて、思わず飛び上がる。
そのまま…ほむらに詰め寄り、言葉の真意を確かめようとした。
まどか、タツヤがずっと気にしていた…懐かしい響きがするその名前―――
ほむらの友人だという彼女と自分が似ているとは、どういうことかと。
876 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 01:04:26.64 ID:fDDfIeo+0(31/50)
【ほむら】
「...ごめんなさい」
【ほむら】
「今は、まだ話せない」
【タツヤ】
「っ‼」
しかし、ほむらはタツヤの前で首を横に振る。
彼女の事を、まだ話すことは出来ない。
まどかの事を…真実を話せば、いくらタツヤと言えど…どうなってしまうか分からない。
その真実は、この少年には残酷すぎる。
何より、この少年にかつてない程の重荷を背負わせるものだったから…。
【ほむら】
「でも、いつか…」
【ほむら】
「あなたに、全てを話すわ」
それでも、いつかはこの少年にも…真実を話さなければならないと、ほむらは思う。
【ほむら】
「それまで、待っててくれる?」
この少年がもっと大人になって、人として全てを受け入られるくらい強くなった時は、全てを話そう。
そう、ほむらは密かに誓うのだった。
【タツヤ】
「は、はい…分かり、ました」
タツヤは、ほむらの言葉を受けて…思わずその場で頷いてしまう。
もっと食い下がっても良かったのだろうが、自分を見つめる彼女の真剣な眼差しの前では…首を縦に振ることしか出来なかった。
【ほむら】
「...ところで」
会話が一段落したところで、ふとほむらが表情を崩し…薄ら笑みを浮かべて言葉を発する。
877 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 01:06:30.09 ID:fDDfIeo+0(32/50)
【ほむら】
「あなた、何時の間に私の事下の名前で呼ぶようになったの?」
【タツヤ】
「ふぇ!?」
ほむらの言葉に、タツヤは良く分からない言葉を発してしまう。
今までずっと、タツヤがほむらを呼ぶ時は『暁美さん』だった筈なのに…
いつの間にかその呼び方は『ほむらさん』に変化していた。
その事が、ほむらはふと気になったのだ。
【タツヤ】
「いいいいや、それはっあのっですね…成り行きと言うか、そのー…」
ほむらの問いに、タツヤは驚き慌て…しどろもどろになってしまう。
何とか理由を話そうとするが、その言葉は要領をえず何を言っているのか分からない。
別に大した事ではない。何となく、そう呼びたくなっただけ…
そう簡単に説明すれば良いのだが、上手く言葉が出てこない。
【ほむら】
「…」
【タツヤ】
「えー…と、そのー…」
もしかしたら、馴れ馴れしいと言われるのではないか?
そんな不安が、タツヤから言葉を奪っていた。
【ほむら】
「...ぷ」
しかし、そんな少年を見てほむらは―――
【ほむら】
「ふ…ふふっ…」
まるで、無邪気な少女のように…口の端をつり上げ、笑い始めた。
その表情は…普段の彼女からは全くと言って良いほど想像出来ない。
お腹の底から湧き上がってくる笑いを必死に堪えようと、ほむらは自分の顔を片手で覆う。
878 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 01:08:21.88 ID:fDDfIeo+0(33/50)
【タツヤ】
「あ…暁美さん」
【ほむら】
「ごめんなさい」
【ほむら】
「なんだか…可笑しくて」
こんなに…涙が出る程笑ったのは何時振りだろう…と、ほむらは涙を拭きながら思う。
感情を素直に出す事を忘れていたほむらは…笑っていた頃の事が思い出せなかった。
そもそも…魔法少女になってから、心の底から笑ったことなどあっただろうか。
友人の為に同じ時間を繰り返し、
そして…そんな彼女が守った世界を護る為に戦い続けてきたほむらにとって、心から笑える時間があまりにも少なかったのかもしれない。
【タツヤ】
「は…はぁ?」
しかし、この少年は自分に…そんな時間を与えてくれた。
心の底から笑える時間、心の底から泣ける時間―――
戦いの中で止まってしまった自分の時間が、タツヤの手によって…少しずつ動き始めたような気がする。
【ほむら】
「ほむらでいいわ」
【ほむら】
「…『タツヤ君』」
だから―――ほむらは決めた。
この少年を…鹿目タツヤの事を、ちゃんと見ていこうと...。
まどかの弟として、彼に彼女の幻影を重ねるのではなく…この少年自身の事を―――
初めて、彼の名前を呼んだ事は…そんなほむらの決意の現れだった。
【タツヤ】
「えっあっは、はいっ」
突然名前を呼ばれ、ますます慌てるタツヤ。
ほむらの考えなど、この少年は理解出来ないだろう。
だが、この少年が全ての真実を知り…まどかの事を、自分の姉のした事を知る時―――
その時は…ほむらが考えているものよりも…早く訪れることになるかもしれない。
879 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 01:10:02.32 ID:fDDfIeo+0(34/50)
【ゆま】
「むー…」
そんな2人のやり取りを、少し離れた場所から複雑な心境で眺めている少女がいた。
【ゆま】
「なんか2人だけで楽しそうにしてる…」
ゆまは、木陰に隠れながらほむらとタツヤの様子をずっと伺っていた。
少し機嫌が悪そうに、その整った顔立ちの眉間にしわを寄せながら...。
ほむらが彼のおかげで助かり、少しだけ明るくなった事は喜ぶべきことだ。
勿論、その事に関してはゆまも嬉しいと思っている。
だが、だからといって自分を抜きにしてタツヤ達だけで楽しんでいるのはどうも納得がいかない。
…というより、何だか胸の奥がモヤモヤする。そんな感情にゆまは囚われていた。
【織莉子】
「あらあら…」
そして、そんなゆまの事を織莉子はもう少し遠い場所で眺めている。
織莉子は薄々気付いていたのだ。
ゆまがタツヤの事を自分でも知らない間に“そういう目”で見始めているという事に...。
ほむらが彼の事をどう思っているのかは知らないが、
これから、どうしていこうものか…と織莉子は別の意味で頭を悩ませていた。
【織莉子】
「(...まぁとりあえず一安心、かしらね)」
ただ、今日のところは皆が無事だった…それだけで満足だと、織莉子は思う。
自分の予知とは大分違う事になったが、結果オーライだろうと彼女は結論付けた。
そう、彼女には珍しく…深く考えようとせずに―――
880 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 01:11:24.57 ID:fDDfIeo+0(35/50)
【QB】
「本当にそう思ってるかい?」
しかし、その安易な考え方をこの珍獣は許さなかった。
【織莉子】
「!?」
【QB】
「今は、これで良いかもしれない」
織莉子の前に現れたキュゥべえは、その変わらぬ表情に若干の焦りの色を見せながら話始める。
タツヤの力は…確かに強大だ。
急激に力を増している魔獣達、そして新たな魔法少女が生まれない今の見滝原…
この環境を考えても、彼の力は今後必要になっていくだろう。
今回も、彼の力のおかげで窮地を脱することが出来た。
しかし―――
【QB】
「でも、彼のあの力は…あまりにも危険過ぎる」
【QB】
「それこそ、この世界の理を覆し…全てを壊してしまうことになるかもしれない」
そもそもここまでの窮地を作り上げたのも、彼なのではないか?
彼の中に眠る絶対的な力は、自分達にとって『希望』にもなりうるし『絶望』にもなりうる。
このままで…本当によいのか、キュゥべえは自分にも言い聞かせるように言葉を続けた。
【織莉子】
「(…)」
この珍獣に言われずとも、そのことは織莉子も気付いていた。
何より、タツヤの力には…自分達の力とは決定的に違うものがあるのだから―――
【織莉子】
「(エナジードレイン…)」
それは、彼がグリーフシードなしで魔力を回復出来るということ。
魔獣から…魔法少女から、魔力を吸収して自分のものにしてしまう生命力吸収――エナジードレイン―――
彼と共に戦えば、魔法少女達は無条件で魔力を消費していってしまうだろう。
それに…それだけでも危険な力なのに、問題は他にもある。
881 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 01:12:49.69 ID:fDDfIeo+0(36/50)
【織莉子】
「(直接魔力を吸収してしまっては…)」
【織莉子】
「(魔力の源であるグリーフシードが、魔獣の中で生成出来なくなる)」
【織莉子】
「(…魔法少女にとっては、最悪の展開)」
魔獣から魔力を直接奪うということは、当然魔獣の魔力は失われる。
それは同時に―――魔獣の中でグリーフシードが生成出来なくなることを意味する。
魔獣の魔力が根こそぎ奪われるのだ、魔力の詰まったグリーフシードが生成されないのは…ある意味当然のことであろう。
しかし、それはグリーフシードを回復源とする魔法少女にとって…死活問題であった。
タツヤの力は、まさに…彼女達にとって相性最悪の力だった。
【QB】
「この先、もし…」
【QB】
「彼が道を誤り…僕達とは相容れぬ存在になったら…」
キュゥべえは、ある1つの不安を抱いていた。
そんな彼が、今回の戦いのように…我を忘れ、力を暴走させるような事が今後も起きるのだとしたら...。
その力に彼自身が支配され、この世界を…魔法少女達を『絶望』に陥れるような事が起きてしまったら...。
【QB】
「その時、僕達は取る選択肢は…」
【QB】
「彼を…」
魔獣同様、自分達の『敵』として彼を見なければならなくなったとしたら…
その時、自分達インキュベーターは…彼…鹿目タツヤを―――
【織莉子】
「それ以上を言葉にしたら、怒るわよ」
キュゥべえがある言葉を言いかけた言葉を、織莉子が遮る。
その先の言葉が、ゆま達にとって…どれだけ残酷なものか、織莉子には痛いほど伝わっていたから。
分かっている、今この珍獣の言葉を遮ったとしても…現状は、何も変わらないということを―――
だが、例え問題を先送りにすることになったとしても、今は…今だけはその言葉を聞きたくはなかった。
882 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 01:15:14.43 ID:fDDfIeo+0(37/50)
【QB】
「…」
【QB】
「…そうだね」
【QB】
「今は、このままでいいか」
キュゥべえは織莉子の思い詰めた表情を見て、1つ溜息を付く。
そして、以外にも…彼女の言葉をすんなりと受け入れた。
【織莉子】
「あら、珍しくあっさり引くじゃない」
そのことに、織莉子も違和感を覚える。
この珍獣が、こんなに簡単に諦める筈がない。
自分達の利益の為なら、どんな犠牲も厭わないような連中だ。
一体何を考えているのか、と疑う方が当然であった。
【QB】
「僕だって、君達人間に対してある程度の理解はあるつもりだよ」
しかし、キュゥべえはそんな考えなどないことを強調する。
確かに、以前タツヤに言ったように自分達は人間達を『家畜』のように扱っている部分もある。
だが、だからと言って人間の気持ちを完全におざなりにしているわけではない。
自分達は自分達なりに、人間に歩み寄ろうとしているのだと…この珍獣は続けた。
【QB】
「それに、僕自身…何故かこの現状が壊れてほしくないと思っているんだ」
【QB】
「不思議だけど、ね…」
更に、この件について…キュゥべえは自分の中で生まれ始めている『違和感』についても口にした。
今の状態が、このまま続いてくれれば良い…と。
別に今の状態が続いても、この珍獣達には何のメリットもない。
むしろ、彼が危険な存在だという認識から…デメリットの方が多いくらいだ。
しかし…タツヤやほむら達との様々な交流を通じて、“このキュゥべえ”の考えは変わり始めていたのだ。
もう少しだけ、彼等と一緒に居てもいいかもしれない…と…
少しだけ…ほんの少しだけだが…彼等と居る今この場が…
居心地が、良いのだと――――
883 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 01:16:48.44 ID:fDDfIeo+0(38/50)
【織莉子】
「...随分と人間臭いこと言うのね、気持ち悪い」ヒョイ
織莉子はそんなキュゥべえを、蔑むような冷たい視線で見下ろす。
感情を持たない筈のこの珍獣が、まるで人間が言うかのような台詞を吐いた。
戦いで使用したグリーフシードを放り投げながら、彼女はそう気味悪そうに言った。
【QB】
「酷いなぁ」キュップイ
キュゥべえは直ぐにいつもの調子に戻り、織莉子が投げたグリーフシードを受け取る。
らしくない事だとは、この珍獣自身が一番よく分かっている。
だが、考えてしまったものはしょうがないと割り切ってしまう所は、ある意味この珍獣らしかった。
【QB】
「(でも、そうも言ってられないのも事実だ)」
しかし、現状に不安が完全にないわけじゃない―――
【QB】
「(だって…あの力は…)」
タツヤが力を覚醒させたと同時に…この珍獣の眠っていた『記憶』が蘇った。
その『記憶』を辿れば、これまでこの見滝原で起きた全ての現象に、ある1つの仮説を立てることが出来る…かもしれない。
タツヤの力のこと
ほむらの身体のこと
そして…この見滝原で、魔法少女が生まれなくなってしまったこと―――
【QB】
「(…)」
だが、キュゥべえは直ぐにその『記憶』を辿ることを止めた。
その『記憶』は、現状維持を望む今のキュゥべえにはあまりにも…
そう、あまりにも―――
884 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 01:19:14.62 ID:fDDfIeo+0(39/50)
【ゆま】
「たーくぅぅぅうん‼‼」ダッダッダッ
【タツヤ】
「え?どわっ!?」ズサァァァ
とうとう我慢出来なくなったのか、ゆまはタツヤへ向けて走り出す。
そして、そのままタツヤにタックルするような勢いで抱き着いた。
突然の事にタツヤも驚き、そのままバランスを崩して彼女に押し倒される形になってしまう。
【ゆま】
「酷いよ、ほむらお姉ちゃんばっかり‼‼」
【ゆま】
「私だって頑張ったのにっ」
【ゆま】
「私にも何か言葉かけてよ‼‼」
ゆまはタツヤに馬乗りになり、タツヤに労いの言葉を求める。
2人の顔はかなり近く、傍から見ると凄い光景なのだが…ゆまがその事気にする様子は無かった。
無意識の内にこういう事をしてしまう辺り、彼女も相当の天然なのかもしれない。
【タツヤ】
「いきなり何を言い出すんですか貴方はっ‼‼」
タツヤは混乱しながらも、ゆまに向って反論を述べる。
しかし、目の前に居る顔立ちの整った少女に顔を赤くし、思わず顔を背けてしまう。
というより、ゆまがあまりに密着してくるため、色々柔らかい部分が当たっておりタツヤは相当困惑していた。
【ゆま】
「ほむらお姉ちゃんだけずるいっ」ギュー
【タツヤ】
「は〜な〜れ〜ろ〜‼‼」ギギギ
だが、それでもゆまはまるで子供のように無邪気に身体を密着させてくる。
それを必死に引き剥がそうと、タツヤは顔を逸らしながらもゆまを押し返す。
そんな2人のおしくらまんじゅうみたいやり取りが、暫く続いた。
【ほむら】
「...ふふ」
そんな2人のやり取りを、ほむらは再び優しい笑みを零しながら見つめる。
『人間』としての自分を捨て、様々な感情を押し殺しながら戦い続けてきた彼女は…もう何処にも居なかった。
885 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 01:20:25.23 ID:fDDfIeo+0(40/50)
【織莉子】
「...私達もいくわよ」
その姿を見て安心した織莉子は、隣に居た珍獣に声を掛け、自らもタツヤ達の下へと向かう。
【QB】
「そうだね」
その声に反応し、キュゥべえもまた…彼等の下へと向かおうとする、
「…」シュ
しかし―――
【QB】
「!?」クルッ
一瞬…何かの気配を感じたキュゥべえは、咄嗟に真後ろに振り向く。
だが、キュゥべえが振り向いた先には…誰も居なかった。
【織莉子】
「...どうしたの?」
【QB】
「...いや、別に」キュイ
自分の気のせいだったのか、とキュゥべえは再び向き直り織莉子に付いていく。
その背後に妙な違和感を覚えながら―――
886 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 01:22:14.28 ID:fDDfIeo+0(41/50)
「…」
そして、キュゥべえのその違和感は間違ってなど居なかった。
「見滝原が騒がしいと思って偵察に来てみたら…」
「なんか可笑しい事になってんな」
遠くから彼等の事を観察していた“それ”は、キュゥべえの視線に気付き物陰に隠れていた。
その姿は…キュゥべえ同様小動物のような姿をしており、その身体の色は黒を基調としている。
キュゥべえの視線が無くなると、“それ”は物陰から顔を出し、再び彼等の様子を伺う。
「しっかし、あのガキ…」
「鹿目タツヤって言ったか」
そして…“それ”の視線は、ゆまと言い合っているタツヤへと向かれている。
「ありゃイレギュラーどころの騒ぎじゃねーな」
「うちの連中的に言うなら、ヘレティックってところか」
“それ”はタツヤ達の戦いの様子を、気付かれないように遠くからずっと観察していた。
そして、この観察者もまたタツヤの力の異常さに気付き、彼への警戒心を強める。
その力を不規則(イレギュラー)ではなく、異端者(ヘレティック)と比喩するほどに―――
「ま、一応…海香達に伝えておくか」
「あのガキ、『ヘレティックタツヤ』の事を…」ヒョイ
“それ”は、そう言い残し…自らの主の下へと帰っていく。
この観察者の…この行動が、今後の物語を大きく動かす事になるのだが…
その事を知る者は、まだ誰もいない―――
887 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 01:24:21.48 ID:fDDfIeo+0(42/50)
【織莉子】
「貴方達、あんな戦いの後で元気ねぇ」
【ゆま】
「あ、織莉子〜」
【タツヤ】
「ぐぇ...」
織莉子達はタツヤ達の下へと移動し、彼女達に声を掛ける。
ゆまはタツヤに馬乗りになった状態で、織莉子に能天気に手を振る。
一方で、タツヤはその下でぐったりしていた。
【QB】
「タツヤ、君はこんな所で油を売っていていいのかい?」
そんなタツヤに、キュゥべえはいつも通りの憎まれ口で話しかける。
いつも通り…心底不思議そうに、その紅い目で彼の事を見つめながら…
【タツヤ】
「あ?なんでだよ」
【QB】
「だって、もう朝だよ」
キュゥべえの言う通り、周りは既に暖かい日差しに照らされ、すっかり明るくなっていた。
近くの時計台の針も、早朝の時間を指している。
だが、だからどうしたのだ…とタツヤは首を傾げる。
夜が明けてしまったからと言って、何の不都合があるのか…
【タツヤ】
「...あ」
そこまで頭を回して、タツヤの思考は一時停止する。
そう、夜が明けて朝になってしまったのだ。
昨日の夜に家を飛び出し、帰る事のないまま…何の連絡もせずに…
【タツヤ】
「しまったああああああああああああああああああ!?」
【タツヤ】
「父さんに殺されるぅぅぅぅううううううう‼‼」
888 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 01:26:19.00 ID:fDDfIeo+0(43/50)
タツヤは突如として頭を抱え、その場で大声を上げる。
家を出る時は許してくれても、何も言わずに朝帰りなんて…自分の父が許すはずがない。
最悪死…いや、死んだ方がマシだと思える程の罰を与えられるに違いない。
そんな事を考えながら、タツヤは顔を真っ青にしていく。
【織莉子】
「あらあら…」
その様子を見て、織莉子が憐れむ様子で溜息を漏らす。
織莉子もタツヤの父・知久の事は、詢子から聞かされていた。
直接会う事は少ないが、それでも…あの完全無敵の女社長である詢子が唯一恐れる存在として、彼女も知久の事を間接的にだが知っていたのだ。
【ゆま】
「あれ?何だろ、この壊れた自転車」
【織莉子】
「あっそれは…」
更に、何時の間にかタツヤから離れていたゆまが、近くの広場に大破した自転車を見つける。
それは…タツヤが此処に来る際に大輔の好意で貸してもらった自転車だ。
瘴気が晴れた事で、この自転車もまたボロボロの状態で元の世界に戻ってきていたのだった。
【QB】
「タツヤ、全部君が招いた事だよ」
【QB】
「だったら、ちゃんと罰は受けるべきじゃないかな?」
【QB】
「人間って、そういう生き物なんだろ?」
キュゥべえは自転車の事も含めて、全ての責任は君にあるとタツヤに捲し立てる。
それ相応の償いをするべきだと、キュゥべえはいつもの調子で少年に続けた。
この珍獣も、恐らくは自分なりにタツヤに気を使った上での台詞だったのだろう。
最も、それがこの少年にどういう風に聞こえているかは聞くまでもないのだが…
【タツヤ】
「黙れぇぇぇええ‼‼」カシッポイー
【QB】
「きゅっぷいぃぃぃいいい」ワケガワカラナイヨー
案の状、タツヤはキュゥべえの長い耳を掴み…この珍獣を遠くまで投げ飛ばす。
…この珍獣もこうなることを分かって、彼にそんな言い方をしているのかもしれない。
889 第5話「強さはいつも心の中に」 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 01:28:12.05 ID:fDDfIeo+0(44/50)
【ほむら】
「...ふっ」
ほむらは、そんな光景を微笑みながら見つめる。
今までずっと居なくなった友人達の幻影を追ってきたが、この出来事をきっかけに…少しだけ変わる事が出来るかもしれない。
心の中で、彼女はそう思った。
『よかったね』
そして、心の中ではもう1人の彼女が労いの言葉を掛ける。
その彼女もまた…今までの彼女からは想像も出来ない程の笑顔であった。
ほむらの変化を、心から祝福していたのだろう。
【ほむら】
「...えぇ」
ほむらは、彼女に背を向けたまま短く返事をする。
その表情は、実に充実感に溢れるものだった。
今後も、ほむらは戦い続けるだろう。
見滝原で唯一生き残った魔法少女として、タツヤを守るため…この見滝原を守るため…
最愛の友人が護った世界を守るために―――
だが、これまでのように戦いの中で自暴自棄になり、自らを犠牲にするような真似は…もうすることはないだろう。
タツヤとの出会い…『再会』が、彼女の冷え切った心を暖め…彼女の心を強くしたのだから...。
そう、本当の『強さ』とは、いつも心の中にあるのだから―――
第5話「強さはいつも心の中に」 fin
890 >>889ミス ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 01:30:47.46 ID:fDDfIeo+0(45/50)
https://www.youtube.com/watch?v=ji2-3-5zxPo
【ほむら】
「...ふっ」
ほむらは、そんな光景を微笑みながら見つめる。
今までずっと居なくなった友人達の幻影を追ってきたが、この出来事をきっかけに…少しだけ変わる事が出来るかもしれない。
心の中で、彼女はそう思った。
『よかったね』
そして、心の中ではもう1人の彼女が労いの言葉を掛ける。
その彼女もまた…今までの彼女からは想像も出来ない程の笑顔であった。
ほむらの変化を、心から祝福していたのだろう。
【ほむら】
「...えぇ」
ほむらは、彼女に背を向けたまま短く返事をする。
その表情は、実に充実感に溢れるものだった。
今後も、ほむらは戦い続けるだろう。
見滝原で唯一生き残った魔法少女として、タツヤを守るため…この見滝原を守るため…
最愛の友人が護った世界を守るために―――
だが、これまでのように戦いの中で自暴自棄になり、自らを犠牲にするような真似は…もうすることはないだろう。
タツヤとの出会い…『再会』が、彼女の冷え切った心を暖め…彼女の心を強くしたのだから...。
本当の『強さ』とは、いつも心の中にあるのだから―――
第5話「強さはいつも心の中に」 fin
891 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 01:33:03.68 ID:fDDfIeo+0(46/50)
『…』
『…ふふ』
――――――――ズキッ
【ほむら】
「...っ‼‼」
【ほむら】
「痛っ…」
【ほむら】
「何...?」
第1章『再会の物語』 完
892 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 01:34:28.55 ID:fDDfIeo+0(47/50)
『…』
『…はは』
『…断られちゃった』
893 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 01:37:01.35 ID:fDDfIeo+0(48/50)
https://www.youtube.com/watch?v=7aauIRyLZfo
夢の世界でタツヤを出迎えた桃色の髪の少女は、その場でゆっくりと立ち上がり空を見つめる。
タツヤに見せる事のなかったその表情は…笑顔だった。
『もう少しだったのになぁ』
『でも、ま…いっか』
そう…不気味な程に――――
『だって』
『もう何もかも手遅れだもんね♪』
次の瞬間―――
少女の居た世界が、一変する。
綺麗に咲き誇っていた花達は一瞬にして枯れ、砂のように崩れ落ちる。
美しい花畑だった辺り一面は全て砂漠と化し、澄んだ青空は…この世の終わりとも思える程どす黒いものへと変わった。
そして、少女が来ていた純白の服も…その色を黒く染め上げる。
そう、まるで…その世界の全てが、『絶望』に堕ちてしまったかのように―――
『タツヤぁ』ニコォ
少女は先程までこの世界に居た少年の名前を口にする。
それは、まるで…愛おしい恋人を呼ぶかのように―――
『あなたはもう、私から逃げられないんだよ?』
そう言って、少女は寄り掛かっていた一本の木に触れる。
すると、その木の青々とした葉っぱ達は一瞬にして枯れ落ちる。
太く逞しかった幹も、生気を失い…萎れていった。
『楽しみだな〜』クル
枯れてしまった木には目もくれず、少女はその朽ち果てた大地の上を…楽しそうに舞い踊る。
表情は相変わらず不気味な程に笑顔であったが…
その顔は、どす黒い内心を現すかのように…歪んでいた。
『何年ぶりかな?』
『10年?随分かかっちゃったな〜』
その歪んだ笑顔が―――これまでで一番の絶望をもたらす事になる
そのことは、まだ誰も知らない。
『…イヒヒッ』
『でも、やっと会えるね』
『ほむらちゃん♪』
そう、タツヤやほむらは…まだ知らなかったのだ――――
彼等にとって…『最悪の悪夢』が、もう直ぐそこまで来ていることを―――
894 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 01:38:09.39 ID:fDDfIeo+0(49/50)
魔法少女まどか☆マギカ〜After Ten Years of History〜
――――第2章―――
―――『救済の物語』へ続く―――
895 川´_ゝ`){有難う御座いました ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/09(月) 01:52:13.59 ID:fDDfIeo+0(50/50)
以上になります。
これにて5話終了。そしてようやく1章完結です。今まで本当に有難うございました。
途中、かなりのスローペースになってしまいましたが、なんとか終わらすことが出来ました。
此処まで飽きたり見捨てたりせず付き合ってくれた方、もう1度本当に有難うございました。
さて、続きはなんですが…少し迷っています。
いえ…勿論書くのですが、引き続きこのサイトに投稿して良いものかと…
救済編からは今までの伏線を回収しつつ、今まで以上にオリジナル要素満載でお送りする予定になっております。
なので、このSSは「痛々しい」等の厳しいお言葉も多くいただいてますし、速報で続けるよりも小説投稿サイトなどでひっそりと続ける方が良いのでは?と思ったりします。
何にせよ、これからどうするかはまたこのスレで報告しますので、もう少しこのスレは残しておいて下さい。
因みに、速報で引き続き続きを書くならまた新しいスレを立てる予定です。
何だかぐずぐずと女々しい事を言ってしまって申し訳ありませんでした。
では、今日はこの辺で。お休みなさい ノシ
896 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/09(月) 02:25:18.40 ID:2mINfkvv0(1)
お疲れ様です このSSは毎回楽しみにしているのでできれば続きを書いてほしいです。
897 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga] 2014/06/09(月) 02:46:40.85 ID:troLgRkM0(1)
タツヤスレを立てる奴はこんなのばかりだな
消えるなら黙って消えれば良いものを
898 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/09(月) 03:03:18.76 ID:4zY1JWUQo(1)
>小説投稿サイトなどでひっそりと続ける
そうしたいならそうしろよ
でも叩かれてる理由を自覚してないならどこに行っても叩かれるぞ
899 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/09(月) 04:27:23.76 ID:qvX0FtWWo(1)
確かに痛々しい
900 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/09(月) 04:38:16.71 ID:DbKTe03O0(1)
個人的な趣味で言えばオリ主はだめじゃないしこれからの展開が気になる作品。
ただ、たっくんの戦闘シーンまわりとかがかなり香ばしいww
話は面白いがそこらへんが悪い意味で中二臭い。
個人的にはこれを機に管理しやすいハーメルンあたりに移った方がいいと思うよ。
作者さんの自由だとは思うけど。
901 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/09(月) 05:28:16.63 ID:uiVx+/Zuo(1)
個人的にはまどかがゲスいのが最悪
これさえなければまだ擁護できた…かも知れない
902 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga] 2014/06/09(月) 07:00:03.70 ID:jbydzQWh0(1)
ほむら→まどかが強すぎてタツほむなんて有り得ないって事はタツほむ厨も理解してるんだよ
だからまどかをゲス化させてまどほむが成立しないようにする、まあ常套手段だな
903 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/09(月) 07:29:14.05 ID:WXqpSLaDO携(1)
個人的には応援している
荒らしに気にせず頑張ってほしい
904 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/09(月) 09:12:22.36 ID:LqxWDs6Fo(1)
>>902
そんな事してるから叩かれるんじゃ
905 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/09(月) 12:33:15.59 ID:8ZjzQlMgo(1)
何書いても自由なんだから叩かれようが何されようが完結させてくれな?
評価がどうなるかはわからん
906 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/09(月) 13:14:26.62 ID:GLJUHnMWO携(1)
オリキャラだとか厨二臭いとかよりも「〜〜言われてるのも知ってます」とかいちいち言い出すのが一番いかんと思うよぉ
同情買いたいんじゃなければそれには触れずに淡々と書けばいいのにぃ
詠矢空希を見習いなよぉ
907 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/09(月) 14:12:43.54 ID:hu3dVc260(1)
同情買いたいんだろ
908 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/10(火) 12:12:31.33 ID:Nf9CmvYDO携(1)
どこで書くにしても応援している
909 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/11(水) 06:16:58.51 ID:y6aFe3I1o(1)
何故これをまどマギと言い張るのか
オリキャラでやればいいのに
910 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/11(水) 09:54:30.02 ID:OiGRNnRU0(1)
つまんね
911 >>1です ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/12(木) 00:27:44.89 ID:F2hDr4W10(1)
夜遅くにこんばんわ>>1です。いつも閲覧有難うございます。
沢山のコメント有難うございました。
また、不快にさせるコメントを書いてしまい申し訳ありませんでした。
私自身正直なところ、同情を買いたい、励まして欲しいなどといった邪な気持ちがあったのも事実です。
なので、そのようなコメントを頂いてもしょうがないと思っております。本当に申し訳ありませんでした。
そして、皆さんの意見を伺って私なりに考えた結果、やはり続きは別のところで書こうと思います。
応援してくださった方は申し訳ありません。
移動先は未定ですが、>>900さんが教えてくれたところなんか使いやすそうで良いなとか思ったりしてます。
この件についてはまた後日改めて連絡しに来ますので、引き続きこのスレは残しておいていただけると有難いです。
まだまだ実力不足な私ですが、皆さんの意見を参考に戦闘描写等の軌道修正なども行いながら
引き続き完結に向けて頑張りますので、お付き合いいただければ幸いです。
長々とした文章を書いてしまい、申し訳ありませんでした。それでは、また。 ノシ
912 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/12(木) 02:23:47.65 ID:ENwX/a3gO携(1/2)
まぁ、がんばれよぉ
絵も描けよぉ
913 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/12(木) 02:24:25.44 ID:ENwX/a3gO携(2/2)
sage忘れごめんよぉ
914 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/12(木) 02:30:53.45 ID:6WrJAk/so(1)
きもちわる
915 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/12(木) 03:05:59.25 ID:iUMc5ylG0(1)
わざとでしょ
たしかにきもいww
916 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/12(木) 12:37:12.13 ID:IN6I2CxDO携(1)
頑張ってください
917 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/12(木) 13:01:46.04 ID:v4jhiNlNo(1)
書かなくていいです
918 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/12(木) 17:31:13.97 ID:WZZqd2Oy0(1)
続き楽しみにしています。
919 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/13(金) 05:47:33.66 ID:k9PjhMTS0(1)
つまんね
920 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/13(金) 10:26:12.52 ID:NYJi5kR5o(1)
さっさとhtml化依頼出して消えろよ
921 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/13(金) 10:38:18.34 ID:V91lab7DO携(1/2)
本当粘着荒らしキモいわ
922 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/13(金) 18:56:48.93 ID:FKO5ZK9io(1)
>>921
自己紹介乙
923 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/13(金) 19:44:24.53 ID:V91lab7DO携(2/2)
>>922
キモ
924 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/14(土) 01:37:34.19 ID:1H3tVGgU0(1)
>>923
図星だったようだな
925 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/14(土) 08:18:53.31 ID:of4Z6udDO携(1/3)
>>924
図星だったようだな
926 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/14(土) 13:49:10.00 ID:nfB8hTlXo(1)
>>925
鸚鵡返ししかできなくなったか
やはりこの末尾DOが荒らしていたようだな
927 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/14(土) 14:15:59.78 ID:of4Z6udDO携(2/3)
>>926
荒らしはお前だろカス
928 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/14(土) 15:54:10.76 ID:vps/gaFd0(1)
糞もしもし顔真っ赤でワロタ
929 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/14(土) 15:56:30.64 ID:dw3bLIKXo(1)
>>927
OKOK、じゃあ仮に俺が荒らしだとしてお前は一体何のつもりなんだ?
まさか荒らしを攻撃する自分は正義とか思ってるんじゃないだろうな
930 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/14(土) 18:18:11.72 ID:UQ7wMF7P0(1)
ダラダラ長く続けてる遅筆スレには変に入れ込む奴が沸きやすいからな
少しでも否定的なレスをすると即座に荒らし認定して噛み付く狂信者みたいな奴とか
931 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/14(土) 18:29:43.58 ID:of4Z6udDO携(3/3)
糞荒らしだろ実際お前ら
932 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/14(土) 18:46:32.01 ID:pEAKhoHjo(1)
ID:of4Z6udDO
なるほどこいつか
933 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/15(日) 05:15:51.44 ID:39DXmBzc0(1)
もしもし大暴れ
934 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/16(月) 12:34:34.51 ID:ZPEmhQsDO携(1)
か
935 次回予告的なやつ ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/24(火) 00:43:25.97 ID:HdG34Ua10(1/3)
「何時かは現在(いま)じゃない」
「私は、みんなの分まで現在(いま)を生きたい」
「やっと見つけた、私の生きる道…」
「絶対に…誰にも邪魔はさせないわ」
「私が…」
「私が…全部…悪いの…?」
「私は…何度同じ過ちを繰り返せば…」
936 次回予告的なやつ2 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/24(火) 00:45:24.84 ID:HdG34Ua10(2/3)
「綺麗な桜ほど…散る時は儚く切ないものだ」
「君は、この桜のように華々しく散る運命を選ぶかい?」
「それとも、その運命すら…君は乗り越えてみせるのかい?」
「偽りの『希望』なんていらない」
「そんなものを選ぶくらいなら」
「俺は、誰かを幸せにする『絶望』を選ぶ…」
魔法少女まどか☆マギカ〜After Ten Years of History〜
第2章
『救済の物語』
君の為―――選んだ道は『叛逆』だった――――
937 挨拶&移転報告 ◆7F2DwKbdfg [saga sage] 2014/06/24(火) 01:00:26.65 ID:HdG34Ua10(3/3)
夜遅くにこんばんわ>>1です。いつも閲覧有難う御座います。
お待たせしました。とりあえず移転の準備が整ったので、ご報告致します。
移転場所は>>900さんの言っていたハーメルンにしたいと思います。
名前はこのSSの名前同様『魔法少女まどか☆マギカ〜After Ten Years of History〜』にする予定です。
恐らく今日明日には掲載すると思います。
そして、格好付けて予告的なものを書き込んでしまったのですが、私自身新規一転の意味も込めまして1章の初めからハーメルンに載せていきたいと考えております。
その際、地の文を統一化したり、戦闘描写など所々を修正しながら載せていきたいと思っています。
2章を待っている方には申し訳ありませんが、もう少しだけお待ちください。
最後になりましたが、約3年間遅筆で下手糞な文章に付き合って下さり、本当に有難うございました。
移転先でも引き続き応援のコメントなどをいただければ幸いです。
それではHTML化依頼を出してきます。
SS速報の皆様、長い間お世話になりました。お休みなさい ノシ
938 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/24(火) 01:52:00.82 ID:+D+TfBJno(1)
連載途中で移転したり改定始めた作品でエタらなかった作品って見たことないな
939 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/24(火) 03:31:50.40 ID:Qf53hg8f0(1)
おやすみー
940 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/24(火) 03:45:44.96 ID:FYcJZUIqo(1)
滑ってるぞ
941 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/24(火) 22:54:33.23 ID:Y+yUyStDO携(1)
これからも応援しています
942 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/28(土) 05:29:31.68 ID:PqebpjFLo(1)
もう書かなくていいぞ
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